風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

リヴィエラの舞台を訪ねてみる 4 :ペチコートレーン・マーケット

2008-02-29 02:13:58 | 倫敦うるるん滞在記

 ジャックは、ミドルセックス通りと交差している路地の一つにいた。さっきまで着ていたジャンパーを捨て、今はくすんだ青色のセーター一枚だったため、寒かった。ほんの十数分前、ここまで逃げてきて石壁を背に路傍に座り込み、両膝を抱えて頭を垂れたら、もうしばらく動けないような脱力感にとらわれて、ジャックは座り続けていた。
降っては止む細かい雨が路地に並ぶ露店の群れを包み、濡れたビニールの屋根やパラソルの色だけが鮮やかに光っていた。人手は冬の季節にしては多く、西ベルファストのマーケットをそのまま移したような安物のがらくたを見て歩く人の波が、賑やかな葬列のようだった。・・・

 南北五百ヤードのミドルセックス通りは、東側に四つの袋小路と一つの路地があり、西側に三つの路地がある。ジャックがいるのは、その通りの、東側の南端にある袋小路の角だった。通りを挟んだ向かい側も、狭い路地だ。露店の客引きや行き交う観光客のざわめきは、座り込んでいるジャックの頭の上を流れ続けていた。すぐ目の前には古着屋と土産物屋、花屋。向かいの路地の角にはロリポップを売る菓子屋。隣が雑貨屋。さらに陶器屋、玩具屋と続いていた。

(高村薫 『リヴィエラを撃て』)















ミドルセックス・ストリートにある標識。
左:Aldgate Station
右:Liverpool Street Station


Middlesex streetが突き当たる道、ビショップスゲート Bishopsgate。
ここを右手に曲がるとLiverpool St


さぁ、いよいよリヴィエラ最大の読みどころの一つ、ペチコートレーンです。
ここもほぼ小説に描かれているとおりでした(袋小路の数とかは全然ちがうけど)。
ほとんどガラクタ市。
飛び交う言葉はコックニー(ロンドン下町なまり)。
カムデンロックやポートベローのマーケットと比べても、段違いの下町っぽさです。
観光として行くにはあまり魅力的ではありませんが(欲しいものが何もない・・・)、リヴィエラ気分は存分に味わえます。
シンクレアが買ったようなブリキの人形も売っていましたよ^^
道が狭く、すごい人混みなのでスリに注意!

★ペチコートレーン・マーケット Petticoat Lane Market :地下鉄Metropolitan又はCircle lineのAldgate駅下車すぐ。聖ボトルフス教会の真裏が入口。

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