風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

リヴィエラの舞台を訪ねてみる 2 :聖ボトルフス教会

2008-02-26 08:05:24 | 倫敦うるるん滞在記

 聖ボトルフス教会は、シティとイーストエンドが出会うオールドゲートの広い交差点の中心に、昔と同じ姿で建っていた。長年イーストエンドの煤煙と排気ガスを被り続けてきた石は、相変わらず黒ずんだ灰色だった。・・・聖堂の玄関が面しているホワイトチャペル・ロードは、日曜は車の代わりにゴミが舞っている。ジャックにとっては十年一日の光景だった。昔と変わったのは、かつて地下鉄駅の向こうの角にあったアーチャーのカメラ屋が消えたことぐらいだ。
 ジャックは、そのホワイトチャペル・ロードをはさんで、聖堂の玄関の斜め向かいにあるバス停脇に、ウォッカのボトル持参で座り込んでいた。・・・
 午前十時五分前、ホワイト・チャペルロードを東の方向から飄々と歩いてくる人物がジャックの視界に入った。・・・ステップニー・グリーンのダンスタン・ハウスから歩いてきたのなら、半時間はかかったはずだが、タクシーを拾うことなど初めから念頭になく、少しは身嗜みを構おうという発想もなく、その辺に散歩に出るときと同じ調子で出かけてきたのだろう。おまけに約束の時間に遅れそうになっているのが、いかにもシンクレアらしかった。道路の反対側の路傍から、ジャックは無意識に目を凝らした。道路幅が広いので、シンクレアの姿は遠く感じられた。

(高村薫 『リヴィエラを撃て』)


聖ボトルフス教会正面





教会とホワイト・チャペルロード。
この道は、このまま東(写真の奥側)へ進みホワイト・チャペルを過ぎると名前がマイルエンド・ロードに変わります。ステップニー・グリーンはその右手。


「聖堂の玄関の斜め向かいにあるバス停」。
SUBWAYの右側の、赤丸に横棒の看板がそれです。


ピンク矢印:地下鉄Aldgate駅
赤矢印:バス停

シンクレアの教会コンサートは2月12日の日曜日。
私が訪ねたのは2月10日の日曜日。
ばっちしじゃないの♪と午前中から家を出て最寄り駅で電車を待っていたら、なんと・・・!突然、駅が閉鎖・・・・・・。
「みなさん、このまま待っていても電車は来ませんよ~。地上に出てバスに乗ってね」みたいなアナウンスが流れて、ぞろぞろと駅を出る人々・・・。さすがだよロンドンTUBE・・・。
しかもチャイニーズ・ニューイヤーの週末だったせいか、道路が混んでいてバスが全然進まない!
結局、オールドゲートに着いた頃には、教会のミサはとっくに終わり、職員がカチャンと扉を閉めて帰るところでした・・・。
まぁ、無宗教の私にミサはきついので、かまわないんですけどね。でも、ちょっとくらい中も覗きたかったわ。
ちなみにこのオールドゲート&聖ボトルフス教会付近は、ジャックがアーチャーのカメラ屋を爆破するシーンでも登場してます。

この場所も、小説のまんまの光景でした。
ちゃんと教会の真ん前にジャックが潜んでいたバス停もありましたし。
もっとも、周りに現代的なビルが建ったりしていて、小説よりもだいぶ明るい雰囲気になっていました。なんといってもバス停の横がSUBWAYですから(笑)
ここはスッテプニー・グリーンと違って写真を撮りやすくてよかったですー。
私の他にも写真を撮ってる観光客がいましたし。
ところでオールドゲートのスペルって小説を読んだときはOldgateなのかと思っていたのですが、Aldgateなんですねー。

☆聖ボトルフス教会:地下鉄Metropolitan又はCircle lineのAldgate駅下車すぐ。

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