漢方エキス剤は、他の薬になれている人にはとにかく飲みにくい。
子どもはその味で、高齢者は顆粒なので入れ歯にくっついたり飲み込むのが大変だったり。
錠剤も発売されていますが、ほんの一部です。
なので、いろいろ工夫が必要になります。
高齢者はとろみ剤をうまく使うと飲みやすくなります。
半ばあきらめていたこの話題が、久しぶりに大きく取り上げられました。
■ 漢方にゼリー剤やOD錠を!
(2017年12月25日 MedPeer News:朝日新聞)
飲みやすく、高齢者やがん患者にも
顆粒剤・細粒剤が中心の医療用漢方製剤に剤形追加を望む声が上がっています。認知症の行動・心理症状(BPSD)やがん治療の合併症に対する漢方製剤の有用性が報告されていることから、高齢者やがん患者さんにとって飲みやすい錠剤、ゼリー剤などを治療に用いたいという考えです。現行の薬事制度では西洋薬と同じ承認申請手順が必要ですが、多様な有効成分からなる漢方製剤の特性を考慮した動きも出てきました。
医師らの研究会で話題に
12月12日に開かれた「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」(髙久史麿会長)で、漢方製剤の剤形追加の必要性やその承認申請手順が話題に上りました。
薬価収載されている医療用漢方製剤148処方の2割弱では錠剤やカプセル剤も発売されていますが、多くは顆粒剤・細粒剤です。漢方製剤は近年、BPSDの治療、がん治療の合併症の軽減などに有用だとする報告が相次いでおり、実臨床でも高齢者やがん患者さん、嚥下障害のある患者さんなどへの使用が増加していると見られます。
そこで、顆粒剤や細粒剤と比べて服用しやすい錠剤やゼリー剤、口腔内崩壊錠(OD錠)などの剤形追加が望まれています。
既存剤形との同等性証明が壁
こうした剤形が製剤技術的に可能であっても、実際に世に出すには、承認申請時に既存剤形との生物学的同等性の証明が必要です。
講演した国立医薬品食品衛生研究所生薬部長の袴塚高志氏によると、現在は医療用漢方製剤についても西洋薬(化学合成薬)と同じ承認申請手順が採られています。「新有効成分」「新効能」「新投与経路」などの区分に応じて、必要なデータをそろえて申請するシステムです。剤形追加であれば、臨床試験成績は不要ですが、既存剤形との生物学的同等性を示すデータが必要です。
しかし、複数の生薬の多様な有効成分からなる漢方製剤で、「数千ある成分のすべてで(既存剤形との)生物学的同等性を証明せよと言われたらお手上げ」(袴塚氏)です。
漢方向けの承認申請GL策定へ
現在、袴塚氏らはAMED(日本医療研究開発機構)から資金を得て、漢方薬の生物学的同等性の評価法に関する臨床研究を実施しています。その結果をもとに、2018年度は医師、薬剤師、厚生労働省、PMDA(医薬品医療機器総合機構)からなる研究班を立ち上げ、医療用漢方製剤の剤形変更に関する承認申請ガイドライン(GL)の策定に着手すると明らかにしました。
袴塚氏は「多成分系である漢方製剤の特性に合わせた承認申請システムが必要になる。18年度末か19年度にGLを公表できればと考えている」と述べました。ただし、GLは承認申請のためのもので、申請後に審査を受けることに変わりはないとしました。
例えば、五苓散。
このエキス剤は、ノロウイルスによる嘔吐下痢症の特効薬と言われています。
熱心な小児科医は、エキス剤から座剤を自分で作成して使用しています。
以前、大手の漢方製薬会社に「五苓散の座剤を製造販売する予定はないのですか?」と聞いたことがあります。
「新しい製剤を作るより、現行のエキス剤を普及されることを優先しています」という返答でした。
子どもはその味で、高齢者は顆粒なので入れ歯にくっついたり飲み込むのが大変だったり。
錠剤も発売されていますが、ほんの一部です。
なので、いろいろ工夫が必要になります。
高齢者はとろみ剤をうまく使うと飲みやすくなります。
半ばあきらめていたこの話題が、久しぶりに大きく取り上げられました。
■ 漢方にゼリー剤やOD錠を!
(2017年12月25日 MedPeer News:朝日新聞)
飲みやすく、高齢者やがん患者にも
顆粒剤・細粒剤が中心の医療用漢方製剤に剤形追加を望む声が上がっています。認知症の行動・心理症状(BPSD)やがん治療の合併症に対する漢方製剤の有用性が報告されていることから、高齢者やがん患者さんにとって飲みやすい錠剤、ゼリー剤などを治療に用いたいという考えです。現行の薬事制度では西洋薬と同じ承認申請手順が必要ですが、多様な有効成分からなる漢方製剤の特性を考慮した動きも出てきました。
医師らの研究会で話題に
12月12日に開かれた「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」(髙久史麿会長)で、漢方製剤の剤形追加の必要性やその承認申請手順が話題に上りました。
薬価収載されている医療用漢方製剤148処方の2割弱では錠剤やカプセル剤も発売されていますが、多くは顆粒剤・細粒剤です。漢方製剤は近年、BPSDの治療、がん治療の合併症の軽減などに有用だとする報告が相次いでおり、実臨床でも高齢者やがん患者さん、嚥下障害のある患者さんなどへの使用が増加していると見られます。
そこで、顆粒剤や細粒剤と比べて服用しやすい錠剤やゼリー剤、口腔内崩壊錠(OD錠)などの剤形追加が望まれています。
既存剤形との同等性証明が壁
こうした剤形が製剤技術的に可能であっても、実際に世に出すには、承認申請時に既存剤形との生物学的同等性の証明が必要です。
講演した国立医薬品食品衛生研究所生薬部長の袴塚高志氏によると、現在は医療用漢方製剤についても西洋薬(化学合成薬)と同じ承認申請手順が採られています。「新有効成分」「新効能」「新投与経路」などの区分に応じて、必要なデータをそろえて申請するシステムです。剤形追加であれば、臨床試験成績は不要ですが、既存剤形との生物学的同等性を示すデータが必要です。
しかし、複数の生薬の多様な有効成分からなる漢方製剤で、「数千ある成分のすべてで(既存剤形との)生物学的同等性を証明せよと言われたらお手上げ」(袴塚氏)です。
漢方向けの承認申請GL策定へ
現在、袴塚氏らはAMED(日本医療研究開発機構)から資金を得て、漢方薬の生物学的同等性の評価法に関する臨床研究を実施しています。その結果をもとに、2018年度は医師、薬剤師、厚生労働省、PMDA(医薬品医療機器総合機構)からなる研究班を立ち上げ、医療用漢方製剤の剤形変更に関する承認申請ガイドライン(GL)の策定に着手すると明らかにしました。
袴塚氏は「多成分系である漢方製剤の特性に合わせた承認申請システムが必要になる。18年度末か19年度にGLを公表できればと考えている」と述べました。ただし、GLは承認申請のためのもので、申請後に審査を受けることに変わりはないとしました。
例えば、五苓散。
このエキス剤は、ノロウイルスによる嘔吐下痢症の特効薬と言われています。
熱心な小児科医は、エキス剤から座剤を自分で作成して使用しています。
以前、大手の漢方製薬会社に「五苓散の座剤を製造販売する予定はないのですか?」と聞いたことがあります。
「新しい製剤を作るより、現行のエキス剤を普及されることを優先しています」という返答でした。