「仲なほり」 金子みすず
げんげのあぜみち、春がすみ、
むかうにあの子が立つてゐた。
あの子はげんげを持つてゐた、
私も、げんげを摘んでゐた。
あの子が笑ふ、と、氣がつけば、
私も知らずに笑つてた。
げんげのあぜみち、春がすみ、
ピイチク雲雀が啼いてゐた。
げんげのあぜみち、春がすみ、
むかうにあの子が立つてゐた。
あの子はげんげを持つてゐた、
私も、げんげを摘んでゐた。
あの子が笑ふ、と、氣がつけば、
私も知らずに笑つてた。
げんげのあぜみち、春がすみ、
ピイチク雲雀が啼いてゐた。