中国の強硬な主張と狡猾なメディア戦略で、「大声で言った者の勝ち」という会議の流れが作られているのではないか。EUは中国での商売の話なんかがあるものだから、あまり強い態度で言うわけにもいかない、という事情があるのか。
米国はオバマ政権になって削減努力を表明するに至ったものの、中国をどうにかしない限りは、世界の排出量の大半を中国が出すようになるだけ、という結果に終わるだろう。中国が途上国グループというのも、何らの説得力もないのだ。
以前にも書いた(CO2排出大国(笑))が、中国が減らさない限りCO2削減の実効性はない。日本や欧州先進国が必死で頑張ったとしても、中国の寄与度があまりに大きいので、目覚しい改善など得られないだろう。恐らく日欧の削減幅全部よりも、中国1カ国の増加量の方が大きくなるだけなので、それでは世界全体でCO2が増加することになる。いうなれば『中国の排出枠を拡張』する為だけに先進国が削減することになり、増加ペースが鈍化するにすぎない。
圧倒的に多くの途上国は単に騙されているか誤魔化されているだけである。
先進国の責任は確かにある。多くの排出を行ってきたのも、欧米をはじめとする先進国であったことに変わりはない。が、この主張ができるのは限られた人々だけであり、本当に排出量の小さかった国々だけである。それは、少なくとも中国ではない。
よく交通事故などの損害額の按分で、過失割合みたいなものがある。あれと似た考え方が必要なのではないか。責任に応じて、応分の負担をせよ、削減努力と目標を設定されるべき、ということだ。
こちらのデータをよく見るがいい。
さすがはFTさんだけあるね。中々スグレモノである。
>FT.com / In depth - Interactive graphic: carbon emissions past and projected
このデータを一覧で書くと、下記の通り。
◆ 1900-2009年 累積排出量
(百万t) (%)
US 341893 (33.3)
OECD Euro 288566 (28.1)
China 118827 (11.6)
Russia 96859 (9.4)
Japan 47609 (4.6)
India 31178 (3.0)
Canada 26765 (2.6)
Africa 25803 (2.5)
AUS&NZ 15251 (1.5)
Mexico 12953 (1.3)
S.Korea 11439 (1.1)
Brazil 10707 (1.0)
結論から言えば、世界の排出量のうち米国が3分の1の責任がある、ということになる。これを認めてしまうと、米国は削減努力が一番きつすぎるということが判りきっていたので、”署名までした”にも関わらず京都議定書から離脱したのだろう。米国にとって、国際条約に署名するというのは単なるポーズに過ぎず、その履行義務を生じているわけではない。垂れ流したもの勝ち、ということである。
中国がなぜ強硬に反対できるのかといえば、米国が中国を非難できないからである。
米国がなぜ削減目標を設定できないとか、京都議定書のような枠組みに入らずとも認められるかといえば、欧州等先進国が米国を痛烈に批判できないからである。だから、米国が実行しない限りは、中国には「米国だって無視しているじゃないか」の論法がずっと通用してしまうことになり、世界的な非難の的とはならないからである。
こうした枠組みを拒否するということがあるとしても、例えばCO2比例関税のような仕組みを設ければ、米国や中国のような排出量の多くエネルギー消費量の浪費が多い国の工業製品は大幅に課税されることになるので、競争の上では不利になるはずなのだ。それがイヤなら、削減努力をすればいい、ということになるはずなのである。これがどうしてできないかといえば、米国が一番累積排出量の責任が重い上に、現在でも排出量が多いからだ。
いずれにせよ、中国の主張であるところの、排出量の責任問題というのは先進国のせいだ、ではなくて、中国の累積排出量は既に『日本の2.5倍に達している』ということを世界中が知るべきだろう。これが、真実だ。その責任に応じた負担を求められるというのが、国際社会のルールであるべきだろう。
ちょっと追加:
COP15、2作業部会も議長案を提示 政治合意は難航必至 (産経新聞) - Yahooニュース
京都議定書の延長案など、もってのほか。
そんな削減努力では、どうにもならない。米中が実施しない限りは、どうしようもない。中国が歴史的排出に拘るのだから、国別の累積排出量を元に、数値化して提示したらよい。
FT資料からみると、中国は日本の2.5倍だが、米国は7.2倍、欧州は6.1倍、ロシアでも2倍である。そういう国々の削減負担が重くあるべきであり、当然中国の削減幅も大きく取られて当然。すなわち、日本の7倍とか、そういう削減義務が課せられるべきなのだ、ということです。
米国はオバマ政権になって削減努力を表明するに至ったものの、中国をどうにかしない限りは、世界の排出量の大半を中国が出すようになるだけ、という結果に終わるだろう。中国が途上国グループというのも、何らの説得力もないのだ。
以前にも書いた(CO2排出大国(笑))が、中国が減らさない限りCO2削減の実効性はない。日本や欧州先進国が必死で頑張ったとしても、中国の寄与度があまりに大きいので、目覚しい改善など得られないだろう。恐らく日欧の削減幅全部よりも、中国1カ国の増加量の方が大きくなるだけなので、それでは世界全体でCO2が増加することになる。いうなれば『中国の排出枠を拡張』する為だけに先進国が削減することになり、増加ペースが鈍化するにすぎない。
圧倒的に多くの途上国は単に騙されているか誤魔化されているだけである。
先進国の責任は確かにある。多くの排出を行ってきたのも、欧米をはじめとする先進国であったことに変わりはない。が、この主張ができるのは限られた人々だけであり、本当に排出量の小さかった国々だけである。それは、少なくとも中国ではない。
よく交通事故などの損害額の按分で、過失割合みたいなものがある。あれと似た考え方が必要なのではないか。責任に応じて、応分の負担をせよ、削減努力と目標を設定されるべき、ということだ。
こちらのデータをよく見るがいい。
さすがはFTさんだけあるね。中々スグレモノである。
>FT.com / In depth - Interactive graphic: carbon emissions past and projected
このデータを一覧で書くと、下記の通り。
◆ 1900-2009年 累積排出量
(百万t) (%)
US 341893 (33.3)
OECD Euro 288566 (28.1)
China 118827 (11.6)
Russia 96859 (9.4)
Japan 47609 (4.6)
India 31178 (3.0)
Canada 26765 (2.6)
Africa 25803 (2.5)
AUS&NZ 15251 (1.5)
Mexico 12953 (1.3)
S.Korea 11439 (1.1)
Brazil 10707 (1.0)
結論から言えば、世界の排出量のうち米国が3分の1の責任がある、ということになる。これを認めてしまうと、米国は削減努力が一番きつすぎるということが判りきっていたので、”署名までした”にも関わらず京都議定書から離脱したのだろう。米国にとって、国際条約に署名するというのは単なるポーズに過ぎず、その履行義務を生じているわけではない。垂れ流したもの勝ち、ということである。
中国がなぜ強硬に反対できるのかといえば、米国が中国を非難できないからである。
米国がなぜ削減目標を設定できないとか、京都議定書のような枠組みに入らずとも認められるかといえば、欧州等先進国が米国を痛烈に批判できないからである。だから、米国が実行しない限りは、中国には「米国だって無視しているじゃないか」の論法がずっと通用してしまうことになり、世界的な非難の的とはならないからである。
こうした枠組みを拒否するということがあるとしても、例えばCO2比例関税のような仕組みを設ければ、米国や中国のような排出量の多くエネルギー消費量の浪費が多い国の工業製品は大幅に課税されることになるので、競争の上では不利になるはずなのだ。それがイヤなら、削減努力をすればいい、ということになるはずなのである。これがどうしてできないかといえば、米国が一番累積排出量の責任が重い上に、現在でも排出量が多いからだ。
いずれにせよ、中国の主張であるところの、排出量の責任問題というのは先進国のせいだ、ではなくて、中国の累積排出量は既に『日本の2.5倍に達している』ということを世界中が知るべきだろう。これが、真実だ。その責任に応じた負担を求められるというのが、国際社会のルールであるべきだろう。
ちょっと追加:
COP15、2作業部会も議長案を提示 政治合意は難航必至 (産経新聞) - Yahooニュース
京都議定書の延長案など、もってのほか。
そんな削減努力では、どうにもならない。米中が実施しない限りは、どうしようもない。中国が歴史的排出に拘るのだから、国別の累積排出量を元に、数値化して提示したらよい。
FT資料からみると、中国は日本の2.5倍だが、米国は7.2倍、欧州は6.1倍、ロシアでも2倍である。そういう国々の削減負担が重くあるべきであり、当然中国の削減幅も大きく取られて当然。すなわち、日本の7倍とか、そういう削減義務が課せられるべきなのだ、ということです。