カンヌでは「スタンディングオベーションが巻き起こった」という是枝監督の「そして父になる」は結局審査員賞受賞。一方、「藁の盾 わらのたて」は「プレス試写会でブーイングが起こり、途中退席が凄かった」ということですが、コチラはあまり伝えられなかったみたいで・・・。しかし「映画生活」の平均評点は75点だし、そこらへんどうなのか観てみるかなと思って横浜ブルクのラインナップを確認すると、観るつもりの「ビル・カニンガム&ニューヨーク」が未見だったことに気づき、どうしようかなと迷っているうち、そういえば
「キネマ旬報」6月上旬号も読んでなかったことを思い出し、結局それを最優先。
・・・というわけで、映画は今週中にまとめて観ることにしました。王兵監督の「三姉妹~雲南の子」も観たいのですが、
シネマジャック&ベティでやってくれないかなーと思いつつ、そこのサイトを一応のぞいてみたら、ちゃんとあるでないの! 「三姉妹~雲南の子」の公式サイトにも載ってないのに。いやーよかったよかった。シネマジャック&ベティでは、31日(金)まで「拝啓、愛しています」をやっているし、週末から「秘密のオブジェクト」の上映が始まるし、7月頃には「3人のアンヌ」「殺人の告白」「嘆きのピエタ」が予定されているし、韓国映画以外でも「スタンリーのお弁当箱」等々期待作がいろいろ観られるし、毎度のことながらありがたい映画館です。
さて、その「キネマ旬報」6月上旬号ですが、特集<コリアン・シネマの森にまよって>。パク・チャヌクの「イノセント・ガーデン」、キム・ギドクの「嘆きのピエタ」、「3人のアンヌ」のホン・サンスという3監督にその作品について等のインタビュー、そしてポン・ジュノ監督の最新作「スノーピアサー(原題)」を探る、という内容です。
「イノセント・ガーデン」はもうこの週末に始まるので、当然諸情報が出ているので省略。「3人のアンヌ」は、またいつもの金太郎アメのような映画かなと思っていたら、あいかわらずこれといった事件は起こらないものの、女性視点での語りということで、金太郎アメとは違うみたいです。
ポン・ジュノの「スノーピアサー」は今夏韓国公開とのこと。原作はフランスの「Le Transperceneige」という漫画(バンドシネ)。このフランス語で画像検索すると、おおよそ図柄はわかります。内容は「異常気象により氷河期となり、多くの人々が命を奪われていく未来を舞台に、生き残った人々が乗り込んだ列車の中で起きる生存競争を描く」というものですが、大きく変えたとのこと。そういえば、あの「オールドボーイ」でも日本の原作漫画とかなり基本的な設定から変えていましたね。「グエムル」で父娘を演じたソン・ガンホとコ・アソンも出演。コ・アソン、もう20歳か。
キム・ギドクについては、次の発言をうなずきつつ読みました。
「私の作品の制作費はよそから集めるのではなく自分で捻出しています。「嘆きのピエタ」もそうで、1億ウォン(約900万円)くらいです。なぜかと言いますと、メジャーの資本を使うとメジャー側との何らかの約束が生じますし、メジャーのスタイルに合わせなければならないということも起こりますから。」
ところで、彼が「実は韓国では多くの人が借金を抱えてまして、総計1000兆ウォン(約900兆円)くらいになるといわれています」と語っていますが、これはニュースで伝えられた「韓国30大財閥グループの負債が、合計1000兆ウォンに達することがわかった。韓国政府の負債403兆ウォンの2.5倍に達する規模・・・」のことではないの? (しかし、すごい金額です。)
★★★ Daumの人気順位(5月28日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
①レオン 9.4(586)
②ザ・クルーズ 9.3(247)
③シュガーマン 奇跡に愛された男 9.3(137)
④アンコール!! 9.2(248)
⑤チスル – 終わらない歳月 2(韓国) 9.2(536)
⑥カルテット!人生のオペラハウス 9.1(39)
⑦ポピュレール사랑은 타이핑 중! 9.0(22)
⑧ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア노킹 온 헤븐스 도어 9.0(166)
⑨ワイルド・スピード EURO MISSION 8.9(285)
⑩ウォールフラワー 8.8(115)
新登場は⑦と⑨です。
⑦「ポピュレール(仮題)」は、6月21~24日開催の
<フランス映画際2013>でも上映される作品で、その
公式サイト中で当然紹介されています。時代は50年代末頃のフランス。地方から出てきて保険会社に勤めることになった女性、秘書としての能力はイマイチ以下ですが、タイピングが速いという一点に注目した社長がタイコンクールに出場させるのです。「『アパートの鍵貸します』『シェルブールの雨傘』など、当時の傑作へのオマージュに溢れ、フランスのマスコミも大絶賛、本年度セザール賞5部門にノミネートされた」とのことで、これはちょっと観てみたいな。一般劇場公開も8月に予定されているようです。韓国題は「사랑은 타이핑 중!(愛はタイピング中)」。
⑨「ワイルド・スピード EURO MISSION」については後述します。
【専門家による順位】
①チスル – 終わらない歳月 2(韓国) 9.0(5)
②愛、アムール 8.7(7)
③ホーリー・モーターズ 8.7(4)
④塀の中のジュリアス・シーザー 8.0(5)
⑤テイク・シェルター 7.8(7)
⑥シュガーマン 奇跡に愛された男 7.7(4)
⑦アイアンマン3 7.5(6)
⑧天使の分け前 7.5(4)
⑨ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(日本) 7.5(2)
⑩ザ・クルーズ 7.3(3)
若干変動はありましたが、新登場はありません。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績[5月24日(金)~26日(日)] ★★★
「アイアンマン3」に代わって、またもアメリカのアクション大作が1位
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(29)・・ワイルド・スピード EURO MISSION・・5/22・・・・・・・・625,050・・・・・・・・・・・817,720・・・・・・・・・6,171 ・・・・・・656
2(2)・・モンタージュ(韓国)・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・・・・452,473・・・・・・・・・1,387,845・・・・・・・・10,012 ・・・・・・544
3(3)・・華麗なるギャツビー ・・・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・・・・232,683・・・・・・・・・1,047,441・・・・・・・・・7,773・・・・・・・427
4(1)・・アイアンマン3 ・・・・・・・・・・・・・・・4/25・・・・・・・・・・・・・・217,242・・・・・・・・・8,819,015・・・・・・・・69,528 ・・・・・・431
5(4)・・ザ・クルーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・・・・140,022・・・・・・・・・・・556,851 ・・・・・・・・3,964・・・・・・・492
6(5)・・高齢化家族(韓国) ・・・・・・・・・・・5/09 ・・・・・・・・・・・・・・51,528 ・・・・・・・・・1,100,423・・・・・・・・・7,904 ・・・・・・273
7(新)・・スター・トレック・・・・・・・・・・・・・・5/30・・・・・・・・・・・・・・・48,527・・・・・・・・・・・・64,304 ・・・・・・・・・・522・・・・・・・283
イントゥ・ダークネス
8(6)・・ミナ文具店(韓国) ・・・・・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・・・・・44,722 ・・・・・・・・・・・302,282 ・・・・・・・・2,042・・・・・・・235
9(新)・・ビフォア・ミッドナイト・・・・・・・・・5/22・・・・・・・・・・・・・・・44,183 ・・・・・・・・・・・・68,560 ・・・・・・・・・・507・・・・・・・275
10(7)・・全国のど自慢(韓国) ・・・・・・・・5/01 ・・・・・・・・・・・・・・10,148・・・・・・・・・・・・957,660・・・・・・・・・6,571 ・・・・・・・87
※
KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
4週連続1位「アイアンマン3」が4位に下落。1000万人の大台はちょっとむずかしそう。
しかし強力な韓国映画もこのところなく、1位はまたアメリカのシリーズ物アクション「ワイルド・スピード EURO MISSION」に。
今回の新登場は1・7・9位の3作品です。
1位「ワイルド・スピード EURO MISSION」は人気アクションシリーズの第6作。今回はヨーロッパを舞台に、より華麗なカーアクション・・・て、エスカレートしすぎるとウソっぽくなるだろうし、作る方も大変だろうな。韓国題は「분노의 질주:더 맥시멈(憤怒の失踪:ザ・マクシマム)」。日本では7月6日公開です。
7位「スター・トレック イントゥ・ダークネス」はシリーズ第2作。西暦2259年、平和を保っていた地球に突如訪れた史上最大の危機は・・・。韓国題は日本公開は「스타트렉 다크니스」。日本公開は8月23日。この手の映画としてはめずらしく私ヌルボこの第1作を観たのですが、多くのファンの高評価とは正反対で「全然ダメ」でした。その「全き正義感」に堪えられず・・・。
9位「ビフォア・ミッドナイト」もまたシリーズ物。「恋人までの距離(ディスタンス)」(1995年)、「ビフォア・サンセット」(2004年)に続く3作目です。9年という長間隔。主演の2人(イーサン・ホーク&ジュリー・デルピー)も作中人物と一緒に年を重ねています。韓国題は「비포 미드나잇」。日本公開は2014年初頭の予定とか。
【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・天使の分け前 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・・・1,970 ・・・・・・・・・・・・・・・8,194・・・・・・・・・・・63・・・・・・・・・・23
2(13)・・踊る森(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・・・1,752・・・・・・・・・・・・・・・・2,985・・・・・・・・・・・21・・・・・・・・・・11
3(20)・・道の上で(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・・・1,733・・・・・・・・・・・・・・・・2,533・・・・・・・・・・・19・・・・・・・・・・20
4(2)・・君と歩く世界 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/02・・・・・・・・・・・・・1,105 ・・・・・・・・・・・・・・28,129 ・・・・・・・・・212・・・・・・・・・・19
5(4)・・幻想の中のあなた(韓国) ・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・・・・・・713・・・・・・・・・・・・・・・・5,013・・・・・・・・・・・35・・・・・・・・・・30
新登場は2位と3位の2作品です。
2位「踊る森」は昨年の釜山国際映画祭2012でも上映されたドキュメンタリー。舞台は麻浦区庁駅の東の方にあるソンミ山マウル(성미산마을)。このマウル(村)は1990年代から形成され始めた都市型の村共同体なのだそうです。地域の利益や雇用創出のため共同育児協同組合保育園、生協、フリースクール、ソンミ村劇場、ソンミ山工房等々、地域住民自身がさまざまな施設や店、企業等を立ち上げたり、祭り・音楽会・運動会等の催しを運営してきました。韓国、とくにソウルでは(日本も以前からそうなっているように)人間関係は希薄化するばかりですが、ここでは互いにニックネームで呼び合うのがふつうだそうです。この作品のカン・ソクピル監督夫婦は12年前にここに移住し、夫婦の子供は、共同育児保育所を通い、町の象徴であるソンミ山で遊んで学び、成長します。ところが2010年、ある教育財団がソンミ山を削って、そこに学校を移転する計画を打ち出し、ソウル市がこれを許可しました。住民たちはこれに対して、ソンミ山を守るため反対運動を展開します。このドキュメンタリーは、100人の合唱団等、住民たちの闘いの波乱万丈の過程を細かく描いたものだそうです。その後、2011年10月に市民運動出身の朴元淳市長が就任して、村共同体事業を推進し、成功した都市共同体として注目されているとのことです。以上は
「オーマイニュース」の記事等を参考にしました。原題は「춤추는 숲」です。
3位「道の上で」も韓国のドキュメンタリー。名門大を卒業してアメリカに米留学、Zenセンターの経験により出家した"엄친 딸(厳格な親の娘)'サンウク行者。幼い頃、寺に捨てられ、出家することとなったソヌ僧侶。"新世代型"の比丘尼で、インターネット検索で寺に来たミンジェ行者。37年修行の道を歩んできたが、いまだその行き着く先がわからないというヨンウン僧侶。彼女たちが髪を切るしかなかった理由は? 1年に2回だけ門が開かれる修行道場の
百興庵で300日間、彼女たちと過ごした記録。韓国題は「길위에서」。