ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

[韓国語] 참(チャム=真の)のつく言葉 ③自然や風土、生活や文化などから生まれた言葉。そこに韓国の特色も・・・。

2017-07-29 23:39:33 | 韓国語あれこれ
 → <참(チャム=真の)のつく言葉 ②日本語だと「本~」とか「真~」。とりあえず分類してみました。>

 まず、前回の記事のリスト中日本人でもナットクできるものを拾ってみます。

 참가자미(マガレイ)참돔(マダイ)はそのまんま、日韓共通。
 참개구리(トノサマガエル)も異論はないですね。しかし日本のトノサマバッタは韓国では풀무치。単に「草に埋もれている」という意味で、なんか素っ気ない感じです。
 참매미(ミンミンゼミ)참새우(クルマエビ)もまあいいか。対抗馬のクマゼミ말매미(馬ゼミ)イセエビは、韓国人が日本に来て初めて知るというくらいだから勝負になりません。

 逆に、日本人にとって疑問に思う言葉は、そこに韓国の自然・文化等の特色が読み取れたりするので興味深いところ。
 まず、참새(スズメ)참치(マグロ)참나무(クヌギ等)참꽃(ツツジ)等に鳥や魚や木や花を代表させていいのか?(怒)
 スズメなんか威厳はないし、数をたのんだ烏合の衆だし(・・・ってあれはカラスか)、まあ「舌切り雀」みたいな昔話で親しまれて・・・は日本か、韓国では「フンブとノルブ」・・・あれはツバメだったか、まあそれだけ韓国でもごく一般的ということでしょう。
 それよりも注目は참나무(クヌギ等)。もし日本で「真の木」を選ぶとしたら何になると思いますか? サクラ? あれは花がなければナンボのもんじゃいという木です(笑)。あ、葉っぱは桜餅に使うか。樹皮も趣きがあるな。ゴメンゴメン。
 閑話休題。古語にまさに「真木(まき)」という言葉があります。三夕の歌の1つ、寂蓮の「(前略)まき立つ山の秋の夕暮れ」という和歌のまき(真木)です。百人一首にもあったな。(「村雨の~」) 意味は「ヒノキ、スギ等の常緑針葉樹の総称」「良材となる木」。家屋にも、さまざまな家具や道具等に広く用いられてきました。
 ところが韓国にはスギは元々ないし(ヒノキも)、主な建材はマツ。ただ気候風土のこともあって韓国の家は石や土が重用されてきたことも日韓の大きな違いです。(最近日本のヒノキが好まれているとのニュースもある。) ・・・ということもあって、참숯(堅炭)や船の建材等多くの用途があるクヌギが木の代表となっている、ということなのかな?
 참꽃(ツツジ)の참は、진달래(ツツジ)の仲間の代表なのかと思ったら「食べられる花」なんですね。春先に화전(ファジョン.花箭)=季節の花を飾るチヂミを作って食べる習俗があるそうです。→コチラや→コチラの記事と写真参照。なかなか見た目もキレイです。ただ、これも참の字がつくからには食べられないものが一方になるということ。毒性の強い철쭉(クロフネツツジ)がそれ。本当に見分けがつきにくいというか、私ヌルボはわかりません。

 참고래(セミクジラ)というのもなぜが付くのかよくわかりませんが、捕鯨の歴史を見るとセミクジラはかつて日本や朝鮮半島の沿岸からも見られるほどの近海にも出没し、遊泳速度も遅いため近世末までは捕鯨の絶好の対象として乱獲されたとのこと。つまり(日韓とも)一番身近なクジラだったということだそうです。しかし20世紀初頭にはすでに絶滅寸前の状態で、現在は絶滅危惧種になっています。(※和名セミクジラは背中の曲線の美しさに由来する背美鯨から。)
 しかし、今クジラの代表格はなんといってもシロナガスクジラですよね。セミクジラを참고래とよぶのはおもしろくないかもしれません(??)が、シロナガスクジラには대왕고래(大王クジラ)という立派な韓国名が与えられています。歴代国王中1番人気の世宗大王と同格です。文句のあろうはずはありません。
 ことのついでにダイオウイカもそのまま대왕오징어です。ただ、참게(チュウゴクモクズガニ)に対してタラバガニ왕게(王カニ)と대(大)の字が付いていないのはちょっとシコリが・・・。(カニのシコリでなくヌルボのシコリ。)
 それよりも、カワイソーなのはイルカ(돌고래)で、これはなどという「動植物の悪い品質や野生の物を表わす接頭辞」がつけられています。(肉が不味いからかな?)

 ここで話は前回の記事の分類表に戻ります。
 表では、참の付く言葉をとりあえず4種類に分けました。
 しかし、もう1つ別の項目を立てた方がよさそうなのです。

 3ヵ月以上も前ですが、4月6日付「朝鮮日報」を観ていたら下画像のような全面広告がありました。(下左)
      

 Eマートの「国産の力! 5大水産物企画展」です。そこで塩引きのサバ、済州のギンタチウオ、活アワビ、イカとともに全羅南道・霊光(ヨングァン)の참굴비(チャムグルビ)というのがあります。(上右)굴비(クルビ)조기(イシモチ)の干物でなぜか韓国では高級な食材で、霊光はその特産地として知られています。では참굴비とは何か?
 以下は→コチラの記事(韓国語)の要約です。
 珍島の南(済州島の北)に位置する楸子島(チュジャド)近海はイシモチ等の良い漁場ですが、島内には加工の技術や作業場が不足していたため以前から霊光方面にそのまま供給してきました。ところが2003年に加工工場が造られてクルビの生産が始まり、翌年にはEマートと提携して<楸子島クルビ>という独自ブランドで製品を供給するようになりました。そして2008年から<楸子島チャムグルビ祭>が開催され、チャムグルビを目玉に観光にも力を入れ、実際に観光客も多数訪れるようになったとか。2013年には下画像のような造形物も設置されています。

 本題に戻ります。このチャムグルビという言葉は、上記のように産地の楸子島関係者(と、たぶんEマート)が商品の販路拡大と観光の振興を図って新たに創ったものです。もちろん、クルビにチャムを付けることによって「ココが本家本元!」というイメージを喚起させようというねらいです。
 前回の記事で「本マグロ・本醸造・本瓦・ほんだし」の「本~」をきちんと分類・説明するとなるとむずかしい、といったことを書きました。その中に「ほんだし」がありますが、これは味の素の商品名です。やはり「ほん」によるイメージアップを図ったものです。同類のものとしてはフジパンの食パンの商品名に「本仕込」というのがあります。先の分類の【Ⅱ】で「品質が優れている」等の説明を書きましたが、今このような言葉のプラスイメージを利用して商品名・ブランド名にするという例は、日韓ともに探せば他にもあると思われます。というわけで、これが新項目です。
 あ、そうそう。その代表とも言うべき商品名を1つあげておきます。辞書には載っていませんが、日本人でも多くの人が知っている商品名です。
 韓国焼酎といえばまずこの참이슬(チャミスル)  이슬=露。ということは、あの真露(진로.JINRO)をただ固有語に置き換えただけ。しかし참の語感も幸いしてか大ヒットし、今も圧倒的なシェアを誇っています。
 ・・・とオチがついた(?)ところでタラタラ続いた記事もようやくオシマイ。


 今回もしつこくオマケ画像。7月25日付「朝鮮日報掲載の「春のメイタガレイとヨモギの汁に負けない夏の東海(日本海)のマガレイの刺身(봄 도다리쑥국 못지않은 여름 東海의 참가자미회)」という記事です。(その記事は→コチラで読めます。(韓国語))
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[韓国語] 참(チャム=真の)のつく言葉 ②日本語だと「本~」とか「真~」。とりあえず分類してみました。

2017-07-29 21:12:40 | 韓国語あれこれ
 → <참(チャム=真の)のつく言葉 ①チャメ(참외.韓国のマクワウリ)は「真の、何なの?」>

 先の記事では참(チャム.真の)の付く単語が相当数あり、チャメ(참외.マクワウリ)は真のキュウリ(오이)の意味だといったことを書きました。今回はその他の참がつく言葉を見てみます。
 しかし、主だったものを無原則的に列挙してコメントを加えてもとりとめがなくなるので、<国立国語院:標準国語大辞典>と<NAVER辞典>(共に左のブックマークの中にある)を参照し、韓日辞典でわりと一般的な例を集め、さらに私ヌルボの独自アレンジを加えて分類・作成した表をまず提示しておきます。
    
【Ⅰ】 倫理性・誠実性・事実性等にかなっている。
 ・참사람
 ・참사랑
 ・참교육자
 ・참말
 ・참뜻
 ・참모습
 真人間
 まことの愛
 真の教育者
 本当のこと[話]
 本当の意味
 本当の姿
 사람=人
 사랑=愛
 교육자=教育者
 말=言葉
 뜻=意味
 모습=姿
【Ⅱ】 「本来」のもの。品質が優れている。正統な製法・材料等により作られている。
 ・참먹
 ・참숯
 ・참흙
 ・참기름
 ・참젖
 ・참젖(新語)
 上質の墨
 堅炭
 よく肥えた土
 ゴマ油
 母乳
 豊胸をしていない胸
 먹=墨
 숯=炭
 흙=土
 기름=油 ※エゴマ油(들기름)と区別。
 젖=乳 ※牛乳(우유)等、他の動物と区別。
 젖=バスト ※의젖(擬胸)と区別。
【Ⅲ】 主に動植物で、一般的でなじみがあり基本的とされる。
 ・참나무
 ・참깨
 ・참나리
 ・참외
 ・참매미
 ・참벌
 ・참새
 ・참매
 ・참개구리
 ・참치
 ・참가자미
 ・참복
 ・참돔
 ・참오징어
 ・참고래
 ・참새우
 ・참게
 クヌギ等ナラ科の樹木
 ゴマ
 オニユリ
 チャメ(マクワウリ)
 ミンミンゼミ
 ミツバチ ※꿀벌の方が一般的
 スズメ
 オオタカ
 トノサマガエル
 マグロ
 マガレイ
 トラフグ
 マダイ
 コウイカ(スミイカ)
 セミクジラ
 クルマエビ
 チュウゴクモクズガニ
 나무=木
 깨=ゴマ ※エゴマ(들깨)も含む。
 산나리(ヤマユリ)等と区別。
 외(오이)=キュウリ
 매미=セミ
 벌=ハチ
 새=鳥
 매=ハヤブサ
 개구리=カエル
 치は魚の名によく用いられる音。
 가자미=カレイ
 복어=フグ
 도미=タイ
 오징어=イカ
 고래=クジラ
 새우=エビ
 게=カニ ※日本では上海蟹の名で知られる。
【Ⅳ】 食べられる。
 ・참꽃
 ・참배
 진달래(ツツジ)の異称
 食用の梨(배)
 ※韓国ではツツジの花を食べる習慣がある。
 マメナシ(똘배)等の食べられないナシと区別。

 基本的なことですが、참がつく言葉は、その反対に、似て非なるものがあるということ。ソチラは概して低く見られることになります。もちろん人間(ここでは韓国人)の勝手な尺度ですが。

 そして表中の「マガレイ」等のように、この<참~>という接頭辞は日本語の<真(マ)~><本~>に相応します。

 これらの単語を個別に見ると分類に迷うものもあるし、分け方自体にも問題はあると思いますが、まあ先に言葉ありきで、上のような分類は後付けですから2項目にまたがるのもそりゃああるでしょ・・・。(←ウヤムヤ化) また日本人でも「本マグロ」「本醸造」「本瓦」「ほんだし」「本~」をきちんと分類・説明するとなるとむずかしいと思いますよ。(←イナオリ化) ということでかまわず先に進みます。

 ・・・と思ったところで、この後も(例によって)延々と続くので、とりあえずここまでにして後は続き。上掲の分類表はその前提で、<本論>ではここから韓国の自然・文化等が何かしら読み取れるのでは?ということ等を考えてみます。
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月21日(金)~7月23日(日)]

2017-07-26 13:50:50 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶韓国で評論家・記者の評価が高かった「ありがとう、トニ・エルドマン」を観てきました。<ぴあ映画生活>のレビュー(→コチラ)は好意的なものが多いようですが、それはたぶん娘の側に感情移入して観るからであって、年老いた父親に年齢の近い私ヌルボとしては自分も自覚がないままにあのようにウザったい存在になっているかもと、他人事とは思えず、同情・共感・ウンザリ感等々が入り混じったヘンな感想を抱かざるを得ませんでした。(やれやれ。)

▶先々週にも書きましたが、シネマート新宿で7月22日から<ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク>が始まっています(~8月11日)。上映される4作品「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」「あの人に逢えるまで」「バッカス・レディ」「春の夢」のうち私ヌルボが唯一観た「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」は一部フィクションの部分(女性が登場する場面)や誇張部分(立教大での髪型統制をめぐるエピソード)、不確かな部分(獄死に至る過程)はあるものの、概ね史実に基づいていて、その点は物語の骨格部分からフィクションになってしまっている「ラスト・プリンセス-大韓帝国最後の皇女-」とははるかに信頼度が高く、オススメできる作品です。なお、個人的にはベテラン女優ユン・ヨジョン先生が年配男性相手の「殺してくれる女」(原題)を演じる社会問題の一側面を描いた「バッカス・レディ」(=高齢者向けの売春婦)に期待しています。(今週中に観に行くつもり。) ※詳細は→公式サイトで。

▶韓国映画今夏の期待作7月26日公開の「軍艦島」(ファン・ジョンミン主演)と8月2日公開の「タクシー運転手」(ソン・ガンホ主演)について「対照的な集客戦略に注目」という記事が7月23日付「朝鮮日報(日本語版)」にありました。(→コチラ。) 内容等も簡単に書かれています。私ヌルボ、記事冒頭の「7末8初」は初めて知りました。韓国映画界で、劇場街のかき入れ時の7月最終週と8月第1週を指す言葉だそうです。
 また、同じ「朝鮮日報(日本語版)」(7月21日付)(→コチラ)には、「軍艦島」に描かれた<史実>の真偽についてやや批判的な論調で書かれています。
    
「朝鮮日報」4月28日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「ダンケルク」
  完璧な構成・・・‘人’がいない ★★★☆
 「フランツ」
  時代物で再起した監督 ★★★
 「ザ・ラスト・ワード」
  訃報を喜劇に逆転する ★★☆
 「海底47m」
  ホラーファンに贈り物 ★★☆
 4作品とも下の記事中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(7月25日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(3) ファーミング・ボーイズ(韓国)  9,51(51)
②(1) 風の踊り手(韓国)  9.51(49)
③(-) 100メートル  9.46(13)
④(4) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.40(215)
⑤(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.29(448)
⑥(5) モーディー  9.24(611)
⑦(8) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国)  9.23(522)
⑧(7) フリップ/反転  9.17(1,453)
⑨(-) オール・リブ、オリーブ(韓国)  9.15(13)
⑩(9) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣  9.14(651)

 ③⑨の2作品が今回の新登場です。
 ③「100メートル」は実話に基づいたスペインのヒューマンドラマ。広告会社社員という職業人としても妻や子供と暮らす家庭人としても順調に歩んで来たはずのラモンの人生は、ある日急に動けなくなり、病院にかけ込んでから大きく変わります。診断の結果は多発性硬化症。30代という若さなのに「100メートルも歩けなくなる」と宣告されます。思いがけない病で職を失い、一度は絶望しかけた彼はある時トライアスロンに出場することを決意し、義父と共にとトレーニングを始めます。目標は優勝ではなく完走。感動モノとはいっても、気難しい義父との世代間のミゾ等の描き方がユーモラスで、コメディーの要素もあるとのこと。韓国題は「100미터」。日本では最近話題の→<Netflix>で配信がありますが、劇場公開はない、のかな?
 ⑨「オール・リブ、オリーブ」は、非転向長期囚とその送還運動をテーマにしたドキュメンタリー「送還日記」(キム・ドンウォン監督)で撮影を担当するなど、これまで多くの被抑圧者の視点に立ったドキュメンタリー制作に関わってきたキム・テイルが監督として撮ったドキュメンタリーです。パレスチナに住んでいるウィズダン一家はとても大変な日々を送っています。オリーブ栽培しながら故郷の地に帰れる日だけを心待ちにしているマテルとムンタル夫婦や、3人の息子を全て失い、難民キャンプで70年以上も暮らしているムハンマドじいさん、小さな平和のために抵抗した友人たちを皆失った青年アリの日常も同じ。不安な中で土地を守ろうとする彼らの努力は絶え間なく続くのですが・・・。原題は「올 리브 올리브」で英題は「All Live, Olive」。なるほど、ハングル表記だと分かち書きをするかしないかの違いだけ。

     【記者・評論家による順位】
             
①(1) 風の踊り手(韓国)  10.00(1)
②(-) ダンケルク  8.50(8)
③(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
④(3) エル ELLE  8.00(8)
⑤(4) はじまりへの旅  7.50(9)
⑥(5) アメリカン・ハニー  7.50(6)
⑦(6) 老後の対策がない(韓国)  7.50(4)
⑧(7) オクジャ(韓国・アメリカ)  7,25(12)
⑨(8) ゲット・アウト  7.17(6)
⑩(10) エイリアン:コヴェナント  7.13(8)

 ②「ダンケルク」が今回の新登場ですが、この作品については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月21日(金)~7月23日(日) ★★★

         期待の大作「ダンケルク」が新登場で1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ダンケルク ・・・・・・・・・・・・・・・・7/20 ・・・・・・・・・1,119,036 ・・・・・・・・・1,349,248・・・・・・・・11,645 ・・・・・・・1,245
2(1)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・・・533,723 ・・・・・・・・・6,854,107・・・・・・・・56,053 ・・・・・・・・・918
        :ホームカミング
3(31)・・海底47m・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/19 ・・・・・・・・・・301,512・・・・・・・・・・・439,740・・・・・・・・・3,555 ・・・・・・・・・733
4(29)・・映画クレヨンしんちゃん 襲来!!・・7/20 ・・・・・・・128,422・・・・・・・・・・・137,901・・・・・・・・・1,041 ・・・・・・・・・547
        宇宙人シリリ(日本)
5(2)・・カーズ/クロスロード・・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・106,839 ・・・・・・・・・・・431,998・・・・・・・・・3,212 ・・・・・・・・・537
6(4)・・フリップ/反転・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・63,571・・・・・・・・・・・267,915・・・・・・・・・2,153 ・・・・・・・・・211
7(25)・・オズ:不思議な魔法の粉 ・・・7/20 ・・・・・・・・・・・・44,113・・・・・・・・・・・・54,849・・・・・・・・・・・408 ・・・・・・・・・342
8(3)・・朴烈(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28 ・・・・・・・・・・・・38,006 ・・・・・・・・・2,338,262 ・・・・・・・17,959 ・・・・・・・・・385
9(5)・・モーディー・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・34,607・・・・・・・・・・・169,187・・・・・・・・・1,337 ・・・・・・・・・187
10(60)・・ウィッシュ・アポン ・・・・・・・・・7/20 ・・・・・・・・・・・・31,657・・・・・・・・・・・・41,819・・・・・・・・・・・335 ・・・・・・・・・279
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 大方の予測通り「ダンケルク」が1位の座に。一方韓国映画はずっと孤軍奮闘の感がある「朴烈」だけになってしまいました。
 今回の新登場は1・3・4・7・10位の5作品です。
 1位「ダンケルク」は、クリストファー・ノーラン監督が第2次大戦初期(1940年5~6月)のダンケルクの戦いを描いた英・仏・米・オランダ4カ国合作の大作。ドイツ軍の電撃戦でフランスのダンケルクに追いつめられた35万人もの英・仏の兵士たちを救出するために陸・海・空それぞれが必死の作戦を展開します・・・。同じ第2次大戦でもノルマンディー上陸作戦(※「史上最大の作戦」(1962))ではなく、ダンケルクに焦点を当てるというのが現代的な視点ということかも。韓国題は「덩케르크」。日本公開は9月9日、公式サイトは→コチラです。
 3位「海底47m」はアメリカのパニックシチュエーションスリラー。メキシコの太平洋沿岸で休暇を過ごすリサとケイトの姉妹は、思い出作りにとシャークケージダイビングをすることに。海に沈めた檻の中から野生のサメを鑑賞するというものですが、楽しかったのは最初だけ。2人を乗せた檻のワイヤーが突然切れ、あっという間に47mの海底に沈んでしまいます。人食いサメの群れに囲まれる恐怖だけでなく、酸素タンクの残り時間も刻々と・・・。韓国題は「47 미터」。日本公開は8月12日です。
 4位「映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ」)は韓国でも変わらぬ人気。わずか3ヵ月遅れの公開です。シリリはその名の通りお尻のような頭の宇宙人なのですが、韓国題は「극장판 짱구는 못말려 : 습격!! 외계인 덩덩이」。つまりお尻=엉덩이(オンドンイ)そのままではなく덩덩이(トンドンイ)と訳してます。それで<そんな感じ>になるのかな?
 7位「オズ:不思議な魔法の粉」(仮)はロシアのアニメ。世界各国で訳されている「オズの魔法使い」はロシアでも人気。内容を見ると、これはそのスピンオフといった話かな? ある日ドロシーは、こっそり入ったおばあちゃんの部屋で魔法の靴を発見します。靴を3回たたくと、不時着したのは童話の中の世界エメラルドシティ。そこでは邪悪な大工オピンが命を吹き込む魔法の粉でエメラルドシティ征服をもくろんでいました。ドロシーと、かかし、ブリキの木こり、ライオンといったおなじみの顔ぶれは、はたしてエメラルドシティを無事に守れるでしょうか? 韓国題は「오즈: 신기한 마법가루」。日本公開はなさそうな感じ。
 10位「ウィッシュ・アポン」(仮)はアメリカのホラー。女子高生のクレア(ジョーイ・キング)が手に入れた中国製のオルゴールは父親が拾ってきたもので、「7つの願いを叶える」などと書かれています。クレアはそれを気にもしないで自分をイジメる女の子を「あんな子死ねばいいのに」と軽い呪いの言葉を口にしたら、なんとそれが現実に! その時はわからなかった彼女も、やがて願いが叶う度に周囲の親しい者が死んでしまうことに気づきます。ところが、もう彼女はそのオルゴールの虜になっていました・・・。有名なジェイコブズの短編小説「猿の手」と基本的に同じ発想ですが、何か現代的な新味はあるのかな? 韓国題は「위시 어폰」。日本公開はあるようですが詳細は不明。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・モーディー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・・34,607 ・・・・・・・・・・169,187 ・・・・・・・・・・・1,337・・・・・・・・・187
2(2)・・ナザレのイエスは神の子か?・・・7/13 ・・・・・・・・・・・・26,370 ・・・・・・・・・・106,368・・・・・・・・・・・・・768・・・・・・・・・139
3(65)・・ザ・ラスト・ワード・・・・・・・・・・・・・・・7/19・・・・・・・・・・・・14,397・・・・・・・・・・・・28,138・・・・・・・・・・・・・222・・・・・・・・・153
4(新)・・フランツ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/20・・・・・・・・・・・・・3,699 ・・・・・・・・・・・・・5,484・・・・・・・・・・・・・・40・・・・・・・・・・47
5(新)・・伝説のボクサー ビクトル・ヤング・ペレス・・7/20 ・・2,104 ・・・・・・・・・・・・・4,110・・・・・・・・・・・・・・20・・・・・・・・・・・2

 3・4・5位が今回の新登場です。
 3位「ザ・ラスト・ワード」(仮)はシャーリー・マクレーンとアマンダ・サイフリッド共演のドラマ。自分勝手で何でも思い通りにしようとする80歳の女性企業家ハリエット(シャーリー・マクレーン) は、自分の死亡記事をあらかじめ自分の望むように記述させようと、地元新聞社の死亡記事専門記者アン(アマンダ・サイフリッド)を呼んで自分史を語ります。アンは彼女の本当の人生を書きたいのに・・・。ハリエットの気難しい性格にイラつくアンに対し、ハリエットは<完璧な死亡記事>のためには「故人は仲間たちの賞賛を受けなければならず・・・」等の4条件を提示します。一体これがどう収まりがつくのか・・・と思ったら、結局は感動のラストになるような・・・。シャーリー・マクレーンは1934年生まれ。83歳か、大したものだなー。またアマンダ・サイフリッドは本作品にも出演しているトーマス・サドスキーと結婚して今年3月に女の子を出産したとか。どんどんと時代が進んでいきます。韓国題は「내가 죽기 전에 가장 듣고 싶은 말(私が死ぬ前に一番聞きたい言葉」。日本公開は年内のようですが、詳細は不明。
 4位「フランツ」は、フランソワ・オゾン監督による仏・独合作のドラマ。舞台は第1次大戦直後のドイツの小さな村。主人公の女性アンナ(ポーラ・ビール)は戦争で婚約者だったフランツを亡くしますが、毎日彼の墓まいりを欠かしません。ある日彼女はその墓に花を供えている男性に気づきます。彼はフランツのパリ留学時代の友人だったアドリアン(ピエール・ニネ)というフランス人でした。彼はアンナが身を寄せているフランツの両親の家に訪ねてきたのです。以後アンナはアドリアンに心を開き、フランス人を忌避していたフランツの父親の気持ちも変わっていきます。ところが、この物語はそのまま単純なハッピーエンドには向かいません。アドリアンはある<重大な秘密>を抱えていたのです・・・。韓国題は「프란츠」。日本公開は10月のようです。
 5位「伝説のボクサー ビクトル・ヤング・ペレス」はブルガリア・フランス・イスラエル合作のドラマ。1929年に世界フライ級チャンピオンになったチュニジア出身のユダヤ人ボクサー、ビクトル・ヤング・ペレス(ブライム・アスロウム←彼も元世界チャンピオン)の伝記映画です。1929年、チュニスで負傷した兄の代わりに試合に出たのがきっかけでパリに渡ってジムに入り、人種差別を受けながらも世界チャンピオンに、という栄光の物語・・・ではありません。その後の恋愛のこととか、さらにはアウシュビッツ強制収容所に送られて、そこでの苛酷な仕打ちまでが描かれています・・・。韓国題は「빅터 영 페레즈」。フランス語放送の国際TVネットワークTV5MONDEの日本語字幕放送で放映されているのかな? 詳しくは→コチラと→コチラ参照。
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中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行⑧ 3日目(後半のつづき)=南大門、三角地の焼き肉店(鳳山家)→城北洞のミュージックカフェ(Rheehall)

2017-07-25 14:02:36 | 韓国旅行の記録
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行① 1日目(前半)=閑散としていた朴正熙記念図書館>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行② 1日目(後半)=安倍首相とのかすかな接点(??)>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行③ 2日目(前半)=市庁の地下にある遺跡→九老工団生活体験館>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行④ 2日目(前半のつづき)=大林洞の中華街は、中華料理というより中国朝鮮族料理の街>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行⑤ 2日目(後半)=清渓川文化館と板子家見学後、例の大デモ。直に見たら緊迫感ナシのお祭りムード!>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行⑥ 3日目(前半)=ソウル城郭道(恵化門~駱山公園)→大学路>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行⑦ 3日目(後半)=大学路→彰義門・尹東柱文学館>

 この20年のPCやインターネット、スマホ、デジカメ等々の発達は旅行記録だけでなく旅行自体をも大きく変えてきました。
 私ヌルボ、旅行の際は目についたものはなんでもデジカメに撮っておきます。石碑や案内板等の文章も後で拡大すれば読めるのはホントに便利。あるいは、たまたま入った店や諸施設等の情報を帰国後ググって「そうだったのか!」と驚いたり、時には重大な見落としに気づいたりしたこともあります。この昨年11月の旅行記録もそんな事例が多々ありました。それが記事がやたら長くなったり半年以上も遅れたりしている大きな理由です。・・・って、結局は言い訳(笑)。
 それにつけても、そんなベンリなツールがなかった昔の人の旅行等とか記録のなんとすごいことか! 日本の戦前の、たとえば公的な記録・調査の資料を見ただけでもただ驚くばかりです。

○11月27日(日) (後半のつづき)

 何といってもこの日一番最優先かつ期待の予定は畏友Y氏の知り合いSさん(韓国人ジャーナリスト)との会食。しかしホテルでの待ち合わせ時間まで十分余裕があったので、2013年復元・公開以降ヌルボもY氏も行っていない崇礼門(南大門)に行くことにしました。停紫霞門峠(チャハムンコゲ)のバス停からバスで市庁前まで行き、そこから歩きです。

        
 上左の画像は東側から。このように外側から見たことは何度かありますが・・・。中に入ったのは初めて。思ったよりずっと広々としています。(右画像)

           
 私ヌルボ、とくに関心を持って見たのが虹霓門(虹模様の中央通路)の天井画(上左)の丹青(단청.タンチョン)です。復元作業の過程で日本製の顔料や膠(にかわ)の使用をめぐっていろいろスッタモンダがあったことは→ウィキペディアにも書かれ、→2ちゃんねるのネタにもされました。また、その竜の絵(上中)が焼失前の絵(上右)と違い過ぎるとの声も出ていました。(※細かな比較は→コチラ参照。) 「目がアニメっぽくてかわいい」(笑)とか。なるほど。ヒゲもツノもなんだかフニャッとしてます。
 なお、この丹青の復元騒動については、その後2016年5月「悪い化学顔料で修復した男に実刑判決」とのニュースまで報じられました。(→コチラ参照。) 民族的自尊心の発露から始まったような論議が、むしろそれを損なうことになってしまった(?)のはなんともご愁傷様なことでした。
 以前この天井画を見たサークル仲間のアジョシX氏は「丹青の赤い色の部分がひどい」と言ってましたが、その点は確認できませんでした。
        
 南大門見学は15時30分頃から20分足らず。再び前の通りに出てなんとなく南の方、つまりソウル駅の方を見て目に入ったのが長~い歩道橋のような陸橋でした。(上画像。) その向こうに旧ソウル駅の建物が見えています。
 「お、これはもしかして・・・」と思ってとりあえず撮っておきました。少し前に「こういうモノを今造っている」というニュースを何かで読んでいたので・・・。
 つまりは、2017年5月20日に完成・オープンした<ソウル路7017>という空中公園の、建設途中の姿です。
 1970年に開通し老朽化が進んだ高架道路を論議の末撤去しないで歩行者用の公園にしたもので、<7017>という数字は上記の2つの年の下2桁を単につなげただけです。※詳しくは→ソウルナビや→コネスト
参照。→トラベルjpの記事もとくに写真が良い。
 右は上の画像とほぼ同じアングルの2017年5月時点の画像。(NAVER地図のコリビューを加工したものです。) 比べてみると、側面の歩行者の足&クツの絵はなくなり、樹木等が植えられたことがわかります。
 地図を見ればわかるように、ソウル駅の北側の線路を東西に横断しています。今度ソウル駅あたりに行ったらここを歩いてみるのもまた一興かなと思います。

 ホテルに戻りしばし休息。18時の待ち合わせ時刻にSさんがロビーにやってきました。
 あとはすべてSさん任せ。タクシーに乗り込んで行った先は三角地です。

       
 鳳山家(ポンサンチプ)という焼肉、正確にはチャドルバギ(차돌박이)というアバラ部分の肉(トモバラ肉)の専門店。アラ、店の看板ではチャドルギ(차돌백이)になってて、メニュー板と違うゾ。そのメニュー中の양(ミノ)とか사태(すね肉)という単語は初めて知ったな。テンァンチゲといったカタカナの誤表記は毎度おなじみです。(笑)
          
 出て来ました、チャドルバギ。うん、美味しい!(←語彙貧困。) Sさんの若い頃からのなじみの店だそうで、ということは40年来? 店の雰囲気はごく庶民的ですが有名店のようで、tvNで毎週水曜夜放送の<水曜美食室>というユニークな美食トークショー番組でもチャドルバギをテーマにした回(2016年5月4日)で取り上げられていました。(→コチラの韓国記事参照。)
その番組でも説明されているのが上記のテンァンチゲ(右画像)。しかしメニューには차돌막장찌개(チャドルマクチャンチゲ)と書かれています。막장(マクチャン)は辞書には<速成味噌>とあり、北朝鮮では大麦やもち米を混ぜて作るのだとか。この店の自家製マクチャンもたぶんそうではないかとのこと。
 ※<水曜美食室>は、タレントが店に行って食べて「オイシイッ!」と言ったりせず、テーマの料理について室内で数人が説明したりいろいろ語り合うという点がユニーク。
 この店については→ソウルナビや、その他いろんなブログに記事があります。

 19時45分頃に店を出て、タクシーで一気に北上して向かった所は景福宮の北の城北(ソンブク)洞。私ヌルボがこれまで行ったことがない高級住宅地です。
 大使館邸というのがいくつか目に入りました。あのヨン様のマイホームはこのあたりかな?
     
 車を下りた所も閑静な住宅地で、人影もまばら。ところが建物の外階段を上って3Fのその店に入ると思わず「おーっ」と声を上げました。
 広い室内の両壁面の棚にLPがぎっしり並べられています。その数は数万枚? いや50万枚と言ってたような・・・。店の名は「Rhee hall」。店内全体の雰囲気も上画像のようにまるで映画の一場面のようです。
 LPのジャンルはクラシック、ジャズ、ポップス等さまざま。客のリクエストに応じて奥の(これもすごそうな)プレーヤーでレコードをかけてくれます。

 客はヌルボたち3人だけ。(あとでもう1グループ来ました。) Sさんから「日本人の客」と聞いて店の女主人がかけてくれたのは五輪真弓「恋人よ」日本の歌が禁止されていた時代にも韓国人の間で広く愛好された代表的な歌です。
 そして次に流されたのはジョーン・バエズ「ドナドナ」でした。おお、なんと! ジョーン・バエズといえば1964年日本最初(?)のLP(右画像)を徳島のデパートで買ったことを覚えています。学生時代はその中の「ドナドナ」や、「ヘンリー・マーティン」、「かわいいひわ」等をコピーしてギターの弾き語りをしたものです。(←ヌルボの恥自分史(笑))
 その時、よもや半世紀も後に同じ曲をソウルのこんな店で聴くことになろうとは思ってもみませんでした。いやあ・・・。(と感慨にふけるヌルボ。)
 ・・・そんなわけで、Sさんがこの店に案内してくれてホントにラッキー。今回の旅行の中でもとくに思い出に残るひと時でした。
 ※このLPの中の「Mary Hamilton」という歌を楊姫銀(ヤン・ヒウン)が「美しいものたち(아름다운 것들)」というタイトルで歌っていることは→コチラの過去記事で書きました。

 「Rhee hall」のことは帰国後いろいろ日本語サイトを検索しても何もヒットせず。韓国語では→コチラや→コチラの記事が見つかりました。これらに記されている住所を手がかりに場所等を確認すると、その建物の1Fはヌルンジペクスクという鶏の水炊きの専門店。→ソウルナビでも紹介されている店です。もしいかれる方がいらっしゃったら3Fで食後のドリンクなどよろしいのでは?
 また<DAUM地図>のロードビューで見てみると、その建物の外観がわかりました。(下画像)
      
 一見して「これ、何?」と目が行くのが上に載っている造形物。拡大してみるとヴァイオリンを弾いている男です。こんなところにまで凝るとは、このRheehallの創業者とその発想についてちょっと気になるところです。

 1時間ほどで店を出て、(待たせてあった?)タクシーに乗り21時半頃ホテルに戻りました。
 この1日も盛りだくさんの充実した1日でした。案内して下さったSさんには、<韓国式>ということで当然のようにワリカンは一切ナシ。どうもごちそうさまでした。

 この旅行記もあと1回分という予定でしたが、この調子だと2回になってしまいそう・・・。
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[韓国語] 참(チャム=真の)のつく言葉 ①チャメ(참외.韓国のマクワウリ)は「真の、何なの?」

2017-07-20 22:49:30 | 韓国語あれこれ
 毎年5~8月には<近所のスーパーでチャメ(韓国のマクワウリ)発見! さっそく食べてみました。>という記事(→コチラ)へのアクセスがぐんと増えます。
 横浜在住の私ヌルボが近所のスーパーで売られていたチャメを買って食べ、この記事を書いたのが2014年7月。その後そのスーパーでチャメを見ていないのはちょっと気になるところです。やっぱり、日本では1960~70年代にプリンスメロン、そしてアンデスメロンが登場して以来甘くてやわらかくて、ジューシーなメロンが席捲して今に及んでいるので、ちょっと歯ごたえがあって甘さもイマイチのチャメはなかなか浸透しにくいのでしょうか?
 また上記の記事ではチャメ(韓国のマクワウリ)と書いたものの、マクワウリが夏の店頭でふつうに見られた頃から半世紀以上経った現在、マクワウリを知らない40歳代もめずらしくはなくなってきたようです。

 やっと本論。チャメはハングルでは참외と書きます。漢字語ではなく、固有語のを組み合わせた言葉です。
 「真の」という意味で、初~中級レベル(←たぶん)ではたとえば次のような単語があります。
 ・참새=スズメ  ・・・真の새(鳥)
 ・참기름=ゴマ油  ・・・真の기름(油)
 ・참치=マグロ  ・・・魚は물고기(←生物として)または생선(←食材として)といいますが、個々の魚の名はさまざま。その中で1番多い(約18%)のがが付く魚갈치(タチウオ)・꽁치(サンマ)・멸치(カタクチイワシ)・날치(トビウオ)・넙치(ヒラメ)あたりが中級の上レベルの語彙かな? というわけで、참치も一応は真の魚といった意味。

 したがって、참외の場合も真の외ということ。ではとは何か? 実は私ヌルボ、わりと最近までなんとなく참외を「真の瓜」だと漠然と思い込んでいました。ところが、ちゃんと辞書を引いてみると次のように記されています。
 「오이の縮約形:キュウリ(胡瓜)。」
 なんてこった! なるほど、をつづめて書けばたしかにだ。

 つまり、참외真の외[오+이](キュウリ)ということ。

 なあんだ、初級レベルでキュウリ=오이と教わった時に言ってくれればよかったのに・・・。テキストで読んだ憶えもないな。
 いやいや、韓国サイトをいくつか見てみると、韓国人でも참외の외が実は오이ということはそんなに知ってるわけでもないみたいだゾ。

 ・・・というわけで、このネタはここで一応オシマイなんですが・・・。

 ことのついで。その1です。
 ウリ科植物박과식물
 「ユウガオ;フクベ;ヒョウタン」です。
 ここで思い出す単語が次の2つ。
 ・수박=スイカ
 ・호박=カボチャ

 수박の「수」「水」のこと。水分が多いからで、英語でもwatermelonですね。
  [7月21日の追記!] この「수」=「水」説については、そういう俗説はあるものの「疑問あり」です。詳しくはコメント欄参照。
 호박の「호」は漢字だと「胡」。この字は西アジア・中央アジア方面から中国に入って来たことを意味しています。胡麻・胡椒・胡桃(クルミ)等々、みんなそう。食品関係以外では、李白の漢詩「少年行」に胡姫という言葉があります。つまり西アジア系の女性。きっと胡坐(あぐら)をかいて座っていたのでしょう。(アラビア等では正式な座り方だとか。)
 ところが、日本では漢字で胡瓜と書けばもちろんキュウリのこと。スイカ西瓜カボチャ南瓜です。
 ちなみに中国語でも西瓜と南瓜は日本と同じ漢字。ところがキュウリは黄瓜と書くそうです。何十年も前に話をした香港人は青瓜だと言ってましたが・・・。(どっちでもいい?) なんで日中韓3ヵ国でビミョーに違うんでしょうね? (この件だけじゃないけど。)

 ことのついで。その2です。
 호박색といえば琥珀色のこと。つまりカボチャも琥珀も호박です。
 호박색のウイスキーを「カボチャ色の~」と誤解しないように要注意!(・・・って言わずもがな、か?)

 ことのついで。その3です。
 今年4月28日の「朝鮮日報」に<오이가 싫어서…(キュウリが嫌いで・・・)>という女性記者のコラムが載っていました。(→コチラ。→google翻訳。)
 それによると、FACEBOOK内で<キュウリ嫌いの会>ができてわずか1ヵ月で加入者が10万人近くにもなったとか。記者自身幼い時から数m離れてもその「異臭」に気づくほどのキュウリ嫌いで、小4の時にはそれが原因でガールスカウトをやめたとの体験を書いています。
 日本にももちろんキュウリ嫌いの人はいて、そんな人が書いた<きゅうり社会の否定論>(→コチラ)の記事はとても説得力があります。「きゅうりが好きな人は塩と味噌などの、きゅうりにつける調味料と食感が好きなだけなんです」とか、「きゅうりと呼ばれる食材は、世界で一番栄養素が無い食材としてギネスに登録されており、きゅうりから摂取できるカロリーより、消化に使うカロリーの方が大きいとのこと」とか・・・(笑)。
 なお、この筆者もそうですが、キュウリが苦手な人はメロンもダメという人が多いそうです。
 「おまえ、食わず嫌いだろ」と言って無理に食べさせるのも本人にとっては拷問に等しいというのはその通りだと思います。遺伝子のせいという説もあるようだし・・・。うーん、かわいそうになーと思うばかりです。

 話が広がってしまいましたが、続きは참외以外の참が付く言葉と、それらについての考察(?)です。(まあ1週間以内には・・・。)

★しつこく、オマケ画像
      
【日本のマクワウリ(左。2010年8月徳島県のスーパーで)と、韓国のチャメ(2014年6月ソウルの清涼里駅前。)】

 これでは大きさ違いがよくわかりませんね。左のマクワウリは黄色が薄い感じ。(実際に薄かった。) それにしても、チャメがひと山で2千ウォンとは安い!
コメント (6)
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月14日(金)~7月16日(日)]

2017-07-19 11:59:01 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶→先週の記事で戦争映画のことに触れ、そのコメント欄でも個人的にオススメの作品をいくつか挙げました。関連で、韓国の戦争映画について少し書いておきます。基本的に朝鮮戦争をはじめ北朝鮮との戦いを扱ったものです。まず以前からよくある典型的な戦争物が<英雄的な兵士>等を描いた<戦意高揚>のための映画。近年では延坪海戦を描いた「ノーザン・リミット・ライン 南北海戦」等があります。進歩陣営側からは「クッポン(국뽕)映画」と笑われたり非難されたりもしていますが、国防部等にしてみれば若い世代の国防意識の低下には強い危機意識があるようで、昔に比べるとなんとか彼らにアピールするような内容を、との苦心&工夫はそれなりにあるかもしれません。(「クッポン」とは過剰なまでの愛国主義or愛国主義者のこと。) チャン・ドンゴンとウォンビン共演の「ブラザーフッド」は兄弟愛が基調で決してクッポン映画ではありませんが、国が掲げる戦争の基本は否定されてはいないと思います。では、これに対して進歩陣営側の作る戦争映画はというと、よくあるのが南北の兵士のコミュニケーションを描いた作品。「トンマッコルにようこそ」がその典型。 「JSA(共同警備区域)」シュリ」もそうか。しかし私ヌルボが見るところ概して「北も南も同じ民族」という北への片思い的な民族主義が基調になっていて、なんだかなーといった感じ。このワク内ですが、あまり話題にならなかった「西部戦線1953」(→コチラ参照)は国や民族よりも個人が前面に出てきている点に注目した作品。しかし、依然として北朝鮮と軍事的に対峙している状態が続いている韓国では、たとえば兵役拒否をテーマにしたような作品はまず作れないでしょうね。(兵役拒否者に対する代替措置さえない韓国では、国が制作・公開を許可しないかも・・・。) また戦争の本質を掘り下げて考察するような作品も今の状況では出てこないのではないでしょうか?

▶興行成績を見ると、韓国映画の不振が続いています。今年に入って500万人を超えたのは、共に1月18日公開の「共助」(781万人)と「ザ・キング」(531万人)の2作品だけ。先週末のベスト10は、下記のように1.5作品(米韓合作の「オクジャ」は0.5)しかランクインしていません。今後の予定作の期待度は7月26日公開の「軍艦島」(ファン・ジョンミン主演)と8月2日公開の「タクシー運転手」(ソン・ガンホ主演)の期待度がかなり高いのでその結果に注目しましょう。そういえば、内容的にもレベルの高いヒット作が続いた昨年も、上半期で500万人を突破したのは「華麗なるリベンジ」(検事外伝)と「哭声/コクソン」だけだったですからね。(下半期は6作品。) 直接関係ありませんが、私ヌルボの期待作は(興行成績とは関係なく)アン・ジェフン監督のアニメ「ソナギ(にわか雨)」(8月公開)です。
    
「朝鮮日報」7月15日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
) 「フリップ/反転」
   魔法のように輝いた時 ★★★☆


 「モーディー」

   2人のためだけの風景 ★★★☆

 「カーズ/クロスロード」

   自動車レース、最高だよ ★★★


 「アメリカン・ハニー」

   抑圧された夢、蛍が青春 ★★☆

 4作品すべて以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(7月18日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) 風の踊り手(韓国)  9.44(43)
②(2) 吾輩は猫である(韓国)  9.42(225)
③(-) ファーミング・ボーイズ(韓国)  9,42(40)
④(3) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.40(215)
⑤(-) モーディー  9.33(359)
⑥(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.29(416)
⑦(-) フリップ/反転  9.24(844)
⑧(7) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国)  9.24(518)
⑨(8) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣  9.14(651)
⑩(10) WE ARE X  9.09(125)

 ③⑤⑦の3作品が今回の新登場です。
 ③「ファーミング・ボーイズ」は韓国のドキュメンタリーで、昨年の第21回釜山国際映画祭の話題作。農業で地球を救いたいユ・ジファン、大卒後進路に悩んでいたキム・ハソク、家業の農業を嫌って工学部に進んだものの故郷を素敵に変えたいクォン・ドゥヒョンの3人は、各々目的は違っても、農業をテーマにした世界一周無銭旅行を思い立ちます。旅をして、英語も農業も学べる一石三鳥のチャンス! しかし、海外の農場の80ヵ所にコンタクトを取ってみても返事があったのはたったの7ヵ所。はたして彼らの挑戦は実現できるのか? ・・・結局はこの3人組、オーストラリア、ネパール、イタリア、フランス、オランダ等11ヵ国を回り、それもコーヒー園、果樹・野菜研究所、農夫学校等々、多国籍農場ツアーという大収穫の旅行を果たします。朴元淳ソウル市長も注目したとのオマケつき。。原題は「파밍 보이즈」です。
 ⑤「モーディー」(仮)と⑦「フリップ/反転」(仮)については後述します。

     【記者・評論家による順位】
             
①(1) 風の踊り手(韓国)  10.00(1)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) エル ELLE  8.00(8)
④(4) はじまりへの旅  7.50(9)
⑤(-) アメリカン・ハニー  7.50(6)
⑥(5) 老後の対策がない(韓国)  7.50(4)
⑦(7) オクジャ(韓国・アメリカ)  7,25(12)
⑧(8) 君の名は。(日本)  7.17(6)
⑧(8) ゲット・アウト  7.17(6)
⑩(10) エイリアン:コヴェナント  7.13(8)

 ⑤「アメリカン・ハニー」(仮)が今回の新登場です。2016年の第69回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した英米合作の青春ロードムービー。主人公はテキサスに住む18歳の女の子スター(サシャ・レーン)。ウザったい継父、そして父親違いの妹弟との憂鬱な日々を送っていた彼女でしたが、ある日偶然目にしたのはバンに乗って家々を回り、雑誌を売りながら旅をして暮らす若者たちでした。(実際にそういう集団がいるそうです。) 悲惨な生活から抜け出すチャンスだ!と彼女はその仲間に加わり、旅をしながら昼は雑誌を売り、夜は連日パーティー。スターはやがて商売のコツを教えてくれた青年ジェイク(シャイア・ラブーフ)と愛し合うようになります・・・。この作品の注目点は、イギリス人女流監督のアンドレア・アーノルド監督がアメリカの中西部を1200マイルも実際に移動しながらドキュメンタリーのように撮ったこと。この作品に起用された俳優たちも旅の途中に出会った素人の若者たちで、主演のサシャ・レーンやシャイア・ラブーフも同様。2人はこの作品の撮影中に恋に落ち、恋人関係になったのだそうです。いやあ、こういう場当たり的な作り方で作品として十分以上にサマになっちゃうとはたいしたものです。ヒップホップとかカントリーミュージックとかの音楽の効果も大きいのかな? 韓国題は「아메리칸 허니:방황하는 별의 노래(アメリカン・ハニー:彷徨する星の歌)」。日本公開は未定のようです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月14日(金)~7月16日(日) ★★★

         連続首位の「スパイダーマン:ホームカミング」以下外国映画が席捲

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・1,416,916 ・・・・・・・・・5,901,885・・・・・・・・48,405 ・・・・・・・1,781
        :ホームカミング
2(16)・・カーズ/クロスロード・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・266,767・・・・・・・・・・・288,564・・・・・・・・2,160 ・・・・・・・・・800
3(2)・・朴烈(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・206,455・・・・・・・・・2,211,728 ・・・・・・・17,028 ・・・・・・・・・638
4(40)・・フリップ/反転・・・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・102,990・・・・・・・・・・・134,625 ・・・・・・・・1,101 ・・・・・・・・・249
5(32)・・モーディー ・・・・・・・・・・・・・・・・7/12 ・・・・・・・・・・・・57,063・・・・・・・・・・・・85,999 ・・・・・・・・・・680 ・・・・・・・・・233
6(49)・・ダークナイト ・・・・・・・・・2008/8/06・・・・・・・・・・・・・40,923・・・・・・・・・4,148,762 ・・・・・・・27,569 ・・・・・・・・・153
7(33)・・ナザレのイエスは神の子か?・・7/13・・・・・・・・・33,768・・・・・・・・・・・・47,752 ・・・・・・・・・・349 ・・・・・・・・・217
8(4)・・オクジャ(韓・米)・・・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・29,790 ・・・・・・・・・・・267,839 ・・・・・・・・2,031 ・・・・・・・・・・93
9(3)・・トランスフォーマー ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・20,242 ・・・・・・・・・2,606,760・・・・・・・・21,445 ・・・・・・・・・212
        /最後の騎士王
10(新)・・ファンタスティック短編傑作選1・・7/13 ・・・・・・13,000・・・・・・・・・・・・・17,000 ・・・・・・・・・・102 ・・・・・・・・・・・3
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 記事冒頭にも書きましたが、韓国映画がパッとしない、ということについては記事冒頭に書いた通りです。
 今回の新登場は2・4・5・6・7・10位の6作品です。
 2位「カーズ/クロスロード」は、日本でも2日遅れの7月15日公開されています。韓国題は「카3: 새로운 도전」です。
 4位「フリップ/反転」(仮)は、アメリカの青春ロマンスというか、幼なじみの中学生同士の初恋物語です。「スタンド・バイ・ミー」のロブ・ライナー監督作品で、同じようなテイストがあるのかな? ウェンデリン・V・ドラーネンのYA小説「Flipped」が原作。時は1950年代後半。7歳(小2)の女の子ジュリーちゃんの向かいに引越してきた一家の男の子が同い年のブライス君。ブライス君を一目で好きになったジュリーちゃんはいろいろ気を引いたりしますが、ブライス君は(私ヌルボに似て)シャイな少年でした。彼女の積極攻勢をかわしつつ、その後中学1年にまで成長したブライス君。ある日ジュリーちゃんがくれたタマゴをゴミ箱に捨てちゃったのがバレてしまいます。これには怒ったジュリーちゃんはその日からブライス君を避けるようになりました。しかし、厄介だった彼女が消えるとブライス君はむしろ前とは違ってジュリーちゃんのことがが気になり始めます・・・。韓国題は「플립(フリップ)」で、原題は「Flipped」。「反転する」といった意味のようです。つまり、同じ場面をジュリーちゃんとブライス君それぞれの視点から反転して繰り返すという方式で話を進めている、ということのようです。なお、この作品が作られたのは2010年。それがなぜ今になって? <WATCHA>等を通じてネチズンたちの要望があったのかな? 日本でもずっと未公開のままで、今後も公開の可能性はなさそう、か?
 5位「モーディー」(仮)は、カナダのフォーク・アート女性画家モード・ルイス(1903~70)の半生と、夫エヴェレット・ルイスとの愛を描いた作品。カナダのノバスコシア生まれのモード(サリー・ホーキンスは)若年性関節リウマチのため手足が不自由で、体も小さかった彼女はもっぱら家で家族と過ごしていましたが、30代半ばで両親は相次いで亡くなります。小さな家で貧しい生活をしていた彼女は、やがて魚の小売り業をしていたエヴェレット・ルイス(イーサン・ホーク)と出会い結婚します。モードが描いた絵を見たエヴェレットの勧めでモードがポストカードに絵を描き、それをエヴェレットが魚と一緒に売ります。1枚25セント。そんな彼女の絵の評判がだんだん高くなっていきます・・・。彼女の絵の画像は→コチラの記事参照。韓国題は「내 사랑(私の愛)」。日本公開は2018年なのかな?
 6位「ダークナイト」は、2008年に大ヒットしたクリストファー・ノーラン監督によるアクションの再上映。(おもしろかったな。もう9年も経つのか。) 韓国題は「다크 나이트」です。
 7位「ナザレのイエスは神の子か?」(仮)はキリスト教がテーマのアメリカのドラマ。韓国題は「예수는 역사다(イエスは歴史だ)」ですが、原題は「The Case for Christ」で、リー・ストロベルというジャーナリストが書いた同名の本が下敷きになっている作品で、その翻訳本(いのちのことば社,2004)のタイトルがこの仮題です。物語の主人公はそのストロベル。最年少の新人記者として新聞社に入社した彼は、ある日家族との夕食の席で急に危機的状況に陥った娘を一クリスチャンが救います。妻はその後信仰の道に入りますが、事実と合理性を重視する彼は神の存在を否定し、信仰を受け入れません。そんな彼でしたが、ある人物が自分の記事のために不当に濡れ衣を着せられて起訴された事件を経て事実と信仰にの間で葛藤し始め、イエスの復活に関わる信じられないほどの真実を発見し始めます・・・。日本公開はなさそう、かな?(このジャンルは日韓で相当の違いあり。)
 10位「ファンタスティック短編傑作選1」は、現在開催中(7月13~23日)の第21回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭中のプログラム。韓国題は「판타스틱 단편 걸작선 1」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(12)・・モーディー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/12・・・・・・・・・・・・57,063 ・・・・・・・・・・・85,999・・・・・・・・・・・・・680・・・・・・・・・233
2(13)・・ナザレのイエスは神の子か? ・・7/13 ・・・・・・・・・・・33,768 ・・・・・・・・・・・47,752・・・・・・・・・・・・・349・・・・・・・・・217
3(51)・・アメリカン・ハニー ・・・・・・・・・・・・・7/13・・・・・・・・・・・・・2,481・・・・・・・・・・・・・3,851・・・・・・・・・・・・・・31・・・・・・・・・・48
4(3)・・ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ・・2002/8/09・・・・2,197・・・・・・・・・・・・37,336・・・・・・・・・・・・・290・・・・・・・・・・34
5(2)・・その後(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・1,918・・・・・・・・・・・・15,249・・・・・・・・・・・・・116・・・・・・・・・147

 1・2・3位が今回の新登場ですが、いずれについても上述しました。
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [7月7日(金)~7月9日(日)]

2017-07-11 18:40:39 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶昨日観た「ハクソー・リッジ」は、最初から期待感はほとんどナシ。それでも観に行ったのは舞台が沖縄ということと、この「特異な」主人公及びこの作品を作った側の「戦争観」を確認したかったから。以前から私ヌルボがとくにアメリカの戦争映画に対して否定的なのは、次のような理由です。①自国を超えた多角的な視点が欠けている。②(①に関連して)「敵」が人間として描かれていない。③「英雄」を称賛する物語になっていることが多い。④戦争そのものに対する省察にかけ、戦争一般を批判するメッセージはほとんどない。 まあ、どれも根っこは同じなんですけどね。
 で、この作品の場合。主人公は「私は良心的兵役拒否者ではない。良心的協力者だ」と言ってますが、たしかにその通り。私ヌルボ、昔の修身の教科書でナイチンゲールの話が載っていたことを思い出しました。その一節の最後の文章が「女王陛下のお褒めにあずかりました」だったと思います。「男は兵隊、女は看護婦」でワンセット。(ナイチンゲール自身はそんな「軍国主義者」ではなかったが・・・。)
 宗教と戦争の関係についてもよくわかりません。「殺すなかれ」と教える信仰を持つ者同士が殺し合うということをどう考えるのか?
 クライマックスの場面で、主人公は「1人、また1人・・・」と極限状況の中で救助活動を続けます。多くの観客はここで感動するのだろうな、と思います。しかし、同じ時に「1人、また1人」と殺されていくわけです。「プライベート・ライアン」以上という戦場のリアルな描写はよしとしても、大局的な視点についてはまだまだ、でした。韓国の映画評論家ホ・ナムン(허남웅)さんが「英雄ではなく反戦が必要」と短く書いて5点(10点満点)と評価していましたが、私ヌルボも同感です。(「ホ・ナムンがこの映画に反戦を期待すること自体お話にならないのでは?」とのネチズンの批判もありましたが・・・。)|

▶シネマート新宿で7月22日~8月11日<ハートアンドハーツ・コリアン・フィルムウィーク>と銘打って韓国映画4作品が上映されます。(名古屋・京都・大阪会場もあります。) 詳細は→公式サイトで。「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」「あの人に逢えるまで」「バッカス・レディ」「春の夢」と、これは期待してよさそうなラインナップ。私ヌルボが観たのは「空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜」だけですが、<反日映画>のレッテルを貼られて見送られてしまうのではと懸念していた作品が公開に至ったのはけっこうなことです。

▶2ヵ月ぶりに朝鮮日報の「封切映画 ぴったり10字評」が掲載されました。これまでも何度か長期の休眠はありましたが、今回の再開は映画関係の記事の掲載日が金曜から土曜になったことにも関係しているのかな?
    
「朝鮮日報」7月8日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
)
 「灰の花」

   ほろ苦い、おとなの童話 ★★★



 「その後」

   崩れた虚飾、悔恨の瞬間 ★★★



 「ベルリン・シンドローム」

   あまりに多い説明抜き ★★☆


 「灰の花」は韓国のドラマ。地方の閑静な村で暮らしていたハダム(チョン・)ハダムのところにある日やってきたのは、「1度も会ったことのない父を探し出すんだ」というハダムに似た11歳年下の少女ヘビョル。それから静かだった村に微妙な感情が渦巻き始めます・・・。」ベルリン・シンドローム」はオーストラリアのスリラー。フォトジャーナリストのクレア(テレサ・パルマー)はベルリンでの休暇中に出会ったアンディ(マックス・リーメルト)と惹かれ合い、情熱的な夜を過ごしますが、翌朝彼女は自分が部屋に閉じ込められてしまったことに気づきます・・・。(「その後」は以下の記事の中で紹介しています。)

         ★★★ NAVERの人気順位(7月11日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) 謝罪[アポロジー]  9.54(125)
②(4) 吾輩は猫である(韓国)  9.41(210)
③(2) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.40(214)
④(3) マリアンヌとマーガレット(韓国)  9.39(85)
⑤(5) 風の踊り手(韓国)  9.37(38)
⑥(1) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.27(369)
⑦(7) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国)  9.23(512)
⑧(8) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣  9.14(649)
⑨(-) パレードへようこそ  9.08(201)
⑩(9) WE ARE X  9.08(120)

 今回の新登場はありません。

     【記者・評論家による順位】
             
①(1) 風の踊り手(韓国)  10.00(1)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) エル ELLE  8.00(8)
④(4) はじまりへの旅  7.50(9)
⑤(5) 老後の対策がない(韓国)  7.50(4)
⑥(-) 謝罪[アポロジー]  7.33(3)
⑦(6) オクジャ(韓国・アメリカ)  7,25(12)
⑧(7) 君の名は。(日本)  7.17(6)
⑧(7) ゲット・アウト  7.17(6)
⑩(9) エイリアン:コヴェナント  7.13(8)
⑩(10) ネルーダ  7.00(5)

 こちらも新登場の作品はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績7月7日(金)~7月9日(日) ★★★

         シリーズ新作「スパイダーマン:ホームカミング」が他を圧倒

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(22)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・・7/05・・・・・・・・・2,606,445 ・・・・・・・・・3,563,652・・・・・・・・29,471 ・・・・・・・1,965
        :ホームカミング
2(1)・・朴烈(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・328,162 ・・・・・・・・・1,841,858 ・・・・・・・14,214 ・・・・・・・・・746
3(2)・・トランスフォーマー ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・69,607 ・・・・・・・・・2,566,527・・・・・・・・21,139 ・・・・・・・・・401
        /最後の騎士王
4(4)・・オクジャ(韓・米) ・・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・52,713・・・・・・・・・・・・214,667 ・・・・・・・・1,633 ・・・・・・・・・104
5(3)・・リアル(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・15,890 ・・・・・・・・・・・448,346・・・・・・・・・3,228 ・・・・・・・・・313
6(7)・・スウィート17モンスター・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・15,869・・・・・・・・・・・・・71,400 ・・・・・・・・・・565 ・・・・・・・・・119
7(11)・・フィッシュテイルズ ・・・・・・・・・6/22 ・・・・・・・・・・・・9,508・・・・・・・・・・・・・47,870・・・・・・・・・・・369 ・・・・・・・・・・86
8(13)・・リチャード・ザ・ストーク ・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・9,483・・・・・・・・・・・・・77,735・・・・・・・・・・・578 ・・・・・・・・・・63
        飛べないワタリドリ
9(12)・・映画 きかんしゃトーマス ・・・6/29・・・・・・・・・・・・・7,933・・・・・・・・・・・・・21,771・・・・・・・・・・・145 ・・・・・・・・・114
        探せ!!謎の海賊船と失われた宝物
10(新)・・その後(韓国)・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・6,753・・・・・・・・・・・・・・9,179・・・・・・・・・・・・71 ・・・・・・・・・168
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 なんのかんのいっても、人気シリーズの最新作「スパイダーマン:ホームカミング」の数字が頭抜けていて、前週1位の「朴烈」はまずまず。あとは軒並み「スパイダーマン」のあおりを食って、7位でも1万人を切るとは・・・。今にして思えば、次々に韓国映画がヒットした昨夏が特別な年だったということ?
 今回の新登場は1・9・10位の3作品です。
 1位「スパイダーマン:ホームカミング」はシリーズ何作目になるのかよくわかりません。(数え方にもよる?) で、今回から新シリーズなのかな? 新星トム・ホランドが主演で、ヒーロー気取りの少年がアイアンマンの導きによって真のヒーローへと成長していく姿が描かれる・・・と、ほぼ宣伝文そのままなのは日本公開が8月11日で、もう諸情報が流されているから。韓国題は「스파이더맨: 홈 커밍」。です。
 9位「映画 きかんしゃトーマス 探せ!!謎の海賊船と失われた宝物」は、日本ではすでに2016年4月に公開されています。韓国題は「토마스와 친구들: 수수께끼 해적선과 보물찾기」です。
 10位「その後」はホン・サンス監督の新作。といっても、例によって何人もがお酒をのんでおしゃべりする映画? あるネチズンは「互いに愛し合うことは認めても、それを正当化して愛という名で美化させてるんじゃないの? 不倫映画は一度で足りる。どこまでこんなレパートリーを繰り返すのだろう?」と書いてます。このレビューには賛成も多いけど反対もその6割には達しています。まあ、それでもオモシロイからねー。(ってコレは観てないけど。) 初出勤の日、アルム(キム・ミニ)は、社長のポンワン(クォン・ヘヒョ)が別れた女性が使っていた席で仕事をすることになります。ところがそこにポンワンの妻がやってきます。夫と女性の愛のノートを見つけ、会社に来たのですが、アルムはその社長が別れた女性と誤解され、結局その日に会社を辞めざるをえなくなってしまいます・・・。原題は「그 후」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・リチャード・ザ・ストーク ・・・・・・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・9,483 ・・・・・・・・・・・77,735・・・・・・・・・・・・・578・・・・・・・・・・63
        飛べないワタリドリ
2(新)・・その後(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06・・・・・・・・・・・・・6,753 ・・・・・・・・・・・・9,179・・・・・・・・・・・・・・71・・・・・・・・・168
3(2)・・ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ・・2002/8/09・・・・5,336 ・・・・・・・・・・・31,740・・・・・・・・・・・・・246・・・・・・・・・・62
4(4)・・子ブタ ベイブの大冒険・・・・・・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・2,003 ・・・・・・・・・・・40,234・・・・・・・・・・・・・279・・・・・・・・・・19
5(新)・・リオ・ブラボー ・・・・・・・・・・・・・・・・・7/06 ・・・・・・・・・・・・1,640 ・・・・・・・・・・・・8,282 ・・・・・・・・・・・・・・20・・・・・・・・・・・1

 今回の新登場は2・5位の2作品です。
 2位「その後」については上述しました。 5位「リオ・ブラボー」は1959年ハワード・ホークス監督の西部劇。<NAVER映画>も韓国での公開日がわからない? ジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソンと実に懐かしい顔ぶれ。ディーン・マーティンとリッキー・ネルソンが歌っていた「ライフルと愛馬」、憶えてますがな。そういえば日曜の昼NHKTVで「陽気なネルソン」という一家4人が出演していた番組があったな・・・。上映館が1館ということはたぶん→シルバー映画館でしょ。1度行かなくちゃ。55歳以上2千ウォン! 韓国題は「리오 브라보」です。
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[もしかして、ウ○コに対する偏愛がある?] 韓国のびっくりオブジェのいろいろ④ 《エンガチョ系》

2017-07-10 12:16:13 | 韓国の路上芸術・びっくりオブジェ等
 <韓国のびっくりオブジェのいろいろ>シリーズの初回(→コチラ)は2013年3月でした。
 以来公共広告の分野でしばしば話題になってきた<広告の天才>イ・ジェソク関係も含め、びっくりオブジェの記事をいろいろ書いてきました。
 それらの記事は、今までで<韓国の街ネタ>、<韓国の芸術>、<韓国旅行の記録>等のカテゴリーに散らばっていましたが、この度あらたに<韓国の路上芸術・びっくりオブジェ等>というカテゴリーを立て、そこにひとまとめにしました。

 そして今回、久しぶりに<韓国のびっくりオブジェのいろいろ>シリーズの新記事を提供します。

 初回の中で、私ヌルボ、「びっくりオブジェ」はおよそ次の5種類に分類されるのではないか、との仮説を立てました。
  ①巨大系 ②ブキミ系 ③幼児系 ④写実系 ⑤フシギ系
 今回は当初ブキミ系にするつもりでしたが、いかにも韓国らしい(??)別のジャンルがあることに気づいたので急遽予定変更。
 それはタイトルにあるように<エンガチョ系>です。
 しかし、この言葉、どれだけ全国的なのでしょうか? 実は私ヌルボ、半世紀(!)ほど前徳島から東京に出てきて初めて知った言葉です。ただ、一般的じゃないからといって<ウ○コ系>とか<ババッチー系>とするのもなんだかなーなので・・・。まあわからない方はググるなどして調べてみてください。いや、調べなくても以下の画像を見れば一目瞭然ですけどね。

 まずは3年前に大学路で見つけたこのオブジェから。


 2014年8月大学路で発見! いやあ、けっこうびっくりしましたねー(笑)。歩道に大・中・小の3個がまとまって鎮座してます。ちょっと調べてみたら、2008年7月のソウル新聞に関連記事がありました。(→コチラ.韓国語。)
 それによると、2005年に鍾路区が設けた彫刻公園の中の1作品で、チョン・ジナ(정진아)という作家の「The Poop Tale」と題された作品。みごとにトグロを巻いてますが、色もキレイだし、これはたしかにアートの範疇に入りますね・・・といっても、日本や他の国の目から見るとはたしてどうでしょうか? 「あえてタブーに挑む」という意識で取り組んでいるようで、2009年にはソウル私立美術館の企画展で右画像のような作品が出展されています。
 なお、大学路の彫刻公園には恵化交差点~梨花洞交差点の東側の歩道に公募により出品された436点中から選定された25点が設置されています。私ヌルボは恵化駅以北は歩いていないし、このオブジェしか気づきませんでしたが、他にもいろいろユニークなものがあるようです。今度行く機会があればじっくり見てこようと思います。

 ※しかし、はたして韓国社会に「タブーに挑戦」というほどのタブーが<この分野>にあるのか?という疑問があります。(ヌルボとしては、多くの嫌韓サイトにあるような<この件>を嘲笑のネタにしようという気はありませんが・・・。) 3週間前、映画「花、香る歌」を観たら、なんとスジ演じるパンソリの歌い手が野人乾水(←わからなければ各自調べて)を飲むシーンがあって、とても正視できませんでした。あ、これは話が逸れるか。子供向きでは人気キャラクターのタルギ(=イチゴ)ちゃんの仲間のトンチミくんのことは→コチラの過去記事で書いたことがありました。下左は、タルギガチョアというテーマパークのヘイリ店にあるトンチミくん電車です。幼い頃からこの物体に親しんでいるとみていい、のかな?
     
 上右は、2002年にソウルランドで開催された<うんこの再発見展>のようす。大勢の人が見てますねー。内容はよくわかりませんが、こういうテーマで企画展をやること自体がすごい(というか・・・)。
    
 今度は人物像です。左は巨済(コジェ)捕虜収容所遺跡公園。朝鮮戦争当時中国軍の捕虜2万人、北朝鮮軍の捕虜15万人の、最大17万人の戦争捕虜を収容していた所で、その捕虜たちの生活を再現しています。しかし、すごくリアルではないですか。ホンモノみたい。下の方に置かれている肥溜め代わりのドラム缶(と、その内容物まで?)もリアル。
 右の造形物も同じ姿勢ですが、よく見ると(見たくないが)モノが出かけているじゃないですか・・・。これがある場所は水原(スウォン)の解憂斎(ヘウジェ)という観光スポット。
     
 早い話が、トイレ博物館なんですけどね。その建物(上左)、一見してもわからないと思われますが、上空からみる(上右)、なんと! 洋式トイレの形をしています。
     
 そして上左は和式便器。こういう博物館なので、他にもいろいろ関連の造形物があるようです。詳しくは→ソウルナビや→コネスト参照。それらにも書かれていますが、この施設はMr.トイレットとも呼ばれた元水原市長が自宅をリフォームして開設したとか。まさにトイレに情熱を注いだ一生涯。ここまで徹底すると立派としか言えません。上右はその沈載徳さんの胸像です。

 次はウ○コ関係から離れて・・・。
      
 日本でもおなじみのカンチョーですが、今の子どもたちはやってるのかどうか、私ヌルボ、子どもや青年の知り合いはほとんどいないのでわかりません。
 韓国語ではこれを똥침(トンチム.糞針)といいます。
 上の左右のオブジェは同じものですが、背景を見ると場所は違います。左はどこか不明。右は麗水の梧桐島(オドンド)の<踊る噴水>の前で、2007年8月の何かイベントの時か、他にもいろんなオブジェが展示されていたようですが、<DAUM地図>のロードビューで確認すると今はありません。
 しかし、こうしたオブジェまで作るとは、日本よりもカンチョーに寄せる関心は高いのかもしれません。
    
 上のようなカンチョーに適した姿勢の美術作品等があると、つい遊び心が沸いてくるようで、同様の画像はたくさんあります。
 ただ、<ナムウィキ>の똥침の項目(→コチラ.韓国語)を見ると、「括約筋を傷つけられた相手が病院に運ばれたり、自分が指を骨折したり、異性相手にやって(・・・て、やるかねー??)セクハラで問題になったりすることもあるので、やらないように」とちゃんと書いてあります。皆さんも気をつけてくださいね。

 なんのかんの言いながら、私ヌルボもちょっと1人で盛り上がり過ぎちゃったかな?(笑)
コメント (4)
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中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行⑦ 3日目(後半)=大学路→彰義門・尹東柱文学館

2017-07-07 16:11:24 | 韓国旅行の記録
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行① 1日目(前半)=閑散としていた朴正熙記念図書館>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行② 1日目(後半)=安倍首相とのかすかな接点(??)>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行③ 2日目(前半)=市庁の地下にある遺跡→九老工団生活体験館>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行④ 2日目(前半のつづき)=大林洞の中華街は、中華料理というより中国朝鮮族料理の街>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行⑤ 2日目(後半)=清渓川文化館と板子家見学後、例の大デモ。直に見たら緊迫感ナシのお祭りムード!>
 →<中高生の校外学習のような(?)3泊4日のソウル旅行⑥ 3日目(前半)=ソウル城郭道(恵化門~駱山公園)→大学路>

 たかだか3泊4日の旅の記録なのに、長々と、そしてこまごまと書きすぎ。いやいや、それ以前に、旅行から帰って半年経っているのに、まだ完結していないというのが最大の問題です。前の記事が3月、そして今回もそれから3ヵ月以上経ってしまいました。
 その間、新たに知ったこと。前回の記事では「駱山展示館を見た後、路上美術館を経て梨花荘(李承晩邸)へと下って行ったのですが、その辺りは→コチラの過去記事に書いた2014年8月の旅行記録とダブりますのでバサッと省略します」などと書いてしまいました。ところが、実は気になっていたことを書ませんでした。それは2014年8月に行った時に見たあの<花の階段>の絵が消されていたのです。私ヌルボ、内心「場所を間違えた?」「どこかの方針にしたがって消した?」等々考えましたが、その時も前回の記事を書いた時もスルーしてしまいました。ところがその後「ソウルの人気観光地「壁画の村」から絵が消えたワケ」という2016年4月の記事(→コチラ)を発見。つまり押し寄せる観光客に不満を募らせた住民によってあの「花の階段」や「魚の階段」等の絵が消されたということだったのですね。うーむ・・・。

○11月27日(日) (後半)

 梨花荘(李承晩邸)の裏手を回ってタラタラ恵化駅方面に向かいます。
 恵化駅まで10分あまりで着きましたが、時間はもう12時頃。この近辺で昼食にしようということになりました。と、その前に・・・。
      
 マロニエ公園にあるソウル大学校遺趾記念碑。1975年冠岳区に移転するまでこの地にあったソウル大学校のかなり精巧な立体模型が付いています。移転後も表通りはずっと大学路のままというのはいかがなものか、・・・ってソウル大病院はまだあるし目くじら立てるほどのこともないか。小金井に移転してから半世紀以上経つのに学芸大前の駅名はそのままだしなー。(関係ない?)

 マロニエ公園の北の道を東に行くと食堂がいろいろ。軽いものをたべようということでテキトーに入ったのが下左画像の店。
      
 菊秀家(ククスガ)という店名通り麺(ククス)の専門店です。私ヌルボが食べたのはアサリきしめん(바지락 칼국수)。(右画像)6千ウォン。いやあ、すなおなヌルボがすなおに美味しいと言える味で大正解でしたね。後でネット検索してみると→コネストでも→ソウルナビでも写真満載で詳細に紹介しているではないですか。おまけにアサリきしめんは三色エゴマ入りすいとんと共にイチオシメニューになってます。(フフフ、やったね!) なお、→コチラのブログ記事によればキム・スヒョンのサインが貼ってあったとか。そういえば、いちいち確認はしませんでしたが壁にたくさんサインが貼られてましたね。

 恵化駅から地下鉄で光化門駅に移動。そこからタクシーに乗って次の目的地彰義門・尹東柱文学館に向かいます。景福宮の正面(光化門)から北西方向に約3㎞の道のりです。バスではなくタクシーにしたのは途中立ち寄りたい所があったため。景福宮北西隅から至近のムクゲの丘(무궁화동산)という公園で、1979年朴正煕大統領が金載圭中央情報部部長に射殺された場所です。→コチラの過去記事に書いたように、その家(宮井洞の安家)は1980年取り壊されましたが、方向も同じだし、ちょっと行ってみたかったというわけです。
 ところが景福宮の西側に入ると、道路のここかしこで警官が検問をしていて、なんだか物々しい雰囲気。われわれが乗ったタクシーも止められてしまいました。運転手さんは「日本から来たお客さんが・・・」等々フントーしてくれましたが結局ダメ。つまりは「青瓦台に近いから」で、とくに昨晩の大デモの翌日ということで厳重な規制が行われていたようです。関連で、つい先々週「半世紀ぶり大統領府前の道を全面開放」というニュース(→コチラ)が報じられました。1968年の北朝鮮武装ゲリラによる青瓦台襲撃事件(韓国では1.21事態あるいは金新朝事件)以来夜間通行禁止になっていたのが夜間も通行が自由になって検問も廃止され、検問所のバリケードも撤去されるようになったとの内容。ということは今度行く時は大丈夫ということか。

 そんなわけでムクゲの丘には行けず、そのまま尹東柱文学館へ。紫霞門峠(チャハムンコゲ)というバス停の真ん前なのですが、タクシーを降りてすぐ目に入ったのは道路脇の大きな銅像(下左)です。
      
 説明文を読むと、上述の青瓦台襲撃事件(→ウィキペディア)の時に戦死した崔圭植(チェ・ギュシク)鍾路警察署長の像とのこと。すぐ近くには、同じ戦闘で犠牲となった鄭鐘寿(チョン・ジョンス)警査の殉職碑(上右)もありました。あとで→ナムウィキ等を見てみると、ここより南(現・景福高校裏手の青雲シルバーセンター辺)にあった紫霞門哨所(検問所)に服装等を偽装したゲリラ部隊が差し掛かり、報告を受けていなかった崔圭植所長が待ったをかけたちょうどその時、道路を上がってきたバス2台を見たゲリラ隊員はそれを韓国軍の支援部隊と誤認して警察に銃を乱射し、バスには手榴弾を投げたりして戦闘が始まったそうです。実はバスは一般のバスで、乗客も多数犠牲になったとか・・・。

 銅像の近くから少し登ると彰義門(北小門)。1741年に再建されたものだそうです。朝行った恵化門と一目見てどこが違うかというと・・・・・・わかりません。
 ただ明らかに違うのは、この辺りが上記のように青瓦台の治安・防衛上の要地であるということ。ソウル城郭案内地図(下)にも記されているように、ここから粛靖門(北大門)までは「身分証持参区間」です。
 そして、そのルートの入口付近。
          
 空いてはいますが、緊張感漂うゲートには「彰義門案内所 確認、申請書作成」という文字があり(左)、真ん中の第3033部隊長名の警告文には「北岳山探訪は軍事作戦地域なので探訪時間以外には出入りが禁止されています」とあります。そして右は「ドローン飛行禁止」という掲示。
 いやあ、来る前は全然意識はありませんでしたが、この一帯はそういう所だったのですね。そういえば前日、大規模デモに際してこの北岳山方面から青瓦台への接近を図って捕まった人たちがいたとのTVニュースがあったなー。

 そんなこんなで、ようやく尹東柱文学館に入りました。
 え、ここは館内撮影禁止だって!? 韓国では大体OKなのに・・・。(後から思い起こせば、撮ってた人がいたなー。) 映画「東柱」のヒットでここの入場者もずいぶん増えたのでは? この日も日曜ということもあって多数の観覧者がいました。あまり広くはないものの、東柱が読んでいた本とかの興味深い展示資料もあり、別棟の第3展示室では映像を流したりもしていました。詳細は→公式サイト(韓国語)、→<ソウルナビ>参照。

 ここを出た後ちょっと近辺を散策。時計を見ると午後3時頃。この日の夕食は畏友Y氏の仕事上の知り合いという韓国人ジャーナリストSさんの案内でどこかに行くという予定。まだ時間に余裕があるぞ、どこに行くか?ということで、なぜか2人とも盲点のようにまだ行っていない再建後の南大門に、今度はバスに乗って向かいました。

 さあ、これでこのシリーズあと2回だぞ。
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[韓国語]KBS1TVのクイズ番組ウリマルキョルギ(対抗戦)を見る ①「水を注ぐㅈㅈㅈとは?」

2017-07-06 00:30:06 | 韓国語あれこれ
 KBS1TVで2003年6月から続いている<우리말 겨루기(韓国語対抗戦)>というクイズ番組があります。毎週月曜19:35~20:25放映の50分番組です。
 タイトルに「우리말(ウリマル)」とあるように、クイズといっても韓国語に関する問題ばかり。2人1チームで、計4チームの対抗戦です。
 予備試験で選抜された一般人出場者が対決して、最後の1人を選んだ後、この1人が<韓国語の達人>に挑戦する方式。これまで47人が達人になっているということは、年間3~4人くらいですね。現在、達人になったら賞金が3千万ウォンもらえるとか。(ただし10%は恵まれない人のための奨学金として控除される。)

 その問題は、視聴者も楽しめるように工夫されていて、たぶん日本の韓国語学習者(中級以上)にも勉強になるのでは、と思って私ヌルボ、6月19日の第672回というのを見てみました。以下、その内容を紹介します。

 その番組をリアルタイムで見るには、<KBS Able>(→コチラ)から。これは登録等は不要でそのまま視聴できます。
 ただし過去の回を見る場合には登録が必要です。私ヌルボが登録したのはずーっっと前なので方法を忘れてしまいました。(最近のことでもすぐ忘れますが・・・。) とりあえずは→コチラを参照してください。
 
 私ヌルボが今回見た6月19日の回も、放映から10日ほど経ってから見たものです。その手順を書いておきます。
①まず→<KBS>のサイトを開く。
②画面の上の方の<편성표(編成表)>をクリックすると、→<編成表>の画面が現れます。
③左端のタテの帯の最上段の<KBS1TV>をクリックすると、→<KBS1TVの1週間の番組表>が現れます。
④画面中央が本日の番組表。本日が月曜でなければ、上部のバーから(월(月))の日を選び、クリックすると
<月曜日の番組表>の画面になります。
⑤その画面を下にたどると19:35のところに<우리말 겨루기>のワクがあります。そこをクリックすると・・・。
⑥ようやく出てきた→この画面
 この女性が司会進行のKBS厳智仁(オム・ジイン)アナです。他番組でも見た覚えがあるような・・・。
 この画面上段の<방송보기>そして<다시보기>を続けてクリックし、見たい回をクリックして、やっと番組が見られることに。(やれやれ。)

 さあ さっそく第1問から行くぞっっ!
 お父さん(54)と娘さん(20)。最初の指名回答者です。
 「나르다」から連想される言葉で、子音が「ㅅㄱㄱ」という順の3音節の言葉は? という問題。しかし「나르다」の意味は何だっけ? そうか、「運ぶ」「運搬する」だったか、そうそう。(心もとないヌルボ。) 厳智仁アナ、「荷物を・・・」とか「人を・・・」とか助け舟を出しますが、結局10秒内で答えられずタイムアウト。他チームに回答の権利が移ります。
 15歳というから高1(かな?)の孫娘と来たおばあさん(68)が正解しました。その正解とは・・・。
 なにっ、승강기(昇降機)だって!? こんなのわかるわけが・・・。(怒) 韓国でもふつう엘리베이터(エレべーター)でしょ。・・・って승강기もけっこう使ってるか。

 気を取り直して次の問題。
 兄(27)と妹(25)。眼鏡の趣味も同じだし、仲の良さそうな兄妹でけっこうです。で、問題は・・・。
 「어려운 고비」を意味する、子音が「ㅊㅅㅁㄱ」の4音節の言葉は?
 「苦しい山場」か。これは私ヌルボ、最初から思考放棄。考えてもわからないということを即座に察知しました。
 お兄さんが見事正解。 「천신만고(千辛万苦)」ですと。
 四字熟語なら日韓共通のものを出題してくれないと・・・。

 そして第3問は・・・。
 義理のお母さん(72)と娘婿(44)というチームです。
 問題。「힘을 합하다」の意味で、子音が「ㅅㅅㅇㅂ」の言葉は?
 「力を合わせること」か。ふむふむこれは、えーと・・・。
 正解したのは第1問で答えられなかったお父さん。
  「십시일반(十匙一飯)」がその正解。
 十人が一匙ずつの飯を出し合えば一人分の飯になるという意味。大勢で助け合おうということです。

 実は私ヌルボ、この言葉を書名にした漫画のアンソロジー(創批発行)を以前読んだことがありました。(右画像。) それは「십시일と意図的に最後の漢字を変えていましたが、その時にこの四字熟語を知りました。

 とはいうものの、このクイズでは思い出せず。
 残念無念・切歯扼腕・汚名挽回・捲土重来・名誉回復・粒餡大福。こんなに次々と四字熟語は出てくるんだけどなー。

 次。第4問です。
 「물을 따르다」で、「ㅈㅈㅈ」の3音節の言葉は?

 わっ! これはヌルボすぐわかっちゃったぞ! 「水を注ぐ(差す)」というヒント抜きでも、ㅈㅈㅈの特異な(?)3連続というだけでアタマに入ってましたがな~。
 私ヌルボがわかるくらいだから、韓国サラムは当然余裕でわかりますよねー。
 正解は「주전자(やかん)」です。

 ちなみに「전자자(電子ジャー)」ㅈㅈㅈなんですよ。

 ところで、ここまでで50分番組のアタマからわずか6分あまり!
 ということは、小手調べもいいところ。たぶん難易度も序の口レベルってことか? このペースで全部記事にしたら何回連続になるのか・・・。一応続きにはしますが、方針を再検討しなくては・・・。
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月30日(金)~7月2日(日)]

2017-07-05 13:33:43 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今年ももう1年の半分が過ぎてしまいました。ホントに時が過ぎるのが早くなっているというか、いや、どんどん年を取っているということなんだよなー。
 で、この半年に観た映画48本中とくに印象に残った作品を列挙します。まず「牯嶺街少年殺人事件」(旧作のデジタルリマスター版)。「わたしは、ダニエル・ブレイク」はさすがにケン・ローチ監督。「人生タクシー」ジャファル・パナヒ監督が監督根性を発揮。「とうもろこしの島」「みかんの丘」はキネカ大森で観たとびきりの2本立て。同じ岩波映画の「娘よ」も同様に今まで(ヌルボが)知らなかった世界。韓国映画では「お嬢さん」「哭声/コクソン」「トンネル 闇に鎖された男」は期待通り完成度の高い娯楽作。ドキュメンタリーでは何と言っても(韓国がらみの)「抗い 林えいだい」。その他「幸せなひとりぼっち」「湾生回家」「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」「メッセージ」「セールスマン」等も良かったし、いろんなことを考えさせられた作品です。

▶韓国映画「殺人の告白」(2013年日本公開)のリメイク版の「22年目の告白-私が殺人犯です-」を観てきました。なるほど、観客動員数3週連続1位もむべなるかな。なかなかよくできた娯楽作品で楽しめました。元の「殺人の告白」とどう違うかというと・・・あらかた忘れてしまっているのでなんとも。(汗) ただ、カーアクションのシーンはわりと(自分としては)鮮明に記憶に残っているのですが・・・。そこらへんの比較は→コチラで宇多丸さんがずいぶん細かく語っています。(ネタバレ注意ですが。) また→コチラの記事は読みやすい原作との比較。

         ★★★ NAVERの人気順位(7月4日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※[記者・評論家による順位]とも評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(2) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.44(305)
②(6) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.40(214)
③(4) マリアンヌとマーガレット(韓国)  9.38(84)
④(5) 吾輩は猫である(韓国)  9.37(195)
⑤(3) 風の踊り手(韓国)  9.37(38)
⑥(-) 「直指」コード(韓国)  9.35(78)
⑦(7) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国)  9.23(508)
⑧(8) ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣  9.15(641)
⑨(-) WE ARE X  9.08(116)
⑩(-) ある一日(韓国)  9.07(15)

 今回の新登場は⑥⑨⑩の3作品です。
 ⑥「「直指」コード」は韓国のドキユメンタリー。今年の全州国際映画祭で上映された作品です。世界で初めて金属活字が作られたのが高麗時代の朝鮮だったことはどれほど知られているでしょうか? あのグーテンベルクの聖書より78年早く、1377年に印刷された金属活字本が「直指」です。(※清州古印刷博物館に関係資料が多数展示されています。) このドキュメンタリーの目的は、東洋と西洋の間の金属活字発明をめぐる隠された関係を明らかにすること。主人公のカナダ人俳優デービッド・レドモンと製作陣は、ためにヨーロッパに向かいます。現在、唯一の「直指」を所蔵しているフランス国立図書館で理由不明のまま閲覧を拒否された製作陣は、イタリア、スイス、ドイツ、そして韓国に至るまで5ヵ国7都市を巡って追跡を続けていくことになりますが・・・。原題は「직지코드」です。私ヌルボ、フランス国立図書館による閲覧拒否の理由は、韓国側が「直指」の返還を主張していることに関連しているのでは?と思います。参考→ウィキペディアと、→コチラの記事。
 ⑨「WE ARE X」は、アメリカ人監督がX JAPANのこれまでの活動の歴史を追ったドキュメンタリー。日本では今年3月に公開されました。韓国題は「위 아 엑스」です。
 ⑩「ある一日」は、清州大学校映画学科の卒業映画祭で上映された同学科出身3監督による作品のオムニバス。1作目は「短期秋休み」。ヨンジュは11歳の女の子。秋休みに両親との旅行写真を撮ってくるようにとの宿題が出されますが、ヨンジュの両親が離婚していて、そのことを友だちに知られたくないヨンジュは悩みます・・・。2作目は「ローラ」。バレエを専攻していたローラは結婚した後地方でペンションを経営していますが、ミュージカル俳優のハムレットから公演の招待を受け、衝動的にソウルに上京することを決心します・・・。3作目は「贖罪」。ヨニは認知症の母と反抗的な妹の面倒を見ながら暮らしていますが、ある日その賃貸アパートに立ち退き命令が下されます・・・。原題は「어떤 하루」です。

     【記者・評論家による順位】
             
①(1) 風の踊り手(韓国)  10.00(1)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) エル ELLE  8.00(8)
④(-) はじまりへの旅  7.50(9)
⑤(-) 老後の対策がない(韓国)  7.50(4)
⑥(-) オクジャ(韓国・アメリカ)  7,25(12)
⑦(5) 君の名は。(日本)  7.17(6)
⑦(5) ゲット・アウト  7.17(6)
⑨(7) エイリアン:コヴェナント  7.13(8)
⑩(8) ネルーダ  7.00(5)

 新登場は⑤⑥の2作品です。
 ⑤「老後の対策はない」は韓国のドキュメンタリー。しかし社会や福祉関係の作品ではなく、パンク・ロックバンドの話。ソウルのパンクバンド、スカムレイドとファインダースポットは、東京で歴代最大規模で開催されるハードコアパンクの音楽フェスティバルに招待されます。現在アジアで最も活発に活動している最も騒々しいパンクバンドはどんな思いで生き、どんなメッセージを伝えるのか? わかる人はわかり、わからない人は一生わからない。そんな彼らにアプローチして愉快に描き出します。(<ソウルナビ映画>の記事、パンクが「ファンク」になっちゃってますよ~。) 原題は「노후 대책 없다」です。
 ⑥「オクジャ」については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月30日(金)~7月2日(日) ★★★

         韓国映画久々の1位は日本がらみの作品「朴烈」

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(31)・・朴烈(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・817,972 ・・・・・・・・・1,180,402 ・・・・・・・・・9,117 ・・・・・・・1,176
2(1)・・トランスフォーマー ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・356,058 ・・・・・・・・・2,417,824・・・・・・・・19,978 ・・・・・・・・・894
        /最後の騎士王
3(新)・・リアル(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・6/28・・・・・・・・・・・165,102 ・・・・・・・・・・・373,667・・・・・・・・・2,696 ・・・・・・・・・859
4(29)・・オクジャ(韓・米) ・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・88,459・・・・・・・・・・・・116,645 ・・・・・・・・・・895 ・・・・・・・・・111
5(3)・・ザ・マミー/呪われた砂漠の王女・・6/06・・・・・・40,603・・・・・・・・・・3,661,190・・・・・・・・30,308 ・・・・・・・・・322
6(2)・・一日(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・6/15・・・・・・・・・・・・35,382・・・・・・・・・・1,111,814・・・・・・・・・8,944 ・・・・・・・・・425
7(44)・・スウィート17モンスター・・・・・6/28・・・・・・・・・・・・26,358・・・・・・・・・・・・・39,721 ・・・・・・・・・・316 ・・・・・・・・・・86
8(4)・・悪女(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・6/08・・・・・・・・・・・・19,835・・・・・・・・・・1,192,841・・・・・・・・・9,630 ・・・・・・・・・234
9(新)・・熊出没の年越し・・・・・・・・・・・6/29・・・・・・・・・・・・15,125・・・・・・・・・・・・・16,462・・・・・・・・・・・119・・・・・・・・・277
10(6)・・盧武鉉です(韓国) ・・・・・・・・・5/25 ・・・・・・・・・・・・1,461 ・・・・・・・・・・1,831,113・・・・・・・・14,387・・・・・・・・・152
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 ポン・ジュノ監督の注目作「オクジャ」は上映館数からすればこんなものか? しかし自宅でNetflixの配信でこの作品を観る人は韓国でどれほどいるのでしょうか? 見当がつきません。一般に、韓国では映画を映画館で観る人の比率は日本より相当高いということですけどねー。
 今回の新登場は1・3・4・7・9位の5作品です。
 1位「朴烈」は、1923年9月1日の関東大震災の2日後に逮捕された無政府主義者朴烈が天皇・皇太子の暗殺を計画したという朴烈事件(→ウィキペディア)を素材にした史劇。人々の間に流布した噂により6千人の朝鮮人が虐殺された事件を隠蔽するために、関心の矛先を変える話題が必要だった日本の内閣は不逞社を組織して抗日運動をしていた朴烈(イ・ジェフン)を検束します。日本の計略に気づいた朴烈は、同志でもある恋人の金子文子(チェ・ヒソ)と共に皇太子の爆弾暗殺計画を自白し、死刑さえも省みない歴史的裁判を始めるのですが・・・。これも史実とフィクションの間の見極めがむずかしそうな作品のようです。原題は「박열」です。
 3位「リアル」は韓国のアクション・ノワール。アジア最大規模のカジノをめぐった2人の男の巨大な秘密と陰謀を描いたアクション・ノワール映画。カジノシエスタのオープンを控えた組織のボス、チャン・テヨン(キム・スヒョン)の前に暗黒街の顔役チョ・ウォングン(ソン・ドンイル)が現れ、カジノの所有権を主張します。彼の介入でカジノを奪われる危機に瀕したテヨンは資金問題を解決するために投資家を探します。するとある日、名前も見た目も同じ謎の投資家(キム・スヒョン)が現れ、資金はもちろんウォングンのことまで解決してやるという提案します。この謎の投資家の登場でウォングンとカジノをめぐる戦争が開始され、それとともに巨大な陰謀の正体が現れてきます・・・。原題は「리얼」です。
 4位「オクジャ」はいろいろと話題のポン・ジュノ監督作品。秘密を抱えたまま生まれた巨大な動物(実はブタの変種、かな?)のオクジャは、江原道の山奥でおじいさんと2人で暮らす少女ミジャ(アン・ソヒョン)にかわいがられて育ちます。そんなある日、オクジャの育ち具合をチェックしに来た人たちとともにオクジャは突然いなくなります。驚いたミジャはブタの貯金箱を壊してお金を持ちソウルに行き、さらにはアメリカにまで・・・。そこで彼女が知った「事実」は? 韓国題は「옥자」。日本公開はありません。観たい人はNetflixで。
 7位「スウィート17モンスター」はアメリカの青春ドラマ。日本ではすでに4月に公開。現在も上映されています。韓国題は「지랄발광 17세(トンデモ発狂17歳)」。
 9位「熊出没の年越し」(仮)は中国のアニメ。「熊出没」は中国で大人気のTVアニメシリーズです。→コチラによると、森に住む熊の兄弟の熊大(兄。頭がいい)と熊二(弟。腕っぷしが強い)が主人公で、森林伐採のため光頭強という名の人間が彼らを撃ち殺そうと近づくもののいつも返り討ちに遭うというのが基本パターンとのことです。さて、韓国では(たぶん)3度目のこの劇場版のお話はというと・・・。ロガービッグ(光頭強)は正月を控えて故郷に帰るために森の木を切って交通費を用意しようとします。ところが森の物たちの活躍で彼の計画は失敗。それを見てクマの兄弟は彼を故郷に連れて行ってあげようと奇想天外なアイデアで旅行を始めます。しかしロガービッグはクマの兄弟を誤解してしまい、旅行は制御不能になり、ついには警察にも追われることに・・・。韓国題は「부니베어:로거빅 컴백홈 프로젝트」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・リチャード・ザ・ストーク ・・・・・・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・9,906 ・・・・・・・・・・・67,678・・・・・・・・・・・・・503・・・・・・・・・・86
        飛べないワタリドリ
2(31)・・ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ・・2002/8/09・・・9,798 ・・・・・・・・・・・19,492・・・・・・・・・・・・・150・・・・・・・・・・88
3(1)・・ザ・サークル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/22 ・・・・・・・・・・・・3,801 ・・・・・・・・・・・68,616・・・・・・・・・・・・・559・・・・・・・・・100
4(3)・・子ブタ ベイブの大冒険・・・・・・・・・・6/15 ・・・・・・・・・・・・2,230 ・・・・・・・・・・・37,137・・・・・・・・・・・・・259・・・・・・・・・・33
5(30)・・「直指」コード(韓国) ・・・・・・・・・・・・6/28 ・・・・・・・・・・・・1,424 ・・・・・・・・・・・・3,224・・・・・・・・・・・・・・23・・・・・・・・・・38

 今回の新登場は2・5位の2作品です。
 2位「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は、2001年のアメリカのミュージカルの再上映。韓国題は「헤드윅」です。
 5位「「直指」コード」については上述しました。
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6月民主抗争からちょうど30年-その当時と、現在 ①毎日新聞の特集記事を読む

2017-07-03 23:48:11 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 今、「6月民主抗争」と聞いても、何のことかわからない人が大多数ではないでしょうか?
 1987年6月全斗煥大統領の軍事独裁政権に対して民主化を要求した運動で、6月10日のデモ(<6.10デモ>)6月29日の盧泰愚民正党代表最高委員による<6.29宣言>まで約20日間にわたって繰り広げられました。
 ※→ウィキペディア
 ※本ブログの関係過去記事→<60年安保闘争、韓国の6月民主抗争等、6月はデモの季節?>

 この民主化運動の勝利以降、憲法が改定され、大統領が直接選挙制となった等々の政治面での刷新ばかりでなく、社会の風潮・庶民文化が大きく変貌していく大きな画期となりました。(たとえば<反共>が国是とされてきた時代もここまでです。) 以後、現代の韓国までほぼ地続きになっていると見ていいのではないでしょうか。

 今年はとくに節目となる30年目ということもあり、韓国では関連した催しが開かれたり、メディアでいろいろ取り上げられたりもしました。
 日本では、「朝日新聞」が6月11日<韓国、民主化抗争から30周年 文大統領が格差解消訴え>というニュース記事を掲載しました。(→コチラ。) この記事の要旨は、6月10日文在寅大統領が6.10民主抗争記念日の式典で演説し、韓国社会が抱える経済的不平等の解消に向けて国民の結集を呼びかけたというもの。またこの6.10民主抗争記念日は盧武鉉政権下の2007年に国家記念日に指定されたものの、李明博・朴槿恵両政権は重視せず、大統領の式典出席は廬武鉉以来10年ぶりとのことです。
 ※韓国の国家記念日はとても多い。→韓国ウィキペデア参照。

 さて、上記のように6.10関係記事(といってもメインは文在寅だが)を載せた「朝日新聞」に対して、他紙は30年前の韓国には関心を向けないのかと思ったら、「毎日新聞」がなんと6月29日付朝刊の8面の全面で<韓国「6.29」宣言30年 民主化、模索なお>という企画記事を組んでいるではないですか。(→コチラ。)
    
 左は紙面のほぼ上半分、右は全面です。

 80年代当時のことだけでなく、現在に至るまでの写真もいろいろ載っています。
 たとえば、こんなよく知られた写真。
         
 左は、6月9日戦闘警察による催涙弾で後頭部を撃たれた延世大の李韓烈(イ・ハニョル)君と彼を抱きかかえる学友の写真。右は1996年8月ソウル地裁に手をつないで出廷する全斗煥(右)・盧泰愚両元大統領です。

 で、私ヌルボがこの毎日新聞の記事の中でとくに興味を持って読んだのが紙面中央の「元学生活動家が見つめた今昔」と題されたカコミ記事。米村耕一ソウル支局長が直接元活動家2人に取材して書いた記事です。

 1人目の李鍾昌(イ・ジョンチャン)さん(51)は、上左の写真の李韓烈君を抱きかかえている「学友」その人です。私ヌルボ、この写真の撮影者のことは昨年知りましたが、この「学友」については知りませんでした。以下、この記事に→コチラの記事(韓国語)や→韓国紙年表(→コチラ)等で細部を補って李鍾昌さんの当時と今を略述します。

 6月10日の国民大会をアピールするため、前日の9日デモに繰り出そうとした延世大の学生たちが大学の正門前に出て火炎瓶を2つほど投げたところで戦闘警察が催涙弾の一斉射撃を開始。「退却するところで、人が倒れているのに気づいた」李鍾昌さんが抱きかかえて安全な場所まで運んだ彼が李韓烈君でした。
 その後李鍾昌さんも6月14日のデモで頭部に石が当たって重傷を負い、入院したのが延世大セブランス病院で、手術を受けた後我に返った時に隣のベッドで横たわっていたのが脳死状態だった李韓烈君だったそうです。李鍾昌さんが退院する7月5日、目が覚めると、病院が異常な雰囲気で、訊けば李韓烈君が亡くなったとのこと。警察が彼の遺体を奪いに来るかもしれないというので、患者服を着て座り込みに加わったそうです。(写真以外にもいくつもの偶然の「縁」があったのですね。)
 李鍾昌さんはその後学生運動に関連して一時指名手配され、偽名を使って各地の工場を転々としながら旋盤工、溶接工などとして働いた後、27歳で延世大学図書館の司書となり以後22年間務めましたが2015年退職し、ソウル市内の恩平区立亀山洞図書館の館長の公募に応じて就任。そして現在は坡州(パジュ)市立カラム図書館長です。
 その間、延世大で開かれるセレモニーの時に学生会館(または図書館?)に掲げられるこの写真を元にした大きな版画の垂れ幕を見る度に、「生き残ってすまない」という気持ちが起こったそうです。

 そして今。下の画像は「李韓烈烈士30周忌・・・彼が残していったもの」と題された6月8日のKBSニュースの一コマです。(→YouTube)
 「あの写真」を背景に、現在の李鍾昌さんが映されています。(テロップ)「戦闘警察から安全な所に移そうと思って(李韓烈君を)抱きかかえて学校内に運んでいきました。」
 また、先の朝日新聞の記事にもあるように、李鐘昌さんは今年の6.10民主抗争記念式典に招かれ、文在寅大統領と握手を交わしました。朝日新聞の取材にも応じています。
 30年前の1つの出来事が2人の学生の運命を決定づけ、生き残った李鐘昌さんはその決定的な場面が「歴史的な写真」となったことがその後の人生にも大きく影響を及ぼすこととなったというわけです。
 なお、この写真と、それを元にした版画のインパクトはとても大きく、またそれを撮ったカメラマンと、版画の作者の人生にとっても大きな意味を持つものとなりました。それについては続きに回します。

 毎日新聞のカコミ記事に書かれた2人目の元活動家は金永煥(キム・ヨンファン)さん(54)という人です。80年代ソウル大の学生だった彼は、北朝鮮の主体思想を信奉するNL派(ふつう主思派(チュサパ)という)の理論家として知られ、6月民主抗争以降には北朝鮮工作員の働きかけに応じて秘密裏に北朝鮮に渡り、金日成にも2度面会し、14日間滞在した後韓国に戻ったそうです。ところが北朝鮮は期待に反して韓国よりも権威主義的・抑圧的で疑念が膨らみ、その後脱北者の話を聞いたりして、逆に北朝鮮人権問題に取り組むようになったということです。
 私ヌルボ、すぐには思い出せなかったのですが、しばらく前に中国で脱北者支援活動をしていて中国政府に逮捕され・・・といったことがあったのをぼんやり思い出しました。ということで検索したら<北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会>のサイトに「金永煥氏拘束:逮捕から114日ぶり韓国へ」という記事がありました。(→コチラ。) その中でも彼の学生時代からの経歴が記されていますが、とくに詳しく書かれているのが「ある「思想的大転換」 金永煥(カンチョル)の場合」と題された→コチラの記事。(文字化けしたらURLをコピーして「貼り付けて移動」してみて下さい。)いやあ、思想面でも行動面でもドラマチックな人生です。毎日新聞の記事によると「半生を記録した著書の日本語訳が新幹社から近く出版される」とのこと。これは読んでみたいなー。(追記:2017年10月「韓国民主化から北朝鮮民主化へ」という書名で刊行されました。)
 ※かつて工作員の手引きでひそかに北朝鮮に行ってきた在日の青年は何人も(いや、それ以上)いたようなのに、その人たちは今どう思っているのでしょうか? 多少なりとも本に書いているのは神奈川大学名誉教授の李健次先生くらい?

 ※この記事に続いて、実際にソウル市内の関係施設等を廻った記録を中心に続編をまとめる予定でしたが、ペンディング状態が続いています。
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