王子といえば“山田屋”さんです。
といっても、この店を知ったのは、“とん平”に通いだしてからずいぶん後のこと。
当時ぼくは大泉学園に住んでいたことは、「クマン酒場、ボクの原点(前編)」で書いたけど、だからこそこの酒場を知るのがずっと後からになったんです。
大泉学園というのは、学園ではなく、駅の名前。
そもそも、あの土地にそんな学園は存在したことがありません。
駅は西武池袋線にあり、必然的に池袋を経由しなければ王子にはたどり着くことができません。
池袋からは電車でも行けるんだけど、それだとぐるりと遠回り。
なのでバスを利用していました。
そうすると、王子駅をスルーして、西新井大師方面(あるいは豊島五丁目団地方面)に向かい、“とん平”がある付近で下車。
とうぜん王子駅探索は不可能。
当時スクーターに乗っていて、それでも通ってたんだけど、コース的には環七を通ってくるので、王子駅のずいぶん手前で来ることはありませんでした。
“とん平”を知り、こんな酒場が他にもあるはず。その探究心が、ぼくを王子へといざないました。
池袋辺りでは飲むことがあっても、王子で飲むなんてアイディア、当時のぼくには皆無でしたから、この上ない冒険のように感じました。
そして見つけたのが、ここ“山田屋”です。
まずは、
酒です。看板にも出ている八重寿をお燗で
なぜ燗酒かというと、ここには湯島の名店“七福神 岩手屋”と同じ燗付け器がある。
もちろん当時岩手屋など知らないボクは、その奇妙な物体に驚きました。
【七福神 岩手屋@Chris's monologue】←ここに写真がありますので興味のあるヒトはどうぞ
のうしろに見えているのは、
定番メニューの銀だらの煮付け。
このセットでいくらでも飲めます。
残ったタレだけでも飲めます。
と、これだけでは単なるフツーの酒場。
燗付け器がおもしろい形だの、銀だらがうまいだの、そんなことでは“とん平”での驚きをくつがえすことは、とうていできません。
おや、今日は煮込みがある。
しかも塩煮込みは定番じゃない。
と、定番に混じり、定番ではないものが、定番料理の品書きに混ざっているので要チェック。
といっても、その程度じゃ動じません。
なんせ190円のレバ刺しを常にいただいている身としては。
驚いたのは定番メニューのなかにありました。
半熟たまご。
え、それって、酒のアテになるの?
半熟たまご。嫌いじゃないけど、酒のアテでたまご料理は違うんじゃないのかなぁ。
でも、ここは冒険です。たのんでみました。
なるほど、ソーメンと絡めて食べるのか。
憎い演出。
そうきましたか。と、ポンと掌をこぶしで打ちました。
じゃあ、あそこに書かれてあるめかぶ昆布ってやつはどうなんだろう?
注文してみました。
あ、長いもが付いてきた!
えいやッ、とかき混ぜ。これいいね
見えてるコップには冷酒 高千代です。
受け皿もないのに、コップの淵ギリギリ、いや、表面張力させる技はもはや職人芸。
よくこぼさず入れられると感心するばかり。
や、ここはすごい酒場かも。
この店も入れ込み式でカウンターはありません。
【山田屋@Chris's monologue】←店内の様子はここにあるよ
混んでくると話し声がワンワン響いて、だから客も大声で話すようになり、ちょっとやかましくて体調がすぐれないときにはいけないんだけど、狙い目午後5時前~6時30分あたりまで。
空いてるし、オーダーは通りやすいし、オススメ。
いつもたのむのは、
タコブツサラダ。
しっかり〆たアジ酢。
にこごりもあるとたのんじゃうかな。
今回はチャレンジ精神で、
揚げ物いってみました。
マグロの竜田揚げ。
散々食べて飲んで、お会計2000円ちょっと。
十条に“斎藤酒場”があるように、王子にはここ“山田屋”がある。
そうか、こうした酒場は、探せばいろんな下町にありそう。
よし、だったら探してみよう。
東京中歩き回って、こんな酒場を探してみたい。
“とん平”のあとに、この“山田屋”さんに出遭えたのも、ぼくをそうした冒険へと引き寄せる一種の縁だったのでしょう。
友人から借りたマンガに、『草子ブックガイド』っていうのがあるんだけど、草子は読書を通して、本という海を旅していました。
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感覚的にはそれに近いかな。
酒場を通して土地を知り、土地を通して酒場を知る。
そして永遠に終わることのない旅がそこにある。
なんか読書と似てませんか?
読書といえば、
王子にはすばらしい古本屋があります。
ここの3階マンガコーナーは、コアなマンガがたくさん!
古き酒場。
新しい風景。
一度だけ入った酒場がラーメン屋に変わり、ここずいぶんと長く続いてるなぁ。
今度食べにこようかな。
そうそう、王子の山田屋といえば明治堂。
最近クマルさんは、
明治堂のパンと水出しコーヒーを合わせているようです。
ここのパン屋さんは吉田類氏も番組で紹介しています。
以下に引用。
*1899年(明治22年)創業のパン屋さん。1899年はパリ万博の年で、つまりこの店はエッフェル塔と同級生、と歴史は古い。クロワッサンやバゲット等の定番から、約100種類もの創作パンがあり、その中から約10種類ほどのオリジナルパンが毎日焼かれ店内に並ぶ。「あんパン」、「フランス肉まん」、「りんごのクロワッサン」等個性的なパンは四代目ご主人や店員さん達によって考えられた。フランスと同じく早朝から営業しているのは、嬉しい。
酒場とその土地の文化を、まるごと飲み込む。それがボクの原点です。
さて、今宵はいずこへ。。。
居酒屋