「さくらの木」 金子みすず
もしも、母さんが叱らなきゃ、
咲いたさくらのあの枝へ、
ちょいとのぼってみたいのよ。
一番目の枝までのぼったら、
町がかすみのなかにみえ、
お噺のくにのようでしょう。
三番目の枝に腰かけて、
お花のなかにつつまれりゃ、
私がお花の姫さまで、
ふしぎな灰でもふりまいて、
咲かせたような、氣がしましょう。
もしも誰かがみつけなきゃ、
ちょいとのぼつてみたいのよ。
もしも、母さんが叱らなきゃ、
咲いたさくらのあの枝へ、
ちょいとのぼってみたいのよ。
一番目の枝までのぼったら、
町がかすみのなかにみえ、
お噺のくにのようでしょう。
三番目の枝に腰かけて、
お花のなかにつつまれりゃ、
私がお花の姫さまで、
ふしぎな灰でもふりまいて、
咲かせたような、氣がしましょう。
もしも誰かがみつけなきゃ、
ちょいとのぼつてみたいのよ。