現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ウォリアーズ

2024-02-29 11:12:25 | 映画

 1979年に公開された、アメリカのB級映画(低予算で製作された特定の観客向けの娯楽映画)です。
 当時アメリカで社会問題になっていた、ストリートギャングの若者たちを描いています。
 互いに敵対していたニューヨークのストリートギャングの融和を図るための集会で、主催者である有力チームのカリスマ性を持ったリーダーが射殺され、出席していたストリートギャングのチームの「ウォリアーズ」が犯人の濡れ衣を着せられます。
 「ウォリアーズ」のメンバーは、集会が行われたブロンクスからシマ(テリトリー)であるコニーアイランド(ニューヨーク郊外の海辺で、遊園地などがある歓楽街)まで、徒歩と地下鉄で逃げていきます。
 その行先々で、そこをシマとするそれぞれに個性豊かなストリートギャングのチームが襲ってきます。
 さまざまな障害を、「ウォリアーズ」は、ゲーム感覚(その後実際にビデオゲームになりました)で突破していくだけの単純なストーリーです。
 ほとんどオールロケ(トイレの中での乱闘シーンだけがセットだそうです)で撮影されているので、現在のSFXでなんでも済ましてしまう映画と違って、手作り感満載です。
 1970年代当時のニューヨークの荒廃した街路や地下鉄がふんだんに登場していて、作品にリアリティをもたらしています。
 この映画の登場人物や対象としている観衆は、児童文学でいえばヤングアダルトにあたりますが、最近の日本の児童文学では、作者の大半が女性のせいかお行儀がよくなって、こうしたピカレスクロマンはほぼ絶滅しています。
 監督のウォルター・ヒル(脚本家としては「ゲッタウェイ」など、監督としては「48時間」など、製作者としては「エイリアン」シリーズなど)は、こうしたピカレスクロマンが得意で、1984年にはやはりストリートギャングが出てくる「ストリート・オブ・ファイヤー」(その記事を参照してください)が日本でもヒットしました(その年のキネマ旬報の読者投票で洋画の第一位)。
 これらの映画では、無意味な殺人や残酷シーンはなく、ストリートギャングたちの乱闘シーンもスポーツ感覚で楽しめ、一種の青春映画か恋愛映画として見ることができます。


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