ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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国立韓国外交院の子供向け独島クイズに挑戦してみました! (「国民教化用」として「よくできている」かも・・・)

2017-04-27 20:17:08 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 昨年(2016年)韓国に行った時、ある所で軽く接待されました。「まあコーヒーでも1杯どうぞ」と出されたインスタントコーヒーの紙コップが下の画像。
        

 片面(左)には「대한 독도(大韓独島)」、その反対側(右)には「아름다운 우리 땅 독도(美しいわれらの地 独島)」と記されています。小さい字を見ると、英語で「DOKTO OF KOREA」云々と英語で書かれていて、とくに「NOT JAPAN」の字は赤い色になっています。「本製品の収益の一部は<독도 사랑(独島愛)>キャンペーンに使用されます」という文言もあります。また独島が「天然記念物第336号」であることや、独島の総面積(187,554㎡)、そして10月25日が「独島の日」であることも記されています。
 ヌルボたちにコーヒーを出した後この紙コップのことに気がついたアチラの方2人は、テーブルの下でこのコップを指さしながら「日本人にこんなもの出しちゃったよ」といったようすでヒソヒソ。しかしそこは紳士で、(双方とも)話題にはしませんでした。
 ところが、ヌルボは行かなかったサークル仲間の皆さんの韓国旅行のおり、アチラさんの接待(アルコール付)の場で「独島についてどう考えていますか?」となんともストレートな質問をした御仁がいたとか。するとわが仲間中の<達人>Yハラボジがそれに対して何と答えたかというと「トクトは韓国の島です。が、タケシマは日本の島です」。その場の大勢の韓国人も大いに笑ったとのことです。

 ・・・と、ここまでが前置き。(←例によって長い。)
 →2つ前の記事で、ソウルの地下鉄・良才(ヤンジェ)駅の近くにある外交史料館のことを書きました。
 私ヌルボが昨年3月に初めて行った時、たまたま「独島」をテーマにした特別展のコーナー(下左)がありました。
 なんとなく見回すと、そこにタッチパネル式の<独島クイズ>というのがあった(下右)ので挑戦してみました。

      

 クイズは全10問。以下、問題と解答・解説をそのまま紹介します。※画像はどれも同じパターンなので、第2~10問は省略します。
 なお、<正解>は薄い色になっています。これはいうまでもなく「韓国側の観点による<正解>」なので、日本側あるいはヌルボが考える<正解>というわけではありません。

 このクイズについての感想等は最後に書きます。

【Q1】鬱陵島から天気が好い日にだけ肉眼で見える島は独島ただ1つである。

【A1】正解=
 世宗実録地理志(1454)には「于山(ウサン=独島)・武陵(=鬱陵)の2島が県の正に東の海の中にある。2つの島はたがいに遠く離れてはいなくて、天気が好ければ眺めることができる」とある。


【Q2】于山島という名がわが国最初の文献に現れたのは新羅時代からである。
【A2】正解=×
 于山島がわが国の昔の文献に初めて現れたのは朝鮮時代(「高麗史地理志」(1451年)からである。


【Q3】日本の敗戦後、連合国の占領統治の時期に独島は日本の統治・行政範囲に含まれていた。
【A3】正解=×
 連合国最高司令官覚書(SCAPIN)第677号第3章で、日本が統治権を行使できる地域は「本州、九州、北海道、四国など4つの主要島嶼と約1千の隣接小島」として、日本の領域から「鬱陵島、リアンクル岩(独島)と済州島は除外される」と規定し、独島を日本の統治・行政範囲から除外している。


【Q4】独島は東島と西島の2つの島からなる。
【A4】正解=×
 独島は2つの大きな島である東島と西島、そして周辺の89の付属島嶼で構成されている。


【Q5】独島は鬱陵島東南157.5㎞離れた所に位置している。
【A5】正解=×
 独島は鬱陵島の東南87.4㎞に位置しており、日本の隠岐の島の北西157.5㎞離れた所に位置している。


【Q6】独島の地質は主に玄武岩で構成されている。
【A6】正解=
 独島は海底2000mから噴き上がった溶岩が固まって形成された火山島で、その地質は火山活動によって噴出したアルカリ性火山岩である玄武岩及び粗面岩等で構成されている。


【Q7】独島は島全体が「天然記念物第336号」に指定されている。
【A7】正解=
 1982年11月16日東海岸地域で唯一ウミツバメ、オオミズナギドリ、ウミネコの大集団が繁殖し、独島を天然記念物第336号「独島海鳥類繁殖地」として指定して、1999年12月独特の植物が育ち、火山爆発により造られた島として地質的価値もまた大きく、島周辺の海の生物が他の地域と異なりとても特殊で「独島天然保護区域」と名称を変えた。


【Q8】独島に入るには鬱陵郡の許可を受けなければならない。
【A8】正解=×
 独島は1982年天然記念物第336号に指定され、文化財保護法第33条を根拠に公開を制限してきたが、制限地域(東島・西島)中東島に限り一般人の出入りが可能とするよう公開制限を解除して(2005.3.24)入島許可制(承認)を申告制に転換した。


【Q9】国際司法裁判所は一方の提訴によって管轄権が形成される「強制管轄権」が原則である。
【A9】正解=×
 紛争のすべての当事国が管轄権講師に同意したり、同裁判所規定第36号第2項(いわゆる「選択条項」により裁判所の管轄権を事前に受諾してのみ裁判権講師が可能な「任意的管轄権(facultative jurisdiction)」が原則である。我が国は強制管轄権関するICJの選択条項を受諾していない。


【Q10】Q10.1906年鬱陵郡守の沈興澤(シム・フンテク)は独島が日本領に編入されたという事実を知った後ただちに江原道観察使に報告した。
【A10】正解=
 1906年鬱陵郡守沈興澤は日本・島根県の官民で構成された調査団から独島が日本領に編入されたという事実を知らされるとただちに江原道観察使に「本国所属の独島が・・・」として報告書を差し出した。この報告を受け取った当時の最高機関である議政府では日本の独島の領土編入が「事実無根」なので再調査せよという<指令第3号>を出した。


 全問正解すると次の画面になります。
 ○×クイズに全部正解しましたね!
 独島に対する正しい知識と関心が、独島を守る大きな力になります!


 私ヌルボ、最初から全問正解したわけではありませんが・・・。
 感想としては、見出しに書いたように「なかなかよくできている」といったところ。
 たとえば「鬱陵島からの距離は・・・」とか「独島の地質は・・・」といった<客観的事実>と、日韓間で解釈の分かれる史料の関わる問題がほど良くミックスされている点はなかなか巧み。
 また客観的事実だし直接領有権とは関係ないといっても、「隠岐の島からよりも鬱陵島からの距離の方がはるかに近い」ということは「韓国領!」という確信を強化します。「天気が好い日には鬱陵島から肉眼で見える」というのも同様で直接関係はナシ。すぐ近くに他国領の島が見えるという例はいくつあるのでは? ただこれについては→コチラの記事等では「見える」説に疑問を呈しているし、<客観的事実>と言えるかどうかから問題。(それにしても、主張の違いによって見えたり見えなかったりするものだろうか?(笑))

 ヌルボとしては、元来<領土ナショナリズム>というものは肌に合わないので、竹島(独島)の領有権をめぐる議論に打って出ようという気はさらさらありません。
 むしろ、昔から<国境>というものがどのように設定され認識されてきたかということを考察することの方がずっと<正しい歴史認識>が育まれると思います。竹島(独島)に限らず、世界各国の現在の国境などというものは、世界史的にはせいぜいこの200年ほどのうちに線引きされてきたにすぎないのに・・・。
 上記のクイズの最後の「全問正解!」の画面で「올바른 지식(正しい知識)」という言葉がありました。日本では「正しい歴史」といえば「史実のまま」と理解する人が多いのでは? まあ中には「日本の精神」云々を強調する人もいるでしょうが・・・。一方韓国の「올바른(正しい)」という形容詞は「道義的に」正しい、つまり「かくあるべき」という理念的な正しさを意味しています。慰安婦問題等々でも日本側が「正しい歴史認識」を求められているのは、そうした「道義」の面を批判されているというわけです。(私ヌルボ、個人的には何割かは賛同しますが、自分たちが100%道義的に正しいという確信を持っちゃうのも非常に問題あり。それは<洗脳>の結果でしかありません。
 なお、政府の主張をそのまま学校で教え込んでいる韓国に対して、日本も同じような方式で教科書を改定し授業でも学ばせようとしていますが、これでは「教育」ではなく「教化」になってしまいます。
 最近いろんな面で「日本の韓国化」が見られるという見解があるようですが、この問題についても言えるかな? しかし、本気でそんな「教化」を推進しようとしても勝てるわけないですね。韓国ではこの件については保守系・進歩系を問わず強い思い入れがあるようだし、独島に対しては知識を通り越して、冒頭にも書いたように<独島愛>といったものまでありますからねー。

 アラ、今回はいつになく政治的主張をけっこう書いてしまったような・・・。 
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [4月21日(金)~4月23日(日)]

2017-04-25 20:22:52 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」は圧倒的! 登場人物が多く、とくに若者たちの間の関係等もなかなかわかりにくくはありますが、236分間タイクツすることはありませんでした。この映画の大したところは、登場人物の個々の物語を重層的に描きつつ、全体として当時(1960年代初頭)の台湾の時代状況を如実に映し出していること。ちょっと具体的に言えば、基本的には当時の10代の少年少女たちの群像劇ではあっても、そこには国共内戦に敗れて台湾にやってきた外省人である親たちが抱えているもろもろの問題が反映されています。また故障してばかりの箱型ラジオ、LPの電蓄やオープンリール式のテープレコーダーといった小道具のほか、日本家屋がふつうに使われていたり、日本刀が出てきたり、街路を軍用車の車列が走っていたりというのもその時代だから?(台湾はよく知らない私ヌルボ。) その時代といえば、何と言ってもプレスリーの歌の数々。エドワード・ヤン監督とほぼ同世代(だろうな?)のヌルボとしては、リアルタイムで聴いていた歌を久しぶりに聴きました。とくに「ARE YOU LONESOME TONIGHT(今夜はひとりかい)」なんてホントに懐かしかったな・・・。(→YouTube) そして、何よりもその時代を感じさせるのが画面全体の暗さ、だったりして・・・。個々の物語といえば、この作品自体監督個人の個人的経験と関わっているそうで、その(今は亡き)監督の思いが伝わってくるように思われました。
 というわけで、これが今年に入ってのベスト、というより、今年のベスト3以内確定。(デジタルリマスター版とはいっても新作ではないので別格扱いにするかもしれませんが。)

 先週予告した東京会場での<花咲くコリア・アニメーション2017>は結局行けず。去年はドラゴンズの試合観戦も兼ねて名古屋会場に行きましたが、今年は→公式サイトを見ると名古屋会場は6月11・12日開催。ナゴヤドームの日程表を見るとドラゴンズの試合は入ってないんだよなー・・・て、それ以前にヒマとカネの問題が・・・。

 先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(4月25日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(-) マリアンヌとマーガレット(韓国)  9.79(34)
②(1) 謝罪  9.53(112)
③(3) 黒執事 Book of the Atlantic(日本)  9.52(273)
④(5) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.44(210)
⑤(2) 再び、桜(韓国)  9.44(158)
⑥(6) ヒドゥン・フィギュアズ  9.38(2,432)
⑦(9) ミス・スローン  9.28(390)
⑧(10) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.25(1,500)
⑨(-) ミミズ(韓国)  9.25(24)
⑩(-) ヒトラーの忘れもの  9.23(142)

 今回の新登場は①と⑨の2作品です。
 ①「マリアンヌとマーガレット」は韓国のドキュメンタリー。全羅南道の小鹿島(ソロクト)に朝鮮総督府が小鹿島慈恵医院というハンセン病療養所を開設したのが1916年。その後1934年に小鹿島更生園となり、1960年には国立小鹿島病院と改称されて現在に至っています。(※今のようすは→<韓国古建築散歩>参照。これはオススメの記事です。また→コチラのブログ記事も参照のこと。以下はこの作品の内容。小鹿島の家々に2005年11月1通の手紙が届きます。差出人はマリアンヌ・ステガーとマーガレット・ピサレックという2人のオーストリア出身の女性。看護学校を卒業した2人はそれぞれ1962年と1966年にハンセン救護団体であるダミアン財団を通じて派遣看護師として何の縁故もない小鹿島の地を踏みます。当時は6千人に及ぶ患者に対し医療スタッフはわずか5人で、治療薬も施設も不十分な状態でした。以後公式派遣期間が終わってもボランティアとして残り、結局43年もの間ハンセン病の患者とその子供たちを看てきました。来た当初は20代だった2人は70代を過ぎ、健康が悪化したため故国オーストリアに戻ることにしました。手紙はそれを知らせるものでした。以後10年彼女たちのことがほとんど知られていなかったのも「やるべきことをしただけで賞賛に値することではない」と言う2人の意思によるもののようです。今彼女たちの足跡が<小鹿島100周年記念作品>として振り返られます・・・。私ヌルボ、初めは韓国によくあるキリスト教団体の宣伝のようなドキュメンタリーかなと思いました。たしかに2人はカトリック信者で、そうした要素も少しはあるかもしれませんが、それを超えるような2人の実人生の重みが込められているようです。韓国題は「마리안느와 마가렛」です。
 ⑨「ミミズ」は、学校暴力、青少年性犯罪、身体障碍者差別等の今日的な問題を扱った韓国のドラマ。脳性麻痺で障害を患っているウォンスル(キム・チョンギュン)の唯一の希望である娘のチャヤ(オ・イェソル)が塾の暴力集団からいじめられ、性的暴力まで受けた末、自殺してしまいます。ウォンスルは事件の真相を明らかにするために孤軍奮闘しますが、彼の前に現れた社会の素顔に挫折してしまいます。ウォンスルは彼らに復讐しようとするのですが・・・。原題は「지렁이」です。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) ヒグマの英雄バムセ:泥棒たちの町  8.00(1)
④(4) ムーンライト  7.83(6)
④(4) 夜に海岸で独り(韓国)  7.83(6)
⑥(6) マンチェスター・バイ・ザ・シー  7.75(8)
⑦(7) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑧(8) ありがとう、トニ・エルドマン  7,63(8)
⑨(9) 謝罪  7.33(3)
⑩(10)LOGAN/ローガン  7.29(7)

 前週に続き、新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績4月21日(金)~4月23日(日) ★★★

         「ワイルド・スピード ICE BREAK」以下3位まで変わらず

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ワイルド・スピード ICE BREAK・・4/12 ・・・・・・・・682,571 ・・・・・・・・・・2,581,328 ・・・・・・・21,516・・・・・・・1,282
2(2)・・パパは娘(韓国) ・・・・・・・・・・・・・4/12・・・・・・・・・・・160,650・・・・・・・・・・・・581,646・・・・・・・・・4,287 ・・・・・・・・586
3(3)・・美女と野獣・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/16・・・・・・・・・・・104,837 ・・・・・・・・・・5,022,202 ・・・・・・・41,238 ・・・・・・・・612
4(新)・・パワーレンジャー・・・・・・・・・・・4/20・・・・・・・・・・・・50,258 ・・・・・・・・・・・・・62,014 ・・・・・・・・・・493 ・・・・・・・・478
5(4)・・プリズン(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・・29,380 ・・・・・・・・・・2,820,299 ・・・・・・・23,703 ・・・・・・・・349
6(新)・・ザ・シャック・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20・・・・・・・・・・・・22,950 ・・・・・・・・・・・・・29,332 ・・・・・・・・・・229 ・・・・・・・・396
7(8)・・アバローのプリンセス エレナ・・4/13 ・・・・・・・・・・・16,357 ・・・・・・・・・・・・・35,255 ・・・・・・・・・・246 ・・・・・・・・164
8(新)・・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・・2014/7/31・・15,770・・・・・・・・・1,329,819・・・・・・・・11,262 ・・・・・・・・・76
9(44)・・ファウンダー・・・・・・・・・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・14,665 ・・・・・・・・・・・・・19,866・・・・・・・・・・・161 ・・・・・・・・279
        ハンバーガー帝国のヒミツ
10(新)・・ザ・プラン(韓国)・・・・・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・12,903 ・・・・・・・・・・・・・17,843・・・・・・・・・・・144 ・・・・・・・・156
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回も変わり映えなし。そして数字も低調。4位でもわずか5万とは・・・。
 今回の新登場は4・6・8・9・10位の5作品がです。
 4位「パワーレンジャー」はアメリカのアクション超大作。紀元前、世界の運命を左右する大きな戦いの末、5人の戦士たちによって地球は守られます。時は流れて現代。アメリカの小さな町で、普通の生活を送っていた5人の若者たちが運命に導かれるように出会い、驚異的なパワーを手にして、悩みながらも助け合いながらヒーローとして立ち向かっていきます・・・。韓国題は「파워레인져스: 더 비기닝」。日本公開は7月15日です。
 6位「ザ・シャック」は、カナダ人作家ウィリアム・P・ヤングの小説「神の小屋」(訳書あり)の映画化作品です。平凡に暮らしていた50代の男性マックでしたが、家族でキャンプに行った時に最愛の末娘ミッシーが誘拐され、数時間後に荒野の廃れた小屋(=Shack)で彼女の血に染まったドレスが発見されます。遺体が見つからないまま4年が過ぎ、絶望の淵から抜け出せないままのマックに、ある日「久しぶりですね、マック。次の週末にあの小屋にいるから会いたければ来て」という奇妙な招待状が届きます。悩んだ末に意を決して1人で行ったマックは、その小屋で「神秘な体験」をすることに・・・。韓国題は「오두막」。日本公開は今秋です。
 8位「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は2014年公開のアメリカのアクションの再上映。韓国題は「가디언즈 오브 갤럭시」です。
 9位「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」は、マクドナルドを創業し、世界最大のファーストフードチェーンを作り上げたレイ・クロックの物語。彼が成功の足がかりをつかんだのは意外に遅く52歳の時。その誕生の時と以後どのようにして巨大企業を築き上げたのか?が描かれます。それも単なる<成功物語>だけではなく、「これまでに光が当たることのなかったダークな側面を浮き彫りにしている」とのことです。本作と同じジョン・リー・ハンコック監督の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」と同様マイケル・キートンが主演しています。韓国題は「파운더」。日本公開は7月29日です。
 10位「ザ・プラン」は韓国のドキュメンタリー。朴槿恵が当選した2012年12月の18代大統領選挙に対する<疑惑>がテーマです。全国1万3500余ヵ所の投票箱は251ヵ所の開票所に移動され、1300余台の電子開票機にかけられて引き出されたデータをもとに委員長が公表し、メディアを通して報道されます。ところが、全国251ヵ所の開票所で同じパターンの数字が発見されるという「おかしな出来事」が確認されたとのこと。数学者等の専門家や国内外のハッカーたちが集まってこの数字の秘密を解明しようとしますが・・・。うーむ、いかにも大統領選前の、いかにも進歩系側のドキュメンタリー。これに対し中央選挙管理委員会は4月19日に「このような映画は選挙の秩序を乱し、国論を分裂させる行為」と非難。「第3の機関を通じて公開検証に応じる」と抗議を表明しています。予告編(→YouTube)を見てもよくわからず。しかしセウォル号沈没について等々、どうも韓国(とくに進歩系の間)では<陰謀説>が広まりがちな印象を受けるのですけどねー。韓国題は「더 플랜」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ザ・シャック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・・22,950 ・・・・・・・・・・・29,332 ・・・・・・・・・・・・229・・・・・・・・・396
2(22)・・ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ・・4/20 ・・・14,665・・・・・・・・・・・・19,866 ・・・・・・・・・・・・161・・・・・・・・・279
3(16)・・コロッサル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20・・・・・・・・・・・・・6,889・・・・・・・・・・・・11,516・・・・・・・・・・・・・・91・・・・・・・・・293
4(新)・・別の世界・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20・・・・・・・・・・・・・6,608・・・・・・・・・・・・・9,212・・・・・・・・・・・・・・73・・・・・・・・・120
5(新)・・マリアンヌとマーガレット・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・・・5,064・・・・・・・・・・・・・7,919・・・・・・・・・・・・・・60・・・・・・・・・・57

 今回は5作品すべてが新登場ですが、1位「ザ・シャック」、2位「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」、5位「マリアンヌとマーガレット」については上述しました。
 3位「コロッサル」(仮)はソウルを舞台にしたアメリカの怪獣映画。ニューヨークに住んでいたグロリア(アン・ハサウェイ)は仕事とボーイフレンドをすべて失って故郷に帰り、無気力な生活をしています。ある日怪獣が韓国で暴れているというニュースを見て友人に電話した彼女は奇妙なことに気づきます。それはその巨大怪獣と自分が接続されている(!)ということ。自分が手を上げると怪獣も手を上げ、自分が踊ると怪獣も・・・。より大きな災害を防ごうと彼女はソウルに向かいます・・・。→コチラの記事によると、この映画はは「もともとは東京が舞台になる予定だった」が、(ゴジラ関連で)「東宝に提訴され」たりもしたが「両者は和解」。しかし「その後舞台がソウルに変更された」とのことです。韓国題は「콜로설」。日本公開は未定のようです。
 4位「別の世界」(仮)は2015年のギリシャのオムニバス映画。言語と文化的環境が全く異なるカップルが偶然経済危機のギリシャで出会い、恋に落ちる3つの物語で構成されています。[第1話] 女子大生ダフネは夜道を歩いていて暴漢に襲われますが通りすがりの青年パリスが救ってくれました。その後2人は偶然バスの中で再会します。シリアから来たパリスとギリシャ人のダフネ。異なる国・言語の中で生きてきた2人は深い愛に陥ります。厳しい現実に直面しながらも、打ち勝つ勇気を持つ20代カップルです。[第2話] スウェーデンから来たエリーゼは破産の危機に直面しているギリシャの会社の売却のため派遣された女性。偶然バーで会ったジオルゴという男性と恋に落ちますが、その彼が自分が売却を進めている会社の従業員であることを知ることに・・・。皮肉な岐路に立たされた40代のカップルの物語。[第3話] ドイツから移住してきたセバスチャンと平凡な主婦として生きていたマリアはスーパーの前で知り合い、やがてデートを始めます。言語は通じませんが徐々にお互いに愛情を感じ、人生の第2のチャンスを夢見ます。そんな60代のカップルの物語。韓国題は「나의 사랑, 그리스」。日本公開は未定のようです。
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韓国地下鉄・良才駅の近く 一般人でも見学できる外交史料館は小中学生の学習の場。展示資料の一部を紹介します。

2017-04-24 22:07:59 | 韓国の街ネタ、観光ポイント、店・施設等

 昨年(2016年)3月26日ソウルの地下鉄・良才(ヤンジェ)駅近くにある国立外交院という施設(上画像)に行ったことは→コチラの過去記事でも書きました。私ヌルボ、実はその時まで知らなかった所です。たまたま一緒に行った元同僚のNさんが用があって行くというのでついて行ったというわけです。
 国立外交院は外交官の養成・訓練や研究・学術交流等のための、外交部(日本の外務省に相当)所管の施設です。門衛室があって、ちょっとシキイが高そうですが、一言声をかければOKです。
 ※国立外交院の公式サイトは→コチラ(韓国語)。


 そこの敷地内に李藝(イ・イェ.1373~1445年.「最初の朝鮮通信使」といわれる世宗の頃の外交官)の銅像(下左)があり、その背後に外交史料館(下右)があります。
      

 全然予備知識もなく入ったら、見学者の姿も見え、ある部屋では多数の中学生だかが団体で来ていました。この日は土曜日。韓国では土日でも民間の組織等の引率で見学に来ている生徒たちをよく見かけます。
 入口で館員さんに見学したい旨を伝えると、とても親切に対応してくれました。

      
 上は展示室のようすです。

 外交史料館は、主要な外交記録の保存・管理とその活用のため、外交部が2006年に建設・開館した施設です。
 公式サイトは→コチラ(韓国語)。史料館の沿革、館内の案内図等々の他、史料の検索ページや館内を紹介する動画もあります。

 館内には、1876年の開港以来現在までの外交関係の諸資料が展示されていて、一般に公開されており、とくに小・中学校の児童・生徒の学習の場としても活用されています。

 韓国の外交史料だと、当然日本関連のものが数多くあります。一般の日本人の中でも(私ヌルボのように)興味を持つ人もいるのでは、と思いますが、<ソウルナビ>や<コネスト>等々にも紹介されていないので、そのあらましを書くことにしました。(といっても1年遅れとはナサケナイ。)
      

 日本関係の史料では、たとえば上の2つ。左は1905年11月17日に大日本帝国と大韓帝国が締結した第2次日韓協約特命全権公使・林権助の署名があります。4月9日の記事(→コチラ)で書いた南山北麓の統監官邸跡に、2015年8月彼の銅像の台座が逆さまに建てられたことが一部で報じられました。(→画像付関連記事。)
 なお、画像左下隅に注目すると、この史料名が<第2次日韓協約><乙巳条約>ではなく<乙巳勒約(을사늑약)>となっていることに今気づきました。「勒約(늑약)」(ろくやく)とは、無理強いされた条約といった意味だそうです。以前<ナムウィキ>の「을사조약(乙巳条約)」の項目(→コチラ)には「乙巳条約=公式」「第2次韓日協約=学術的」の次に「乙巳勒約=非公式」となっていたので「なるほど」と思ったのに、非公式な用語を外交史料館が使うものですかねー?
 目立つ形で展示されている右の史料は1910年の韓国併合条約。初代の朝鮮総督・寺内正毅の署名があります。

     

 その後半世紀以上すっ飛ばして、時代は戦後。
 上左は、この画像では全然解読できませんが、1965年の日韓基本条約、・・・の批准書かな? 椎名悦三郎外相李東元外務部長官の署名があります。右は(たぶん)1983年11月中曽根康弘首相による全斗煥大統領宛の親書、かな? これも解読がむずかしいですが、「不幸中の幸い」という文言から判断すると前月のラングーン事件関係の内容?(見た時ちゃんと確認してませんでした、はい。)
 

 上は、2000年の6.15南北共同宣言。ヌルボ、この末尾の署名を見てムムーッと唸りましたがな。


 どうですか? この김대중(金大中)のおとなしめに書かれたハングルと対照的な김정일(金正日)奔放な(ムチャクチャな)書きっぷりは・・・。

 文書史料以外の展示物もあります。たとえば・・・。

      

 上左は「韓国の外交を率いた人物」の大きなパネル。歴代の外務部長官の写真がずらっと並んでいます。初代の張澤相(チャン・テクサン)に始まって・・・、あ、丁一権の写真だ。彼は上記の第12代長官・李東元の前後の第11代と13代長官になっていたんですね。当時のニュースでたまに彼の名を聞いた記憶があります。(その頃は「てい・いっけん」と日本読みしていたなー。その彼に関係するスキャンダラスな事実を知ったのはわりと最近のこと。)

 このようにざっと展示物を見たあと、私ヌルボ、この時開かれていた<独島>をテーマにした特別展示コーナーでタッチパネル方式の<独島クイズ>というのに挑戦してみました。

 実はこの記事、その<独島クイズ>の前書きとして書き始めたのですけどね。
 どうもこの頃、本論に入らないまま何となくまとまっちゃう(?)記事が多いような・・・。
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明洞からほど近い、ソウル・南山北麓の歴史記憶エリア ②韓国統監官邸跡にできた「慰安婦記憶の場」の象徴物とその意味

2017-04-21 23:58:35 | 韓国の街ネタ、観光ポイント、店・施設等
 → <明洞からほど近い、ソウル・南山北麓の歴史記憶エリア ①韓国統監府と、KCIAと、そして・・・>


 4月9日の記事の末尾で、2016年8月29日統監官邸跡に新たに造られた「慰安婦記憶の場」(上画像)の除幕式が行われたことを続く記事の予告の意味合いで書きました。
 その後10日以上も経ってしまったのは、慰安婦関係という厄介な問題に対して、私ヌルボとしてはどう考えているのかを前提として書いておこうなどと思ったからです。ところが結局長くなりすぎ収拾がつかなくなって断念。で、とりあえずは「いわゆる「反日」でも「嫌韓」でもない」こと、また「どちらに対しても批判点、あるいは疑問に思っていることがいろいろある」ことだけを記しておきます。

 さて、「慰安婦記憶の場」ですが、除幕式のニュース記事(聯合ニュース)は→コチラで読めます。
 また、準備段階だった2015年11月に早くも青さんがすでにブログ記事(→コチラ)で取り上げているのはさすがです。また2016年6月29日の起工式のことも→コチラで取り上げていますが、そこで「その場所に象徴的な意味を込めることに、どちらかと言えば計画の主眼があるのでしょう」と記しているのは、完成後の説明記事等を見ればまさにその通りです。
 この記事の本論は見出しの通りですが、まずこの施設の概容を画像で紹介します。


 「世界のへそ」の意味は、上画像の説明を読むまでわかりませんでした。すくなくとも韓国の運動推進団体&個人にはこのようなイメージ(産婦と胎児)があることは注目すべきことだと思います。(後述の本論にも関わる。)

      
 上画像がその「世界のへそ」。韓・英・日・中4ヵ国語で「記憶されない歴史は繰り返される」と刻まれています。
 除幕式では、カリグラファー(書芸家)のカン・ビョンイン氏がこのフレーズを大きく書き、参席した人たちがそれを掲げるというパフォーマンスがありました。(右画像) ※カン・ビョンイン氏は、人気の韓国焼酎チャミスルのラベルの字を書いた人です。
 この言葉は、「畿湖(キホ)日報」の記事(→コチラ.韓国語)によると2016年「親日人名辞典」に掲載された4389人の行跡を筆写する汎国民運動を始めたソウル市議会が掲げたスローガンでもあります。そして元はというと、アウシュビッツ収容所の前に刻まれた言葉・・・といくつかの韓国記事にあるのをたよりに(かなりテマヒマかけて)探してみると、アウシュビッツ収容所第4棟の入り口に掲げられれているジョージ・サンタヤーナ(1863~1952.アメリカの哲学者)の言葉「The one who does not remember history is bound to live through it again.」であることが判明。(→コチラの記事中の画像参照。) しかし「世界のへそ」の英文は「History not remembered is repeated」だしなー。「世界のへそ」にこの言葉を刻んだ人たちは出典とかにはこだわらないということか。(わかるような気がします。) 
 ※2013年9月の「中央日報」(日本語版)のコラム<アウシュビッツの影=韓国>(→コチラ)「ポーランド語と英語で書かれたジョージ サンタヤーナの警句を見た瞬間、この名言を日本語でも記録しておけばという考えを浮かんだ。」とあるように、いろんなことが相互に結びついているように思えます。

      
 そしてこの部分が「大地の目」。なるほど、目のように見えます。
 碑面の左の方には慰安婦被害者247人の名前、中央部分には時期ごとの証言が刻まれています。

 そして右の方の絵は何かというと・・・。
      
 金順徳(1921~2004)さんが描いた「連れていかれる」という絵です。右が原画。で、この彼女の手を引っ張っているのは誰だと思いますか? いくつかの記事を比較してみると、「1937年17歳の時、日本の工場で働く女工を募集している朝鮮人の男にだまされ・・・」というのもあれば「職業紹介業者と称する日本人にだまされ」というのもあり、また「日本軍に連れられていく」というのもあります。順番に→コチラの「元慰安婦の証言の信憑性を検証する」と銘打ったブログ記事、次が「しんぶん赤旗」の記事、3つめはソウルの韓国歴史博物館で2014年に開かれた慰安婦特別展の説明文。それにしても、なんと「わかりやすい」のだろう! 「朝鮮人」で、「無理に手を引っ張って、ではない」にしても、だまして本人の意思を無視して非人間的な「仕事場」に押し込めれば十分すぎるほど問題だと思うのに・・・。(個別の「事実」を尊重しないから全体的にウソっぽく見えてしまう、ということを運動団体は考えないのだろうか?)

 さて、ここまできてやっと本論です。(ありゃりゃ)
 ・・・というのが当初の心づもりだったのですが、するとさらに延々と文章が続くし、ここまででもまあなんとか見出しを変えればそれなりにまとまっているかも、と思って方針変更。
 このシリーズの続きは(いつになるかわからない)中央情報部関係の記事にして、予定していた本論は続きは別立ての記事にします。
コメント (19)
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [4月14日(金)~4月16日(日)]

2017-04-19 14:00:49 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 4月14日(金)の毎日新聞(東京.夕刊)の<シネマの週末・チャートの裏側>の見出しは「アニメにニューウエーブ」(→コチラ)。
 この記事で筆者の大高宏雄さんが注目しているアニメが初登場7位の「夜は短し歩けよ乙女」です。なるほど、ではありますが、私ヌルボ、このアニメは未見でも森見登美彦の原作はも読んだし、まあ話としてわかりやすい部類に入ります。「君の名は。」とか「けいおん」とかもOKです。ところが「暗殺教室」とか、今回韓国で公開されランキングにも入っている「黒執事」といった人気漫画が原作のアニメとなるといけません。「境界の彼方」のようなラノベ関係、それからプリキュアシリーズとかも。還暦を越えた大高さんは、こういったジャンルも「大丈夫」なのかちょっと気になります。もしかしたら、こういう分野でもっと前からニューウエーブが始まっているのかもしれないとチラッと思ったもので・・・。
 (そういえば観ようと思っていた「ガールズ&パンツァー」をまだ観ていなかったな。)

 上記のようなヌルボの苦手な日本アニメが韓国でふつうに次々と公開されています。ということは、日韓の若い層の間に共通する感覚が醸成されてきているということ? 国よりも世代間の距離が遠いのかな?
 
 また韓国の状況を見て思うのは、中国やヨーロッパ、あるいは南米の作品まで多くの国々の作品が公開されているということ。国産のレベルの高いアニメがたくさんある日本とは事情が異なるからということか?

 過去日本で公開された韓国アニメでは「Green Days 大切な日の思い出」(2012年)が印象に残っています。関係過去記事は→コチラと→コチラ。韓国版予告編は→YouTube
 同じアン・ジェフン作品「そばの花、運のいい日、そして青春」は昨年の<花コリ2016>で上映。これも良かったです。
 そして今年の<花咲くコリア・アニメーション2017>は東京ではもうじきの4月22日(土)・23日(日)。詳細は→公式サイト参照。

 韓国アニメついでに書いておくと、今秋公開予定の「似而非(サイビ)」はちょっとケッタイな雰囲気(?)のスリラー。韓国公開は2013年で観客動員数2万2千人と全然ヒットしなかったのにちょっと気にはなっていた作品。よもや日本でそれも今頃公開とは・・・。

    
「朝鮮日報」4月14日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」
  作家の裏の天才、編集者 ★★★
 「パトリオット・デイ」
  米国がやはり強い理由 ★★★
 「ザ・シークレット・スクリプチャー」
  陳腐なメロ、常套的反転 ★★☆
 「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」
  優雅な被造物、人間の体 ★★☆
 「パトリオット・デイ」は、先週紹介しましたが、2013年のボストンマラソンの時に起こり260人以上の死傷者を出した爆弾テロ事件を、ボストン警察本部長の視点から描いた実録サスペンスです。他の3作品は下の記事中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(4月18日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) 謝罪  9.60(110)
②(2) 再び、桜(韓国)  9.57(134)
③(-) 黒執事 Book of the Atlantic(日本)  9.54(161)
④(3) 僕たちの家に帰ろう  9.53(17)
⑤(4) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.45(209)
⑥(5) ヒドゥン・フィギュアズ  9.39(2,294)
⑦(-) 劇場版 アドベンチャー・タイム:秘密のアイランド  9.38(29)
⑧(10) ウィークエンド(韓国)  9.28(163)
⑨(7) ミス・スローン  9.27(354)
⑩(9) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.25(1,491)

 今回の新登場③「黒執事 Book of the Atlantic」と⑦「劇場版 アドベンチャー・タイム:秘密のアイランド」の2作品ですが、いずれについても後述します。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) ヒグマの英雄バムセ:泥棒たちの町  8.00(1)
④(4) ムーンライト  7.83(6)
④(4) 夜に海岸で独り(韓国)  7.83(6)
⑥(6) マンチェスター・バイ・ザ・シー  7.75(8)
⑦(8) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑧(10) ありがとう、トニ・エルドマン  7,63(8)
⑨(-) 謝罪  7.33(3)
⑩(-)LOGAN/ローガン  7.29(7)

 今回の新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績4月14日(金)~4月16日(日) ★★★

         「ワイルド・スピード ICE BREAK」 アメリカ映画の1位が続く

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・ワイルド・スピード ICE BREAK・・4/12・・・・・・1,057,062・・・・・・・・・・1,428,416 ・・・・・・・12,010・・・・・・・1,467
2(19)・・パパは娘(韓国) ・・・・・・・・・・・・4/12・・・・・・・・・・・205,849・・・・・・・・・・・・278,418・・・・・・・・・2,223 ・・・・・・・・520
3(1)・・美女と野獣・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/16・・・・・・・・・・・153,445 ・・・・・・・・・・4,863,059 ・・・・・・・39,954 ・・・・・・・・652
4(2)・・プリズン(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・・78,799 ・・・・・・・・・・2,849,938 ・・・・・・・23,142 ・・・・・・・・493
5(3)・・ライフ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/05・・・・・・・・・・・・40,099・・・・・・・・・・・・434,841・・・・・・・・・3,599 ・・・・・・・・456
6(8)・・ヒドゥン・フィギュアズ ・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・・19,302・・・・・・・・・・・・403,246・・・・・・・・・3,219 ・・・・・・・・168
7(4)・・ワン・デイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/05・・・・・・・・・・・・18,044 ・・・・・・・・・・・・220,464・・・・・・・・・1,746 ・・・・・・・・301
        悲しみが消えるまで(韓国)
8(新)・・アバローのプリンセス エレナ・・4/13 ・・・・・・・・・・16,282・・・・・・・・・・・・・16,816・・・・・・・・・・・117 ・・・・・・・・149
        /エレナとアバローの秘密
9(30)・・劇場版 アドベンチャー・タイム・・4/13・・・・・・・・・・11,235・・・・・・・・・・・・・12,549・・・・・・・・・・・105 ・・・・・・・・125
        :秘密のアイランド
10(新)・・黒執事 Book of the Atlantic(日本)・・4/13・・・・・・9,029・・・・・・・・・・・・・12,040・・・・・・・・・・・・93 ・・・・・・・・・94
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 3月の最初からずっとアメリカ映画の1位が続いています。4週連続の「美女と野獣」に代わって今度は「ワイルド・スピード ICE BREAK」。それに対し韓国映画は相変わらずパッとしません。
 1・2・8・9・10位の5作品が今回の新登場ですが、数字的にはパッとしない感じです。
 1位「ワイルド・スピード ICE BREAK」はアメリカの人気アクションシリーズの第8弾。今作は、なんと主人公のドミニク(ヴィン・ディーゼル)が仲間たちを裏切ってテロリストと行動を共にするそうですよ。韓国題は「분노의 질주: 더 익스트림」。日本公開は4月28日です。
 2位「パパは娘」は韓国のコメディ&ドラマ。「勉強しろ」といつも口うるさいパパ、ウォン・サンテ(ユン・ジェムン)は万年課長。世の中全部がキライという中で先輩だけは大好きな娘ドヨン(チョン・ソミン)は高校生。そのドヨンが夢見ていた初デートが現実になった瞬間、そしてパパが切実だった昇進のチャンスをつかみかけた瞬間、なんと2人の体が入れ替わってしまうとは! しかし職場死守vs初恋死守という各々の叶えたかった夢を何とか叶えたい父娘はそれぞれの立場で努力はしますが状況はこじれて行きます。そしてお互いの私生活から心の内までも垣間見ることになった2人は、お互いの知らなかった面を知っていきます・・・。原題は「아빠는 딸」です。
 8位「アバローのプリンセス エレナ/エレナとアバローの秘密」は、ディズニーのアニメ。日本では昨年11月からディズニーチャンネルで放映されている「アバローのプリンセス エレナ」の中のエピソードで、もうすぐ4月23日と30日夜に放映が予定されています。そもそも、この「アバローのプリンセス エレナ」シリーズというのはこれもディズニーチャンネルで放映されてきた「ちいさなプリンセス ソフィア」のスピンオフ作品で、ソフィアがいつも身につけていたペンダントの中に41年もの間閉じ込められていたのがこのエレナというラテン系のお姫様だったというわけ。その彼女をソフィアが救い出す物語がこの作品。詳しくはディズニーチャンネルの公式サイト(→コチラ)参照。そして→コチラの個人サイトもすごい!です。なお、→コチラの記事には「勇敢で優しくエネルギッシュな16歳のエレナというディズニー初のラテン系プリンセスの誕生は、ディズニーがソフィアの次世代の女の子たちに向けて計画的に生み出したと言える」といったことが書かれています。今日本で公開中の「モアナと伝説の海」も同様のことが言えそうですね。韓国題は「리틀 프린세스 소피아: 엘레나와 비밀의 아발로 왕국」です。
 9位「劇場版 アドベンチャー・タイム」もTVで放映されていたアメリカのファンタジーアニメの劇場版。恐ろしいキノコの戦争が終わって千年後の平和が戻ってきたウーランド。スーパーヒーローを目指す少年フィンと特別な力を持つ相棒の犬のジェイクは記憶を失ったまま地下通路に住んでいた筋肉質の少女スーザンに出会います。その後ウーランドに飛来した正体不明の飛行物体からスーザンの過去の痕跡を発見したフィンは、失われたスーザンの記憶を取り戻し、どこかで待つパパとママを見つけるために、ジェイク、スーザンと一緒に初めてウーランドを離れて冒険の旅に出ます・・・。韓国題は「극장판 어드벤처 타임:비밀의 아일랜드」。日本公開は未定、かな?
 10位「黒執事 Book of the Atlantic」は日本では3ヵ月前(1月21日)公開で今も上映している所もあるのに、韓国でもう公開とはなんと早い! 字幕翻訳とかどうなってるのかな? 韓国題は「흑집사 -북 오브 더 아틀란틱-」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ・・4/13 ・・・・8,369・・・・・・・・・・・・13,566 ・・・・・・・・・・・・107 ・・・・・・・・172
2(42)・・十戒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/13・・・・・・・・・・・・・5,637・・・・・・・・・・・・・7,317・・・・・・・・・・・・・・50・・・・・・・・・・97
3(33)・・ザ・シークレット・スクリプチャー・・4/13 ・・・・・・・・・・・・4,697・・・・・・・・・・・・・8,518・・・・・・・・・・・・・・67・・・・・・・・・122
4(1)・・エル・アメリカーノ ・・・・・・・・・・・・・・・4/06・・・・・・・・・・・・・3,740・・・・・・・・・・・・23,283 ・・・・・・・・・・・・168・・・・・・・・・・96
5(24)・・ダンサー、セルゲイ・ポルーニン・・4/13・・・・・・・・・・・・3,555 ・・・・・・・・・・・・・5,153・・・・・・・・・・・・・・41 ・・・・・・・・・39
        世界一優雅な野獣

 4位以外の4作品すべてが新登場です。
 1位「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」は実在の名編集者マックスウェル・パーキンズと小説家トマス・ウルフの人生と友情を描いた作品。日本では2016年10月7日に公開されています。韓国題は「지니어스」です。
 2位「十戒」は、あのチャールトン・ヘストン主演のアメリカ映画(1956)ではなくて、2015年のブラジル映画です。エジプトで400年の間虐げられていたイスラエルの民がモーセの統率下エジプトを脱出して・・・という物語はこの作品も基本的に同じようで、もちろんあのの紅海が割れて云々のクライマックスも半世紀以上進歩してきた映画技術を駆使して描かれている、はずですが、どうでしょうか? 韓国題は「십계:구원의 길」。日本公開はなさそうですね。この映画で思い出したのが珍島海割れ祭り。今年は4月26~29日なのか。
 3位「ザ・シークレット・スクリプチャー」(仮)は、アイルランドのドラマ。同国の作家セバスチャン・バリーの同名の小説(未訳)の映画化作品です。
地方の精神病院の収容者中最高齢の100歳になる女性ロザンヌが主人公。の院長グリーン博士は、彼女が数十年の間に書いた文章を発見し、彼女の過去を遡って調べ始めます。そして場面は1943年のアイルランドへ。抑圧的な時代の雰囲気の中でも自由に生きていく彼女の美貌は男たちの注目の的。そんなある日、イギリス人マイケルと出会ってお互いにのめり込みますが、結局第2次世界大戦で別れることになり、彼女は1人残されますが・・・。(中略) え、それが「自分の子供を殺害したという罪で50年の間に精神病院で閉じ込められて過ごした」とか、「執念深い神父によって彼女の人生が一変させられる」とかいうこととどう結びつくの? その彼女の若い頃をルーニー・マーラが演じています。韓国題は「로즈」。日本公開は年内とのことです。
 5位「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」は英・米・露・ウクライナの合作ドキュメンタリー、ウクライナで生まれ、19歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなった後、バレエ界の異端児にして“世界一優雅な野獣”と評されてきた彼の歩みを本人や家族、関係者のインタビューや子供の頃からの映像等を通してたどり、彼の実像に迫ります。韓国題は「댄서」。日本公開は7月15日です。ロンドンで観た方のブログ記事は→コチラ
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[韓国の食]微細粉塵がひどい春、「ハンドン」のサムギョプサルはいかが?・・・って何のこと?

2017-04-16 23:33:17 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 今日(4月16日)の日曜日、横浜・伊勢佐木町では<ヨコハマ大道芸イセザキ>という催しが開かれていました。年間を通じて土日にはよくやってます。
 私ヌルボ、なんとなく3月20日に同じ場所でペットを連れた若い女性を見かけたことを思い出しました。正確に言えば、思い出したのはその女性の方ではなく、ペットの方。イヌとかネコではなくて・・・。
 小さなブタです。見ているとけっこう動きが速くて、うれしそうにシッポを振ったりしてかわいらしく、道行く人も足を止めて写真を撮ったりしてました。「 誰かが「名前は何というの?」と訊いたら「ハムです」との答え。ハハハ。

 さて、ブタ関連で思い出したのが図書館で読んだ「女性東亜 3月号」に載っていた記事。
   
 (表紙の女性はハン・ウンジョンです。) このページの見出しは・・・。


 <미세먼지 심한 봄날, 한돈 삼겹살 어때요?(微細粉塵)の多い春の日、ハンドンサムギョプサルはいかが?)>

 미세먼지=微細粉塵は、例年この時期になるととくに大きくマスコミで取り上げられる社会問題で、おなじみの言葉でもあります。しかし、それがサムギョプサル=ブタの三枚肉(と、その焼肉)と関係がある?
 それよりも、私ヌルボ、この「한돈(ハンドン)」というのが何か、すぐにはわかりませんでした。もしかして副詞か、1ドンといった数詞かな?などと考えながら記事を読むと、予想順位3位の「韓豚」でした。この漢字の音読みです。つまり、韓国の国産豚肉のこと。
 ※この記事は「女性東亜」のサイトで読むことができます。(→google翻訳。)

 記事によると、韓豚と微細粉塵の関係はおおよそ次の通り。

 体の免疫力が低下しやすい季節の変わり目には、栄養成分が豊富な食品を十分食べることが大切で、そのために気軽に味わえる国産豚肉のハンドンを薦めます。大気中の黄砂と微細粉塵によるのどの痛みにも適していて、ハンドンには重金属を解毒する亜鉛成分が含まれていてり、呼吸器を通して体内に溜まった黄砂と微細粉塵などの有害物質を体外に排出してくれます。

 この内容の信頼度はヌルボはわかりません。
 記事では、続けて2つの韓豚の店を紹介しています。鍾路3街・タプコル公園東側のピマッコル市民食堂(시민식당)と、忠正路駅近くの中林洞にあるドゥトゥム(두툼)という店。
 前者では、熱伝導率が高く遠赤外線が発生する自然石のの焼き板を使用しているとか、後者では店内にある熟成庫で21日ほど熟成させた肉を用いているとかいった店の「こだわり」が記されています。(熟成肉の味というのを、ヌルボは知りません。ネット検索してわかった店に機会があれば行ってみようかな。)
 ※下画像はドゥトゥムの熟成庫。(→コチラの韓国ブログより)。
       

 また、これらの店では入口あたりに韓豚認証店というマーク(下左画像)が掲げられています。なお、下右のマークは韓豚のロゴ。돈の字の最後がくるっと輪になっているのは豚のシッポの意味です。
          

 韓豚認証店については、記事からリンクが張られていた→コチラ
のサイトで地区別の認証店名が見られます。鍾路区で5店、中区だと8店といったところ。
 そして、このサイトの元締めといったサイトが<韓豚com>(→コチラ)で、またその運営主体は<韓豚自助金(한돈자조금)>という業者組織で、韓国ウィキペディア(→コチラ)によると、2003年<養豚自助金>の名称で創立して以後、04年に消費促進のためTV・ラジオでのCMを始め、11年に<韓豚自助金>と改称。14年からは10月1日「韓豚デー(한돈데이)」と決めて各地で広報イベントを催しています。また、人気芸能人を韓豚広報大使に委嘱し、TVCMや各種イベントを通して広報・宣伝活動を通して宣伝活動をするということも何年も前から行っています。
 ※なぜ10月1日を韓豚デーにしたかというと「1001」という数値の配列がブタの鼻の形を連想させるからとのこと。(下画像)

 ※2017年の韓豚広報大使となったのは、映画「建築学概論」で注目されたチョ・ジョンソクと、HELLOVENUSのナラの2人。(関連ブログ記事は→コチラ。)
 TVのスポットCMは→YouTubeで見られます。下はその静止画像です。

 ところで、いろいろ関連記事を漁っていたら、その中で「금한돈」という言葉を発見。「金韓豚」? ・・・とすると高級な韓豚のこと? かと思ったら、この場合の돈は豚ではなく、またお金のことでもなく、薬や貴金属等の重さの単位の「匁(もんめ)」のこと。1匁= 3.75gです。ところが画像検索すると下のようなものが見つかりました。

 匁と豚が同じハングル表記ということを念頭に置いているわけです。

 ・・・ということで、毎度のことながら歴史好奇心にかられていろいろ連鎖的に探っていくときりがなくなり、意外に長い記事になつてしまいました。やれやれ。(実は韓国(と日本)の養豚業の歴史にまで深入りしかけちゃいました。)

 しかし、韓国と日本、あるいはその他の国との豚肉の違いがどれほどあるのでしょうかねー? 牛肉の場合、韓国では横城の韓牛といった高級肉がもてはやされていますが、ヌルボの場合は日韓を問わずそのようなブランド肉はとんと無縁で語る資格がありません。牛丼チェーン店の牛肉の米国産と豪州産の違いは体験的によくわかっているのですけどねー。(笑)

 冒頭に書いたミニブタのハム君、自分がブタとしては実に幸運だということは全然知らないのですね。まあ、シアワセというのはそんなものでしょう。
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2017 韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [4月7日(金)~4月9日(日)]

2017-04-11 23:52:21 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 以前、スカイプをやっていなくてもPCのウェブカメラを通して映像が情報として流出するといった話を何かで読みました。映画「スノーデン」の予告編(→YouTube)で、ウェブカメラにテープが貼られている映像がチラッと出てきます。実際にそれで情報が集められているのか、その映画を観ても今ひとつ(以上)私ヌルボにはわかりませんでした。しかし、
コチラや→コチラの記事を読むとホントっぽく、またスノーデンのようにカメラ部分にテープをはるのが手っ取り早くはありますが、「webcam cover」で画像検索するとたとえば下画像のようなクリップ式やスライド式のwebcam coverが商品になっているのですね。
 知らなかった・・・けど、使っている人がそんなにいるのかな? なお、この映画については<映画『スノーデン』を3倍楽しむための7つのポイント>というナルホドの記事がありました。(→コチラ。) また、→コチラの記事によると、「どうしてそんな監視を気にする必要があるのか? 悪いことをしていなければ何も心配することはない」という質問に対して、スノーデンは「権利が大切なのはいつ必要になるか分からないからです」と「おおっ、よくぞ言ってくれた!」という答えを返しています。まさに今の日本の「共謀罪」論議にも直接関わることだと思います。もちろん、極度に「安全」が脅かされている状況でも「自由」や「人権」が優先されるのか?という問いにはいろいろ論議はあると思いますが・・・。

 4月7日の「朝鮮日報(日本語版)」に「連合軍は絶対善?・・・ヨーロッパ映画が問う(연합軍은 절대善?… 유럽 영화들이 묻다)」という見出しの記事(→google翻訳)が載っていました。(右画像) 日本では昨年12月に公開されている「ヒトラーの忘れもの」(英題Land of Mine.独・合作)と、日本では未公開(8月の公開?)の「アニュスデイ」(仏・ポーランド合作)を取り上げています。・・・と、この記事についてあれこれ書き始めたら長くなってきたので、例によって先延ばしにします。ちょっとだけ書いておくと、とくにかつての支配国日本との関係もあって、韓国人は「連合軍は絶対善」で韓国もまたソチラの側(!)と考えている人が多いということがこの見出しからもわかる、ということ。また、これが代表的保守紙「朝鮮日報」の記事という点なども意味がありそうです。
    
「朝鮮日報」4月7日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「ライフ」
  上出来の偽「エイリアン」 ★★☆
 「ヒトラーの忘れもの」
  死地に四肢をまかせる ★★★☆
 「女の一生」
  自然光で描く古典名作う ★★★
 「再び、桜」
  前作以降の成長がない ★★☆
 「女の一生」は、有名なモーパッサンの小説をステファヌ・ブリゼ監督で映画化した作品。(→参考記事。) 他の3作品は下の記事中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(4月11日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) 謝罪  9.60(90)
②(-) 再び、桜(韓国)  9.46(96)
③(3) 僕たちの家に帰ろう  9.46(13)
④(2) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.45(207)
⑤(4) ヒドゥン・フィギュアズ  9.41(2,052)
⑥(-) 自白(韓国)  9.35(3,002)
⑦(5) ミス・スローン  9.35(277)
⑧(-) ヒトラーの忘れもの  9.27(98)
⑨(7) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.24(1,476)
⑩(8) ウィークエンド(韓国)  9.23(164)

 今回の新登場②と⑧の2作品です。
 ③「再び、桜」は韓国のドキュメンタリー。3人組のバンドBusker Busker(バスカー・バスカー)のボーカルとして人気を得、現在韓国最高のシンガーソングライターの1人チャン・ボムジュンの過去から今に至る物語です。楽譜の読み方も知らなかった彼でしたが、やがて限界を知らないミュージシャンへと成長し、ヒット曲「桜エンディング」(→YouTube)を出したBusker Buskerの活動中断の後、音楽作業室とストリート公演を行き来しつつ完成したアルバムは再びチャートの上位圏に入って底力を見せました。原題は「다시, 벚꽃」です。
 ⑧「ヒトラーの忘れもの」は、日本では昨年12月公開。この記事の最初の方でこの映画について書きましたが、実はヌルボ、つい見逃し。5月末ギンレイホールに観に行くとするか。韓国題は「랜드 오브 마인」です。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(-) ヒグマの英雄バムセ:泥棒たちの町  8.00(1)
④(3) ムーンライト  7.83(6)
④(3) 夜に海岸で独り(韓国)  7.83(6)
⑥(5) マンチェスター・バイ・ザ・シー  7.75(8)
⑦(-) 自白(韓国)  7.67(10)
⑧(6) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑧(-) 怒り(日本)  7.67(3)
⑩(7) ありがとう、トニ・エルドマン  7,63(8)

 今回の新登場は③「ヒグマの英雄バムセ:泥棒たちの町」(仮)だけです。スウェーデンのアニメで、元はといえば漫画家ルーネ・アンドレアソンが1973年TVアニメとして描いたのが始まりで、その後コミックにもなり、広く愛されるキャラクターとなって今に至っているそうです。主人公のバムセは心優しいクマで、おばあちゃんからもらうハチミツを食べると世界最強のクマになるという設定とのことです。この「泥棒たちの町」では、極悪のキツネ・レイナルドに拉致されたおばあちゃんを助け出すため、親友であるウサギのリッレ・スクットやカメのスカールマンと一緒に泥棒の町に向かうという冒険物語です。韓国題は「불곰영웅 밤세: 도둑들의 도시」。日本公開はなさそう、か?

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績4月7日(金)~4月9日(日) ★★★

          1位「美女と野獣」 2位「プリズン」はいつまで続く?

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・美女と野獣・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/16・・・・・・・・・・・347,083 ・・・・・・・・・・4,620,458 ・・・・・・・37,994 ・・・・・・・・959
2(2)・・プリズン(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・249,851 ・・・・・・・・・・2,675,571 ・・・・・・・21,745 ・・・・・・・・742
3(29)・・ライフ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/05・・・・・・・・・・・234,674・・・・・・・・・・・・331,178・・・・・・・・・2,776 ・・・・・・・・647
4(50)・・ワン・デイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/05・・・・・・・・・・・109,605・・・・・・・・・・・・162,913・・・・・・・・・1,305 ・・・・・・・・532
        悲しみが消えるまで(韓国)
5(3)・・ゴースト・イン・ザ・シェル・・・・・・3/29・・・・・・・・・・・・68,722・・・・・・・・・・・・735,284・・・・・・・・・6.061 ・・・・・・・・482
6(35)・・時間の上の家(韓国)・・・・・・・・4/05・・・・・・・・・・・・61,906・・・・・・・・・・・・・97,867・・・・・・・・・・・787 ・・・・・・・・452
7(4)・・ワンライン(韓国)・・・・・・・・・・・・・3/29・・・・・・・・・・・・50,899・・・・・・・・・・・・412,610・・・・・・・・・3,162 ・・・・・・・・348
8(5)・・ヒドゥン・フィギュアズ ・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・・42,378・・・・・・・・・・・・365,755・・・・・・・・・2,920 ・・・・・・・・272
9(24)・・パトリオット・デイ・・・・・・・・・・・・4/06・・・・・・・・・・・・36,906・・・・・・・・・・・・・57,826・・・・・・・・・・・465 ・・・・・・・・374
10(新)・・エル・アメリカーノ ・・・・・・・・・・4/06・・・・・・・・・・・・14,396・・・・・・・・・・・・・18,039・・・・・・・・・・・135 ・・・・・・・・288
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 「美女と野獣」は4週連続、「プリズン」は3週連続と、変わり映えしません。
 3・4・6・9・10位の5作品が今回の新登場ですが、数字的にはパッとしない感じです。
 3位「ライフ」はアメリカのSFスリラー。火星で“地球外生命体”が発見されます。国際宇宙ステーション内で極秘調査するために世界各国から6人の宇宙飛行士が集められます。こうしたニュースに世界中が沸き立ちますが、やがて地球外生命体”は進化・成長し、高い頭脳を持って人類を脅かすになると、宇宙飛行士たちの関係も狂い始めます。そして彼らは命をかけた選択の岐路に置かれる立たされることに・・・。宇宙飛行士のメンバーにはライアン・レイノルズやジェイク・ギレンホールの他に、真田広之も名前を列ねています。韓国題は「라이프」。日本公開は7月8日です。
 4位「ワン・デイ 悲しみが消えるまで」は韓国のドラマ。ファンタジーかな? 妻と死に別れて希望のない日々を送っていた保険会社の課長カンス(キム・ナムギル)は、会社に復帰して交通事故で昏睡状態に陥っているミソ(チョン・ウヒ)の事件を担当することになります。そして事故の調査のため病院を訪れますが、そこで彼は自分がミソだと主張する女性に出会います。そしてその女性は、他の人には見えないミソの霊魂だということを知ることになります。一方意識を失っていたミソは病院で目を覚ましますが、病室に横たわっている自分の姿を見て、自分が魂になったという事実を悟ります。彼女は唯一自分を見ることができるカンスに出会って、これま強く願っていたことを聞いてほしいと告げます・・・。原題は「어느날」です。
 6位「時間の上の家」は韓国のミステリー、スリラー。夫と息子を殺害した容疑で逮捕されたミヒ(キム・ユンジン)は、25年間の服役を終えて再び事件が起きた家に帰って来ます。唯一ミヒを信じるチェ神父(オク・テギョン)はミヒに事件の真相を尋ねますが、ミヒは、あいつらが夫を殺し、子供を連れ去ったという返答を繰り返すばかり。真相を探っていたチェ神父は、あの家に何かがあると確信します。彼が家を出るよう警告したその日の夜、ミヒは25年前のその火のように家の中にまた別の誰かがいることを悟ったのですが・・・。原題は「시간위의 집」です。
 9位「パトリオット・デイ」は、2013年4月のボストンマラソンの時に起こり260人以上の死傷者を出した爆弾テロ事件を、捜査に携わったボストン警察本部長の視点から描いた実録サスペンス。事件発生後わずか4日間で、犯人を特定し逮捕するという劇的な展開の裏の、メディアも伝えていない“102時間の真実”が明かされます・・・。韓国題は「패트리어트 데이」。日本公開は6月9日です。
 10位「エル・アメリカーノ」は、アメリカの3Dアニメ。TVヒーローのスーパー・バードを英雄と考えている世間知らずの厄介者ちびっ子オウムのマックス。
口笛サーカス団を運営している家族を助けて新しい公演を準備していたある日、
天下無敵の悪党ストーンが現れてマックスの家族を脅かし、ついにはサーカスを奪おうとします。
マックスは家族と口笛サーカス団を守るために自分の英雄スーパー・バードに助けを求めることを決意し、スーパーバードがいるハリウッドでの危険な旅に出ますが・・・。韓国題は「슈퍼 버드(スーパー・バード)」。日本公開は未定です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・エル・アメリカーノ・・・・・・・・・・・・・・4/06 ・・・・・・・・・・・14,396・・・・・・・・・・・・18,039 ・・・・・・・・・・・・135・・・・・・・・・288
2(1)・・ミス・スローン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/29・・・・・・・・・・・・・5,868・・・・・・・・・・・・35,645 ・・・・・・・・・・・・281・・・・・・・・・・74
3(28)・・ヒトラーの忘れもの・・・・・・・・・・・・4/06・・・・・・・・・・・・・4,647・・・・・・・・・・・・・7,089・・・・・・・・・・・・・・55・・・・・・・・・・97
4(3)・・怒り(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/30・・・・・・・・・・・・・3,713・・・・・・・・・・・・17,580 ・・・・・・・・・・・・141 ・・・・・・・・・39
5(2)・・夜の海辺で独り(韓国) ・・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・・・2,947・・・・・・・・・・・・48,320 ・・・・・・・・・・・・372 ・・・・・・・・・51

 1位「エル・アメリカーノ」と3位「ヒトラーの忘れもの」が新登場ですが、いずれについても上述しました。
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明洞からほど近い、ソウル・南山北麓の歴史記憶エリア ①韓国統監府と、KCIAと、そして・・・

2017-04-09 11:42:35 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 韓国併合が1910年。その5年前の1905年11月に第2次日韓協約が結ばれました。これにより大韓帝国の外交権はほぼ大日本帝国に接収され、翌12月には統監府が置かれて伊藤博文が初代統監として着任します。この条約はその年の干支から乙巳条約ともいわれ、韓国ではこの条約に賛同した李完用など大韓帝国の5人の閣僚を「乙巳五賊」とよんで歴史上の大悪人としています。

 その統監の官邸跡は、現在の南山公園にあります。
 南山といっても、山の上の方ではなく、明洞駅から南東方向に直線で約300m、小波路(ソパロ)の大韓赤十字社の向かい側の道を入り、南山芸術センターの裏手を回ってユースホステル方向に少し登った辺りです。

     
 私ヌルボは、現地に行ってないので写真ナシ。上画像は<NAVER地図>から加工したものです。
 奥に見える四角い石碑(右画像)は「통감관저 터(統監官邸跡)」と刻まれたもので、2010年8月29日、つまり韓国併合条約が発効した日のちょうど100年後に民族問題研究所が建てた標石です。その条約が寺内正毅統監と李完用首相によって調印された日が1週間前の8月22日で、その場所が統監官邸だったとのことです。
 ※8月29日は2005年当時の盧武鉉政権によって<<strong>庚戌国恥日(キョンスルククチイル)>とそれた日です。関連過去記事は→コチラ

 なお、統監府の建物があった場所は、現在この坂道の登り口近く(南山芸術センターの南隣)にあるソウルアニメーションセンターの地で、今そこには標石があるだけです。この統監府の建物は韓国併合後もはそのまま朝鮮総督府となり、1926年景福宮の前に総督府の新庁舎ができるまで建物を増築したりて継続使用されていたそうです。
 ※これらについては<韓国古建築散歩>の記事(→コチラや→コチラ)参照。それによると、上の画像左奥の10mほどの石積みは統監府の遺構なのだそうです。また→コチラのブログ記事も参考になります。

 ここで話は変わって、半世紀ほど時代を下ります。
 1961年以降この一帯は朴正熙政権下の韓国中央情報部(KCIA)→全斗煥政権下の安全企画部(安企部)の施設があった所として知られていました。(冤罪も含めて)多くの民主化運動の活動家等が拷問を受けた所で、当時は「南山」という符丁だけで怖れられたといいます。その本部棟が上記のユースホステルでした。そして道路の反対側にある(現)総合防災センターの建物は本部と地下道でつながっていて、その地下には取調室(拷問部屋)があり、またこの坂道の入口近くにある文学の家という施設は1975~90年KCIAと安企部長の公館だったとのこと。その他、関係の建物は40以上もあったそうですが、90年代以降壊されたりして、今は4分の1くらい(?)になっているとか。これらの施設を遺そうという声もあるそうですが・・・。

 中央情報部の遺構等について詳しく書くときりがなくなってくるので、いずれ現地にも行ってみた上で別建てての記事にしようと思います。
 また、統監府関係も含めて韓国記事等をいろいろ読む中でいろいろなことが見えてきました。つまり、統監府や中央情報部といった多くの韓国人にとっての<負の歴史>の場をどのような形で遺すか(or残さないか)といった問題は現在の歴史認識問題と直結するわけで、その歴史認識は日韓間の問題以前に韓国内の保守・進歩両陣営間で大きな差があるため、時のソウル市長や大統領等の政治的立場や、有力市民団体等の(政治的色彩を帯びた)主張や時の一般世論等を反映するものとなり、さらには今後どのような理念をもって都市空間を創造するのかという構想や、もしかしたら土建業界への利益誘導(?)ということまでからみあって、「過去の」失われつつある遺物の問題が生々しい「現在」の政治・社会問題であるということ。

 そんな中、もうひとつ新しい「歴史記憶」のコンテンツがこの地に付け加えられました。

 これは上の統監官邸跡の画像と同じ場所を同じ方向から見たもの。先の方は<NAVER地図>でしたが、こちらは<DAUM地図>です。前者は2016年8月29日より前に撮影されたものですが、こちらはその日以降に撮られたものです。比較してみてください。中央に新しいモニュメントのようなものが造られています。
 それが何かというと・・・。
 「日本軍慰安婦記憶の場(일본군 위안부 기억의 터)」です。2016年8月29日はその除幕式が行われた日でした。上述の庚戌国恥日です。(※またこの公園を「慰安婦追慕公園」とよぶようです。)

 実はこの記事は、このモニュメントの問題をテーマにして書き始めたのですが、例によって序文が長くなりすぎました。(←ここまでが全部序文ってことか!?(笑))
 ・・・ということで、その「本論」は続きで、ということにします。


 

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<韓国の小説家の知名度ランキング>を見る ・・・って、1人でも知っていれば「よくご存じ」レベルでは?

2017-04-07 15:27:18 | 韓国の小説・詩・エッセイ
 最近初めてイ・スンウォン(이순원)の小説(小中学生向きの「江陵に行く古い道」)を読み(韓国語)、この作家について名前の漢字表記等々の諸情報をちょっと調べてみました。
 すると、翻訳書は全然出ていないにもかかわらず、ウィキペディア(→コチラ)には李舜源という漢字表記をはじめ、略歴や代表作品等がずいぶん詳しく記されていました。(一体どんな人が書いてるのでしょうね?)

 そして次にこの名前でヒットした意外な記事が<知名度.net>(→コチラ)というサイト中にある「韓国の小説家 のランキング」(→コチラ)。
 これによると、李舜源は32位。ちなみに31位は「長雨」尹興吉(ユン・フンギル)で、33位は「軍艦島」韓水山(ハン・スサン)。こうした顔ぶれがこの順位だとするとトップ10は?と見てみると・・・。



 アララ、1位が林達永(イム・ダリョン)って・・・、一体どういう人?
 私ヌルボとしては、黄皙暎(ファン・ソギョン)孔枝泳(コン・ジヨン)申京淑(シン・ギョンスク)か、それとも李文烈(イ・ムニョル)あたりかと予測していたのが大外れ。それも知らない作家とはねー。
 例によってウィキペディア(→コチラ)を見てみると、林達永は「黒神」等の漫画の原作者なんですと。あーそうですか。で、この「黒神」はTVアニメ化されて2009年「黒神 The Animation」のタイトルでTV朝日等で放映され、初の日米韓同時放送もされたとのことです。(知らんかったなー。ヌルボの数多い盲点の1つ。) この作品の内容等については→コチラの公式サイトにいろいろ。(・・・むむむむむ。)

 ヌルボ思うに、いくら韓国人あるいは韓国通の日本人の間で名の知られた作家でも、ふつうの日本人の間ではほとんど知られていません。関心の(極度に)薄い韓国小説よりも、韓国人の原作によるアニメの方が何十倍(100倍以上?)も接する機会が多いということでしょう。したがって、林達永が1位というのもある意味当然なのかもしれません。彼の知名度は6.13%で、2位申京淑の3,67%を大きく引き離しています。(30人に1人が申京淑を知っているのが事実だとすると、意外なほど高いと思います。)
 ※なお、この<知名度.net>サイトの「日本の小説家のランキング」(→コチラ)を見てみると、①夏目漱石 ②紫式部(!) ③村上春樹 ④司馬遼太郎 ⑤大江健三郎 ⑥太宰治 と(ムチャクチャなりに)ビッグネームが並んでいる次に ⑦西尾維新 という肩透かし的な作家の名前が登場しています。(皆さん、西尾維新を知ってましたか? とくに50歳以上の人。) また漫画の原作者も含めて考えると梶原一騎も入ってるかなと見ると、案の定33位にありました。曽野綾子の1つ上です。
 まあ要するに、「そういう」ランキングということです。

 さて、と気を取り直して「韓国の小説家 のランキング」に目を戻すと、1~10位の中で林達永以外に知らなかったもう1人の名前が卜鉅一(ポク・コイル)「京城・昭和六十二年 碑銘を求めて」(1987)という翻訳書が30年前に出ているのか・・・。(なんでこんな高ランクなんだろ?)
 まあ、他の8人はほぼ妥当、かどうか、鮮于煇(ソヌ・フィ)の5位はちょっと意外かもしれませんが。
 しかし、当然10位内に入ってもよさそうな作家は他にもいるし、李清俊のように故人もOKとなるとあの作家もこの作家も・・・と何人かの名前が思い浮かびます。ということで、11位以下(最後の)139位まで目を通してみました。

 個人的に、やや低いかなというのは16位・李文烈(代表作「われらの歪んだ英雄」)と36位・趙廷来(チョ・チョンネ.「太白山脈」)。明らかに低すぎると思うのが45位・朴景利(パク・キョンニ.「土地」)。98位・崔仁勲(チェ・インフン.「広場」)や超ロングせラー「こびとが打ち上げた小さなボール」の137位・趙世熙(チョ・セヒ)もこんな後の方とは。
 次に、主にクオンから翻訳作品が出ている現在活躍中の作家に注目してみると・・・。
 3位・韓江.(「少年が来る」)は別格というべき高ランクで、29位.朴玟奎(パク・ミンギュ.「カステラ」)と47位・金愛爛(キム・エラン.「どきどき僕の人生」)はこんなとこ、ですか? しかし131位・金衍洙(キム・ヨンス.「世界の果て、彼女」)はなんでこんな低いのかわからず。(しかし、この数字といえども、これだけ何人もの現代の作家が知られるようになったのはクオンの功績です。)
 ※韓江の父親は52位.韓勝源(ハン・スンウォン)

 ところで、この139人中、なんでこの名前がないのだ!と(怒)ほどではないにしても激しく疑問に思ったのが韓国近代小説の草分けともいうべき李光洙(イ・グァンス.「無常」)。波田野節子「李光洙」(中公新書)という良い本も出ているのですけどね。
 そして現在活躍中といえば鄭裕静(チョン・ユジョン)。純文学というよりスリラーというか、エンタメ系ですが、「7年の夜」以来ベストセラーを続けて出している女性作家です。

 おまけ。一番驚いた小説家名は96位・李垠(イ・ウン)でした。大韓帝国最後の皇太子が小説を書いていたのか?と一瞬思ったりして・・・。実は現役の推理作家で、「美術館の鼠」(2009)という翻訳書が<島田荘司選アジア本格リーグ>シリーズ中の1作として刊行されています。しかし、このランキングの写真は明らかに皇太子李垠殿下なんですけどねー。(笑)

 ・・・というわけで、マジメに考えればいろいろ問題の多いランキングですが、単純に楽しめて、またそれなりの知識を得たことは収穫でした。
コメント (4)
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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [3月31日(金)~4月2日(日)]

2017-04-04 22:26:16 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 昨夜、懸案だった「ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン」を観てきました。韓国でも日本でも観た人の評価はずいぶん高く、<ぴあ映画生活>では15人の平均評点は95点。韓国の<NAVER映画>でも平均9.45です。私ヌルボも「しちめんどうくさいこと」を考えなければ、これらの高評価も十分うなずけると思いました。音楽も大がかりなダンス等も魅力的で、たとえば「ラ・ラ・ランド」と比べても料金の差(一律2500円)はむしろ妥当なところです。俳優ではなんといっても17歳でヒロイン役に抜擢されたエバ・ノブルザダがとてもチャーミングで伸びのある声も◎。アメリカ生まれとのことですが、エンジニアという狂言回し的役柄を達者に演じたジョン・ジョン・ブリオネスとともにフィリピン系とのこと。また準主役級のベトナム人男性トゥイ役が韓国人ミュージカル俳優のスター的存在ホン・グァンホ。(→参考記事。) <NAVER映画>では彼に対する賛辞で溢れています。ただ、その役柄を準主役でなく主役に据えて物語をアタマの中で再構成するとずいぶん違った作品になることは間違いなし。つまり、「しちめんどうくさいこと」の領域になるわけですが、<ウィキペディア>の「ミス・サイゴン」の項目(→コチラ)にも記されているような「オリエンタリズム、人種および女性差別」等の問題。兵士(とくに外国人)と現地の売春婦との恋愛や、その間の子供のこととなると、もちろん例の慰安婦問題とも関わってくるし、またご都合主義的とはいえアメリカ側の「良心」らしきものもないではないし等々と考えると、何が何だかわからなくなってしまいます。(笑)

 さて、3時間一律2500円の「ミス・サイゴン」を観た次は、4時間一律2200円の「牯嶺街少年殺人事件」を観なくては・・・。
    
「朝鮮日報」3月31日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)
 「怒り」
  各瞬間が極限かつ絶頂 ★★★★
 「ミス・スローン」
  毒蛇の如くハトの如く ★★★
 「ゴースト・イン・ザ・シェル」
  哲学を脱し現在を纏う ★★★
 「ワンライン」
  「タチャ」を「未生」風に描く ★★☆
 このリストの4作品はすべて下の記事中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(4月4日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(2) 謝罪  9.59(87)
②(3) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.45(207)
③(-) 僕たちの家に帰ろう  9.44(9)
④(4) ヒドゥン・フィギュアズ  9.40(1,663)
⑤(-) ミス・スローン  9.38(183)
⑥(1) 隠れ家に戻る  9.38(26)
⑦(7) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.24(1,459)
⑧(8) ウィークエンド(韓国)  9.23(164)
⑨(9) ハクソー・リッジ  9.21(2,155)
⑩(10)LION/ライオン ~25年目のただいま~  9.10(634)

 今回の新登場③と⑤の2作品です。
 ③「僕たちの家に帰ろう」は中国映画。日本では2015年に公開されています。韓国題は「리버 로드」です。
 ⑤「ミス・スローン」については後述します。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(3) ムーンライト  7.83(6)
③(3) 夜に海岸で独り(韓国)  7.83(6)
⑤(5) マンチェスター・バイ・ザ・シー  7.75(8)
⑥(6) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑦(7) ありがとう、トニ・エルドマン  7,63(8)
⑧(9) 謝罪  7.33(3)
⑨(10) LOGAN/ローガン  7.29(7)
⑩(-) ズッキーニと呼ばれて  7.25(4)

 今回の新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績3月31日(金)~4月2日(日) ★★★

         「美女と野獣」が3週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・美女と野獣・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/16・・・・・・・・・・・651,884 ・・・・・・・・・・4,095,805 ・・・・・・・33,726・・・・・・・1,123
2(2)・・プリズン(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・513,872 ・・・・・・・・・・2,214,687 ・・・・・・・17,996 ・・・・・・・・906
3(新)・・ゴースト・イン・ザ・シェル・・・・・3/29・・・・・・・・・・・392,297・・・・・・・・・・・・569,695・・・・・・・・・4,708 ・・・・・・・・806
4(15)・・ワンライン(韓国)・・・・・・・・・・・・3/29・・・・・・・・・・・197,237・・・・・・・・・・・・290,971・・・・・・・・・2,225 ・・・・・・・・588
5(4)・・ヒドゥン・フィギュアズ・・・・・・・・・3/23 ・・・・・・・・・・・・78,588・・・・・・・・・・・・287,201・・・・・・・・・2,289 ・・・・・・・・351
6(3)・・普通の人(韓国) ・・・・・・・・・・・・・3/23 ・・・・・・・・・・・・36,575・・・・・・・・・・・・366,013・・・・・・・・・2,833 ・・・・・・・・389
7(42)・・デスノート・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/29 ・・・・・・・・・・・・13,750・・・・・・・・・・・・・22,822・・・・・・・・・・・175 ・・・・・・・・290
        Light up the NEW world(日本)
8(78)・・ミス・スローン ・・・・・・・・・・・・・・3/29 ・・・・・・・・・・・・12,533・・・・・・・・・・・・・22,194・・・・・・・・・・・173・・・・・・・・・104
9(9)・・子豚3兄弟とマジックランプ ・・3/23 ・・・・・・・・・・・・・8,070 ・・・・・・・・・・・・・22,930・・・・・・・・・・・180 ・・・・・・・・・90
10(8)・・夜の海辺で独り(韓国)・・・・・・3/23 ・・・・・・・・・・・・・7,991 ・・・・・・・・・・・・・40,514・・・・・・・・・・・313 ・・・・・・・・・71
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 このところ、これというような注目すべき韓国映画は見当たらないような・・・。今後の公開予定作では万年課長お父さんと女子高生の娘の体が入れ替わる(!)というコメディ「パパは娘」(4/12~)の前評判が高いようです。あるいはチェ・ミンシク主演の「特別市民」とか。→関連記事)
 今回の新登場は3・4・7・8位の4作品です。
 3位「ゴースト・イン・ザ・シェル」はアメリカのアクション、といっても、あの「攻殻機動隊」の実写映画化作品で、主演はスカーレット・ヨハンソン。荒巻大輔役でビートたけしが共演しているとか。日本でも4月7日公開で、諸情報が流されているので委細省略。韓国題は「원라인」です。
 4位「ワンライン」は韓国の犯罪ドラマ。平凡な大学生だったミンジェ(イム・シワン)は、すべてのことを偽って銀行からお金を引き出す別名「作業貸出」系の伝説のベテラン・チャン課長に会って、業界の新星として生まれ変わります。幻の「ケミ(케미)」=化学反応的チームワークを誇り、金という金をすべてかっさらう5人の新型犯罪詐欺団でしたが、決してお互いを信じられない詐欺師たちは、徐々に異なる内心を見せていきます・・・。原題は「원라인」です。
 7位「デスノート Light up the NEW world」は、人気シリーズの、第何作目? 私ヌルボ、この原作漫画が登場するかなり前から「週刊少年ジャンプ」から遠ざかってるし、TVドラマ&アニメも映画も見てないから直接的には何も知らず現在に至っているのでコメントはパスするしかありません。韓国題は「데스노트:더 뉴 월드」です。
 8位「ミス・スローン」は、アメリカのドラマ&スリラー。勝率100%を誇るロビイストのエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は、銃規制法案で国全体が騒々しい中で、自分の信念に基づいて、皆が放棄した戦いに飛び込むことになります。勝利のためなら手段と方法を選ばない彼女は優れた戦略で巨大権力に立ち向かいますが、同時に、自分と周りの人すべてを危険に陥れることになってしまいます・・・。今一つ具体的な内容が見えてきませんが、彼女は「銃規制法を通そうとする強力なロビー団体と対峙する」という立場?? は「미스 슬로운」。日本公開は今年秋です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(32)・・ミス・スローン・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/29 ・・・・・・・・・・・12,533・・・・・・・・・・・・22,194 ・・・・・・・・・・・・173 ・・・・・・・・104
2(1)・・夜の海辺で独り(韓国) ・・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・・・7,991・・・・・・・・・・・・40,514 ・・・・・・・・・・・・313 ・・・・・・・・・71
3(32)・・怒り(日本) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/30・・・・・・・・・・・・・5,962・・・・・・・・・・・・・9,775 ・・・・・・・・・・・・・79 ・・・・・・・・・97
4(4)・・湯を沸かすほどの熱い愛(日本)・・3/23 ・・・・・・・・・・・・3,033・・・・・・・・・・・・16,313 ・・・・・・・・・・・・128 ・・・・・・・・・43
5(3)・・カエル王国2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/23・・・・・・・・・・・・2,824 ・・・・・・・・・・・・13,979 ・・・・・・・・・・・・・98 ・・・・・・・・・60

 1・3位の2作品が今回の新登場です。
 1位「ミス・スローン」については上述しました。
 3位「怒り」は昨年の日本映画中の話題作でありヒット作ですが、ヌルボは見逃し続けて観ずじまい。今週中(~7日)早稲田松竹でやってるのか。観に行くかな? 朝鮮日報の10字評でも高評価だしなー。韓国題は「분노(憤怒)」です。
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