「空気」 まどみちお
花のまわりで 花の形
ボールのまわりで ボールの形
ゆびのまわりで ゆびの形
そこに ある物を
どんな物でも そこにあらせて
自分は よけて
その物をそのままそっと包んでいる
自分の形は なくして
その物の形に なって…
まるでこの世のありとあらゆる物が
いとおしくてならず
その ひとつひとつに
自分でなってしまいたいかのように
花のまわりで 花の形
ボールのまわりで ボールの形
ゆびのまわりで ゆびの形
そこに ある物を
どんな物でも そこにあらせて
自分は よけて
その物をそのままそっと包んでいる
自分の形は なくして
その物の形に なって…
まるでこの世のありとあらゆる物が
いとおしくてならず
その ひとつひとつに
自分でなってしまいたいかのように