ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20(2014年3月24日~30日)

2014-03-31 23:56:02 | 韓国のTV番組 週間視聴率ベスト20
 2ヵ月に1回の記事です。前回は→コチラ

 データの出所は韓国の視聴率調査機関<TNmS>のサイト中の「全国・地上波」の部です。(→コチラ。)

 たまに<NHKオンデマンド>を利用することがありますが、<KBS WORLD>のサイト(→コチラ)を見てみたら、コチラにも<KBS オンデマンド>というのがあるのですね。料金設定を見ると、たとえば月額見放題ライトプラン (300時間以内)だと月1500円。うーむ・・・。
 私ヌルボの場合、ドラマはほとんど見ないからなー。とりあえず会員登録して、<無料視聴0円>の番組をつまみ食いする分ならタダですけど。
 やっぱり、韓国語リスリングの学習も兼ねて韓国KBSを見るのが一番なんだろうけど、アタマが疲れて、番組を楽しむのが二の次になってしまうからなー・・・。

【3月24日(月)~30日(日)】
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①日日連続劇「愛は歌に乗って[사랑은 노래를 타고]」(KBS1)  29.4%
 ②位→①位。

②週末連続劇「本当に良い時代[참좋은시절]」(KBS2)  25.1%
 3月22日スタート。気難しい性格の検事(←またか!)カン・ドンソク(イ・ソジン)は15年ぶりに故郷に戻り初恋の相手チャ・ヘウォン(キム・ヒソン)と再会。2人が再びロマンスを繰り広げるのかどうか? そして彼の弟カン・ドンヒ(2PMのテギョン)は、短気な性格の貸金業者のボディガードで、え、詐欺師? 好評だった「ワン家の家族たち」の後続ドラマ。それが40%を超える視聴率だっただけに、②位といってもこの数字はどうなのかな? 「<マクチャン>なしでも穏やかな劇の流れで好評を博している」という記事がありましたが・・・。

③月火特別企画「奇皇后」[기황후](MBC)  23.2%
 ⑦位→④位→③位。<歴史の歪曲>論議はその後どうなったんですか?

④KBSニュース9(KBS1)  19.3%

⑤朝ドラマ「私の手を握って[내 손을 잡아]」(MBC)  18.3%
 ⑪位→⑤位。視聴率も4%近く上昇。母を殺した殺人者という濡れ衣を着せられて拘置所に収監された女性主人公。その幼ななじみは実は彼女を罪に陥れた悪女。そして財閥の息子だの会社の顧問弁護士が登場と、韓ドラは朝も夜も関係ないのでしょうか?

⑥日日ドラマ「天上女子[천상여자]」(KBS2)  18.1%
 ⑥位→⑥位。

⑦週末特別企画「黄金の虹[황금무지개]」(MBC)  15.8%
 ⑨位→⑦位。

⑧週末ドラマ「愛するのは自分のため[사랑해서 남주나]」[사랑해서남주나](MBC)  14.3%
 ⑮位→?→⑧位。

⑨日日ドラマ「大切に育てたひとりの娘[잘 키운 딸 하나]」(SBS)  14.3%
 ⑭位→⑨位。200年以上続く家業の<ファンソ醤油>を継ぐため5歳の頃から息子として育てられた少女チャン・ハナ(パク・ハンビョル)の奮闘記。

⑩大河ドラマ「鄭道伝[정도전]」(KBS1)  14.3%
 大河ドラマのランク入りは「広開土大王」以来2年ぶり。朝鮮建国の功臣・鄭道伝(チョン・ドジョン)は、朝鮮史では有名人物。鄭道の伝記ではなく、鄭道伝の3文字が名前です。結局は李芳遠(太宗)に暗殺されてしまうのですけどね。詳しくは→コチラの記事参照。・・・ということは、「龍の涙」とずいぶん重なるということか。アチラは1996~98年放映だったので、二番煎じのような印象は受けないか。鄭道伝役はチョ・ジェヒョン、あ、この前映画「執行者」で見たぞ。李成桂役のユ・ドングンは「龍の涙」では太宗役でした。王や英雄の物語ではないところがミソのようですね。もちろんフュージョンっぽい要素はなさそうなオーソドックスな時代劇です。

⑪挑戦100曲[도전1000곡]」(SBS)  13.5%
 昨年7月以来のランクイン。日曜日の朝8:30~の番組で、芸能人がカラオケを間違わずにどれだけ歌えるかを競うというものです。

⑫日日朝連続劇「私だけのあなた[나만의 당신]」(SBS)  13.4%

⑬ギャグコンサート[개그콘서트](KBS2)  13.4%
 ⑧位→⑬位。日曜夜(21:15~23:05)の定番のバラエティ(お笑い)番組。

⑭キム・ビョンマンのジャングルの法則inボルネオ[김병만의 정글의 법칙 IN 보르네오]」(SBS)  13.1%
 アマゾンで③位→ニュージーランドで⑩位→ヒマラヤで⑤位→カリビアンで⑨位→ミクロネシアで⑦位ときていたのに、今回の落ち込みはなぜ?

⑮「全国歌自慢[전국노래자랑]」(KBS1)  13.0%
 ⑫位→⑮位。

⑯特別企画「3度結婚する女[세번결혼하는여자]」(SBS)  13.0%
 特別企画と言っても特集とかではなく、いつもドラマなんですけど・・・。これは最近の離婚と再婚の世相を描いたドラマで、主人公オ・ウンス(イ・ジア)は25歳で婚家の激しい反対を押し切って結婚し、27歳で娘を出産したが、29歳でバツイチに・・・。その後財閥家の男性と再婚したものの、夫の浮気のため2度目の離婚をするに至り・・・。今日3月31日に自己最高視聴率(17.2%)で放送終了したとのことです。

⑰不朽の名曲2 伝説を歌う[불후의명곡2전설을노래하다](KBS2)  12.7%
 一昨年5月以来の登場。「歌謡界の伝説の歌手と人気アイドルが名曲を一緒に歌い、時代と世代を超えた感動をお届けする」という番組です。

⑱ドラマスペシャル「スリー・デイズ[쓰리데이즈]」(SBS)  12.2%
 いろいろ話題を呼んだ「星から来たあなた」の後続ドラマ。JYJのユチョンが主演で、青瓦台警護室の 警護官ハン・テギョンを演じます。大統領の暗殺をめぐる事件を背景に、大統領を暗殺者から守り抜く人々の物語。華麗なアクションがあるのかな。同名のフランス映画は関係ナシ?

⑲スターキング[스타킹]」(SBS)  11.7%
 ⑩位→⑲位。 カン・ホドンがMCを担当して、驚くべき特技・ 特徴を持つ人を世界中からから紹介するバラエティ番組。

⑳瞬間捕捉 世の中にこんなことが[순간포착 세상에 이런 일이](SBS)  11.7%
 ⑬位→⑳位。
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映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」を観て考えたこと。とくに虐待をした「加害者」のこと等。

2014-03-27 19:54:20 | 北朝鮮のもろもろ
 3月10日のユーロスペース。13:00からの「北朝鮮強制収容所に生まれて」は、9割ほど、つまり100人以上の観客の入り。平日の昼過ぎなのにこの大入りは、上映後に宇都宮健児さんのトークがあったからです。

 先に申東赫(シン・ドンヒョク)さんの手記等を読んでいたため、映画のおおよそはすでに知っていることではありましたが、それでも映像の力は大きいなと思いました。

 本に書かれていないことで私ヌルボがとくに注目したのは、収容所の元秘密警察要員のO氏と、第14号収容所の保衛員だったK氏の証言が含まれていたこと。

 K氏は14号管理所の警備員指導者、O氏は(自らも言う)ゲシュタポのような秘密警察で数百人の市民を収容所に送り込んだ後尋問と拷問、処刑を行った人物。私ヌルボの判断で、実名は避けます。ネット検索すれば名前も顔写真もあるのですが。
 しかし、印刷物や日韓のネット上の記事をいろいろ見ても、両氏の経歴については当時の職位をはじめどうもはっきりしません。
 つまり、2人とも、かつてはれっきとした「加害者」だった人たちです。

 宇都宮さんは、申東赫さんについて「人間は、人間に生まれるのではなく、周りの環境等によって人間になっていく」のであり、「家族も、(最初から家族間の愛情や結びつきがあるのではなく)家族になっていく」のだ、と感想を述べておられましたが、私ヌルボもナットク。
 それから、上記O氏やK氏のような保衛員等として収容者を虐待したり殺したりした人も、(映像でみるような)一般の人であるのもかかわらず環境によってひどいことをやってしまう。「人間とは何か」ということを考えさせる、と語っておられました。

 パンフレット中の「マルク・ヴィーゼ監督へのインタビュー」によると、「かつての司令官(K氏)と収容所の警備員(O氏)は「アシスタントをしてくれた韓国の有名な女性ジャーナリスト」が見つけてくれたとのことです。
 元警備員について、監督は次のように語っています。

 彼は職場から抜け出してきた銀行員のようなスーツ姿で現れ、カメラの前に座ると、どのようにして人を虐殺したか語った。悪びれもせずにね。その人をモンスターに仕立てたくなかったから、その私生活を映し、ごく普通の父親という側面も見せた。その日とはとても単純な加害者だった。彼が馬鹿だというつもりはないが、とてもあけすけだった。彼は、いかにして水責めなどの拷問により人を殺したか、瞬きもせずに語った。女性をどのように強姦したかについて、また、妊娠すると殺したということについても、一人称で話した。通常、加害者はもう少し距離を置いて話すものだが。“そうした習慣になっていた”とか、“その人たちはそうした”というようにね。しかし、彼はそうする必要性を感じておらず、一人称で語ったのだ。

 そしてもう1人のK氏。

 それから、アシスタントは元高官の加害者も見つけ、彼のほうがもう少し知的だろうと告げた。彼は撮影に対し大きな制限を設け、自宅には来ないでくれ、どこも取材しないでくれ、とはっきり言った。撮影場所で1回だけ撮影したら去ってくれ、とね。それは非常にすばらしいインタビューになった。

 K氏は、自分のような者が一番恐れるのは南北統一「収容所の囚人たちから報復を受けるだろう」と語っていました。また今回の取材に対しては「申東赫のことについてだけ話すつもりだったのに・・・」と独り言も・・・。つまり今の彼は、自己の過去の行跡がどのようなものであったかわかっているようです。しかし、今回の取材では、自分の立場をあやうくするような、よけいなことをつい話してしまったということ。
 そして最後に、次のように呟いていました。
 「指示通りにしただけだ」。

 今まで、いろんな本や映画で読んだり聞いたりした言葉です。

 実は、このブログ記事が遅れてしまった大きな理由は、同様の事例をいろいろ思い起こしたり調べたりしたことと、それについて考えたりしていたからです。

 映画や本では、たとえば次のような作品。
 映画:「ハンナ・アーレント」
    「私は貝になりたい」
    「アンボンで何が裁かれたか?」

 小説:シュリンク「朗読者」 ※「愛を読むひと」のタイトルで映画化。
    岩川隆「神を信ぜず BC級戦犯の墓碑銘」
 ※オーストラリア映画「アンボンで何が裁かれたか」については、ご存知ない方が多いのでは? →コチラにかなり詳しく記されています。

 これらの作品は、捕虜収容所や強制収容所で、被収容者に対する虐待や虐殺に対して、加害者である職員や兵士の責任を問うものです。

 それぞれの事例を見ると、加害者の行為や意識はさまざまです。当時も、戦争後(現在)も。
 そして、彼らに対する見解や、裁判等の結果もまたさまざまです。

 それらを分ける要素には、次のようなものがあります。

[当時]
 ・加害者の地位と権限
 ・加害のレベル。残虐さや、「職務」を超えるものだったか否か?
 ・加害者の意識。「良心の呵責」の有無。逆に、「悪い者を罰する」という「正義感」や、「職務に忠実である」ということに誇りをもっている場合も。「悪い奴に対しては何をよい」という心理から蛮行を働いた者も。

[現在]
 ・過去の自らの行為について、「よくないことをした」という意識があるか、否か?
 ・「よくないことをした」と思っている場合、強い罪責感があるか、それとも「上官・上司の命令」「当時の雰囲気」等々で「仕方がなかった」「他の選択肢がなかった」と考え、罪責感はないか?
 ・被害者等のよる糾弾や告発があるか、否か?
 ・加害者に、なんらかの同情すべき要件があるか、否か?
 ・過去の虐待・虐殺等の問題が、その後(現在)の政治的な案件と関わったものとされるか、否か?

 これらの違いにより、たとえば「私は貝になりたい」や「朗読者」の主人公は「同情的」に受けとめられます。(自分たちと同じような)ふつうの庶民が、裁かれて刑に処せられるとは・・・。本当に悪い奴は別にいるのに・・・というように。
 「当時の価値観に洗脳されていた」というのも同情・共感を引く要素のひとつ。現実の事件として、あの金賢姫が死刑宣告を受けながらも、その後まもなく特赦を受けて一市民として解放されたのも、そうした点が勘案されたのでは? (同じ「洗脳」でも、オウム真理教関係は全然違いますね。)

 では、今まで、そして今も北朝鮮の強制収容所で虐待を繰り返している「加害者」たちは将来、たとえば南北が統一されれば処罰されることになるのか?

 上述のK氏の場合は危機感を持っているということなんですね。
 一方、O氏の場合はあまりに無頓着。

 このテーマに関連する映画で、渋谷のシアター・イメージフォーラムで4月12日から「アクト・オブ・キリング」という超問題作が公開されます。
 インドネシアで、スハルトがスカルノ大統領にかわっての実権を掌握する1965~66年の2年間、各地で約50万~200万人にのぼる市民が共産党シンパとみなされて虐殺されたそうです。その虐殺の「加害者」についてのドキュメンタリーです。彼らは、上記の「罪責感の有無」どころか、なんと現在も「英雄」であり、自身それを「誇り」としているのです。
 詳しくは2月25日TBSラジオ「たまむすび」の中で町山智浩氏が「暫定今年1位!」と熱を込めて紹介しているトークをぜひ聴いてみて下さい。

  

※「アクト・オブ・キリング」の公式サイトは→コチラです。

 「北朝鮮強制収容所に生まれて」のヴィーゼ監督は「これが収容所の囚人だけについての映画だとは思っていない。むしろ、独裁政権により生き方を定められた3人についての映画だと思っている」とも語っています。
 このような虐待・虐殺事件における加害者-被害者の問題は、この映画や上記の各事例だけの問題ではなく、国家権力と個人、善悪の基準やそれに関わる行為の評価等々、人の生き方や考え方についての基本的で根源的な問題というべきものだと思います。

 私ヌルボ、今回もまた調べたり考えたりしているうちに、結論が見えてくるどころかかえって「明確に言えること」がなくなってきた感じです。あーあ・・・。

[蛇足]
 宇都宮さんのトーク、やっぱり、と言ってはなんですが、「北朝鮮の人権問題をへイトスピーチ等のネタにしたりしないで、日本の中での人権問題も考えてみてほしい」という趣旨のことも話されていました。
 ヌルボ思うに、そういう話をつけ加えるのが北朝鮮問題を日本で語る際の1つの形になってしまっていますね。他の世界各国での人権問題を論ずる場合にはこのようなことをつけ加えたりはしないのに・・・。
 そう言わざるをえない「現実」もあるでしょうが、昨年の生保の問題やヘイトスピーチ等の人権問題と、生存権からして常に危機にさらされ、すべての自由が否定されている人たちが20万人(?)もいるという北朝鮮収容所の問題とは次元が違うのではないかと思うのですが・・・。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [3月21日(金)~3月23日(日)]

2014-03-25 23:21:55 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 先週は何も観なかったなと思ってメモを見たら19日に「LIFE!」を観てました。ということは、あまり印象に残らない映画だったということか。

 仕上がっていない「予定記事」がいろいろある中、それらと関係なく昨日読み始めた韓国本「남자한테 차여서 시코쿠라니(男に振られて四国って)」がけっこうおもしろい上、実はドキュメンタリー映画がらみの本だったとは思わぬ収穫。これも近いうちに記事にします。(←いつになることか、もはや自分でも信じていない。)

 22日から<新大久保ドラマ&映画祭>が始まっていますが、私ヌルボは明日から。どうも、事前申込みがなくても席が空いていれば入れるようですよ。→コチラが「完売」になっていても。

 29日(土)からユーロスペースで「チスル」がスタートします。(→公式サイト。) 大阪朝鮮高校ラグビー部を取材したドキュメンタリー「60万回のトライ」も3月29日~4月4日朝9:50~の1回だけですが、ここで延長上映されることになりました。
 あれっ!? 神奈川県では小田原コロナシネマワールド(at国府津)でも3月29日から上映されるのかな? いつものシネマジャック&ベティでやる(日程未定)ことは承知してましたが。ヌルボは行ったことないですが、以前からちょっとユニークなラインナップだなという感じではありました。温泉とかパチンコ等々オジサンが好きそうな施設を備えているのか。もう少し近ければいいんだけどな。そういえば「7番房の奇跡」もコロナでは今、ジャック&ベティでは来月上映です。

           ★★★ Daumの人気順位(3月25日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(2224)
②弁護人(韓国)  9.5(30421)
③貪欲の帝国(韓国)  9.3(40)
④アーネストとセレスティーヌ  9.2(51)
⑤リバー・ランズ・スルー・イット  9.1(119)
⑥ベルとセバスチャン  9.1(30)
⑦あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.1(114)
⑧怪しい彼女(韓国)  9.0(2669)
⑨イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.0(82)
⑩アデル、ブルーは熱い色  8.9(129)
  
 今回の新登場は⑥「ベルとセバスチャン」だけです。ピレネー山脈地方。6歳の少年セバスチャンは祖父と一緒に羊の世話をして過ごしていますが、ある日村の羊の群れが襲われる事件が起きます。祖父や村人たちは隣村の羊飼いたちに追われた狂犬のしわざと考え、丘を探し回ります。そんな中、セバスチャンの前に大きな白い犬が現れます。それは噂とは違い、善良な瞳のおびえた犬でした。彼はベルという名前をつけて、こっそり犬の世話を始めるのですが・・・、とここまで読んで思い出す人もいるのでは? 1981~82年NHKで放映されたアニメ「名犬ジョリィ」なんですね。私ヌルボもあの主題歌の「ルルルルル・・・・」というのは憶えてるゾ。(あれは発音できず悔しかった(T_T)。) そのセシル・オーブリーによる原作本のタイトルがそもそも「ベルとセバスチャン」で、日本でアニメ化された時になぜかジョリーになったということです。それから、DAUMの作品紹介を見て首を傾げたのは、記事冒頭に「フランスとスイスの国境をなすピレネー、アルプスの丘・・・」とあること。ピレネー山脈といえばフランスとスペインの国境ではないですか! そういえば、原作の翻訳本のタイトルも「アルプスの村の犬と少年」になってるし・・・。羊飼いとか、あのイヌの雰囲気がアルプスのイメージに合っているということなのかな? あのイヌはグレート・ピレニーズといって昔からピレネーで活躍している犬種なんですけどねー。この映画を観た人のコメントを見ると、みんなアルプスと思っているようで・・・、ってこの映画ではどうなってるのかな? 韓国題は「벨과 세바스찬」、日本公開は未定のようです。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
④萬神(韓国)  8.0(3)
⑤グランド・ブダペスト・ホテル  7.8(7)
⑥アデル、ブルーは熱い色  7.8(6)
⑦そして父になる(日本)  7.6(6)
⑧アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑨物語る私たち  7.5(4)
⑩それでも夜は明ける  7.3(6)

 新登場は⑤「グランド・ブダペスト・ホテル」だけです。2014年第64回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した作品です。「ダージリン急行」等のウェス・アンダーソン監督が、群像ミステリー。舞台は1920年代の仮想の国ズブロッカ共和国。(ズブロッカといえばポーランドの酒ですよね、関係なさそうだけど。) 時間軸は1920年代と1960年代、現代の3つにまたがっていて、1980年代、インタビューを受ける作家が登場して、1960年代ジュブフカ共和国のホテルで会った老紳士の話をし始めるのですが、その老紳士が作家に語ったという話が映画の中身。なんかややこしい入れ子構造。その話の内容というのが、1920年代にホテルで起こった殺人事件にまつわるミステリー。といっても、映画ジャンルはスリラーとかではなくコメディだそうです。ホテルのコンシェルジュであるグスタフ.Hはマダム.Dと一夜を共にするのだが、その後彼女は何者かに殺されてしまいます。。彼女は「リンゴを持つ少年」という高価な絵をグスタフに譲るという遺言をしていたのですが、マダムの息子はグスタフが母を殺したと思い復讐を試みます。グスタフは絵を奪われないように、ベルボーイととその恋人力を借り、ヨーロッパ中を駆け巡って事件解明に奔走するのですが・・・。3月21日付「朝鮮日報」映画欄に、「この映画で論理を問うなかれ」との見出しでこの映画について書いた記事(→コチラ)がありました。「ざわめいた騒動で始まった映画はロマンや笑いや、ヒューマニズムに非情な時代を支えてホテルを守ったグスタフや友人を淡々と思い出して終わる。その頃グランドブダペストホテルにグスタフが必要だったように、大衆映画に飽きた今の観客にはアンダーソン監督とこの映画が必ず必要である」と持ち上げてます。韓国題は「그랜드 부다페스트 호텔」。日本公開は6月です。予告編(→コチラ)もできてます。待ち遠しいなー。

         
 【10字評でも「グランド・ブダペスト・ホテル」★4.5の高評価。「あら、これはぜひとっておかなくちゃ!」との寸評がついています。】
      
         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月21日(金)~23日(日)] ★★★

         韓国映画「優雅な嘘」も1週で首位陥落、「ノア」がダントツのトップに

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(28)・・ノア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・950,851 ・・・・・・・1,133,405・・・・・・・・8,804・・・・・・・・951
2(1)・・優雅な嘘(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/13 ・・・・・・・・・・・・333,541 ・・・・・・・1,058,871・・・・・・・・7,784・・・・・・・・573
3(4)・・ノン・ストップ ・・・・・・・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・113,149 ・・・・・・・2,013,854・・・・・・・15,551・・・・・・・・337
4(2)・・300<スリーハンドレッド>・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・99,408 ・・・・・・・1,538,341・・・・・・・12,982・・・・・・・・389
             ~帝国の進撃~
5(48)・・グランド・ブダペスト・ホテル ・・3/20 ・・・・・・・・・・・・・72,903・・・・・・・・・・83,175・・・・・・・・・・666・・・・・・・・163
6(3)・・モンスター(韓国)・・・・・・・・・・・・・3/13 ・・・・・・・・・・・・・60,329・・・・・・・・・497,199・・・・・・・・3,914・・・・・・・・361
7(6)・・それでも夜は明ける・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・・28,553・・・・・・・・・479,097・・・・・・・・3,516・・・・・・・・211
8(5)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・・26,539・・・・・・・・8,622,667・・・・・・・62,478・・・・・・・・198
9(新)・・ちびっこ英雄 警察車プロディ2・・3/20・・・・・・・・・・・・17,088・・・・・・・・・・18,301・・・・・・・・・・126・・・・・・・・257
10(新)・・ベルとセバスチャン ・・・・・・・・・3/20・・・・・・・・・・・・・16,581・・・・・・・・・・21,875・・・・・・・・・・157・・・・・・・・202
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回も、1週でトップ交代。また、4位以下が10万人にも届かないというのは前回よりも低調。まあ「アナと雪の女王」や「怪しい彼女」のような大ヒットは、そんなにあるわけはないですが、そうは言っても寂しいですね。
 今回の新登場は1・5・9・10位の4作品です。
 1位「ノア 約束の舟」は、旧約聖書の「ノアの方舟」の物語を、VFXを駆使した壮大な映像で描いた超大作です。日本公開は6月ということで、私ヌルボ、この前予告編を観たなー。公式サイト(→コチラ)
でも観られます。聖書の新解釈ってのがあるの? ノアが善良な人だったという基本は変えないのでしょうね?(ラッセル・クロウが演じるというのはイメージ的にいかがなものか?) 洪水の理由とか? 韓国題は「노아」です。
 5位「グランド・ブダペスト・ホテル」については上述しました。
 9位「ちびっこ英雄 警察車プロディ2」は、昨年4月韓国で公開されたノルウェーの3Dアニメの続編です。(昨年4月16日の記事で紹介しました。) 今回の作品は、村にやってきて動物たちを密猟していく母娘によって村の自慢の母鷲まで卵を残したまま消えてしまうという中で、プロディがおしゃべりカワウソと一緒に卵から孵った赤ちゃんワシの母親を探すために出動する、というお話のようです。韓国題は「꼬마영웅 경찰차 프로디2」。日本公開は未定。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ベルとセバスチャン ・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・16,581 ・・・・・・・・・・・・・21,875・・・・・・・・・・157・・・・・・・・202
2(1)・・ダラス・バイヤーズクラブ・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・5,939・・・・・・・・・・・・・・66,665・・・・・・・・・・506・・・・・・・・・61
3(6)・・恋のときめき乱気流・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・・3,538・・・・・・・・・・・・・・・7,112・・・・・・・・・・・52・・・・・・・・・79
4(33)・・パークランド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・・・・3,128・・・・・・・・・・・・・・・4,151・・・・・・・・・・・30・・・・・・・・110
       ケネディ暗殺、真実の4日間
5(2)・・萬神(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・2,316・・・・・・・・・・・・・・29,699・・・・・・・・・・224・・・・・・・・・37

 新登場は1・3・4位の3作品です。
 1位「ベルとセバスチャン」は上述の通りです。
 3位「恋のときめき乱気流」は、フランスのコメディ。女性アーティストのジュリーがニューヨークでの個展を終えてパリに帰国するために乗り込んだ飛行機で、隣の席に駆け込んできた男はあろうことか3年前にひどい別れ方をした元恋人のアントワーヌ。気まずい雰囲気の中で言葉を交わし始めるのですが、まだヨリを戻したがっているアントワーヌに対し、結婚を控えているジュリーはできれば口も聞きたくない。アントワーヌの窮状を見かねて周囲の乗客たちは必死に助言したりして・・・。到着まで7時間、乱気流に巻き込まれながらも飛行機はパリへと向かう・・・。日本では昨年<フランス映画祭2013>で上映されましたが、一般公開はされていません。DVDは発売されています。韓国題は「러브 인 비즈니스클래스」です。
 4位、「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」は、1963年のケネディ大統領暗殺事件の真実に迫った緊迫の4日間に焦点を当て、現場の混乱をスリリングに描いた群像劇。JFK関連の本や映画、次々といろいろ出てくるものです。パークランドとは、ケネディが搬送された病院の名。原作は元検察官の作家ビンセント・ブリオシによるエドガー賞受賞作。昨年の第26回東京国際映画祭特別招待作品で、一般公開は今年6月28日。公式サイトは→コチラです。韓国題は「더 파크랜드」。
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当面の投稿予定記事、というか、単なるメモのはずが、 開城工団関係の小説を読み始めて・・・(3/21)

2014-03-21 23:50:50 | お知らせ、その他いろいろ
 今こんな記事に取り組んでますよという予告も兼ねて、自分のメモをアップしておきます。
 適宜更新して、前のものは抹消していきます。
 ・・・というのがこの記事の趣旨ではあります、が・・・。

 今日3月21日。
 図書館でたまたま韓国の総合誌「新東亜 3月号」を流し読みしていたら、「려명(黎明)」というイ・ウォンホの小説の連載が始まっています。
 「안보연애소설(安保恋愛小説)」と銘打たれたこの小説は、ちょうど下記の記事予定①の開城工団関係を舞台にした韓国人男性社員と北朝鮮女性従業員という、いわゆる<南男北女>のラブロマンスのようです。これを書くために、イ・ウォンホは何度も現地に足を運んだそうです。大衆小説らしいテンポのいい文章なのでスイスイ読める感じ、かな?
 あ、タイトルの「黎明」が여명(ヨミョン)でなく려명(リョミョン)になっているのも北朝鮮風ですね。

 1週間ほど前のニュース(→コチラ参照)で、アメリカ側から「開城工団の労働者たちが1ヵ月に受け取る実質賃金はわずか2ドル(約206円)」とする指摘が出たことが伝えられました。
 アメリカは、以前から開城工団のあり方(or存在自体)に対して否定的で、これもその延長です。(つまり、権利も保障されていない労働者を使って、人件費を不当に低く抑えているということでしょう。)
 一方で、韓国内では賛否両論あります。
 私ヌルボとしては、5万人以上が働いているという工団の実情や韓国世論等々についてもう少し調べてから考えて書いてみようというのが予定記事①の企画意図だったのですが、この小説をもう少し読み進めてから取りかかることにしようかな? いや、それとも、とまた思案しているうちに日にちばかり過ぎていきそう・・・。

※イ・ウォンホの小説は文学的というより通俗的で、数多くの作品中『千年恨、対馬』はいくつかの日本ブログで紹介されています。(→参考。)

 さて、上とは別になんだかいろいろネットサーフィンしている中、日韓間の慰安婦問題とナショナリズムの関わりについての記事に行き当たってついつい読みふけってしまいました。結局その関連記事が次の記事になりそうです。
 下記の予定記事にいつになったら取り組むのか、自分でもわかりません。

①開城工団は肯定すべきか? 否定すべきか?
 「開城工団労働者の給与、実質賃金は2ドル」という報道をめぐって

②映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」の感想 
 <職務上の虐待&虐殺(?)>はどこまで追及されるべきか?

③韓国文化院・講演会「海峡をつなぐ陶匠400年の旅-李参平と沈当吉(沈壽官家初代)をめぐって」の感想

④[韓国の<聖地>上海 ④] そもそも、大韓民国の建国はいつなのか?

※以下は不確定

⑤ネコを極度に恐れた19世紀の朝鮮人 気絶した事例も

⑥宗廟のお年寄り事情 なんだ!?「バッカスアジュマ」というのは?

⑦張成沢の画像抹消について

⑧脱北者の手記の翻訳

⑨韓国のベビーブーマー「1958年戌年生まれ」のこと
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北朝鮮関係の記事の情報源はどうなっているのだろう?

2014-03-20 23:41:10 | 北朝鮮のもろもろ
 今日3月21日。「毎日新聞 夕刊」の特集ワイドで、鈴木琢磨記者の「横田夫妻と孫が面会 北朝鮮の思惑は」という記事(→コチラ。会員制)が掲載されています。

 それによると、ウランバートルでの横田夫妻と孫娘との面会のニュースは3月16日の「読売新聞」(→コチラ)のスクープだったんですね。政府の情報関係者もそれを見て知ったとか。

 で、この鈴木琢磨記者といえば、あの佐藤優氏が信頼を置いているという北朝鮮情報通で、そういえば共著も刊行していますね。(→コチラ。) また、TVでもコメンテーターとしてちょくちょく(?)顔を出しているようです。
 その一方、「毎日新聞 夕刊」では2006~09年に「今夜も赤ちょうちん」という洒脱な連載記事を載せていました。(→その後ちくま文庫で刊行。)

 私ヌルボ、以前その居酒屋めぐりの記事を読みながら、鈴木記者も今は北朝鮮取材の最前線から退いて、のんびりとベテラン記者生活を過ごしているのかなと思ったりもしたのですが、そうでもないみたいですね。

 しかし、鈴木琢磨記者にしてもスクープをした読売の記者にしても、どういうふうにして情報を得るのでしょうか? 
 ※今日の夕刊の鈴木記者の記事中にも、「平壌の活動家マニュアルともいうべき「祖国繁栄の偉大な旗 金正日愛国主義」(社会科学出版社)をつい先ごろ入手した」というようなことがさらっと書かれているし・・・。

 報道記事記事には、「○○によると・・・」と情報源を明記しているものもあれば、「消息筋によると・・・」とぼかしているものもあります。
 そして上記の「読売」のスクープ記事の場合は、(横田夫妻等は)「今月10~14日、モンゴルのウランバートルで、初めて面会していたことが分かった」と書かれているだけで、「なぜ分かったのか」については記されていません。「徹底したかん口令」をも乗り越えるような「特別な人脈」でもあったのでしょうか?

 ところで、最近私ヌルボが情報ルートについてあれこれ考えさせられたのは「文藝春秋」3月号掲載の「米太平洋軍が傍受した張成沢粛清の内幕」という記事。「北朝鮮の核と弾道ミサイルを牛耳る真のナンバー2の「正体」」という副題がついていて、内容は要するに金正恩は崔竜海等の軍のトップのロボットのようなものではなく、逆に彼らを抑える強い権力を持つに至っているということ。そして彼に影響力を持つ人物はというと、金日成に繋がる<白頭血統>で、とくに金正恩の腹違いの姉の金雪松(キム・ソルソン.39歳)とその夫のシン・ボクナムということ。
 この記事は、意外性に乏しい韓国・朝鮮記事がアマタ出回っている中、なかなか興味深い内容でした。(「さすが文藝春秋!」とちょっと思ったものの、今出ている4月号の「朴槿恵「反日大統領」の深い孤独」はどうということのない記事でした(笑)。)

 で、どういうところが興味深いかというと、崔竜海なんかも金正恩の前では平伏していて、とてもああしろ、こうしろというような口の聞ける関係ではないとか、シン・ボクナムは金正恩とうちとけた雰囲気で話していたとか、ディーテイルが書かれている点。
 それらは、記事の副題にあるような米太平洋軍の傍受でも、そしてもちろんスパイ衛星でも知りえない屋内のことではないですか。
 そんな内部情報がどんな経路で、よりによって、この記事の筆者である評論家・田中博氏のところに入ってきたのでしょうか?
 それについては何も書かれていません。
 記事の最初の方にあるように、北朝鮮内に潜入するにも白人ならすぐに目についてしまうし・・・。(何かの仕事を装って「情報収集」をしている人はいるかもしれませんが。)
 そこで参考になるかもしれないのが昨年12月13日付「中央日報(日本語版)」の「金正恩、「白頭の血統」も崩すか…北の権力構図「運命の17日」」という記事。(→コチラ。)
 そこではすでに「国会外交通商委所属の民主党・洪翼杓(ホン・イクピョ)議員は11日に開かれた安保討論会で「金雪松が労働党組織指導部で重要職責を担っており、張成沢の粛清を主導した」として「金雪松と夫のシン・ボクナムが今後、権力の核心に浮上する可能性が大きい」と主張した」と記されています。
 ・・・ということは、韓国の国家情報院あたりがからんでいるのか・・・。
 権力層内部の、それもごく内輪の具体的な情報が外に漏れると、関係者が少ないほど漏洩者が絞られます。 そんなことも関係して、虚々実々の駆け引きのようなものもあるようです。(わざとウソの情報を流すとか・・・。)

 そのあたりの内幕もわからないわれわれ読者としては、確実なこととそうでないことを見分けながら、また「どんな意図の下にその情報が流されているのか」等も考えながら、100%うのみにしないで接するしかないということでしょうか。
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「週刊ポスト」(3月28日号) <韓国軍はベトナムで何をしたのか>について ・・・・ ライダイハンのこと等

2014-03-19 19:37:04 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 ぼちぼち一般週刊誌にも取り上げられるだろうな、と思っていたら案の定。

 現地発緊急レポート「韓国軍はベトナムで何をしたのか」と題して、「遂に自国内で告発されたレイプ、慰安婦、民間人虐殺」について書いています。

 これまでも、ベトナム戦争での韓国軍の所業についてはいろんなところで指摘されたりはしてきましたが・・・。

 その内容の詳細についてはここでは略します。

 しかし「ライダイハン(라이따이한)」という言葉は、最近わりと知られるようになってはきましたが、まだ一般的にはなっていないようなので、少し説明しておきます。
 これは「韓国人兵士による現地ベトナム人女性に対する強姦などの性的交渉によりもうけられた子供」のことです。その数ははっきりしません。1500人~3万人ぐらいと幅があります。
 この言葉は「ライ(𤳆.混血児の卑語)+ダイハン(大韓)」というベトナム語の合成語で、差別語です。・・・と、日本版ウィキペディアの「ライダイハン」の説明にあります。(→コチラ。)

 「週刊ポスト」(→公式サイト)には、「国民はこの事実を知らされていない」とありますがそれは間違いで、ウィキペディアの説明文中にもあるように、ベトナム戦当時韓国軍の起こした虐殺事件については進歩系の週刊誌「ハンギョレ21」が1999年記事を掲載したのが最初。この時は「退役軍人ら2000人余りがハンギョレ新聞社に乱入」するといった騒ぎもありました。
 また、その後ライダイハンについても1996年MBCの報道特集や2007年SBSのドキュメンタリー番組等のTV番組で報じられました。経済成長後東南アジア勤務の韓国人男性と現地女性との間に生まれた「新ライダイハン」も問題化されました。(2007~08年のSBSのドラマ「黄金の新婦」もそうした背景の下で作られました。)
 ※しかし、ライダイハンや新ライダイハンという言葉を韓国人の多くが知っているというわけでもないようです。googleのヒット数は約68,800件で、「少ない」と言ってよさそうです。
 ※1996年のMBC報道特集「ライダイハン」(42:45)は、昨年(2013年)4月YouTubeにアップされています。コチラ。韓国語がわからなくても、映像でおおよその内容はつかめるのでは? コメントを見ると、良心的な人もいれば、「妄言」をカキコしている人もいます。

 そして最近の報道では、3月8日付の「朝日新聞」に<「韓国軍のベトナムでの性暴力、謝罪を」元慰安婦ら会見>という記事がありました。(→コチラ。)
 韓国人の元日本軍慰安婦と支援団体代表らが7日、ソウルで記者会見し、ベトナム戦争に参戦した韓国軍による「ベトナム人女性に対する性暴力や民間人虐殺」について、「韓国政府が真相を究明し、公式謝罪と法的責任をとるように」と訴えた。
 ・・・というものです。
 イジワルな見方をすれば、ライダイハンその他、韓国軍の過去の「蛮行」を無視したままだと、日本に対する抗議や要求運動にとって障害になると判断したから・・・、かもしれません。が、だからといって非難するものでもないと思います。(今後、北朝鮮の強制収容所等々の人権問題を追及するようなことがあればヌルホも認識を改めますが・・・。)

 また、韓国版ウィキペディアで「라이따이한」の項目(→コチラ)を見てみて気づいたことは、日本版との大きな違いです。
 日本版に書かれているベトナム戦争での「韓国軍の虐殺行為」と「虐殺行為の詳細」については全然記述ナシ。上記のような「強い抗議」が予想されるからか、「事実認定」に問題があるからか? それとも・・・。

 私ヌルボが思うに、どこの国であれ民族であれ、不当な虐待・虐殺は当然否定され批判されるべきものです。
 ただ、それが国際政治の道具とされるとなると話は別です。
 およそどの国も歴史をだどればスネの傷は多々あるのが当然。相手側のスネの傷だけをあげつらって非難すると泥仕合に陥るばかりです。
 どうも、熱く議論しあっている日本人も韓国人も、自分の持つ民族的アイデンティティといったものに囚われすぎているようです。(もちろんそれは日本よりは韓国、韓国よりは中国の方が強いですが、日本も同じ文脈で対抗するのはいかがなものか・・・。)
 殺害した人数の多さはその加害国(民族)の残虐性の指標でもないし、100万人殺した国が別の所で100万人殺されたからといって「差し引きゼロ」で清算されるわけでもありません。
 国単位の発想からしばし離れて歴史をみる視点が必要だと思います。

 今重視されるべきことは、過去、とくに近代以降の国民国家体制の中で繰りひろげられてきた数々の悲劇を、今後は決して繰り返さないという意思・姿勢・施策を明確に示すこと。そして人権と平和という普遍的価値観の確認です。
 それが見えてこないと、「反省」も「謝罪」の言葉もウソっぽく見えてしまいます。
 一方、「要求」や「抗議」をする側にとってもそれが基調になっていないと、単に昔のことに言いがかりをつけて補償を得ようとしている、とか、(普遍的な人権ではなく)民族的自尊心を満足させるためにやっていると見られてしまいます。

 現在展開されているような「対立」は、皮肉にも普遍的価値の確立とは逆方向に進んでしまっている部分が大きいようです。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [3月14日(金)~3月16日(日)]

2014-03-18 20:19:35 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「北朝鮮強制収容所に生まれて」の感想、「さっそく」どころかまだアップしてないです。本の方にはなかった収容所で虐待をしていた人たち(やはり脱北者)が証言する場面もあったりして、あれこれ考えたもののまとまりきらず。
この映画のユーロスペースでの上映は4月下旬まで延長となりました。未見の方、ぜひどうぞ。
 今後も3月15日~名古屋シネマスコーレ、29日~大阪シネヌーヴォ、さらに全国各地での上映が続きます。詳しくは公式サイト(→コチラ)で。
 また<アムネスティ>のサイト(→コチラ)では、映画の紹介とともに、ハガキアクションのご案内もしています。

 この1週間の映画鑑賞は「ある精肉店のはなし」1本だけ。これはとても見応えがありました。キネマ旬報ドキュメンタリー部門第2位というのもナットク。

 横浜市立図書館の新聞閲覧台で「朝鮮日報」が読めるのはいいのですが、数日遅れなのは詮方なしか。今日14日(金)付の映画欄を開くと、大きな記事の見出しが「20代 여배우 가뭄・・・반갑다, 女優<여우>비(20代女俳優日照り ・・・うれしい女優雨)」
 つまり最近目立った20代女優がいない中、最近作で主役を演じている3人の若手女優にスポットを当てた記事です。

       
  「怪しい彼女」が大ヒット中のシム・ウンギョン(20歳.右)は「サニー 永遠の仲間たち」で主人公の高校生時代を演じた頃と比べてずいぶんふっくらした感じ。最近では「スノーピアサー」に出ていたコ・アソン(22歳.中)は公開中作品での高校生役も不自然ではありません。キム・ゴウン(23歳.左)は私ヌルボは未見。デビュー作「ウンギョ 青い蜜」(2012)は先月DVDが発売されましたが・・・。】

 여우には女優と狐の両義があって、여우비つまり여우(狐)+비(雨)は天気雨の意。つまり女優日照り(가뭄)の中でのめぐみの雨という言葉遊びですね。
 この記事には、昨年の興行成績20位以内の作品と、出演女優の年齢の表も載っています。

          
 【順位・作品名・主演女優・年齢。日本の新聞でこんな表を掲載したら、女優さんたちの目が三角になるかも・・・(笑)。】

 これを見るとたしかに、ですね。記事によると、近年は才能と容貌を兼ね備えた女性芸能人のタマゴは俳優よりもアイドル歌手になりたがる、というのがこの「20代女優日照り(飢饉)」の大きな要因なのだそうです。

           ★★★ Daumの人気順位(3月18日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(2190)
②弁護人(韓国)  9.5(30390)
③アーネストとセレスティーヌ  9.3(48)
④貪欲の帝国(韓国)  9.3(38)
⑤ワン チャンス  9.2(38)
⑥リバー・ランズ・スルー・イット  9.1(117)
⑦あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.1(113)
⑧怪しい彼女(韓国)  9.0(2642)
⑨遭難者たち(韓国)  9.0(56)
⑩イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.0(80)

 いろいろ入れ替わりはありましたが、今回の新登場は⑤「ワン チャンス」だけです。日本でも3月21日(金)公開で、すでに諸情報が流されているので説明は略します。韓国題は「원챈스」。「ウォンチェンス」です。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
④萬神(韓国)  8.0(3)
⑤アデル、ブルーは熱い色  7.8(6)
⑥そして父になる(日本)  7.6(6)
⑦アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑧物語る私たち  7.5(4)
⑨それでも夜は明ける  7.3(6)
⑩あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)

 新登場は⑧「物語る私たち」だけです。カナダの女優兼監督サラ・ポーリーの「テイク・ディス・ワルツ」に続く監督作品ですが、これはドキュメンタリー。昨年の<山形国際ドキュメンタリー映画祭>でも上映されました。その公式サイト中の作品紹介(→コチラ)によると、「監督が、母親の生き方と自らの出自における隠された真実を探っていく。ドキュメンタリーとフィクションというジャンルの境界を軽々と飛びこえる、創意に溢れた個人史的映画」ということです。そういえば、<映画評論家、町山智浩さんの2013年映画ベストテン>(→コチラ)の中にこの作品も入っていたなー。原題は「Stories We Tell」で、韓国題は「우리가 들려줄 이야기(私たちが聞かせてあげる話)」です。日本での一般公開は未定、かな。

      
 【先に書いた「朝鮮日報」の映画欄中の<今週公開映画 10字評>では、「物語る私たち」は「われわれが聞きたい物語。★★★★」とあり、唯一の★4つ。】

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月14日(金)~16日(日)] ★★★

         久しぶりに韓国映画「優雅な嘘」がトップに

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(23)・・優雅な嘘(韓国) ・・・・・・・・・・・・3/13 ・・・・・・・・・・・・447,448 ・・・・・・・・・517,708・・・・・・・・3,860・・・・・・・・555
2(1)・・300<スリーハンドレッド>・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・303,278 ・・・・・・・1,328,922・・・・・・・11,332・・・・・・・・485
             ~帝国の進撃~
3(新)・・モンスター(韓国)・・・・・・・・・・・・3/13 ・・・・・・・・・・・・287,748 ・・・・・・・・・357,494・・・・・・・・2,846・・・・・・・・527
4(2)・・ノン・ストップ・・・・・・・・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・227,868 ・・・・・・・1,824,966・・・・・・・14,124・・・・・・・・373
5(3)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・・68,770 ・・・・・・・8,568,125・・・・・・・62,083・・・・・・・・299
6(4)・・それでも夜は明ける ・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・・67,614・・・・・・・・・420,127・・・・・・・・3,157・・・・・・・・238
7(31)・・ワン チャンス ・・・・・・・・・・・・・・・3/13・・・・・・・・・・・・・・47,261・・・・・・・・・・58,635・・・・・・・・・・439・・・・・・・・329
8(6)・・アナと雪の女王・・・・・・・・・・・・・・1/16・・・・・・・・・・・・・・40,767・・・・・・10,263,662 ・・・・・・・82,215・・・・・・・・286
9(5)・・ポンペイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/20・・・・・・・・・・・・・・20,599 ・・・・・・・1,364,183・・・・・・・10,234・・・・・・・・171
10(新)・・エンドレス・ラブ ・・・・・・・・・・・・3/13・・・・・・・・・・・・・・11,713・・・・・・・・・・16,264・・・・・・・・・・123・・・・・・・・210
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 このところ、トップの座は週替わりが続いています。今回も同様ですが、韓国映画は久しぶり。
 ただ数字的には4位まではまずまずといったところで、5位以下は10万人にも届かず、全体的に低調。
 今回の新登場は1・3・7・10位の4作品です。
 1位「優雅な嘘」は、上記コ・アソンの主演作。マートで働いて生計を立てている母ヒョンスク(キム・ヒエ)。他人には関心がない姉のマンジ(コ・アソン)と、優しく気立てのよい妹のチョンジ(キム・ヒャンギ)。ある日突然チョンジが亡くなる。つまり自殺。明るかったチョンジの死に悲しみにくれるが、彼女がいない人生に慣れるよう努力するヒョンスクとマンジ。そんなある日、偶然にマンジはチョンジの友人から家族が知らなかった秘密の話を聞く。その中心には、チョンジと最も親しかったファヨン(キム•ユジョン)がいることを知ることになる。チョンジの秘密を探すマンジは、真っ赤な毛糸の中にチョンジが残していったメッセージがあることを知る・・・。(理由は、なんとなくわかるでしょ?) キム•ユジョンは、あの「トンイ」の子役ね。今、中3かな? 先に紹介した「朝鮮日報」の映画欄<10字評>には「10代とその親はぜひ観覧!★★★」とあります。原題は「우아한 거짓말」です。
 3位「モンスター」は、これも上述のキム・ゴウン主演のスリラー。露天商をしながら妹と暮らすポクスン(キム・ゴウン)。少し変わっている彼女は町内で「ミッチンニョン(気違い女)」と呼ばれている。ある日彼女の前に現れた冷血殺人魔テス(イ・ミンギ)は秘密を隠すためポクスンの妹を殺す。妹の復讐のために刃物を手に持ち彼を追撃するポクスン。その殺人を終わらせるためにポクスンを追うテス。2人のモンスターの息の詰まる追撃が始まる!・・・ということで、ポスターを見るとキム・ゴウンなんか「ウンギョ」で見せた色気はどこへ行ったんだ!?という怖ろしい姿に変身。いやー、たいしたもんだのー。ただ、この手の殺人鬼追撃というのは「チェイサー」とか「悪魔を見た」とか凄いのがあるからなー・・・。原題は「몬스터」です。
 7位「ワン チャンス」は、前述のように21日から日本公開につき説明省略。
 10位「エンドレス・ラブ」は、あのブルック・シールズが注目された1981年のフランコ・ゼフィレッリ監督作品のリメイク、ということは、あの男性版八百屋お七(??)のような展開なのかな、今回も。韓国題は「엔들리스 러브」です。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・ダラス・バイヤーズクラブ・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・8,063・・・・・・・・・・・・・・54,360・・・・・・・・・・435・・・・・・・・・53
2(3)・・萬神(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・5,269・・・・・・・・・・・・・・23,800・・・・・・・・・・180・・・・・・・・・58
3(4)・・遭難者たち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・1,993・・・・・・・・・・・・・・12,046・・・・・・・・・・・93・・・・・・・・・29
4(新)・・Love Letter(日本) ・・・・・・・・1999/11/20・・・・・・・・・・・・・1,789・・・・・・・・・・・・・・47,247・・・・・・・・・・345・・・・・・・・・・1
5(7)・・舟を編む(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/20・・・・・・・・・・・・・・・773・・・・・・・・・・・・・・12,686・・・・・・・・・・・99・・・・・・・・・・3

 新登場は4位「Love Letter」だけ、といっても、あの岩井俊二監督の佳作の再上映。韓国題は「러브레터」です。
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[韓国の食文化] 韓国のふりかけ事情

2014-03-16 22:23:38 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 「リンゴ ミカン」、「クリ カキ」の→「と」を韓国語で何というか?
 私ヌルボがずっと昔に読んだテキストには、「사과 귤」、「밤 감」のように「」とありました。その後「하고」が「会話ではよく使われる」というのが出てきて、さらに「」という語を知ったのがそのまた何年か後だったと思います。
 つまりは、これも「かしこまった言葉からだんだん日常的な言葉になってきた」という韓国語テキストの一般的な流れの中の1つなのかもしれません。
 一応整理しておくと、「와・과」は書き言葉、「하고」は書き言葉と話し言葉、「랑」は話し言葉で用いられるということです。

 昨日のハングルサークルで、これらについての話の中で「밥이랑(パビラン)」のことを教わりました。そのまま訳すともちろん「ご飯と」なんですが、この言葉が韓国ではふりかけの商品名になっている、ということです。

 帰宅してからいろいろネット検索した結果、いろんなことがわかってきました。

 発売元は大手食品会社のCJ第一製糖。海鮮味・カツオ海苔味・野菜味・カレー味・チーズ味の5種類出ているようです。

     
          【パビランの野菜味。】

 韓食の専門家・八田靖史さんのサイト<韓食日記>には、2008年1月の記事でこのパビランについて紹介されていました。(→コチラ。)
 それ以前では、2006年の<韓国B級グルメ>の記事中にチーズ味(→コチラ)や「カレー味」(→コチラ)をお子様たちと一緒に食べてみたという方の感想が載っていました。チーズ味については私ヌルボも「いかがなものか?」と思ったのですが、この記事によると「あつあつご飯にふりかけると、粉チーズの香りがすごいです。娘は「くさーい!」とか言っちゃって、全然食べてくれませんでした(T_T)」とのこと。カレー味の方は「期待を裏切らない味」だったとあります。

 上記の八田靖史さんの記事の中で、ヌルボがちょっと考えたのは「1袋がだいたいごはん2~3膳分という感じ」という分量の多さと、「ごはんに直接かけるときは塩気が強いので、量を調節しながら、かけるように」と注意書きにも記されているほどの塩気の強さのこと。
 で、思ったのは、日本のふりかけと韓国のパビランでは使い方が少し違うのでは?ということ。
 確かめてみたら、案の定でした。
 日本では、ふりかけは文字通りご飯にふりかけて食べるというのがオーソドックスな、というか、当たり前の食べ方。
 ところが、韓国ではパビランをふりかけて食べる(밥이랑을 뿌려 먹다.)というのもいろんな使用法の1つと理解した方がいいようです。

 たとえば下の画像のように、袋にいろんなメニュー例が描かれています。

      
     【ちょっと読み取りにくいですが、詳しくは後述。】

 また、たとえば下の画像の海鮮の袋には、ご飯に混ぜていなり寿司に詰めた写真が印刷されています。

      

 →コチラの韓国ブログにも、パビラン4種類でそれぞれ混ぜご飯を作って、いなり寿司に詰める過程が画像付きで詳しく書かれています。
 最初の画像でも、おにぎりの表面にふりかけているのではなく、混ぜご飯になっているようですね。

 やっぱり、韓国人の「混ぜて食べる」という基本形はふりかけについてもほとんど揺るぎないのでは、と思います。

 ふりかけという言葉は、韓国語でも「후리카케(フリカケ)」とそのままの形で使われることもあるようで、韓国ウィキペデアにもその項目があります。(→コチラ。)
 その説明文中にも、「韓国では、ふりかけを通常ゴマ油もしくはエゴマ油をかけてのように混ぜて食べる」と記されています。また「おこげ、お粥、ビビン麺、玉子焼き、玉子蒸し(ケーランチム)、チャーハンなど様々な食品に入れて食べることもある」とも。先の袋記載のメニュー例の通りですね。

 ウィペディア日本版の「ふりかけ」の項目(→コチラ)と韓国版(→コチラ)を比べて、「あれっ!?」と思った点が1つありました。
 その歴史についての説明文です。日本語版は次の通り。

 ふりかけの起源については、美味滋養を目的として大正時代から昭和初期にかけて数ヶ所で考案されたといわれており、業界団体の全国ふりかけ協会では、熊本県で売り出された「御飯の友」という商品を、ふりかけの元祖として認定している。小魚を尻尾も内臓も問わず粉砕して、一種の栄養補助食品と成したことで軍隊でも重宝された。子供のための食べ物になったのは、戦後しばらくしてのことである。

 一方、韓国版では、その歴史について最初から次のように記されています。

 ふりかけは、日本軍の戦闘食糧として送るために作られた食品である。戦争当時は日本人の主食であった魚を海から遠く離れた大陸まで運搬するのが大変だったため、日本は調味料と同様の形態の、携帯が容易で、美味しいふりかけを作った。

 また<エンハウィキミラー>(→コチラ)では、「本来、古くから存在していた調味料が、現在の姿と同じように作られたのは、日露戦争当時、日本軍が戦闘食糧に編成してからだ」とより具体的に記しています。

 うーむ、ここらへんにもビミョーに歴史認識の違いが・・・?(笑)

 その<エンハウィキミラー>によると、「ふりかけ」の呼称について、「2013年4月国立国語院が公募で후리카케(ふりかけ)のハングルの名前を맛가루(マッカル.味粉)に選定した」とも書かれています。(英語の外来語はOKでも、日本語そのままの言葉はダメなようです。)
 Google検索すると、밥이랑のヒット数が10,200,000件であるのに対し、맛가루は19,800,000件で、この新語は1年足らずの間に相当浸透したと言ってよさそうです。(ちなみに후리카케のヒット数は57,200件です。)

 また、先の八田靖史さんの記事で、「他社からもこうしたふりかけ商品は出ているのでしょうか」とも書かれていました。
 調べてみたところ、他の食品会社大手のオットゥギからは「밥친구(パプチング.ご飯の友)」、またロッテマート(Wiselectブランド)からは「밥 과 함께(パプクァハムケ(ご飯と一緒に))という製品が出ているようです。

       
   【パプチングの海老&チーズ味。どんな味がするのでしょうか?】

 今度韓国に行った時に直接確認してみます。もしかして、新大久保とか横浜でも売ってるかな?
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [3月7日(金)~3月9日(日)]

2014-03-11 22:16:28 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 スペイン映画「ブランカニエベス」は、タイトルも意味不明だし、ポスターも(白黒映画で)暗い感じで最初から度外視している映画ファンがけっこういるのでは? 一昨日シネマジャックで観たら、期待通りで大正解。白雪姫のとても巧みな翻案。タイトルはスペイン語で白雪姫。スペイン人がなぜあんなに闘牛に熱狂するか、以前から全然わかりませんでしたが、10%くらいわかるようになりました。って、「わかる」と言えるレベルじゃないですね(笑)。

 続いて昨日はユーロスペースで「北朝鮮強制収容所に生まれて」を観てきました。さっそく感想を書き始めたのですが、いろいろ手間取って未完成。たぶん明日アップします。
 そしてもう1つ。同じ渋谷で「シネマパラダイス★ピョンヤン」をハシゴ鑑賞。前者は宇都宮健児さんのトークもあったためか100人を超える入りだったのに対し、後者はその約40分の1(!)の3人。対照的といえば、それよりもまず内容なんですけどね。北朝鮮社会の最上層と最下層、どちらもフツーの北朝鮮住民にはあまりなじみのない映像ではないかと思うのですが、そのフツーの北朝鮮住民を映し出した映画が非常に少ないのがはがゆいところ。以前の「家族の問題」シリーズのようなのを観てみたいのですが・・・。

 明日はシネマート六本木で上映中の「おもちゃ~虐げられる女たち~」を観に行くかな? これもなんだかなーという内容で、全然期待感・昂揚感がないんだけど・・・。えっ、10:40~の1回だけ!?

 3月21~30日の<新大久保ドラマ&映画祭>の申し込みは、作品にもよりますがまだわりと残っています。→コチラを参照されたし。私ヌルボの鑑賞予定は、映画3作品かな? たぶん。

           ★★★ Daumの人気順位(3月11日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(2114)
②弁護人(韓国)  9.5(30343)
③アーネストとセレスティーヌ  9.3(44)
④ダラス・バイヤーズクラブ  9.2(69)
⑤リバー・ランズ・スルー・イット  9.2(114)
⑥遭難者たち(韓国)  9.1(43)
⑦貪欲の帝国  9.1(30)
⑧イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.1(79)
⑨あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.1(112)
⑩怪しい彼女(韓国)  9.0(2604)

 今回の新登場は④⑤⑥⑦の4作品です。
 ④位「ダラス・バイヤーズクラブ」は日本でも2月22日から公開されています。3月6日公開の韓国よりも2週間も早いとは画期的! 韓国題は「달라스 바이어스 클럽」です。
 ⑤位「リバー・ランズ・スルー・イット」はもちろん1992年制作のアメリカ映画。名作の再上映はブームというよりもふつうのことになってきてる? 韓国題は「흐르는 강물처럼(流れる川のように)」なので、一見しただけではわかりませんでした。
 ⑥位「遭難者たち」は昨年ハワイ国際映画祭で大賞を受賞した韓国のスリラー。「昼間から呑む(昼酒)」のノ・ヨンソク監督の第2昨です。1人で江原道の深い山の持ち主のいないペンションを訪ねてきたシナリオ作家サンジン(チョン・ソクホ)は、そこで町の青年ハクス(オ・テギョン)に出会い、助けを受けます。しかしハクスが出所したばかりの前科者であることを明かすと、過度に親切な彼が負担に。その上、周辺をうろつく猟師や一晩だけ泊まらせてほしいという人もやってきて、不安と怖れが募る中、客の1人の流血死体が発見される。大雪に閉ざされたペンションという1つの密室での事件。誰が犯人なのか分からない中、さらに信用できない警察まで登場して、事件は予想もできない結末へ・・・。韓国題は「조난자들」です。
 ⑦位「貪欲の帝国」は韓国のドキュメンタリー。サムソン電子の従業員で白血病で亡くなったファン・ユミさんの父親ファン・サンギさんのサムソンとの闘争過程を描いた映画「もう一つの約束」が多くの観客を集めさまざまな話題をよびましたが、このドキュメンタリーもサムソンのために病気にかかった人々や、命を奪われた人たちのことと、彼らを無視する韓国社会を描いたものです。脳腫瘍、うつ病、乳ガン等々を発症して今も苦しんでいる人たちが大勢いるそうで、<レイバーネット>の記事によれば、労働災害の情報を提供したサムスンの労働者は合計180人で、そのうち66人はすでに亡くなっている、とありました。この映画の原題は「탐욕의 제국」です。
 ※サムソンという会社は、「これほど国民の反感を買っている企業は世界でも珍しい」といわれる一方、韓国人が最も働きたい企業で、2013年10月に実施されたサムスングループの新卒者採用試験には、採用枠5500人に対し約10万人が応募したそうです。・・・というような内容の<サムスン告発映画が韓国でヒットする“理由”>と題した記事(2月26日付)が産経新聞のサイト中にありました。(→コチラ。)

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
④萬神(韓国)  8.0(3)
⑤アデル、ブルーは熱い色  7.8(6)
⑥風景(韓国)  7.7(4)
⑦そして父になる(日本)  7.6(6)
⑧アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑨それでも夜は明ける  7.3(6)
⑩あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  7.3(3)

 新登場は④「萬神」だけです。昨年坡州(パジュ)で開かれた<第5回DMZ国際ドキュメンタリー映画祭>で開幕作として招待されたパク・チャンギョン監督(パク・チャヌク監督の弟)の作品。韓国の人間国宝キム・クムファ(金錦花)さんは1931年生まれの偉大なムーダン(巫堂.巫女)で、クッ(祈祷舞踊)の天才とされるそうです。そんな彼女のドラマチックな生涯を、黄海道の海辺で孤独に育った幼児期はキム・セロン、17歳で神が降りてきた後はリュ・ヒョンギョン、1970年代セマウル運動下のの苦難の時代はムン・ソリと、3女優がファンタジーに満ちた再演ドラマとして演じています。原題の「만신(マンシン)」は固有語で「巫女の尊敬語」なのだそうですが、同じ音の「萬神」という漢字語も用いられるそうです。ソン・ガンホやチェ・ミンシクも「必ず観てください!」と言ってることだし、そうでなくても期待度大ですよ、この作品。ということで、予告編の動画を載せておきます。

    

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[3月7日(金)~9日(日)] ★★★

         どこまで伸びる?「怪しい彼女」 3位と依然健闘

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・300<スリーハンドレッド>・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・661,903 ・・・・・・・・・782,900・・・・・・・・6,809・・・・・・・・720
             ~帝国の進撃~
2(1)・・ノン・ストップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・2/27・・・・・・・・・・・・395,827 ・・・・・・・1,464,419・・・・・・・11,377・・・・・・・・508
3(3)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22・・・・・・・・・・・・145,176 ・・・・・・・8,432,073・・・・・・・61,088・・・・・・・・345
4(6)・・それでも夜は明ける・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・108,198・・・・・・・・・299,550・・・・・・・・2,263・・・・・・・・316
5(2)・・ポンペイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・・97,098 ・・・・・・・1,310,412・・・・・・・・9,849・・・・・・・・383
6(5)・・アナと雪の女王・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・・96,096・・・・・・10,198,462・・・・・・・81,706・・・・・・・・421
7(4)・・チラシ:危険な噂(韓国) ・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・・78,626・・・・・・・1,181,334・・・・・・・・8,820・・・・・・・・333
8(44)・・ダイアナ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06・・・・・・・・・・・・・・27,081・・・・・・・・・・39,326・・・・・・・・・・286・・・・・・・・266
9(34)・・ダラス・バイヤーズクラブ・・・・・3/06・・・・・・・・・・・・・・25,410・・・・・・・・・・34,004・・・・・・・・・・278・・・・・・・・136
10(9)・・神が送った人(韓国)・・・・・・・・・2/13 ・・・・・・・・・・・・・18,471・・・・・・・・・393,695 ・・・・・・・・2,865・・・・・・・・154
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 先週の1位「ノン・ストップ」も1週天下に終わり、今度は「300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~」が新登場でとって代わりました。徐々に数字は減ってきているものの、「怪しい彼女」が3位と粘っています。
 今回の新登場は1・8・9位の3作品です。
 1位「300<スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~」は古代ギリシャのスパルタ軍とペルシャ軍の激戦を再現した歴史アクション「300<スリーハンドレッド> (2007)」の続編。ギリシアの市民たちがペルシア王クセルクセスとアルテミシアを相手に大海原で壮絶な戦いを繰り広げます。韓国題は「300: 제국의 부활(300:帝国の復活)」。日本公開は今年6月です。
 8位「ダイアナ」は、日本では昨年公開。韓国ではなんで遅れたのかな? 韓国題は「다이애나」。
 9位「ダラス・バイヤーズクラブ」は上述のように日本ではもう公開されています。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(10)・・ダラス・バイヤーズクラブ・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・25,410・・・・・・・・・・・・・・34,004・・・・・・・・・・278・・・・・・・・136
2(23)・・フィッシュ&チップス 劇場版 ・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・9,505・・・・・・・・・・・・・・10,380・・・・・・・・・・・72・・・・・・・・158
3(17)・・萬神(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・7,470・・・・・・・・・・・・・・13,063・・・・・・・・・・・99 ・・・・・・・・・87
4(15)・・遭難者たち(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・3/06 ・・・・・・・・・・・・・4,637・・・・・・・・・・・・・・・7,762 ・・・・・・・・・・・60・・・・・・・・・46
5(2)・・アーネストとセレスティーヌ ・・・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・・2,321・・・・・・・・・・・・・・46,735・・・・・・・・・・314・・・・・・・・・44

 前回とがらっと替わって1~4位が新登場。
 1位「ダラス・バイヤーズクラブ」については前述しました。
 2位「フィッシュ&チップス 劇場版」は、韓国ではおなじみ(?)の日米以外のアニメ。これはカナダです。フィッシュは魚だとして、チップスというのは何者かと思って予告編を見たら子ネコなんですね。で、そのチップスがフィッシュがかけているご先祖様の骨製の首飾りを奪おうとして・・・ということのようなんですが・・・。韓国題は「피쉬와 칩스 극장판」。フィッシュは韓国語ではピシ。
 3位「萬神」、4位「遭難者たち」については上述しました。
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『植民地時代の古本屋たち』-昭和前期の朝鮮・台湾・樺太・満洲等- こういう本、よく作ったものです

2014-03-11 16:13:44 | 韓国・朝鮮に関係のある本
 川崎に映画を観に行った時など、たいてい立ち寄るのが古書店・近代書房
 昨日行った時目にとまったのが『植民地時代の古本屋たち』という本。中をみると、樺太・朝鮮・台湾・満洲・中華民国の往時の日本古書店のことが実にくわしく書かれているではないですか。
 さっそく購入し、帰宅後あらためて読むと、著者の沖田信悦さんは船橋で鷹山堂という古書店を経営している方。それにしても、よくこういう本を出したものだと思います。

             
          【表紙は樺太の豊原市街(高野書店提供とあります)】

 驚いたのは、記事本文でそれぞれの地の代表的な古書店や売れ筋等の状況を当時の資料を用いて記述しているばかりでなく、各地の古書店のリストや地図まで載せていること。

   
    【朝鮮各地の古書店リストの一部。京城には60以上もの古書店があった。】

        
      【京城の古書店所在図。『全國主要都市古本店分布圖集』(1939年版)より。】

        
             【釜山の古書店所在図。】

 朝鮮では、他に平壌・新義州・大邱の地図が掲載されています。
 著者の沖田さんは、昭和前期の『全國書籍商組合員名簿』『東京古書籍商組合月報』『日本古書通信』等々、業界関係の資料を丹念に当たっているばかりか、満洲の章を見ると、当時新京(現・長春)にあった満洲巌松堂で働いていた大野幸雄さんの聞き書き等もしています。
 このようなテーマでこのような本を構想し、実際にまとめあげるとは、ホントにオドロキ。また70~80年も前に細かな資料をまとめ、それが今までちゃんと残っているのは先人の功績ですね。
 また、次のような写真も、よくあったものです。
     
     【京城の本町(現・忠武路)にあった一誠堂。】

 当時の京城で最も古書店が多かったのが本町(現・忠武路)でした。ただ、ここは他の店も多い繁華街で、神保町のような古書店街といった趣きの街ではなかったそうです。その点では寛勲町方面(現・寛勲洞~仁寺洞洞)の方が古書店が軒を並べている街だったとか。今の仁寺洞通りにも、通文館のような歴史のある古書店がありますね。(参考→通文館についての過去記事。)
 その他、明治町(現・明洞)、黄金町(現・乙支路)、鍾路などにも古書店がありました。

 ただ、ここのあげられている古書店はすべて日本人経営の店で、本町・明治町・黄金町等もいわゆる日本人街でした。
 それに対し、「鍾路通りには、朝鮮史?の堂々たる商店が数多く出店していた」とのことです。
 それら現地人の古本屋のことが本書では抜けている点については、総集編冒頭で沖田さん自身書かれていることですが、「(「全古書連ニュース」での)連載時のタイトル(「外地に渡った古本屋たち」)に違和感をいだきながら筆を進めてきたことを白状しなければならない」と記しています。
 しかし、それはどこまで調査が可能なのでしょうか?

 この本については、<岩戸の中>や<電子書肆 さえ房>の記事、<大阪商業大学>のサイト中の記事でも詳しくとりあげられています。

 上記リンク先の記事と重ならない部分で、私ヌルボがとくに朝鮮の古書店についての本書の記事中「なるほど」と思って読んだのは、1939年頃の状況を一古書店主が記した文の次の2ヵ所です。
・京城のる本店は本格的商売としては考へ物で遅々たる発展を示し、今でも古本屋と云へば学術書と研究資料よりも中古教科書を想い・・・・  
・兎角学生のお客は僅少、一般の人は部門が限られて居り、又趣味として小説類や常識を豊かにする實際書だけで体験の修養書は歓迎される傾向がある。


 今も東大門市場近くの清渓川沿いに並ぶ古本店街(→関係過去記事)には学参や教科書が多く積まれ、またベストセラー本の内訳を見ると日本に比べて人生哲学や生活実用書が多いのですが、70年前もそうだったとみてよさそうだと思いました。

 なお、満洲・朝鮮・台湾に進出していた古書店は、敗戦を迎えて店舗は例外なく当局に接収され、引揚げに際してももちろん他の引揚げ者同様苦労を味わうこととなりました。
 本書の総集編ではそれらのことも記されています。朝鮮に関する部分を1ヵ所紹介します。

 たとえば、京城では、朝鮮人が経営する古本屋たちは接収されなかった。逆にかれらは、引き揚げ者の境遇に落とされたあまたの日本人コレクターから、あふれるほどの処分図書を捨て値同然で買い取り、急ごしらえの倉庫をいくつも持ったという。(『図書館雑誌』第五九巻第八号所収、桜井義之著「終戦前の朝鮮の図書館事情」より)。

 私ヌルボ、この本を定価より少し安く購入したのですが、今ネット通販を見ると、中古本だと送料込で1000円以下で出ています。ま、定価に十分以上相当する本だからいいですけど。
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19世紀後期の朝鮮の社会や政治を知るための資料や関連サイトの紹介

2014-03-09 21:01:14 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 3月7日の記事でも書いたように、安素玲「甲申年の3人の友」は史実に忠実な小説です。

 この本を読むのと併行して、壬午軍乱や甲申事変等について書かれている関係サイト、ブログ記事をいろいろ見てみました。
 その中で、ちょくちょく読んだのが<きままに歴史>という個人サイト中の<きままに歴史資料集>の朝鮮史関係諸記事。(→コチラ。)
 各記事の詳しさは尋常ではありません。「筆者としては史資料の提示もない解説には興味がないので、それらを参考とする気はない」と管理者さんご自身記しているように、主に<アジア歴史資料センター>収録の公文書に拠って史実を追究し、考察を加えています。
 たとえば1884年の甲申事変についての記事は→コチラ

 また<愛刀物語>というサイト(→コチラ)のサイトは動画や音声付きというB級臭フンプンのヘンな作りながら、中身はなかなか具体的で、おもしろく読めます。たとえば金玉均の最期のページは→コチラ

 もう1つ、→コチラの記事も参考になりました。

 では、この小説の作者安素玲さんはどんな資料に基づいて書いたのか?
 本の巻末には、84の参考書籍と57の論文等という多数の書目が掲げられています。全部完読したかどうかはわかりませんが、史実に対する彼女のこだわりはうかがい知ることができます。
 そこでは歴史関係の多数の研究書があげられていますが、小説にも登場した人物が残した書物もあげられています。
 たとえば、宣教師兼医師としてアメリカ公使館にいたH.N.アレン(朝鮮名:安連[안련])(→ウィキペディア)の『朝鮮見聞記』や、清の顧問官の資格で朝鮮に来て政治に大きく関わったドイツ人メレンドルフ(朝鮮名:穆麟徳[목인덕])(→ウィキペディア)の伝記、あるいは日本の書籍もいくつか。

       
          【朝鮮服で正装したメレンドルフ】

 そして、これらのような当時朝鮮を訪れた外国人により書かれた著作については、<樹懶庵(じゅらいあん)>という恐るべきサイトがあることを知りました。(→コチラ。)
 その中の<欧米から見た朝鮮>ページには、韓国語訳が刊行されている22もの書目があげられています。そればかりではなく、それぞれの著者や内容の紹介の他、翻訳ミス等も指摘されています。(つまり、英語・韓国語に精通している。)
 たとえば、『P・G・フォン・メレンドルフ伝』については、「申福龍らの韓国語訳では、なぜか「自伝」となっている。本書に限らず申福龍訳は、年月日をはじめ数字が間違いだらけで非常に読みにくい」とあります。(→コチラ。) たしかに、上記の巻末リストも『メレンドルフ自伝』となってます。
 ※このサイト中の<嫌韓派のための引用例><反日派のための引用例>も必見。自分の都合のいいところだけ資料をつまみ食いするようなことを排している姿勢は、私ヌルボ、非常に共感するところです。

 さて、朝鮮王朝の歴史を見る上での第一級の史料といえばもちろん『朝鮮王朝実録』です。初代太祖(李成桂)から一応第25代哲宗まで、1392~1863年の公式記録です。(→ウィキペディア。)
 ※雑誌「Koreana」のサイトにも、読みやすい記事(日本語)がありました。(→コチラ。)
 一応と書いたのは、『哲宗実録』の後『高宗実録』(~1907)、『純宗実録』(~1910)[※附録は~1928]まで続くのですが、これらは日本統治時代の1934年朝鮮総督府の影響下で編纂されたため、韓国では「日本人の見解に沿った記述が多すぎる(※)」として正式な実録に含めない見解があるからで、大韓民国指定国宝等からも外されています。
 ※たとえば乙未事変(閔妃暗殺)当日の1895年8月20日条は「卯の刻に王妃が坤寧閤で崩御した」と記しているだけで詳細は記されていない等。

 この『朝鮮王朝実録』は、2005年からネット上で公開されています。
 私ヌルボ、ソウル大学奎章閣のサイト(→コチラ)は以前のぞいてみたことがありますが、今回それとは別に韓国の国史編纂委員会のサイト(→コチラ)を見て、コチラの方が使い勝手もよく、ソウル大学奎章閣の方にはない『高宗実録』『純宗実録』も載っていることを知りました。
 で、たとえば甲申事変が起こった高宗21年10月19日(旧暦)の記事を見てみると・・・。

   

   

 このように、ハングル訳と原文(朝鮮風漢文)の両方で読むことができます。(朝鮮史の研究者は、韓国語もマスターして、こういう基本史料も必読ですから、大変なことですねー。)

 この『朝鮮王朝実録』については、『高宗実録』『純宗実録』の再編纂の件その他いろいろ興味深いネタがありますが、それはまた別の機会で・・・。
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[韓国本]食事作法・ゴミの分別・特産物・方言等々、韓国についての雑学を学びつつ、語彙を増やす本

2014-03-08 23:58:40 | 韓国語あれこれ
         

 今、職安通りの韓国書店で平積みで売っている本。
 「이야기가 있는 한국어 한국문화(話がある韓国語 韓国文化)」です。ハングルのみの韓国書ですが、そんなにむずかしくはありません。
 多文化社会研究所(編)、つまり外国人用の韓国一般常識学習書といったものでしょうか。

 内容は、たとえば伝貰(チョンセ)と月貰(ウォルセ)、食べ物や食事作法、人をどう呼ぶか、緊急の電話番号、メールで使う顔文字(←이모티콘といいます)等々、実にさまざま。
 ※詳しくは→<YES24>の本の説明。

その中からテキトーに3つ紹介します。

①韓国各地の特産物。
     
 果物については本ブログで以前クイズ形式で書いたことがありましたが・・・。(→コチラ。)
 韓国では小学生でも(たぶん)知っている一般常識ですが、日本で出てる韓国語テキストには中級レベルでも載ってないのではないでしょうか?

②各映画のジャンルは?
     
 各章ごとにまとめとしてクイズが載っています。これもその1つ。
 (1)~(8)のポスターの絵を見て、映画のタイトルがすぐわかる人はどれくらいいるのでしょうか?
 あ、韓国映画じゃないのが1つ混じってるゾ。私ヌルボが観たのが「チェイサー」「エジャ」「女校怪談」「過速スキャンダル」の4作品。未見は「私の頭の中の消しゴム」「ヨウビ」と・・・って、(1)の「R-POINT」は日本未公開じゃないですか。ビデオは出てるようですけど。それとたいていの人が観てる残りひとつは観てないのだなー、実は。

③各ドリンクは体にどんな効果がある?
     
 ブドウ果汁・梅実茶・生姜茶・暖かいミルク・トラジ(桔梗)茶は、それぞれどんな時に飲むといい?  
 (1)風邪をひいた時 (2)消化がよくない時 (3)のどが痛い時 (4)体が疲れた時 (5)眠れない時

 これって常識? どうなんですかねー? (1)と(5)はすぐわかりましたが・・・。
 正解は(1)生姜茶  (2)梅実茶  (3)トラジ茶 (4)ブドウ果汁(5)温かいミルク ←範囲指定すると現れます。

④「어디 가요?」をそれぞれ、どの地方の方言(사투리)??
     
 正解は上から慶尚道・江原道・全羅道・忠清道・済州道。←範囲指定すると現れます。
 末尾の音でわかりますね。
 ついでに、標準語の아니에요.を方言ではどう言うか?を、本書にしたがって書いておきます。
[江原道] 아니드래요.(아니에요.)
[忠清道] 아녀유.(아닙니다.) 아녀.(아니야.)
[全羅道] 아니랑께. (아니.)
[慶尚道] 아입니다.(아닙니다.) 아이라예.(아니에요.)
[済州道] 아니마시.(아닙니다.) 아니우다.(아니에요.)


 ・・・と、いろいろ楽しく、ためになるネタがいろいろでしたが、この本、定価が12750ウォンなのに、コチラでは2720円とはチト高い、どころか高すぎる! 今のレート、そんなになってるの!?
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安素玲「甲申年の3人の友」で知る甲申事変のディテールと、主役となった青年たちの生き方

2014-03-07 23:53:56 | 韓国の小学生~高校生向き小説・物語
          

 1月11日の記事(→コチラ)で紹介した時はまだ途中までしか読んでいなかった女性作家安素玲(アン・ソヨン)のジュニア向け歴史小説「갑신년의 세 친구(甲申年の3人の友)」を先日読み終えました。

 同じ作家の「本ばかり読むバカ(책만 보는 바보)」も良書でしたが、この本も偶然目にとまって衝動買いしたのが思えば非常にラッキーでした。
 とくに、1882年の壬午軍乱、1884年の甲申事変を中心に、その前後の朝鮮と日本に関わるさまざまなことが史実に忠実に書かれていて、一層興味深く読めました。

 韓国の作家が書いた日本がらみの歴史小説というと、「民族主義に凝り固まった反日小説だろう」と思う人が大勢いると思います。
 ところが、全然そうではありません。多くの歴史書・資料に拠り、正確な史実を土台に書かれています。それも細部に至るまで。
 しかも、勉強にはなってもおもしろくない歴史教科書的な記述ではなく、いかにもジュニア向けの本らしく、感動を呼び起こすとともに考えさせる内容になっています。

 私ヌルボ自身読み終えて心を動かされたのは、「3人の友」、すなわちこのクーデターの中心人物だった金玉均(キム・オッキュン)・洪英植(ホン・ヨンシク)・朴泳孝(パク・ヨンヒョ)の3人の中で、他の2人のように日本に亡命せず、その場に留まった洪英植が清国軍に殺される場面が冒頭に置かれている意味が最後の方でわかったこと。

 残れば殺されることがわかっていながら、なぜ洪英植はあえて残ることを決心したのか? 
 予想外の清国軍の攻勢に遭って、金玉均等は竹添進一郎公使に随って日本公使館に身を避けることに決めます。ところが、それまで黙っていた洪英植が「私は・・・殿下(高宗)に随う」と言うと、驚いた仲間たちは「それは無駄死にするに等しい」と説得します。
 そこで作者は、作中で彼に次のように語らせています。

 「おまえたちの話はもっともだ。後々のため皆ここを発たねばならない。だが誰か1人は残って、われわれが何のため決起したのか、何をしようとしていたのかを知らせなければならない。われわれの企ては成功しなかったが、われわれの志だけは後世まで伝えられのようにしなければならない。殿下をそのままにして行ってしまうとわれわれの真心を誰が信じてくれるだろうか? 私は最後まで殿下に随う」。

 作者安素玲は、この彼の「志」を自身受けとめ、それをまた若い読者たちに伝えたかったのだと思いました。

 この「志」とは、具体的にいえば、朝鮮を自主独立の近代国家とし、身分制度を否定して人々すべての権利や自由を保障する社会を創ること。

 そのようなことを甲申事変の10年前に朴珪寿(パク・キュス)の邸宅で語り合った彼らですが、作者はその「志」に共感を寄せるものの、彼らの起こした事変や、状況判断等については冷静に批判もしています。
 とくに民衆のためといいながら、北村(プクチョン)の邸宅で暮らす名門貴族の子弟である彼らはその民衆の実像(生活等)を知らなかったこと。壬午軍乱の時も干魃による大凶作云々に関心を向けなかったり、甲申事変に際しても、新政府の顔ぶれは公表したものの、自分たちがめざす政府の基本理念や方針等は積極的・具体的に伝えようとしませんでした。
 したがって、肝心の一般民衆は彼らを「日本と内通して国を売り渡そうとしている逆賊」と見てしまったのです。

 甲申事変が文字通りの「三日天下」で失敗に終わった直接的な要因として、①清国軍はベトナムでの対仏戦争のため朝鮮に本格的に乗り出してこないだろう、との希望的観測が先行してしまったこと。②日本の軍事的支援を過大視していたこと。これまた希望的観測です。③信頼できる武装組織を準備できないまま決起してしまったこと等です。これらの点も指摘されています。
 ※私ヌルボの感想としては、同じ頃の日本と比べて政府内の守旧派の勢力が非常に強かったこと、清国の支配力がまだまだ相当に強かったこと、世界の情勢に疎く、危機感が欠如していたこと、また非常に重要なポイントとして国の財政がどうしようもなく窮乏化していたこと等々、開化派にとってのマイナスの事柄ばかりたくさんあった・・・ありすぎた、という中で、結局焦ってことを起こしてしまった、という印象を受けました。

 この小説では甲申事変が潰えて洪英植が斃れた後の物語として、10年後の1894年3月、神戸港から上海に向かった金玉均が彼の地で殺されるまでのこと等が描かれます。(周囲の人たちから危険を指摘されながらも、八方ふさがりの状況にあった彼はわずかの希望に賭け、あえて行くしか道はなかった。)

 そして最後の部分で記されるのは、さらに37年後の1931年、71歳になった朴泳孝の姿。彼は大日本帝国の侯爵・貴族院議員にまでなっています。その彼の邸宅を人気作家李光洙が訪ねてきます。彼が甲申事変のことに話を向けると、朴泳孝は上機嫌で語るのです。
 「そう、明治が何だというんだ!? ことがうまくいってたら李朝も大したものになってたのに。政権を取るには国王を必ず確保してなければならないのに、金玉均がずるずると国王を取り逃がしてしまったのだ」。
 金玉均より10歳年下ながら、朴泳孝は朴珪寿の推挙で哲宗の娘の永恵翁主と結婚したため、わずか3ヵ月で永恵翁主が世を去った後も王の姻戚として人々から、また開化派の中でも丁重に扱われました。しかし日本に亡命後は金玉均ばかりが注目される・・・、そんなこともあってか彼の金玉均に対する思いは複雑なものがあったようです。
 彼は、甲申事変を準備し統括したのは洪英植で、現場での総指揮は自分が担当し、金玉均が担当したのは日本公使相手の通訳という取るに足りないものだったように語ったりしたそうです。
 ※現在、ソウルの南山韓屋村(→ソウルナビ)で移築された朴泳孝の旧家屋を見学することができます。
 若い頃、共に「志」を語り合い、10年後共に決起した「3人の友」の人生はこのように大きく異なるものになってしまいました。

       
      【南山韓屋村にある朴泳孝の旧家屋。7、8年前に行ったことがあります。】

 日本でいえば明治初期から昭和にかけて、朝鮮にとっての厳しい時代状況の中で、時代を見る目を持った若者にとってどんな生き方がありうるのか? そんなことを今の韓国の若者だけでなく、日本人のオジサンにも考えさせるような小説でした。

 この本の第1章。若い頃の「3人の友」が集まった朴珪寿の邸宅は今はありません。ただ、彼らにも親しまれたという白松の老木は今も健在です。
 樹齢600年と推定されるこの木は国の天然記念物第8号に指定されています。その地には今は憲法裁判所の建物がありますが、見学できるそうです。景福宮からも近い所なので、今度ソウルに行った時にぜひ行ってみようと思います。(参考→ソウルナビ。)

      
          【高さ15メートル。生え際から幹がV字型に分かれています。】

          
     【「朴珪寿先生家址」の碑。ちょうど140年前、「3人の友」たちが熱く語りあった場所です。】

 この小説には、「3人の友」の他にもさまざまな人物が登場します。
 また、読み進んでいる間、いろんなサイトを見て、当時を知るための資料等々いろんなことを知りました。
 それらについては、また続編で書くことにします。
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韓国内の映画 Daumの人気順位 と 週末の興行成績 [2月28日(金)~3月2日(日)]

2014-03-04 23:52:23 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 昨日発表のアカデミー賞については特段書くこともなし。

 昨晩ようやく観た「7番房の奇跡」について、1つ前に備忘録みたいな記事を書き始めたらどんどん長くなって、予定外の長時間を費消してしまいました。興味のある方はチラと見てみてください。
 シネマート新宿で20:50~の1回のみ上映。狭い方の7Fスクリーン2で、観客は20人ほどか。

 一昨日観た「東京難民」は川崎TOHO。いやー、こんなに大勢入っているとは思わなかったな。80~100人くらいか。映画も思わぬ収穫。いやー、ホストクラブというのはあんな感じなのか。しかし、ヌルボがわが身をかえりみるに、自分にとって社会の最底辺は意外なほど近い所にあるんだな、と恐くなってしまった。
 関係ないけど、ロペとアキラというのか、あのウサギとタヌキじゃなくてリスか、どうも話し方がとげとげしい感じなんだよなー。それから東宝シンデレラ?の山崎紘菜チャン、もうちょっとリラックスして話してくれんかのー。

 ・・・というわけで、何度か宣伝してきた「北朝鮮強制収容所に生まれて」はまだ観ていません。近日中に行かなければ。Atユーロスペースです。
 同じく渋谷のシアター・イメージフォーラムでは8日(土)から「シネマパラダイス★ピョンヤン」が始まります。ここのラインナップ、いつも深いな。

           ★★★ Daumの人気順位(3月4日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】

①もうひとつの約束(韓国)  9.7(2083)
②弁護人(韓国)  9.5(30249)
③アーネストとセレスティーヌ  9.2(36)
④イングリッシュ、ヴィングリッシュ  9.1(77)
⑤あまり者たちのヒッチハイキング(韓国)  9.1(110)
⑥舟を編む(日本)  9.0(33)
⑦怪しい彼女(韓国)  9.0(2557)
⑧名探偵コナン/探偵たちの鎮魂歌<レクイエム>(日本)  8.8(56)
⑨あらしのよるに(日本)  8.8(135)
⑩ジャスティン  8.8(47)

 今回の新登場はありません。
 先週多様性映画の方で初出の「舟を編む」が⑥位に入り、日本映画3作品がランク入り。非常にめずらしいことです。前あったかな? なかったかも。

     【専門家による順位】

①インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌  8.8(7)
②ゼロ・グラビティ  8.2(5)
③ミヒャエル・コールハース  8.0(4)
④エスケープ・フロム・プラネット・アース  8.0(1)
⑤アデル、ブルーは熱い色  7.8(6)
⑥風景(韓国)  7.7(4)
⑦そして父になる(日本)  7.6(6)
⑦ある過去の行方  7.6(6)
⑨アメリカン・ハッスル  7.6(5)
⑩それでも夜は明ける  7.3(6)

 新登場は③と⑩の2作品が新登場です。
 ③「ミヒャエル・コールハース」は独・仏合作映画で、昨年の<第66回カンヌ国際映画祭>コンペティション部門ノミネート作品。19世紀初めのドイツ人作家クライストの小説「ミヒャエル・コールハース」を映画化した時代劇です。1新教徒でルターを尊敬する馬商人のコールハースが貴族から受けた理不尽な扱いに対して賠償を求め続けます。合法的な手段ではダメとなると、次は暴力的手段をとり、次第に大がかりになって、民衆反乱へと発展しそうな勢いになるにおよび、結局はルターの説得を受け入れることに。6世紀ドイツでの実話に基づいた物語とのことです。あらすじだけみると、もしかしてアクション入りの復讐物かとも思いますが、観た人の記事によると「エンタメ系活劇の要素は皆無」で、「リベンジ・アクション的なカタルシスも一切なし」という演劇的なアート作品だそうです。韓国題は「미하엘 콜하스의 선택」。日本公開は未定のようです。
 ⑩「それでも夜は明ける」はもちろんアカデミー作品賞受賞作。韓国題は「노예 12년(奴隷12年)」。日本公開は3月7日です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[2月28日(金)~3月2日(日)] ★★★

         「ポンペイ」は1週でアメリカのアクション映画「ノン・ストップ」と1位の座交代

【全体】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ノン・ストップ・・・・・・・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・704,967 ・・・・・・・・・824,065・・・・・・・・6,415・・・・・・・・582
2(1)・・ポンペイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・299,792 ・・・・・・・1,128,424・・・・・・・・8,496・・・・・・・・465
3(3)・・怪しい彼女(韓国) ・・・・・・・・・・・・1/22 ・・・・・・・・・・・・276,507 ・・・・・・・8,195,508・・・・・・・59,318・・・・・・・・397
4(2)・・チラシ:危険な噂(韓国) ・・・・・・・2/20 ・・・・・・・・・・・・229,275 ・・・・・・・1,029,695・・・・・・・・7,671・・・・・・・・431
5(4)・・アナと雪の女王・・・・・・・・・・・・・・1/16 ・・・・・・・・・・・・226,947 ・・・・・・10,043,497・・・・・・・80,453・・・・・・・・515
6(19)・・それでも夜は明ける・・・・・・・・・2/27・・・・・・・・・・・・・・94,214 ・・・・・・・・・122,011 ・・・・・・・・・923・・・・・・・・326
7(新)・・ミケランジェロ・プロジェクト・・・・2/20・・・・・・・・・・・・・・67,528・・・・・・・・・・85,324・・・・・・・・・・664・・・・・・・・245
8(6)・・官能の法則(韓国)・・・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・・・・40,735・・・・・・・・・・72,184・・・・・・・・5,412 ・・・・・・・・239
9(8)・・神が送った人(韓国)・・・・・・・・・・・2/13 ・・・・・・・・・・・・・33,958・・・・・・・・・356,531 ・・・・・・・2,588 ・・・・・・・・159
10(5)・・ロボコップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/13・・・・・・・・・・・・・・・5,973・・・・・・・・・974,430・・・・・・・・7,262 ・・・・・・・・163
       ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「アナと雪の女王」は1000万人台の大台に乗りました。
先週1位「ポンペイ」は、わずか1週で「ノン・ストップ」に首位の座を明け渡しました。
 今回の新登場は1・6・7位の3作品です。
 1位「ノン・ストップ」はアメリカのアクション。1万mの上空。乗客乗員146人を乗せたニューヨーク発ロンドン行きの飛行機の中。偶然この機に乗り合せた連邦航空保安官のビル(リーアム•ニーソン)が受け取ったメールの内容は、「1億5000万ドルを指定口座に入金しなければ、20分おきに機内の人間を殺して航空機を爆破させる」と・・・。ビルは機内に怪しい人物を探すが、予告通り乗客が1人ずつ殺害され始める・・・。韓国題は「논스톱」。日本公開は今年の秋です。
 6位「それでも夜は明ける」については前述しました。
 7位「ミケランジェロ・プロジェクト」は、ジョージ・クルーニー監督・脚本・主演のナチス・ドイツによる名画奪還アドベンチャー。第2次世界大戦末期。ハーバード大学付属美術館の館長ストークス(ジョージ・クルーニー)は、侵攻先の国々で美術品を略奪するナチス・ドイツに対抗しようとF.ルーズベルト大統領を説得し、美術品や歴史的建造物の保護部隊を結成してヨーロッパ各地を奔走するが、その行く手にナチスやソ連軍が立ちはだかる・・・。共演はマット・デイモン、ジョン・グッドマン、ケイト・ブランシェット等。韓国題は「모뉴먼츠 맨:세기의 작전(モニュメント・マン:世紀の作戦)」。日本公開は4月かと思ったら秋になったようです。公式サイト(→コチラ)はできているのに。

【多様性映画】

順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・舟を編む(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/13 ・・・・・・・・・・・・・2,056・・・・・・・・・・・・・・・9,172・・・・・・・・・・・71・・・・・・・・・19
2(1)・・インサイド・ルーウィン・デイヴィス・・・・1/29 ・・・・・・・・・・・・・2,022・・・・・・・・・・・・・・99,780・・・・・・・・・・776・・・・・・・・・23
             名もなき男の歌
3(新)・・孤独な天使たち・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/27 ・・・・・・・・・・・・・1,000 ・・・・・・・・・・・・・・1,756・・・・・・・・・・・13・・・・・・・・・15
4(5)・・そして父になる(日本)・・・・・・・・・・・・・12/19・・・・・・・・・・・・・・・618 ・・・・・・・・・・・・・10,152・・・・・・・・・・912・・・・・・・・・・3
5(3)・・アデル、ブルーは熱い色・・・・・・・・・・・1/16・・・・・・・・・・・・・・・567・・・・・・・・・・・・・・48,958・・・・・・・・・・376・・・・・・・・・・5

 3位「孤独な天使たち」だけが新登場です。ベルナルド・ベルトルッチ監督による施主!ドラマで、日本では2013年4月20日公開されました。韓国題は英題と同じ「미 앤 유(Me And You)」です。
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映画「7番房の奇跡」を観て仕入れた、韓国語や韓国社会についての雑知識いろいろ

2014-03-04 19:54:59 | 韓国映画(&その他の映画)
       「セーラームーン」のオープニング曲「ムーンライト伝説」(韓国版)


 韓国では観客動員1281万人を記録した映画「7番房の奇跡」は、歴代の韓国映画でも「グエムル 漢江の怪物」「10人の泥棒たち」に次いで第3位にまで上がるほどの大ヒット作。

 ところが、日本では1月25日に公開されたものの、映画の認知度からして(たぶん)低いまま、現在東京での上映館はシネマート新宿だけで、それも20:50~の1回のみ。
 それでも、<ぴあシネマ生活>の平均評点は88点とトップクラスの高得点。あと、個人的には横浜のシネマジャック&ベティで4月5~18日に上映されることはこの映画のファンにとっては良いニュースでしょう。

 私ヌルボ、昨日ようやくこの映画を観てきました。
 実はこの種の映画は「少し苦手」レベルなんですけどね。「この種」というのは、観客の涙腺を過度にシゲキする要素がいろいろそろっている、ということ。本作品に即していえば、善良な知的障碍者、冤罪、100%の父娘愛で、その女の子がとてもかわいい、その父娘を取り巻く人たちの気持ちが云々・・・。

 ・・・ということで、あまり気が乗らない一方で、一応韓国オタクとしてはこれだけの大ヒット作は観ておかなければ、という気持ちもあり、そんな葛藤の末(←大げさすぎる)やっと観に行った次第。

 で、映画自体についてはほぼ予測通り。
 今回はその内容に関わることはほとんどスルーすることにして、例によって暗がりの中で大学ノートにメモしたもろもろの中からいくつかあまり役にも立たないネタをいくつか挙げることにします。

字幕翻訳者は小寺由香さん。韓国映画だからといって「いつも」根本理恵さんというわけではありません。<Movie.Walker>によると、これまで「高地戦」等6作品の字幕を担当されています。後述のように、この「7番房の奇跡」では日本語に訳しにくい箇所がいくつかあって苦心されたのでは、と思いました。
 ※私ヌルボ、以前「おばあちゃんの家の家」の字幕で、たしか「몸이 안 아파요?」が「身体が痛くない?」と訳されていて疑問に思ったことがありました。中級(or初級?)の学習者なら「身体の具合は悪くないですか?」とわかるはずなのに・・・。後で字幕翻訳者を見ると古田由紀子とあるではないですか。英語翻訳者!(仏語も?)の・・・。つまり英語から重訳してたということ。→コチラのブログ記事には、これも彼女が字幕を担当したドイツ映画(!)の「善き人のためのソナタ」の字幕の問題点も書かれていたゾ。ま、これって彼女の問題というよりも、その言語専門の人を起用しなかったことに問題あり、ということでしょうが・・・。

主人公のヨング(リュ・スンリョン)が7番房に収監された最初の日、同じ房の面々が紹介される場面で、各々の罪状も字幕(ハングル&日本語)で表示されます。「密輸(밀수)」「スリ(소매치기)」「賭博(도박)」「詐欺(사기)」なんかはいいとして(?)、気になったその1は「当たり屋」。韓国語では何というのかと思ったら「자해공갈(自害恐喝)」なんですね。(→コチラのブログ記事にもありました。)
 そして気になったその2は「姦通(간통)」。昔は日本にもあったこの罪名を、今の若い人たちは知ってるのかしら?
 この罪がまだあるんですね、韓国には。しかし違憲論も強くなってきて、最近何かと話題のあの憲法裁判所でも90年、93年、01年、08年の4回にわたって審査されたそうですがいずれも合憲と判断されました。ただ、→コチラの実にくわしい記事によると、08年は裁判官9人のうち5人が違憲または憲法不合致の意見を出したそうです。(違憲とするには6人必要。)
 また、韓国ヤフーのネット投票(→コチラ)の結果は姦通罪に対し48.8%が「合憲」、48.6%が「違憲」と真っ二つ。男性女性で分かれた、というわけでもないか・・・。

ヨングの娘の名前がイェスン(パク・シネ)。彼女が教会に入ってきたのに気がついた牧師様、思わず「イェスン!」と叫ぶと、ちょうど牧師様の言葉を唱和していた信徒たちも「イェスン」。つまりイエス様と似ている音なので誤解して・・・、とここらへんはわかりやすい。
 しかし、イェスン(子役カル・ソウォン)が房長[=牢名主?](オ・ダルス)の囚人服の胸の番号を見ながら「天使様!」というのは字幕の考えどころかな? 「1004」という数字も「天使」も同音同字の「천사(チョンサ)」というのがミソ。後の方の場面で、房長がある所に落書きするのですが、そこで天使の翼が描かれていたのもこれに関連してます。

監房内で囚人たちが花札をやってる場面。この前観た「執行者」では囚人とベテラン刑務官が朝鮮将棋をやってました。あ、これは監房ではなかったか。
 で、花札の大写しにされる一瞬の場面を見ると、たしか手書き(!)の花札だったような・・・。細かな絵柄をよく描いたものです。
 その昔、ヌルボは高校生が消しゴムにボール紙を被せて実に丁寧に作った麻雀牌1セットを見たことがありました。1索なんかも色ボールペンを駆使して細かく正確に描かれていました。禁じられた所でもゲームをやりたいという執念はたいしたものだなー。

これまた囚人たちの暇つぶしなんでしょうが、しりとり(끝말 잇기)をやっていました。
 ところが、「いかにも」という言葉が次々と飛び出し笑わせるわけです。

 「히로뽕(ヒロポン)!」・・・昔、同級生だったひろこちゃんがヒロポンと呼ばれてたなー(笑)。
→「뽕브라(ポンブラ)」・・・字幕ではブラジャーだけだったような。正確には胸を大きく見せるブラジャー
 これについては、衝撃的なCM動画がYouTubeにありました。向学心旺盛な方等はぜひご覧ください。→コチラ
→「라와바리(ラワバリ)!」・・・これに対しては「나라와바리(ナワバリ)の間違いだろう」との指摘が出ます。
 韓国語ではナ行とラ行の発音や表記がややこしいのです。日本等では「ラララ♪」と歌うところでも「ナナナ♪」と歌ってますね。
 それから、このナワバリという言葉は、他の場面でも何度か出てきました。韓国のヤクザ(조폭(チョポク.組暴))社会では今もふつうに使われているようです。※関連過去記事→コチラ
→「리발사(リパルサ)」・・・理髪師。これもふつうは「이발사(イパルサ)」なんだけどなー。北朝鮮ではリパルサ。しかし韓国の李さんも李(イ)さんばかりではなく、李(リ)さんもいないではないし、これも境界は(ヌルボは)判然としません。
→사시미(サシミ)・・・日本語そのまま。「생선회(センソンフェ)」とのニュアンスの違いは、んー、宿題。

これも言葉に関することですが、房長はなんと字が書けないのです。で少女イェスンや囚人仲間に教わるのです。韓国の識字率のことも以前→コチラ等で書きました。つまり、韓国社会で読み書きのできない人は少ないとはいえ決してめずらしい存在ではないということです。とくに地方の年配女性に多いのですが、この房長のような男性もいるということでしょうか。
 字幕で少し気になったのは、今の日本では差別語とされる「文盲」という言葉を用いていたこと。どこかでチェックが入らなかったのかな?

この映画の主人公イ・ヨングは、上記のように知的障碍者です。率直に言って、リュ・スンリョンの演じ方はちょっと不自然さを感じました。何か韓国の人たちのイメージには合っていても、実際の障碍者とは少しずれているようで・・・。
 以前から気になっているのは、韓国映画や漫画等で描かれる彼らのイメージと、「パボ(馬鹿)」という言葉です。たとえばカンプルの漫画(後に映画化)「パボ」、去年公開された、北朝鮮のスパイが「町内のパボ」になりすまして・・・という設定の「隠密に偉大に」等。
 この件については、→コチラの過去記事で書いたことがありました。
 また、Kポップでも「바보같이(馬鹿みたいに)」という言葉が歌詞にある歌を本気で探すと何十曲かにはなりそう。BIGBANGの「Fool 바보」、Epik Highの「바보」、Lunaの「바보」等はタイトルからして「바보」だし、k.will & ChaKunの「Even if u play」やWAXの「잊지 말아요」等々、これはキリがないな。
 日本でもふつうに「ばかみたい」「ばからしい」と使うし、そんなに気にする言葉でもないと言われるとそうかもしれませんが・・・。うーむ。

この映画での監房のようすや管理体制等々についてはかなりファンタジーめいたところがあるようなので、目くじら立ててもしょうがない、ということで書きませんが、日韓の冤罪のイメージの差異について感じていることを少々。
 日本のウィキペディアには「冤罪事件及び冤罪と疑われている主な事件」というとても有用な項目があって、有名な帝銀事件や松川事件、現在も問題になっている名張毒ぶどう酒事件や袴田事件等々のほか、ほとんど知られていない事件まで多数あげられています。
 韓国では同様の冤罪事件がどれほどあるのかと思って少し韓国サイトを見てみたことがあります。すると、韓国では冤罪という言葉は皆無ではないものの、全然一般的ではないようなのです。漢字の音読みは원죄ですが、これだとふつう(キリスト教の)原罪の意味で使われます。<NAVER辞典>で「冤罪」を引くと「억울하게 뒤집어쓴 죄(不当に被った罪)」とあるだけで、短い単語はありません。
 また、不当な裁判、無実の罪といえば、保導連盟事件(1950)、第一次人民革命党事件(1965年)、第二次人民革命党事件(1975年)のような時の権力による政治的弾圧事件をまず思い浮かべる人が多いようです。
 ※昨年内乱陰謀罪で逮捕され、先月の第1審判決で懲役12年を宣告された韓国統合進歩党・李石基議員の事件もそのようにみる人たちが相当数いるようです。
 では、一般社会での冤罪はというと、これはけっこうふつうに(?)あった(orある)ようで・・・。
 <映画生活>のこの映画に対するレビューの中で、ドリさん
という方が韓国の司法制度の改革について興味深いことを書いていらっしゃったのでほぼそのままコピペさせていただきます。

 本作品の主人公であるイ・ヨングの裁判当時の状況は、大法院(日本の最高裁)の調査によれば「刑事裁判は、裕福な人とそうでない人、社会的地位の高い人とそうでない人との間で、全く同様に正義にかない、公正に行われていると思うか」という質問に対して、回答者の83.7%が「そう思わない」と答えるほど、韓国国民の刑事司法制度に対する信頼は地に落ちていました。
 韓国政府及び国会は、信頼を回復させるべく、1998年以降死刑制度を凍結させ、2007年には弁護士の立会いや取調べ時の録音・録画を明文化した刑事訴訟法の改正を行い、2008年1月から国民参与裁判制度(英米の陪審制に近い裁判制度)の導入を行いました。
 弁護士の卵としてイェスンが模擬国民参与裁判でヨングの名誉回復を図るべく奮闘する姿は、韓国の刑事司法制度の改革の歩みとも重なります。本作品が韓国で絶大な支持を受けた理由のひとつだと思います。


 最近の韓国では裁判に関係する映画が次々と作られています。「トガニ」「折れた矢」や、最近では「弁護人」「もうひとつの約束」等々。それらの共通点といえば、地位や財産や権力を有する社会的強者が裁判を牛耳っているという認識。それは上の引用文中の裁判不信が83.7%という(日本人にすれば)驚くべき数字にも表れているということです。(また、今その信頼度が目に見えて上がっているようにも思えないし。) そのような強者に対して、弱者が裁判を通じて闘うというのがこれらの裁判映画の基本構図といえるのではないでしょうか?
 もしかしたら、今このような映画が多く作られるのは、強者によって判決が左右されるようなことの多かった裁判が「正義」にのっとって行われるようになっていく過程にあることの表れなのかも・・・。
 すると、国民世論優先の「国民情緒法」はどうなんだ?との声も聞こえてきそうだし、また、国際社会で韓国人団体等がロビー活動によって議会等を自分たちの都合のいいように動かそうとしているのは、韓国社会の悪しき習慣そのままじゃないか?という見方もあながち的外れでもなさそうですが・・・。
 ※蛇足みたいに付記しておきますが、私ヌルボ、決して日本の裁判が誇るに足るほど「「正義」にのっとって行われる」とは思っていません。個人の地位や金によって左右される度合いは韓国より低いでしょうが、政・官・財と法曹界が癒着して、大企業に有利な判決が出された事例は山ほどあります。明らかな冤罪もあります。途上国によくあるような露骨な賄賂は横行していないにしても、それで問題がないわけではないことは言わずもがなです。

「セーラームーン」がこの映画の中でずいぶん大きく扱われています。
 「달의 요정 세일러문(月の妖精 セーラームーン)」という韓国題で放映(KBS2TV)されたのが1997年4月。、女の子だけでなく男の子にも人気で、「♪미안해 솔직하지 못한 내가(ごめんね素直になれない私)」始まるオープニング曲は、本作を見たことがない人でも皆わかるほど有名だったとか。
 つまり「7番房の奇跡」の過去部分は90年代、そして現在部分は今、という設定なんですね。成長したイェスンの年齢にも合うし。
 このアニメについては、ヌルボがちょくちょく利用している韓国サイト<エンハウィキ・ミラー>の項目にやっぱりありました。それどころか、そのオタク度はホントにハンパじゃないです。自動翻訳で見てみてください。。→コチラ
 たとえば「元々は2月25日から放映予定だったが、日野レイが神社の巫女だった点が問題とされ、その部分を解決するのに放映日程が遅れた」なんてことが書かれています。(どうやって調べたんだろ?)
 記事の最初の方で読者を引きつけようというコンタンで、YouTubeにあった韓国版のオープニング曲を載せておきました。むふふ。

 うーむ、思いのほか長くなってしまった・・・って、いつものことか。
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