終戦の日、小学生3年生の私は兄に引率されて父の故郷越後の山奥の村・某村に逃げていきました。終戦時、父親が横須賀通信隊の司令だった関係上、家族も殺される危険があるとの情報で逃げたようです。少年の私は、越後の某村では戦犯の子供だということで相手にされなかったようですが、そんな大人の感情や、何故大人やその家族が私の事を避けるのか、事情が分からず、日々山奥の森や林を一人で歩き回っていました。のどが渇き、ふと出会う美しい泉に感動していました。以来、青年になり欧米の大学研究室に住んでも、イギリスの森の美しい泉を見ると人間の美しい感情の流れと同じだなあ、と思うようになりました。今日から5回にわたり人間の豊かな感情の泉について思索していきます。
今から5500年前のギルガメッシュ叙事詩の時代にも官僚の汚職事件が明記されていますし、防衛省のTの汚職事件を含め、いつの時代でも、人々を哀しめる歴史的事件が起きてきます。善人と悪人の定義は難しいのですが、私たち一人ひとりがそれぞれ胸の奥深くで考えている善人と悪人のイメージが歴史を左右します。深層心理の善と悪の違いは、或人が善と考えたものが善、悪と考えたものが悪、愛と感じたものが愛なのです。<A>さんが<好きな人・B>さんに<愛しています>と叫んでも、BさんがAさんの愛を感じなければ、うっとおしいだけの話です。哲学的な解釈は大事ですが、人類全てが哲学をしているわけではありません。65億の人類一人ひとりが感じている<善と悪>がこの世界を支配しています。時々立ち止まり自分の善と悪を再考したいものです。
「真善美」と「DNA」の関係を思索してみたいと思います。<5万年前>と言う本が世界で愛読されています。アフリカで誕生した人類が、どう地球に広がり、世界各地で独特の人種となり、独特の文化を創造し、今日まで生きてきたかを非常に面白く書いています。生き残るには雄大な夢と神話を持つ人種が成功していますが、真善美に近い神話を作り上げた人種とその文明が現代に繫がっているようです。同じ人生の夢に生きる場合でもこの<真善美>とは何かを思索しつつ自分独自の人生を生き抜いていきたいものです。真善美とは何かを思索する場合、自分の真善美を探求し、自分に相応しい真善美を探し出し、それが独善的かどうか、を検証するのは、生涯の課題です。一日で結論はでませんが、それを探求する喜びを生き甲斐、と定義しています。
「自分が死んだら、どうなるのか、あの世はあるのか、ないのか?」。現代社会ではこの課題はあまり口にされなくなりましたが、個人レベルでは相変わらず大きなテーマです。特に老人ホームで質問されます<わしが死んだら魂はどうなるんじゃ?>。誠実に答えても多分誰も素直に聞かないでしょう。私は比較宗教学の話をします、特に、<信じて見えてくるもの、信じて見えなくなるもの>の話をします。両親は本当に自分の親だろうか?と疑問を持っても、DNA検査をするわけにもいきません。信じて初めて親の愛が見えてきます。神の存在を証明する、思索する、探求する時間は生涯かかるかもしれません。不可知論に近いものです。それよりも<信じて見えてくる世界>を楽しみながら研究、思索すると<神の存在問題>がもう、どうでもいいと、思うようになります。いつも傍で暖かく見守って下さる神仏を肌で感じるようになると、存在論は無用となります。
どの時代にも子羊のように素直過ぎる心優しい人々が生きています。両親、先生、指導者の言う教えをそのまま素直に受け入れた為に、あたかも操られたかのように、自由意志がないかのように生きていきます。恐ろしいことです。子供時代、中高生くらいは素直なことが良い場合もありますが、指導者を冷静に批判する力が無いと大きな悲劇が誕生してしまいます。正常な人々は実際に神仏の声、天の声は聞こえません。聞こえたらまず精神病院に行く必要があります。経典、聖書、宗教指導者の言葉を誤って解釈するとテロリスト、虐殺、サリン事件等を平気で断行してしまいます。愛と許し、和解と平和、無償の愛以外の神仏の声、天の声には注意しましょう。
何ともない秘密なら心身の健康を左右しませんが、人生を辛くしたり、自殺願望の原因だったり、身体症状にまで出る秘密を保持する事は不幸の始まりです。殺人等は法の裁きを堂々と受ける決意と共に解消しますが、法に触れないけれども生涯苦しむ秘密の場合はどうしたらいいのでしょうか?心理療法の場面で時々遭遇する問題です。何故苦しむか?その人の<理想と現実のギャップ>が原因ですが、何が理想(こうあるべき、こうありたい)か、体験の解釈はどうなつているのかを心理療法ではきちんと分析していきます。90パーセントは解決します。しかし残りの10パーセントは神仏の前で偽善的にではなく正直に許しを乞いながら、自分の心を明かしつつ許しを祈る手法が最適です。神様は<真剣に許しを祈れば>必ず無償の愛で返答してくれます。