ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

[韓国語] ~것 같아요(~みたい)というアイマイ表現が韓国でも増えてるみたい

2016-09-15 14:47:17 | 韓国語あれこれ
 図書館で9月13日の「朝鮮日報」をパラパラと眺めていたら、A29面の一番下に「~같아요」という言葉、慢性病になっているのでは?」と題した投稿記事があるのが目に入りました。

 「~같아요(カッタヨ)」とは「~みたいです」「~のようです」といった意味の文末表現です。またGoogle翻訳等では「~と思います」と訳出されたりもしています。

 ※記事本文(原文)は下の画像または→コチラ参照。

 記事の内容は、およそ次のようなものです。

○最近TVなどで男女を問わず「~같아요」という語尾表現が多く、耳に障る。
○たとえば、風景を見て「멋진 것 같아요」(ステキみたい)「아름다운 것 같아요」(美しいみたい)と言ったり、感想や意見を訊くと「좋은 것 같아요」(良いみたい)「행복한 것 같아요」(幸せみたい)「슬픈 것 같아요」(悲しいみたい)と言ったりしている。はなはだしくは「아픈 것 같아요」(痛いみたい)と言う場合もある。食べ物の味についても「맛있는 것 같아요」(美味しいみたい)「매운 것 같아요」(辛いみたい)と言うのをよく聞く。
○なぜ自分が直接経験したことまで他人の話のように言ってしまうのか? 「풍경이 멋집니다」(風景がステキです)「아름답습니다」(美しいです)「행복합니다」(幸せです)「맛이 좋습니다」(美味しいです)、このように断定的になぜ言えないのだろうか?
○いつからか、青少年と若年層でこのような曖昧な表現が増え始め、以後減少するどころか、社会全体に拡大していく感じだ。私たちのほとんどが何か確信できず、自信が欠如したまま生きているためではないか。このように何気なく話す言葉が普遍化され、社会を無気力にしてはいないだろうか。もっと積極的な言葉を使って、活気に満ち堂々とした大韓民国を作ろう。


 ・・・いやあ、私ヌルボもたしかにちょっと気にはなってたこの表現。「朝鮮日報」がこの投稿を掲載したということは、やっぱり同様の認識があるということですねー。よく聞くからそれがフツーなんだろうなと思って自分でも意識的に使うようになってたみたいな・・・。(笑)
 今「것 같아요 韓国語」でググる(→結果)と、多くの韓国語関係サイトでもごく当たり前のようにこの「~것 같아요」の表現を紹介・説明しています。

 で、私ヌルボがこの記事を読んで「もしかして・・・」と思ったのは「韓国でも日本の後を追ってこうしたアイマイ・婉曲表現が増えてきているのかな?」ということ。
 日本で、やはり若者を中心として「~かな」「~みたいな」「~感じ」「~とか」「~かも」等のように文末をアイマイにぼかす表現が目立つようになってメディア等でも取り上げられたのはいつ頃だったのかな? その時にもやはり「なんではっきり言わないんだ!?」と批判する人もいましたね・・・。

 個人的にはヌルボ、本ブログの書き方にも如実に表われていますが、「~と思います(思われます)」「~ではないでしょうか?」等々のボンヤリとした表現を多用していて、断定形を用いることはまれです。それは断定できます。(笑)
 何十年も前のことですが、あるベテランの先生が「私は内心では疑問に思っていることや個人的な考えであっても、授業では「○○は△△だ」と断定的な言い方をします」と言ったことを今も覚えています。そちらの方が生徒としては明確に理解できるからとのことでした。
 ところがヌルボとしては「「坊つちやん」の作者は夏目漱石です」のような事実を述べる場合は別として「○○は△△だと思いますという言い方を意識的にしてきました。「自分はそう思うが、人によってはそう思わないだろう。では君はどう思う?」という意図を込めた表現として。

 こうしたアイマイ表現・ぼかし表現が増えた背景としては、多様な価値観を認めるという風潮があるのかもしれません。心理的には、我を通さず他者を尊重し、対立を回避する<やさしさ>の表われという面とともに、<責任逃れ>といった否定的側面もありそう思われます。(←この表現がまさにソレ。)

 こんな<時代的気分>が逆行することは考えられず、この投稿についての賛否は別として、「~같아요」という表現は今後も増えることはあっても減ることはまずないでしょう。

 ※本ブログで何度か書いた<日本と韓国の24年という年差>という持論に、この事例も含まれるかどうか?

 
※見出し中の고질병は漢字では痼疾病持病・慢性病といった意味。

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映画「つむぐもの」 ヨナのセリフ、字幕は「クソじじい」ですが、モトの韓国語は何と言っていた?

2016-06-27 13:43:54 | 韓国語あれこれ

 先日「つむぐもの」という映画を観てきました。糸を紡ぐ話かと思ったらそうではなく、和紙で有名な越前市の年老いた和紙職人の剛生(石倉三郎)と、勤め先をクビになった後ちょっとした縁で韓国の扶余からワーキングホリデーで越前にやってきた女性ヨナ(キム・コッピ)が主人公。

 キム・コッピといえば、あの名作「息もできない」(2008)で女高生を演じてましたが、いつしか30代に突入。しかし今回も実年齢より若い役柄を自然に演じてます。冒頭は百済の古都扶余(プヨ)。ヨナがクビになったという勤め先はにも建物に「정림사지박물」という文字が。セリフ中にはなく当然字幕ありませんでしたが「定林寺址博物館」(→説明)ですね。職場としてなかなか良さそうなところなのに・・・って、(たぶん)そこさえクビになっちゃったダメ女だからってことで物語が始まるんですけどね。
 で、ワーキングホリデーで日本に行くことを決めると母親が「なんでまた왜놈の国に!?」なんぞと言ったりしてます。字幕では왜놈(ウェノム)「敵国」と訳してました。直訳だと「倭奴」なんですが、まあ訳し方のむずかしいところ。しかし、かの国ではふだんの会話の中でこういうふうにわりと自然に使われる言葉なんでしょうね。日本での韓国・朝鮮人に対する蔑称はどれくらいふつうに使われているのか、私ヌルボはよくわかりません。そんなに多くはないような気はするのですが・・・。

 さて福井県にやってきたヨナですが、和紙作りの手伝いの仕事をするつもりで来たはずだったのに直前に剛生(たけお)が脳腫瘍で倒れ、身体がきかなくなってしまったため思ってもみなかった介護をするはめに・・・。全然介護の経験も知識もない上に、剛生がまた相当にヘンクツな老人で扱いにくいことこの上なし。また何よりもおたがい言葉が通じないという大障壁が立ちはだかっています。
 そんなわけで、元来気の強いヨナが韓国語で悪態をつきたくなる気持ちもよ~くわかります。

 ・・・と、ここからがやっとこの記事の核心部分。(やれやれ。)
 で、上述のヨナの悪態で何度か出てきた言葉が「このクソじじい!」

 ここで韓国語学習者の皆さんに問題です「クソじじい」に該当する元の韓国語は?

 私ヌルボは今まで知らなかった単語ですが、何とか聴き取ったところによると「영감쟁이(ヨンガムジェンイ)」です。

 辞書にも載っている言葉で、<NAVER辞典>には「[俗語] 老いぼれ。‘늙은이(=老人)’の蔑称」と説明されています。その他「朝鮮語辞典」(小学館)等にも「老いぼれ」という訳語が載っていますが、ヌルボ思うに「老いぼれ」よりも「クソじじい」の方が多少なりとも愛情が感じられる(?)ので、たしかにコチラの方がこの場面の訳語としては適切ですね。

 さて、この「영감쟁이」「영감」「쟁이」に分けてみてみると・・・。

 「쟁이」については、過去記事<韓国の消えゆく職業 「~クン」と「~ジャンイ」>(→コチラ)の中で少し書きましたが「겁쟁이(臆病者)」「거짓말쟁이(嘘つき)」のように、「○○쟁이」という言葉には侮蔑の意の籠められていることが多いようですね。炭焼きのことを「숯장이(スッチャンイ)」と言いますが、これを「숯쟁이(スッチェンイ)」と言うと差別語になるということです。また「멋쟁이」という言葉は辞書には「おしゃれな人・しゃれ者・めかし屋・だて者・ダンディー」といった訳語が載っていますが、これも若干ケイベツ的なニュアンスが含まれているのでしょうか?(よくわからず。)

 「영감(ヨンガム)」は漢字だと「令監」。韓国の小説等ではよく見る言葉です。「朝鮮語辞典」には次の訳が載っています。
 1. 老夫婦の妻が夫を呼ぶ尊敬語。
 2. (他人の)老年の男性に対する尊敬語。
 3. [歴史用語]正三品と従二品の官吏の呼び名。
 4. 高級官僚や家柄のよい人の尊敬語。


 用例をなんとなく見ていると、バルザックの「ゴリオ爺さん」「고리오 영감」なんですねー。「ゴリオ ハラボジ」ではなく、いろんな意味合いを含んだコチラの方が作品の内容に合っているということなのでしょう、たぶん。そういえば、「ゴリオ爺さん」の原題(フランス語)は「Le Père Goriot」。ということは「爺さん」じゃなくて「父さん」。これも「Père」には(日本語の父さんよりも)いろんなニュアンスが込められている、ということなのかな?

 はてさて、映画「つむぐもの」に戻って。上述のようにほとんど無理のようにみえた剛生とヨナのコミュニケーションが徐々に深まっていくのです。以下ネタバレは避けますが、言葉も大事ですが、それよりももっと大切なものがたしかにあるということですね、うん。(とひとりナットク。)
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[映画で仕入れた韓国語の俗語・新語・方言] <族譜>の別の意味、<クラ(嘘)>の語源など

2016-03-21 19:43:04 | 韓国語あれこれ
 「映画で仕入れた」といっても、セリフだけでなくもタイトルや関係サイトのカキコミ等々出処はいろいろです。

①족보
 数日前観たイ・ビョンホンチョ・スンウ主演の「インサイダーズ/内部者たち」、韓国ではディレクターズカット版を含めると観客動員約900万人という大ヒット作で、たしかにおもしろかったです。が、日本での認知度はイマイチ(以下?)のようですが・・・。
 物語は未来自動車(!)会長、有力大統領候補の議員、祖国日報(←朝鮮日報のような)論説主幹という財界・政界・言論界の黒いトライアングルに対して熱血検事ウ・ジャンフン(チョ・スンウ)が果敢に挑むというものです。そのジャンフンに対して上司の部長検事がよく口にする言葉が「족보 없는 놈」、すなわち「族譜のないヤツ」です。
 韓国・朝鮮では、族譜(족보.チョッポ)とよばれる昔からの一族の家系譜が重要視されていることは日本でもかなり知られていると思います。梶山季之の小説を原作とした林権澤(イム・グォンテク)監督の映画「族譜」も往年の韓国映画ファンにはおなじみの作品でしょう。
 しかし、ここでいう「族譜のないヤツ」という場合の族譜は系図ではなく、個人の経歴のこと。具体的には(有名大の)学歴及び学校の先後輩といったコネ、家柄や親戚姻戚関係のコネ、それらを含めた<빽>(バック)=後ろ楯といったものです。まあ業種にもよるのでしょうが、これがないと仕事の成功も昇進も望めないということで、検事の世界もがんばって司法試験にパスした元警察官のジャンフンも能力はあっても地方大出身ということで出世の見込みはない、ということなのだそうです。
 映画で私ヌルボの耳に入ったこの言葉は、たとえば→コチラの'내부자들' 조승우, "극 중 무족보 검사, 족보 없는 사투리 쓴다"(「内部者たち」 チョ・スンウ、「劇中の無族譜検事、族譜のない方言を使う」)といった記事の見出しにも多く使われていることを後で知りました。
 ことのついでに、この족보という言葉が家系図の意味以外で使われる別の例を探してみました。

 [A]過去問集のこと。学校関係だけでなく、就職や昇進試験にも用いられます。
  用例:대부분의 시험이 그렇듯 승진시험에도 '족보'는 필수다.
     大部分の試験がそうであるように、昇進試験にも<族譜>は必須だ。

 そういえば、高校部活の部室で定期テストの過去問がきちんと保存管理され、役立てられていた事例があったなー。

 [B]学校・企業・スポーツチーム等、特定の集団の歴史を指す言葉。
 たとえば、ソウル大学校の族譜をたどると京城帝国大学に・・・といったように。
 先日「公的資金完済、りそなの足跡」という長く興味深い記事が「毎日新聞」に載っていましたが、この銀行も含めこの数十年の日本の銀行の族譜もずいぶん複雑になってますね。

 [C]개족보(犬族譜)といえば犬の血統書のこと。
 しかし、この言葉は他に従兄妹同士のような近親間の結婚のことを軽蔑的に言う場合にも用いられるそうです。※韓国では8親等以内は結婚できない。(以前は同族同本間は結婚できなかったが2000年に緩和された。) したがって、従兄妹同士で結婚したければ法的に認められている外国で結婚するのだそうな・・・。

②히야
 この「히야(ヒヤ)」は今韓国で上映中の映画のタイトルです。
 問題児として育ち、殺人容疑等で刑事に追い回される兄チンサン(アン・ボヒョン)と、歌手をめざしながらも兄ゆえ(?)か毎回オーディションに落とされている高校生の弟ジノ(ホヤ)。複雑な思いが交錯する兄弟の葛藤と和解の物語のようです。
 ところが、この「히야」という言葉はふつうの辞書には載っていません。
 こんな時に頼りになるのは→<NAVER語学辞典>。さっそく引いてみると、新語関係の<지식iN 오픈국어>の項目にあります。
 히야(시야)は、標準語だと형아(兄貴よ)という呼称の慶尚道方言。
 히야~ 같아가자!(兄貴、一緒に行こう!)というように弟が兄を呼ぶ時に使う言葉とのことです。

③구라
 今年に入って<慰安婦映画>「鬼郷(귀향)」が話題ですが、観客動員300万人を突破しただけでなく<DAUM映画>のネチズンの評点(→コチラ)も現在数1165)人の平均が9.7と非常な高得点になっています。ところが、その中にあって1.0点という低得点をつけた上、次のような寸評を書いている人を発見!
 내용은 구라인거 아시죠? 일본 군경이 처녀들 끌고가고 저런건 없었구요.(中略)전쟁시기 일부 여자들이 속아서 간걸 침소봉대하지 말구요.
 内容はクラということ知ってるでしょ? 日本軍警が娘たちを引っ張っていってとかそんなことはなかったですよ。(中略)戦時中一部の女性がだまされて行ったのを針小棒大に言いなさんな。
 ・・・等々書き連ねていまが、これに対して目下のところ12人が非難のカキコミを寄せているのもまあ当然の成り行きか・・・。
 で、問題は「구라(クラ)」という言葉の意味。「嘘」の俗語ですが、一般的に使われる거짓말(コジンマル)に比べると「大げさに言う」「声高に言う」といったニュアンスが含まれていて、「ハッタリ」とか「でたらめ」と訳した方がよさそうな感じで、ちょっと品格に欠ける言葉のようです。
 日本語サイトでも、<Kpedia>の거짓말の項目(→コチラ)に、「若者たちは俗語の뻥(ポン)구라(クラ)と言う時が多い」と書かれ、「구라치지마.(嘘つくな)」という例文があげられています。
 次にこの「구라」という言葉の語源ですが、韓国でも国立国語院に質問した方がいました。(→コチラ。) その回答はというと、「隠す、だますの意味の日本語<晦(くら)ます>に由るという見方が一般的。しかし正確な根拠資料はなく真偽を明らかにするには難しいようです」というもの。
 むしろ詳しく書かれているのはやはり<ナムウィキ>。「구라」の項目(→コチラ)にいろいろ書かれています。これにも「晦ます」説を有力な説としてあげています。韓国の賭博場などでイカサマ師(타짜.タチャ)たちがインチキを使って勝負を操作をするという意味の隠語だったのが、拡張されて嘘・詐欺という意味になったもの、という説明がついています。
 またこれとは別に、野球のフライ(후라이)が구라に変わったという説も紹介しています。※후라이は日本風発音で、現在では플라이(プライ)になっています。
 1950~70年代に活躍したコメディアンのクァク・ギュソク(곽규석)はニツクネームがフライボーイ(후라이 보이)だったそうですが、そのわけは彼の広めた流行語が「후라이 치지 마(フライ打つな)」だったから。その意味は「大げさなことを言うな」です。それがその後嘘全般を指す言葉になり、さらにはハッタリといった意味もつけ加えられたとか・・・。
 ・・・等々と詳述されていますが、やはり結論は不明。やっぱり博打打ち関係の言葉だったような感じかな?
 オマケで「신라 와는 관계 없다.(新羅とは関係なし)」と記されているのは<ナムウィキ>らしいジョーク。(구라を見て旧羅という漢字語を思い浮かべる人はまずいないでしょうが・・・。(笑))
 なお、→コチラの<Kstyle>の記事によると韓国の大学生がよく使う日本語(??)の1位がこの「구라」なんですと!? 7割近くが使っている言葉なのだそうです。うーむ・・・。

④여주、남주
 これらの語もネチズンによる映画のレビューから。最近たまに目にするようになりました。「花、香る歌」(原題: 桃李花歌)から例文を1つ。
 수지가 빛났지 아직 여주로 영화하기엔 많이 부족함
 スジが輝いていたがヨジュとして映画に出るにはまだまだ不足
 初見でも前後の脈絡から意味はすぐわかります。漢字だと「여주」「女主」「남주」「男主」。つまり女性主人公(or主演女優)と男性主人公(or主演男優)のことです。

 何か他にもいろいろあったような気がしますが、とりあえず今回はここまで。
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[韓国語] <安家>で秘密パーティー? 安さんの家、じゃなくて・・・。その歴史をたどる

2016-01-17 22:50:27 | 韓国語あれこれ
 12日(火)の記事のコメントでno_tenkiさんが教えて下さった「内部者たち」に関する<メディア・オヌル>の1月12日の記事(→コチラ)はなかなか興味深く、関連記事もいくつか読んでみました。
 「内部者たち」は、人気TVドラマ「未生」や映画「黒く濁る村」の原作者でもある漫画家ユン・テホ原作の映画で、韓国で昨年11月19日に公開されてから現在まで観客動員数700万人を超える(「内部者たち ジ・オリジナル」(ディレクターズ・カット版)と合わせると900万人近く)ヒット作になっています。内容は、大統領候補の政治家、未来(!)自動車会長、有力紙・祖国日報の論説主幹という政界・財界・巨大メディアの黒い三角同盟を相手にヤクザとコネもなく将来の展望のない検事が闘う物語です。

 上記の記事と関連していくつかの記事を探して読んだ中で、同じく<メディア・オヌル>の「「内部者たち」が「ベテラン」より優っている」と題した記事(→コチラ)があります。
 で、その記事の中で目にとまった言葉がありました。(ここから本論。)

  미래자동차 오회장, 집권여당의 유력대선후보 장필우, 조국일보 논설주간 이강희 등이 모여 섹스파티를 벌이는 장면은 자연스럽게 박정희의 안가 파티를 연상케 했다.
  未来自動車オ会長、与党の有力大統領候補チャン・ピルウ、祖国日報論説主幹イ・ガンヒなどが集まってセックスパーティーを繰り広げる場面は、おのずと朴正煕のアンガパーティーを連想させた。

 一読して意味がわからなかったのが안가(アンガ)>です。思いつく漢字は<安家>ですが、安さんの家にしても安さんの一家にしても意味不明。電子辞書の朝鮮語辞典(小学館)にもプライム韓日辞典にもなし。

 しかし、ネット上の<標準国語大辞典>には5つ挙げられている意味の最初に次のように記されていました。(※左のブックマーク欄の<NAVER辞典>にも全く同じ説明があります。)

  특수 정보 기관 따위가 비밀 유지를 위하여 이용하는 일반 집.
  特殊情報機関などが秘密維持のため利用する一般家屋


 続いて韓国サイトをいろいろ探してみたところ、옥(屋)>の略語ということのようです。したがって、安家という漢字は(偶然)正解。

 こうした安家の代表例があの197910月26日年朴正煕大統領が金載圭中央情報部(KCIA)部長に射殺されたソウル市鍾路区宮井洞(クンジョンドン)の安家。(下画像)
    

 右の写真、よく見ると右奥に倒れている人がいますよ。

 この宮井洞の安家は1980年取り壊され、現在は<ムクゲの丘(무궁화동산)>という名前の市民休息公園になっています。場所は景福宮の北西の角あたり。(これについては→コチラの記事(日本語)参照。)

 以下、「韓国日報」の記事(→コチラ)と「ハンギョレ」の記事(→コチラ)等を参考に、安家の歴史と現在についてごく簡単にメモしておきます。

安家は1960年代末に初めて設けられた。当時の中央情報部が大統領の私的執務及び休憩空間の必要性を朴正煕大統領に提案して推進したという。その場所は主として青瓦台近くの宮井洞、三清洞、清雲洞などに散在していた。秘密会議、不法資金授受等々、軍事政権の時代、安家は独裁の産物であり密室政治の象徴だった

・1993年3月金泳三大統領の就任直後取り払われたものだけでも12棟に達する。

 ※「안가」という言葉が一般に知られるようになったのはこの頃からかな? 私ヌルボの推定では、本来はKCIA等直接関わっている者たちの間の符牒のような感じがします。それが民主化の時代を迎えてメディアで報じられ一般に知られるようになってきたのでは? 「エッセンス韓日辞典」(民衆書林)の場合は90年代の版にはなく、2005年頃の版にはありました。

・民主化は安家の運用に変化を及ぼした。警護上一般は引き続き遮断されたが、安家は大統領の半公開的な休息空間となり、あるいは家族や知人との食事や運動の場となったりもしている。

・政府の諸部署も民間家屋風の安家を管理している。検察は過去秘密捜査のため安家を持っていたが、今は麻薬等重大犯罪の犯行を自首した者や被害者保護のため10余ヵ所の安家を管理している。国家情報院等は脱北者の身辺保護のため国内外に安家を保有したことが知られている。警察には依然として防共情報関係を扱う安家があるが、軍事政権当時のような強圧捜査とは過去の物語となっている。


・1997年北朝鮮から亡命した元北朝鮮労働党秘書・黄長燁(1923~2010)が起居していた安家は江南区論硯洞72-10にあった。(右画像)
 亡命直後から死亡時まで13年間生活していたこの国情院(国家情報院)が管理する安家は、地上2階、地下1階の建物で敷地面積が463.4㎡にもなる時価30億ウォンの大邸宅で、「中央日報(日本語版)」(→コチラ)等によれば、「塀の向こう側に数本の木が見える2階建ての白い家」で「一般の家と変わらない」ものの、しかし各種セキュリティー装備が設置されていた。塀の上の防犯柵、約20台の防犯カメラ、赤外線探知機らがあり、門の周辺には防犯カメラが4台、屋上には360度回転しながら全方向を監視できる防犯カメラが追加で設置されている。また外部に出た2階のベランダには防弾ガラス10余枚が設置されていて中は見えない、等々。その上、警察が厳重に警護していた。ところが、近所の住民は「一般住宅を改造して使用している事務室だと思っていた」、「セキュリティーが重要な会社が賃貸していると思った」等々、誰も黄元秘書が住んでいることを知らなかった。黄元秘書の死後、2011年から管理部署が国家情報院から統一部に移り、<論硯洞会議室>の名で会議室として使用されているとのこと。

・2014年のセウォル号沈没の日(4月16日)の朴槿恵大統領の行跡については、「産経新聞」の(例の)記事でも取り上げられたように<謎の7時間>がある。この件についての<メディア・オヌル>の記事(→コチラ)は、「金泳三・金大中・盧武鉉政権を経て廃止されたとされる安家がまだ存在しているのではないかという推論も提起されている」と記している。また青瓦台(大統領府)は朴大統領の事故当日の行跡に関する答弁書で「青瓦台は・・・重要な国家安全保障の施設であり、大統領は行政府の首班であり、国家元首であるため、警護必要上歴代のどの政府も大統領の位置と動線はいつも誰に対しても秘密にし、公開してこなかった」と明らかにした。


 つまり、朴槿恵大統領の安家の存在の有無はわからないということか? (まあ、わかったら「安全家屋」ではなくなっちゃいますからねー・・・。)
 ところで、日本には安家のようなものはないのかな? 新聞各紙には「首相日々」(←「毎日新聞」)のような記事に首相の行先等が具体的に書かれているので、秘密の場所で秘密の相手と密談して・・・ということは不可能、とみていいのでしょうか? 今度事情通の人に訊いてみるかな?
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[韓国語] 「パンマル便利帳」を見てみると・・・

2016-01-09 08:29:28 | 韓国語あれこれ

 初期の韓国語テキストは例外なくといっていいほどハムニダ(합니다 )体でした。その後ヘヨ(해요)体に重点をおいたテキストが出てきた時はちょっと新鮮な印象を受けたものです。

 そして最近、上の画像のようなパンマル(ぞんざい語)の本も登場しました。「最近」といっても奥付を見ると2014年5月発行ですが・・・。
 なにはさておき、中を見てみましょう。
      

 こうした軽いあいづち等は会話ではよく使うのに、ふつうのテキストにはあまり載っていませんね。最近は増えてきているのかな? 野間秀樹「Viva!中級韓国語」にあったなー。

      

 <不満・悪口・けんか>に計6ページも充てているところはいかにも韓国語らしいところ(笑)。
 ※悪口だけではないですが、四方田犬彦・金光英実「ためぐち韓国語」(平凡社新書)辛淑玉「愛と憎しみの韓国語」(文春新書)にいろいろ載ってますね。
 しかし「気は確か?(제정신이야?)」とか「バカじゃないの?(너 바보니?)」なんてまず実際に使うことがあるとは思えません(笑)。私ヌルボ、ずいぶん前に何かの本で「길을 걸어가는 멍멍이도 그 정도는 알 거야.(道を歩いているワン公でもそのくらいは知ってるぞ)」という表現を知っていつか使ってやろうと思いましたが、10年以上(?)そんな機会はなく今に至っています。
 ・・・ではありますが、悪口等も含めてパンマルはドラマや映画ではフツーですから、知っているとゼッタイ便利でしょう。
 
 この「韓国語パンマル便利帳」の構成について。
 第1章「初めまして」、第2章「仲良くなる」以下、→「一緒に出かける」→「連絡をとる」→「トラブル」→「恋愛」といった章立てになっています。仕事関係が全然ないじゃないの!? 「○○課長、ホントにうざいんだよねー」とか、「今度入ったヤツ、ナマイキだな」とか・・・。あ、悪口モードになってる(笑)。
 しかし、一応初対面→親しくなって・・・→恋愛&結婚!といった時系列に沿って進んでいくようになっています。
 私ヌルボがオモシロイと思ったのは最後の「恋愛」の章の小項目の順序(→右画像。) 「ヤキモチをやく」→「疑惑」→「浮気」→「別れる」とアリャリャ!の展開でこの先どうなるのかと思ったら→「仲直り」→「プロポーズ」と進んであっさりハッピーエンド。 著者が女性(鄭惠賢さん)だから女性の立場からの内容になっている?
 男性のセリフでも「君のことで頭がいっぱいだ。(머릿속에 온통 너뿐이야.)」とか「僕の気持ちを受け取ってくれる?(내 마음을 받아 줄래?)」等が載っていますが、私ヌルボ、これらは死ぬまで口にすることはないと断言できます!
 「この酒なかなかいけるねー」とか「最近体がいうことをきかなくなってダメだよ」という言葉を集めたオジサン用パンマル本なんて出ませんかねー。・・・出ないだろうな(笑)。
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[韓国語] 男同士で「オンニ」とは! 女性なのに「ヒョンニム」と呼ぶ場合もある

2015-12-21 13:57:45 | 韓国語あれこれ
 尹東柱(ユン・ドンジュ)の伝記・安素玲「詩人/東柱」に、1940年晩秋、延禧専門学校(現・延世大学校)3年在学中の尹東柱が京城・長谷川町(現・小公洞)の府立図書館で本を借りた後、友人2人と付近の茶房で話をしていたところ、いきなり入ってきた特高刑事たちに検挙されて西大門警察署に連行されるという場面があります。同年<国民総力朝鮮連盟>の結成とともに各大学の自治会は解散され、学生たちが自動的に新組織の連盟員とされましたが、これに対する学生たちの抗議の声を抑えるべく弾圧を強めていた特高の網に引っかかったのです。捕まった東柱たちは起訴までは行かなかったものの、<不穏書籍>を所持していたことを理由に2週間ほど拘留されてしまいます。
 ※この「詩人/東柱」は史実に則った小説ですが、作者が参考としたと思われる詳細な評伝・宋友恵「尹東柱評伝」(藤原書店)にはこのエピソードは載っていないので、創作なのか史実としての裏付けがあるのかは不明です

 で、東柱が拘留から解放されて外に出ると、心配していた寮の友人たちが駆け寄ります。
 ところがその時、特に親しくしていた1年生の鄭炳昱(チョン・ビョンウク)が発した言葉が・・・。
  “언니!”(オンニ)

 ・・・なんだ、これは? 男が男に対してオンニとは!
 韓国語初級のテキストには基本事項のように「オンニ=妹が姉を呼ぶ言葉」と出てるではないですか。
 続けて読むと、すぐ後に次のように書かれています。

 炳昱は、故郷の家で言うように東柱をオンニと心をこめて呼んだ。

 炳昱の故郷は慶尚南道の河東。ということは慶尚道の方言?
 一応電子辞書を引いてみると、「プライム韓日辞典」には、
  妹が姉に対して、また弟が兄に対しての心安い呼び方
 「朝鮮語辞典」には、
  ①妹が姉を呼ぶ語、また女性が自分よりやや年上の女性を親しく呼ぶ語:お姉さん、姉さん。
  ②<幼>弟が兄を呼ぶ語:兄さん。

とあります。なんだ、わりと普通の使い方みたいです。

 <ナムウィキ>の「언니」の項目(→コチラ)でも、
 元来は同じ性別の年上の兄弟/姉妹を示す言葉である。つまり男子の間でも使える。
とあり「この語はドラマ「推奴(チュノ)」や洪命憙(ホン・ミョンヒ)の小説「林巨正(イム・コクチョン)」、黄皙暎(ファン・ソギョン)の小説「張吉山(チャン・ギルサン)」でも使用されている」といった例が紹介されていました。
 推奴(チュノ)」は観てませんが、→コチラのブログ記事によるとテギル(チャン・ヒョク)のことを弟分が「オンニー、オンニー」とよぶのだそうです。
 また「卒業式の歌(졸업식 노래)」という歌の冒頭の「빛나는 졸업장을 타신 언니께 꽃다발을 한아름 선사합니다(輝く卒業証書を授与されたオンニに花束を一抱えお贈り致します)」という歌詞中の<언니>がまさにその意味で、女学校ではなくても、性別に関係なく<언니'>と歌っているということも書かれています。
 この歌はYouTubeにあったので貼っておきます。力強い男性歌手の歌です。

 この「卒業式の歌」については→コチラのブログ記事(韓国語)で説明されています。韓国の<童謡の父>尹石重(ユン・ソクチュン)が作詞し、童謡作曲家の先駆者・鄭淳哲(チョン・スンチョル)が作曲した歌とのことです。(※鄭淳哲の母は東学2代目教主・崔時亨の娘。) この記事でも、「歌詞中に1つ釈然としない点があるが・・・」としてこの「オンニ」について説明しています。国立国語院の「標準国語大辞典」を引き合いにして同性同士、つまり男性間でもOKとし、続けて次のように記しています。

 お年寄りの言葉を聞くと、近年まで<オンニ>は年上の兄弟を指す日常的な言葉で広く用いられてきたそうです。特に慶尚道地方では最近までよく使ったのです。むしろ昔は<ヒョン>という言葉はなかったそうです。朝鮮戦争以降もお年寄りが子供の頃は皆<オンニ>で通じたのです。<オンニ>は固有語で<ヒョン>は漢字語ですからね。どう見ても漢字語の<ヒョン>より<オンニ>がより情がこもって親しみ深く感じられます。最近でも男性が兄に<オンニ>と言うとしても間違いではないです。

 この記事にしろ<ナムウィキ>にしろ、また冒頭に紹介した「詩人/東柱」にしろ、男が男に対して「オンニ」と呼ぶ例についていろいろ説明を加えているのは、やはり今のふつうの韓国人の多くは「あれっ?」と疑問に思うからでしょうね。もちろん普通だったら「형님(ヒョンニム)」ですからね。あ、鄭炳昱は慶尚道出身だから「행님(ヘンニム)」か。しかし、そう言うと釜山を舞台にしたヤクザ映画で刑期を終えて出所する兄貴分を豆腐を用意して待ち受ける弟分といった感じになってしまいそう?(笑)

 この「형님(ヒョンニム)」という言葉も、初級のテキストでは上記「オンニ」と同様に基本事項として「弟が兄を呼ぶ言葉」として出てきます。
 ところが、これまた女性が女性に対して用いる場合もあります。コチラについては私ヌルボも知っていました。
 「朝鮮語辞典」には、3番目の意味として次のように記されています。
 弟の妻が兄の妻を、また夫の姉に対する呼びかけの語:お姉さん。
 また<ナムウィキ>には、
 この「형님」という単語も、正確に区分すれば「結婚した同性の年上の兄弟姉妹を指す言葉」である
と書かれています。
 そして紹介しているのが「시집살이(シジプサリ.嫁入り暮らし)」という伝承歌謡の歌詞。嫁家での生活について訊ねる従妹に、従姉が毎日のつらい暮らしぶりを伝えるという内容で、教科書にも掲載されているそうです。で、その歌詞の最初の方に형님 형님 사촌 형님 시집살이 어떱데까?(ヒョンニム ヒョンニム 従姉のヒョンニム 嫁入り暮らしはどうですか?)」という1節があります。なるほど、ですね。(歌詞全体は→コチラ参照。)

 それにしても、韓国では親戚関係の中での相互の呼称がホントにややこしいですね。いや、「親戚以外でも」ですが、それだけ血筋や上下関係が伝統的に重視されている社会ということでしょうか?
 外国人だけでなく、少し遠い親類の呼称となると韓国人自身もよくわからないようで、ネット内でもQ&A掲示板等に質問があったり、詳しく説明した記事もたくさんあります。

 たとえば、自分の配偶者の兄弟姉妹、及び兄弟姉妹の配偶者をそれぞれどう呼ぶか? 逆に相手は自分のことを何と呼ぶかという件について、「中央日報」の「夫の妹の夫をどう呼ぶか知ってますか?」という記事(→コチラ)がありましたが、その中の画像を貼っておきます。私ヌルボとしてはわりとわかりやすい図かなと思ったのですが、それほどでもないかも。これは配偶者間を中心にしたものですが、自分の父方・母方それぞれの伯父・伯母・叔父・伯母、その配偶者を呼ぶ場合だとどうなるんでしょうね? まあ実際使う場合はまずなさそうだし、それはまた今度。・・・なんて、あるわけないですねー。(笑)

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韓国の2016年度大学修学能力試験(15年11月実施)の「日本語」は実用的な良問。日本人でも満点はむずかしい?

2015-11-12 23:47:32 | 韓国語あれこれ
 修能の実施期日は、1995~2006年までは11月の第3水曜日でしたが、2007年からは11月の第2木曜日になっています。つまり今年は今日11月12日です。
 数日前から、1年前に書いた韓国の修学能力試験(修能)の日本語の問題についての記事(→コチラ)へのアクセスが増えています。その見出しに<韓国の2015年度大学修学能力試験(修能)>云々とあるので、もしかしたら今年の修能と誤解した人もけっこういらっしゃるのでは?
 で、今回は誤解を生じないような見出しにしました。つまり、今回の修能は2016年度です。

 本ブログでは例によってさっそく第二外国語の「日本語」の問題を見てみました。※問題・正答はKBSのサイト(→コチラ)からダウンロードしました。

 全30問を通して見たところ、問題の傾向は昨年までとほとんど同じ。
 どんな傾向かといえば、昨年の記事で書いたことを再掲します。

[A]会話が多い。
[B]母音の長短、清音と濁音の区別といった韓国人が間違いやすい発音は必出。
[C]日本人の生活様式や、日本の伝統文化を説明・紹介するような問題文が多い。
[D]日本の街などで見かける掲示物、広報等に関する問題が出る。
[E]日本語会話というよりも、日本人の会話の特色についての問題文がある。


 今回も、これに沿った形で6つの問題を見ていくことにします。

 [A]については、今回は全30問中13問と、昨年よりもさらに増えています。挨拶や、友人間のパーティ・お出かけの打合せ等は必出といってよさそうですね。

 [B]の母音の長短などは日本人なら間違えるはずはないと思っている人は次の問題はいかがでしょうか? 30問中の第2問で、韓国人受験生にはむしろ簡単なレベルなのですが、日本人の方がもしかしたら正答率は低いかも・・・。
 「下線を引いた部分の発音の長さ(拍)が他の4つと異なるものは?」という問題。
 もしかしてと答えた人が多いのでは? (←長音がないので。) ところが正解は。なぜかというと、それぞれの<拍数>を数えると、①は「じゅ・ぎょ・お」で3拍、②は「せ・ん・しゅ・う」で4拍、③は「た・い・ふ・う」で4拍、④は「べ・ん・と・お」で4拍、⑤は「と・しょ・か・ん」で4拍。したがって①だけが3拍で他と異なる、というわけです。しかし、こういうのは国語の授業で習ってないですよねー。私ヌルボも実は数年前の修能問題で初めて知りました。

 [C]については2つの問題を紹介します。
 「下線の‘この日’に該当するものは?」という問題。
 これは簡単ですが、私ヌルボ、端午の節句が「女の子でしたが、鎌倉時代ごろから男の子の日にかわりました」とは知りませんでした。→ウィキペディアを見たらたしかにそう書いてあります。ひとつ利口になりました、です。(笑)
 上は「うどんに関する文である。文の内容からわかるものは?」という問題。
 選択肢は、
  ①‘うどん学校’は日本に900ある。
  ②香川県の人が‘うどん学校’を始めた。
  ③日本のうどんの25%は香川県の人が食べている。
  ④‘うどん学校’を卒業すれば‘うどんタクシー’の運転手になれる。
  ⑤風邪をひいた時、日本人が一番食べたいものはうどんである。

 ‘うどん学校’‘うどんタクシー’も知りませんでした、はい。読めば正解()はわかりますが・・・。ところで、⑤の文はやけに断定的ですが、何か典拠はあるのかな? そういえば「風邪うどん」なんて落語がありましたね。

 [D]関係も2つ紹介します。
 2つの店の値段の比較。ややこしいです。日本人にとっても。しかし、今どきリンゴが3個で280円だったら即買っちゃうかもしれません。ヌルボの好きなイチジクなんか1パック(5個入り)で500円もするからなー・・・。
 貸しアパートの情報比較。こういう問題は留学等で日本に来る韓国人には役に立ちそう。それにしても、この手の問題はなんでセンター試験の「韓国語」では出題されないのでしょう?

 最後に[E]関係の問題です。
 正解は当然ですが、受験生中⑤と答えた人が何%くらいいたか、ちょっと知りたい気もします。(笑)

 ちなみに、修能・第二外国語に含まれる科目は次の9科目です。
  ドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語・日本語・ロシア語・アラビア語・基礎ベトナム語・漢文。 この順序も何かを物語っているようではあります。

 他の科目については、これからぼちぼち見ていくことにします。
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[韓国語]サグァ(リンゴ)の別称(←ちょっとギモンあり)は?

2015-11-02 06:21:18 | 韓国語あれこれ
 1つ前の記事の見出しオクスス(トウモロコシ)の別称(←ちょっとギモンあり)は?>を見ていて思い出したのが今回のテーマサグァの別称(←ちょっとギモンあり)について>です。
 サグァ(사과)はもちろんリンゴのことで、沙果という漢字語の音読みです。

 その後私ヌルボ、何かでこのリンゴには능금(ヌングム)という別称があるという記述を読みました。しかし、厳密には사과능금はまったく同じではありません。사과は現在ふつうに出回っている西洋リンゴで、日本では幕末~明治維新頃、韓国では19世紀末~20世紀初頭から栽培されるようになりました。それに対して、능금はそれ以前からあったゴルフボールほどの大きさの小ぶりのリンゴで、辞書で引くと朝鮮リンゴ等の訳語もつけられていますが、学名を見ると和リンゴと同じもので、中国が原産とのことです。
 ※→韓国ウィキペディアの「능금나무」、→日本ウィキペディアの「ワリンゴ」の項目。花の画像は同じものを使用しています。
 ※→コチラの記事によると、江戸時代に栽培されていたワリンゴが皇居の東御苑に植えられているとのことです。

 ところで、上記のようにサグァとヌングムはちょっと違うものなのですが、韓国内でもその違いはよく知られていなくて、Q&Aサイトでも「サグァとヌングムの違いは?」といった質問が寄せられたりもしています。(たとえば→コチラ。)
 また、ヌングムをサグァの別称として、つまり同じ物を指す言葉として用いられることもわりとふつうのことのようです。
 たとえば、<mixyコミュニティ>の中に在日コリアンの人たちの「うちではこう言うけどな.にか?」というスレ(→コチラ)があって、その中に次のようなカキコミがありました。
 「ハンマニ(祖母)は、林檎のことをヌングムと呼んでました。」
 「リンゴのことは、陸地!!でも、普通にヌングムともサグァとも呼んでいます。」 陸地とは済州島の人が半島を指していう言葉。
 「もともとあった小さめのリンゴのことをヌングムと呼んでいたように思います。でも、富士の箱に능금とあったのを見たこともありますし。最近は、みんな부사・・・。」
 ※「부사(プサ)」は「富士」という漢字の韓国音読み。
 ・・・いや、それどころか、1900年頃アメリカ人宣教師が本格的な栽培を始めて以来リンゴの特産地と聞いて人々が思い浮かべる都市が大邱なのですが、その大邱を礼讃する歌として1970年代にパティ・キムによって歌われた歌がタイトルからして능금꽃 피는 고향(ヌングムの花咲く故郷)」ですからねー。

 ヌルボ思うに、植物学上では厳密に区別する必要はあるにしても、一般の人たちの日用の言葉としてはそんな正否を云々するようなことではないのではないでしょうかねー。

 ところで、今回の記事も例によって<ナムウィキ>の「사과」の項目(→コチラ)を大いに参考にしたのですが、それによると今の大邱には昔日の面影はなく、かつてのリンゴ園はブドウ園に変わったそうです。気候温暖化のためリンゴ栽培に適した所が北東に移ったためで、現在は慶尚北道北部の安東市吉安面・青松郡・栄州市で全国生産量の約6割を占めているとか。さらに北の忠清北道と江原道でも栽培量が徐々に増えていて、この分だと「22世紀になると、平壌近くまでリンゴ栽培限界線が北上しそう」とこの部分は冗談ぽく書いています。

※韓国のリンゴの歴史については→コチラ(日本語)や→コチラ(韓国語)の記事を参考にしました
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[韓国語]オクスス(トウモロコシ)の別称(←ちょっとギモンあり)は?

2015-10-29 18:27:50 | 韓国語あれこれ
 26日韓国文化院で観た「許三観」はなかなかおもしろかったです。監督・主演のハ・ジョンウもがんばってましたが、原作の力が大きかったかも。中国人作家・余華「血を売る男(許三観売血記)」(河出書房新社)です。同作家の「兄弟」(文春文庫)とともにオススメ!の小説です。

 さて、この映画。舞台は公州で、1953年から始まります。下の画像は、冒頭から少し後の、市場でオンナン(ハ・ジウォン)がポップコーンを売っている場面です。
    
 彼女ホ・オンナンの漢字表記は許玉蘭(옥란)ということに思い至るまで、私ヌルボちょっと時間を要しました。なんせ字幕ナシですいすい意味がわかるほどのレベルにはほど遠いので・・・。美人で愛嬌もあってとくに男たちに大人気。その許玉蘭に一目惚れした許三観(허삼관.ホ・サムグァンが彼女の父親に「同じ許氏だから好都合です!」とか言って彼氏のいたオンナンとちゃっかり結婚しちゃうのですが・・・。

 で、問題はこのポップコーンの売り声。字幕では「ポップコーンはいかがですか」でも、팝콘(パプコン)とは言ってないのです。では何と言っているかというと、カンネギと聞こえるのですが・・・。
 しかし、강내기等見当をつけて辞書を引いてもナシ。そういえば、と思い出したのがネコ(고양이)。単語帳等には<コヤンイ>というカタカナ表記がついていますが実際は<コヤギ>と聞こえますよねー。で、正解は강냉이。ゆっくり読めばカンネンイですが、ふつうはやっぱりカンネギと聞こえます。
 <映画「許三観」制作記映像>という動画(→コチラ)等の字幕にもこのハングル表記がありました。
      
 うーむ、ハジォン、とても3*歳とは思えない・・・。おっと、それはそれとして、ポップコーン=강냉이、これにて一件落着・・・とはならないのです。「朝鮮語辞典」等の辞書で<강냉이>を引くと⇒<옥수수(オクスス)となっています。玉蜀黍(トウモロコシ)の音読みで、オクスス茶等々でよく知られている単語ですね。
 一方、강냉이で画像検索した結果は→コチラで、例外のないほどポップコーンばかりです。
 また、統営市(慶尚南道)にお住まいの方のブログ記事(→コチラ)には「韓国語ではオクススですが、こちらの地方では、カンネギといいます」と書かれていました。

 あれこれ探してみた結果、頼りになるのはやっぱり<ナムウィキ>でした。「옥수수」の項目(→コチラ)を見ると、강냉이関係のことがいろいろ記されていました。要点を略述します。

・本来はトウモロコシ(옥수수)と同義だったが、地域差や現代の意味の変化等もあり、完全に同一視はできない。
・강냉이を油で煎った食べ物(ポップコーン)と思っている人がけっこう多いが、実際にはトウモロコシ(옥수수)と同じ。正確には옥수수の方言が강냉이・・・.とはいえ、実際には地域ごとに異なっている。いくつかの地域では옥수수と강냉이を同じように用い(代表的に北部地域と江原道)、ある地域では煎った옥수수のみを강냉이といい、また、ある地域では옥수수の大きさで区分したりもし、またある地域では色で区分したりもする。あるいは옥수수の実を강냉이と規定したりもしている。きっちりと断定することは難しい。
・강냉이という単語により옥수수の伝播過程を説明することができる。강냉이は江南つまり中国の長江流域つまり華南地方から来たという意味。강낭콩(=インゲン豆)、친구따라 강남간다(人にくっついて同じ行動をする)、강남갔던 제비(遠い南へ行っていたツバメ)等と同じ中国の江南地方に由来する言葉である。


 ところで、元に戻って1953年の公州でポップコーンを「강냉이 사세요(カンネギ サセヨ~)」と売っていたのは、はたして1953年だからか、公州だからか、あるいは今でもフツーの言葉なのか?

 日本でのポップコーンの歴史はというと、終戦後アメリカの進駐軍が日本に入ってきて以来で、韓国でも同様でしょう。しかし市場で小さな紙袋で売っていたのはそんなハイカラ(?)なものでもなし・・・。で、これまた<ナムウィキ>で「팝콘」の項目(→">コチラ)を見てみると、次のような記述があります。

 厳密に言えば、강냉이 뻥튀기(カンネギのポン菓子)のようなものもポップコーン(팝콘)と系譜が同じである。穀物に高い熱と圧力を加えてポンと煎る原理はほぼ同じである。爆裂種特有の殻のため特に強い圧力容器がなくても作ることができ、トウモロコシ(옥수수)の品種が違うので煎った食感が違い、表面に付いた調味料が違うだけである。

 そういえば、映画の中でも下の画像(これは釜山の40階段にある造形物)のようなポン菓子製造器が登場していました。
 これでお米だけでなくトウモロコシのポン菓子を作っていたのですね。 <ウィキペディア>(→">コチラ)によると、20世紀初めアメリカで発明されたお米のポン菓子が大正時代頃から日本に入り、その後日本が統治していた台湾、朝鮮半島、中国東北部にも持ち込まれて広まったとのことです。つまり、この映画のカンネギはその系譜というわけです。
 ・・・ということで、やっと一件落着、かな?

 ※韓国語でポン菓子は뻥튀기(ポントィギ)。直訳すると<ポン煎り>。やっぱり、その音からの命名です。
 
 ※「강냉이」と表示されている、駄菓子っぽいポップコーンの袋。
    
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[韓国語] 「進上」に悩まされるコンビニ店員・・・って、どういう意味?

2015-10-05 21:52:10 | 韓国語あれこれ
 2つ前の記事の関連でピョンドリ(편돌이)すなわちコンビニのアルバイト店員関係の記事を読んでいたら、「진상」という言葉に出くわしました。店員の悩みのタネの1つがこの「진상」だという内容です。このスペルに該当する漢字語を思い浮かべると「真相」それから「進上」くらいですが、それだと意味がとれず。例によって<NAVER辞書>を引いてもそれらしい説明はナシ。ネット検索すると、やっぱりピョンドリ(편돌이)同様に、若者を主としたネット社会でよく用いられるような言葉は<ナムウィキ>です。その「진상」の項目(→コチラ)の説明文中にありました。以下はその要点です。
 漢字では「進上」で、本来の意味は日本語同様モノを差し上げることです。ところが、封建時代だと進上する相手は王とか上級の役人等。否応なく差し出さなければならないので、「とくに最上品じゃなく、質の落ちるモノでもテキトーに差し出しておけばいいんじゃない?」というわけで、「진상」には「粗末な品物」という意味も込められるようになりました。(←これは各辞書にも載っています。) 他に、商人の中でもとくに無教養で不作法な者を意味したという説もあるようです。
 このような背景の下で、嫌でも相手にしなければならないような困った客「진상손님」というようになり、それが短縮されて「진상」だけで店員を困らせる嫌な客をさす侮蔑語になった、とのことです。「진상」に固定化されたのが「2011年現在」とありますが、検索にかかった2007年の<YAHOO!知恵袋>に「진상 손님 って?」という質問がありました。(→コチラ。) ということは、大雑把に言って「近年広まってきた言葉」とみてよさそうで、その質問では「진상 손님」ですが回答文は「진상」になっています。回答には「昔の王に対するように嫌でも従わざるをえない、そんな困った相手」といった説明がついています。

 <ナムウィキ>によると、類似の言葉として블랙컨슈머(ブラックコンシューマー.Black Consumer)」の他に「손놈(ソンノム)」というのがありました。これはわかりやかいですね。손닙(ソンニム.お客様)」の닙を놈(奴)に変えて「손놈」。いやー、意味の大変化!(笑)

 日本でもたまに嫌な客がいますね。私ヌルボ、以前スーパーで「社長を出せ!」とか大きな声を出している客を見たことがありました。スーパーの場合(→コチラ)やコンビニの場合(→コチラ)を見ると、韓国の事例とほぼ重なります。(韓国の方がちょっとカゲキかも・・・。) そのことに気がついていない客もけっこういそうです。いや、気がついてないからこそ「ソンノム」なのか?
 ところで、日本語では嫌な客を指す特定の言葉はないのですか?

※商品に「王に進上するほど良い物という意味で「진상」の文字がパッケージ等に入れられる例は多いが、上記のように「質の悪い物」という意味もあるので嘲笑されたりもするとか・・・。また진상애호박」という애호박(子カボチャ=ズッキーニ)があるとのことですが、これは光陽市津上(진상)面で作られたズッキーニなのだそうです。ハングルだけの表記はやっぱりまぎらわしいなー。
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[韓国語] 「蒸し暑さ(ムドウィ)」と「虹(ムジゲ)」の共通項は?

2015-10-04 21:28:35 | 韓国語あれこれ
 9月25日の記事<双八年度>って、いつのこと?>(→コチラ)の中で韓国SBSの番組「1億クイズショー(1억 퀴즈쇼)」のことを画像付きで少し書きました。
 そこで私ヌルボ、8月にもこの番組の画像を見たことを思い出しました。その時は「虹」つまり「무지개(ムジゲ)」という言葉に関する問題でした。

 で、その「무지개」について検索したきっかけは、「朝鮮日報」の連載コラム「萬物相」でした。8月8日は<무더위 강더위(蒸し暑さ、強烈な(?)暑さ)>という見出しで書かれていました。(→コチラ。)
 いかにも、とくに暑かった今年の夏の真っ盛りの記事です。見出しにある<무더위><蒸し暑さ><더위(トウィ)>=<暑さ>に무(ム)が付いてしあつさ>なので、日本人としては憶えやすいですね。
 ところが、もう1つの<강더위>という言葉は知りませんでした。
 記事の冒頭に「<강(強)추위>「雪が降って刺すような風が吹く厳しい寒さ」だ」とあるので、<강추위>や<강더위>の강は強。つまり「強烈な」寒さ・暑さのことをいうのかと思いましたが、それは一瞬。次のような文章が続いています。
 純粋の韓国語<강추위>は全然違う。「雪も降らず、風も吹かない、ひたすら厳しい寒さ」だ。」
 つまり、この場合の강は漢字の「強」ではなく、固有語の接頭語。たしかに辞書にもあります。「厳しい・酷い」といった意味です。
 <강추위>の意味は上記のように雪のような水気のない寒さ。そして同様に<강더위>湿気のないカラカラの暑さのことをいうのだそうです。これに対して<무더위>「湿度と温度が高く、蒸すような堪えがたい暑さ」です。今年の夏は降水量が少なく、貯水量も9月半ばの時点で平年の約7割だし、まさに<강더위>の夏だったということでしょう。

 さて、この記事を読んで知ったのが「なんで<暑さ.더위>にが付くと<蒸し暑さ.무더위>という意味になるのか?」ということ。記事によると、この물(ムル.水)から転じたものだとか。えっ、そうなの!?と私ヌルボ、目からウロコ。
 で、この물に由来した무が頭に付いている言葉として<무좀>(ムジョム.水虫)<무지개>(ムジゲ.虹)が例にあげられていました。後者については、물방울(水滴)が作った<지게>(チゲ.지게문すなわち門)という意味なのだそうです。

 と、ここで関連の韓国記事をいくつか見てみた中に上述の「1億クイズショー」があったというわけです。(→コチラ。)
 2012年6月の放送で、出された問題は「무지개の語源は何か?」
 しかし、その問の内容は무の部分についてではなく지개の意味を問うもの。「무지개は元々水で 作られた「これ」であるという言葉だった。「これ」とは何か?」という2択問題で、選択肢は①활(弓) ②문(門)。先に「萬物相」を読んでたので当然ラクショー。画像を見ると正答者6人で間違った人2人。英語のrainbowが「雨+弓」なので、「それはないだろう」という読みがほしかったところ。

 この「1億クイズショー」という番組についてちょっと興味を持ったので調べてみたら、2011年11月にスタートして1年後に終わったようで、今はありません。
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[韓国語]<双八年度>って、いつのこと?

2015-09-25 23:40:30 | 韓国語あれこれ
 ある韓国語の記事を見ていたら、次のようなくだりがありました。
 옛날 70년대나 쌍팔년도 시절처럼 (昔70年代や双八年度の頃のように)

 この쌍팔년도(双八年度) という言葉は初めて見ました。しかし電子辞書にはなく、ネット上で愛用している<NAVER辞典>にも、あるいは<DAUM辞典><国立国語院:標準国語大辞典>にもありません。
 ハングルでgoogle検索すると約30万件のヒット数で、決して少なくはないのですが・・・。

 用例を見ると、「昔」「往時」といった意味だけでなく、「時代遅れ」というニュアンスを込めて使われることが多いようです。
 쌍팔년도의 패션(双八年度のファッション)とか、쌍팔년도 개그(双八年度のギャグ)等のように。

 詳しく、かつ明解に説明しているのはやはり(ヌルボ愛用の)<ナムウィキ>で、まさにこの<쌍팔년도>の項目がありました。(→コチラ。)
 これには、双八年度が西暦何年にあたるかについて次の3説をあげています。
 ①1955年説
   檀紀4288年の年。「88」と8が重なっているので双八です。檀紀は檀君神話に基づく年号で、建国直後の1948年9月公用の年号として 法に定められました。(朴正煕政権下の1962年から西暦が公用となる。)     ※西暦年度に2333年を加えると檀紀年度となる。
 ②1964年説
   全然8とは関係ない数字のようですが、8×8=64なので。
 ③1988年説
  一目でわかる「88」。ソウル五輪の開催年。

 で、①~③のどれが正しいかというと①1955年。その理由は、朝鮮戦争が終わった直後から使用され始めた言葉だということ。とくに60年代~70年代後半。→コチラの記事によると、朝鮮戦争当時軍人だった人たちが昔話をする時によく使った言葉だそうです。

 しかし、これで一件落着かと思ったらそうじゃないのです!

 <ナムウィキ>の説明にもありますが、1988年以降に生まれた人が増えてきて(←あたりまえだ。今や全人口の4分の1だとか)、70~80年代も昔の範疇に入るようになり、上記の檀紀もボンヤリとしか知らない人もフツーになってきた今世紀になって、双八年度を1988年と認識している人が増えているということです。さらにこの説明文では、そんな状況にあって、「1955年と1988年のどちらが正しいか」と問うのは無意味で、「前後の文脈から判断すればいい」と記しています。
 さらには、쌍칠년도 박통 시절(双七年度・パクトン(朴正煕大統領)の頃)=1977年や、쌍구년도 세기말 시절(双九年度・世紀末の頃)=1999年のような西暦の数字の並びによる派生的な用法も出てきているとか。
 たしかに検索してみると쌍칠년도쌍구년도のヒット数はそれぞれ約3万件と約7万件で、쌍구년도 졸업생(双七年度卒業生)
とか쌍구년도에 제가 가장 좋아했던 가요(双九年度に私が一番好きだった歌謡)といった用例がありますねー。

 さて、この双八年度についてはTVのクイズ番組で出題されたこともあるのですね。2012年4月27日SBSの「1億クイズショー」です。
 問題は 「元来<双八年度>とは正確には何年度を意味するものか? ①1955年 ②1988年」です。
 「元来」とか「正確には」という言葉を入れているところが作問者のぬかりがないところ。回答者の表情、ちょっと自信なさそう・・・。
 はたして正解できたかは私ヌルボ、番組を見てないのでわかりません。しかしこうしたクイズに出題されるということは、多くの人が一応なんとなくは知っているものの、正確には知らないというレベルだということ。

 いやー、今回もちょっとした疑問から新しい知識を得て得した気がします。ふっふ。
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[韓国語の新語] ヨメの悩みのタネが<シーワールド>(シウォルドゥ)って、なんで水族館が?

2015-09-03 14:56:21 | 韓国語あれこれ
 首都圏でシーワールドといえば鴨川シーワールド。ソウルだと63ビルにある63シーワールド。 本家はもちろんアメリカのSeaWorldです。
 
 このシーワールドをハングルで書くと씨월드(シウォルドゥ)と濃音になります。平音の시월드でも間違いではないのですが、濃音で書くのがふつうで、63シーワールドも公式に63씨월드と綴っています。また平音だと以下で紹介する<もう一つの意味>にもなるので・・・。

 その<もう一つの意味>とは시가」(シガ)の人たちのこと。シガー(시가.葉巻)は関係なくて(←当たり前だ)、漢字で書くと媤家。夫の実家のことで、媤宅(시댁.シデク)」というのはその尊敬語です。要するに、시월드とは嫁からみて「夫の家族や親戚」のことです。
 ※ちなみに嫁に行く=시집 가다の시집媤ジプです。

 では、なぜ「시월드」が「夫の家族や親戚」のことを指すのかというと・・・。
 韓国語では、義父・義母・義祖父・義祖母・義弟・義姉妹をそれぞれ아버지・어머니・할아버지・할머니・동생・누이といいます。(※自分の妹はふつう동생・여동생ですが、義妹も시누이と言う。) がつかない例外は義兄아주버니義兄・義弟の妻동서(同壻)くらいのものです。
 つまり、婚家(夫の実家)の人たちはまさに「시~」のオンパレード。なるほど、たしかに「시월드」(媤の世界)です。

 <ナムウィキ>(→コチラ)によると、「시월드」がこのような意味で用いられたのは、TVではドラマ「棚ぼたのあなた(넝쿨째 굴러온 당신)」(2012年2~9月)が最初とのことですが、それ以前からネット社会では広く用いられていたそうです。(※本筋から外れますが、「棚ぼた」よりも「鴨ネギ」ではないかと・・・。)
 その2012年の9~12月にはチャネルAでタイトルからして「ウェルカム・トゥ・シーワールド(웰컴 투 시월드)」と銘打った番組が放映されました。「嫁姑(고부.姑婦)たちが対話を通して葛藤を解決していく」という趣旨の番組で、YouTube(→コチラ)で全部見ることができます。一部見て見たら、やたら吠えまきっていたシオモニがいましたよー。(笑)
 ・・・というわけで、この言葉が一般化したのはこの2~3年といったところのようです。以前なら「시댁식구들」(夫の実家の家族たち)等がふつうの言い方だったのがこれに変わってきたかも・・・。

 さて、上記の番組もそうですが、「シーワールド」と言ってもメインはなんといってもシオモニ(姑)。嫁姑の葛藤は「棚ぼた」以外でも多くのドラマのネタになっています。日本でもどこでも、また古今を問わない問題でしょうね。
 先に引用した<ナムウィキ>の記事にもありましたが「며느리는 금치도 싫어한다」(嫁はホウレンソウも嫌う)とか、「며느리는 금치도 안 먹는다」(嫁はホウレンソウも食べない)という笑い話もあるそうです。
 また、姑によるいびりのストレスで死んでしまった例として挙げられている女性が許蘭雪軒(허난설헌.ホ・ナンソロン)。(←瀬尾文子「春怨秋思 コリア漢詩鑑賞」(角川学芸出版)という本で名前だけは見た憶えがあるなー。) <ウィキペディア>によると、16世紀後半の詩人で、「洪吉童伝」の作者許筠(ホ・ギュン)の姉です。「27歳で世を去った彼女の遺稿の大半は夫や姑たちによって火に投じられた」とか、「中国や日本では古くから知られ、称賛され続けた」が、「儒教に基づく女性蔑視の風潮のあった李氏朝鮮時代では女性が詩を書くという一点のみによって批判され続け」、「朝鮮戦争後、<韓国の紫式部>として再評価される」とのことです。
 ・・・ということは、儒教の影響が色濃い韓国社会では日本の嫁姑関係よりも問題が深刻なのかな?

 うーむ、言葉の紹介だけのつもりだったのが枝葉を付けすぎてしまったかも・・・。
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[韓国語]ちょっと違うゾ! 「チョグム(少し)」と「チョム(ちょっと)」

2015-07-20 23:53:41 | 韓国語あれこれ
 ほぼ同じ意味でも、微妙にニュアンスの異なる言葉があります。

  A「少しお金貸してよ。小銭がなくて自販機のドリンクが買えないんだよ。」
  B「はい、200円でいいよね。」


 この場合の少しは実際に少額なのですが・・・。

  A「失業しちゃって大変なんだよ。ちょっと貸してくれないかな?」
  B「いくらくらいだ?」
  A「10万円なんだけどさ。」


 このちょっとは、必ずしも少額とは限りません。(10万円が少額という人もいでしょうが・・・。) A君の低姿勢な(丁重に依頼・要求をする)ようすを表す、軽い意味の副詞といった感じですね。

 韓国語の조금を辞書で引くと、「程度や分量が少ない(こと)」「時間が短い(間)」という意味の名詞・副詞と説明されていて、はその「조금」の준말(縮約語)であると最初に記されています。
 ところが、この2つの言葉の用法は上記の日本語の「少し」と「ちょっと」に相応するのですね。すなわち조금=「少し」(実際に少ない)=「ちょっと」(必ずしも少ないとはかぎらない)

 例を挙げてみます。

  목적지에는 조금 더 걸어가야 됩니다.
   目的地までもうし歩かなければなりません。(実際にもう少しの距離(or時間))

  미국이면 머네요.
   アメリカだとちょっと遠いね。(実際は遠いが、日本語でもこう言うことはありますね。)

  장기는 룰을 조금 아는 뿐이에요.
   将棋はルールを少し知っているだけです。(実際に初心者)

  바둑이라면 두는 거예요.

   囲碁ならちょっとやるんですよ。(実は自信がありそうな感じかも・・・。)

 좀が実際に「少し」を指す場合もありますが、そこらへんは前後の会話やフンイキで判断。ま、日本語のニュアンスと似ていますね。
 私ヌルボ、韓国語はちょっとやるんだけど、英語はちょっとダメなんだよね。 (←韓国語はまずまずだが、英語は全然ダメ、・・・ということ^^;) 

 あと、この좀で留意すべきは語順。初~中級のテキストに出てるかな?
 日本語だと「ちょっと○○を見せてください」、「ちょっとこの○○を食べてみて」で全然問題なしですが、韓国語の場合は「○○をちょっと見せてください」、「この○○をちょっと食べてみて」のように用言の直前に置きます

  여권 보여 주시겠습니까 ?
   ちょっとパスポートをお見せいただけますか?

  길을 가르쳐 주십시오.
   ちょっと道を教えてください。

  지금 시간 있어?
   ちょっと時間ある?

  주말 정도는 푹 쉬고 싶어.

   週末くらいはちょっとゆっくり休みたいなあ。

 日本語の「もうちょっと」は、韓国語では「좀 더」と語順が逆になります。「조금 더」も同様。※「좀 더」はふつう分かち書きにします。

  좀 더 기다려주세요.
   もうちょっと待ってください。

  좀 더 자고 싶다.
   もうちょっと寝たい。

  조금 더 먹어주세요.

   もう少し食べてください。
コメント (4)
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[韓国語] 「この映画、シンパ的だな」とはどんな意味?

2015-07-14 22:51:14 | 韓国語あれこれ
 10日に観た韓国映画「傷だらけのふたり」は思っていた以上に良かったです。主人公の借金取り立て屋テイル(ファン・ジョンミン)は病院にまで行って昏睡状態の債務者から借金を取り立てようとしますが、そこで看病する債務者の娘ホジョン(ハン・ヘジン)に出会って一目惚れして・・・という純愛物なんですが、ラストの方なんかもう涙でぐしゃぐしゃ・になっちゃいました、・・・ということはないんですけど、女性観客が100人いたら20人くらいはそんな状態になるかも。(ヌルボが行った映画館の観客は10人弱だったし、反応は確認できませんでした。)
 <映画生活>の評点やレビューはいかにと→コチラを見てみると、採点者数3人レビュー者数1人で少なすぎ! これも<もっと大勢の人に観てほしい韓国映画リスト>に登載です。
 で、本家韓国のファンの感想はどうだったんだろう?と<DAUM映画>で見てみました。(→コチラ。)
 するとやっぱりネチズン979人の評点平均は8.0の高ポイントで、8.0~10.0の評点がズラッと並んでいます。しかしその中にも5.0以下の低い点もチラホラ。
 そんな低い点のついたレビューを見ていくと、いくつものレビューで共通して使われている言葉があることに気づきます。
  ・典型的な신파、それでも生きている俳優たちの演技(6.0)
  ・あまりに신파的で後半の評点はよくないかもね。(3.0)
  ・いつもこんなヤクザロマンスの最後は신파だよね!(4.0)

 そして辛口映画評論家パク・ピョンシク(박평식)氏も原題「男が愛する時」をもじって
  신파が過ぎる時
と書いてます。
 中には高い点をつけている人のレビューにも・・・。
  ・ファン・ジョンミン氏はやっぱりステキな俳優だわ~ たしかに신파だけど熱演のおかげで楽しめた~(9.0)
  ・正攻法で表現した신파メロ。(8.0)

 ・・・と、まあこんな感じ。
 この신파(シンパ)という言葉、お気づきの方も多いと思いますが、元はといえば「新派」なんですね。あの芝居の・・・。
 で、とりあえずこの신파の意味はというと「お涙頂戴の通俗的なメロドラマといった感じです。
 Google翻訳で신파と入力して変換すると、まず「メロドラマ」という言葉が出てきます。
 しかし、メロドラマという言葉自体には否定的なニュアンスはあまりないと思いますが、上掲のような使用例を見ると「신파ムという言葉が映画の感想・評価について用いられる時はほとんど否定的な意味が込められています。
 したがって、「良い映画」についてこの言葉を使用する時にはたとえば次のようにします。
[국제시장] 리뷰: 부모 세대와 함께 볼수 있는 '좋은 신파' 영화
([国際市場】レビュー:親の世代と一緒に見られる「良い新派」映画]
 <MovieRising>というサイトにあった記事(→コチラ)です。

 しかし、このように元はまごうかたなき日本語なのに、「たくあん」「弁当」等々数多くの韓国社会に定着していた日本語由来の言葉のように固有語への言い換え対象になっていないのはなぜなのでしょうね?
 国立国語院の「標準国語大辞典」で「신파」を引いても日本のことは何も書かれてなく、「신파극」(新派劇)はと見てみると「1910年代から1940年代までわが国で流行した演劇形態。わが国の情緒に合っていない日本の新派劇を模倣したりもしたが、漸次固有の大衆的情緒を主とするようになった。」とあります。「日本から流入した」と表現せず、韓国の独自性を強調しているようで、そこらあたりが言い換え語の対象にならない理由になっているようですね。いや、もしかしたらこの便利な言葉を言い換えの対象にしないための方便かな?
 
 ところで、日本国内での新派の演目の映画化作品を思い起こしてみると・・・、溝口健二監督「滝の白糸」(1933)なんてよかったなー。あ、それから何といっても成瀬巳喜男監督「鶴八鶴次郎」(1938)! 21歳(?)とは思えない山田五十鈴が魅力的だし、物語も泣かせるし・・・。・・・とみてみると、私ヌルボ、<新派>とはけっこう相性がいいのかもしれません。

 以下、韓国の1910年代から現代に至る新派劇と新派映画の歴史についても書き始めたのですが、長くなりすぎるのでとりあえずここでひとくぎり。
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