1993年に出版された、女流ミステリー作家の第一人者である作者のデビュー作(それ以前に他の名義で多数の著作があるようですが)で、第39回江戸川乱歩賞の受賞作です。
思いがけない事から、親友の女性による一億円持ち逃げ事件(しかもヤクザの金)に巻き込まれた女性主人公が、不本意ながら父親の昔の仕事である調査探偵をやる羽目になります。
殺人、セックス、性倒錯、フェティシズム、死体愛好、バブル崩壊後の新宿、壁崩壊後のベルリン、ネオナチ、ヤクザ、企業舎弟など、スキャンダラスな題材を散りばめて、読者を飽きさせません。
解説の香山二三郎によると、そのころミステリー界でもL文学化(女性作家による女性を主人公にした女性読者のための文学、詳しくは関連する記事を参照してください)が進んでいたようなので、特にマニッシュな装いと行動をする主人公と、その裏返しのような女性性を武器にしてのし上がった親友の造形は、女性読者には魅力だったことでしょう。
また、親友の愛人で、主人公とも性的関係を持つ、東大全共闘出身の渋いイケメンも、主人公の相手役として用意されています。
ただ、ジェットコースターのような二転三転するストーリー展開は、女性読者だけでなく男性読者も十分に楽しませてくれます。
しかし、最後の事件の種明かしと、それにさらに重ねたどんでん返しは、ほとんどが主人公の長ゼリフによる説明によるもので、かなり強引で性急な感じがしました。
もしかすると、江戸川乱歩賞の応募規定の枚数に合わせるために端折ったのかも知れませんが、加筆訂正して単行本するときには、もう少し丁寧に手を入れてもらいたかったと思いました。
思いがけない事から、親友の女性による一億円持ち逃げ事件(しかもヤクザの金)に巻き込まれた女性主人公が、不本意ながら父親の昔の仕事である調査探偵をやる羽目になります。
殺人、セックス、性倒錯、フェティシズム、死体愛好、バブル崩壊後の新宿、壁崩壊後のベルリン、ネオナチ、ヤクザ、企業舎弟など、スキャンダラスな題材を散りばめて、読者を飽きさせません。
解説の香山二三郎によると、そのころミステリー界でもL文学化(女性作家による女性を主人公にした女性読者のための文学、詳しくは関連する記事を参照してください)が進んでいたようなので、特にマニッシュな装いと行動をする主人公と、その裏返しのような女性性を武器にしてのし上がった親友の造形は、女性読者には魅力だったことでしょう。
また、親友の愛人で、主人公とも性的関係を持つ、東大全共闘出身の渋いイケメンも、主人公の相手役として用意されています。
ただ、ジェットコースターのような二転三転するストーリー展開は、女性読者だけでなく男性読者も十分に楽しませてくれます。
しかし、最後の事件の種明かしと、それにさらに重ねたどんでん返しは、ほとんどが主人公の長ゼリフによる説明によるもので、かなり強引で性急な感じがしました。
もしかすると、江戸川乱歩賞の応募規定の枚数に合わせるために端折ったのかも知れませんが、加筆訂正して単行本するときには、もう少し丁寧に手を入れてもらいたかったと思いました。