▸27日(月)は「神と共に 第一章:罪と罰」を観に川崎チネチッタへ。韓国では観客動員数1156万人、歴代第3位という大ヒット作なのに、神奈川県の上映館は3館のみとはちょっと寂しいです。(あ、東京都も3館か。) 認知度からしてあまり高くなさそう? チネチッタのチネ7も客席数244の2割も埋まってなかったしなー。
この「神と共に」は、個人的にはずっと前から思い入れのある作品でした。というのは、
→<2012年に読んだ「圧倒的!」な本5冊>で書いたように、7年前にチュ・ホミンの原作漫画を読んでいたので。
以下、その漫画と映画の比較等を書き始めたら何時間も費やした上、字数も多くなりすぎたので結局別立ての記事にします。(最初からそうすべきだった。) 予告として、主要登場人物4人の画像だけ貼っておきます。
左の画像は、左からカンニム(ハ・ジョンウ)、トクチュン(キム・ヒャンギ)、ウォンメク(チュ・ジフン)。この3人はジャホンを冥界に導く使者(韓国語では差使[チャサ])です。
この他にも、人気俳優(複数)が思わぬ場面で出てきたりします。<あの世>の話は日本と共通するところも多く、なるほどなーと思うところもいろいろあるはずです。
右の画像はジャホン(チャ・テヒョン)は消防士。危険なビル火災の現場で子供を救出しますが、命を落としてしまい、自分の葬儀の場でウォンメクとトクチュンに声をかけられます・・・。
▸24日(金)は、シネマ・ジャック&ベティで「オアシス〈HD デジタルリマスター版〉」をやっと鑑賞。<名作>とか<傑作>とか言われ、「感動した!」という観た人の感想も多いこの作品をこれまで観たことがなかったのは、私ヌルボにとっては苦手な要素がいくつも埋め込まれているようだったから。(観たら実際そうだった。)
たとえば<純愛>。昨年「彼女がその名を知らない鳥たち」を観ましたが、自分が密かに思っていた相手のために命まで捨てるとは、そのことを相手が知ればすごい負担感を背負わせることになるし、知らないままなら単なる自己満足ではないか?と思いました。また何とか憧れの彼女に声をかけようと通学路でマチブセする等のことも、彼女の受けとめ方によってはストーカーになりそうな気もするし・・・。また<障碍者>についても差別・人権・理解・共感等々いくつかの言葉で括れるものでもなく・・・。過日観た「岬の兄妹」も評価はむずかしいです。感動はナシ。<純愛>とも共通しますが、イノセント=純粋・無邪気という英語が「無罪の・法的責任のない」という意味もあることは、場合によってはやっかいな問題にもつながるということでしょう。
「オアシス」の感想。考えさせられましたが、やっぱり感動はしませんでした。言えることは、コンジュ(ムン・ソリ)の脳性麻痺だけでなく、ジョンド(ソル・ギョング)ADHD(多動性症候群)についても理解を深めなければ、ということ。また、何といってもひどいのは両者の家族たち。障碍を持った身内を厄介者扱いするばかりでなく、利用できるところは利用するとは・・・。それにしても(その1)、上記2俳優の演技は評判通り! それにしても(その2)、イ・チャンドン監督が一番言いたかったことは何だったのでしょうね?
▸カンヌ国際映画祭でポン・ジュノ監督の「寄生虫」(英題:パラサイト)が最高賞のパルムドール受賞。→「中央日報」の記事等。観た人たちにも好評で、本命の受賞となったとか。現地で観た東京国際映画祭作品選定ディレクターの矢田部吉彦さんの報告記事は画像も含めて雰囲気をよく伝えています。この作品、韓国では5月30日にさっそくの公開。前評判は上々、って当たり前か。
★★★ NAVERの人気順位(5月28日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。
①(1) ビューティフルマインド(韓国) 9.83(87)
②(-) オーバー・ゼア(韓国) 9.80(10)
③(4) 痛いほど愛する(韓国) 9.64(140)
④(2) 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE
~2人の英雄~(日本) 9.64(119)
⑤(5) グリーンブック 9.62(5,664)
⑥(6) カペナウム 9.60(2,748)
⑦(-) 大人になれば(韓国) 9.58(144)
⑧(3) 教会のお兄さん(韓国) 9.50(798)
⑨(-) アラジン 9.47(3,794)
⑩(-) カウンターズ(韓国) 9.41(216)
②と⑨が今回の新登場です。
②「オーバー・ゼア」は、韓国のドキュメンタリー、というよりも、済州島の自然を撮った芸術作品です。家具製作者、写真家、あるいは音楽プロデューサーとして多様な職業を転々とし、10年前から境界のないコラボレーションを通じて現代美術の実験を試みてきたチャン・ミンスン監督が、済州島で千日間雪や水、風、岩、そして霧など、自然のさまを撮影。これらの映像に、映画「オクジャ」の音楽を担当する等、作曲家・演奏家として多様な活動を続けてきたチョン・ジェイルによる音楽が呼応します・・・。原題は「오버 데어」です。
【記者・評論家による順位】
①(-) 顔たち、ところどころ 8.86(7)
②(-) 万引き家族(日本) 8.13(8)
③(2) ラブレス 7.80(5)
④(3) ストライキ前夜(韓国) 7.71(7)
⑤(4) 生き残った子[最後の息子](韓国) 7.67(9)
⑥(5) アベンジャーズ/エンドゲーム 7.62(13)
⑦(-) キム君(韓国) 7.57(7)
⑧(6) スターリンの葬送狂騒曲 7.40(5)
⑧(6) サスペリア 7.40(5)
⑩(9) カペナウム 7.33(9)
⑦「キム君」が新登場です。1980年の光州民主化運動に関わる新作ドキュメンタリー。「光州民主化運動に、はたして北朝鮮が介入していたか否か?」がポイントです。2015年、光州市民は1980年5月の写真の中の自分の顔が赤い点と線でチェックされた謎の資料を目にします。これは軍事評論家の池萬元(チ・マヌォン)が5・18光州民主化運動を率いた光州市民軍の人たちの写真・映像の<顔の輪郭ポイント>を赤い線で結んだものでした。池萬元は、それらの顔がまさしく現在の北朝鮮の有力政治家と軍人たちの顔であると主張し、光州に投入された北朝鮮の特殊部隊と考え、仮に<鉱水>と名付けて写真・映像の各人に<第〇鉱水>とナンバリングして資料として提示したのです。池萬元は去る4月放送通信審議委員会が下した歴史歪曲文削除措置に反発した訴訟で、1審に続き控訴審でも敗訴しましたが、その後もMBCの「PD手帳」に出演したりして「光州のデモは北朝鮮軍600人が来て引き起こした暴動で、民主化デモもなかった」などといった持論を展開しています。これに対し、<第44鉱水>、<第36天然水>等と指定された人たちはこの映画を通してその日の真実が歪曲されていることを知り、今の思いを明らかにします。そして多くの光州市民がその日のことを語ります。民兵たちにおにぎりを配ってあげた新妻、銃声が鳴り響く広場でシャッターを押し続けた写真記者、民兵に参加して永遠に戻ってこなかった息子を一生涯待つ母、そして多くの武装民兵たち。これら光州市民の告白を介して5・18の真実が一つずつつなぎ合わされていきます。「39年の攻防、5年の追跡、そしてただ1つの真実」がこの作品のキャッチコピーです。韓国題は「김군」です。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績5月24日(金)~5月26日(日) ★★★
日本より2週間早く公開 ディズニーの実写映画「アラジン」が1位
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(69)・・アラジン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・798,997 ・・・・・・・874,051・・・・・・・・・7,804 ・・・・・・1,311
2(1)・・悪人伝(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・5/15 ・・・・・・・・・732,760・・・・・・2,762,240・・・・・・・・24,349 ・・・・・・1,132
3(2)・・ガールコップス(韓国)・・・・・・・・5/09 ・・・・・・・・・165,132・・・・・・1,538,172・・・・・・・・13,149・・・・・・・・637
4(2)・・アベンジャーズ/エンドゲーム・・4/24・・・・・・・159,796・・・・・13,749,134・・・・・・・120,549・・・・・・・・615
5(38)・・幼い依頼人(韓国)・・・・・・・・・・・5/22 ・・・・・・・・・・95,389 ・・・・・・・150,307・・・・・・・・・1,272・・・・・・・・669
6(40)・・ブライトバーン ・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・53,586 ・・・・・・・・71,615 ・・・・・・・・・・634・・・・・・・・509
7(5)・・陪審員たち(韓国)・・・・・・・・・・・・5/15 ・・・・・・・・・・27,818 ・・・・・・・270,270・・・・・・・・・2,171・・・・・・・・268
8(4)・・名探偵ピカチュウ(日・米)・・・・・5/09 ・・・・・・・・・・25,023 ・・・・・・・680,424・・・・・・・・・5,680・・・・・・・・210
9(8)・・教会のお兄さん(韓国)・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・12,130 ・・・・・・・・47,936 ・・・・・・・・・・402・・・・・・・・・82
10(新)・・アンダー・ザ・シー2 ・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・・8,892 ・・・・・・・・・9,869 ・・・・・・・・・・・73・・・・・・・・269
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」は4位に落ちましたが、歴代の観客動員数で「アバター」(1,362万人)を抜いて外国映画1位になりました。
今回の新登場は1・5・6・10位の4作品です。
1位「アラジン」は、1992年公開のディズニーアニメを実写化したファンタジーアドベンチャー。砂漠の王国アグラバーを舞台に、天涯孤独の青年アラジン(メナ・マスード)と王女ジャスミン(ナオミ・スコット)、ランプの魔人ジーニー(ウィル・スミス)の冒険が描かれます・・・。韓国題は「알라딘」。日本公開は6月7日です。
5位「幼い依頼人」は、韓国のドラマ。人生の一番の目標は成功することという弁護士のジョンヨプ(イ・ドンフィ)。周囲に無関心な彼にしきりにまとわりつくのは10歳の少女のダビン(チェ・ミョンビン)とその弟7歳のミンジュン(イ・ジュウォン)でした。ある日待望の大型ローファーム合格の知らせを聞いたジョンヨプは、信じられない事実を知ることになります。それはダビンがミンジュンを殺したという衝撃的な告白でした。「遅すぎた」という自責の念を抱きながら、ジョンヨプは自分のすべてをかけてダビンの母ジスク(ユ・ソン)に隠された真実を打ち明けようとしますが・・・。原題は「어린 의뢰인」です。
6位「ブライトバーン」(仮)は、アメリカのSFホラー。熱心に赤ちゃんを望んでいたカイルとトリ夫妻は、ある日の夜自宅の外で激しい震動とともに衝突音がしたので、見てみると何か壊れた物がありました。そして中には赤ん坊が・・・。2人は深くは考えることなく赤ん坊にブランドンと名付け、育てることに。しばらくはとくに問題なく成長しているようでしたが、ある夜ブランドンは地下室へ侵入して、地球に落ちてきた際に乗っていたと思われる隕石を発見します。これが契機となって彼の心は変調をきたし、また特異な能力を発揮し始めます。草刈り機の回転する刃に手を突っ込んでも無傷の上刃物の方が壊れてしまったり等々。そんな状態がさらにエスカレートして大勢の人を巻き込んでいきます・・・。韓国題は「더 보이(ザ・ボーイ)」。日本公開は未定のようです。
10位「アンダー・ザ・シー2」は、アメリカの子供向けアニメ。韓国でも2016年に公開されたシリーズの第2作です。(日本ではドチラも未公開。) フィッシュテールサンゴ礁に住むパステル魚のフィフィが学校に行く最初の日。なかよしの友だちと同クラスなり、期待していたシャーク先生が担任で、子供たちは喜びます。シャーク先生は初日から子供を連れて現場学習に乗り出しましたが、それは右の深い海に沈んだ伝説の沈没船を見に行くこと! ところが、フィフィと親友のクジラのリリーは沈没船の中を見物していて海の怪物に追われることに・・・。必死で逃げるうちに、結局道に迷ってしまいます。はたして2人は無事家に帰ることができるでしょうか・・・。韓国題は「언더 더 씨」です。
【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・教会のお兄さん(韓国) ・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・12,130 ・・・・・・・・47,936 ・・・・・・・・・・402 ・・・・・・・・・82
2(2)・・サスペリア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・2,831 ・・・・・・・・28,872 ・・・・・・・・・・265 ・・・・・・・・・35
3(3)・・ホテル・ムンバイ・・・・・・・・・・・・・・5/08・・・・・・・・・・2,647 ・・・・・・・・70,369 ・・・・・・・・・・
576 ・・・・・・・・・47
4(新)・・ドンキホーテを殺した男・・・・・・5/23・・・・・・・・・・2,146 ・・・・・・・・・3,817 ・・・・・・・・・・・30 ・・・・・・・・・40
5(新)・・片目のジャック ・・・・・・・・・1962/6/09・・・・・・・・・・1,743 ・・・・・・・・・7,474 ・・・・・・・・・・・14 ・・・・・・・・・・1
4・5位の2作品が新登場です。
4位「ドンキホーテを殺した男」は、スペイン・イギリス・フランス・ポルトガル・ベルギー合作のファンタジー・アドベンチャー・コメディ映画。この映画、内容以前に「テリー・ギリアム監督の宿願がやっと叶って完成した」ことが注目されました。それというのも、監督が最初に企画が立ち上がったのは1998年。以来19年間に8回映画化に挑戦し、その都度失敗したといういわくつきの<呪われた映画>だったから。その失敗というのも、資金面というありきたりのものだけでなく、鉄砲水による洪水でセットが流されたり、俳優が椎間板ヘルニアになったり、ヤル気がなくなったり(←ジョニー・デップ)、膵臓がんと診断されたり・・・。これらに保険関係等の法的問題、ロケ地のポルトガル・トマールのキリスト教修道院(世界文化遺産)損傷問題等もからんで、当事者でなくても声を失うほど。しかしそれでも放棄しなかったのはリッパ。さて本題の中身。かつて映画監督をめざしたものの、今はテレビCM監督をしているトビー(アダム・ドライバー)はある時スペインの小さな村を訪れ、ドン・キホーテを題材にした撮影をします。なかなか上手くいかずにヤケになっている。ロケハンをしていると、ある男から「サンチョ・パンサか?」と訊かれます。もちろん「俺は違うぞ、監督だぞ」と思っていても、誤解し続けるその男はドン・キホーテだった!? 現実と虚構が混じり合う中、トビーは結局パトカーで輸送されることに。ところがそのパトカーの前にまたもドン・キホーテが現れ、「同志よ、一緒に旅に出よう!」とパトカーを攻撃しながらトビーに迫ったり・・・と、こうなるとトビーも監督も、そして観客もともども混乱の渦に巻き込まれていくような・・・(笑) 「ギリアム監督が当初構想した作品を追い回すうちに自分がドン・キホーテになってしまった姿を自己分析的に映画に落とし込んだ作品」というある記事の見立てはナルホドと思いました。韓国題は「돈키호테를 죽인 사나이」。日本公開は未定のようです。
5位「片目のジャック」は、マーロン・ブランドの初監督作品(もちろん主演)の西部劇。たぶんシルバー映画館での再上映か。韓国題は「애꾸눈 잭」です。
この「神と共に」は、個人的にはずっと前から思い入れのある作品でした。というのは、
→<2012年に読んだ「圧倒的!」な本5冊>で書いたように、7年前にチュ・ホミンの原作漫画を読んでいたので。
以下、その漫画と映画の比較等を書き始めたら何時間も費やした上、字数も多くなりすぎたので結局別立ての記事にします。(最初からそうすべきだった。) 予告として、主要登場人物4人の画像だけ貼っておきます。
この他にも、人気俳優(複数)が思わぬ場面で出てきたりします。<あの世>の話は日本と共通するところも多く、なるほどなーと思うところもいろいろあるはずです。
右の画像はジャホン(チャ・テヒョン)は消防士。危険なビル火災の現場で子供を救出しますが、命を落としてしまい、自分の葬儀の場でウォンメクとトクチュンに声をかけられます・・・。
▸24日(金)は、シネマ・ジャック&ベティで「オアシス〈HD デジタルリマスター版〉」をやっと鑑賞。<名作>とか<傑作>とか言われ、「感動した!」という観た人の感想も多いこの作品をこれまで観たことがなかったのは、私ヌルボにとっては苦手な要素がいくつも埋め込まれているようだったから。(観たら実際そうだった。)
たとえば<純愛>。昨年「彼女がその名を知らない鳥たち」を観ましたが、自分が密かに思っていた相手のために命まで捨てるとは、そのことを相手が知ればすごい負担感を背負わせることになるし、知らないままなら単なる自己満足ではないか?と思いました。また何とか憧れの彼女に声をかけようと通学路でマチブセする等のことも、彼女の受けとめ方によってはストーカーになりそうな気もするし・・・。また<障碍者>についても差別・人権・理解・共感等々いくつかの言葉で括れるものでもなく・・・。過日観た「岬の兄妹」も評価はむずかしいです。感動はナシ。<純愛>とも共通しますが、イノセント=純粋・無邪気という英語が「無罪の・法的責任のない」という意味もあることは、場合によってはやっかいな問題にもつながるということでしょう。
「オアシス」の感想。考えさせられましたが、やっぱり感動はしませんでした。言えることは、コンジュ(ムン・ソリ)の脳性麻痺だけでなく、ジョンド(ソル・ギョング)ADHD(多動性症候群)についても理解を深めなければ、ということ。また、何といってもひどいのは両者の家族たち。障碍を持った身内を厄介者扱いするばかりでなく、利用できるところは利用するとは・・・。それにしても(その1)、上記2俳優の演技は評判通り! それにしても(その2)、イ・チャンドン監督が一番言いたかったことは何だったのでしょうね?
▸カンヌ国際映画祭でポン・ジュノ監督の「寄生虫」(英題:パラサイト)が最高賞のパルムドール受賞。→「中央日報」の記事等。観た人たちにも好評で、本命の受賞となったとか。現地で観た東京国際映画祭作品選定ディレクターの矢田部吉彦さんの報告記事は画像も含めて雰囲気をよく伝えています。この作品、韓国では5月30日にさっそくの公開。前評判は上々、って当たり前か。
★★★ NAVERの人気順位(5月28日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。
①(1) ビューティフルマインド(韓国) 9.83(87)
②(-) オーバー・ゼア(韓国) 9.80(10)
③(4) 痛いほど愛する(韓国) 9.64(140)
④(2) 僕のヒーローアカデミア THE MOVIE
~2人の英雄~(日本) 9.64(119)
⑤(5) グリーンブック 9.62(5,664)
⑥(6) カペナウム 9.60(2,748)
⑦(-) 大人になれば(韓国) 9.58(144)
⑧(3) 教会のお兄さん(韓国) 9.50(798)
⑨(-) アラジン 9.47(3,794)
⑩(-) カウンターズ(韓国) 9.41(216)
②と⑨が今回の新登場です。
②「オーバー・ゼア」は、韓国のドキュメンタリー、というよりも、済州島の自然を撮った芸術作品です。家具製作者、写真家、あるいは音楽プロデューサーとして多様な職業を転々とし、10年前から境界のないコラボレーションを通じて現代美術の実験を試みてきたチャン・ミンスン監督が、済州島で千日間雪や水、風、岩、そして霧など、自然のさまを撮影。これらの映像に、映画「オクジャ」の音楽を担当する等、作曲家・演奏家として多様な活動を続けてきたチョン・ジェイルによる音楽が呼応します・・・。原題は「오버 데어」です。
【記者・評論家による順位】
①(-) 顔たち、ところどころ 8.86(7)
②(-) 万引き家族(日本) 8.13(8)
③(2) ラブレス 7.80(5)
④(3) ストライキ前夜(韓国) 7.71(7)
⑤(4) 生き残った子[最後の息子](韓国) 7.67(9)
⑥(5) アベンジャーズ/エンドゲーム 7.62(13)
⑦(-) キム君(韓国) 7.57(7)
⑧(6) スターリンの葬送狂騒曲 7.40(5)
⑧(6) サスペリア 7.40(5)
⑩(9) カペナウム 7.33(9)
⑦「キム君」が新登場です。1980年の光州民主化運動に関わる新作ドキュメンタリー。「光州民主化運動に、はたして北朝鮮が介入していたか否か?」がポイントです。2015年、光州市民は1980年5月の写真の中の自分の顔が赤い点と線でチェックされた謎の資料を目にします。これは軍事評論家の池萬元(チ・マヌォン)が5・18光州民主化運動を率いた光州市民軍の人たちの写真・映像の<顔の輪郭ポイント>を赤い線で結んだものでした。池萬元は、それらの顔がまさしく現在の北朝鮮の有力政治家と軍人たちの顔であると主張し、光州に投入された北朝鮮の特殊部隊と考え、仮に<鉱水>と名付けて写真・映像の各人に<第〇鉱水>とナンバリングして資料として提示したのです。池萬元は去る4月放送通信審議委員会が下した歴史歪曲文削除措置に反発した訴訟で、1審に続き控訴審でも敗訴しましたが、その後もMBCの「PD手帳」に出演したりして「光州のデモは北朝鮮軍600人が来て引き起こした暴動で、民主化デモもなかった」などといった持論を展開しています。これに対し、<第44鉱水>、<第36天然水>等と指定された人たちはこの映画を通してその日の真実が歪曲されていることを知り、今の思いを明らかにします。そして多くの光州市民がその日のことを語ります。民兵たちにおにぎりを配ってあげた新妻、銃声が鳴り響く広場でシャッターを押し続けた写真記者、民兵に参加して永遠に戻ってこなかった息子を一生涯待つ母、そして多くの武装民兵たち。これら光州市民の告白を介して5・18の真実が一つずつつなぎ合わされていきます。「39年の攻防、5年の追跡、そしてただ1つの真実」がこの作品のキャッチコピーです。韓国題は「김군」です。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績5月24日(金)~5月26日(日) ★★★
日本より2週間早く公開 ディズニーの実写映画「アラジン」が1位
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(69)・・アラジン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・798,997 ・・・・・・・874,051・・・・・・・・・7,804 ・・・・・・1,311
2(1)・・悪人伝(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・5/15 ・・・・・・・・・732,760・・・・・・2,762,240・・・・・・・・24,349 ・・・・・・1,132
3(2)・・ガールコップス(韓国)・・・・・・・・5/09 ・・・・・・・・・165,132・・・・・・1,538,172・・・・・・・・13,149・・・・・・・・637
4(2)・・アベンジャーズ/エンドゲーム・・4/24・・・・・・・159,796・・・・・13,749,134・・・・・・・120,549・・・・・・・・615
5(38)・・幼い依頼人(韓国)・・・・・・・・・・・5/22 ・・・・・・・・・・95,389 ・・・・・・・150,307・・・・・・・・・1,272・・・・・・・・669
6(40)・・ブライトバーン ・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・53,586 ・・・・・・・・71,615 ・・・・・・・・・・634・・・・・・・・509
7(5)・・陪審員たち(韓国)・・・・・・・・・・・・5/15 ・・・・・・・・・・27,818 ・・・・・・・270,270・・・・・・・・・2,171・・・・・・・・268
8(4)・・名探偵ピカチュウ(日・米)・・・・・5/09 ・・・・・・・・・・25,023 ・・・・・・・680,424・・・・・・・・・5,680・・・・・・・・210
9(8)・・教会のお兄さん(韓国)・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・12,130 ・・・・・・・・47,936 ・・・・・・・・・・402・・・・・・・・・82
10(新)・・アンダー・ザ・シー2 ・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・・8,892 ・・・・・・・・・9,869 ・・・・・・・・・・・73・・・・・・・・269
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
「アベンジャーズ/エンドゲーム」は4位に落ちましたが、歴代の観客動員数で「アバター」(1,362万人)を抜いて外国映画1位になりました。
今回の新登場は1・5・6・10位の4作品です。
1位「アラジン」は、1992年公開のディズニーアニメを実写化したファンタジーアドベンチャー。砂漠の王国アグラバーを舞台に、天涯孤独の青年アラジン(メナ・マスード)と王女ジャスミン(ナオミ・スコット)、ランプの魔人ジーニー(ウィル・スミス)の冒険が描かれます・・・。韓国題は「알라딘」。日本公開は6月7日です。
5位「幼い依頼人」は、韓国のドラマ。人生の一番の目標は成功することという弁護士のジョンヨプ(イ・ドンフィ)。周囲に無関心な彼にしきりにまとわりつくのは10歳の少女のダビン(チェ・ミョンビン)とその弟7歳のミンジュン(イ・ジュウォン)でした。ある日待望の大型ローファーム合格の知らせを聞いたジョンヨプは、信じられない事実を知ることになります。それはダビンがミンジュンを殺したという衝撃的な告白でした。「遅すぎた」という自責の念を抱きながら、ジョンヨプは自分のすべてをかけてダビンの母ジスク(ユ・ソン)に隠された真実を打ち明けようとしますが・・・。原題は「어린 의뢰인」です。
6位「ブライトバーン」(仮)は、アメリカのSFホラー。熱心に赤ちゃんを望んでいたカイルとトリ夫妻は、ある日の夜自宅の外で激しい震動とともに衝突音がしたので、見てみると何か壊れた物がありました。そして中には赤ん坊が・・・。2人は深くは考えることなく赤ん坊にブランドンと名付け、育てることに。しばらくはとくに問題なく成長しているようでしたが、ある夜ブランドンは地下室へ侵入して、地球に落ちてきた際に乗っていたと思われる隕石を発見します。これが契機となって彼の心は変調をきたし、また特異な能力を発揮し始めます。草刈り機の回転する刃に手を突っ込んでも無傷の上刃物の方が壊れてしまったり等々。そんな状態がさらにエスカレートして大勢の人を巻き込んでいきます・・・。韓国題は「더 보이(ザ・ボーイ)」。日本公開は未定のようです。
10位「アンダー・ザ・シー2」は、アメリカの子供向けアニメ。韓国でも2016年に公開されたシリーズの第2作です。(日本ではドチラも未公開。) フィッシュテールサンゴ礁に住むパステル魚のフィフィが学校に行く最初の日。なかよしの友だちと同クラスなり、期待していたシャーク先生が担任で、子供たちは喜びます。シャーク先生は初日から子供を連れて現場学習に乗り出しましたが、それは右の深い海に沈んだ伝説の沈没船を見に行くこと! ところが、フィフィと親友のクジラのリリーは沈没船の中を見物していて海の怪物に追われることに・・・。必死で逃げるうちに、結局道に迷ってしまいます。はたして2人は無事家に帰ることができるでしょうか・・・。韓国題は「언더 더 씨」です。
【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・教会のお兄さん(韓国) ・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・12,130 ・・・・・・・・47,936 ・・・・・・・・・・402 ・・・・・・・・・82
2(2)・・サスペリア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/16・・・・・・・・・・2,831 ・・・・・・・・28,872 ・・・・・・・・・・265 ・・・・・・・・・35
3(3)・・ホテル・ムンバイ・・・・・・・・・・・・・・5/08・・・・・・・・・・2,647 ・・・・・・・・70,369 ・・・・・・・・・・
576 ・・・・・・・・・47
4(新)・・ドンキホーテを殺した男・・・・・・5/23・・・・・・・・・・2,146 ・・・・・・・・・3,817 ・・・・・・・・・・・30 ・・・・・・・・・40
5(新)・・片目のジャック ・・・・・・・・・1962/6/09・・・・・・・・・・1,743 ・・・・・・・・・7,474 ・・・・・・・・・・・14 ・・・・・・・・・・1
4・5位の2作品が新登場です。
4位「ドンキホーテを殺した男」は、スペイン・イギリス・フランス・ポルトガル・ベルギー合作のファンタジー・アドベンチャー・コメディ映画。この映画、内容以前に「テリー・ギリアム監督の宿願がやっと叶って完成した」ことが注目されました。それというのも、監督が最初に企画が立ち上がったのは1998年。以来19年間に8回映画化に挑戦し、その都度失敗したといういわくつきの<呪われた映画>だったから。その失敗というのも、資金面というありきたりのものだけでなく、鉄砲水による洪水でセットが流されたり、俳優が椎間板ヘルニアになったり、ヤル気がなくなったり(←ジョニー・デップ)、膵臓がんと診断されたり・・・。これらに保険関係等の法的問題、ロケ地のポルトガル・トマールのキリスト教修道院(世界文化遺産)損傷問題等もからんで、当事者でなくても声を失うほど。しかしそれでも放棄しなかったのはリッパ。さて本題の中身。かつて映画監督をめざしたものの、今はテレビCM監督をしているトビー(アダム・ドライバー)はある時スペインの小さな村を訪れ、ドン・キホーテを題材にした撮影をします。なかなか上手くいかずにヤケになっている。ロケハンをしていると、ある男から「サンチョ・パンサか?」と訊かれます。もちろん「俺は違うぞ、監督だぞ」と思っていても、誤解し続けるその男はドン・キホーテだった!? 現実と虚構が混じり合う中、トビーは結局パトカーで輸送されることに。ところがそのパトカーの前にまたもドン・キホーテが現れ、「同志よ、一緒に旅に出よう!」とパトカーを攻撃しながらトビーに迫ったり・・・と、こうなるとトビーも監督も、そして観客もともども混乱の渦に巻き込まれていくような・・・(笑) 「ギリアム監督が当初構想した作品を追い回すうちに自分がドン・キホーテになってしまった姿を自己分析的に映画に落とし込んだ作品」というある記事の見立てはナルホドと思いました。韓国題は「돈키호테를 죽인 사나이」。日本公開は未定のようです。
5位「片目のジャック」は、マーロン・ブランドの初監督作品(もちろん主演)の西部劇。たぶんシルバー映画館での再上映か。韓国題は「애꾸눈 잭」です。