不思議な事には衣装も髪も馬も桜もはっきりと目に映じたが、花嫁の顔だけは、どうしても思いつけなかった。しばらくあの顔か、この顔か、と思案しているうちに、ミレーのかいた、オフェリヤの面影が忽然と出て来て、高島田の下へすぽりとはまった。これは駄目だと、せっかくの図面を早速取り崩す。衣装も髪も馬も桜も一瞬間に心の道具立から奇麗に立ち退いたが、オフェリヤの合掌して水の上を流れて行く姿だけは、朦朧と胸の底に残って、棕梠箒で煙を払うように、さっぱりしなかった。空に尾を曳く彗星の何となく妙な気になる。
(夏目漱石 『草枕』)
漱石もロンドン滞在中に見たであろう、ミレーのオフィーリア。
ちょうど明日までテートブリテンでミレー展をやっていたため、風邪をひいているにもかかわらず行ってきました。
しかし・・・・・・すっっっごい人の数だった・・・。
11時にチケット売り場に行ったのに、買えたのは13時入場のチケット(常設展には入ることができる)。しかも学生料金でも£9!
イギリスは常設展は無料なのに、特別展は日本以上に高いのね・・・・・・。
もっともこのオフィーリア、大学時代にワシントンDCのナショナルギャラリーで一度見ているのです。ちょうどテート展をやっていて。
そのときはすごく空いていて、見放題だったのですが。
今回は、せっかくだからロンドンでも見たいなぁと思い、二度目の再会(普段も常設展にあるのだが)。
記憶の中のオフィーリアよりも、色が鮮やかでした。もっとくすんだ印象があったのだけれど。
上の写真よりもずっと鮮やかです。
他にも綺麗な絵が沢山あったけれど、ショップで売ってる絵葉書がすくなかったのが残念。欲しい絵があったんだけどなぁ。
しかし常設展の方もそうだけど、単純に「きれいだな~」と思って見ていると、説明書きに「これはmortalityを表していて・・・」みたいなことが大抵書いてあって、気が滅入る・・・。
カラッと明るく綺麗な絵ってだけじゃ、芸術にはならないのかしら~・・・。
元気がもらえていいと思うんだけどな。
ところでミレー(落穂拾いのミレーとは別人)って、Millaisってスペルなんですね。
これは私の今日のお昼ご飯。
テートのカフェがあまりに人だらけだったのと、風邪がまたぶりかえしてきたので、家の近所のMarks&Spencer foodで買って、部屋で食べました。
100%English appleジュース3個いりパックと、チェダーチーズのサンドイッチとショートブレッド。私の大好きなショートブレッドが、こっちではすっごい安い!日本では高いのに。嬉しいわぁ。しばらくこれをお昼にできる。
サンドイッチは味はいいんだけど、私の嫌いな冷たいパンなので、びみょー。。。
ところで「今日」って12日(土)のことですよ~。
このブログ、自然に日本の時間がはいっちゃうのです。自分で入力もできるけど、面倒だからやらない。。