ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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北朝鮮の人たちは軽々しく「ありがとう」とは言わないって?  ▸チェ・ソングク「ここは大韓民国」より

2018-11-29 23:47:49 | 韓国の漫画

<ハトの背中を見て驚く脱北漫画家! そのわけは?  ▸チェ・ソングク「大韓民国定着記」より>
<「漢拏山(ハルラサン)血統」とは? 脱北者の送金で豊かになる北朝鮮の家族  ▸チェ・ソングク「自由を求めて」より>
<韓国入国後の適応教育の場で、担当官に「注目してください」と言われた脱北者がとった意外な反応  ▸チェ・ソングク「ここは大韓民国」より>
に続く脱北者漫画家チェ・ソングクさんのシリーズ第4回です。

 今回も、場所は前回と同じ韓国に来たばかりの脱北者たちの取調べ・調査等が行われる国家情報院(国情院)。そこの食堂です。

 誰もが椀や皿に一杯どころか、トレー全体に溢れるほど料理を盛りつけます。コッソリと(後で食べるために)ポリ袋に食べ物を落とし入れる女性もいます。
 
     これは完全に中央党(青
     瓦台)の食事だなあ

  俺のおかげだよ   
             
   実はああでこうでどうで
   何だかんだぜひとも飯が
   必要なので等 ・・・だから
   ごはんをちょっと下さい

 おかわりどころか、3度の飯にもちゃんとありつけるかが問題、という多くの北朝鮮の人たちの食料事情を思えば、こんなマナーのギャップもわからないではありません。
 彼らのようすを見ていたのが、前回にも登場していた新入りの若い担当職員です。


  ふつうにもっと食べたいと
  言えばいいのに・・・
  なんで説明がくどいんだ
 挨拶もちゃんとしないで・・・
 忠誠の誓いは上手くやって、
 挨拶はちゃんとできない?
 あーあ、理解できない

 <忠誠の誓い>とは、この少し前の部分で彼らに「ここ大韓民国は表現の自由がある国です。さあ思い切り自分の気持ちを表現して下さい」と呼びかけたところ、それを<忠誠心の試験>と受けとめた脱北者たちが次々に「♪今日のこの幸福を誰が下さったか 国情院が下さった」等々、北朝鮮の歌の歌詞を変えて歌うなど、韓国や国情院への忠誠心ショーのようなものになったことを指しています。
 ここで担当職員氏、機会をとらえて・・・

  もっと食べてもいいですか?

ええ、そうですね・・・
ちょっと待って下さい
さあ皆さん、食事しながら聞いて下さい。忠誠心より大事なことは挨拶をちゃんとやることです。むずかしくはありません。
このようにやればいいです
               
            ?

 そして、大勢が見ている前で・・・


 ごはんやおかずが盛られていく順にしたがって挨拶(お礼)の手本を示します。

 ごはん
    感謝します

  何、あの・・・これ
 おかず
    ありがとう
    ございます

  え、なんで私に・・・
 おかず
   いただきます

 どんどん彼女の顔が険しくなっていきます。そして・・・

     

こんな大勢の人たちの前で、なんでそんなにたくさん挨拶をやらせるんですか? 自分の祖国を捨ててごはんとかもっとくれと言ってるから革命的信念と自尊心がない女と見てるんでしょ!なんで私を侮辱するんですか? 私が南朝鮮の地主や資本家なんかの作男に見えますか? 私がこんなことしようと思って来たと思ってるんですか?

 なぜ彼女がこんなにも恐慌をきたしたのかわからず、憮然とした面持ちの新入り職員氏に、北朝鮮の言葉にも堪能な上司(部長)が声をかけます。


 どうにも理解しがたいことがこれからもっと多くなるだろうよ

 しかし、この新入り職員だけでなく、私ヌルボもなぜこの脱北女性がこれほどまで強く抗議するのかわかりませんでした。

 この漫画の韓国人読者も同じだったとみえて、後の方のページで次のような質問が載っていました。


      南側質問
 なぜありがとうと言えば作男だと言うのか、理解できません(笑)。次の漫画で説明してもらえますか?


 これに対し、チェ・ソングクさん、「政治の話はできないし・・・」と考えながらも、次のように答えています。

  北側答弁

 社会主義のためです。
 社会主義は常に発展した体制だとしてよいことは過大包装し、よくないことは隠そうとします。このように暮らしてみると虚勢と格式とすき間のようなものが体に沁みついて・・・
 そのため人々は物静かで重みのある心の中の考えをあまり表にさらけ出さない人を心がしっかりした、重みのある、信頼性のある人と評価します。

 この反対の人が、よく挨拶をして、心をよく表現する人なのですが・・・ こんな人はとてもお人好しでおっちょこちょいで軽くて重みがなく、信頼性のない、ただのおべっか使いで、よくない人と評価されるのです。



 なるほど・・・。ということで私ヌルボが思い出したのは、ずっと前(10年以上か)、ある雑誌で脱北の手助けをしている日本人の記事。その人は、「自分がこれだけ危険を冒して支援しているのに、当の脱北者から感謝の言葉が一言もないので、虚しさを覚えることもあった」と書いていました。今上のチェ・ソングクさんの文を読んで「そういうことだったのか」と(ほぼ)納得しました。
 ただ、「社会主義のため」というのは今ひとつうなずけないんですけどねー。
 物が慢性的に欠乏した社会、独裁体制、(「成分」という)細分化された階層社会、相互監視社会、こういった要素が絡み合っているような気もします。
 また、よく言われることですが、韓国では「親しき仲にも礼儀あり」という日本とは逆に、家族や親しい友人の間で「ありがとう」と言ったり「ごめん」と謝ったりするのは「水くさい」とされます。韓国人から見れば、日本人は「ありがとう」を言いすぎる、ということです。
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韓国入国後の適応教育の場で、担当官に「注目して下さい」と言われた脱北者がとった意外な反応  ▸チェ・ソングク「ここは大韓民国」より

2018-11-11 14:59:15 | 韓国の漫画

<ハトの背中を見て驚く脱北漫画家! そのわけは?  ▸チェ・ソングク「大韓民国定着記」より>
<「漢拏山(ハルラサン)血統」とは? 脱北者の送金で豊かになる北朝鮮の家族  ▸チェ・ソングク「自由を求めて」より>
に続く脱北者漫画家チェ・ソングクさんのシリーズ第3回です。

 今年は大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が成立してからちょうど70年。双方の体制が大きく異なる上、人の行き来もほとんど遮断され、言葉や一般的な知識・常識だけでなく、物の考え方・感じ方までも大きなギャップが生じています。
 韓国に入った脱北者は、まず国家情報院(国情院)で北朝鮮での生活や脱北の経緯等について取り調べを受けたり、ハナ院で韓国社会への適応教育を受けます。北朝鮮でのもろもろを背負い込んだままの彼らだけでなく、彼らとまず最初に接する国情院やハナ院の職員も双方のギャップに直面することになります。
 今回の話の舞台は国情院。北朝鮮で聞いていた国情院のことや、北朝鮮の保衛部(=国家安全保衛部→2016年保衛省)のイメージから、ここでも拷問があるのでは?・・・と懸念しています。が、部屋に入ってきた担当職員は、北朝鮮にはいないタイプの美形の男性。脱北者たち、その姿を見てまずオドロキ。



   ガヤガヤ  髪の色見ろよ(笑)
  ワイワイ  資本主義の男~  ガヤガヤ
(なんでこんなにうるさいんだ?)
          こんにちは。私は・・・・
          さあ、こちらに
         注目して下さい!

 脱北民担当新入要員

 ところが、脱北者たちは意外な反応!

      サーッ!        ビクリ!
  何だ!
     手、手を下ろして下さい!

 注目しないで、こぶしを突き上げる脱北者たち。私ヌルボも全然意味がわかりませんでした。脱北者たちも、このことについてまたザワザワおしゃべりを始めます。

    ガヤガヤ    おまえ、わかってるか!             人を見くびらないで、
     おまえらのせいで俺まで・・・・  なんでおまえが最初に声を出すんだ!  一度でうまくやろう!
                                      ガヤガヤ

 担当職員は、よくわからないまま何とか鎮静化をはかりますが・・・。

     (おっ・・・間違ったか?
      なんでこうなる?)

     (なんか不安だが・・・
      もしかして、こうして私を?
      いや、まさか! とにかく
      できるかぎり治めなければ)
    さあさあ! 静かにして下さい
    さあ、こちらに集中します。
    注目して下さい!

 自分に対する示威闘争か?ともチラッと思ったた担当職員氏でしたか、気を取り直してもう1度。ところが、また・・・・
     

      サッ!         手を下ろして下さい。
         今こぶしをふりかざして
         いますが、なんで
         そうされるのですか?

 すると思いもよらない返答が・・・。
 
 「さっきからゲンコツしろと言ってたじゃないですか?」


 えっ!? ・・・思いながらも私ヌルボ、ここから韓国語の説明。つまり<注目(チュモク)><ゲンコツ(チュモク)>を聞き間違えていたということ。なのですが・・・。
 カタカナだと同じ<チュモク>ですが、韓国語(朝鮮語)の発音&表記は違うのです。
 <注目><주목>で、<ゲンコツ><주먹>。<モク>の発音は英語表記だと前者が<mok>で後者が<meok>。口を開き気味に発音する(後者)か、口を丸めて発音する(前者)の違いです。
 (私ヌルボももちろん含めて)日本人の韓国語学習者が苦手な発音ですが、北朝鮮の人たちはこれらを区別して聴き取っていないということでしょうか?
 疑問に思ったらすぐ調べるという鉄則に(久しぶりに)したがって検索してみると、ウィキペディアの「朝鮮語の南北差」(→コチラ)の項目に次のように書かれていました。
  ㅓはソウル方言では円唇の度合いがより弱く、平壌方言では円唇の度合いがより強い。この円唇性のため、ソウル方言話者が平壌方言のㅓをㅗに近く聞き取ることがある。
 なるほど。逆に北朝鮮の人の耳にはㅗがㅓに聞こえるということか。(1つりこうになりました。テヘ。)

 なお、この誤解が解けた後の反応にも担当職員と脱北者たちの間のギャップが垣間見られます。

  ここで言う<チュモク(주목.注目)>は
  <チュモク(주먹.ゲンコツ)>ではなく、
  集中せよという意味です。本当に
  おもしろいですよね? ハハハ
     何がおもしろいんだ?
ヘンなの  そうだったのか!
          何がおもしろいんだ?


 今回紹介した南北朝鮮のギャップはまだ序の口レベル。この漫画シリーズだけでもこれ以外にまだいくつか事例が載っているので、また紹介します。
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「漢拏山(ハルラサン)血統」とは? 脱北者の送金で豊かになる北朝鮮の家族  ▸チェ・ソングク「自由を求めて」より

2018-11-04 20:00:10 | 韓国の漫画

<ハトの背中を見て驚く脱北漫画家! そのわけは?  ▸チェ・ソングク「大韓民国定着記」より>に続く脱北者漫画家チェ・ソングクさんのシリーズ第2回です。
 脱北者や、北朝鮮についての興味深いネタがたくさんある中で、今回は韓国の脱北者からの北朝鮮にいる家族への送金をめぐる話
 この件に関しては、10月31日の<韓国デイリーNK>で「南の家族が送金した1万元を押収して着服した保安員を処罰」と題したニュース(→コチラ.韓国語)が報じられました。脱北した家族から送られてきた1万中国元を保安員(警察)に押収された北朝鮮の家族が怒って党に訴えたところ、保安員は着服が発覚して解任され、脱北者家族はお金は取り戻せなかったが何の処罰も受けなかった、というものです。つまり(ふつう行われているように)保安員もなにがしかの賄賂を取って送金を見逃す程度ならよかったのに、ということです。消息筋は「いくら敵対国のお金でも、平民のお金をむやみに奪って自分の欲を満たす法機関の人々に警鐘を鳴らす事件」だと語ったとのことです。
 北朝鮮は「脱北するとその家族は収容所送り」といったような脱北者家族に対する厳しいイメージがありますが、この頃はかなりようすが変わってきているようです。
 たまたま上記のニュースを読んだ時にこの漫画のことを思い出した次第です。

 「自由を求めて」シリーズ全3巻の3冊目「自由を求めて -回想」から。前回同様本筋の間に折り込まれている<作者の言葉>中の1つです。

 チェ・ソングクさんはまず家族を脱北させましたが、彼自身は捕まって比較的罪の軽い者を収容する労働鍛錬所で6ヵ月服役します。
 その間、住人のいない家は何十回も泥棒に入られ、結局無一文の乞食になりました。

    

 あの人、お母さんが南朝鮮に行ったのよ。
 だから目も合わせないで。
 ヘタに疑われるだけよ。

        南朝鮮? ドラマを
        見たらいい暮らしを
        してたけど。
 それは全部ウソよ。
 自分たちはいい暮らしをしてると
 宣伝しようとしてるのよ。

        そうかなあ?
        南朝鮮の商品は
        良かったけど・・・。

 ここでチェ・ソングクさんに対する読者からの質問です。


   北南カキコミ会談
    南側質問


뱅커(jsm8★★★★)
愛読してます。漠然と思うのですが、漫画を見ると、今後統一されてもたがいに考え方がずいぶん違っていて困難が大きいと思います。知りたい点は、今回の漫画で南韓がいい暮らしをしていることをすでに知っているようにコナムのお母さんがおっしゃってましたが、北韓の人たちも南と北の格差を認知していますか? それで南側に行きたいのだが旅券上むずかしいということですか?






 これに対するチェ・ソングクさんの回答です。

       北韓の人たちも南韓が暮らし良いことを認知しています。
       そして多くの人たち、特に若い人たちが韓国にあこがれ、
       行きたがっています。ところがその道は本当に危険な道なので
       たやすく決心することはできません。

               代わりに、韓流熱風は熱いです。そして北韓の体制上想像もできない
               階級が生まれました。事実、脱北者の家族は裏切り者階級に分類され、
               最もよくない取り扱いを受けなければなりません。

               しかし「漢拏山(ハルラサン)血統」と呼ばれて「白頭山(ペクトゥサン)血統」
               圧倒しました。

                         「白頭山血統」:金日成の親戚・姻戚
                         「漢拏山血統」:脱北者の親戚・姻戚



数日後・・・・
     南朝鮮にいるお母さんがお金を
     送ってきた? 乞食みたいに暮らして
     いたのが、最近<下の町>の服で武装
     したわねえ。
※<下の町(아랫동네)>
          とは南朝鮮(韓国)の隠語。
      南朝鮮ではお金が道の上に
      散らばってるの? 私がひと月稼いで
      も稼げない額よ。あの服を買うの
      なら貯めといて家を買うわ・・・
数週後・・・・

         あら、もう家を
         買ったのね?



          商売でも何でも
          南朝鮮にコネを
          つけなくっちゃ


「白頭山血統(백두산 줄기)」という言葉は日本でも週刊誌等でよく見かけますが「漢拏山血統(한라산 줄기)」という言葉は初めて知りました。
  なお→コチラや→コチラの韓国記事によると、その他にも「洛東江血統(낙동강 줄기)」=朝鮮戦争で功績のあった兵士の子孫、「富士山血統(후지산 줄기)」=朝鮮総聯系、「パルチザン血統(빨치산 줄기)」=金日成とともに抗日運動を闘った人の子孫、「龍南山血統(룡남산 줄기)」=金日成総合大学を卒業した人たち という言葉があるそうです。どの程度一般的かは不明。

関連の韓国記事
 ・「北 여성들 꿈은 ‘역적’ 탈북자 가족에 시집가는 것...‘한라산 줄기’ 선호(北朝鮮の女性たち 夢は‘逆賊’脱北者家族に嫁入りすること・・・‘漢拏山血統’を好む)」(→コチラ)・・・・2014年6月の朝鮮日報の記事。(すでにこの頃から報じられていたとは・・・。)
 ・「탈북자 송금이 북한 주민 먹여 살려(脱北者の送金が北朝鮮住民を食べさせ生かしている)」(→コチラ)・・・・2016年10月のKBSニュース。動画付き。

《私ヌルボの思うこと》
 1990年代後半25万~300万人と、その人数も正確に把握できない大量の餓死者を出したのがいわゆる<苦難の行軍>の時代でした。その後2000~02年を境に、餓死者はほとんど出なくなったとのことです。
 それは、配給も途絶した困難な時期に、住民たちが<闇市場>を舞台に商売をしたり、山の中などに自分用の小さな畑を拓いて耕作する等、自力で生きる道を切り開いていったからです。それらは社会主義の原則に反する違法行為ですが、かつてのような配給制度を再構築できない政府は<黙認>さらには<公認>せざるをえませんでした。その後2006年12月には成人男性の市場での商行為禁止、07年12月には50歳未満の女性の市場での商行為禁止といった規制策が打ち出され、09年11月には闇商人たちの秘密預金の一掃など資本主義的活動を一掃すべく通貨改革(デノミ)が行われましたが、経済に大混乱を招き、また各地で民衆の抗議行動も相次ぎました。そして改革が大失敗に終わったあと、05年~09年のすべての市場規制措置が撤廃されるに至りました。
 今、平壌では多くの車が走っている等々、意外なほどの変貌(発展ぶり)が報じられています。しかし、ヌルボ思うに、それは金正恩政権の施策によるものではなく、(一部)住民の自主的な商業とか中国等との取引・起業等によるもので、政府は上記のような<黙認>、<追認>をしているだけのようです。いや、とくに富を蓄積した連中と相通じているかも。(当然か?) なんか資本主義の初期段階を見るような感じ?
 長年の社会主義独裁政権下で「商行為は良くないこと」と教え込まれてきた人々の多くも、この20年間自力で稼いで生きてきたわけだから、食べ物とともに自分の財産についても相手が国であろうが断固守るゾ!という意識が強くなっているのではないでしょうか? 十分な恩恵も与えられない国が規制を図っても反発を買うだけです。
 冒頭で紹介したニュースも、そんな社会的な背景があるかもしれません。
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ハトの背中を見て驚く脱北漫画家! そのワケは?  ▸チェ・ソングク「大韓民国定着記」より

2018-09-22 15:00:14 | 韓国の漫画

 チェ・ソングク「大韓民国定着記」は、脱北者の漫画家が自分の体験をベースに描いた漫画シリーズ中の1冊です。
 いろんなネタがある中で、本筋とは別の<作者の言葉>から、韓国で作者がちょっと驚いたことを紹介します。


     おっ、あの・・・             いやあ、ハトが人の方に来るじゃないか!
     堂々とした歩き方は何だ?        「なんとまあ! ハトの<背中>が全部見えるね!?」


 「何ですって? 北韓にはハトがいないんですか?」
 「いることはいるけど、高い所にいるんで腹しか見えないんですよ」
                      「なんでですか? 地面に降りて来て、
                      人のそばに行ったらよくないんですか?」



                「捕まって食われますよ!」     ホントなんだけどㅠ-ㅠ
            「あ・・・ホントですか?           してみると・・・
             ホント? エーッ、            最近のコメントも

             まさか・・・ホント?」





 ・・・というわけで、北朝鮮ではハトが人間を警戒して地面に降りてこないのですね。
 友人にこの話をしていたら、昔、アグネス・チャンが公園にたくさんいるハトを見て、「どうして誰もハトを捕まえないの? すごくおいしいのに」と言ったとのこと。うーん、ぼんやりと記憶にあります。
 しかし、北朝鮮でハトを捕まえて食べるというのは①中国と食文化が共通しているからか? ②北朝鮮の食料事情が厳しいためか? 韓国にはハトを食べる習慣は(少なくとも今は)なさそうだし、どうも②のような気がしますが、確証ナシ。どなたか教えてください。

 ハトは近所にある横浜市立図書館の駐輪場にも10羽くらいいて、エサをくれそうな人がいると馴れ馴れしく近寄ってきます。週3回は行っているので、個体もほぼ見分けがつくようになりました。(右画像) ハトの腹よりも背中を見ることがずっと多いように思います。

 20年ほど前、ある高校で廊下の天井にハトが巣を作っていたことがありました。ある朝ヒナが孵っていたのを見て、そこの社会科教師(=ヌルボなんですけど)が授業のマクラで「あのヒナは産まれて最初にどんな光景を見て、何を思うのかねー」とか話した後、「ジツは昨晩藤沢の中華レストランでハトを食べてきました」と、授業の最初から脱線していったのでありました・・・。(人間はいろんな矛盾を抱えた存在である、という話でもしたのかな?)
 昨日たまたまシネマベティで出くわした当時の同僚によると、その中華レストランのハトはフランスから仕入れた食用のハトということでした。
 なお、たまにハトを食べる中国人をそのことで嘲笑する「残念な日本人」がいるようですね。
 たまたま数日前、愛読しているゆうきさんの関連ツイートがあったので貼っておきます。

 ハトの話はここまで。

 ことのついでに「大韓民国定着記」の他のページをチラッとご紹介。

 <北朝鮮の簡単な調査過程>
 1.取り調べ。                 2.軽い罪は労働鍛錬隊へ。
 3.重い罪は拘留場を経て教化所、政治犯収容所。 4.調査の過程では待機室。

 酒に酔って、国境警備員の目の前で鴨緑江に飛び込み、そのまま脱北。
 
 韓国の青年が北朝鮮の地方に漂流して現地の若い女性と親しくなり、「平壌から来たんだ」とかウソをついて・・・という設定で北朝鮮の一般住民の生活等を紹介する1話2ページの「韓国青年リュ・シジンの北韓漂流記」がこの本では2回分載っています。
 じつは、この全20話は韓国アムネスティのサイト内の→コチラ(韓国語)で全部読むことができます。(どこかで翻訳本出さないかな?)
コメント (2)
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[韓国語] 「ウルシニョンスロプタ」(ものさびしい・みじめだ)の語源は? ①朴婉緒の自伝的小説の漫画版

2017-05-08 22:39:49 | 韓国の漫画
[1] 朴婉緒「たくさんあったあのイワタデは誰が食べたのか」の漫画本はすばらしい!

             
 朴婉緒(パク・ワンソ.1931~2011)の自伝的小説「그 많던 싱아는 누가 다 먹었을까(たくさんあったあのシンア[イワタデ]は誰が食べたのか)」の漫画本(上・下)を読みました。
 いやあ、これはいい本です。
 この小説の日本語訳は「新女性を生きよ」(梨の木舎.1999)というタイトルで刊行されました。韓国では高名なこの作家の代表作の1つですが、全然小説らしくない雑誌風の体裁ということもあって(?)、(たぶん)ほとんど注目されてこなかったと思います。しかし、生まれ故郷である開城近郊の村で過ごした少女時代から、母に連れられてソウルに移り住んで小学校・女学校に通った頃、そして光復を経て朝鮮戦争の初期までの朴婉緒の少女時代が実に生き生きと描かれていて感銘を受けました。
 この翻訳書を読んだのが10年以上前。そして4年あまり前にソウルの書店でこの漫画の表紙を見て上下2巻を買ってきたのですが、そのままツンドクになっていたのを、最近の大掃除の時に発掘なんとなく読み始めたところ、このキム・グァンソンという漫画家の絵に魅入りました。絵自体が魅力的であるばかりか、元の文章の多くをそのまま用いる等原作に密着し、1930年代以降の村や街、自然の景物等も(おそらく)ずいぶん緻密な時代考証をふまえていて、きちんと描写されています。

 ・・・と、この漫画本の内容をこれ以上紹介するとさらに何倍もの字数を要するので、とりあえずはおいといて、ここから本論の、序文です。(ここまでは本論どころか、序文でさえなかったってか!?(笑))

 小学校に入るため母に連れられて初めてソウルに来た少女ワンソが暮らすことになったのは峴底洞(ヒョンジョドン)でした。西大門の近くといっても、下の絵のような山の上のタルトンネ(月の町=低所得者層の集住地域)で、水道もない所でした。
      

 こんな小さな家が密集する丘を登って行って・・・。
      
 さらに上へずーっと登って行って・・・。翻訳書では「苦労しててっぺんまでたどりついたのに町はまだつづいている。」 やっと母が歩みを止めたのがこの近辺でもまれな藁ぶき家。(上左) それも「わが家」ではなく間借りです。
 ここで上右のコマのハングルを読んでみます。
 
 작은 쪽마루가 달린 문간방은 옹색하고 을씨년스러웠다.
 小さな縁側がついた門間房(玄関部屋)は窮屈で陰気くさかった


 とくに을씨년스러웠다(ウルシニョンスロウォッタ)という言葉を強調したのは、これがこの記事のテーマだからです。(やっと・・・。) 辞書で辞書形の)「을씨년스럽다」(ウルシニョンスロプタを引くと、「(天気や雰囲気などが)もの寂しい」「非常に貧しい」「みじめだ」といった訳語が載っています。(上の「陰気くさかった」は翻訳書の訳語。)

 辞書に*印がついている単語でもないので、中級レベルの韓国語学習者の皆さんの多くは知らなかったのではないでしょうか?
 実は私ヌルボも2、3ヵ月前に初めて知った単語です。その知ったキッカケというのがその語源をめぐる記事を読んだこと。
 さらにあれこれ関係情報を集めたりして・・・、で今回はとりあえずここまで。以下続きます。

 → [韓国語] 「ウルシニョンスロプタ」(ものさびしい・みじめだ)の語源は? ②乙巳年(ウルサニョン)にあったこと
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[韓国の漫画] 1960年代の大人気生活明朗漫画「ヤクトンイとヨンパリ」を読む ②

2017-03-15 23:22:47 | 韓国の漫画
 →2つ前の記事の続きです。

 なかなかヤクトンイと打ち解けなかった転校生のヨンパリですが、ようやく本書の半分あたり(原本の第2巻)で親しくなり始めます。そして次のような場面。
 夏休み中のある日、同じ村の資産家の息子で、ソウルの中学校に入った少年(左端)が級友を2人連れて帰って来ているのに出会いました。ところがその2人の生徒が村の中学校をぱかにしたような言葉を連発します。 「ホントにこんな村で暮らしてると力が全部抜けちゃいそうだ。」 「そうか! こんな所で暮らしてるオレたちの力が抜けてるか抜けてないか見せてやるか?」「おー!」
 いつもにこやかなヤクトンイまで怒ってますねー。
 「さあ! 見ろ!」「おお!」「おお!」 「力が抜けてるかいないか」「わあ!」 やっぱりヨンパリ、ケンカはつ強いわー。・・・と、このあたりまでが原本の第2巻。その後の第3巻では、ソウルへの修学旅行が仲間4人の懸案事項になります。ヨンパリ父は名うてのケチで、修学旅行の費用も出してくれないというのです。そこで自分たちでお金を稼ごうということになり、ヤクトンイの発案でドジョウを養殖して売ろうということになったのですが、それに適した池を持っているトゥントゥンイのお祖父さんがなかなか認めてくれなくて・・・、というところで、この第1~3巻の合本はオシマイ。巻末の解説だと、続きの巻で首尾よくいって皆修学旅行に行けたそうですが・・・。

 かなり長くなってしまいましたが、本書(原本1部20巻中の第1~3巻)のあらましは以上です。
 本書巻末の、時事漫画家・朴在東(パク・ジェドン)による解説による、物語はこの後中学校を卒業した4人組がいろんな壁を乗り越えてソウルの高校に進学し、貧民街の板子家(パンジャチプ)に住みアルバイトをしながらも運動部員として活躍したり恋愛話とかもあるようです。あ、ヤクプニも1年後にソウルの女子高に進学し上京して来ます・・・。

 このような続きの物語は、→<YES24>のサイトを見ると、2013年に原本の第1部(全20巻)が4巻ずつまとめられた5分冊で一挙に刊行されているので、ソチラで読めそうです。

 次に、韓国漫画史の中でのこの作品の位置づけや、作者の方泳軫(パン・ヨンジン)等について。

 本書の解説や韓国漫画史関係の記事等によると、この漫画のジャンルは<生活明朗漫画>あるいは学園明朗漫画>とよばれているようです。なるほど、という内容でしたね。
 発行年の前年(1961年)は5.16軍事クーデターで朴正熙が政権を握った年で、政治的には不安定な時期でしたが、当時の社会の一端が垣間見られるように思います。
 日本でも近年、とくに映画「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)の公開頃から60年代を懐古する風潮がありますが、この韓国漫画が復刊されたのももしかしたら共通する要素があるのかもしれません。ただ、韓国の60年代は日本の同時代よりも10年かそれ以上前のような感じです。
 また、私ヌルボがちょっと懐かしく思ったのは、この「古臭い」絵柄。たとえば「フクちゃん」とか、初期の頃の「サザエさん」とかとちょっと似ているのではと思います。
 まあ、当時(に限らず)韓国の漫画界は日本漫画の影響を強く受けていたので当然といえば当然なのですが。ただ、これも巻末の解説によると、方泳軫は自尊心が強く、1958年「7天使(7천사)」で雑誌デビューした翌年に出版社から「手塚治虫の短編漫画「透明人間」をそのまま描け」と指示された時もストーリー展開と登場人物は独自のもの変えて描いたし、この「ヤクトンイとヨンパリ」で韓国を舞台に、韓国の少年たちの生活を描いていること自体もそんな意識が働いていたということです。
 ※手塚治虫の「透明人間」は1955年「少年クラブ 3月号付録」のようです。
 そして、まさに時代を反映しているのが表紙中にある円いマーク。(右画像)
 顔の上は「검필(検筆)」、その下のハングルは「韓国児童漫画自律委員会」と読めます。つまり、朴正熙政権による検閲が書籍や映画だけでなく漫画にも及んでいたということ。この時期はまだこのような「自律的」な組織によるものだったのが、1968年に政府は漫画事前審議制度を施行した。この事前検閲制は刊行物倫理委員によって1997年まで続いたが、その後も「青少年有害媒体の表示」を目的として現在もなお事後審議が行われている。<ナムウィキ>の「漫画検閲制」の項目(→コチラ)では、これを「偽装された検閲」と明記している。。

 なお、方泳軫は、この作品以前にヤクトンイを主人公にした別の作品を出しています。左画像の上右側は「明朗ヤクトンイ」、そして上左が「探偵ヤクトンイ」です。顔つきからしていかにも「探偵」ですね。日本語に訳された海外の探偵小説を参考に、日本よりずっと早く(!?)探偵物の漫画を描いて人気を得たとのことです。
 しかし大人気を博したのはこの「ヤクトンイとヨンパリ」で、1960年代この漫画は金珊湖(김산호.キム・サノ)のSF漫画「ライファイ(라이파이)」[ライパイ](右画像)とともに双璧だったそうです。

 このような大ヒット作を生んだ方泳軫ですが、1964年満25歳の若さで持病のリウマチが極度に悪化し、漫画を描く時でさえ壁にもたれて痛みをこらえながら描くという状態だったそうです。そして医師の忠告もあり漫画界を去ります。その後70年代に少し回復した時に「ミニ行進曲」という漫画を「女学生」という雑誌に連載しましたが、それが彼の漫画作品の最後でした。以後は童謡等の作曲をしたり絵本を描いたりして生活し、1997年58歳で世を去りました。

[余談] あの「食客」で有名な漫画家許英萬(ホ・ヨンマン)は学生時代この「ヤクトンイとヨンパリ」に夢中になって漫画家への夢を抱くようになったそうです。彼が漫画家としてデビューした70年代にはすでに方泳軫は漫画界を去っていましたが、許英萬は個人的に方泳軫を訪ねて行って挨拶を交わしたとのことです。「食客」の中でも「有名画家のパン・ヨンジン画伯」が登場しているのだそうですが、これは私ヌルボ記憶にないなー。

[おまけ] 韓国の漫画の歴史については、<コネスト>の記事「韓国マンガ事情~前編~」(→コチラ)に要領よくまとめられています。
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[韓国の漫画] 1960年代の大人気生活明朗漫画「ヤクトンイとヨンパリ」を読む ①

2017-03-14 14:33:31 | 韓国の漫画
 

 韓国の往年の人気漫画「ヤクトンイとヨンパリ(약동이와 영팔이)」を読みました。
 方泳軫(パン・ヨンジン.방영진.1939~99)の代表作で、発行年は1962年ですが、私ヌルボが読んだのは2003年発行の復刊本です。元々は1部20巻、第2部20巻の合計40巻になるシリーズでしたが、この復刊本1冊には1部の1~3巻が収められています。

      
 左の3人が主役級。左からヤクトンイ(약동이)、中学3年。巻末の解説によると名前は약다(賢い。才気がある)から命名したとのことです。
 その右はヤクプニ(약분이)。ヤクトンイの妹で中学2年。
 そして3人目がヨンパリ(영팔이) いかにも顔つきそのままの、向こう気の強い少年で、ヤクトンイのいるクラスに転校生として入ってきたところから物語が始まります。ところで、60年代日本の中高生にもたくさんいたニキビ面の生徒は、今もふつうにいるのかな? 昔ほどには見なくなったような気もしますが・・・。
 右の6人はその周囲の人たち。左の2人はヤクトンイ兄妹の両親、中の2人はヨンパリのお父さんとお祖母さん。それぞれ子供たちとよく似ています。大人たちは皆韓服ですね。右端の2人はヤクトンイたちと親しい級友で、左がホルチュギ(홀쭉이.やせっぽち)、右がトゥントゥンイ(뚱뚱이.太っちょ)。この2人は物語が進むほどにずいぶん活躍もするのですが、ずっとこの見た目通りのあだ名のままで、なんだかなー、です。
        
 舞台はこんな農村。まだセマウル運動以前で、農家は瓦葺きではなく藁葺きです。場所は具体的にどことは書かれていませんが、方泳軫は朝鮮戦争の時に生地ソウルを離れて忠清南道牙山(アサン)市[現]にある顕忠祠(ヒョンチュンサ)近くの農村で暮らしたので、そこでの経験が生かされているそうです。
 中学校の正門。今の韓国で、このような漢字表記の看板はあまりないと思います。左は「一等男子中學校」で右は女子。しかし同じ建物を仕切って使用しているようです。転校して初めてこの学校に来たヨンパリ父子。「お父さん、そっちは女子の教室だよ」と言っています。当時の中学校すべてが別学だったということではなく、共学が増えつつあった時期のようです。また当時の韓国では、まだ中学校は義務教育ではありませんでした。中学校就学率は→コチラの記事(韓国語)によると1970年で36.3%と、3分の1を少し上回る程度。中学が義務制になったのは1985年で、その時の就学率は82.0%。日本人の感覚からすると意外なほど遅かったのですね。
 「酸素溶接の時に使う酸素ボンベを鐘の代わりに使ってるんですね」 「なんだ、この学校は鐘1つ買う金もないのか?」 「あっちが職員室ですよ」
 絵を見ただけではわかりません。日本の小学校で授業の始まりと終わりを知らせる鐘を(当時の言い方では)小使いさんが振って回っていたのは1950年代まで?(未確認) 私ヌルボ、かすかに記憶に残っています。
 「この学校は鐘1つ買う金もないのか?」に対する答えは、あとの展開を見ると「その通り」のようです。「この学校には緑がない」という校長の言葉を受けて、全校(男子&女子)で植樹に取り組みます。山持ちの家の生徒を通じて山の木を選定し、掘って校庭に運んで移植するまで全部生徒の作業で、公費支出ゼロ。この方式がどれだけ一般的だったかは不明ですが・・・。
        
  話はちょっと戻って、この学校への初登校の道すがらのヨンパリと、ヤクトンイたちとの出会いの場面です。1人で歩いていく途中、ヘビを踏んづけてしまったヨンパリ。それをホルチュギとトゥントゥンイに見られてしまいます。「ヘッヘッ・・・」 「おっ、あいつら・・・」というわけで・・・。
      
 このあたり、数コマ飛ばしますが、要は案の定の展開でケンカの始まり。2人が相手ですが、ヨンパリ強し! と、その場に遅れてやってきたのがヤクトンイ。「初めて会うヤツがケンカをふっかけてくるじゃないか」と興奮気味のホルチュギに対し、「あー、やめろよ」とにこやかに制します。
 その場は一応おさまります。が、その後もなかなかヨンパリは級友たちとソリが合わず、とくにヤクトンイがなぜかヨンパリに主敵とみなされてしまいます。
          
 こんな少年たちも、家では不平を口にすることもなく農作業などの手伝いをしています。いや、手伝いというよりも、それがふつうの生活だったということでしょう。
 ヤクトンイは「영차(ヨンチャ)」(よいしょ)と掛け声を発していますが、この漫画では何度も出てくる言葉です。それだけ少年たちの力が頼りになる場面が多かったのですね。
      
 自分の家で収穫した農作物や家畜等を売ったり、必要な物を買うため市場へ。
 左はヨンパリ父子。「もしもし、そのブタは売り物ですか?」「そうだ!」 「じゃあ私に売ってくださいよ。そのウサギまで買いますよ。」 (ヨンパリはウサギ2羽が入った箱を背負っている。) しかしヨンパリ父はここでは売りません。
 一方、右はヤクトンイ兄妹。豆を売りに来ました。「全部で何斗かな?」「4斗です。」 「まず量ってみよう。」「良い豆だわねえ。」 ※[韓国語学習] ここでは「말」=「斗」、「되다」=「量る」の意。
 ヤクトンイは豆を売ったお金でウサギを買う心づもりでした。おりしもヨンパリがウサギを売っているのを見つけ、いくらか訊くと「1匹400ウォン」と高値をふっかけられます。父親からは「1匹200ウォンで売れ」と言われていたのですが、「ヤクトンイには売るものか!」という気持ちが先行。別の所でその話を兄から聞いたヤクプニが選手交代でヨンパリの所に行くと・・・。
 なんと「1匹100ウォン」と大サービス。(笑) 通学の途中、橋が壊れて困っているヤクプニのために橋を直したりしたこと等もあって、彼は内心ヤクプニに好意をもっていたのです。そしておまけに、(上左)「これ、どうやって持って行こうかしら?」「箱まで持ってって。」 (上右)「じゃ、すみません」「だいじょぶ、だいじょぶ。」
 この時、ヨンパリはまだヤクプニがヤクトンイの妹だということを知りません。後でそれを知ることになって、ヤクトンイと仲良くした方がよさそうだと・・・、まあ自然な考えか。また上記の山の木の移植作業の中でのホルチュギとトゥントゥンイによる2人を仲良くさせる策略(委細省略)も功を奏して、この本の半ばくらいになってヨンパリはヤクトンイ(&ヤクプニ)と親しくつき合うようになります。

 以下、→に続きます。
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韓国生まれの大人気学習漫画<サバイバルシリーズ> ジオたちが干潟であのケブル(ユムシ)と遭遇!

2016-06-29 23:40:58 | 韓国の漫画
      

 私ヌルボ、<サバイバルシリーズ>という子供たち(&その親たち)に大人気の学習漫画のことを知ったのは、「児童書で学ぶ韓国史」と題した1年ほど前の過去記事(→コチラ)に寄せられたカイカイ反応通信愛読者さんのコメントが最初でした。
 その後市立図書館で見てみようと思って探してみると、35冊あるこのシリーズ本の蔵書のすべてが予約待ちでいっぱい! その数は30~100人くらい。これでは予約しても自分の番が回ってくるまで何ヵ月かかることか、と思って断念。
 ところが、たまたまこの5月にある書店の児童向け学習漫画の棚に「干潟のサバイバル1・2」があるのをみつけました。
 「もしや」と思い1・2巻をパラパラめくっていくと、ありましたがな、ふっふっふっ。・・・何のことかというと、昨年(2015年)8~9月4回に分けて書いたケブル(=ユムシ)です。(最初の記事は→コチラ。) それも1コマだけというのではなく、けっこういろいろ描かれている上、ユムシ以外の干潟の生物についてもたくさん取り上げていて、全体的に「おもしろてためになる」本のようです。これは何ヵ月かかっても図書館で借りて読むかという気になって検索したところ、ありゃ、蔵書にない!? 8千円の「日本語訳 国連北朝鮮人権報告書」も購入してくれた図書館なのに・・・。そこでリクエストしたら、新本購入ではなく他市の図書館から借りた本を渡してくれました。
 ユムシが登場するのは「干潟のサバイバル 2」の方。その表紙が上左の画像。右は元の韓国版です。韓国語の書名は「갯벌에서 살아남기」なんですね。つまり、<サバイバルシリーズ>は韓国では<살아남기 시리즈>というわけです。

       
 さて、どんな筋立てになっているかというと、主な登場人物は上の3人。
 左から、このシリーズの最近の10数作(かな?)で活躍する主人公のジオ。そしてこの巻で登場する干潟体験団の優等生サラ、そしてムツゴロウ漁師の後継者海鮮(うみき)。うーむ、これで「うみき」と読ませるのか・・・。原書では彼の名は「해문(ヘムン)」となっていてジオからは「해물(ヘムル)」と呼ばれたりしてますが「해물(海物)」とは海産物のことで、たとえば「해물탕(海物湯)」なんかはふつう海鮮鍋と訳したりしてるので、そう考えれば直訳に近いかも。またサラは原書では아라(アラ)。この変更は日本名としての自然さ重視かな?
 
 干潟体験に行く途中、ジオは睡眠不足で倒れた仲間のケイのカバンを預かることになります。現地の干潟に行った彼はそこで自分を馬鹿にしたサラと海鮮を相手に口論となります。ところがジオが持ってきたカバンをサラが無断で開けて中に入っていた探査服を着てしまいます。続いてジオも海鮮も着用したその探査スーツは実はノウ博士の発明品で、彼ら3人は小さくなったまま干潟の生物と死闘を繰り広げることに・・・というわけでサバイバルの物語が始まります。
 
 1巻から貝殻に閉じ込められたり、おぞましい姿のスゴカイイソメと死闘を繰り広げたりとピンチの連続。なんとか切り抜けて2巻に入ると、裏表紙(右画像)にあるように潮が満ちてきて干潟の穴に逃げ込むのですが・・・。

 そこでついにユムシ(ケブル)と出会うことに・・・。

 ジオはユムシのことを知らなかったようですね。

 次のページではユムシの巣穴の説明。

 このようなU字形の巣穴だと、シギのようなクチバシが長く曲がっている水鳥にも捕食されることはありません。

 ところが、ユムシよりずっと小さくなってしまっている3人は下のコマのようなはめに・・・。(笑)

     

 まあ例によってこの難局は乗り越えますが、その後もテナガダコ等々といろいろあったりして、以下は略しておしまい。

 そして最後に、まとめの説明。ユムシについてはずいぶん詳しく記されています。


 「香りが良くて淡泊な味」とありますが、先のコマで「ユムシに比べたらゴカイの方がかわいいわ」と言ってたサラちゃんが「わあ、おいしい」と食べてますねー。この本を読んだ日本の子供(と大人)ははたして食べたいと思うかどうか? ちなみに私ヌルボ、昨年来これだけ書いていながらこの3ヵ月で2回韓国に行ったのにまだ食べていません。ま、そのうち。

 ※朝日新聞出版のサイト中の<サバイバルシリーズ>の公式サイト(→コチラ)によると、このシリーズは世界中で2千万部も読まれているとか。日本では55点刊行されているようです。(→コチラの記事ののんきさんのコメントでは「すでにほとんど全巻持ってます」とのこと。それはスゴイ!です。)

 ※韓国版についての情報は、主として<ナムウィキ>から。→コチラによると<보물찾기 시리즈(宝探しシリーズ)>とともにアイセウム出版社のメシのタネなのだそうです。→コチラによると、第6次シリーズだけでも18作品(32冊)が刊行されてます。その6月シリーズの登場人物は→コチラ、主人公のジオについては→コチラで実に細かく書かれています。「ピピは冗談じゃなく汚い女主人公だ」等々、その本を読んでいなくても笑っちゃうくらい。
 毎度のことながら、<ナムウィキ>のオタク度&ユーモアは大したものです。
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[韓国の漫画]「在日同胞 リ・ジョンエのソウル滞留記」を読む ②

2015-04-17 12:24:48 | 韓国の漫画

 一応[韓国の漫画]「在日同胞 リ・ジョンエのソウル滞留記」を読む ①同胞・僑胞・僑民の違いの続きです。

 リ・ジョンエさんは父方と母方の祖父が日本の統治期に済州島から渡ってきた在日朝鮮人3世です。彼女の最初の訪韓は2004年ですが、この漫画は2006年K大学校国際語学院に半年間語学留学した時のことを中心に描かれたものです。月刊誌「民族21」に2007年1月~08年12月連載されたもので、2010年単行本として刊行されました。(彼女は「主人公」で、文や絵を書いているわけではありません。)

 全然予備知識もなくページを開いた私ヌルボ。最初から「アレレ!」という場面が描かれていました。

 日本の人たち、発音してごらんなさい! さあ、今度は中国の方たち、発音して
 ごらんなさい

 先生! 私は日本人でも中国人でもありません。
 先生と同じ民族で・・・・
 私の祖国は朝鮮民主主義人民共和国です。
 私はどちらで発音すればいいですか?

 あら、それじゃしょうがないわね。
 ともかく、ジョンエさんは‘北韓’の抑揚から直さなくっちゃね。
 発音が強過ぎるじゃない。

   
 そうして今私がこの席に泣きそうな
 表情で立っていることになったのだ。
 ジョンエさんは‘北韓’の抑揚から直さなくっちゃね。
発音が強過ぎるじゃない。 
 直せって?

 名前リ・ジョンエ。年齢・・・は30ちょっと過ぎで、国籍朝鮮。
 (私の国籍については詳しく話す機会があるだろう。)
 皆さんは私が今なぜソウルのある教室でこんなばかげた話を聞いて涙を堪えているのか知りたいだろう。


 ・・・・うーむ。先生とジョンエさんそれぞれの「正しさ」「思い込み」といったものがぶつかりあってますね。
 私ヌルボが先生の立場だったら、たぶん次のようなことを言うかも。
 「語学学習には国籍は関係ありません。日本人・中国人といってしまったのは日本から来た人、中国から来た人という意味でした。より正確には日本語を母語としている人、中国語を母語としている人ということです。」
 「あなたの話す韓国語には北韓の抑揚があります。ここで教えるのはほぼソウル方言に基づいた韓国の標準語ですが、それは北韓も含めて各地で話されている韓国語の特色を否定するものではありません。日本語でも標準語と大阪弁や東北弁等とのバイリンガルはふつうにいるでしょ?」


 それはそれとして、この冒頭の場面からだけでもいろんなことが読み取れます。
 ・朝鮮籍でも韓国に行けて、自由に語学留学もできること。
  ※「朝鮮」籍とは、日本国籍とされていた朝鮮人のうち、戦後も引きつづき日本に居住している朝鮮人について、登録されることになった便宜上の籍。北朝鮮国籍の意味ではありません
 ・公然と「私の祖国は朝鮮民主主義人民共和国です」と名乗る人がいても、周りの人は驚かないこと。
 ・韓国ではこのような人を主人公にした本も刊行することができる。
 ・・・これらのことについては、実はいろいろ問題もあり、「悶着」も起こっているのですが・・・。
 そしてジョンエさん自身については、
 ・朝鮮民主主義人民共和国を「祖国」とすることに強い誇りを抱いている。
 ・韓国という国、韓国人の状況をあれこれ考えることなく、自分の感情や主張をストレートに表現する。
  ※ジョンエさんのように、曾祖父や祖父が済州島出身でも親・北朝鮮の人はつうにいて、1959年以降「帰国船」に乗って北朝鮮に「帰国」した済州島出身者はたくさんいます。
 ・・・ということで、自分の意見等をあまり強く主張しない(?)私ヌルボとしてはちょっと苦手なタイプかも。
 また、この本自体についてもちょっと書きづらいなー、といった感じ。どんな読み方をするかでその人の政治的立場・思想傾向がわかるリトマス試験紙のような本なので。
 たとえば<嫌韓>の人からはボロクソに言われそう。韓国内でも、反北朝鮮の保守派の側からは<従北>だ!との声が上がりそう、いや実際に上がっています。
 今回はそこらへんの問題はあえて避けました。続きもヌルボ個人の感情はなるべく抑えて、考えるに足ることを中心に書くことにします。
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[韓国の漫画]「在日同胞 リ・ジョンエのソウル滞留記」を読む ①同胞・僑胞・僑民の違い

2015-04-13 07:03:41 | 韓国の漫画

 イム・ソヒ(文):ポリ(画)「재일동포 리정애의 서울 체류기(在日同胞 リ・ジョンエのソウル滞留記)」という漫画本。軽い気持ちで昨年12月ネット通販で購入した本です。在日韓国人が韓国に行って韓国語についての苦労とか、韓国人の在日に対する認識に戸惑って・・・というような(よくある)話かなとなんとなく思って読み始めたらぜ~んぜん大違い!
 すぐに読了しましたが、感想等の書き方がむずかしく、もう4ヵ月近くも経ってしまいました。
 まずは序文みたいなところからとりかかることにします。
 この本のタイトル中の「동포(トンポ.同胞)」という言葉と、「리(リ.李)」という名前についてです。

 最初少し読み始めて、ふと思ったことその1がこの「同胞」という言葉でした。私ヌルボの既存の知識では、在日韓国人のことを韓国の人は「교포(キョッポ.僑胞)」とよび、北朝鮮では「トンポ」とよぶということです。
 もう1つが、「李」の発音&表記。金さんに次いで2番目に多い姓ですが、ふつう韓国では「이(イ)」で、北朝鮮では「리(リ)」です。しかしちょっと前に韓国でも「리(リ)」が公的に認められるようになりました。
 いずれにしろ、「동포」といい「리」といい、北朝鮮・朝鮮総聯を思わせます。実際それで間違いなかったのですが、一応「同胞」と「僑胞」の違い等について確認のためネット上で日韓のいくつかの記事を見てみたところ、私ヌルボのこれまでの思い込みが間違っていたことを知りました。
 まず読んだのが<fwapy바람꽃風ノ花>という在日4世の方のブログ記事。(→コチラ。)
 要点は以下の通りです。
・1988年盧泰愚大統領は「これからは在日を「同胞」と呼びましょう」と語った。「僑胞」とは「韓国で生まれ国外に出ていつか本国に帰る人」のことであり、在日は「日本で生まれ、日本で骨を埋める人」というのがその理由。
・しかしその後も長く韓国政府・社会は、政治家・学者・マスコミそして在日の多くの人たちも「僑胞」という言葉を使い続けた。
・韓国では、在米韓国人は自分たちより上に、在日韓国人は下に見るという差別意識がある。したがって1970年以降日本に来たニューカマーたちは「あなたは僑胞ですか?」と問われると「見下げないでください。私は韓国人(or僑民・韓人)です」と否定する。
・2002年のワールドカップの頃から、韓国社会やマスコミはようやく在日のことを「同胞」と称し始め、以来マスコミではこの言葉が定着している。
・ところが、依然として一部のマスコミ・政治家・知識人・芸能人等で「僑胞」と言っている人がいる。そして民団の幹部の中にもスピーチの時に「われわれキョッポは・・・」と話す人が多く見られる。
・同胞と言う呼称が「総連」で長く使われてきたという背景はあるが、少なくとも当の在日社会の中では言葉の本来の意味を理解して、「僑胞」ではなく「同胞」という言葉を使うべきだと思う。


 次に辞書の説明文ではどのようになっているか? 日本の大辞林やウィキペディアの記述をまとめると次の通りです。
「僑胞」=自国外に住む同胞。中国語と朝鮮語で使われる。
「同胞」=兄弟姉妹のこと。「はらから」とも。転じて、自身と同じ国民や民族などのこと。


 韓国の標準国語大辞典では次のように区別しています。
「僑胞」=他の国に元から定着して、その国の国民として暮らしている同胞。
「同胞」=①同じ父母から生まれた兄弟姉妹。②同じ国または同じ民族の人を情愛をこめて指す言葉。
「僑民」=他の国に暮らしている同胞。元から定着している僑胞や、一時的に留まっている留学生、駐在員等をすべて指す。

 似ていますが、標準国語辞典で「僑胞」を「その国の国民として」と記しているのは疑問に思います。

 むしろ、<ハングル文化連帯>というサイトにあった「僑胞・同胞・僑民の差異」という記事(→コチラ)の方がむしろ明解に説明されています。
・よく区別されないまま使われることが多いが、「僑胞」は他の国に住んでいる自国民を意味する言葉で、「同胞」は住んでいるところに関係なく、同じ民族のすべてを併せた言葉である。
・しかし、こり2つの言葉は意味が重複したり、不明確な場合があるので、最近は「在外同胞」「在外国民」の2つの用語に統一して使用することになった。
「在外同胞」は、国籍に関係なく、外国に居住する韓民族すべてを指す。中国やロシアで生まれ、そこの国民として暮らしている韓民族や、韓国籍を放棄し、外国籍を取得した人もこれに該当する。
「在外国民」は、外国に滞留したり居住する人々の中で韓国籍を持っている人をいう。つまり、「在外国民」よりも「在外同胞」が包括的な意味になる。
・したがって、中国で生まれ、中国国籍を持つ同胞は「在中同胞」となり、韓国企業の中国支社に出向している人は、「在中国民」となる。
「僑民」という言葉は、外国に出て暮らしている韓国人を指す用語である。彼らは韓国籍を持っているので「在外国民」に分類される。また国籍を問わず外国に居住する韓民族でもあるから「在外同胞」でもある。
・なお、以前「海外同胞」という用語が用いられていたが、韓国は日本のような島国ではないので、「海外同胞」を「在外同胞」と直して使っている。かつて「海外公館」とよんでいたものも、今はすべて「在外公館」となっている。


 ・・・と、いろいろ見てみましたが、いくら行政やメディア、あるいは辞書等が「これが正しい用法」と示しても、一般社会がすべてそれに即従うわけでもありません。したがって今でも韓国サイトの質問掲示板ではこれらの語の違いについてのQ&Aが載っているし、在日社会でも上記のブログ記事のような現状があり、「民団新聞」の記事にも「僑胞」と「同胞」が混在しています。朝鮮総聯系ではずっと「同胞」なので、その点では私ヌルボの思い込みも丸っきり誤りというわけでもありませんが、韓国・民団系でも「同胞」という言葉をふつうに使うということは知りませんでした。

 これらの言葉の意味や使い方を見てみると、たとえばこの数十年の在日韓国朝鮮人と「本国」との関係や、国籍・民族といったものに対する考え方の変化が反映していることが窺われますね。

 最初に戻って・・・。
 この漫画は、つまり在日の中でも朝鮮総聯に属している、朝鮮籍のリ・ジョンエさんという女性が韓国に行った時のことを描いた月刊誌「民族21」の連載を単行本にまとめたものです。
 これだけでも「えっ、そういう人が韓国に行けるの!?」等々いろんな疑問が出てきそうですが、それらについてはまた続きで書きます。

 → 「在日同胞 リ・ジョンエのソウル滞留記」を読む ②
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韓国のベストセラー漫画(2014年4月) [教保文庫・1~20位]

2014-04-04 23:36:50 | 韓国の漫画
 前回、韓国のベストセラー漫画の記事を載せたのが2012年11月4日(→コチラ。)
 それから1年と5ヵ月も経ってしまいました。だんだん、こういうお気楽な記事が減ってきたような・・・。
 ということで、今回も前回同様<教保文庫>の漫画ランキングの週間漫画ランキングの1~20位を紹介します。

①尾田栄一郎(Eiichiro Oda)「ONE PIECE(원피스) 73」
            
  【韓国版(左)と日本版。日本語がハングルになっているほか、題字と絵の位置関係が微妙に違います。】

②チョン・ククチン(전극진):作、ヤン・ジェヒョン(양재현):画「熱血江湖(열혈강호): 63」
       
   【ウェブトゥーン登場以前の韓国漫画らしいタッチです。】
 1994年~「영챔프(ヤング・チャンプ)」の創刊時から連載している武侠漫画。一昨年(2012年)5月21日の記事で紹介した<韓国漫画名作100選>(→コチラ)では堂々第5位にランクインしています。

③青山剛昌(Aoyama Gosho)「名探偵コナン(명탐정 코난) 82」

④益田ミリ(마스다 미리)「オレの宇宙はまだまだ遠い(나의 우주는 아직 멀다)」

           
   【昨年以来韓国で大ヒットの益田ミリの最新刊(今年3月)。原本と題字がよく似ています。】
 益田ミリの本が3つもベスト20入りとは! 昨年来ブームになっているといってよさそう。韓国の新聞にも紹介されています。たとえば、昨年12月の「中央日報(日本語版)」(→コチラ)には、「今年一年コラムを通じて紹介した作品の中で最も多くの人々の「いいね」を受けた主人公は日本の漫画家益田ミリの「すーちゃんシリーズ」であった」と書かれています。 

⑤安倍夜郎(Abe Yaro)「深夜食堂(심야식당) 12」

⑥よしなが ふみ(Fumi Yoshinaga)「きのう何食べた?(어제 뭐 먹었어?) 8」

⑦枢やな(Yana Toboso)「黒執事(흑집사) 18」


⑧ホ・ヨンマン(허영만)「人相(꼴)」(全10巻セット)
        
   【第1巻の表紙。「映画化された「食客」はおもしろくてためになる漫画でしたが・・・。】

⑨ネオンB(네온비):作、キャラメル(캐러멜):画「ダイエット(다이어터) 3 健康持続編(건강지속 편)[完結]」
 この3冊シリーズは、前回もランク入りしていました。

⑩ネオンB(네온비)「ダイエット(다이어터) 1 食餌調節編네(식이조절 편)」

⑪ネオンB(네온비)「ダイエット(다이어터) 2 運動適応期編(운동적응기 편)」

⑫ユン・テホ(윤태호)「未生(미생)」(全9巻セット)
 
 前回は1巻・2巻がベスト20の1・2位でした。

⑬益田ミリ(마스다 미리)「す-ちゃん(지금 이대로 괜찮은 걸까)」
 韓国題は「今のままでいいのだろうか」です。

⑭尾田栄一郎(Eiichiro Oda)「ONE PIECE(원피스) 72」

⑮穂積(호즈미)「式の前日(결혼식 전날)」

 2012年9月に刊行され、話題を呼んだ漫画が約1年後韓国でも刊行されました。

⑯ガスファード(가스파드)「先天的マヌケたち(선천적 얼간이들) 4」(限定版)
            
          【第4巻(左)と第3巻の表紙。とても凝っています。】
 <NAVER漫画>の人気ウェブトゥーン。今も→コチラの「予告編」から2013年10月の「EP.70」まですべて見ることができます。しかし、私ヌルボとしては、どこがおもしろいのかよくわかりません。しかし表紙の絵を見ると、作者ガスファード(本名チョン・ヨンシク.전용식)、さすがにデザイン学科(釜山大学校)を出ただけのことはある、と思います。

⑰益田ミリ(마스다 미리)「す-ちゃんの恋(수짱의 연애)」

⑱ガスファード(가스파드)「先天的マヌケたち(선천적 얼간이들) 3」(限定版)

⑲井上雄彦(Inoue Takehiko)「リアル(리얼) 13」

⑳エド・ブルベイカー:作、スティーブ・エプティング等:画「キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャー(캡틴 아메리카: 윈터 솔저)
 韓国では3月26日から映画版が公開されています。(日本は4月19日から。)
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[韓国の漫画]キム・ギュサム「安いです 千里馬マート」は、なんかシュールなギャグ漫画 

2014-02-22 23:52:40 | 韓国の漫画
        

 このところブログの更新が滞っている理由の1つは、アップ予定の記事が内容的に書きにくいということです。

 2週間ほど前にイッキに読了したギャグ漫画「安いです 千里馬マート(쌉니다 천리마마트)」も、感想をどう書くか思案のはてに、結局いまだ方針不明のまま書き始めた次第です。

 この漫画の購入のきっかけは<innolife>の書籍通販のページ。説明文には「<NAVER漫画>の代表的ウェブトゥーン(ネット漫画)作家キム・ギュサム(김규삼)の2作目の長編。マート(=スーパーマッケット)」を背景に、今日の韓国の経済・経営・政治等を才知あるパロディとして描き、その漫画的才能と時事的な感覚が完璧な共感を得た最高の作品」とあります。

 <NAVER漫画>のサイト等で直接確認すると、2010年8月~2013年10月連載されて、第2部の最後の方はまだ→コチラで見ることができます。
 連載中から人気で、この書籍版(全5巻)の第1巻は2012年7月に発行されました。

 で、肝心の内容について。上記innolifeの説明文だけ見て何か山口六平太とか島耕作とかをちょっと連想してしまいましたが、実際に読んでみるとこれがぜ~んぜん大違い。
 早い話がギャグ漫画で、「ありえねー!」という場面がわんさか。
 しかし、まったく現実を描いてないかというとそうでもなし。ベンキョーになる箇所もないわけではなし。
 では、ギャグ自体がおもしろいかというと、(私ヌルボとしては)うーむ・・・。つまらないかと言われると、これまたうーむ・・・。

 たしかに<NAVER漫画>では高ポイントだし、たとえば<Y&S2女子のふんわか生活共感>という韓国ブログ(→コチラ)では激賞・推薦しています。
 社会の不条理と不合理性の中で、商人の真正性のようなものをひそかに表わしている。
何も考えずに笑おうとして読んだコミックにこんな内容を入れると重くておもしろくないんじゃないのと思いますが、ストーリーにうまく混ぜられていて、ぜんぜん負担がないというのがキム・ギュサム漫画の魅力だ。

 ・・・とか、
 ホントに、現実にはありえないような事件の展開で、最後の逆転までずいぶん笑った後、何か少し考えるようになったというか...
 ・・・とか。まあ、他の多くの読者もおもしろく読んだから高ポイントになってるわけで、同様の感想が多数あるということでしょうね。

 しかし、笑いのツボというのは個人によりor世代によりor国により等々さまざま。
 ヌルボの場合、1970年代後半の代表的ギャグ漫画の「がきデカ」はおもしろいと思いましたが、同じ「少年チャンピオン」に連載されていた「マカロニほうれん荘」の方は「???」でした。
 で、この「安いです 千里馬マート」も、ストーリー性はあるとはいえ、笑いの質からいうと日本ではその頃あたりからよくみられるようになった不条理ギャグ漫画と重なるところがあるようです。

 書く順序を間違えたかも。
 ここから具体的な内容の一部を紹介します。

 主人公その1は、企業グループの有能な重役(だった)チョン・ボクトン。
 ある日の重役会議で、会長が自分が発案した車用ワックスを新製品として提案します。それは「塗ると毛が生えてくる」というなんともキテレツなワックス。皆内心あせりながらも、「さすがは会長!」とか「大当たり(テバク)しますよ!」とか心にもないおべんちゃら。その中で「ダメです!!!!」と待ったをかけたのがこのチョン・ボクトン。「会長さん、しっかりしてください。売れませんよ、こんな物!」と直言。
 すると会長、「チョン・ボクトン、おまえはなんと・・・立派なんだ!!」。
 アララ。つまり、老衰したとか痴呆症になったとかいう噂も立ち、経営権まで狙う勢力もあるような中で、最後まで自分に直言をして補佐してくれる人物が誰か見定めたいという会長の策略だったんですね。
 ここで会長とチョン・ボクトンが固く抱き合い、他の重役たちががっくりしているところへ、「会長様、大事件です!」とドアを開けて入ってきた社員。
 「ライバル社が毛が生える車用ワックスを発表しました。市場の反応は大変なもので株価は暴騰、16ヵ国から注文が入ったそうです!」。
 そして「このままだとわが社のシェアは落ち込むでしょう」。
 ・・・これでチョン・ボクトンは左遷され、その先は大馬グループ内で<流刑地>といわれるソウル近郊の鳳凰(ポンファン)市(←架空)の千里馬マートの社長に追いやられるのです。

 主人公その2が青年ムン・ソック。名門大を出たのになかなか就職ができず、苦労の末屈指の大馬グループに就職して喜ぶのですが、初出勤で行った先がここ。

         
  【千里馬マート(左)。宣伝文には「向かいのマートで夏の大セール」等々書かれています。右は本家?平壌の千里馬像。】

 宣伝の文言には、「向かいのマート(店名はヒドラ・マート)より安いです。安物買いの銭失い」などとも・・・。
 マートの雰囲気もなんだかヘン。彼は店長になったのですが、不安と疑問が募る・・・と、そこに社長としてやってきたのが彼もその名を知っていたチョン・ポクトン。
 ムン・ソッキは喜びます。が、そのチョン・ポクトンも社長室で何か書類を書いてるかとみると「会長、18世紀ブラジル、死ねㅋㅋㅋㅋ」などと書き連ねていたりしてかなりヘン。

 まもなく新社員をどんどん採り始めるチョン・ポクトン社長。
 ところが、どうみても問題外の希望者に次々に「採用!」を連発していきます。ムン・ソッキ店長は呆然とするばかりです。

     
 【いつも無表情のチョン社長(上)、履歴書も持たずに来たヘヴィメタ系バンドをやってる若者(下左)を採用。あせるムン店長。】

 もっといいかげんな採用例は、就職希望者でもない、「ここで買った魚を食ったら首にブツブツができた」と苦情を言いに面接中の部屋に怒鳴り込んできたチンピラをなんとその場で採用決定(!)。(その彼が顧客満足センター担当をリッパに務めるのです。

     
 【そのチンピラ社員が出した広告用スローガンの案は、「わが町内の割引犯(핳인범.ハリンポム)、千里馬マート」。】

 上は殺人犯(サリンポム.살인범)のダジャレですね。

 このチンピラりもさらにありえない!という新社員(たち)がアマゾンからやってきたという40人ものパヤ族たち。白人たちが森に火を放ち、自分たちは追われて丸太でここまで泳いで来た、と・・・。これも全員即採用。

    
       【入口で客を迎える・・・っても、この「なり」でねー。】

    
       【そして、「人間バスケット」として客について行って・・・。】
    
    【「これがピラニアで・・・」等々、商品の説明もしたりして、すこぶる好評。】

 この漫画、韓国ウィキペディア(→コチラ)にもいろいろ詳しい説明が書かれているし、<エンハ・ウィキ・ミラー>(→コチラ)にはさらにオタクっぽい説明がたくさん書かれています。
 それらによると、実はチョン・ボクトンが会長への復讐のつもりでグループにダメージを与えようとして常識外れの人事やその他の施策を打ち出したら、「意に反して」大当たりし、どんどん営業成績を伸ばす結果に・・・、というのが物語の骨格なんですね。

 初めの方で、私ヌルボはなんとも感想が言い難い、と書きました。結局は「評価放棄」とします。

 実はこの作品を含む韓国NAVERで人気の無料漫画アプリがあるんですねー。
 ヌルボはスマホの使い手ではないので今ひとつどんなものかよくわかりませんが、→コチラとか→コチラを参照してみてください。
 また、読んでみたという月猫さんの一昨年のブログ記事(→コチラ)によると、「安いです、千里馬マート」「ペットダイアリー」「俺たちの青き時代」「ミステリー短編集―逆さに浮かぶ月―」がオススメとのことです。

 興味のある方はちょっと見てみてください。

 うーむ、私ヌルボ、スマホはあまり持ちたいという気にはなりませんが、世の趨勢を見るとだんだん持たざるをえないような圧力を感じざるをえません。年を取るにつれ、もうこれ以上新製品なんかはいらん!という気持ちが強くなっているんだけどねー・・・。
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韓国のユーモア漫画「ワタンカ」でベンキョーだ! ③酒玄米に、深水峰に、・・・って(笑)

2013-10-19 07:43:24 | 韓国の漫画
 今回紹介する漫画は、ハングル検定1級でも全然理解できない人もいれば、3級くらいでも「ハハハ」と笑う人がいるのでは、と思います。
説明は後。とりあえず読んでみてください。



  ワタンカ!! (436) ウジュイン(文・絵)


 「エヘン」
 
 「あら!」




 「食事はいかがでしたか?」
 「朝鮮の地の料理が大国に比肩するところがあろうとは・・・
 そのうえ飯の味がよかったですなあ」


 「米を洗う時、酒を一滴入れて糠の臭いなどの
 余分な味を消すのが秘訣です。それでその米を・・・

 酒玄米と申します」
 「ふうむ~」



 
 「ここは昔中国の宋の時代の文章や絵を集めて置きました。
 それでこの建物を・・・

 宋代館とよびます」
 「ほお~」


 「ところで、宮殿の中にこのように静かな道があるのですね!」
 「殿下もしばしばお見えになる道でございます」





 「雪が降った冬であれば一段と風情(韻致)があり、
 殿下はこの道を雪韻道とよんでいらっしゃいます」
 「ほお~」






 「宮殿を取り囲んでいる山の姿がいいなあ!」
 「あちらの、いちばん高い峰がお見えですか?」




 「深い蓮池があって、その周辺には百万本のバラが
 咲いているので・・・





 深水峰と申します」
 「あはー!」





 「使臣は寝所に入られました!」
 「御苦労であったな。私が命じたとおり
 宮殿の案内をしてやったか?」
 「はい!」




 「信じたか?」

 さて、わかった人はどれくらいいるでしょうか?
 
 赤字部分を同音のまま別の漢字で書くと、>酒玄米周美(チュ・ヒョンミ)宋代館宋大琯(ソン・デグァン)雪韻道薛雲道(ソル・ウンド)深水峰沈守峰(シム・スボン)となります。
 つまり、韓国では誰もが知っている有名な演歌(トロット)歌手。
 宋大琯と薛雲道は<トロット四天王>中の2人。(あと2人は→ウィキペデイア参照。)
 <トロットの女王>とよばれる女性歌手は何人かいます。最近ではドラマ「イサン」のostで「約束」を歌っている張允瀞(チャン・ユンジョン)とか・・・。そして周美や沈守峰もその中に入っています。沈守峰は、1979年あの朴正煕暗殺の現場に居合わせたことが知られていますね。上の漫画の中の「百万本のバラ」は彼女の代表作の1つ。加藤登紀子の歌でご存知の方も多いと思います。

 4人の歌手やその持ち歌等のことを書くとキリがないので省略します。興味のある日はこれらの歌手名で動画検索するといろいろ聴くことができます。

 ところで、この漫画で私ヌルボが思ったのは、ハングル重視の教育の中で漢字についての知識・教養が低落したという韓国人も、それぞれ漢字の音と同音の他の字の表すイメージを想起するんだな、ということ。

 日本の場合、例えば「メイ」という音を聞けば名・命・明・銘・迷などの漢字と、それぞれの字のイメージをセットで思い浮かべますが、その点韓国人の場合はどうなっているんだろう? ・・・というのが以前から疑問に思っていることです。
 この漫画をみると、例えばシム・スボンの「シム」は「深い」の「深(シム)」に、「ス」は「水」に通じるということが自然に理解されていることはわかりますが、これは「音」を聞いてのイメージであって、「沈」とか「深」とかの漢字が正しく書けるとはかぎらないわけですねー・・・、ってややこしいなー。やっぱり疑問は残りますねー、うーむ・・・。
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韓国のユーモア漫画「ワタンカ」でベンキョーだ! ②<ムプル>って何のこと?

2013-10-18 19:53:12 | 韓国の漫画
 1つ前の記事では「[日本語]ワタンカ」を紹介しました。
 そこで書いたように、その本では日本人にもわかりやすい漫画が選ばれていました。

 韓国語の原本があるかなと永豊文庫でも探してみましたが出てないようです。
 ネット検索をしてみるとすごくたくさんヒットして、中にはある程度韓国語や韓国社会についての知識がないとおもしろさがわからないものもたくさんありました。

 そんな中から2つ紹介します。



  ワタンカ!! (666) ウジュイン(文・絵)


 健全なビデオ 
 良い環境のようです。





 昔の子供たちは、虎の害







 天然痘













 戦争などが最も恐ろしい災厄だったが、





 
 現代の子供たちは







 学期始め





 シンハ兄貴(ヒョン)
 (※この説明は後述)






 そして・・・







 登録されたコメント:0  照会数3








 「ムプル」がいちばん恐ろしい災厄です。

 ポイントになるのが最後のオチの「무플」という言葉です。
 これは「無(무)」と「reply」を合成した新語「덧글(コメント)」が全然ないことをいいます。
 その右の조회수(照会数)はそのままでいいのかな? それとも閲覧数? いや、アクセス数がふつうか。

 「무플」同様の新語で、過去記事<地震に対する韓国ネチズンの反応 「アクプル」と日韓の「無概念な人たち」>악플(アクプル)という言葉について書きました。コチラは悪性のカキコミ(악성 댓글)のことです。

 この漫画に出てくるシンハ兄貴(싱하형)とは、上記の過去記事にも書いた韓国の巨大掲示板サイト<DCインサイドギャラリー>で2005年頃(?)まさに「アクプル」で話題をよんだ1ユーザーの名前です。「陸橋の下に10秒以内で飛び出してこい(굴다리 밑으로 10초안에 튀어 와라)」「愛情があるから叩くんだ(애정이 있으니까 때리는거다)」等が決まり文句で、その写真掲示板でブルース・リー(韓国では李小龍)の写真を用いたためシンハ兄貴とブルース・リーが結びつき、当時の少年たちに大いに注目された、ということのようです。
 その後人気は下火になったものの、最近ブルース・リーの映画が再上映されたりしてシンハ兄貴人気も少し復活したとか・・・。
 ※싱하형で画像検索すると、オモシロイ画像がいろいろ出てきますよ。

 その他の韓国語学習。
 호환(虎患)という単語は知りませんでした。絵を見ればわかりますね。
 마마(媽媽)は天然痘の俗称。ドラマ「馬医」にも出てきたそうで、→コチラのブログ記事に実に詳しく書かれています。それによると、先の「虎患」と合わせて「虎患媽媽」全体で天然痘をさすそうです。
 개학(開学)は、学校を開くことではなくて、長期休暇の後の始業。日本でいう始業式のことは개학식といいます。

 もう1つ、次の記事で紹介します。
コメント (2)
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韓国のユーモア漫画「ワタンカ」でベンキョーだ! ①日本語版で垣間見る韓国社会

2013-10-18 19:52:15 | 韓国の漫画
       

 9月の韓国旅行の時、ロッテモール金浦空港内の永豊文庫で「[日本語]ワタンカ!!という漫画本(日本語学習書?)を買ってきました。

 帰ってから調べてみると「와탕카!!(ワタンカ!!)は2004年からフォーカス新聞に連載された人気漫画で、その後2008年7月英語版刊行に続いて2009年11月のみの日本語版が刊行されたということです。([台湾語]もあるみたい。)

 この本は、75編の作品の各々が4ページで構成されています。セリフが複雑でなく、絵を見ればわかる初心者でもわかりやすい作品を選んでいます。またポイントとなる単語や表現は、横の欄で説明。ハングルの原文は、本の後の方に別にまとめて載せています。
 また日本人声優が直接演技して録音したというMP3 CDが付いていて、「鮮やかな日本の口語を身につけることができる!」というフレコミになっています。

         
        【ポイントになる日本語の言い回しはこのような形で詳しく説明。】

 全体的にフォーマルな場面設定が少なく、怒鳴ったりしている場面等も多いので、はたして実用にどこまで役に立つのか、との疑問もなきにしもあらず。上の例の「ガキじゃあるまいし!」なんて、韓国人が日本人にどういう場面で使うのでしょうか? まあ韓国にも教科書的日本語には飽き足らない日本語オタクは相当数いるでしょうから、そういう人がターゲットかも。(そういえば、私ヌルボも以前憶えた「そんなことは道を歩いてるワン公だって知ってるぞ!」という韓国語をまだ実地で使ったことがないなー。たぶんこれからも・・・?)

 内容的に日本人には理解がむずかしいものも避けられているようで、わかりやすくおもしろいです。韓国語学習者にもそれなりに勉強になります。しかし、それ以上に韓国のフツーの人たちの生活や物の考え方、感じ方がわかるという利点があり、まさに一挙 両得以上!

 作者はキム・ソクチュ(김석주)、画は同じ公州専門大学漫画芸術科出身のチョン・ピリョン(정필용)です。
 そして、この自然な日本語口語への翻訳はどういう人が担当したのかと思ったら、ソウル大学言語教育院日本語教育部長(今も?)の稲川右樹先生という方でした。

この本の中の1編を紹介しますが、その前に「와탕카」という書名の意味について。90年代、ドラマ「ソウルの月」の花札のシーンで、いい札が出た時に「バンザイ(만세)!」とか「よし(지화자)!」とかの意味でこの言葉を使ったことに由来するそうです。そのさらに元は、アメリカ・インディアンの伝説的な戦士Tatanka-iyotankaの名前から・・・という説も見つけましたが、ホントかな?

       
       

 続きでは、韓国語のオリジナルの作品を少し紹介します。
コメント (2)
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