不動産の不法占拠とよく似ているな、と思ったのが、ソ連の北方領土占拠である。
国際法上では不明確な点があるということであるが、日本が具体的なアクションを起こさない限り、今の状態が続けられる。これが継続すると、結果的には日本に不利になってゆくだけであろう。
基本的な情報はこれ
>北方対策本部|北方領土の国際的取決め
よく不動産の競売などを阻止する為にヤクザ屋さんなんかが居座って、事実上そのヤクザがビルを管理している、というような「実効支配」を確立しているようなケースがあるかもしれない。こういうのは、本来の所有権者とか抵当権者たちの処分などを阻止し、ヤクザの実効支配が長期に及べば居座り続けたヤクザの側にも何らかの権利主張が認められるようになってしまう、というようなことである(現実世界でそのようなことがどの程度起こっているか、通用するか、というのは知らない)。元々は不法占拠で開始されたとしても、長期管理者となった占有者の権利が増大してしまえば、元も子もないのだ。
◇ビルの場合
・ヤクザが不法占拠
・事実上ヤクザがビルを管理
・ビルにはヤクザの実効支配が及んでいる
◇北方領土の場合
・ソ連が不法占拠
・事実上ソ連が北方領土を管理
・北方領土にはソ連の実効支配が及んでいる
こういう状態が長く継続されれば、実効支配している側の権利主張が認められる可能性が出てきてしまうのではないか、という危惧があるだろう。
日本が正統なビルの所有権者であるといったことを国際社会の中できちんと主張しない限り、決して認めてはもらえないであろう。軍事的に奪還するのも、非現実的だしね。ロシア側が突然思い出したかのように、領海侵犯とかを無闇やたらと摘発するのは、「実効支配」を長期に渡り継続している、という既成事実を積み上げようとしているのであろう。「ビル管理者はオレだ」という不法占拠者たちと、行為の中身自体はよく似ているのだ。
例えば香港やマカオは中国に返還されたが、こうした「約束」が現実に効力を持つのは、国際社会の中で「卑怯者」とか「ウソつき」とか呼ばれたくない為であり、軍事的に強制されたからといったような理由からではない。日本側がきちんと論理展開ができ、理路整然と所有の正当性を主張できるのであれば、ロシア側の非行事実を非難してもらえるように、国際社会に働きかけるよりないであろう。日本が単独で返せと言ったとしても、ロシア側が「聞えないね」と言ってしまえば、それで終わりだからだ。
ビルに居座るヤクザを追い出すには、所有者自身が腕力などで排除できないのであれば(普通はできないよね)、他の権力(裁判所とか警察とか)の力を借りるよりないのですから。現状のウヤムヤ状態が長引くと、実効支配側が有利になって行くだけだ。欧州とかの社会が本当に法治国家群の集まりであるなら、法に基づき判断できるはずであろう。そこでは、不法行為があるのであれば、批判して当然だ、ということだ。そうではなくて、欧米諸国がロシア側の肩を持ち日本の権利を認めないということであれば、未来永劫、日本が北方領土を回復することなどできるはずがない。つまりは、不法行為であろうとも腕力で勝てばそれでいい、ということを認める国際社会なのだ、ということ。
そこにあるのは、法ではない。力のみ、である。
非常に残念なことに、日本の外交というのは「芯」がないのだ。
筋が一本、通っていないのである。
だから、行き当たりばったりのようにしか見えないのである。
先日海賊の記事を書いたばかりだが、その中で日本が払う「ソマリアの海賊対策」の費用の方が「インド洋沖の給油活動費」よりも断然少ないよ、と言った。すると、どうだ?
今度は海賊対策に金を拠出すればいい、ということにでもなったのか、大盤振る舞いとなったらしいよ。
>ソマリア海賊対策、補正予算で40億円拠出へ 政治 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
何でもかんでも、ただ出せばいいってもんじゃないでしょ。
どういう意図・目的で、日本は何をしたいか、何ができて何ができないか、何をしたくないか、何をやめて欲しいのか、そういうのが終始あやふやであり、筋の通らぬ話が多すぎなのだ。で、急に思いついたように、想定外のことをやり始めるのである。そこに至る過程には、何らの戦略もなければ、メッセージもない。あるのは、わけの判らん体裁のみ。国のためにやっているのか、誰か一個人のためにやっているのか、見分けすらつかない。まるで「小手先主義」(そんなもんがあるかどうか知らない)が広く蔓延しているかのようであり、個人的手柄を目指しているようにしか思えないこともしばしばだ。
日本の外交が稚拙だからこそ、未だに北方領土は帰ってこないのかもしれない。
国際法上では不明確な点があるということであるが、日本が具体的なアクションを起こさない限り、今の状態が続けられる。これが継続すると、結果的には日本に不利になってゆくだけであろう。
基本的な情報はこれ
>北方対策本部|北方領土の国際的取決め
よく不動産の競売などを阻止する為にヤクザ屋さんなんかが居座って、事実上そのヤクザがビルを管理している、というような「実効支配」を確立しているようなケースがあるかもしれない。こういうのは、本来の所有権者とか抵当権者たちの処分などを阻止し、ヤクザの実効支配が長期に及べば居座り続けたヤクザの側にも何らかの権利主張が認められるようになってしまう、というようなことである(現実世界でそのようなことがどの程度起こっているか、通用するか、というのは知らない)。元々は不法占拠で開始されたとしても、長期管理者となった占有者の権利が増大してしまえば、元も子もないのだ。
◇ビルの場合
・ヤクザが不法占拠
・事実上ヤクザがビルを管理
・ビルにはヤクザの実効支配が及んでいる
◇北方領土の場合
・ソ連が不法占拠
・事実上ソ連が北方領土を管理
・北方領土にはソ連の実効支配が及んでいる
こういう状態が長く継続されれば、実効支配している側の権利主張が認められる可能性が出てきてしまうのではないか、という危惧があるだろう。
日本が正統なビルの所有権者であるといったことを国際社会の中できちんと主張しない限り、決して認めてはもらえないであろう。軍事的に奪還するのも、非現実的だしね。ロシア側が突然思い出したかのように、領海侵犯とかを無闇やたらと摘発するのは、「実効支配」を長期に渡り継続している、という既成事実を積み上げようとしているのであろう。「ビル管理者はオレだ」という不法占拠者たちと、行為の中身自体はよく似ているのだ。
例えば香港やマカオは中国に返還されたが、こうした「約束」が現実に効力を持つのは、国際社会の中で「卑怯者」とか「ウソつき」とか呼ばれたくない為であり、軍事的に強制されたからといったような理由からではない。日本側がきちんと論理展開ができ、理路整然と所有の正当性を主張できるのであれば、ロシア側の非行事実を非難してもらえるように、国際社会に働きかけるよりないであろう。日本が単独で返せと言ったとしても、ロシア側が「聞えないね」と言ってしまえば、それで終わりだからだ。
ビルに居座るヤクザを追い出すには、所有者自身が腕力などで排除できないのであれば(普通はできないよね)、他の権力(裁判所とか警察とか)の力を借りるよりないのですから。現状のウヤムヤ状態が長引くと、実効支配側が有利になって行くだけだ。欧州とかの社会が本当に法治国家群の集まりであるなら、法に基づき判断できるはずであろう。そこでは、不法行為があるのであれば、批判して当然だ、ということだ。そうではなくて、欧米諸国がロシア側の肩を持ち日本の権利を認めないということであれば、未来永劫、日本が北方領土を回復することなどできるはずがない。つまりは、不法行為であろうとも腕力で勝てばそれでいい、ということを認める国際社会なのだ、ということ。
そこにあるのは、法ではない。力のみ、である。
非常に残念なことに、日本の外交というのは「芯」がないのだ。
筋が一本、通っていないのである。
だから、行き当たりばったりのようにしか見えないのである。
先日海賊の記事を書いたばかりだが、その中で日本が払う「ソマリアの海賊対策」の費用の方が「インド洋沖の給油活動費」よりも断然少ないよ、と言った。すると、どうだ?
今度は海賊対策に金を拠出すればいい、ということにでもなったのか、大盤振る舞いとなったらしいよ。
>ソマリア海賊対策、補正予算で40億円拠出へ 政治 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
何でもかんでも、ただ出せばいいってもんじゃないでしょ。
どういう意図・目的で、日本は何をしたいか、何ができて何ができないか、何をしたくないか、何をやめて欲しいのか、そういうのが終始あやふやであり、筋の通らぬ話が多すぎなのだ。で、急に思いついたように、想定外のことをやり始めるのである。そこに至る過程には、何らの戦略もなければ、メッセージもない。あるのは、わけの判らん体裁のみ。国のためにやっているのか、誰か一個人のためにやっているのか、見分けすらつかない。まるで「小手先主義」(そんなもんがあるかどうか知らない)が広く蔓延しているかのようであり、個人的手柄を目指しているようにしか思えないこともしばしばだ。
日本の外交が稚拙だからこそ、未だに北方領土は帰ってこないのかもしれない。