chuo1976

心のたねを言の葉として

「お堀のそば」  金子みすず

2012-11-19 05:20:54 | 文学
 「お堀のそば」  金子みすず



お堀のそばで逢うたけど、
知らぬかほして水みてた。

きのふ、けんくわはしたけれど、
けふはなんだかなつかしい。

につと笑つてみたけれど、
知らぬ顔して水みてた。

笑つた顔はやめられず、
つッと、なみだも、止められず、

私はたつたとかけ出した、
小石が縞になるほどに。

 
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「喧嘩のあと」  金子みすず

2012-11-18 06:41:52 | 文学
 「喧嘩のあと」  金子みすず



ひとりになつた
一人になつた。
むしろの上はさみしいな。

私は知らない
あの子が先よ。
だけどもだけども、さみしいな。

お人形さんも
ひとりになつた。
お人形抱いても、さみしいな。

あんずの花が
ほろほろほろり。
むしろの上はさみしいな。
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「光る髪」  金子みすず

2012-11-17 05:42:21 | 文学
 「光る髪」  金子みすず



沈む、沈むよ、
濱にでてみれば、
赤い大きな
夕日の毬が。

光る、光るよ、
金色の絲が、
入り日みてゐる
光(ミッ)ちやんの髪が。

かがろ、かがろよ、
眞赤(マッカ)な毬を、
金の小絲で
麻の葉にかがろ。
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「草原の夜」  金子みすず

2012-11-16 06:18:34 | 文学
   
 「草原の夜」  金子みすず



ひるまは牛がそこにゐて、
青草食べてゐたところ。

夜ふけて、
月のひかりがあるいてる。

月のひかりのさはるとき、
草はすつすとまた伸びる。
あしたも御馳走してやろと。

ひるま子供がそこにゐて、
お花をつんでゐたところ。

夜ふけて、
天使がひとりあるいてる。

天使の足のふむところ、
かはりの花がまたひらく、
あしたも子供に見せようと。
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「草の名」  金子みすず

2012-11-15 06:18:30 | 文学
  「草の名」  金子みすず



人の知つてる草の名は、
私はちつとも知らないの。

人の知らない草の名を、
私はいくつも知つてるの。

それは私がつけたのよ、
好きな草には好きな名を。

人の知つてる草の名も、
どうせ誰かがつけたのよ。

ほんとの名まへを知つてるは、
空のお日さまばかりなの。

だから私はよんでるの、
私ばかりでよんでるの。
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「草山」  金子みすず

2012-11-14 04:38:34 | 文学
  「草山」  金子みすず



草山の草の中からきいてると
いろんなたのしい聲がする。

「けふで七日も雨ふらぬ
のどがかわいた水欲しい。」
それはお山の黒い土。

「空にきれいな雲がある
お手々ひろげてつかまうか。」
それはちひさな蕨の子

「お日さん呼ぶからのぞかうか。」
「私もわたしも、ついてゆく。」
ぐみの芽、芝の芽、芽萱(チガヤ)の葉
いろんなはしやいだ聲がする。
春の草山にぎやかだ。
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「草原」  金子みすず

2012-11-13 05:35:36 | 文学
 「草原」  金子みすず



霧の草原
はだしでゆけば
足があをあを染まるよな。
草のにほひもうつるよな。

草になるまで
あるいてゆけば、
私のおかほはうつくしい、
お花になつて、咲くだらう。
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「くり返す」  谷川俊太郎

2012-11-12 03:51:51 | 文学
「くり返す」  谷川俊太郎



くり返すことができる
あやまちをくり返すことができる
くり返すことができる
後悔をくり返すことができる
だがくり返すことはできない
人の命をくり返すことはできない
けれどくり返さなければならない
人の命は大事だとくり返さねばならない
命はくり返せないとくり返さねばならない

私たちはくり返すことができる
他人の死なら
私たちはくり返すことはできない
自分の死を
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「力」  まどみちお

2012-11-09 05:07:28 | 文学
「力」  まどみちお


あるひとが
ふとあるひ
手にしたほんの
とあるページをひらくと
あるぎょうの
とあるかつじをひとつ
うえきばちにして

力よ
おまえはそこで
花になって
さいている

そんなにかすかなところで
しんだじぶんを
じぶんでとむらって…
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「ボール」  まどみちお

2012-11-07 06:08:06 | 文学
「ボール」  まどみちお




どこが おなかで
どこが せなかか
あててごらん

あててごらん
あててごらん
ははは わからないねと
ぽんぽん ぽこぽこ
はねて よろこぶんだ

あんまり まんまるすぎて
ボールの やつめ
どこが どこだか
ほんとは じぶんでも
わからなく なってるのと
ちがうかなあ
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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf