昨日upするつもりが、「文藝春秋」に載っている芥川賞候補作・舞城王太郎「ビッチ・マグネット」というのを読んでたらついハマりこんで今日になってしまいました。今回も石原慎太郎氏の選評を読んで「そろそろ選考委員を辞めた方がいいんじゃないの?」と思いました。気持ちわからんでもないけどね、半分くらい。)
※<選評の概要>というサイト、過去も含めて選評の概要が一目でわかり、興味深いです。
さて、今日の2.26はおいといて、昨日2月25日は菅原道真の命日だそうです。(ただし旧暦。)
たまたま先週19日、横浜市都筑区あたりをバイクで徘徊していたら、<梅の名所>とある立て札につられて東方天満宮というローカルなたたずまいの神社に行ってきました。
【東方神社(横浜市都筑区東方町)】
21日には「梅まつり」が開かれたことは後で知りましたが、その時は私ヌルボ1人。花もさることながら、やっぱり梅は香りがいいですね。
境内には、ここでも<学問の神様>に合格を祈願する絵馬がたくさん奉納されていました。
※以前、別の天神様でなんとなく見た絵馬の中に「合格折願」と書かれているのをみつけた時にはジツに悲しい思いをしました(笑)。こういう誤字を書く受験生の多くは、きっと「菅原」も「管原」と書いているはずです。
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【合格の願いをこめて・・・・】
はてさて、今回は朝鮮・韓国と日本の<梅>について軽く書くかなと思ってネタをいろいろ整理してみたのですが、「軽く」どころか、ことのほか重たくなってしまいそう・・・。
【梅干し】
梅のことを韓国語では<メ(매.梅)>といいます。梅花が<メファ(매화. 梅花)>で梅の実は<メシル(매실.梅実)>。
日本の古語表記は<むめ>ですが、発音は<ume>ではなく<mme>。日韓とも元はもちろん中国語<マイ>がそのまま伝わり変化したもの。つまり日本語は訓読み<うめ>も音読み<バイ>も同じようなもの、ということ。
※<植物の文化誌>というサイト中の<梅の話>によると、ベトナムでは<マイ>といい、「新婦が着るアオザイに梅花文をつけ、テト(旧正月)には白梅や黄梅を飾る慣わしが今に伝わっている」とのことで、「アジアの一隅に、かなりの広がりを持つ梅文化圏が存在することがわかる」と結んでいます。
梅の実を塩漬けも中国起源で、そういえば魏の曹操が兵士たちに「ここの丘を越えれば梅の林があるぞ!」と叫ぶと、兵士たちは梅の味を思って唾が湧き、のどの渇きを忘れた、という<望梅止渇>という故事成語がありました。
ところが、日本ではごく一般的な梅干しがなぜか韓国には(ほとんど)ありません。
私ヌルボが思い起こすのは「愛の黙示録」という映画。木浦で戦後長く多くの孤児たちを育てた田内千鶴子さんの伝記映画です。1968年、彼女が臨終の場面で、長い間話すことのなかった日本語で言った言葉が「梅干しが食べたい!」でした。
それほど韓国で梅干しを入手するのは困難だったのですね。
※「愛の黙示録」は監督キム・スヨン、主演石田えり。1999年に韓国で上映され、日本の大衆文化韓国解禁第1号許可作品となった映画です。
現在でも、韓国で梅干しは手に入りにくく、旅行や出張で出かける際に持っていく日本人はけっこういるかも・・・。またあるブログによると、韓国の人にも梅干しは「意外や意外、人気がありました」とありました。ただ、「梅干しというより梅漬けに近い酸味が少なく、柔らかい果肉のもの」が好まれたとのこと。
ヨン様ペ・ヨンジュンが昨年出した「韓国の美をたどる旅(한국의 아름다움을 찾아떠난 여행)」は、意外に、などと言ったら失礼なほど内容のある、品のよい本ですが、その中で<初夏、梅の思い出(초여름,매실의 추억)>と題して、好みに合った梅料理が食べられる全羅南道光陽(クァンヤン.광양)市の<青梅農園(청매실농원)>を紹介しています。
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【ペ・ヨンジュン「韓国の美をたどる旅」(韓国版)の表紙)。当然日本語版も出てます。】
その冒頭の文、「梅干しを楽しんで食べる。ただ、作られたそのままで食べるより、私なりのやり方で一度蜂蜜につけておき、ほんのり甘みをつけて食べる」とあるのはやっぱり韓国人。
まあ日本でも蜂蜜入りの梅干しが広く出回っている昨今ではありますが・・・。(私ヌルボはパス。)
そのヨン様が訪ねた青梅農園で出された梅料理が、梅漬け(매실 장아찌)、梅のり巻き(매실 김밥)、梅お好み焼き(매실 전)、そして甘酸っぱい梅の実正果(정과.ジョングァ)は「いくら食べても食べあきず」、デザートの梅アイスクリームは、ヨン様「我慢できず2つ食べてしまった」そうです。
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【これが梅の実正果、なんだそうです。】
※光陽市は韓国一の梅の生産地で、市内の<梅マウル>では3月に梅花文化祭が開かれます。
※青梅農園等の通販のリストには、梅のコチュジャン漬け、濃縮液、梅丹等いろんな梅の加工品が載っていますが、梅干しはありません。
話は戻って、「なぜ韓国には梅干しがないか?」という点についてですが、これは「なぜ日本に梅干しがあるか?」と考えた方がよさそうです。
ある韓国サイトに載っていた研究レポート(?)によると、「日本の6~8月の蒸し暑さは耐えがたく、これを乗り切る保存食として、初夏に実る梅から作る梅干しがまさにピッタンコだった」とあり、このおそらく誰もが考えつく説がやっぱり妥当なところではないでしょうか?
朝鮮は食も住も夏よりも冬に備え、日本は逆に冬よりも夏のことを考慮した・・・と一般化していいかどうか・・・。
ありゃ、ここまででもう2000字オーバー! 「朝鮮梅のこと」等、つづきはまた今度。
続き→<日本と韓国の梅の話(2)朝鮮梅のことなど>
※<選評の概要>というサイト、過去も含めて選評の概要が一目でわかり、興味深いです。
さて、今日の2.26はおいといて、昨日2月25日は菅原道真の命日だそうです。(ただし旧暦。)
たまたま先週19日、横浜市都筑区あたりをバイクで徘徊していたら、<梅の名所>とある立て札につられて東方天満宮というローカルなたたずまいの神社に行ってきました。
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【東方神社(横浜市都筑区東方町)】
21日には「梅まつり」が開かれたことは後で知りましたが、その時は私ヌルボ1人。花もさることながら、やっぱり梅は香りがいいですね。
境内には、ここでも<学問の神様>に合格を祈願する絵馬がたくさん奉納されていました。
※以前、別の天神様でなんとなく見た絵馬の中に「合格折願」と書かれているのをみつけた時にはジツに悲しい思いをしました(笑)。こういう誤字を書く受験生の多くは、きっと「菅原」も「管原」と書いているはずです。
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【合格の願いをこめて・・・・】
はてさて、今回は朝鮮・韓国と日本の<梅>について軽く書くかなと思ってネタをいろいろ整理してみたのですが、「軽く」どころか、ことのほか重たくなってしまいそう・・・。
【梅干し】
梅のことを韓国語では<メ(매.梅)>といいます。梅花が<メファ(매화. 梅花)>で梅の実は<メシル(매실.梅実)>。
日本の古語表記は<むめ>ですが、発音は<ume>ではなく<mme>。日韓とも元はもちろん中国語<マイ>がそのまま伝わり変化したもの。つまり日本語は訓読み<うめ>も音読み<バイ>も同じようなもの、ということ。
※<植物の文化誌>というサイト中の<梅の話>によると、ベトナムでは<マイ>といい、「新婦が着るアオザイに梅花文をつけ、テト(旧正月)には白梅や黄梅を飾る慣わしが今に伝わっている」とのことで、「アジアの一隅に、かなりの広がりを持つ梅文化圏が存在することがわかる」と結んでいます。
梅の実を塩漬けも中国起源で、そういえば魏の曹操が兵士たちに「ここの丘を越えれば梅の林があるぞ!」と叫ぶと、兵士たちは梅の味を思って唾が湧き、のどの渇きを忘れた、という<望梅止渇>という故事成語がありました。
ところが、日本ではごく一般的な梅干しがなぜか韓国には(ほとんど)ありません。
私ヌルボが思い起こすのは「愛の黙示録」という映画。木浦で戦後長く多くの孤児たちを育てた田内千鶴子さんの伝記映画です。1968年、彼女が臨終の場面で、長い間話すことのなかった日本語で言った言葉が「梅干しが食べたい!」でした。
それほど韓国で梅干しを入手するのは困難だったのですね。
※「愛の黙示録」は監督キム・スヨン、主演石田えり。1999年に韓国で上映され、日本の大衆文化韓国解禁第1号許可作品となった映画です。
現在でも、韓国で梅干しは手に入りにくく、旅行や出張で出かける際に持っていく日本人はけっこういるかも・・・。またあるブログによると、韓国の人にも梅干しは「意外や意外、人気がありました」とありました。ただ、「梅干しというより梅漬けに近い酸味が少なく、柔らかい果肉のもの」が好まれたとのこと。
ヨン様ペ・ヨンジュンが昨年出した「韓国の美をたどる旅(한국의 아름다움을 찾아떠난 여행)」は、意外に、などと言ったら失礼なほど内容のある、品のよい本ですが、その中で<初夏、梅の思い出(초여름,매실의 추억)>と題して、好みに合った梅料理が食べられる全羅南道光陽(クァンヤン.광양)市の<青梅農園(청매실농원)>を紹介しています。
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【ペ・ヨンジュン「韓国の美をたどる旅」(韓国版)の表紙)。当然日本語版も出てます。】
その冒頭の文、「梅干しを楽しんで食べる。ただ、作られたそのままで食べるより、私なりのやり方で一度蜂蜜につけておき、ほんのり甘みをつけて食べる」とあるのはやっぱり韓国人。
まあ日本でも蜂蜜入りの梅干しが広く出回っている昨今ではありますが・・・。(私ヌルボはパス。)
そのヨン様が訪ねた青梅農園で出された梅料理が、梅漬け(매실 장아찌)、梅のり巻き(매실 김밥)、梅お好み焼き(매실 전)、そして甘酸っぱい梅の実正果(정과.ジョングァ)は「いくら食べても食べあきず」、デザートの梅アイスクリームは、ヨン様「我慢できず2つ食べてしまった」そうです。
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【これが梅の実正果、なんだそうです。】
※光陽市は韓国一の梅の生産地で、市内の<梅マウル>では3月に梅花文化祭が開かれます。
※青梅農園等の通販のリストには、梅のコチュジャン漬け、濃縮液、梅丹等いろんな梅の加工品が載っていますが、梅干しはありません。
話は戻って、「なぜ韓国には梅干しがないか?」という点についてですが、これは「なぜ日本に梅干しがあるか?」と考えた方がよさそうです。
ある韓国サイトに載っていた研究レポート(?)によると、「日本の6~8月の蒸し暑さは耐えがたく、これを乗り切る保存食として、初夏に実る梅から作る梅干しがまさにピッタンコだった」とあり、このおそらく誰もが考えつく説がやっぱり妥当なところではないでしょうか?
朝鮮は食も住も夏よりも冬に備え、日本は逆に冬よりも夏のことを考慮した・・・と一般化していいかどうか・・・。
ありゃ、ここまででもう2000字オーバー! 「朝鮮梅のこと」等、つづきはまた今度。
続き→<日本と韓国の梅の話(2)朝鮮梅のことなど>