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韓国内の映画 週末の興行成績 [3月20日(金)~3月22日(日)]と、人気順位 ►やっぱり良かった!60年前のソ連映画の佳作「誓いの休暇」

2020-03-24 23:55:23 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸下掲の3月20日(金)~22日(日)の興行成績ベスト10を見ると、「透明人間」が4週連続1位。とは言っても、2月22日の公開からほぼ1ヵ月で累計観客動員数がわずか50万人とは! 昨年の3月22日(金)~24日(日)の数字は、1位の韓国映画「金」は3日間で111万人。公開日の20日からは5日間で153万人です。
 1~10位の週末観客動員数の合計は昨年の183万人に対して今年は14万人で昨年の7.7%にすぎません。「2月の映画観客数77%減 新型コロナ影響し05年以降で最低=韓国」という見出しの記事(→コチラ)がありましたが、3月はさらに落ち込んでいるようです。こんな時節に宣伝費を注ぎ込んだ自信作を上映しても全然儲かるはずもなく、韓国の映画館では旧作の再上映が相次いでいます。
 日本の場合はどうなんでしょうね? 私ヌルボ、2月以降映画を全部で21本観ましたが、とくに観客の数がずいぶん少ないなと思ったことはありませんでした。逆に、意外なほど多かったというのも「ミッドサマー」をはじめいくつか。映画館以外では、平日の午後行った近場のスパなど、いつも以上に多かったなー。もしかしてポイント2倍デーだったから?

▸21日(土)は、予定していたミーティングが中止になったので、昨年始まったシネマ・ジャック&ベティでの仁川・ミリム劇場との共同企画に行ってきました。当初は→コチラにあるように日韓合作の映画「大観覧車」「ひと夏のファンタジア」を両劇場で15時から同時上映し、上映後は両劇場を繋いでゲストトーク・・・という予定だったのが、新型コロナでミリム劇場は休館。ネットで中継挨拶予定だったペク・チェホ監督はビデオメッセージのみとなり、「大観覧車」の主演・堀春菜さんの舞台挨拶となりました。堀さんは監督から「感情の切り替えを速くしてほしい」と最初に言われたとか。概して韓国人は日本人より感情表現がストレートだから、そこらへん演技の上でもギャップがあるのかも・・・。事故報道などで日本では「遺族は悲しみを堪えて・・・」がふつうなのに、韓国人は「なんで堪えなくちゃならないの?」ですからねー。
 「ひと夏のファンタジア」は以前観たので、今回は「大観覧車」の方だけ鑑賞。「ひと夏の~」同様に日本に来た韓国人がゆったり伸びやかな時を過ごす、という感じ。良くも悪くもユルーイ感じ。どうもアクションに限らず登場人物がしきりに怒鳴っている映画はよくある感じですが、その逆もたまにありますね。緊張と弛緩、仕事と休養等がバランスよく混じっているのがフツー・・・だといいのだけど、現実はそうもいかない?
この両劇場の交流は今後も続くそうで、期待したいと思います。昨年は「1991、春」「妓生:花の告白」といった他で上映機会のない作品を上映してくれましたが、できればそういう線で・・・。

▸19日(木)はシネマヴェーラ渋谷に行って、観て来ましたよ~、観て来ましたがな、ソ連映画の名作「誓いの休暇」! これも意外と混んでいていて、客席数142の半分ほど埋まってたかも。この作品を初めて観たのは何十年前だったかな? 映画より前に、高校の頃「ギターで弾く映画音楽名曲集」みたいなので主題曲の方を最初に憶えたのですが、今観ると最初のあたりからでそのメロディーが流されるのですね。物語の細部はラスト以外は記憶なし、でしたが、やっぱり心に沁みる佳作です。今はDVDで観られるということは知りませんでした。そのカスタマーレビュー(→コチラ)や、<YAHOO映画!>のユーザーレビュー(→コチラ)を見ると、「何十年も前にたまたまTVで観て強く印象に残っている」といった人が何人もいて、また大勢の人がその感動を記しています。そんなに上映の機会はないと思いますが、多くの皆さんにおすすめしたい作品です。

         ★★★ NAVERの人気順位(3月24日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) サンティアゴの白い杖(韓国)  9.55(11)
②(2) 泣くな、トンズ2:シュクラン ババ(韓国)  9.53(154)
③(3) 主戦場  9.51(1,377)
④(4) フォードvsフェラーリ  9.50(7,935)
⑤(5) 2人のローマ教皇  9.29(595)
⑥(6) 映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!  9.27(200)
⑦(7) ジョジョ・ラビット  9.18(1,212)
⑧(8) 娘は戦場で生まれた  9.16(164)
⑨(-) ネヴァー・ルック・アウェイ  9.12(100)
⑩(10) ナイブズ・アウト  9.11(3,819)

 ①「サンティアゴの白い杖」が新登場です。視覚障碍者の巡礼の旅を記録した韓国のドキュメンタリーです。1級視覚障碍者として事物のうっすらした形状だけやっと見ることができるジェハンと不認可のフリースクール上級で不確実な将来に対する悩みを抱えているダヒは、数百キロにも及ぶ長く険しい巡礼の道へと旅立ちます。目が見えない障碍を持っていてもフラメンコという情熱的なダンスを踊るジェハンは、巡礼路の終着点スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の広場でいつも夢に見てきたままにフラメンコをみごとに踊ることができるでしょうか・・・。原題は「산티아고의 흰 지팡이」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 燃え立つ若い女性の肖像  9.22(9)
②(2) アイリッシュマン  9.11(9)
③(3) パラサイト 半地下の家族[寄生虫](韓国)  9.06(16)
④(4) 小さな光(韓国)   8.67(3)
⑤(5) マリッジ・ストーリー  8.50(2)
⑥(6) はちどり(韓国)  8.38(13)
⑦(7) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語  8.00(10)
⑧(8) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  7.90(10)
⑨(9) 1917 命をかけた伝令  7.67(9)
⑩(-) 象は静かに座っている  7.67(3)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績3月20日(金)~3月22日(日) ★★★
           「透明人間」が4週連続1位。しかしこんな数字では・・・

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・透明人間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/26 ・・・・・・・・・・41,731・・・・・・・493,249 ・・・・・・・・4,316 ・・・・・・・594
2(3)・・1917 命をかけた伝令・・・・・・・・・2/19 ・・・・・・・・・・34,160・・・・・・・666,593 ・・・・・・・・6,116 ・・・・・・・546
3(2)・・ダーク・ウォーターズ ・・・・・・・・3/11 ・・・・・・・・・・20,759・・・・・・・103,430・・・・・・・・・・904 ・・・・・・・504
4(5)・・正直な候補(韓国)・・・・・・・・・・・・2/12 ・・・・・・・・・・10,825 ・・・・・1,520,807 ・・・・・・・12,740 ・・・・・・・312
5(4)・・藁にもすがる獣たち(韓国)・・・・2/19 ・・・・・・・・・・・7,002・・・・・・・612,038 ・・・・・・・・5,313 ・・・・・・・298
6(新)・・アガサ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/19 ・・・・・・・・・・・6,598・・・・・・・・・9,666・・・・・・・・・・・86 ・・・・・・・370
7(6)・・ストーリー・オブ・マイライフ・・2/12・・・・・・・・・・・6,392・・・・・・・847,956 ・・・・・・・・7,150 ・・・・・・・246
       わたしの若草物語
8(7)・・アリー/ スター誕生 ・・・・・2018/10/09 ・・・・・・・・・・・6,242・・・・・・・519,163 ・・・・・・・・4,401 ・・・・・・・211
9(9)・・アバウト・タイム ・・・・・・・2013/12/05 ・・・・・・・・・・・3,596 ・・・・・3,435,478 ・・・・・・・25,223 ・・・・・・・・81
       ~愛おしい時間について~
10(再)・・ワイルド・スピード ICE BREAK・・2017/4/12・・・3,457 ・・・・・3,657,537 ・・・・・・・30,024 ・・・・・・・・35
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 観客数の減少率は小さくなってきたといっても、まだ減り続けています。はたしていつ下げ止まるのか、先が読めません。。
 新作は6位のみ、再上映は3・10位の2作品です。
 6位「アガサ」は、アメリカのホラー。舞台は1950年代にジョージア州の小さな町。元不良少女だったアガサ(サブリナ・カーン)は、ボーイフレンドの子供を身ごもってしまいます。妊娠した独身女性が子供を産むと周りから白い目で見られていた時代で、彼女は人里離れた修道院に避難を求めてやってきます。そこの若いシングルマザーたちはなぜか怯えた表情で彼女を迎えます。修道院では修道院長により厳格な規律が科せられたものでしたが、その中でメリーははっきりとはわからない恐怖感に包まれ、やがてこの修道院に隠された衝撃的な秘密を知ることになります・・・。主人公はメリーなのになぜタイトルが<アガサ>かというと、それは乳房を切り取られる拷問をうけたキリスト教の聖人<聖アガサ>のことで、内容に関係するようです。韓国題は「세인트 아가타(セント・アガサ)」。日本では一般劇場公開はなく、配信のみのようです。
 10位「ワイルド・スピード ICE BREAK」は、アメリカのアクションシリーズ第8弾の再上映。日本でも同じ17年4月2週間ほど遅く公開されました。韓国題は「분노의 질주: 더 익스트림」です。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ダーク・ウォーターズ ・・・・・・・・・・・・3/11 ・・・・・・・20,759・・・・・・・・103,430・・・・・・・・・・904 ・・・・・・・504
2(新)・・アガサ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/19 ・・・・・・・・6,598・・・・・・・・・・9,666・・・・・・・・・・・86 ・・・・・・・370
3(再)・・シンドラーのリスト・・・・・・・・1994/3/05 ・・・・・・・・2,085・・・・・・・・・10,314・・・・・・・・・・・69 ・・・・・・・110
4(2)・・メメント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2001/8/24 ・・・・・・・・1,973 ・・・・・・・・・28,635 ・・・・・・・・・192 ・・・・・・・・73
5(再)・・ミッドナイト・イン・パリ・・・・2012/7/05 ・・・・・・・・1,836 ・・・・・・・・379,196・・・・・・・・2,802 ・・・・・・・106

 2位が新登場、3・5位は旧作の再上映です。
 2位「アガサ」については上述しました。
 3位「シンドラーのリスト」は、いうまでもなくスティーヴン・スピルバーグによるホロコースト関係の代表的作品。日本でも韓国と同じ年1週間早く公開されました。韓国題は「쉰들러 리스트」です。
 5位「ミッドナイト・イン・パリ」は、アメリカ・スペイン合作で、ウディ・アレン監督によるラブコメディ。日本でも同じ2012年に2ヵ月早く公開されています。韓国題は「미드나잇 인 파리」です。

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5 コメント

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「誓いの休暇」Youtube (ソウル一市民)
2020-03-25 12:19:01
英語字幕で構わなければ、以下で見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=H2ZFe7XGwt8
返信する
ありがとうございました。 (ヌルボ)
2020-03-26 09:53:23
 さっそくコメントを下さってありがとうございました。
 実は私もこの動画を先週見つけ、お気に入りに入れたところでした。どなたかの感想中に音楽にふれているものがあって、コチラへのリンクが張られていました。 →
https://youtu.be/UWPDAHeoucg

 その時、そのロシア語列中の "Баллада о солдате"の部分が映画の原題だろうと見当をつけ、コピペして再検索し、首尾よく見つけました。しかし後で考えればウィキペディアにどちらもありましたね(笑)。なおどちらも日本語だと「兵士のバラード」ですが、これは邦題の方が良いと思います。長年親しんできたということもあるでしょうが・・・。

※映画関係以外の記事が少なくなっているのは本意ではないので、なんとか打開を図らなくてはと思っています。が、昨日から(やむなく)ツイッターを始めてしまって、生産的なこともしないまま時間のみ消費してしまう日々がさらに続いてしまいそう?(今日はこれから花見だし・・・。)
返信する
誓いの休暇 邦題 (ソウル一市民)
2020-03-26 11:57:05
早速コメントありがとうございました。昔の映画の邦題、なかなか良いものが多かったですね。それに比べて最近の邦題は・・・・・・(韓国関係では例の「新感染」など)。
反対に原題が余りに素っ気なく印象に残らないものも(単語1つや人物名そのままなど)少なくない気がします。有名どころでは「アパートの鍵貸します」=The Apartmentや「小さな恋のメロディ」=Melody、登場人物名そのままは「望郷」や「明日に向かって撃て!」、「俺たちに明日はない」(原題も好きですが)などなど枚挙に遑なしです。
もちろん原題を改悪したと言われるものもありますけれども(古い例ではThe Great Gatsby=「暗黒街の巨頭」やTo Have and Have Not=「脱出」。セルジオ・レオーネ作品の邦題も決して悪くはないものの、原題も捨てがたい上、昔はよくあったものの、全然関係ない作品に続編のような題名をつけたのは頂けません)。
Twitterのアカウント名はヌルボさんではないのですね(単に私の検索の仕方が悪いだけかも知れませんが)。映画以外の記事も楽しみにしております。
返信する
誓いの休暇 (テヒ)
2020-04-22 19:43:37
以前から拝見していたのですが初めてお邪魔します。
『誓いの休暇』懐かしいですね。

中学生から高校生にかけてのころ、大阪の朝日会館でかなりの期間、新藤兼人監督の『裸の島』にこの『誓いの~』とタルコフスキーの『僕の村は戦場だった』を入れ替えで二本立てで上映していました。
何度も見に行きました。

主題曲のドーナツ版も持っていました。いまでも忘れられないメロディーです。

返信する
約60年経っても残るものは残る (ヌルボ)
2020-04-23 22:58:53
 60年近く前の中学生の頃、級友たちの間で話題になった映画は「ベン・ハー」と「ウエスト・サイド物語」でした。後者は、放課後音楽室でLPを聴く催しがあって、生徒たちで部屋一杯になりました。私もLPを買ってハーモニカでトゥナイトやマリア等を吹いたものです。「誓いの休暇」を観たのはその後しばらくして、ATG会員になって映画オタクの道を歩み始めてからです。当時観た作品では、「禁じられた遊び」や「シベールの日曜日」等も印象に残っています。
 大阪の朝日会館については知りませんでしたが、ウィキペディアによると1962年に閉館したとのこと。テヒさんがご覧になったのはその最後の時期だったようですね。徳島同様、一般の映画館で広く上映された作品ではなかったのではないでしょょうか? 映画関係の本でもさほど取り上げられてない印象がありますが、それでもこれだけ多くの人の記憶に残るというのはやはり作品の力ですね。
 他の2本も良いですね。「裸の島」は2015に初めて観ましたが、これほどのレベルの邦画は今は望むべくもないと実感しました。
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