上限金利ものは書かないと言ったのに、書いてしまいます。悪しからず。
svnseedsさんが大変見やすいグラフを示して下さっております。
svnseeds’ ghoti
このような作業はきっとご面倒だったと思いますが、グラフになっているのでとても判りやすいです。厚く御礼申し上げます。
論点は今まで大体記事に書いてきたので、挙げておきます。
闇金が増加したワケ(追加あり)
坂野教授に反論する(追記後+訂正あり)
貸金業者数減少は上限引下げが原因か
貸せなくなるって、本当?
生活困窮者の対策と破綻処理(追加あり)
貸出金利の条件について
いくつか気になった点を挙げてみたいと思います。
①貸金業者数に関して:
・上限金利と業者数の減少は「相関関係が見られる」と説明されております。
是非「質屋の業者数」もグラフに加えて頂ければ、と願っておりますが、質屋の数は減少傾向であって、貸金業者の減少とほぼ似たトレンドではないかと思います。このような場合、「相関関係はある」と言えるのでしょうか?質屋の上限金利は別モノですけれども、同じように業者数は減少トレンドなわけですから、必ずしも上限金利の低下と業者数減少には「関連がある」とも言えないように思えます。
業者間の競争が激化していけば、業者数が減少することは普通であるように思えます。また、経済学に詳しい方々がよく取り上げられる需給と価格ですけれども、「貸金業の信用供与額が増加」(需要の増加)、ということがあったのですから、私の素人考えで申し訳ないのですけれども、「価格」(すなわち貸出金利)が低下するのは普通なのではないか、とも思える訳です。上限が下がったことで「平均約定金利が下がった」という説明の方が、経済学的な理論から言えば「妥当性が高い」ということでしょうか?数回の上限引下げがなければ、「価格は低下しなかった」即ち「金利低下も起こらなかった」ということでしょうか?
・上限引下げによって業者数が減少して寡占化が進んだと説明されています。
単に数について言えば、それでも現状で4千社程度はある訳ですし、代替的なクレジットキャッシング業者もそれなりに存在しているので、ここにアクセスできない人たちは少ないのではなかろうかと思っております。銀行等の民間金融機関は、これよりもはるかに少ない(大手銀行、地銀、第二地銀、信金、信組、農協、郵貯等の合計)のですが、これを数的に寡占と言ったりするのでしょうか?
小規模業者が淘汰された場合に問題とされているのが何なのか判りませんが、もしも大手などとは「マーケットが異なる」(これは47thさんがちょっと記事で触れておりました)可能性とか、他の誰も貸さない借り手にのみ貸す、ということを想定されているのでしょうか?他の貸金業者から一切借入不可能で、小規模業者の少しだけ高い金利でなら「借入可能」という借り手は、そんなに多く存在しているとは考えていないのですが、そうであれば、そのような借り手はそもそも多重債務には陥ることは少ないように思えます。「小規模業者からしか借入できない」という借り手の貸出残高は、年間貸倒引当金よりも小さいはずです。
池田信夫氏やbewaad氏などの早大の坂野論文を論拠として支持していた方々は、論文中にあるように「貸金業の市場は(ほぼ)完全競争市場である」ということを前提に考えておられたのではないかと推測しますが(そうでなければ坂野論文の内容を支持できなくなると思います)、業者数が減少してきたからといって、それを「寡占だ」などとは考えていないのではないでしょうか。
イギリスでの業者数は日本よりもかなり少ない訳ですが、「業者数が少ないイギリス」では日本よりも寡占化が進んでいて競争が阻害されている、ということを言っておられるわけではないのですよね?
・図6の説明に関して、次のように記されています。
『2000年までは失業率と業者数は無関係に推移していましたが、2001~2002年の失業率の更なる悪化に伴い業者数が増加し、その後失業率が改善するに従い業者数も急激に減少している点が興味深いところです。』
まず、一時期の業者数増加の原因は、私の推測としては、悪徳業者(闇金系ですね)に流行った手口が財務局に登録して引っ掛けるというもの(借り手を信用させる為)でしたので、この登録件数が多かったからだろうと思っています。スポーツ紙広告などに掲載するやり口ですね。もしもこの増加がなければ、ほぼ直線的な減少トレンドは変わらなかったのではなかろうか、と。単に元のトレンドに戻ってきただけなんじゃないのかな、と。
上記注釈によれば、「失業率の更なる悪化に伴い業者数が増加」とされていますが、そうであれば、それ以前の失業率が上昇した時に業者数が増加すると考えなかった理由というのは何でしょうか?また、「失業率が改善するに伴い業者数が急激に減少」とも述べられておりますが、この両者と考え合わせると、「業者数は失業率の変動に確実に影響を受けている」と解釈している、と受け止めてよろしいでしょうか?もしそうであれば、svnseedsさんが主張されている「上限金利引下げで業者数は減る」ということとの影響度の程度をどのように考えておられるのか、ご意見を伺いたいと思います。
②ライフイヴェントに関して:
失業率と自己破産件数のグラフですが、これはとても説得力のあるグラフですね。相関係数も出しておられて、失業が大きな要因である、というのは確かにその通りであろうかと思います。「ライフイヴェント」を裏付けるものである、とのご趣旨も頷けます。
そこでお伺いしたいのですが、失業と破産件数の相関は、日本だけに見られる特徴的現象なのでしょうか?もしもそうであれば、他国との比較というのはできない訳ですが、「ライフイヴェント」は割りと何処の国でも起こるように思えますので、「破産原因はライフイヴェントだ」というのを比較できるようにも思えます。あくまで素人考えなので、申し訳ないのですけれども。
もしも図4にアメリカの自己破産件数をグラフ化するとどうなのでしょうか。この作業をやってくれとは申せませんので、ザッとの印象だけですみませんが、確かアメリカの自己破産件数と日本の自己破産件数の推移は割りと似ていたように思います。そこで、まさか日本の失業率とアメリカの自己破産件数に相関関係がある、などとは言えないのですが、しかし、データだけを持ってきて見てみれば、関係があるかのように「目に映せる」んじゃないのかな、と。少なくとも、日本においては失業というのが、家庭のキャッシュフローの「in-out」バランスに大きく影響することは間違いなく、それは私も当然だろうと考えております。ただ、注意すべきは、「in」部分に大きく影響する要因、「out」部分に大きく影響する要因、(つまりはライフイヴェント)ということを考えるのは勿論でしょうけれども、借入額とか金利というのがどのような影響を有しているか、ということについての判断には至らないのではないかと思っています。それ故、坂野論文での分析においては、モデルに問題があると考えていました。
英米二カ国においても、自己破産件数と失業率には有意な相関関係が見出せるということであれば、破産の主たる要因は失業ということで決着がつきそうに思いますが、これはおそらく違うだろうな、と考えています。失業率の低下トレンドの時期であっても、自己破産者は増加してきていると思います(前に記事を書くとき見たように思いますが・・・・どこで見たのか忘れましたので資料がないのですけれども、金融庁だったかtalpasのところだったか、のように思いますが・・・定かではありません)。もしも、日本だけに特徴的であるとすれば、どのようにお考えなのかな、とちょっと思います。
自己破産件数増加要因としては、他にもあると考えています。「整理弁護士」の積極的な介入や司法書士介入(時期は別でしょうけれども)とか、『夜逃げ屋本舗』のような映画だったかテレビ(笑)とか、とにかく多くの人々に自己破産制度があると認知されてきたから、ということがあると思います。過払い返還の増加もそういう面があります。それと、利用者の絶対数が増加すれば、破産者の発生確率が同じであっても、破産件数の絶対数は増加するだろうと思います。
svnseedsさんの記事と直接関係ない話ですので、申し訳ないのですが一応書いておきます。
普通に考えれば、同じ程度のライフイヴェント発生確率の集団を見れば、「借入額が多い」、「借入金利が高い」というのは破産リスクを高めると思いますが、そういう分析は日本ではなされていないのでしょうか。ライフイヴェントの発生確率が異なっているか予め判っていない集団であっても(恐らく職種とか勤続年数等の違いが審査されるのではないかと)、金利が高い層は「貸倒率が高い」ということが起こるはずであり、逆に金利の低い層は「貸倒率が低い」ということになるのではないでしょうか。そうであれば、「金利水準」が説明要因になるのではないでしょうか?もしもこうした区別をつけず、破綻リスクには関係なく一様に貸すのであれば、全員同じ金利が適用されるはずで、その集団ではある水準でライフイヴェントが発生する、ということになるでしょう。それとも、金利の高い層では低い層に比べてライフイヴェントの発生確率も高い、ということを考えているのでしょうか?堂下論文を肯定している人たちには是非お伺いしてみたいと思っていましたものですから。無理にお答えにならなくとも宜しいので・・・。
③貸金業者の利益に関して:
『図3から読み取れるように、業者数の減少が2002年以降の需要の停滞・減少に大きく反応していることから、サラ金業の多くは世間で言われているほど儲かってはいないのではないか、とも言えそうです。』
仰るように、近年の利益減少は確かにあると思います。
90年代後半以降、大手は営業経費を縮減してきたので、貸出残高対比では貸倒引当金以外の営業経費率は低下しています。調達金利の低下(笑)もその一つですね。即ち、本来であれば営業利益が増加する体制になり、その環境も整ってきているわけです。00年の引下げ後であっても、貸倒率以外の経費は約5~6%程度です。ところが、「貸倒率」の上昇が続いてきたので(今年は低下に転じたはずですが)利益は縮小し、過払い返還費用もかさんできているのが現状です。貸倒率は7%前後、返還費用が2~3%ですから、両方で約10%程度の比率となっています。営業経費に占める割合は、それ以外の営業費用よりもはるかに多いのです。以前は貸倒率が3%以下でしたから、利益も多かったのですね。
返還費用を考えないとして(返還請求は一時期のものですから)、貸倒率6%、それ以外の経費6%としても、平均約定金利が18%であれば、営業利益6%ということになり、引下げ前の水準(2003年頃)と利益率は大きく変わりません。貸倒率のコントロールが大きく影響するということは言えると思います。
大手以外の中小業者になると、貸倒率の高い業者が存在する、それ以外の経費率が大手に比べて高い、というコスト構造が見られますので、大手に比べれば非効率である可能性は否定できないと思います。商品の違いとか、顧客層の違いによって、それでも生き残れるのかもしれませんけれども。これは推測ですので実際どうなのか判りませんが。
長々と書いてしまい、申し訳ありません。どうしても回答して欲しい、というものではありませんので、無理をなさらなくともいいです。
「見たいものだけを見る傾向」というのは、私にもズバリ当てはまるわけですが、このようなアドバイスをされている賢人もネット上にはおられるようです。恐らくsvnseedsさんのグラフを見て、その関係性については「一目瞭然」とか、「相関関係があるのは明らか」ということには必ずしもならないのではなかろうか、と思っていますが、それは「見たいものだけを見ようとする」(見たくないものは見ない?)私の個人的性質によるかもしれません。でも、今回このような実際の数字、過去の経過を取り上げて頂いて、感謝しております。私の素人談義では影響力がないもので。
svnseedsさんが大変見やすいグラフを示して下さっております。
svnseeds’ ghoti
このような作業はきっとご面倒だったと思いますが、グラフになっているのでとても判りやすいです。厚く御礼申し上げます。
論点は今まで大体記事に書いてきたので、挙げておきます。
闇金が増加したワケ(追加あり)
坂野教授に反論する(追記後+訂正あり)
貸金業者数減少は上限引下げが原因か
貸せなくなるって、本当?
生活困窮者の対策と破綻処理(追加あり)
貸出金利の条件について
いくつか気になった点を挙げてみたいと思います。
①貸金業者数に関して:
・上限金利と業者数の減少は「相関関係が見られる」と説明されております。
是非「質屋の業者数」もグラフに加えて頂ければ、と願っておりますが、質屋の数は減少傾向であって、貸金業者の減少とほぼ似たトレンドではないかと思います。このような場合、「相関関係はある」と言えるのでしょうか?質屋の上限金利は別モノですけれども、同じように業者数は減少トレンドなわけですから、必ずしも上限金利の低下と業者数減少には「関連がある」とも言えないように思えます。
業者間の競争が激化していけば、業者数が減少することは普通であるように思えます。また、経済学に詳しい方々がよく取り上げられる需給と価格ですけれども、「貸金業の信用供与額が増加」(需要の増加)、ということがあったのですから、私の素人考えで申し訳ないのですけれども、「価格」(すなわち貸出金利)が低下するのは普通なのではないか、とも思える訳です。上限が下がったことで「平均約定金利が下がった」という説明の方が、経済学的な理論から言えば「妥当性が高い」ということでしょうか?数回の上限引下げがなければ、「価格は低下しなかった」即ち「金利低下も起こらなかった」ということでしょうか?
・上限引下げによって業者数が減少して寡占化が進んだと説明されています。
単に数について言えば、それでも現状で4千社程度はある訳ですし、代替的なクレジットキャッシング業者もそれなりに存在しているので、ここにアクセスできない人たちは少ないのではなかろうかと思っております。銀行等の民間金融機関は、これよりもはるかに少ない(大手銀行、地銀、第二地銀、信金、信組、農協、郵貯等の合計)のですが、これを数的に寡占と言ったりするのでしょうか?
小規模業者が淘汰された場合に問題とされているのが何なのか判りませんが、もしも大手などとは「マーケットが異なる」(これは47thさんがちょっと記事で触れておりました)可能性とか、他の誰も貸さない借り手にのみ貸す、ということを想定されているのでしょうか?他の貸金業者から一切借入不可能で、小規模業者の少しだけ高い金利でなら「借入可能」という借り手は、そんなに多く存在しているとは考えていないのですが、そうであれば、そのような借り手はそもそも多重債務には陥ることは少ないように思えます。「小規模業者からしか借入できない」という借り手の貸出残高は、年間貸倒引当金よりも小さいはずです。
池田信夫氏やbewaad氏などの早大の坂野論文を論拠として支持していた方々は、論文中にあるように「貸金業の市場は(ほぼ)完全競争市場である」ということを前提に考えておられたのではないかと推測しますが(そうでなければ坂野論文の内容を支持できなくなると思います)、業者数が減少してきたからといって、それを「寡占だ」などとは考えていないのではないでしょうか。
イギリスでの業者数は日本よりもかなり少ない訳ですが、「業者数が少ないイギリス」では日本よりも寡占化が進んでいて競争が阻害されている、ということを言っておられるわけではないのですよね?
・図6の説明に関して、次のように記されています。
『2000年までは失業率と業者数は無関係に推移していましたが、2001~2002年の失業率の更なる悪化に伴い業者数が増加し、その後失業率が改善するに従い業者数も急激に減少している点が興味深いところです。』
まず、一時期の業者数増加の原因は、私の推測としては、悪徳業者(闇金系ですね)に流行った手口が財務局に登録して引っ掛けるというもの(借り手を信用させる為)でしたので、この登録件数が多かったからだろうと思っています。スポーツ紙広告などに掲載するやり口ですね。もしもこの増加がなければ、ほぼ直線的な減少トレンドは変わらなかったのではなかろうか、と。単に元のトレンドに戻ってきただけなんじゃないのかな、と。
上記注釈によれば、「失業率の更なる悪化に伴い業者数が増加」とされていますが、そうであれば、それ以前の失業率が上昇した時に業者数が増加すると考えなかった理由というのは何でしょうか?また、「失業率が改善するに伴い業者数が急激に減少」とも述べられておりますが、この両者と考え合わせると、「業者数は失業率の変動に確実に影響を受けている」と解釈している、と受け止めてよろしいでしょうか?もしそうであれば、svnseedsさんが主張されている「上限金利引下げで業者数は減る」ということとの影響度の程度をどのように考えておられるのか、ご意見を伺いたいと思います。
②ライフイヴェントに関して:
失業率と自己破産件数のグラフですが、これはとても説得力のあるグラフですね。相関係数も出しておられて、失業が大きな要因である、というのは確かにその通りであろうかと思います。「ライフイヴェント」を裏付けるものである、とのご趣旨も頷けます。
そこでお伺いしたいのですが、失業と破産件数の相関は、日本だけに見られる特徴的現象なのでしょうか?もしもそうであれば、他国との比較というのはできない訳ですが、「ライフイヴェント」は割りと何処の国でも起こるように思えますので、「破産原因はライフイヴェントだ」というのを比較できるようにも思えます。あくまで素人考えなので、申し訳ないのですけれども。
もしも図4にアメリカの自己破産件数をグラフ化するとどうなのでしょうか。この作業をやってくれとは申せませんので、ザッとの印象だけですみませんが、確かアメリカの自己破産件数と日本の自己破産件数の推移は割りと似ていたように思います。そこで、まさか日本の失業率とアメリカの自己破産件数に相関関係がある、などとは言えないのですが、しかし、データだけを持ってきて見てみれば、関係があるかのように「目に映せる」んじゃないのかな、と。少なくとも、日本においては失業というのが、家庭のキャッシュフローの「in-out」バランスに大きく影響することは間違いなく、それは私も当然だろうと考えております。ただ、注意すべきは、「in」部分に大きく影響する要因、「out」部分に大きく影響する要因、(つまりはライフイヴェント)ということを考えるのは勿論でしょうけれども、借入額とか金利というのがどのような影響を有しているか、ということについての判断には至らないのではないかと思っています。それ故、坂野論文での分析においては、モデルに問題があると考えていました。
英米二カ国においても、自己破産件数と失業率には有意な相関関係が見出せるということであれば、破産の主たる要因は失業ということで決着がつきそうに思いますが、これはおそらく違うだろうな、と考えています。失業率の低下トレンドの時期であっても、自己破産者は増加してきていると思います(前に記事を書くとき見たように思いますが・・・・どこで見たのか忘れましたので資料がないのですけれども、金融庁だったかtalpasのところだったか、のように思いますが・・・定かではありません)。もしも、日本だけに特徴的であるとすれば、どのようにお考えなのかな、とちょっと思います。
自己破産件数増加要因としては、他にもあると考えています。「整理弁護士」の積極的な介入や司法書士介入(時期は別でしょうけれども)とか、『夜逃げ屋本舗』のような映画だったかテレビ(笑)とか、とにかく多くの人々に自己破産制度があると認知されてきたから、ということがあると思います。過払い返還の増加もそういう面があります。それと、利用者の絶対数が増加すれば、破産者の発生確率が同じであっても、破産件数の絶対数は増加するだろうと思います。
svnseedsさんの記事と直接関係ない話ですので、申し訳ないのですが一応書いておきます。
普通に考えれば、同じ程度のライフイヴェント発生確率の集団を見れば、「借入額が多い」、「借入金利が高い」というのは破産リスクを高めると思いますが、そういう分析は日本ではなされていないのでしょうか。ライフイヴェントの発生確率が異なっているか予め判っていない集団であっても(恐らく職種とか勤続年数等の違いが審査されるのではないかと)、金利が高い層は「貸倒率が高い」ということが起こるはずであり、逆に金利の低い層は「貸倒率が低い」ということになるのではないでしょうか。そうであれば、「金利水準」が説明要因になるのではないでしょうか?もしもこうした区別をつけず、破綻リスクには関係なく一様に貸すのであれば、全員同じ金利が適用されるはずで、その集団ではある水準でライフイヴェントが発生する、ということになるでしょう。それとも、金利の高い層では低い層に比べてライフイヴェントの発生確率も高い、ということを考えているのでしょうか?堂下論文を肯定している人たちには是非お伺いしてみたいと思っていましたものですから。無理にお答えにならなくとも宜しいので・・・。
③貸金業者の利益に関して:
『図3から読み取れるように、業者数の減少が2002年以降の需要の停滞・減少に大きく反応していることから、サラ金業の多くは世間で言われているほど儲かってはいないのではないか、とも言えそうです。』
仰るように、近年の利益減少は確かにあると思います。
90年代後半以降、大手は営業経費を縮減してきたので、貸出残高対比では貸倒引当金以外の営業経費率は低下しています。調達金利の低下(笑)もその一つですね。即ち、本来であれば営業利益が増加する体制になり、その環境も整ってきているわけです。00年の引下げ後であっても、貸倒率以外の経費は約5~6%程度です。ところが、「貸倒率」の上昇が続いてきたので(今年は低下に転じたはずですが)利益は縮小し、過払い返還費用もかさんできているのが現状です。貸倒率は7%前後、返還費用が2~3%ですから、両方で約10%程度の比率となっています。営業経費に占める割合は、それ以外の営業費用よりもはるかに多いのです。以前は貸倒率が3%以下でしたから、利益も多かったのですね。
返還費用を考えないとして(返還請求は一時期のものですから)、貸倒率6%、それ以外の経費6%としても、平均約定金利が18%であれば、営業利益6%ということになり、引下げ前の水準(2003年頃)と利益率は大きく変わりません。貸倒率のコントロールが大きく影響するということは言えると思います。
大手以外の中小業者になると、貸倒率の高い業者が存在する、それ以外の経費率が大手に比べて高い、というコスト構造が見られますので、大手に比べれば非効率である可能性は否定できないと思います。商品の違いとか、顧客層の違いによって、それでも生き残れるのかもしれませんけれども。これは推測ですので実際どうなのか判りませんが。
長々と書いてしまい、申し訳ありません。どうしても回答して欲しい、というものではありませんので、無理をなさらなくともいいです。
「見たいものだけを見る傾向」というのは、私にもズバリ当てはまるわけですが、このようなアドバイスをされている賢人もネット上にはおられるようです。恐らくsvnseedsさんのグラフを見て、その関係性については「一目瞭然」とか、「相関関係があるのは明らか」ということには必ずしもならないのではなかろうか、と思っていますが、それは「見たいものだけを見ようとする」(見たくないものは見ない?)私の個人的性質によるかもしれません。でも、今回このような実際の数字、過去の経過を取り上げて頂いて、感謝しております。私の素人談義では影響力がないもので。