文豪の食彩 (ニチブンコミックス) (2013/05/18) 壬生 篤 註:マンガに登場する店です 商品詳細を見る |
■永井荷風が毎日通った
■浅草 尾張屋
あめりか物語、墨東綺譚などの作者として知られる永井荷風。離婚後は生涯一人身だったが、市川の自宅から毎日浅草に通い、ストリップ劇場に入り浸っていたという。その際、雨の日も風の日も毎日通い続けていたというのが、尾張屋だ。荷風の来店時から店に出ていた女将は語る。
「毎日決まった時間、決まった席で、かしわ南蛮を召し上がっていました。必ず筋を残されるので、途中からは筋のない部分を選んでお出ししてたんですよ。うちの看板メニューは天ぷらそばなんですけど、見向きもしませんでしたねぇ。必ず同じ席にお座りになるんで、一度意地悪してその席に前もって他の客を座らせてしまったことがあるんです(笑)でも、その日の先生は不機嫌で不機嫌で。以来、その席は時間になると空けておくようにしました。元旦のお休み以外、本当に毎日召し上がってましたね。最後にいらっしゃった日にトイレで倒れられて。タクシーを呼んで店の者が乗せたんですが……数日後、新聞で亡くなったことを知りました。」
荷風の愛したかしわ南蛮だが、女将によれば「天ぷらそばの方が何倍もお勧めなんです。この値段でこれだけのものを出せるのは、海老屋と直接取引きしているから。先生にも一度くらいは食べてもらいたかったですねぇ」だそうだ。
日刊 勝ち組スポーツ 文豪の愛した食事より
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