ありがちな対立としては、経済成長と財政再建を軸にされることがよくあるが、これらは両立させられるものであって、必ずしも相反するものではないだろう。通常、経済成長が順調に進めば財政健全化は促進されるであろう。結果的には財政再建に繋がるのである。
また、高齢者が負担するか若者が負担するか、という単純な対立も「ちょっと待て」ということである。それぞれに前提というか、基礎となる考え方があるのだ。
1)対人サービスが成長できないわけではない
これまでよく言われてきたことに、医療費が増大すると制度が破綻する、ということがある。それは、医療費以外の制度をいじらない、という前提で考えれば制度的に苦しくなる、ということである。それがまずよくないよ、と言っているのである。
これまでにも何度も書いたが、医療や介護分野は需要が増大する分野なのだから、経済成長の重要なエンジンとなる。対人サービスというのは代替性が困難なものが多く、工場で何かを作るのとは違う。例えばエステだのネイルサロンだのパーマ屋だのは、貧困国では需要は殆どなく裕福な国でしか商売が成り立たない。みんなの平均的な賃金が多く基礎消費以外の余裕があるかどうか、だ。日本のネイルアーティストの生産性がインドのIT技術者よりも高いというわけじゃないが、平均的な賃金が日本の方が多いがゆえに、ネイルサロンの儲けが増え付加価値が高くなるだけだ。同じことを喋ったとしても、賃金が高い人と低い人では「価値が違う」のだよ。サービスの付加価値というのは、一部幻想みたいなものなんだよ。そう信じていれば、いくらでも付加価値が高くなるのさ。詐欺とか○○商法とか、みんなそうなんだよ(笑)。
生活に余裕があるからこそ、セコムみたいな商売が成り立つのも同じなのだ。貧乏な国では商売が成り立たないが、先進国では需要がある。仕事固有の生産性や付加価値が高いからなんじゃなくて、余った金を安心にかけてもいい、安心を金で買ってもいいです、と思わせられるかどうか、というだけなのだ。別にセコムの仕事そのものに、世界中のどこでも通用するような特別な付加価値があるわけじゃない。
ちょっと極端な例を出してしまったが、工業化の後に来る産業として情報通信関連だのソフト分野だの色々とあると思うが、対人サービスが増えなければ仕事が減っていく一方なのだ。工場が消えて海外に移ったり、炭鉱や農場が消えていけば、その分仕事が減っていくのだから。昔は100人がかりでやっていた製造工程を、今はロボットシステムやラインの管理の数人で済む、という効率化が図られれば、100人分近くの仕事が消滅するわけだから。そういうのを補うには、「他の分野や仕事」が必要なのだよ。それを創造していかなけりゃならないのだ。医療や介護分野は需要が増加していくことは予想できるので、四苦八苦して新規分野を「創造」しなくとも、必ず必要とされるのだから雇用が生まれるのだ。そういう成長分野に資金を回せ、と言っているのだ。
しかし、大儲けを企む連中が、それを阻もうと兵糧攻めをやってきたんだよ。資金を枯渇させると、医療側も国民も困ることが判りきっているのに、だ。
そうするとどうなるか?
ギブアップと言い出すのだよ。自ら折れてくれるのだよ。国民は「税金を上げてもいい」と自ら申し出る、ということ。医療側も「参りました、民間大資本の参入をどうぞ」と軍門に降って、更に悪条件下でこき使われる、ということになるのだ。
2)成長分野に資金配分すれば地方の雇用を増やせる
医療や介護の需要はあるのだから、そこに資金配分をすればいいだけだ。道路建設だの、ハコモノ工事だのに回さずに、「医療や介護をする人」に直接資金を配分できるのは、医療制度や介護制度なのだ。日本の医療費のGDP比はOECD中でも下位であるのだから、それを是正するだけで十分なのだよ。まずは先進国なみに近づけるようにするだけでいい。それには財源が必要になるが、社会保障制度改革と税制一体改革が必要だと言っているのですよ。また、道路特定財源みたいに道路に資金投入するのを止めさせるだけでかなり賄える。医療従事者や介護従事者に資金投入すると、将来に渡って資源になるんですよ。それらの人たちの能力という形で、残されるのです。だから、それをやりなさい、と言っているのですよ。
地方でも需要はかなり見込まれるのですから、地元の若者の雇用口は増やせるだろうし、就業者数が増えるから地方の税収も増やせるのです。立派な道路であっても、市民税を払ってくれるわけでもなければ、地元の商店街でお金を使ってくれるわけじゃない。逆に自治体に借金を背負わせて、負債を後世に残すだけだ。
今後労働人口が減少していく中にあっては、たくさん稼げる優秀な人たちには男女を問わず働いていただいて、日本を支えてもらわねばならないのです。その為には、高齢の親の面倒をみるとか子育てや教育に関する部分とか、「後顧の憂い」なく仕事をしてもらえるような環境を整備しておかなけりゃ、思い切って働けないですよ。稼ぎの大きい優秀な人たちが安心して仕事に打ち込めるように、サポート部隊をきちんとしておかねば立ち行かなくなりますよ、ということです。そういう面でも、主力となる現役世代と、彼らを支える基盤(医療、介護、教育、福祉等)を整備し、高齢世代の方々にも子育てなんかのサポートをお願いしたらいいのです。
3)高齢者に負担してもらうのは止むを得ない
今後の人口構成を考えれば、若年世代にだけ負担を求めるというのは無理があるだろう。そういう意味においては、高齢世代の方々にも負担をお願いせねばならない、ということ。後期高齢者医療制度の良し悪しについては、別としても、基本的な考え方として制度の持続可能性を考えれば、広く負担を求めていくのは致し方ないであろう。ただ、過重負担とならぬように、病気の重い方、障害の重い方、所得水準の低い方、そういう方々には給付をきちんと確保しましょう、ということです。
現時点で既に65歳以上の高齢者率が21%くらいになっているのですから、今後世の中の3分の1の方々を残った現役世代が支えきるのは容易ではありません。いずれ現役世代の不満が爆発してしまうでありましょう。大企業を中心とする健保組合のやり口や彼らの主張が必ずしも正しいとも思えませんし、医療費削減一辺倒の「費用削減至上主義」を掲げる過激な原理主義集団のようではありますが、そうだとしても高齢世代に負担をお願いするべきだと考えます。
参考までに書いておきますが、この医療制度の導入は、中医協改革で医療側の発言力を削ぎ、粛清を図った効果の賜物だ。国策捜査と同じようにして厚生族や元社保庁長官が追い込まれたからだ。決定の影響力を握ったのは、「保険者代表」(例えば健保組合の人とか)だの「公益代表」だの、そういった「非医療」側の勢力だ。国民にこれら制度を強いた張本人は、官僚側でもなければ、勿論医療側でもない。「国民の代表」ヅラした、いい加減な主張であろうと国民の声といって憚らないような、「医療の反対側」にいた人々なのだよ。多くの国民はそういうことを知らない。
もっと言うと、根本的に改革実行を推進したのは、財政再建至上主義の息のかかった連中や、大企業等の経済界の操り人形や、「腐れ経済理論」を掲げるような学者、そういう人々なのだ、ということを忘れるな。医療側の発言力が弱まった為に、こうした改革に至ったのだ、ということを肝に銘じるべきだ。
4)とは言うものの…
私は大企業が憎いわけじゃない。彼らだって、それなりに苦しんでいることもあるだろう。別に楽して過しているわけじゃないからね。それは判るよ。年金保険料だって上がっていくし、法人税だって高いし、その上、医療保険料まで上げられたら困る、というのが本音だろう。これは大企業に限らず、中小企業であっても、社会保険料負担が重荷になっている、ということはあるからね。
更に、これまで散々大企業経営者たちがバカだったから日本がこうなった、とか非難してきたし、非正規労働で搾取してきたんだ、とか色々と書いてきたら、ちょっぴり反省してくれたみたいで(笑)正規雇用を増やした企業は結構ありました。大企業だってバカじゃないから、人材投資するべきだなと考えることはあるだろうし、日本の将来の為にと思って正規労働者を増やそうと考えてくれたのかもしれない。それはそれで、感謝しています。嫌々ながらでも(笑)労働者に投資してみようと考えてくれたことには、素直に御礼を申し上げたいです。
なので、大企業の台所事情というものもあって、あまり一方的にも責められない部分はあるのです。こんな経済情勢ですから、先行き見通しが立たないと、賃金を大幅に上げることは難しいですし、非正規から正規に切り替えただけでも相当の人件費負担が増加することにはなるでしょうし。かなり頑張ってくれたことは評価していますよ。数十万人とかの規模で正規雇用が増えるというのがどれほど大変か、というのは理解できますので。
だから、今ここで医療費負担も企業がやれ、とは申しませんよ。すぐに負担を強いるということはしません。しかし、同じ税収額であっても、振り向け先を変えることで医療費の確保は不可能ではありません。無駄な天下り先に回っているお金をまず分捕ってくればいいのだし、道路財源だの空港整備特会みたいに非効率分野への資金配分が過大になっているものを引き剥がしてくればいいだけです。そういうところを本気で崩そうと思うのであれば、政界への働きかけのやり方を変えて欲しいですね。
法人税を下げてくれ、ということを本気で主張するのであれば、税制のあり方を完全に変えるつもりでお願いしたいですね。地方の自主的な徴税権を強化するべきであり、国の徴税権限を縮小するべきでしょうね。地方なんて今後土地は大量に余るし、値段なんてあってないようなもんですから、土地に関する税制だの農地の規制だの公示価格だの、そういうのを自由にして欲しいですよね。田舎なんて、土地をタダで提供したとしても、そこに産業が生まれ人々が居住してくれるのであれば、それだけで税収が増えますから。別に、土地から微々たる税金を集めていく必要もないように思う。
法人税にしても、東京みたいに土地代金が高くて、そこにいるだけでコストが高い自治体は高い税金でもいいだろうし、田舎なんて法人税は半分とか3分の1でもいいよ。法人の国税なんて払う必要ないもの。地方税だけ払うことにすればいいんだよ。そうすれば、田舎に法人を移転するだけで大幅減税達成じゃないか(笑)。何で人気のない場所でも、東京でも同じでなけりゃいけないんだよ。ITの威力というのは、ド田舎であっても同じ仕事が出来うる、ということがあるからいいのだよ。小規模企業なんて、ほんの少しの地方法人税を払うだけで十分なんだよ。地方では、そこに住んでくれるというだけで十分なんだもの。なので、単純に「法人税を下げろ」ということではなく、国税は廃止、地方法人税だけは地方が「自由に決められる」ということにすればいいだけなんだよ。人が増えてきて、税を集めて諸問題を解決しなくちゃいけない、ということになれば、税金で何とかしましょう(例えば交通、ゴミ、学校、病院等)ということなんだから。
そういうわけで、単に「後期高齢者医療制度」は、姥捨て山だ、死ねってことか、全然わかんねー、呼び名が悪い、みたいな感情的批判をいくら集めてきても問題解決には繋がらない。まず、制度の持続の為にはどういう方向性でいくか、ということを説明せにゃならんでしょ。医療だけじゃなく、社会保障全体と税制面でもどうやっていくか、そういうことを積み上げていかなけりゃ解決には向かわないでしょ。誰がどれくらいの負担をするか、どういう配分でやっていくか、そういうことから考えた方がいいと思うよ。
大体、基礎年金国庫負担引き上げ問題だって未解決というか、見通しゼロのまんまでしょ?(笑)
暫定税率の2.6兆円と妙に符合するんだけどさ、基礎年金の国庫負担に必要な額って2.6兆円くらいなんだよね。だから公明党はほぼ同規模の税収に相当する「定率減税」を廃止する、って言ったんだから。今回の暫定税率如きで財源不足だ、と喚くんだから、今度はどうする積りなんかね?日本沈没ですか、もう、こうなったら。
地方出身の議員たちや首長たちも、道路工事がなくなったら地方の仕事がなくなるんだ、だから必要だ、ってバカなことばかり言ってるのも異常だ。目先のことだけにしがみついても、しょうがないだろ。麻薬と同じさ。薬が切れると苦しいんだ、だから麻薬をくれ、ってのと一緒だろ。誰も今すぐ全部切る、って言ってるわけじゃない。将来どうするか、ということを真剣に考えるべきだ、と言ってるんだよ。
また、高齢者が負担するか若者が負担するか、という単純な対立も「ちょっと待て」ということである。それぞれに前提というか、基礎となる考え方があるのだ。
1)対人サービスが成長できないわけではない
これまでよく言われてきたことに、医療費が増大すると制度が破綻する、ということがある。それは、医療費以外の制度をいじらない、という前提で考えれば制度的に苦しくなる、ということである。それがまずよくないよ、と言っているのである。
これまでにも何度も書いたが、医療や介護分野は需要が増大する分野なのだから、経済成長の重要なエンジンとなる。対人サービスというのは代替性が困難なものが多く、工場で何かを作るのとは違う。例えばエステだのネイルサロンだのパーマ屋だのは、貧困国では需要は殆どなく裕福な国でしか商売が成り立たない。みんなの平均的な賃金が多く基礎消費以外の余裕があるかどうか、だ。日本のネイルアーティストの生産性がインドのIT技術者よりも高いというわけじゃないが、平均的な賃金が日本の方が多いがゆえに、ネイルサロンの儲けが増え付加価値が高くなるだけだ。同じことを喋ったとしても、賃金が高い人と低い人では「価値が違う」のだよ。サービスの付加価値というのは、一部幻想みたいなものなんだよ。そう信じていれば、いくらでも付加価値が高くなるのさ。詐欺とか○○商法とか、みんなそうなんだよ(笑)。
生活に余裕があるからこそ、セコムみたいな商売が成り立つのも同じなのだ。貧乏な国では商売が成り立たないが、先進国では需要がある。仕事固有の生産性や付加価値が高いからなんじゃなくて、余った金を安心にかけてもいい、安心を金で買ってもいいです、と思わせられるかどうか、というだけなのだ。別にセコムの仕事そのものに、世界中のどこでも通用するような特別な付加価値があるわけじゃない。
ちょっと極端な例を出してしまったが、工業化の後に来る産業として情報通信関連だのソフト分野だの色々とあると思うが、対人サービスが増えなければ仕事が減っていく一方なのだ。工場が消えて海外に移ったり、炭鉱や農場が消えていけば、その分仕事が減っていくのだから。昔は100人がかりでやっていた製造工程を、今はロボットシステムやラインの管理の数人で済む、という効率化が図られれば、100人分近くの仕事が消滅するわけだから。そういうのを補うには、「他の分野や仕事」が必要なのだよ。それを創造していかなけりゃならないのだ。医療や介護分野は需要が増加していくことは予想できるので、四苦八苦して新規分野を「創造」しなくとも、必ず必要とされるのだから雇用が生まれるのだ。そういう成長分野に資金を回せ、と言っているのだ。
しかし、大儲けを企む連中が、それを阻もうと兵糧攻めをやってきたんだよ。資金を枯渇させると、医療側も国民も困ることが判りきっているのに、だ。
そうするとどうなるか?
ギブアップと言い出すのだよ。自ら折れてくれるのだよ。国民は「税金を上げてもいい」と自ら申し出る、ということ。医療側も「参りました、民間大資本の参入をどうぞ」と軍門に降って、更に悪条件下でこき使われる、ということになるのだ。
2)成長分野に資金配分すれば地方の雇用を増やせる
医療や介護の需要はあるのだから、そこに資金配分をすればいいだけだ。道路建設だの、ハコモノ工事だのに回さずに、「医療や介護をする人」に直接資金を配分できるのは、医療制度や介護制度なのだ。日本の医療費のGDP比はOECD中でも下位であるのだから、それを是正するだけで十分なのだよ。まずは先進国なみに近づけるようにするだけでいい。それには財源が必要になるが、社会保障制度改革と税制一体改革が必要だと言っているのですよ。また、道路特定財源みたいに道路に資金投入するのを止めさせるだけでかなり賄える。医療従事者や介護従事者に資金投入すると、将来に渡って資源になるんですよ。それらの人たちの能力という形で、残されるのです。だから、それをやりなさい、と言っているのですよ。
地方でも需要はかなり見込まれるのですから、地元の若者の雇用口は増やせるだろうし、就業者数が増えるから地方の税収も増やせるのです。立派な道路であっても、市民税を払ってくれるわけでもなければ、地元の商店街でお金を使ってくれるわけじゃない。逆に自治体に借金を背負わせて、負債を後世に残すだけだ。
今後労働人口が減少していく中にあっては、たくさん稼げる優秀な人たちには男女を問わず働いていただいて、日本を支えてもらわねばならないのです。その為には、高齢の親の面倒をみるとか子育てや教育に関する部分とか、「後顧の憂い」なく仕事をしてもらえるような環境を整備しておかなけりゃ、思い切って働けないですよ。稼ぎの大きい優秀な人たちが安心して仕事に打ち込めるように、サポート部隊をきちんとしておかねば立ち行かなくなりますよ、ということです。そういう面でも、主力となる現役世代と、彼らを支える基盤(医療、介護、教育、福祉等)を整備し、高齢世代の方々にも子育てなんかのサポートをお願いしたらいいのです。
3)高齢者に負担してもらうのは止むを得ない
今後の人口構成を考えれば、若年世代にだけ負担を求めるというのは無理があるだろう。そういう意味においては、高齢世代の方々にも負担をお願いせねばならない、ということ。後期高齢者医療制度の良し悪しについては、別としても、基本的な考え方として制度の持続可能性を考えれば、広く負担を求めていくのは致し方ないであろう。ただ、過重負担とならぬように、病気の重い方、障害の重い方、所得水準の低い方、そういう方々には給付をきちんと確保しましょう、ということです。
現時点で既に65歳以上の高齢者率が21%くらいになっているのですから、今後世の中の3分の1の方々を残った現役世代が支えきるのは容易ではありません。いずれ現役世代の不満が爆発してしまうでありましょう。大企業を中心とする健保組合のやり口や彼らの主張が必ずしも正しいとも思えませんし、医療費削減一辺倒の「費用削減至上主義」を掲げる過激な原理主義集団のようではありますが、そうだとしても高齢世代に負担をお願いするべきだと考えます。
参考までに書いておきますが、この医療制度の導入は、中医協改革で医療側の発言力を削ぎ、粛清を図った効果の賜物だ。国策捜査と同じようにして厚生族や元社保庁長官が追い込まれたからだ。決定の影響力を握ったのは、「保険者代表」(例えば健保組合の人とか)だの「公益代表」だの、そういった「非医療」側の勢力だ。国民にこれら制度を強いた張本人は、官僚側でもなければ、勿論医療側でもない。「国民の代表」ヅラした、いい加減な主張であろうと国民の声といって憚らないような、「医療の反対側」にいた人々なのだよ。多くの国民はそういうことを知らない。
もっと言うと、根本的に改革実行を推進したのは、財政再建至上主義の息のかかった連中や、大企業等の経済界の操り人形や、「腐れ経済理論」を掲げるような学者、そういう人々なのだ、ということを忘れるな。医療側の発言力が弱まった為に、こうした改革に至ったのだ、ということを肝に銘じるべきだ。
4)とは言うものの…
私は大企業が憎いわけじゃない。彼らだって、それなりに苦しんでいることもあるだろう。別に楽して過しているわけじゃないからね。それは判るよ。年金保険料だって上がっていくし、法人税だって高いし、その上、医療保険料まで上げられたら困る、というのが本音だろう。これは大企業に限らず、中小企業であっても、社会保険料負担が重荷になっている、ということはあるからね。
更に、これまで散々大企業経営者たちがバカだったから日本がこうなった、とか非難してきたし、非正規労働で搾取してきたんだ、とか色々と書いてきたら、ちょっぴり反省してくれたみたいで(笑)正規雇用を増やした企業は結構ありました。大企業だってバカじゃないから、人材投資するべきだなと考えることはあるだろうし、日本の将来の為にと思って正規労働者を増やそうと考えてくれたのかもしれない。それはそれで、感謝しています。嫌々ながらでも(笑)労働者に投資してみようと考えてくれたことには、素直に御礼を申し上げたいです。
なので、大企業の台所事情というものもあって、あまり一方的にも責められない部分はあるのです。こんな経済情勢ですから、先行き見通しが立たないと、賃金を大幅に上げることは難しいですし、非正規から正規に切り替えただけでも相当の人件費負担が増加することにはなるでしょうし。かなり頑張ってくれたことは評価していますよ。数十万人とかの規模で正規雇用が増えるというのがどれほど大変か、というのは理解できますので。
だから、今ここで医療費負担も企業がやれ、とは申しませんよ。すぐに負担を強いるということはしません。しかし、同じ税収額であっても、振り向け先を変えることで医療費の確保は不可能ではありません。無駄な天下り先に回っているお金をまず分捕ってくればいいのだし、道路財源だの空港整備特会みたいに非効率分野への資金配分が過大になっているものを引き剥がしてくればいいだけです。そういうところを本気で崩そうと思うのであれば、政界への働きかけのやり方を変えて欲しいですね。
法人税を下げてくれ、ということを本気で主張するのであれば、税制のあり方を完全に変えるつもりでお願いしたいですね。地方の自主的な徴税権を強化するべきであり、国の徴税権限を縮小するべきでしょうね。地方なんて今後土地は大量に余るし、値段なんてあってないようなもんですから、土地に関する税制だの農地の規制だの公示価格だの、そういうのを自由にして欲しいですよね。田舎なんて、土地をタダで提供したとしても、そこに産業が生まれ人々が居住してくれるのであれば、それだけで税収が増えますから。別に、土地から微々たる税金を集めていく必要もないように思う。
法人税にしても、東京みたいに土地代金が高くて、そこにいるだけでコストが高い自治体は高い税金でもいいだろうし、田舎なんて法人税は半分とか3分の1でもいいよ。法人の国税なんて払う必要ないもの。地方税だけ払うことにすればいいんだよ。そうすれば、田舎に法人を移転するだけで大幅減税達成じゃないか(笑)。何で人気のない場所でも、東京でも同じでなけりゃいけないんだよ。ITの威力というのは、ド田舎であっても同じ仕事が出来うる、ということがあるからいいのだよ。小規模企業なんて、ほんの少しの地方法人税を払うだけで十分なんだよ。地方では、そこに住んでくれるというだけで十分なんだもの。なので、単純に「法人税を下げろ」ということではなく、国税は廃止、地方法人税だけは地方が「自由に決められる」ということにすればいいだけなんだよ。人が増えてきて、税を集めて諸問題を解決しなくちゃいけない、ということになれば、税金で何とかしましょう(例えば交通、ゴミ、学校、病院等)ということなんだから。
そういうわけで、単に「後期高齢者医療制度」は、姥捨て山だ、死ねってことか、全然わかんねー、呼び名が悪い、みたいな感情的批判をいくら集めてきても問題解決には繋がらない。まず、制度の持続の為にはどういう方向性でいくか、ということを説明せにゃならんでしょ。医療だけじゃなく、社会保障全体と税制面でもどうやっていくか、そういうことを積み上げていかなけりゃ解決には向かわないでしょ。誰がどれくらいの負担をするか、どういう配分でやっていくか、そういうことから考えた方がいいと思うよ。
大体、基礎年金国庫負担引き上げ問題だって未解決というか、見通しゼロのまんまでしょ?(笑)
暫定税率の2.6兆円と妙に符合するんだけどさ、基礎年金の国庫負担に必要な額って2.6兆円くらいなんだよね。だから公明党はほぼ同規模の税収に相当する「定率減税」を廃止する、って言ったんだから。今回の暫定税率如きで財源不足だ、と喚くんだから、今度はどうする積りなんかね?日本沈没ですか、もう、こうなったら。
地方出身の議員たちや首長たちも、道路工事がなくなったら地方の仕事がなくなるんだ、だから必要だ、ってバカなことばかり言ってるのも異常だ。目先のことだけにしがみついても、しょうがないだろ。麻薬と同じさ。薬が切れると苦しいんだ、だから麻薬をくれ、ってのと一緒だろ。誰も今すぐ全部切る、って言ってるわけじゃない。将来どうするか、ということを真剣に考えるべきだ、と言ってるんだよ。