ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [10月26日(金)~10月28日(日)]

2018-10-31 15:54:30 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸27日(土)に<東京国際映画祭>「ミス・ペク」を観てきました。韓国では10月11日から公開されていて、下記のNAVERのネチズンによる人気順位では2位と高評価を得ている作品です。テーマは両親による幼児虐待。この映画冒頭に「本作品は事実に基づくフィクションである」とあり、ちょっと気になって関係記事をいくつか見てみたところ、日本語記事ではとりあえず→コチラ。映画はかなりこの事件を参考にしていると思われます。また、詳しく書かれた韓国記事(→コチラや→コチラ等)によると、女児の父親像の設定もこの事例そのまま。2015年のこの<仁川11歳女児虐待事件>は大きな反響を呼び、児童虐待問題に対する社会的関心が高まって、権威主義的家父長的な文化により多少消極的だった国が積極的に乗り出す契機になったとのことです。この作品のイ・ジウォン監督が上映後のトークの中で制作の動機として、「前は児童虐待にそれほどの関心はなかったが、たまたま以前隣に住んでいた子供が救いを求めるような目で・・・」「しかし私はそのまま通り過ぎてしまったことが心に残って・・・」等と語っていましたが、上記のような世相と関係があるかもしれません。
 日本でも今年3月の目黒女児虐待事件は記憶の新しいところです。このような社会的な問題は両国共通なのですね。

▸上記の「ミス・ペク」の主演が10月22日発表の《韓国映画評論家協会賞2018》で主演女優賞を受賞したハン・ジミン。映画では「密偵」等に出演していましたが、私ヌルボとしてはさほどの印象はナシ。むしろ「屋上部屋の皇太子」等のドラマで人気を集めてきましたね。「清楚で穏やか」といったイメージの彼女が今作ではしゃがんでタバコを吸い、顔には傷痕が・・・という役柄で、ファンたちには驚きを持って受け止められたということは監督も語っていました。関連記事は→コチラ

▸で、私ヌルボとしては「ミス・ペク」の感想は「思っていた以上に良かった!」です。「社会問題自体にの深みにどれだけ切り込んでいるか」という点ではたしかに今ひとつですけどね。自身シナリオを読んで志願したというハン・ジミンと、イ・ジウォン監督の思いが伝わってくる作品。日本での一般公開を期待しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(10月30日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) 悲しみに、こんにちは  9.31(54)
②(1) ミス・ペク(韓国)  9.25(5,321)
③(2) 万引き家族(日本)  9.24(2,837)
④(3) ハロー カボット:白亜紀時代(韓国)  9.23(2,050)
⑤(4) アリー/ スター誕生  9.20(4,246)
⑥(5) カメラを止めるな!(日本)  9.16(839)
⑦(-) 患者たち  9.15(13)
⑧(6) ターシャ・テューダー 静かな水の物語  9.12(370)
⑨(9) 蝶よ蝶よ(韓国)  9.12(41)
⑩(7) 劇場版 ポイン:スーパー変身の秘密(韓国)  9.11(87)

 ①と⑦の2作品が今回の新登場です。
 ①「悲しみに、こんにちは」は、日本ではすでに7月に公開されています。韓国題は「프리다의 그해 여름(フリータのその年の夏)」です。
 ⑦「患者たち」(仮)だけが今回の新登場です。フランスでポエトリーリーディング(Slam)のアーティストとして知られるグラン・コール・マラードの自伝的小説「Patients(患者たち)」の映画化作品です。ある日、プールでの事故という予期せぬ事故で全身不随になってしまったベン。しかし、リハビリセンターにはベンを戸惑わせるほど個性満点の友人がいっぱいいました。彼は一歩進む勇気を持って新しい生活を始めます。そして3年間の治療とリハビリを通して、歩けるまでに回復します・・・。※グラン・コール・マラード(Grand Corps Malade)とはフランス語で「病んだ大きな体」の意。韓国題は、英題「Step by Step」に合わせて「스텝 바이 스텝」。日本公開は未定のようです。

     【記者・評論家による順位】

①(1) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
②(2) 暗数殺人(韓国)  8.14(7)
③(3) 万引き家族  8.13(8)
④(-) ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ  8.00(7)
⑤(4) 生き残った子[最後の息子](韓国)  7.67(9)
⑥(5) バディントン2  7.67(3)
⑦(6) search サーチ  7.60(10)
⑧(-) 悲しみに、こんにちは  7.50(8)
⑨(-) ファースト・マン  7.44(9)
⑩(7) アリー/ スター誕生  7.43(7)

 ⑧「悲しみに、こんにちは」だけが今回の新登場です。この作品については上述しました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月26日(金)~10月28日(日) ★★★

         韓国の時代劇アクション「猖獗」が1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(19)・・猖獗(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・10/25 ・・・・・・・・・841,001 ・・・・・・1,009,017 ・・・・・・・・8,811・・・・・・1,351
2(2)・・暗数殺人(韓国)・・・・・・・・・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・161,210 ・・・・・・3,697,549 ・・・・・・・32,291 ・・・・・・・601
3(4)・・ミス・ぺク(韓国)・・・・・・・・・・・・・10/11 ・・・・・・・・・・97,260・・・・・・・・640,927 ・・・・・・・・5,459 ・・・・・・・568
4(3)・・ヴェノム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/03・・・・・・・・・・・95,783 ・・・・・・3,851,306 ・・・・・・・33,834・・・・・・・539
5(1)・・ファースト・マン ・・・・・・・・・・・・10/18 ・・・・・・・・・・94,630・・・・・・・・630,482 ・・・・・・・・5,806・・・・・・・610
6(新)・・クレイジー・リッチ! ・・・・・・・10/25 ・・・・・・・・・・86,683・・・・・・・・106,291・・・・・・・・・・944 ・・・・・・・531
7(新)・・ハリー・ポッターと賢者の石・・2001/12/13 ・・・・・67,163・・・・・・・・103,774・・・・・・・・・・920 ・・・・・・・・33
8(5)・・アリー/ スター誕生 ・・・・・・・・・・10/09 ・・・・・・・・・・58,233・・・・・・・・366,965 ・・・・・・・・3,246 ・・・・・・・292
9(新)・・完璧な他人(韓国) ・・・・・・・・・・・10/31・・・・・・・・・・30,922・・・・・・・・・42,009・・・・・・・・・・386 ・・・・・・・136
10(28)・・ホィーリー・・・・・・・・・・・・・・・・10/25・・・・・・・・・・13,638・・・・・・・・・16,104・・・・・・・・・・131 ・・・・・・・162
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の作品も観客動員数もこれといった注目ポイントに欠けるような感じですかねー。
 新登場は1・6・7・9・10位の5作品です。
 1位「猖獗」は、韓国の時代劇アクション。「猖獗」というから疫病関係かと思ったらそうではなく、生者でも死者でもない<夜鬼>の跳梁跋扈のこと。夜だけ活動する彼らにより危機にさらされた朝鮮に戻った王子イチョン(ヒョンビン)は、至るところにはびこる夜鬼と戦っている最高の武官パク従事官(チョ・ウジン)一行に会うなり、はからずも夜鬼を掃討する彼らと行動を共にすることになります。一方、朝鮮の支配を企てる<絶対悪>キム・ジャジュン(チャン・ドンゴン)は、この世の中をひっくり返すため最終的な計画を敢行します・・・。原題は「창궐」です。
 6位「クレイジー・リッチ!」は、日本ではすでに9月28日から公開されています。韓国より1ヵ月早いというのは例外的と言っても過言ではないかも・・・。韓国題は「크레이지 리치 아시안」です。
 7位「ハリー・ポッターと賢者の石」は、もちろん2001年公開のハリポタシリーズ第1作の再上映です。韓国題は「해리포터와 마법사의 돌」です。
 9位「完璧な他人」は、韓国のドラマ&コメディ。テス(ユ・ヘジン)、スヒョン(ヨム・ジョンア)ジュンモ(イ・ソジン)、イェジン(キム・ジス)等の友人たちが「完璧に見えるカップル」と銘打った集まりで、精神科医のイェジンがゲームを提案します。それは自分たちのケータイをテーブルに置いて、限られた時間の間に来る電話やSMS、カカオトーク等々をすべて公開しようというもの。快くゲームを始めることにした彼らでしたが、ゲームが始まると彼らの秘密が次々と暴かれていきます。「私の携帯電話が、隣の人に公開されたら?」という想像から始まったゲームが想像もしなかった結末へと展開していきます・・・。原題は「완벽한 타인」です。
 10位「ホィーリー」は、マレーシアのアニメ。ホィーリーは走るのが一番楽しく幸せで、誰よりも速く走りたいという夢を持つレーシングタクシー。ある日特別なものを配達する機会が来て、偶然車たちの世界のスーパースターであるローズに会いて魅了されます。しかし、喜びもつかの間、この世で最も危険な巨大モンスタートラックのボスが目を開けます。ホィーリーはローズを救うために今までなかったスピードとアドベンチャーの世界の中に飛び込みます・・・。韓国題は英題の「Wheely」そのままの「윌리」。日本公開はなさそうです。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(4)・・ライ麦畑の反逆児・・・・・・・・・・・・・10/18・・・・・・・・・・・3,323・・・・・・・・・14,621・・・・・・・・・・124・・・・・・・・・・37
       ひとりぼっちのサリンジャー
2(1)・・ペンギン・ハイウェイ(日本)・・・・・10/18・・・・・・・・・・・2,944・・・・・・・・・33,587 ・・・・・・・・・268・・・・・・・・・・72
3(2)・・グランド・ブダペスト・ホテル・・2014/3/20 ・・・・・・・・2,824・・・・・・・・811,855 ・・・・・・・・6,356・・・・・・・・・・28
4(14)・・機動戦士ガンダム ・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・・1,762・・・・・・・・・・8,708・・・・・・・・・・・50・・・・・・・・・・・3
       THE ORIGIN 激突 ルウム会戦(日本)
5(10)・・機動戦士ガンダム ・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・・1,677・・・・・・・・・10,148・・・・・・・・・・・65・・・・・・・・・・・3
       THE ORIGIN 誕生 赤い彗星(日本)

 2位以外の4作品が新登場です。
 1位「ペンギン・ハイウェイ」については上述しました。
 3位「ホット・サマー・ナイツ」は、アメリカの青春ドラマ。
高校を卒業したばかりのダニエル(ティモシー・シャラメ)は人づき合いが苦手な青年。夏休みを叔母の家で過ごすことにしたものの、やはり町に自分の居場所を見つけるのが大変。そんなある日、ハンター(アレックス・ロウ)と出会います。ハンターはマリファナ商売をしていますが、警察の前でもビビらない青年です。そしてダニエルも彼と一緒にマリファナを売ることに。またハンターの妹のマッケイラ(マイカ・モンロー)と瞬く間に恋に落ちてしまったのですが、これが災難をもたらすことになるとは思ってもいませんでした・・・。韓国題は「핫 썸머 나이츠」です。
 4位「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」は、来年1月1日に生誕100周年を迎える「ライ麦畑でつかまえて」で知られる小説家J.D.サリンジャーの半生を描いたドラマ。20歳のサリンジャー(ニコラス・ホルト)は、1939年作家を志してコロンビア大学の創作学科に編入し、ウィット・バーネット教授(ケビン・スペイシー)のアドバイスで短編小説を書き始めます。何度も出版社に断られた後、やっと掲載が決定しますが、太平洋戦争が勃発して掲載は見送られてしまいます。召集されて戦地に赴いたサリンジャーは戦地で地獄を経験し、終戦後そのトラウマに悩まされながらも完成させたのが初長編「ライ麦畑でつかまえて」でした。しかし、この作品で大きな名声を手に入れたのですが・・・。韓国題は「호밀밭의 반항아」。日本公開は来年1月です。
 5位「マーラ」は、アメリカのスリラー。犯罪心理学者のケイト(オルガ・キュリレンコ)は疑問の<睡眠中の突然死事件>の容疑者を調査したところ、死亡者が睡眠障害に苦しんでいたことを知り、彼が参加していた睡眠障害者の集まりに行ってみます。 そこで会員たちの睡眠障害が死の悪霊<マーラ>の呪いを受けたような形で現れたことを知ったケイトは、自分も<マーラ>の呪いから安全ではないことを知り、その実体を探りはじめますが・・・。韓国題は「마라」。日本公開は未定のようです。
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30年前<アジア映画劇場>で放映された「男と女の青空市場」をめぐって ③金周榮の原作は教科書の掲載作品だって!? どう教えるんだろう?

2018-10-28 17:55:06 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 → <30年前<アジア映画劇場>で放映された「男と女の青空市場」をめぐって ①映画ではなくドラマ。その原題と原作小説をつきとめる>
 → <30年前<アジア映画劇場>で放映された「男と女の青空市場」をめぐって ②原作の金周榮「外村場紀行」は場末感が漂う短編小説>

 金周榮「外村場紀行」のあらすじの続きです。
 ある小さな地方都市の安宿で、たまたま別の部屋から聞こえる男女の会話に興味を持ち、聞き入っていた青年セチョル。30分以上経って彼の部屋のドアが開き、顔をのぞかせたのは、その女性客でした。
 縁側に座り込んでマッチでタバコに火を点けて深々と吸い、「どこからいらっしゃったの?」などと気安く話しかけてきます。
 思わずこわばるセチョルに「かたくなることないわよ。ただ訊いてみただけだから」と、これはもう女のペース。そして「お酒1杯おごってくれる?」とセチョルに断る隙も与えず、「ずうずうしくも自然で、なんの負担感も感じさせなかった」という感じで、セチョルはもう女に言われるがまま。
 (女)「心配することないわよ。あの男寝てんだから。一晩中起きないわよ」
 (セチョル)「いや、あの人のことじゃなくて・・・」
 (女)「わかってるわよ。センセイ(=セチョル)も私もここじゃよそ者でしょ。人目を気にすることはないわよ」

 ・・・などと言いつつ宿を出る女について、セチョルもテポチプ(대폿집.飲み屋)に向かいます。

 その道々、セチョルは「たまに酒場で女と酒を飲むことはあっても日頃堅実に生きてきて、とくに失敗することもなくここまできたのに、こんな成り行きになっちゃってるのは初めてだ・・・」と、そんな自分に驚いてさえいるようです。

 テポチプでの2人の会話です。
 (セチョル)「アガシはふつうの女性とはちょっと違いますね」
 (女)「違うって? もちろんそうでしょ。私6ヵ月前は学校の先生だったんだから」

 ・・・と、彼の言葉を誤解した上、見え透いたウソをつきます。しかしセチョルはそのウソがいかにも彼女に似つかわしいと思いながら、「ああ、そうだったんですね!」と答えてうなづいたりします。
 マッコリを3杯たて続けに飲んだ女は急に立ち上がって・・・。
 (女)「出ましょ」。
 (セチョル)「あなたは離れようとしているんでしょう、ここから」
 (女)「あなた、一緒に行ってくれる?」
 (セチョル)「なんで、どこへ行くというのですか? これはとんでもないことじゃないですか? 彼(=テキヤ)を棄てて行くとは」
 (女)「関係ないわよ。あの男、私がどこに行っても探し出すんだから。ただアナタが一緒に行くかどうかを決めればいいだけ」
 (セチョル)「明日の朝決めますよ」


 2人は谷あいの細い道を2時間ほども歩き続けます。その間、女は腕をからませてきて、薄い服に隠された肌にヘンな気分を感じたりして・・・。
 その先に見つけたクモンカゲ(구멍가게.よろず屋)に入った2人。店のばあさんが夕食の膳を運んできてセチョルに言います。
 (店のばあさん)「花嫁さんがキレイね」
 すると女は・・・。
 (女)「私、この人の花嫁じゃないわよ」
 手を振って否定する女に、セチョルはそんなはっきり言うことかと驚きます。

 (ばあさん)「学のない女が口数が多いと町内で舅が9人にもなるっていうよ」(男関係が複雑になるという意味)

 どうも女(名はプノク)も店のばあさんも前から知ってるようすです。
 部屋の明かりを消してから1時間くらいか。2人は暗がりの中で並んで横になっていますが寝入ってはいません。
 セチョルは彼女と別れなくてはならないと考えています。しかし彼女はどうするのだろうか・・・。

 ところが、ここから物語は急展開します。そんな夜更けに外で車の音が・・・。男が2人下りてきて店にやってきます。あのテキヤの男と、その仲間です。
 (男)「あの女、またコチラに来てますか?」
 (ばあさん)「来てることは来てますけど・・・」
 (男)「連れがいるということくらいはわかった上ですよ。ちょっと入ってみてもいですよね?」
 (ばあさん)「もう明かりを消して寝てるよ」
 (男)「明かりを消して寝ててもかまわないさ。あいつの彼氏がやって来たんだから、真っ暗な夜ならとか真っ昼間だからとか関係ないよ」
 (ばあさん)「とにかくちょっと騒ぎ立てないで行ってみな、あの部屋だから」


 男たちは2人が寝ている部屋に入ってきます。
 (男)「遠くまで行ったと思ったら、こんな近くか」

 もう1人の男がふとんを1枚1枚はいでゆき、男は明かりを点け、部屋の隅に座り込みます。
 (男)「あんた、誰なの? 自信ある?」
 (セチョル)「・・・・」
 (男)「あんた、自信があるならこの女を譲るよ。棄てないで最後まで連れ添って暮らすか?」
 (セチョル)「私はそんな自信はありません・・・。
 (男)「どこの馬の骨だ? 恥をかきたくなかったらはっきり言って見ろよ」
 (セチョル)「プノクさんがここまで来たのは自分の意志で、私が誘惑をしたとか拉致したとかじゃありません。だから私と結婚するとか棄てるとかいう問題とは関係ないんですよ」
 (男)「こいつがどんな女かわかるか? うっかり関わったら身を亡ぼすのが常だぞ。俺はその日暮らしの流れ者だから、こんな女を連れて回っても大丈夫だが、あんたのようなキレイにやられる。どうだ、わかったか?」


 こんな最中に、彼女はいきなり手を打って言うには・・・
 (女)「みんな、一杯やろうよ」
 (男)「うるさい。一晩中飲むなどとどこの馬鹿が言うんだ?」
 (女)「じゃあどうするのよ?」
 (男)「どうするって、帰らなくちゃ」
 (女)「帰る? どこに帰るのよ」
 (男)「俺らが泊まった宿だよ」
 (女)「まるで貸し間でも借りたみたいな話ね。貸し間ひとつも借りられないのに」
 (男)「俺がおまえの本心を知らないとでも思ってるのか? 貸し間を借りてもおまえは10日も落ち着いていられない女じゃないか」
 (女)「見てよ、ミンさん、どうしましょ。私こう見えても昔学校の先生だったのよ」
 (男)「そんな真っ赤な嘘をこの人が信じると思うか?」


 少なくとも、男女が示し合わせてセチョルをわなにかけた(つまりツツモタセ)ではなく、また男も女の習い性をよく心得ているようす。この店にすぐやってきたのも、こんな彼女をすっすりお見通しだったからか。

 ところが、ひとしきり女と口争いをしていた男が、いきなりセチョルに手を出してきます。
 (男)「おい、とっとと失せろ! シゴル(=仲間の男)、こいつをつまみ出せ」
 セチョルは庭に放り出されてしまいます。やってきた男2人と女はそのまま部屋で寝ることになります。(セチョルは庭で夜を明かすのかな?)

 翌朝3人はセチョルには何の関心も示さず、見知らぬ人を眺めるように見るだけ。井戸端で、私が使い終えた洗面器もそのまま男、さらにシゴルへと順々に受け渡されます。
 その日はたまたま市の立つ日でした。私はすぐ出立しようという当初の予定を変更して、彼らを観察してみようという気になります。

 店で2時間ほど待つと、市場の方からスピーカーで歌声が聞こえてきます。
  ♪동해나 울산은 잣나무 그늘 뱃길을 찾노라 석 달도 열흘
  (♪東海や蔚山は朝鮮松の木陰 船路を求めて三月と十日
   ※「蔚山アガシ」
 明らかにプノクの歌声です。
 つまり、市で人寄せで歌っているのです。そういえば映画「風の丘を越えて 西便制」でも、パンソリが市で人寄せとして唄われる場面がありましたね。
 歌が終わった後、見物人たちの前に男(香具師)が登場して薬売りの口上を述べ始めます。セチョルが見物人たちの間に交じって見ているとプオクが見つけて近づいてきます。
 (女)「なんで来たのよ?」
 (セチョル)「プオクさんを見に」
 (女)「あなた、ヘンな人ね」


 ・・・などとやりとりしていると今度はテキヤの男が近づいてきていきなりセチョルの胸ぐらをつかみます。
 (男)「なんだよ、てめえ」
 (セチョル)「あなたこそなんですか?」
 (男)「俺か? 俺はこの女の同業者だよ。そして保護者だ。住民登録証を見せてやろうか?」
と険悪な状況に。
 (セチョル)「静かに話をしましょうよ」
 (男)「静かに話しましょうだと? てまえが他人の女をたぶらかして連れ回してるから俺が出てきたんじゃないか」


 そこに見物人のひとりが割り込みます。「もしもし、薬は売らないでケンカばっかりやってるの?」
 ・・・と、事態がややこしくなったどさくさまぎれにセチョルはその場から抜け出て店の部屋に戻ります。
 しかし邑の方に行くバスの時間は5時間後。いつしかそのまま寝込んでしまい、しばらくして壁を隔ててひそひそ話を始めた男女の声で眠りからさめます。
 (女)「あんた、ほんとに私を裏切ったらダメよ、わかった?」
 (男)「何だ、口を開いたと思えばぎゃあぎゃあと」
 (女)「そうね、声を落とすわ。裏切るの? 裏切らない?」
 (男)「裏切りがそんなに恐いか? 嫌いになったら別れて嫌気がさしたらおしまいだろ。前世でどんな怨みがあってもくっついて回らねばならんか? 俺と会うとすぐ裏切り節を語り出すがおまえこそ大勢の男を裏切ってきたことは考えないのか? 他人のアラは見えても自分のでかいキズには気がつかないとはよく言うわな」


 またもや例の2人。こんな会話がまた延々と繰り返されています。
 バスの時間までまだ約1時間。セチョルはバスが来たら乗ることにして、とりあえずは歩いてこの市場町から出ることにします。
 
 5、6キロほど未舗装の道を歩き、あと1時間も歩けば到着するだろうと思った時、後ろからトラックがほこりを立てて走ってきます。セチョルが手をあげると少し先で止まりました。
 セチョルが「邑内まで乗せてってください」と頼むと、サングラスの運転手は「途中で3、4時間休んでいくからまっすぐには行かないよ」となぜかにやついている運転手の向こうの座席に目をやると、無表情で自分を眺めているあの女(プオク)が座っています。
 あのテキヤが疲れて昼寝をしている時間に、女はまた部屋を出てこのトラックを捕まえたのです。
 (セチョル)「3、4時間休むんですか?」
 (運転手)「そう、3、4時間」
 3、4時間経つと、やはりテキヤも目が覚めることだろう。


 ・・・という一文がこの小説のオチ。

 つまりは、女が男が昼寝をしている間に抜け出して別の男に声をかけてどこかに消えるのは「いつものこと」なんですね。また男が即座にその場所に乗り込んで連れ戻すのも。2人がいろいろ言い争いはしていても、ある意味「似た者同士」ということ。まあ腐れ縁というか・・・。

 ところで、上掲の作品の概要に「堕落した若い男女の姿を通して1970年代の産業化過程で現れた性倫理の問題を批判的に見せてくれてもいます」とあるのは当たっていないんじゃないですかねー。作品は主人公セチョルの一人称で書かれていますが、「ひっかかっちゃった感」「自分の倫理観はどうなっちゃったんだろ?感」はあるにしても、彼らの倫理観に対する憤りや嫌悪はないみたいだし・・・。
 しか~し。こうまとめておかなければ、というワケはわからないでもありません。
 この小説は教科書に載っている(!)作品だから。
 つまり、私ヌルボが読んだ本は휴이넘(Houyhnhnm)という出版社の<教科書 韓国文学>というシリーズ中の1冊なのです。(表題作を含めて4編の短編小説が収められています。) すでに読む前から「えっ、こういう内容の小説が教科書に!?」と驚きましたが、実際に読んでみてもやっぱり疑問のまま。上記の、部屋の明かりを消して並んで横になった云々のくだりなど、生徒にどう教えるでしょうね? 「具体的に説明してください」と質問されたら困っちゃいそう(笑)。そんなわけで授業の場ではあくまでも倫理重視というタテマエで教えるのかな?(もしかしてホンネ?) としたら誤読だと思いますけど・・・。
 はてさて。この記事を書いている間にたまたま雑誌「旅」2000年12月号になんと金周榮さんのインタビュー記事が載っているのを見つけました。それも、「作家になりたては韓国内の市の立つ町を歩いていたね」と、本作に直接関係することも語っています。ということは、かなり自身の体験が素材になっているのかもしれませんね。(下の画像は冒頭部分)



★この小説と、TVドラマ「男と女の青空市場」の相違点
 「男と女の青空市場」を見たサークル仲間の話を聞くと、この原作小説とはかなり違いがあるようです。とくに大きな点は、小説では「사나이(サナイ.男)」とあるだけのテキヤがニックネームながらも<ボンゴ>と呼ばれてキム・ヒラ演じる主人公になっていること。仕事もテキヤではなくボンゴ車に乗って各地を廻って商売をしている行商人です。またラストシーンにはトラック運転手は登場せず、イ・ジョンナムが演じる女(プノク)がボンゴに乗って去るとのこと。彼女は水商売だかの女で、ボンゴに借金があって逃げられない状態にあるのを、イ・ソンホ演じるインテリ青年が救い出そうとして・・・という設定だったそうです。
 なぜ原作を変えたか? 私ヌルボ思うに、小説の読者は(少なくとも当時は)主にインテリであるのに対して、TVドラマはより広汎な層の人たちが視て楽しむものだから。主人公のインテリだと、共感を覚える人はとても大多数とは思えません。あくまでも推測ですけど・・・。

 このあと、オマケ的な記事があります。・・・が、(例によっていつになるやら・・・。)
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30年前<アジア映画劇場>で放映された「男と女の青空市場」をめぐって ②原作の金周榮「外村場紀行」は場末感が漂う短編小説

2018-10-27 06:11:51 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 → <30年前<アジア映画劇場>で放映された「男と女の青空市場」をめぐって ①映画ではなくドラマ。その原題と原作小説をつきとめる>
の続きです。

 31年前(!)の韓国のTVドラマ「外村場紀行」(邦題「男と女の青空市場」)の原作小説を読みました。ハングル表記は「외촌장 기행」金周榮(キム・ジュヨン.김주영)という作家が1983年に発表した作品です。
 その概要は・・・考えるとキモチが重~くなるので(笑)、安直に裏表紙の文章を翻訳して貼り付けます。

1970年代韓国社会を代表する問題作「外村場紀行」
 「外村場紀行」は1970年代下層民の日常を素材とした作品です。
 ‘外村場’という非日常的な空間で一瞬間の偶然の出会いを通して全然見慣れない世の中を体験して自分のまた別の姿を発見する一男性の物語をたいへん写実的に描いています。
 堕落した若い男女の姿を通して1970年代の産業化過程で現れた性倫理の問題を批判的に見せてくれてもいます。

 私ヌルボ、一読して感じたのは、全体的に漂う場末感、うらぶれ感、やさぐれ感です。いや。「漂う」というより「満ち満ちている」といった方がいいかも。
 そう感じさせる理由は、まず第一に物語の舞台が地方の小さな町であること。<外村場(ウェチョンジャン)>とは町の名ではなく、<外村(ウェチョン)>とは都邑の外の村、つまりかなり辺鄙な町(村?)のことです。また<場(ジャン)>市場なのですが、常設市場ではなく(十日市といったような)決まった日に開かれる市です。
 物語は、主人公の青年ミン・セチョルが旅先の小さな町で安宿(旅人宿.ヨインスク)に泊まるところが始まります。しかし日没にはまだ3、4時間もあります。部屋の縁側に出てみると、別の部屋から男女の話し声が聞こえてきます。
 その会話がいかにもその2人の関係や生活、人となり等々をよく表しています。

 主人公の青年ミン・セチョルという青年。彼は旅先の小さな町で安宿に泊まります。日没にはまだ3、4時間もあります。部屋の縁側に出てみると、別の部屋から男女の話し声が聞こえてきます。
 その会話がいかにもその2人の関係や生活、人となり等々をよく表しています。

 (女)「私たちどこかに家でも借りようよ。ダメなら貸し間でも借りて・・・。あんたは私をどう思ってるか知らないけど、私だってやろうと思えばきちんとやっていける自信はあるわよ」
 (男)「うだうだ言ってないでタバコの火を消せよ。昼間からそんなに吸ってりゃタバコ代も馬鹿にならんぞ」
 (女)「私がタバコ止めたら部屋借りてくれる?」
 (男)「俺の額を見ろ。プータローって書いてあるだろ。金がないと部屋は借りられんよ。それにどこに落ち着くってんだ? 俺はひと所にいると気持ちがひっくり返るんだ」


 彼らの話からセチョルが察したところでは、男は야바위꾼(ヤバウィクン)です。私ヌルボ、この単語はもちろん知りませんでした。google翻訳だと<スリッカー>とか意味不明の訳語が出てきますが、<香具師(やし)>とか<テキヤ>と訳すのが妥当なところでしょう。つまり市場などで薬売り等のために巧みな口上で人寄せをしたり、伏せた3つのコップのどれにサイコロが入っているかを当てさせたりして稼いでいる流れ者です。(香具師とテキヤの相違は今ひとつわからず。ほぼ同義? 香具師の方が話術とか手品等の専門技術に長けている?)
 こういう渡世人が登場するのもうらぶれ感を感じさせる一要素です。
 ※柴又の寅さんを思い起こす人は多いですよね。私ヌルボ、田中小実昌の直木賞作を含む作品集「香具師の旅」(1979)を図書館で読みましたが、これは戦後風俗史の資料としても貴重だと思いました。

 また、上記の作品の概要にも記されているように70年代頃という時代背景も香具師という職業のうらぶれ感をかき立てています。朴正熙政権によるセマウル運動で韓国社会がめざましく変貌して、その波が全国に及んだ頃です。そんな中で、各地で開かれる市を渡り歩いて暮らしてきた商売人たちを取りまく環境も大きく変わってきました。早い話が、この先この商売は下り坂しかないということです。
 社会の大変化は、人々の価値観・倫理観等にも影響を及ぼし始めました。・・・ということで、物語の先を追ってみます。

 セチョルはとくにやることもなく、なんとなく彼らの会話を聞いていてちょっと男に対する好奇心もアタマをもたげてきます。「今どき、あんな時代遅れの生き方をしてるヤツもいるんだなあ」と・・・。
 30分以上経って、セチョルの部屋のドアが開けられます。
 顔をのぞかせたのは・・・


 と、ここから物語がどんどんと展開していきますが、とりあえずここで一区切り。

 → 30年前<アジア映画劇場>で放映された「男と女の青空市場」をめぐって ③金周榮の原作は教科書の掲載作品だって!? どう教えるんだろう?
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [10月19日(金)~10月21日(日)]

2018-10-23 23:49:01 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸この1週間は、とくに観たい映画もなくて映画館には行かず、外出も少ない毎日でした。19日に神保町のチェッコリで米村耕一・前毎日新聞ソウル支局長のトークを聞きにいったくらいか。例のローソクデモの件を中心に、とても興味深い内容でした。個人的に韓国映画「インサイダーズ/内部者たち」のことを訊いたりして(笑)。

▸今週末~来週は韓国文化院の<コリアン・シネマ・ウィーク 2018>に3回足を運び、<東京国際映画祭>では唯一の韓国映画で、目下韓国で公開中の「ミス・ペク」を見に行ったりとにわかに忙しくなります。それにしても、<コリアン・シネマ・ウィーク>は<東京国際映画祭>と同じ時期にする意味がどこにあるのかな? できればずらしてほしいものです。

《大鐘賞2018》10月22日発表(→スポーツ京郷(韓国語)参照。)
 ◆最優秀作品賞:バーニング ◆監督賞:チャン・ジュナン(1987、ある闘いの真実) ◆主演男優賞:ファン・ジョンミン(工作)、イ・ソンミン(工作) ◆主演女優賞:ナ・ムニ(アイ・キャン・スピーク) ◆助演男優賞:故キム・ジュヒョク(督戦) ◆助演女優賞:チン・ソヨン(督戦) ◆新人監督賞:チョン・ゴウン(小公女) ◆新人男優賞:イ・ガソプ(暴力の種) ◆新人女優賞:キム・ダミ(魔女)

《韓国映画評論家協会賞2018》10月22日発表(→中央日報日本語版参照。)
 ◆最優秀作品賞:1987、ある闘いの真実 ◆監督賞:ユン・ジョンビン(工作) ◆主演男優賞:イ・ソンミン(工作) ◆主演女優賞:ハン・ジミン(ミス・ペク) ◆助演男優賞:チュ・ジフン(工作) ◆助演女優賞:クォン・ソヒョン(ミス・ペク) ◆新人監督賞:チョン・ゴウン(小公女) ◆新人男優賞:ナム・ジュヒョク(安市城) ◆新人女優賞:キム・ガヒ(パク・ファヨン)


※先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」と「週末の劇場街」は掲載されませんでした。3週連続か。前もっと長いブランクもありましたが・・・。

         ★★★ NAVERの人気順位(10月23日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(2) ミス・ペク(韓国)  9.27(4,181)
②(1) 万引き家族(日本)  9.24(2,823)
③(3) ハロー カボット:白亜紀時代(韓国)  9.23(2,048)
④(4) アリー/ スター誕生  9.16(3,392)
⑤(5) カメラを止めるな!(日本)  9.16(826)
⑥(6) ターシャ・テューダー 静かな水の物語  9.12(356)
⑦(8) 劇場版 ポイン:スーパー変身の秘密(韓国)  9.11(87)
⑧(-) パディントン2  9.10(994)
⑨(9) 蝶よ蝶よ(韓国)  9.08(39)
⑩(-) A-X-L  9.04(329)

 ⑩「A-X-L」だけが今回の新登場です。この作品については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
②(2) 暗数殺人(韓国)  8.14(7)
③(3) 万引き家族  8.13(8)
④(4) 生き残った子[最後の息子](韓国)  7.67(9)
⑤(-) バディントン2  7.67(3)
⑥(5) search サーチ  7.60(10)
⑦(6) アリー/ スター誕生  7.43(7)
⑧(7) ビューティフル・デイ  7.40(10)
⑨(9) 春川、春川(韓国)  7.25(8)
⑩(10) 暗い夜(韓国)  7.20(5)

 今回新登場の作品はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月19日(金)~10月21日(日) ★★★

         初めて月面に降り立ったアームストロング飛行士の伝記「ファースト・マン」が1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ファースト・マン ・・・・・・・・・・・10/18 ・・・・・・・・・349,931・・・・・・・・423,200 ・・・・・・・・3,930 ・・・・・1,190
2(1)・・暗数殺人(韓国)・・・・・・・・・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・311,594 ・・・・・・3,396,712 ・・・・・・・29,730・・・・・・・902
3(2)・・ヴェノム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/03・・・・・・・・・・241,172 ・・・・・・3,672,372 ・・・・・・・32,317・・・・・・・664
4(3)・・ミス・ぺク(韓国)・・・・・・・・・・・・・10/11 ・・・・・・・・・143,734・・・・・・・・452,580 ・・・・・・・・3,889 ・・・・・・・671
5(4)・・アリー/ スター誕生 ・・・・・・・・・・10/09 ・・・・・・・・・・56,889・・・・・・・・267,701 ・・・・・・・・2,360 ・・・・・・・397
6(6)・・プーと大人になった僕 ・・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・・36,358・・・・・・・・458,991 ・・・・・・・・3,851 ・・・・・・・300
7(5)・・安市城(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/19 ・・・・・・・・・・25,426 ・・・・・・5,411,423 ・・・・・・・46,147 ・・・・・・・269
8(新)・・裏切りのバラ(韓国) ・・・・・・・・・10/18・・・・・・・・・・19,379・・・・・・・・・29,890・・・・・・・・・・251 ・・・・・・・446
9(新)・・ペンギン・ハイウェイ(日本) ・・10/18・・・・・・・・・・18,445・・・・・・・・・25,631・・・・・・・・・・208 ・・・・・・・338
10(49)・・A-X-L ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/18・・・・・・・・・・・9,129・・・・・・・・・12,152・・・・・・・・・・105 ・・・・・・・142
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の作品も観客動員数もこれといった注目ポイントに欠けるような感じですかねー。
 新登場は1・8・9・10位の4作品です。
 1位「ファースト・マン」は、「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督の最新作。人類史上初めて月面を歩いたアポロ11号のニール・アームストロング船長の伝記「ファーストマン」(ソフトバンククリエイティブ.2007)の映画化作品です。ニール(ライアン・ゴスリング)を中心に、60年代のNASAのミッションを実話に基づいて描いたドラマ。今年8月のヴェネツィア映画祭でのプレミア上映後、アームストロングとオルドリンが月面に星条旗を立てるシーンが本作にはないことが物議を醸したとのこと。こういうことに激怒する人はどこの国にもいそうな・・・。韓国題は「퍼스트맨」。日本公開は来年2月です。
 8位「裏切りのバラ」は、韓国のコメディ。自分の人生が世界一憂鬱で悲しいと自負している3人の男性と1人の女性が出会い、同じ日に一緒に死のうとに決心します。まず集まったのは<最後の火花>ことピョンナム(キム・イングォン)、<人生は未完成>ことシムソン(チョン・サンフン)、「幸せは成績順」ことトゥソク(キム・ソンチョル)の男性3人。彼らは人生の終わりに臨んで3人は胸に抱いてきたバケットリストを実践し、悲壮な思いで最後の準備をします。最後に到着したのが<裏切りのバラ>ことミジ(ソン・ダムビ)。ところが、美しく魅力的な彼女の登場ですべての計画が支障をきたしてしまいます。そして完璧に見える彼女の驚くべき過去が明らかになり、死の危機(!?)から生き残るため4人の非常に特別な1日が始まります・・・。原題は「배반의 장미」です。あ、4人のニックネームは意味ありげ。「人生は未完成」や「幸せは成績順じゃないでしょう」は昔の映画。「最後の火花」はブレステの「戦場のヴァルキュリア」中の用語? で、このタイトルはオム・ジョンファの歌??
 9位「ペンギン・ハイウェイ」、日本で公開してからまだ2ヵ月なのにもう韓国でやってるのですね。私ヌルボ、予告編しか観てないのでコメントしようがありません。韓国題は「펭귄 하이웨이」です。
 10位「A-X-L」は、アメリカのアドベンチャー&アクション。A-X-Lは軍が前線の兵士たちを援護するために開発したロボット犬のことで、その名称はAttack、Exploration(探検)、Logistics(兵站)の頭文字によるものです。ところが実験中に誤作動を起こしたためA-X-Lは砂漠に放置されます。その傷ついたロボット犬を発見したのがティーンエージャーのマイルズ・ヒル(アレックス・ニューステッター)。彼はA-X-Lを再起動し、A-X-Lも彼をパートナーと認識して両者の交流が深まっていきます。ところがA-X-Lが再起動したことを嗅ぎつけた軍はA-X-L奪還に乗り出します・・・。韓国題は「액슬킨」。日本公開は未定のようです。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・ペンギン・ハイウェイ(日本)・・・・10/18・・・・・・・・・・18,445・・・・・・・・・25,631 ・・・・・・・・・208・・・・・・・・・338
2(2)・・グランド・ブダペスト・ホテル・・2014/3/20 ・・・・・・・・5,807・・・・・・・・806,089 ・・・・・・・・6,302 ・・・・・・・・・38
3(新)・・ホット・サマー・ナイツ・・・・・・・・10/18・・・・・・・・・・・5,524・・・・・・・・・・8,193・・・・・・・・・・・75・・・・・・・・・169
4(25)・・ライ麦畑の反逆児・・・・・・・・・・・・10/18・・・・・・・・・・・5,059・・・・・・・・・・6,712・・・・・・・・・・・58・・・・・・・・・・68
       ひとりぼっちのサリンジャー
5(22)・・マーラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/18・・・・・・・・・・・4,651・・・・・・・・・・6,502・・・・・・・・・・・55・・・・・・・・・141

 2位以外の4作品が新登場です。
 1位「ペンギン・ハイウェイ」については上述しました。
 3位「ホット・サマー・ナイツ」は、アメリカの青春ドラマ。
高校を卒業したばかりのダニエル(ティモシー・シャラメ)は人づき合いが苦手な青年。夏休みを叔母の家で過ごすことにしたものの、やはり町に自分の居場所を見つけるのが大変。そんなある日、ハンター(アレックス・ロウ)と出会います。ハンターはマリファナ商売をしていますが、警察の前でもビビらない青年です。そしてダニエルも彼と一緒にマリファナを売ることに。またハンターの妹のマッケイラ(マイカ・モンロー)と瞬く間に恋に落ちてしまったのですが、これが災難をもたらすことになるとは思ってもいませんでした・・・。韓国題は「핫 썸머 나이츠」です。
 4位「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」は、来年1月1日に生誕100周年を迎える「ライ麦畑でつかまえて」で知られる小説家J.D.サリンジャーの半生を描いたドラマ。20歳のサリンジャー(ニコラス・ホルト)は、1939年作家を志してコロンビア大学の創作学科に編入し、ウィット・バーネット教授(ケビン・スペイシー)のアドバイスで短編小説を書き始めます。何度も出版社に断られた後、やっと掲載が決定しますが、太平洋戦争が勃発して掲載は見送られてしまいます。召集されて戦地に赴いたサリンジャーは戦地で地獄を経験し、終戦後そのトラウマに悩まされながらも完成させたのが初長編「ライ麦畑でつかまえて」でした。しかし、この作品で大きな名声を手に入れたのですが・・・。韓国題は「호밀밭의 반항아」。日本公開は来年1月です。
 5位「マーラ」は、アメリカのスリラー。犯罪心理学者のケイト(オルガ・キュリレンコ)は疑問の<睡眠中の突然死事件>の容疑者を調査したところ、死亡者が睡眠障害に苦しんでいたことを知り、彼が参加していた睡眠障害者の集まりに行ってみます。 そこで会員たちの睡眠障害が死の悪霊<マーラ>の呪いを受けたような形で現れたことを知ったケイトは、自分も<マーラ>の呪いから安全ではないことを知り、その実体を探りはじめますが・・・。韓国題は「마라」。日本公開は未定のようです。
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [10月12日(金)~10月14日(日)]

2018-10-17 09:00:19 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸→1つ前の記事もちょっとだけ韓国映画関連。その続き記事は今日明日中に仕上げる予定です。

▸→先週の記事で書いた「教誨師」大杉漣さん(今年2月逝去)は同郷(小松島市)で私ヌルボの数年年下。面識はありませんが、映画のパンフには子供の頃近くの勝浦川で泳いだこと等が書かれていました。ヌルボにとっても思い出の川です。そして去る11日には元官房長官の仙谷由人氏が亡くなりました。彼は高校の数年先輩です。年を取るとともに同じ世代の人たちが1人また1人と先立っていくのは世のならいとはいえ、ホントにさびしいものです。

▸15日(月)シネマ・ジャック&ベティの21:20~の回で観た「止められるか、俺たちを」は観客が5人。これも個人的に「いろんなこと」を想起させる「やっかいな」映画でした。→先々週の記事の冒頭で「69年アートシアター新宿文化」のこと等を少し書きましたが、まさにその時代の新宿に直結する若松孝二監督とその周辺の人たちの物語。その周辺の人たちというのが大島渚、松田政男、荒井晴彦、大和屋竺等々錚々たる名前がずら~り。多くのことをこの映画を観て初めて知りました。「赤軍 PFLP 世界戦争宣言」(1971)制作のためレバノンに行ったこともその1つ。コマンドたちからの取材(訓練?)を終えてベイルートに戻った直後、その戦士たちがヨルダンの攻撃を受けて死んでしまった云々の話は(先週書いた)「判決、ふたつの希望」にも少し出てきましたね。「赤軍 PFLP 世界戦争宣言」は観ていませんが、重信房子のインタビューが入っているとか。そういえば高校の卒業式でヌルボの隣の席に座ってた同級生の女子はデモで捕まった後拘置所でたまたま一緒の房だった重信の感化を受けて筋金入りになっちゃったという話もあったな・・・。あと、「処女ゲバゲバ」が云々と関西弁で熱っぽく語っていた大学の同級生のこととかも思い出されて・・・と、これはもうキリがありません。

▸「止められるか、俺たちを」の主人公、若松プロの女性助監督・吉積めぐみについてももちろん今まで知りませんでした。どうも私ヌルボと同学年か1つ違い。彼女を若松プロに誘ったフーテン仲間の秋山道男も。もしかしたら新宿のどっかで彼らとすれ違ったことがあったかも。(今ウィキペディアを見たらその秋山道男さんも先月19日に亡くなっていたのか・・・。)
 で、映画「止められるか、俺たちを」ですが、吉積めぐみを主人公にしたことが◎! そして演じた
門脇麦が◎! 井浦新の若松孝二や高岡蒼甫の大島渚をはじめ他の俳優陣もよかったと思います。
 白石和彌監督自身は1974年生まれなのに、「彼女がその名を知らない鳥たち」や「孤狼の血」等の嗜好(?)がどこらへんに由来するのか・・・。熱気が充満していた69年前後と今のフンイキは比べるべくもないのに・・・。完成披露試写会の時に舞台挨拶で監督は「今日、日本の政権は据え置きになることが決まり。とてもいい政権だとは個人的には思えない中で、それを壊せない民衆、大衆、世の中に対して刃を突きつけたいと思います」と語ったとのこと。今後も目が離せない監督です。

※先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」と「週末の劇場街」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(10月16日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(2) 万引き家族(日本)  9.24(2,798)
②(-) ミス・ペク(韓国)  9.24(2,166)
③(-) ハロー カボット:白亜紀時代(韓国)  9.23(2,046)
④(1) アリー/ スター誕生  9.20(2,271)
⑤(3) カメラを止めるな!(日本)  9.17(785)
⑥(6) ターシャ・テューダー 静かな水の物語  9.15(317)
⑦(4) 私の最後のスーツ  9.15(72)
⑧(7) 劇場版 ポイン:スーパー変身の秘密(韓国)  9.11(87)
⑨(5) 蝶よ蝶よ(韓国)  9.05(38)
⑩(10) ルイスとエイリアンたち  9.00(441)

 ②「ミス・ペク」だけが今回の新登場です。この作品については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(-) エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館  8.50(2)
②(2) 暗数殺人(韓国)  8.14(7)
③(1) 万引き家族  8.13(8)
④(3) 生き残った子[最後の息子](韓国)  7.67(9)
⑤(4) search サーチ  7.60(10)
⑥(6) アリー/ スター誕生  7.43(7)
⑦(5) ビューティフル・デイ  7.40(10)
⑧(7) ザ・スクエア 思いやりの聖域  7.25(12)
⑨(8) 春川、春川(韓国)  7.25(8)
⑩(9) 暗い夜(韓国)  7.20(5)

 ①「エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館」が今回の新登場です。アメリカのフレデリック・ワイズマン監督によるドキュメンタリー。2017年の第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映され、FIPRESCI賞を獲得した作品で、日本では17年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されました。マルチメディア社会になって図書館も大きく変わってきています。世界の5大図書館の1つに挙げられるニューヨーク市立図書館でも、そんな時代に対応してさまざまな試みに取り組んでいます。また、図書館に集まる人々は民族もさまざま。そんなところからもアメリカの現在を明らかにしていきます。韓国題は「뉴욕 라이브러리에서」。日本での一般劇場公開は2019年のようです。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月12日(金)~10月14日(日) ★★★

         韓国の犯罪ドラマ「暗数殺人」が「ヴェノム」を逆転して1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・暗数殺人(韓国)・・・・・・・・・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・552,981 ・・・・・・2,833,817 ・・・・・・・24,926・・・・・・1,064
2(1)・・ヴェノム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/03・・・・・・・・・・493,711 ・・・・・・3,249,353 ・・・・・・・28,707・・・・・・1,011
3(14)・・ミス・ぺク(韓国)・・・・・・・・・・・・10/11 ・・・・・・・・・161,468・・・・・・・・193,789 ・・・・・・・・1,701 ・・・・・・・624
4(38)・・アリー/ スター誕生・・・・・・・・・10/09・・・・・・・・・・・86,759・・・・・・・・153,395 ・・・・・・・・1,363 ・・・・・・・555
5(3)・・安市城(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/19 ・・・・・・・・・・72,286 ・・・・・・5,352,394 ・・・・・・・45,710 ・・・・・・・535
6(4)・・プーと大人になった僕 ・・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・・62,846・・・・・・・・395,867 ・・・・・・・・3,375 ・・・・・・・468
7(新)・・プラネット・ダイナソー・・・・・・10/09・・・・・・・・・・15,823・・・・・・・・・34,822・・・・・・・・・・269 ・・・・・・・322
8(新)・・ストレンジャーズ 地獄からの訪問者・・10/11・・14,727・・・・・・・・17,860・・・・・・・・・・155 ・・・・・・・266
9(23)・・エブリデイ・・・・・・・・・・・・・・・・・10/11・・・・・・・・・・14,359・・・・・・・・・21,620・・・・・・・・・・195 ・・・・・・・124
10(新)・・Kin/キン・・・・・・・・・・・・・・・・・10/11・・・・・・・・・・・9,224・・・・・・・・・12,260・・・・・・・・・・107 ・・・・・・・167

     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 秋夕(チュソク)連休を制した「安市城」は500万人の中ヒットラインを超えたところで3位に後退しました。代わって久しぶりにアメリカ映画がトップです。
 今回の新登場は3・7・8・9・10位の5作品です。
 3位「ミス・ペク」は、韓国のドラマ。今月末開幕の東京国際映画祭で上映される唯一の韓国映画です。(残席ほんのわずか!) 幼い時に自分の身を守ろうとして前科者になってしまったペク・サンア(ハン・ジミン)は、誰も信じず、孤独に生きてきました。ある日、同じ年頃の子供に比べて小さく、やせた体にたった一枚の服を着て、過酷な現実から抜け出そうとしている子供ジウン(キム・シア)に出会います。なぜか自分に似ているようなジウンを無視することができないサンアは、ジウンを助けるためにこの世に立ち向かおうとするのですが・・・。原題は「미쓰백」です。
 7位「プラネット・ダイナソー」は、元は2011年制作のBBCのテレビ番組。中生代の恐竜の生態を最新の発掘と研究結果に沿って驚異のCGでドキュメンタリー風に再現した恐竜アドベンチャーです。日本ではNHK・Eテレの「地球ドラマチック」の中で放映されたこともあり、BBCオリジナル完全版DVDも販売されています。韓国では昨年に続いて2回目の劇場版です。韓国題は「다이노 어드벤처2: 육해공 공룡 대백과(ダイノ・アドベンチャー2:陸海空 恐竜大百科)」です。
 8位「ストレンジャーズ 地獄からの訪問者」は、アメリカのホラー。「ストレンジャーズ/戦慄の訪問者」(2008)の10年ぶりの続編です。無人のキャンプ場で謎の覆面3人組に命を狙われた家族の運命を描いたサバイバルスリラー。マイクと妻のシンディは、全寮制高校への入学を控えた娘キンジーと来年大学生になる息子のルークを連れて叔父のマーヴィンが経営するオートキャンプ場にやって来ます。深夜、一家がトレーラーで一息ついていると、見知らぬ少女がやってきてトレーラーのドアをノックして訊ねます。「タマラはいませんか?」 心当たりのない名前に一家が戸惑っていると、少女は暗闇の中へと消えていきます。実はこの少女、前作でも登場したドールフェイス。怖ろしい3人の殺人鬼の1人だったのです。そして、やがて惨劇が・・・。韓国題は「노크: 초대받지 않은 손님(ノック:招かれざる客)」。日本では今年8月新宿シネマカリテの特集企画<カリコレ2018>の中で上映されました。
 9位「エブリデイ」は、デイビット・レヴィサンによる同名のYA小説を映画化したアメリカのラブロマンス。Aという男の子が同世代の内気な女の子と出会い恋に落ちます。ところが、ある日ジャスティンという男の子だったAは次の日目覚めると違う人になっているのです。それが年配の女性の場合もあったりして・・・。という基本設定といえばハン・ヒョジュ主演の韓国映画「ビューティー・インサイド」と同じでは!?と思うのは私ヌルボも韓国の映画ファンたちも同じ。ところがこの小説「エブリデイ」は韓国語訳が「ビューティー・インサイド」の公開と同じ2015年初頭頃刊行されていて、すでにその両者の類似について「東亜日報」が→コチラの記事で書いているのです。それによると両者は関係ナシ。出版社側の説明によると、映画の主人公が外見だけ変わるのに対して、小説の方は主人公が毎日その1日限りで他の人の体に入って出てくるという点で違うというがあるとのことなんですが、それでもなんだかなー、ですよね。うーん。韓国題は「에브리데이」。日本公開は未定のようです。
 10位「Kin/キン」(仮)は、アメリカのミステリー&アクション。少年イーライ(マイルズ・トゥルット)は、デトロイトで廃屋ビルの廃材を集めては小遣い稼ぎをしています。そんな中、謎の兵士の死体とすごい破壊力を持つ謎の銃(?)を発見、その武器を持ち帰って部屋に隠します。ある日、兄が6年ぶりに刑務所から戻ってきますが父親と対立し、ギャングたちと共に父の会社の金庫を強奪しますが、その際居合わせた父をかばったためにギャングから追われることとなります。一方イーライもまた武器を取り戻そうとする謎の兵士の仲間たちからも狙われるはめに・・・。兄弟は一緒に彼らの手を逃れることを決意しますが、はたして無事生き残ることができるのか・・・。韓国題は「킨: 더 비기닝」。日本公開は未定のようです。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(7)・・エブリデイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/11・・・・・・・・・・14,359・・・・・・・・・21,620・・・・・・・・・・195 ・・・・・・・・124
2(10)・・グランド・ブダペスト・ホテル・・2014/3/20 ・・・・・・・・9,152・・・・・・・・794,815 ・・・・・・・・6,201 ・・・・・・・・・38
3(1)・・名探偵シャーロック・ノームズ・・・10/03・・・・・・・・・・・6,737・・・・・・・・・83,847・・・・・・・・・・635 ・・・・・・・・104
4(19)・・リズと青い鳥(日本) ・・・・・・・・・・・10/09・・・・・・・・・・・5,597・・・・・・・・・15,248・・・・・・・・・・131・・・・・・・・・195
5(2)・・ターシャ・テューダー・・・・・・・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・1,731・・・・・・・・・36,280・・・・・・・・・・290・・・・・・・・・・32

 1・2・4位の3作品が新登場です。
 1位「エブリデイ」については上述しました。
 2位「グランド・ブダペスト・ホテル」は、日本では2014年に公開されたウェス・アンダーソン監督による英・独合作作品の再上映です。なかなか楽しい映画でしたね。韓国題は「그랜드 부다페스트 호텔」です。
 4位「リズと青い鳥」は日本では今年4月公開。日本アニメは観ていない作品が多くて「コメントする資格ナシ」と何度となく書いてますが、山田尚子監督作品は「けいおん」(2014)以来今作まで4作品全部観てます。女子高生の繊細なキモチをよく描いていて好感が持てました。韓国題は「리즈와 파랑새」です。
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30年前<アジア映画劇場>で放映された「男と女の青空市場」をめぐって ①映画ではなくドラマ。その原題と原作小説をつきとめる

2018-10-15 18:23:34 | 韓国の小説・詩・エッセイ
私ヌルボが韓国映画にはまったのは、1990年劇場公開の「シバジ」と翌年公開の「ソウルの虹」あたりからです。カン・スヨン主演の前者は観た人も多かったと思いますが、個人的にはガラ~ンとした映画館で観た「ソウルの虹」の方に強い衝撃を受けました。
 そして何と言っても、同じ頃NHKで放映されていた佐藤忠男先生解説の<アジア映画劇場>で観た韓国映画の数々。2011年の過去記事(→コチラ)でその韓国映画の放映リストを載せましたが、それを見ると1993年放映の「チルスとマンス」がその最初の視聴作品だったと思います。そして翌年観た「神様こんにちは」は、今に至るまで個人的にベスト1の韓国映画です。
 ヌルボとほぼ同じ世代のサークル仲間の間でも、この<アジア映画劇場>がしばしば話題になります。
上記の過去記事で紹介した酔人H先輩の「韓国映画ベスト12」にも<アジア映画劇場>での放映作品がずらっと並んでいましたね。

 ここからじわっと本論です。
 上記の酔人H先輩のリストで12位に挙げられているのが「男と女の青空市場」ですが、これが長年の懸案の作品でした。というのは、本文記事で書いたように、ネット検索しても作品情報はほとんどナシ。本記事の見出しに「30年前・・・」と書きましたが、正確には「約30年前」です。87~93年頃の新聞の縮刷版のTV欄を4回ほど探しましたが放映した日は見つけられず。そして7年経った今に至っても→<allcinema>に下画像のような記事が1つがあるだけで、詳しい内容等を知る術がなかったからです。

 ところが半年ほど前、飲み会でまたこの作品のことが話題になりました。毎度のことながら、酔人H先輩といいお酒の好きなTヒョンといい記憶力は驚くばかり。2人とも<アジア映画劇場>を最初の頃から観ていて、「男と女の青空市場」についてもとても30年も前に観たとは思えないほど細かなことまで憶えているのです。そこで酔人H先輩の言うには、「元々のタイトルはナントカ紀行というんですよ」。
 おっ、これは初耳!
 先の記事で書いたようにキム・ヒラの過去の出演作103本(!)中にもそれらしいものがなかったので、これはおそらくTVドラマだろうと目星をつけ、韓国サイト内で1980年代のドラマを検索してみました。するとKBSで<TV文学館>というドラマシリーズが放映されていたことがわかりました。そしてついに見つけた!のが1980年始まって以来の<TV文学館>放映作品の全データ(→コチラ)。
 放映年月日、各ドラマの原作小説とその著者、演出家や主な俳優の名前が記されています。
 このページ内を<기행(紀行)>で検索すると2件ヒットしました。1つ目は1981年10月放映の김승옥原作「무진기행。これは韓国文学史に通じている人なら誰でも知ってる(だろうな?)金承鈺「霧津紀行」です。翻訳書も出ていて、「霧」というタイトルで映画化もされてます。(一昨年韓国文化院で観たゾ。)
 そして2つ目が「외촌장 기행です。(下画像)

 1987年2月7日放映で、이종남(イ・ジョンナム)김희라(キム・ヒラ)が出演しているということで、これは間違いナシ! ただ、脚本が이영국(イ・ヨングク)となっています。つまり<allcinema>にイ・ヨンスクとあるのは間違いのようですね。またこのリストに名前がある이성호(イ・ソンホ)は、私ヌルボも観た「酔画仙」「空を歩く少年」にも出演していたのですね。
 3人の俳優については<輝国山人のHP>に写真付きで紹介されているので、酔人H先輩とお酒の好きなTヒョンはこのブログ記事を見たら確認してみてください。
 →イ・ジョンナム(1963~)
 →キム・ヒラ(1947~)
 →イ・ソンホ(1949~)

 このドラマ。<TV文学館>というシリーズなので基本的に原作小説があります。リストを見ると黄順元、羅稲香、金裕貞、金東仁、金東里、鮮于煇、李文烈等々往年の著名作家の名前がズラ~リと並んでいます。そして「외촌장 기행(ウェッチョンジャン キヘン)」の原作者は김주영。韓国のネット書店<YES24>等で検索した結果、金周榮(キム・ジュヨン)作の「外村場紀行」という短編小説であることがわかりました。

 ・・・と、以上のことが判明したのが5月頃だったかな? せっかくだから(?)これでオシマイにしないで、原作は短編小説で「教科書に載っている作品」のようだし、読んでからブログ記事を書こうと思いつつ、他の数冊の本と一緒に教保文庫に注文したのがやっと1ヵ月前。しかし届いたのが諸般の事情で先週初め。で、やっと読み終えて記事作成とあいなったわけです。読んでみてわかったこともいろいろあります。一番のアレレ!?は、Tヒョンから聞いていた話とは主人公が違う!ということ。まあ、そういったことは続きいったことに回すことにして、とりあえず一区切り。

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [10月5日(金)~10月7日(日)]

2018-10-09 22:26:21 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸昨日(8日)、9月23日以来久しぶりに映画を観てきました。それも2本連続で。久しぶりといっても15日間なんですけどね。5~7日九州に行って懸案事項を片付けてきたので「さあ、リラックスするぞ!」とシネマ・ジャック&ベティに行ったのですが、いやあ、観た映画が2本ともリラックスするどころか、その反対で・・・(笑)。
 1本目は「判決、ふたつの希望」。キリスト教徒もイスラム教徒もいるレバノンを舞台に、キリスト教徒のレバノン人と、パレスチナ難民の2人の男の間のちょっとしたもめごとが裁判沙汰となり、拡大して、という話ですが、背景として70~80年代頃からのILOやイスラエル、キリスト教系団体等の間で繰り広げられてきた残虐な事件があったことが明らかにされていきます。それは一方的なものではなく双方向で、どちらの側にも悲劇の犠牲者が多数生み出されてしまいました。そんな状況を鳥瞰図的に、また個別具体的に描いたヒューマンな作品です。私ヌルボが思い出したのは、最近読んだ韓国小説チョンスチャン「羞恥」。最近発掘された朝鮮戦争当時の集団虐殺の犠牲者の遺骨について、加害者は北朝鮮軍か米軍かで対立する話。もう1つは、一昨日見学してきた福岡県筑前町にある大刀洗平和記念館(→公式サイト)。かつてこの地にあった大刀洗飛行場は第2次大戦当時日本陸軍が東洋一と誇った航空戦略の拠点でした。ところが1945年3月27日のB29による大規模な空襲で破壊されつくします。この時、避難途中の国民学校(小学校)児童24人が即死、7人が病院で息を引き取ったということは今どれほどの人が知っているでしょうか? (私ヌルボが知ったのは行く数日前でした。) 「この責任はアメリカにある」とか「開戦した日本の指導者たちの責任」などと争う以前に深く考えるべきことがあると思います。(この記念館には、特攻隊等で戦死した兵士たちの遺影もあります。中にはB29に体当たりして散った人も。そしてそのB29に乗っていた米兵たちが一緒に笑って写っている写真も・・・。)

▸2本目の映画は「教誨師」。今年2月に急逝した大杉漣さんの遺作で、最後の主演映画です。またエグゼクティブ・プロデューサーも務め、唯一のプロデュース作品でもあります。彼自身の思いがこもった作品だと思います。大杉さんが演じたのは教誨師。つまり死刑囚と唯一面接できる民間人で、ふつう牧師や僧侶(本作品では牧師)で、面接を望む死刑囚と対話し、悔悟を促したり、助言したりする人のことです。何人もの死刑囚が登場します。いろんな人がいて、いろんな話をします。題材が題材だけに、すごく「重い」です。
 たまたま昨日(8日)の毎日新聞<万能川柳>に、こんな句が載っていました。
  「死刑までどれほど税をつかったか」
 この句に対して、私ヌルボも一句浮かびました。
  「死刑囚の命を税金(かね)で量る是非

※先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」と「週末の劇場街」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(10月9日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) アリー/ スター誕生  9.41(186)
②(2) 万引き家族(日本)  9.23(2,767)
③(3) カメラを止めるな!(日本)  9.20(707)
④(4) 私の最後のスーツ  9.20(70)
⑤(5) 蝶よ蝶よ(韓国)  9.18(33)
⑥(9) ターシャ・テューダー 静かな水の物語  9.12(274)
⑦(7) 劇場版 ポイン:スーパー変身の秘密(韓国)  9.09(82)
⑧(-) プーと大人になった僕  9.08(1,327)
⑨(8) ホイットニー  9.07(374)
⑩(10) ルイスとエイリアンたち9.00(432)

 ①と⑧の2作品が新登場です。
 ①「アリー/ スター誕生」は、1937年公開の「スタア誕生」の3度目のリメイクで、レディー・ガガとブラッドリー・クーパー(監督も)が主演。「スタア誕生」の主演女優は第1回アカデミー賞主演女優賞受賞者のジャネット・ゲイナー、1954年のリメイクではジュディ・ガーランド、1976年のリメイクではバーブラ・ストライサンドか。なんか作品自体輝かしさが感じられます。物語はというと、無名歌手アリー(レディー・ガガ)が公演をしていたバーで偶然トップスターのジャクソン・メイン(ブラッドリー・クーパー)と出会い、自分を愛してくれる彼の助けを借りてスターにのぼりつめていきますが、ジャクソンは、子供の頃の傷やアーティストとしての苦悩の中で身を持ち崩していきます・・・という、オリジナルと名前等細かな点は違いがあるようですが、基本的な筋立ては踏襲されているようです。韓国題は「스타 이즈 본」日本公開は12月21日です。
 ⑧「プーと大人になった僕」は、日本では(めずらしいことに)一足早く9月14日に公開されています。韓国題は「곰돌이 푸 다시 만나 행복해」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 万引き家族  8.13(8)
②(-) 暗数殺人(韓国)  8.04(7)
③(2) 生き残った子[最後の息子](韓国)  7.67(9)
④(3) search サーチ  7.60(10)
⑤(-) ビューティフル・デイ  7.40(10)
⑥(-) アリー/ スター誕生  7.40(5)
⑦(5) ザ・スクエア 思いやりの聖域  7.25(12)
⑧(7) 春川、春川(韓国)  7.25(8)
⑨(6) 暗い夜(韓国)  7.20(5)
⑩(-) 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア  7.14(7)
⑩(7) カメラを止めるな!(日本)  7.14(7)

 ②⑤⑥の3作品が今回の新登場です。
 ②「暗数殺人」については後述します。
 ⑤「ビューティフル・デイ」は、カンヌ映画祭で脚本賞と男優賞を受賞したイギリスのミステリー&バイオレンス。日本ではすでに6月公開されていますが、私ヌルボは観ていません。観た人のレビューをざつと見ると、評価が大きく分かれる感じ。専門家筋の評価は韓国ほど高くはないのでは? 韓国題は「너는 여기에 없었다(おまえはここにいなかった)」で邦題とは全然違いますが、コチラが原題「YOU WERE NEVER REALLY HERE」には忠実。新文芸坐で上映中。ヒマ(と金)があれば観に行ってもいいんですけどねー。
 ⑤「アリー/ スター誕生」については上述しました。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績10月5日(金)~10月7日(日) ★★★

         日本よりひと月先に公開の「ヴェノム」が新登場で1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ヴェノム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/03・・・・・・・・1,158,577 ・・・・・・2,081,140 ・・・・・・・18,550・・・・・・1,293
2(16)・・暗数殺人(韓国)・・・・・・・・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・995,753 ・・・・・・1,612,405 ・・・・・・・14,294・・・・・・1,177
3(1)・・安市城(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/19 ・・・・・・・・・234,880 ・・・・・・5,132,089 ・・・・・・・43,910 ・・・・・・・649
4(新)・・プーと大人になった僕 ・・・・・・10/03 ・・・・・・・・・127,331・・・・・・・・227,721 ・・・・・・・・1,957 ・・・・・・・527
5(2)・・交渉(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/19 ・・・・・・・・・・42,214 ・・・・・・1,931,373 ・・・・・・・16,786 ・・・・・・・478
6(21)・・名探偵シャーロック・ノームズ・・10/03・・・・・・・・26,083・・・・・・・・・59,339・・・・・・・・・・461 ・・・・・・・414
7(3)・・明堂[ミョンダン](韓国) ・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・・19,969 ・・・・・・2,065,427 ・・・・・・・17,751 ・・・・・・・340
8(4)・・ワンダフル・ゴースト(韓国)・・・・9/26・・・・・・・・・・・12,100・・・・・・・・439,910 ・・・・・・・・3,647 ・・・・・・・165
9(5)・・死霊館のシスター・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・・・8,592 ・・・・・・1,007,370 ・・・・・・・・8,743 ・・・・・・・118
10(6)・・search サーチ ・・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・・・・・5,727 ・・・・・・2,944,141 ・・・・・・・25,236 ・・・・・・・・52
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 秋夕(チュソク)連休を制した「安市城」は500万人の中ヒットラインを超えたところで3位に後退しました。代わって久しぶりにアメリカ映画がトップです。
 今回の新登場は1・2・4・6位の4作品です。
 1位「ヴェノム」は、「マーベルコミック史上最も謎に満ちたダークヒーロー」を描いたアメリカのアクション大作。しかし、なんだ、このタイトルは!? 私ヌルボ、一瞬<ウェノム(倭奴)>かと思っちゃった(笑)。まあ韓国でそんな連想をする人はいないようですけどね。敏腕記者エディ・ブロック(トム・ハーディ)は、人体実験で死者を出しているという<ライフ財団>の真相を追う中、ある“最悪な”ものを発見し、接触してしまいます。それは<シンビオート>と呼ばれる地球外生命体でした。その接触により彼の体はグロテスクな<ヴェノム>に変身し、そして・・・。韓国題は「베놈」。日本公開は11月2日です。
 2位「暗数殺人」は、韓国の犯罪&ドラマ。しかし、なんだ、このタイトルは!? いくら漢字題がそうなってるといっても、日本には<暗数>という言葉はないし意味不明。→<ソウルナビ 映画>は愛用してますが、ここらへんは不親切。通じる日本語にすると「まやかし殺人」といったところかな? 収監された殺人犯カン・テオ(チュ・ジフン)は、刑事キム・ヒョンミン(キム・ユンソク)に自分がやったという他の殺人を告白します。「7人、合計7人です」。ヒョンミンは、刑事の勘でその告白が真実であることを確信し、テオが書いた7件の殺人リストを信じて捜査に入りますが、そこに巧妙に嘘と真実が混ざっていることに気づきます。捜査を続けるヒョンミンでしたが、公訴時効の日が近づいてきます・・・。とくに派手なアクションといった見せ場には欠けても、根気よく地道に捜査を続けるオーソドックスな刑事物として高評価を得ているようです。原題は「암수살인」です。
 4位「プーと大人になった僕」は、上述のように日本では9月に公開されています。
 6位「名探偵シャーロック・ノームズ」は、米英合作のアニメ。森の妖精ノームたちが登場するアニメ「ノミオとジュリエット」(2011)に続くシリーズ第2弾です。ロンドン最大の花火を前に都市全体を混乱に陥れた妖精失踪事件が発生します。そこで登場したのが最高の探偵シャーロック・ノームズとパートナーのワトソン。捜査を進めると、この事件が死んだとばかり思っていた宿敵モリアティーのしわざであるが明らかになります・・・。エルトン・ジョンが製作総指揮と音楽を手がけたとのことです。韓国題は「셜록 놈즈」。日本ではブルーレイ+DVDセットが8月に発売されています。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(4)・・ターシャ・テューダー ・・・・・・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・3,227・・・・・・・・・31,188・・・・・・・・・・249・・・・・・・・・・35
2(34)・・ティー・ペット ・・・・・・・・・・・・・・・10/03・・・・・・・・・・・・3,214・・・・・・・・・・8,928・・・・・・・・・・・71・・・・・・・・・129
3(3)・・追想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/20・・・・・・・・・・・・1,899・・・・・・・・・27,515・・・・・・・・・・238・・・・・・・・・・40
4(2)・・ジャコメッティ 最後の肖像 ・・・・9/27・・・・・・・・・・・・1,785・・・・・・・・・14,159・・・・・・・・・・124・・・・・・・・・・37
5(5)・・カメラを止めるな!(日本)・・・・・・・8/23・・・・・・・・・・・・1,136・・・・・・・・・15,076・・・・・・・・・・131・・・・・・・・・・10

 2位「ティー・ペット」(仮)が新登場です。原題は「阿唐奇遇」という中国アニメで、英題が「Tea Pets」。このティー・ペットとは、お茶を淹れる時に用いるちょっとした小道具のこと。中国語では<茶寵>というそうです。お茶をかけると色が変わる人形とか、離れたところにある茶碗にアクロバティックにお茶を注いだりする道具とかです。ティー・ペット仲間の中で自分だけ個性を発揮できないでいる阿唐(アタン)はある日小さなロボットと出会います。自分が誰で、どこから来たのかも憶えていないそのロボットがただ1つ憶えているのは自分が未来から来たこと。阿唐はそのロボットと自分の未来のために一緒に冒険の旅に出発します・・・。いかにも中国っぽい「トイ・ストーリー」ってとこか? 韓国題は「토이무비: 미래대모험(トイ・ムービー:未来大冒険)」です。(日本でも中国アニメをもっと観られたらいいのに。)
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [9月28日(金)~9月30日(日)]

2018-10-02 23:49:11 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸10日間映画を観ていないのは今年2回目か。今週もいろいろあって観に行く暇はなく、記録更新は確実。
 先日知人から送られてきた俳句雑誌「塵風」が映画館特集とあって読みだしたら、執筆者の大方はたぶん私ヌルボとほぼ同世代らしく、「69年アートシアター新宿文化」「昭和42年中野大映」等々70年前後の思い出の映画館&映画の記事がいろいろでとても興味深く読みました。ただ、小林信彦さんが週刊文春に連載している「本音を申せば」について、「ご自身の映画愛・俳優愛はうかがえるものの、あとの世代のウチらにはぴんとこないなー」とかなり前から思ってきましたが、同じことを「ウチら」のあとの世代も感じているかもしれませんね。
 なお、この雑誌の中に、このブログでも何度も書いてきた伊勢佐木町の映画館・ジャック&ベティ辺りにかつて占領軍の軽飛行機用滑走路があった(!)と書かれていて、たしかめたら→こんな記事が見つかりました。いやー、知らんかった。
    
「朝鮮日報」9月28日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)


어디선가 본 장면의 연속

 《週末の劇場街》で紹介

  「ワンダフル・ゴースト」



   どこかで観た場面の連続


 「死霊館のシスター」
   驚かせるがつまらない ★★☆


 「ジャコメッティ 最後の肖像」

   管弦楽より良い室内楽 ★★★★



 「ルイスとエイリアンたち」

   無難とはいえ愛らしい ★★★


 上記のいずれの作品も、先週または以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(10月2日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(7) 劇場版 ハロー カボット:白亜紀時代(韓国)  9.24(2,033)
②(8) 万引き家族(日本)  9.23(2,721)
③(9) カメラを止めるな!(日本)  9.22(612)
④(4) 私の最後のスーツ  9.21(63)
⑤(-) 蝶よ蝶よ(韓国)  9.17(23)
⑥(10) ミッション:インポッシブル/フォールアウト  9.13(20,913)
⑦(2) 劇場版 ポイン:スーパー変身の秘密(韓国)  9.10(69)
⑧(-) ホイットニー  9.08(366)
⑨(6) ターシャ・テューダー 静かな水の物語  9.06(210)
⑩(-) ルイスとエイリアンたち9.03(410)

 ③「蝶よ蝶よ」が今回の新登場です。慶尚南道河東郡花開面檀川村に住む老夫婦を取材した韓国のドキュメンタリーで、今年の全州国際映画祭で招待作品として上映されました。イ・ジョンスさん(98)とキム・スンギュさん(97)夫婦は、智異山三神峰の麓に位置する村で78年を共に暮らしてきました。愛妻家のジョンスさんは身体の不自由なスンギュさんのために食事・洗濯等の家事を引き受けています。2人は、この世を去る時は一緒だとずっと考えていましたが、ついに2人に別れの時が訪れます。この映画の撮影中だった2015年8月にスンギュさんは亡くなったのです・・・。撮影を終えた後の17年3月にはジョンスさんも後を追いました。この作品のタイトルは、生前アゲハチョウが好きだったスンギュさんを呼ぶ言葉で、またチョウは転生を象徴する存在であることとも関連しています。原題は「나부야 나부야」です。※<나부(ナブ)>は<나비(ナビ)>=蝶の方言。

     【記者・評論家による順位】

①(2) 万引き家族  8.13(8)
②(4) 生き残った子[最後の息子](韓国)  7.67(9)
③(5) search サーチ  7.60(10)
④(6) ミッション:インポッシブル/フォールアウト  7.56(9)
⑤(7) ザ・スクエア 思いやりの聖域  7.25(12)
⑥(8) 暗い夜(韓国)  7.20(5)
⑦(9) カメラを止めるな!(日本)  7.14(7)
⑦(-) 春川、春川(韓国)  7.14(7)
⑨(10) 罪多き少女(韓国)  7.13(8)
⑩(-) 大人図鑑(韓国)  6.89(9)

 ⑦「春川、春川」が今回の新登場です。2012年から運行が始まった号でソウルの龍山(or清涼里)~春川の所要時間が1時間あまりと便利になりました。その鉄道の旅がひとつのモチーフになっています。故郷の春川を出てソウルに上京したい青年(ウ・ジヒョン)は、ソウルで面接を受け、再び春川に向かいます。一方、中年男女のカップル(ヤン・フンジュ、イ・セラン)は日常から解放されたくて、ひそかにソウルを出てたまたま青年と同じ列車に乗ります・・・。タイトルの2つの<春川>が示すように2つの話が、時間と空間を媒介に重なる、その偶然から予定外の物語が展開されていきます。ある評論家は「その独特の質感を感じることがこの映画を鑑賞する醍醐味」といったことを記しています。セットも人工照明も使用せず、状況とおよその話題だけ与えられた状態で俳優たちが自然に演技し、撮影されたとのこと。今年33歳のチャン・ウジン監督のこの作品評には、ホン・サンス監督やジャ・ジャンクー監督の名前が当然のようにあげられています。原題は「춘천, 춘천」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績9月28日(金)~9月30日(日) ★★★

         時代劇「安市城」が秋夕(チュソク)連休を制して2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・安市城(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・815,042 ・・・・・・4,530,204 ・・・・・・・38,904 ・・・・・・1,381
2(3)・・交渉(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・368,689 ・・・・・・1,743,437 ・・・・・・・15,203・・・・・・・・911
3(2)・・明堂[ミョンダン](韓国) ・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・240,450 ・・・・・・1,970,205 ・・・・・・・16,999・・・・・・・・871

4(15)・・ワンダフル・ゴースト(韓国)・・・9/26・・・・・・・・・・172,082・・・・・・・・377,781 ・・・・・・・・3,123 ・・・・・・・349
5(4)・・死霊館のシスター・・・・・・・・・・・・9/19・・・・・・・・・・117,226 ・・・・・・・・954,661 ・・・・・・・・8,386 ・・・・・・・562
6(5)・・search サーチ ・・・・・・・・・・・・・・・・8/29・・・・・・・・・・・58,423 ・・・・・・2,918,031 ・・・・・・・25,016・・・・・・・・316
7(6)・・映画 妖怪ウォッチ ・・・・・・・・・・・9/20 ・・・・・・・・・・30,609 ・・・・・・・・151,054 ・・・・・・・・1,156・・・・・・・・350
       シャドウサイド 鬼王の復活(日本)
8(7)・・ルイスとエイリアンたち ・・・・・・9/20 ・・・・・・・・・・17,452 ・・・・・・・・・89,501・・・・・・・・・・706・・・・・・・・236
9(8)・・かみさまみならい ヒミツのここたま・・9/12 ・・・・・7,897 ・・・・・・・・・42,980・・・・・・・・・・345・・・・・・・・113
       :どっきり!ハロウィンパーティー(日本)
10(新)・・ジャコメッティ 最後の肖像・・9/27・・・・・・・・・・6,048 ・・・・・・・・・・8,752・・・・・・・・・・・78・・・・・・・・・55
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今年の秋夕(チュソク)連休映画は「安市城」が2位以下を大きく引き離して圧勝。ただ、数字的にも内容的にも(秋夕映画ではないが)昨年の「タクシー運転手」のような話題性には不足しているように思えます。
 今回の新登場は4・10位の2作品だけです。
 4位「ワンダフル・ゴースト」は、韓国の犯罪&コメディ。思いがけない事故で妻を失った柔道道場の館長チャンス(マ・ドンソク)は、娘に対してはひたすら親バカで、他人のことには全然関心がありません。そんな彼に、意欲満々の警察出身ゴーストのテジン(キム・ヨングァン)の姿が見え始めます。聞こえないふり見えないふりをしてもチャンスに憑いたテジンは、自分と一緒に近所で起こる事件を捜査することを頼みます。そして神懸かり的な合同捜査が始まりますが・・・。原題は「원더풀 고스트」です。
 10位「ジャコメッティ 最後の肖像」は、イギリスのドラマ。日本では今年1月に公開されています。韓国題は「파이널 포트레이트」です。

strong>【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・ジャコメッティ 最後の肖像 ・・・9/27・・・・・・・・・・・・6,048・・・・・・・・・・8,752・・・・・・・・・・・78・・・・・・・・・・55
2(1)・・追想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9/20・・・・・・・・・・・・5,060・・・・・・・・・22,213・・・・・・・・・・196・・・・・・・・・・48
3(2)・・ターシャ・テューダー ・・・・・・・・・・・9/13・・・・・・・・・・・・4,091・・・・・・・・・23,676・・・・・・・・・・189・・・・・・・・・・36
4(6)・・カメラを止めるな!(日本)・・・・・・・8/23・・・・・・・・・・・・1,136・・・・・・・・・15,076・・・・・・・・・・131・・・・・・・・・・10
5(12)・・機動戦士ガンダム ・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・・・・・894・・・・・・・・・・5,810・・・・・・・・・・・35・・・・・・・・・・・1
       THE ORIGIN 激突 ルウム会戦(日本)

 1・5位の2作品が新登場です。
 1位「ジャコメッティ 最後の肖像」は、上述のように日本ではすでに公開されています。
 5位「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦」は、単館上映でランク入り。例によって私ヌルボには語るに足る知識はありません。韓国題は「기동전사 건담 디 오리진Ⅴ: 격돌 루움 전투」です。
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