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司法側にとっての「秘密」(笑)

2010年11月14日 14時26分23秒 | 法関係
出鱈目の捏造調書作成に勤しみ、無実の人間を服役させ、容疑者の供述を即座に漏洩するという、まさに世界に誇れる司法制度を支える、検察官・裁判官の皆様、日々お仕事御苦労さまです。

石川議員の供述内容が漏れ漏れだったのに、東京第5検察審査会の事務局長は極秘扱いという、素晴らしい司法機関の皆様にとっての「秘密」というのは、一体何なのか、ということについて、今日は考えてみたいと思います。


マスコミなんかでは、海保の航海士がネットに公開したとされる所謂「尖閣ビデオ」が、秘密に該当するのかというような論調があるわけです。
何としても逮捕、起訴は避けたい、といった思惑が絡んでいる可能性がありますから、個人的にはそういうのに同調したくはないと思っております。


何となくですけれども、尖閣ビデオは「秘密ではない」といったような貴重なご意見があるようです。その立論をザックリと書きますと、次のようなことです。

①当該航海士(sengoku38)以外の人間も見ていた
②他の職員等が見れないような厳重な管理体制になってなかった
③保護に値しないのではないか


出鱈目調書が通用する素晴らしき司法制度によりますと、何度も取り上げるけれども、鑑定医による秘密漏示罪での有罪判決というのがあります。奈良地裁及び大阪高裁の裁判官がそのような判決を下している、ということです。それに沿って、考えてみましょう。

①’鑑定医以外の人間も見ていたか?→Yes
少年事件で非公開とはいえ、審判に関与した人たちは複数いたでありましょう。医師と少年以外の人間が、鑑定医の持つ資料(鑑定書、供述調書等)を見ていたことは確実です。複数の人間が、それぞれについて見たりコピーしたりする機会を有していた。

②’資料等は、当事者以外の人間が見れないような厳重管理になっていなかったのではないか?→Yes
少年事件の資料が、他の人間が入室不可能な厳重な管理下にあるのですか?ファイルの棚は、全て施錠されていますか?どのような検事・事務官・法務省職員等であっても簡単には入室や閲覧ができない構造になっていますか?
鑑定医に提供した資料全てに番号を付与し、鑑定書作成後に回収して番号一覧と照らし合わせたりしましたか?
どれも、違うんじゃありませんか?
例えば検察官ならば、容易に見ることが可能なのではありませんか?
管理体制なんて、秘密を漏洩してよい、ということにはならない。

③’保護すべき内容かどうか?
これは一概には言えないだろう。当事者や関係者等は多いので、確かにプライバシーという問題はある。が、公益性がない、とまでは言えないだろう。現に、取材によって、その出版物が発行されているのだから。


要するに、尖閣ビデオでのロジックというのは、鑑定医の秘密漏示罪においてもほぼ似たようなものであり、これを起訴したわけであるから、海保職員を起訴しないという理由はないだろう。
そもそも、マスコミをはじめ、法曹関係者たちは「小沢事件」に関連して、「裁判で決着をつければよい」と主張していたのであるから、本件海保職員についても同様に「裁判で無罪を立証すればよい」という理屈になるであろう?
そこで無罪となるなら、「司法制度は機能しているのだな」と誰しも納得できるのであろう?
ならば、起訴して裁判でカタをつければいいではないか。
それが、何故できないのか?



尖閣ビデオでの「他の人間も見ることができた」という理屈は、あくまで職務(ないし身分)に基づいた権限ということであって、不特定多数を意味するものではない。
見たであろう人間というのは、例えば、
・海保職員
・検察職員
・国会職員
・官邸等にいる公務員
・国会議員(閣僚含む)
などであり、いずれも、それら特定の職務の人間だけである。
同時に、全員が業務上の「守秘義務」が法的に課せられた人間だけである。

鑑定医には、手続法上の「守秘義務」を規定する条文はない。刑法134条の秘密漏示罪の職務の人間というのは、特定人物とある職務の人間とのある種「契約関係」にあるものであって、平たく言えば依頼人と被依頼人という関係性があるものについて、刑法上の守秘義務が本来課せられているものである。
しかし、鑑定医というのは、容疑者等の少年との間で「契約関係」、「依頼人と被依頼人」といった関係性にはなく、ただ単に「裁判所の命令(決定?)」によって行われるものであるにも関わらず、「鑑定する立場」として法に規定されていない「守秘義務」違反で有罪とされたわけである。


尖閣ビデオは、複数の人間が見た、という事実をもって、「秘密には該当しない」と主張するのは、根本的に誤りであるように思われる。法的に守秘義務を課せられた職務上の権限を持つ人間が見る(知る)ことをもって、公知とするのは妥当ではない。


保護に値するかどうか、という点であるが、個人のプライバシーの問題というのは、確かに存在しているであろう。現に、奈良地裁や大阪高裁の判決では、少年のプライバシーとか保護者の許諾といった点について言及されていたようであるから(判決文が公開されてないので、報道からの推測です)、その点については意見の分かれるところはあるだろう。そうすると、本件「尖閣ビデオ」においても、個人のプライバシー問題という点について、考慮する必要があるだろう。海保職員の具体的な名前等がビデオ中に存在したり、個人の識別が可能な水準で職員の顔が映っていたりしたことはなかったのだろうか?

テレビ放映されていた映像部分だけ見ても、職員の顔がはっきりと映し出されていたはずである。つまり、この映像には「個人のプライバシー問題」というものが論点としてあり得る、ということになるであろう。安易に「保護に値しない」と結論付けることが果たして出来るのであろうか?
その見解について、「意見が分かれる」ということならば、基本的な部分に立ち返り、「法廷で結論を出せ」というのが本筋ではないか。警察や検察が判決を考える必要はなく、ましてやマスコミなどが「起訴すべきでない」などという人民法廷が如き意見を述べる必要性など、全くない。


数日前に書いた記事で指摘した通り、刑法258条の公用文書等毀棄罪での起訴は可能であるので、仮に国家公務員法違反を問うのが困難であったとしても、起訴そのものができなくなるわけではない。


もう一度言おう。
「法廷で決着をつけよ」

きっと大阪高裁ならば、有罪判決を書いてくれること間違いなし、ではないかと予想しますが、どうでしょうか(笑)。




まあ、悪党どもの巣窟においては、「秘密」とは、「彼らにとって、おおやけになると都合の悪いもの、彼らの権勢に影響を与えるもの」というもので、そういうのはバラすと大変な目に遭わされるが、彼らが都合よく利用して自己利益を図るためのものは秘密とは言わないんだろうね。


理由なんかないのだよ。
単純に、悪党どものルールがそうなっているから、だ。