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続・幸せは何処にあるか

2006年11月06日 21時17分39秒 | 社会全般
昨日の続きです。農業についてもう少し考えてみることにします。

日本の農業全体の傾向としては、離農が進んできており、現存する農家の作り手の大半が高齢化してきているということのようです。つまり、あまり前途の見えない業種なのであり、多くの若者が敬遠しているという状況ではなかろうかと思います。労力が多くて収入少ないので益なし、として止めていく人たちが結構多いのかもしれません。若者たちは都会に出て行き、年老いた親たちだけが残されて、細々と農業を続けているということなのかもしれません。この辺の実態はよく判りませんが、問題がいくつかあると思います。


技術の伝承ということと、供給能力が落ち込まずに確保されるのか、といったあたりでしょうか。次の時代の「美味しいモノ」がきちんと生産されるのか心配になりますよね。メロンとかイチゴや梨なんかは、自分が子どもの頃に比べてはるかに美味しいと思うのですよね。庶民にとっては高嶺の花であったメロンなんかが、今では普通に食べることが可能になりました。これって、実は凄いことなんだろうな、と思います。


農業は急にやってもうまく生産できるようになるとも言えず、従来の「できる人」たちが大幅に減ると、戦力ダウンは避けられないだろうと思います。伝承という部分で言うと、生産指導者的な人を確実に育てていくことが必要だろう。それ以上に必要なのは、指導者が生産現場で指導するとして、それをある程度安定性のあるビジネスとして維持・推進できるシステムだろう。


日本だと農業は金にならない、というのも、何が問題なのかよく研究してみると、違った解決方法が出てくるのかもしれません。一次産業ではダメなんだ、というのも、必ずしも当てはまらないのではないかと思える面があるからです。デンマークは農産品輸出国ですが、幸福度では世界ランク1位となっているし、一人当たりGDPも日本より多いです。人口が約540万人ですから、北海道と似たような水準です。それでも何ら問題なく農業は続けられるのですね。デンマークでは可能で、日本ではできない理由というのは、ちょっとよく判りません。補助金の投入量などが違うのでしょうか?日本の農業補助金が削られたら、デンマーク産の豚肉が日本に入ってきてしまうのでしょうか?


デンマーク - Wikipedia


アイスランドにしても、漁業が盛んであり雇用の8%が従事しているのですから、日本でだって不可能ということにはならないのではなかろうかと思えます。人口規模が約30万人と小さいし、都市人口が90%以上ということがありますが、日本の地方都市でこれと似たような経済圏を作るようにできれば、きっと成長可能ということなのではないでしょうか。


アイスランド - Wikipedia


どちらもその地域にお金が残ることが重要なのかもしれません。デンマークやアイスランドで消費されたお金は何処かに利益を生むでしょうが、それはデンマークやアイスランドに多くが留まることになる、ということでしょう。外国から稼いだお金の利益もやっぱりデンマークやアイスランドの国内に貯められる、ということなのでしょう。日本では、東京に溜まってしまうようにできているのでしょう、多分。例えば、田舎のコンビニで使ったお金の利益部分の大半が、東京とか都会の本社に集められるから、そこに利益が配分されるのですね。本社が東京に多く存在している限り、地方の中でお金を使い、その利益が残されるということにはなりにくいのであろうな、と思います。それがデンマークやアイスランドとの違いなのでしょうか?どうもよく判らんのですけど。


できれば法人税率を地方毎に独自で決められる制度に変えるべきではないかと思いますね。企業が全く来ないような田舎で、法人税を安くできることにするんですよ。ペーパーカンパニーでいいので、田舎に本社を置けば企業は「節税」になるし、田舎では地方法人税やら法人事業税?や固定・償却資産税、住民税なんかが入ってくるはずだから、財政的には凄く助かりますよね。大体、大企業本社で勤めてる絶対数なんか多くはないのに、決算なんかで利益が大企業本社に全て集まってるから、東京みたいな大都会だけが潤うのではなかろうか。

今後、地方分権を推進していくとか、道州制なんかにするとか言うのであれば、税率も独自で決められるようにしたりする方がいいと思うが、どうなんだろう。うまく事業化できれば、代行オフィスみたいに、何社か分の事務を数人でできるかもしれませんよね。大半は機械ができるはずだし、転送電話みたいな装置があればいいですよね、きっと。それか、域外に利益を移転しようとする時には、持ち出し前に課税するとか。法人税の減税云々とかを決める前に、よく検討して頂いた方がいいように思います。特に政府税調の本間先生あたりは法人税減税派でしょうから。


今の流れだと、地方の資金調達は独自で責任を持ってやれ、というような方向に向かっているので、税制についても地方独自の責任で出来るようにしてもらうべきなのではないでしょうか。でも、地方の資金調達能力は高くないでしょう。地方にある中小・零細企業の資金調達も同様ですね。事業資金の需要が止まっているのか、貸出を過度に抑制した結果なのか分りませんが、地方に新規事業がどんどん芽生えてくるとか、地元企業が育つといった環境には必ずしもなっていないでしょう。消費者金融市場の貸出残高は特に事業性資金の落ち込みが大きく、既に約40兆円規模で全体の残高が減少してきましたが、今後破綻寸前の個人多重債務者の債務残高が減少していくことをより一層心配している人たちがいるのはやや疑問に感じています(個人向け消費者ローン市場だけに限っても、民間金融機関が約12兆円の信用供与額減少となり、そちらの方がはるかに影響が大きかったのではなかろうかと考えますけれども、どうやら現状多重債務者の債務残高減少の方がそれ以上に重大だ、ということでしょうか)。地方での資金調達というのは、(個人は別として)官民問わず厳しい部分が多いだろうな、と思っています。


結局、地方に住んでいて幸せだな、と思えるかどうかは個人で違うと思いますが、都会にはない自然だとかのんびりしたところとか、何かそういう別なものに価値を見出さない限り、都会に対する怨嗟が募るばかりになってしまいそうです。そういう生活を受け入れたくないのであれば、やっぱり地方を脱出するしかないのではないかと思います。昔の日本の平均的生活レベルよりかは、十分幸せなような気もしますけど。テレビは庶民には買うのが夢であったし、憧れの「ハワイ航路」(笑)も金持ち以外は無理なものだったのに、今では若い人たちでも普通に行けますからね。そう思えば、まだまだ色んな意味で何かは出来そうに思えますけど。


地方では、地方の経済圏の中で循環させられるような仕組みを作っていく努力をするしかなく、他からのお金(要するに殆ど国からもらえるお金)を当てにしていても、暫くは厳しいのではないかと思っています。お手本になるのは、デンマーク、アイスランド、アイルランド、フィンランドといった国があるので、その運営をよく研究してもらって、真似できるところは真似してみたり、取り入れたりすることで何かを変えていけるかもしれません。何と言っても、インターネットの恩恵は大きいと思える。かつては大都会とか工業都市のような「地域基盤」みたいなのがないと成長していくとも言えなかったけれど、今は遠く離れた田舎の小規模な地域であっても、ネットの威力で新たな仕事・価値創造が可能になったのですから。


ビジネスセンスのある人、語学に優れた人、腕に覚えのある生産者、こういうような人たちが、一致協力して世界に向けて農業・漁業ビジネスを展開していけるのであれば、新たなマーケットが開けてくるかもしれません。加工食品にも別な道があるかもしれません。何かのチャレンジをしていかないと、いくら現状を嘆いていても何も変えられないように思えます。「衰退していく一次産業」という危惧は、自分たちで振り払う努力をするしかないでしょう。