「金魚のお墓」 金子みすず
暗い、さみしい、土のなか
金魚はなにをみつめてる。
夏のお池の藻の花と、
揺れる光のまぼろしを。
靜かな、靜かな、土のなか、
金魚はなにをきいてゐる。
そつと落葉の上をゆく、
夜のしぐれのあしおとを。
冷たい、冷たい、土のなか、
金魚はなにをおもつてる。
金魚屋の荷のなかにゐた、
むかしの、むかしの、友だちを。
暗い、さみしい、土のなか
金魚はなにをみつめてる。
夏のお池の藻の花と、
揺れる光のまぼろしを。
靜かな、靜かな、土のなか、
金魚はなにをきいてゐる。
そつと落葉の上をゆく、
夜のしぐれのあしおとを。
冷たい、冷たい、土のなか、
金魚はなにをおもつてる。
金魚屋の荷のなかにゐた、
むかしの、むかしの、友だちを。