▸私ヌルボが11年前から「韓国内の映画 週末興行成績」の記事を続けている理由その1は、映画ファンとしてのメリットがあるからです。→コチラや→コチラのデータからもわかるように韓国は国民1人当たり映画入場回数が(アイスランドと並んで)世界一で映画関係の情報が多く、また2016年の数字では外国映画の上映本数が日本の539本に対し韓国は1,218本と倍以上にもなる上、日本での公開作のほとんどは韓国では何ヵ月も早く公開されるので、韓国の映画サイトを通じて書く作品の内容や、映画ファンたちの反応がわかり、観たい映画の目星をつけられます。
そしてメリットその2は、韓国オタクとして映画を通じて韓国の社会や文化を知る手がかりになるということ。とくにドキュメンタリーの場合は日本での公開はあまりなくても、どんなことに韓国の人たちの関心が向けられているかを垣間見ることができます。
・・・ということで、今回韓国で新登場の作品中の注目作は、上記のメリットその1関連でルーマニア等3ヵ国の合作アニメ「マローナの素晴らしき旅」、メリットその2関連ではソウル女子大の宗教教育担当牧師を務めながら精力的な講演活動を続けているキム・チャンオクさんのドキュメンタリー「聞こえますか?」です。詳細は後掲の記事で。
▸10日(水)は約80日ぶりに東京へ。それもわざわざアップリンク吉祥寺まで行って観たのは、気になりながらも観てなかった「パターソン」。ジム・ジャームッシュ監督作品をその名声は知りながらもたぶん全然観てなかったのは、なんとなく自分には合わない感じがしていたから。しかし「パターソン」はなかなか評価も高いようだし、たまたま東京での上映作品リストにあったので行ってきたという次第。で感想は、一言で言えば自分の予感を確認したというわけです。ただ、こういう映画に入れ込むファンはたしかにいるだろうことはわかりました。
12日(金)は、横浜シネマリンでこの4月亡くなった大林宣彦監督特集中の1つ「青春デンデケデケデケ」を鑑賞。この作品は1991年の直木賞を受賞した芦原すなおの原作をけっこう感動して読んだ後、92年の公開直後に観ましたが、ほとんど記憶がすっ飛んでいたので初めて観たようなものです。60年代後半エレキギターに夢中になった香川県の公立高校生の話で、音楽ジャンルはちょっと違いますが一昨年公開の「坂道のアポロン」と重なる部分が多々あり、また同時期に隣県徳島の公立高校生だった私ヌルボ自身の体験とも重なっていろんなことを思い起こしました。当時人気の洋楽ポップスではパット・ブーンとかコニー・フランシスの「ボーイハント」とかハリー・ベラフォンテとかプレスリーの「ハウンドドッグ」とか・・・。世相等では、当時はまだバイクに乗る時ヘルメットはかぶっていないとか、白黒TVでプロレス中継(「16文キック」とか)、高校生のアルバイトで「日給850円もくれる」とか(ヌルボの初バイト=デパートのお中元仕分けは日給500円だった。) そして何と言っても男女生徒間の<距離感>ですね、今と全然違うのは・・・。
個人的思い出につい深入りしてしまいました。上記「坂道のアポロン」と比べるとずいぶん作品の<感触>が違います。「坂道の~」が現代の感覚で半世紀前の過去を描いた作品とすれば、「青春~」はすでに20年近くも前にその30年前を描いた、いわば<大過去>の物語なのです。画面もセピアっぽい感じだし、見た目あまり同じ時代とは思えません。今の感覚だと、若い世代が「青春デンデケデケデケ」を観て自然に共感できるかどうか、よくわかりません。
★★★ NAVERの人気順位(6月16日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。
①(新) EYES ON ME : The Movie(韓国) 9.74(691)
②(新) 聞こえますか?(韓国) 9.68(47)
③(1) こんにちは、ミヌ(韓国) 9.62(32)
④(3) ビホールド・マイ・ハート 9.48(29)
⑤(5) 私はポリ(韓国) 9.44(89)
⑥(新) マローナの素晴らしき旅 9.32(25)
⑦(6) レミ:家なき子 9.25(36)
⑧(8) トムボーイ 9.23(369)
⑨(7) ネコの執事(韓国) 9.21(73)
⑩(-) ミス・ビヘイビア 9.08(286)
①②⑥の3作品が新登場です。
①「EYES ON ME : The Movie」については後述します。
②「聞こえますか?」は、韓国のドキュメンタリー。韓国の<疎通>の専門家として過去19年間で7千回を超える講演を行い、YouTubeでも累積8千万ビューを記録するほど数多くの人々に共感と慰めを伝えてきたキム・チャンオク(1973~)のこれまでの人生をたどる・・・という内容ですが、私ヌルボはこの人のことを知りませんでした。済州島に生まれ、聴覚障碍者の父といつも不満一杯の母との経済的に恵まれない家庭に育ち、教会共同体の援助を受けたことが敬虔なクリスチャンになるきっかけとなったとか。工業高校を卒業後、彼は兵役等紆余曲折を経て25歳で慶熙大声楽科に進学します。1999年にミュージカル俳優としてデビューしますが、今は主にソウル女子大学の兼任教授という肩書で宗教教育担当牧師を務めながら、キム・チャンオクヒューマンカンパニーを設立し、上記のように<疎通>と<声>をテーマに大学のほか官公庁、企業等で講演をしている・・・、ということです。その講演をたとえば→コチラの動画で見てみました。すると聴衆の大多数は女性です。<NAVER映画>によるとこの映画の観客も約9割は女性。上掲の画像のようにキム・チャンオク氏は背が高くて男前で身なりもパリッとしているので、ナルホド感十分。話術も巧みで、一方的な話ではなく聴衆との言葉のやりとりもあり、笑い声もしばしば。そしてこの回の講演のキモは「昨日今日、私が食べた物は明日の私の体になる」。たとえば最近自分はどんな人と会い、どんな本を読んでいるか?ということが、これからの自分の糧となるということ。これまたナルホド感十分。日本でこの人に相当するような著名人がいるか少し考えてみましたが思い浮かばず。宗教関係で誰かいるかもしれませんが・・・。まあ日韓の宗教風土の違いも関係あるかも。原題は「들리나요?」です。
⑤「マローナの素晴らしき旅」(仮)が新登場です。ルーマニア・フランス・ベルギーの合作によるアニメ。昨年の第32回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で上映された時はこのタイトルでしたが、東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)2020の長編コンペティションには「マロナの幻想的な物語り」というタイトルでノミネートされました。このTAFFは新型コロナ禍のため中止となりましたが各賞の選考は行われ、この作品が長編部門のグランプリを獲得しました。韓国の富川国際アニメーションフェスティバルでも大賞と観客賞を受賞しています。物語は、冒頭でマローナという雑種犬が車に轢かれ、その瞬間に一生を回想するという構成になっています。9番目の子犬として生まれた後、大道芸人や土方のあんちゃん等々、いろんな人に拾われそして棄てられ、その度に名前も変わっていきます。そんな飼い主たちとの関わりを中心にマローナの脳裏に自分の人生(犬生か?)が<走馬灯のように>浮かぶのですが、何と言ってもこのアニメは見た目がとにかくアート! 色の使い方とか曲線の動きとか・・・。たとえば→コチラの予告編(30秒.韓国語字幕付き)をぜひ見てみてください! また→コチラ(約4分)は韓国人女性のYouTuberがとても手際よく紹介しています。(ヌルボのような)聴き取りが苦手な人のため?ハングル字幕が付いています。韓国題は「환상의 마로나(幻想のマロナ)」。で、日本では一般劇場公開の予定はどうなってるの? すごく観たいんだけど・・・。
【記者・評論家による順位】
①(1) 燃え立つ若い女性の肖像 9.22(9)
②(-) 小さな光(韓国) 8.67(3)
③(2) はちどり(韓国) 8.38(13)
④(3) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 8.00(10)
⑤(新) マローナの素晴らしき旅 7.83(6)
⑥(4) 1917 命をかけた伝令 7.67(9)
⑦(5) トムボーイ 7.33(9)
⑧(-) EXIT(韓国) 7.23(13)
⑨(6) チャンシルは福も多いね(韓国) 7.00(10)
⑩(7) 透明人間 7.00(2)
⑤「マローナの素晴らしき旅」が新登場ですが、この作品については上述しました。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月12日(金)~6月14日(日) ★★★
韓国映画「潔白」が20万人を超え、1位に
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・上映館数
1(23)・・潔白(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・6/10・・・・・・・・・・247,442・・・・・・・314,733 ・・・・・・・・2,890 ・・・・・・1,111
2(1)・・侵入者(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・6/04・・・・・・・・・・・81,513・・・・・・・455,408 ・・・・・・・・4,154 ・・・・・・・・821
3(28)・・イントゥ・ザ・スカイ・・・・・・・・6/10 ・・・・・・・・・・36,253・・・・・・・・52,422・・・・・・・・・・467・・・・・・・・534
気球で未来を変えたふたり
4(2)・・グレイテスト・ショーマン・・2017/12/20・・・・・・・28,073 ・・・・・1,633,719 ・・・・・・・12,946・・・・・・・・417
5(新)・・ザ・ハイ・ノート・・・・・・・・・・・・6/10 ・・・・・・・・・・22,591・・・・・・・・32,712・・・・・・・・・・302・・・・・・・・462
6(新)・・EYES ON ME : The Movie(韓国)・・6/10・・・・・・・12,566・・・・・・・・30,751・・・・・・・・・・396・・・・・・・・117
7(5)・・マッドマックス ・・・・・・・・・2015/5/14 ・・・・・・・・・・9,267 ・・・・・3,910,311 ・・・・・・・33,620・・・・・・・・・38
怒りのデス・ロード
8(4)・・エスケープ・フロム・プレトリア ・・5/06・・・・・・・・7,542・・・・・・・213,731 ・・・・・・・・1,826・・・・・・・・177
9(再)・・君の名前で僕を呼んで・・・2018/3/22・・・・・・・・・・7,448・・・・・・・212,931 ・・・・・・・・1,791・・・・・・・・・69
10(再)・・レオン[1994年] ・・・・・・・・1995/2/08 ・・・・・・・・・・5,543 ・・・・・・・・6,578・・・・・・・・・・・39・・・・・・・・130
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
観客動員数は若干上向きといったところか? あいかわらず旧作の再上映が目立ちます。日本でも同様ですが、映画ファンとしては見逃した作品を観るチャンスではあります。新登場は1・3・5・6位の4作品です。
1位「潔白」は、韓国のミステリー&ドラマ。有名法律事務所のエース弁護士ジョンイン(シン・ヘソン)は、父親の葬儀場で農薬マッコリ殺人事件が起きたことを知ります。容疑者として挙げられて緊急逮捕されたのは認知症を患っている母親ファジャ(ペ・ジョンオク)でした。ジョンインは母の潔白を主張するために故郷に戻って直接弁護を引き受けます。事件を追跡していたジョンインは、市長のチュ・イネ(ホ・ジュノ)を中心とした町の人々の組織的隠蔽と虚偽の陳述等、おかしな状況に気づきます。事実を暴いていくとさらに疑惑は膨らみます。彼はその日の記憶をすべて失った話し手の無実を証明するために、すべての人々に立ち向かっていきます・・・。原題は「결백」です。
3位「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」は、日本ではすでに1月17日に公開されています。韓国題は原題のまま「에어로너츠(The Aeronauts)」です。
5位「ザ・ハイ・ノート」(仮)は、アメリカのドラマ。マギー(ダコタ・ジョンソン)の夢は音楽プロデューサーになること。日中はスター歌手のグレース(トレイシー・エリス・ロス)のマネージャーとして個人アシスタントを務めていて、グレースのわがままに振り回されながら働き、夜は音楽の仕事をしていて情熱を燃やしてはいるものの、なかなか機会をつかめません。一方10年前のヒット曲1曲で世界的なスターの座を保っているグレースは、日々繰り返される公演にうんざりしていて、なんとか抜け出したいと考えていますが、周囲の反対等の壁にぶち当たっています。しかしついにグレースが新譜をリリースすると宣言し、マギーもその目標に向けて奮闘することに。こうして事態が動き始めます・・・。なお、トレイシー・エリス・ロスはあのダイアナ・ロスの娘。伝説的な歌手を演じるということで話題になっているとか・・・。韓国題は「나의 첫 번째 슈퍼스타(私の最初のスーパースター)」。日本公開は未定のようです。
6位「EYES ON ME : The Movie」は、韓国と日本合同のグローバル女性アイドルグループ、IZ*ONE(アイズ・ワン)の公演記録。IZ*ONEは2018年に12人で結成され、内3人はAKB48所属の日本人で・・・ということ等々全然ご存じなかったオジサンたちは→ウィキペディア参照。あるいは→YouTubeで「ヴァンパイア / VAMPIRE」でも聴いてみて。いや、それよりもこの映画の予告編等4つの動画を1つにまとめて日本語字幕をつけた動画が数日前に公開されてるのですね。(→コチラ。) いやあ、労を惜しまない熱烈ファンがいらっしゃるものです。この動画でもわかるように、コンサートVだけでなく、新曲の録音現場、振り付けの練習、現場リハーサル等々の様子も収められています。原題は「아이즈 온 미 : 더 무비」です。日本での公開はどういう形になるのかはどこかで検討中なんでしょうね?
なお、今回も旧作が2作品新たにランキング入り。9位「君の名前で僕を呼んで」はまだ記憶に新しいですが、「レオン」はもう4半世紀にもなるのですね。考えてみればナタリー・ポートマン(1981~)が少女役で注目され、人気スターへの一歩を踏み出した作品だし・・・。なお、最初公開された1994年版は111分で、その後リュック・ベッソン監督が22分の新たなシーンを加えた完全版が1996年に公開されています。
【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・上映館数
1(15)・・イントゥ・ザ・スカイ・・・・・・・・・・・・・・6/10 ・・・・・・36,253 ・・・・・・・・・52,422 ・・・・・・・・・467・・・・・・・・534
気球で未来を変えたふたり
2(1)・・エスケープ・フロム・プレトリア ・・・・5/06・・・・・・・・7,542 ・・・・・・・・213,731・・・・・・・・1,826・・・・・・・・177
3(再)・・君の名前で僕を呼んで・・・・・・・2018/3/22・・・・・・・・7,448 ・・・・・・・・212,931・・・・・・・・1,791・・・・・・・・・69
4(再)・・グランド・ブダペスト・ホテル・・2014/3/20・・・・・・・4,959 ・・・・・・・・828,477・・・・・・・・6,462・・・・・・・・・84
5(新)・・君は月夜に光り輝く(日本)・・・・・・・・5/20 ・・・・・・・・4,958・・・・・・・・・・8,723 ・・・・・・・・・・78・・・・・・・・167
1・5位の2作品が新登場です。
1位「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」については上述しました。
5位「君は月夜に光り輝く」は、私ヌルボは観てないのでコメントする資格はないですが、先週書いたようにいわゆる難病物には最初から拒否感がある上、その病気というのが現実にはない奇病となるとなんだなー、です。<NAVER映画>のコメントを見ると、映画誌「スクリーン」のチョン・ユミ氏も同じ月川翔監督の「君の膵臓をたべたい」と比較すると「設定はよく似ているが、今度は演出もキャスティングも光らない。前作の踏襲に止まって、キャスティングも前作のイメージの繰り返しに近い」と批判していますね。韓国題は「너는 달밤에 빛나고」です。
そしてメリットその2は、韓国オタクとして映画を通じて韓国の社会や文化を知る手がかりになるということ。とくにドキュメンタリーの場合は日本での公開はあまりなくても、どんなことに韓国の人たちの関心が向けられているかを垣間見ることができます。
・・・ということで、今回韓国で新登場の作品中の注目作は、上記のメリットその1関連でルーマニア等3ヵ国の合作アニメ「マローナの素晴らしき旅」、メリットその2関連ではソウル女子大の宗教教育担当牧師を務めながら精力的な講演活動を続けているキム・チャンオクさんのドキュメンタリー「聞こえますか?」です。詳細は後掲の記事で。
【「マローナの素晴らしき旅」の韓国版ポスターと、講演中のキム・チャンオク氏(YouTubeより) 】
▸10日(水)は約80日ぶりに東京へ。それもわざわざアップリンク吉祥寺まで行って観たのは、気になりながらも観てなかった「パターソン」。ジム・ジャームッシュ監督作品をその名声は知りながらもたぶん全然観てなかったのは、なんとなく自分には合わない感じがしていたから。しかし「パターソン」はなかなか評価も高いようだし、たまたま東京での上映作品リストにあったので行ってきたという次第。で感想は、一言で言えば自分の予感を確認したというわけです。ただ、こういう映画に入れ込むファンはたしかにいるだろうことはわかりました。
12日(金)は、横浜シネマリンでこの4月亡くなった大林宣彦監督特集中の1つ「青春デンデケデケデケ」を鑑賞。この作品は1991年の直木賞を受賞した芦原すなおの原作をけっこう感動して読んだ後、92年の公開直後に観ましたが、ほとんど記憶がすっ飛んでいたので初めて観たようなものです。60年代後半エレキギターに夢中になった香川県の公立高校生の話で、音楽ジャンルはちょっと違いますが一昨年公開の「坂道のアポロン」と重なる部分が多々あり、また同時期に隣県徳島の公立高校生だった私ヌルボ自身の体験とも重なっていろんなことを思い起こしました。当時人気の洋楽ポップスではパット・ブーンとかコニー・フランシスの「ボーイハント」とかハリー・ベラフォンテとかプレスリーの「ハウンドドッグ」とか・・・。世相等では、当時はまだバイクに乗る時ヘルメットはかぶっていないとか、白黒TVでプロレス中継(「16文キック」とか)、高校生のアルバイトで「日給850円もくれる」とか(ヌルボの初バイト=デパートのお中元仕分けは日給500円だった。) そして何と言っても男女生徒間の<距離感>ですね、今と全然違うのは・・・。
個人的思い出につい深入りしてしまいました。上記「坂道のアポロン」と比べるとずいぶん作品の<感触>が違います。「坂道の~」が現代の感覚で半世紀前の過去を描いた作品とすれば、「青春~」はすでに20年近くも前にその30年前を描いた、いわば<大過去>の物語なのです。画面もセピアっぽい感じだし、見た目あまり同じ時代とは思えません。今の感覚だと、若い世代が「青春デンデケデケデケ」を観て自然に共感できるかどうか、よくわかりません。
★★★ NAVERの人気順位(6月16日現在上映中映画) ★★★
【ネチズンによる順位】
※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。
①(新) EYES ON ME : The Movie(韓国) 9.74(691)
②(新) 聞こえますか?(韓国) 9.68(47)
③(1) こんにちは、ミヌ(韓国) 9.62(32)
④(3) ビホールド・マイ・ハート 9.48(29)
⑤(5) 私はポリ(韓国) 9.44(89)
⑥(新) マローナの素晴らしき旅 9.32(25)
⑦(6) レミ:家なき子 9.25(36)
⑧(8) トムボーイ 9.23(369)
⑨(7) ネコの執事(韓国) 9.21(73)
⑩(-) ミス・ビヘイビア 9.08(286)
①②⑥の3作品が新登場です。
①「EYES ON ME : The Movie」については後述します。
②「聞こえますか?」は、韓国のドキュメンタリー。韓国の<疎通>の専門家として過去19年間で7千回を超える講演を行い、YouTubeでも累積8千万ビューを記録するほど数多くの人々に共感と慰めを伝えてきたキム・チャンオク(1973~)のこれまでの人生をたどる・・・という内容ですが、私ヌルボはこの人のことを知りませんでした。済州島に生まれ、聴覚障碍者の父といつも不満一杯の母との経済的に恵まれない家庭に育ち、教会共同体の援助を受けたことが敬虔なクリスチャンになるきっかけとなったとか。工業高校を卒業後、彼は兵役等紆余曲折を経て25歳で慶熙大声楽科に進学します。1999年にミュージカル俳優としてデビューしますが、今は主にソウル女子大学の兼任教授という肩書で宗教教育担当牧師を務めながら、キム・チャンオクヒューマンカンパニーを設立し、上記のように<疎通>と<声>をテーマに大学のほか官公庁、企業等で講演をしている・・・、ということです。その講演をたとえば→コチラの動画で見てみました。すると聴衆の大多数は女性です。<NAVER映画>によるとこの映画の観客も約9割は女性。上掲の画像のようにキム・チャンオク氏は背が高くて男前で身なりもパリッとしているので、ナルホド感十分。話術も巧みで、一方的な話ではなく聴衆との言葉のやりとりもあり、笑い声もしばしば。そしてこの回の講演のキモは「昨日今日、私が食べた物は明日の私の体になる」。たとえば最近自分はどんな人と会い、どんな本を読んでいるか?ということが、これからの自分の糧となるということ。これまたナルホド感十分。日本でこの人に相当するような著名人がいるか少し考えてみましたが思い浮かばず。宗教関係で誰かいるかもしれませんが・・・。まあ日韓の宗教風土の違いも関係あるかも。原題は「들리나요?」です。
⑤「マローナの素晴らしき旅」(仮)が新登場です。ルーマニア・フランス・ベルギーの合作によるアニメ。昨年の第32回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で上映された時はこのタイトルでしたが、東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)2020の長編コンペティションには「マロナの幻想的な物語り」というタイトルでノミネートされました。このTAFFは新型コロナ禍のため中止となりましたが各賞の選考は行われ、この作品が長編部門のグランプリを獲得しました。韓国の富川国際アニメーションフェスティバルでも大賞と観客賞を受賞しています。物語は、冒頭でマローナという雑種犬が車に轢かれ、その瞬間に一生を回想するという構成になっています。9番目の子犬として生まれた後、大道芸人や土方のあんちゃん等々、いろんな人に拾われそして棄てられ、その度に名前も変わっていきます。そんな飼い主たちとの関わりを中心にマローナの脳裏に自分の人生(犬生か?)が<走馬灯のように>浮かぶのですが、何と言ってもこのアニメは見た目がとにかくアート! 色の使い方とか曲線の動きとか・・・。たとえば→コチラの予告編(30秒.韓国語字幕付き)をぜひ見てみてください! また→コチラ(約4分)は韓国人女性のYouTuberがとても手際よく紹介しています。(ヌルボのような)聴き取りが苦手な人のため?ハングル字幕が付いています。韓国題は「환상의 마로나(幻想のマロナ)」。で、日本では一般劇場公開の予定はどうなってるの? すごく観たいんだけど・・・。
【記者・評論家による順位】
①(1) 燃え立つ若い女性の肖像 9.22(9)
②(-) 小さな光(韓国) 8.67(3)
③(2) はちどり(韓国) 8.38(13)
④(3) ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 8.00(10)
⑤(新) マローナの素晴らしき旅 7.83(6)
⑥(4) 1917 命をかけた伝令 7.67(9)
⑦(5) トムボーイ 7.33(9)
⑧(-) EXIT(韓国) 7.23(13)
⑨(6) チャンシルは福も多いね(韓国) 7.00(10)
⑩(7) 透明人間 7.00(2)
⑤「マローナの素晴らしき旅」が新登場ですが、この作品については上述しました。
★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月12日(金)~6月14日(日) ★★★
韓国映画「潔白」が20万人を超え、1位に
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・上映館数
1(23)・・潔白(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・6/10・・・・・・・・・・247,442・・・・・・・314,733 ・・・・・・・・2,890 ・・・・・・1,111
2(1)・・侵入者(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・6/04・・・・・・・・・・・81,513・・・・・・・455,408 ・・・・・・・・4,154 ・・・・・・・・821
3(28)・・イントゥ・ザ・スカイ・・・・・・・・6/10 ・・・・・・・・・・36,253・・・・・・・・52,422・・・・・・・・・・467・・・・・・・・534
気球で未来を変えたふたり
4(2)・・グレイテスト・ショーマン・・2017/12/20・・・・・・・28,073 ・・・・・1,633,719 ・・・・・・・12,946・・・・・・・・417
5(新)・・ザ・ハイ・ノート・・・・・・・・・・・・6/10 ・・・・・・・・・・22,591・・・・・・・・32,712・・・・・・・・・・302・・・・・・・・462
6(新)・・EYES ON ME : The Movie(韓国)・・6/10・・・・・・・12,566・・・・・・・・30,751・・・・・・・・・・396・・・・・・・・117
7(5)・・マッドマックス ・・・・・・・・・2015/5/14 ・・・・・・・・・・9,267 ・・・・・3,910,311 ・・・・・・・33,620・・・・・・・・・38
怒りのデス・ロード
8(4)・・エスケープ・フロム・プレトリア ・・5/06・・・・・・・・7,542・・・・・・・213,731 ・・・・・・・・1,826・・・・・・・・177
9(再)・・君の名前で僕を呼んで・・・2018/3/22・・・・・・・・・・7,448・・・・・・・212,931 ・・・・・・・・1,791・・・・・・・・・69
10(再)・・レオン[1994年] ・・・・・・・・1995/2/08 ・・・・・・・・・・5,543 ・・・・・・・・6,578・・・・・・・・・・・39・・・・・・・・130
※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。
観客動員数は若干上向きといったところか? あいかわらず旧作の再上映が目立ちます。日本でも同様ですが、映画ファンとしては見逃した作品を観るチャンスではあります。新登場は1・3・5・6位の4作品です。
1位「潔白」は、韓国のミステリー&ドラマ。有名法律事務所のエース弁護士ジョンイン(シン・ヘソン)は、父親の葬儀場で農薬マッコリ殺人事件が起きたことを知ります。容疑者として挙げられて緊急逮捕されたのは認知症を患っている母親ファジャ(ペ・ジョンオク)でした。ジョンインは母の潔白を主張するために故郷に戻って直接弁護を引き受けます。事件を追跡していたジョンインは、市長のチュ・イネ(ホ・ジュノ)を中心とした町の人々の組織的隠蔽と虚偽の陳述等、おかしな状況に気づきます。事実を暴いていくとさらに疑惑は膨らみます。彼はその日の記憶をすべて失った話し手の無実を証明するために、すべての人々に立ち向かっていきます・・・。原題は「결백」です。
3位「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」は、日本ではすでに1月17日に公開されています。韓国題は原題のまま「에어로너츠(The Aeronauts)」です。
5位「ザ・ハイ・ノート」(仮)は、アメリカのドラマ。マギー(ダコタ・ジョンソン)の夢は音楽プロデューサーになること。日中はスター歌手のグレース(トレイシー・エリス・ロス)のマネージャーとして個人アシスタントを務めていて、グレースのわがままに振り回されながら働き、夜は音楽の仕事をしていて情熱を燃やしてはいるものの、なかなか機会をつかめません。一方10年前のヒット曲1曲で世界的なスターの座を保っているグレースは、日々繰り返される公演にうんざりしていて、なんとか抜け出したいと考えていますが、周囲の反対等の壁にぶち当たっています。しかしついにグレースが新譜をリリースすると宣言し、マギーもその目標に向けて奮闘することに。こうして事態が動き始めます・・・。なお、トレイシー・エリス・ロスはあのダイアナ・ロスの娘。伝説的な歌手を演じるということで話題になっているとか・・・。韓国題は「나의 첫 번째 슈퍼스타(私の最初のスーパースター)」。日本公開は未定のようです。
6位「EYES ON ME : The Movie」は、韓国と日本合同のグローバル女性アイドルグループ、IZ*ONE(アイズ・ワン)の公演記録。IZ*ONEは2018年に12人で結成され、内3人はAKB48所属の日本人で・・・ということ等々全然ご存じなかったオジサンたちは→ウィキペディア参照。あるいは→YouTubeで「ヴァンパイア / VAMPIRE」でも聴いてみて。いや、それよりもこの映画の予告編等4つの動画を1つにまとめて日本語字幕をつけた動画が数日前に公開されてるのですね。(→コチラ。) いやあ、労を惜しまない熱烈ファンがいらっしゃるものです。この動画でもわかるように、コンサートVだけでなく、新曲の録音現場、振り付けの練習、現場リハーサル等々の様子も収められています。原題は「아이즈 온 미 : 더 무비」です。日本での公開はどういう形になるのかはどこかで検討中なんでしょうね?
なお、今回も旧作が2作品新たにランキング入り。9位「君の名前で僕を呼んで」はまだ記憶に新しいですが、「レオン」はもう4半世紀にもなるのですね。考えてみればナタリー・ポートマン(1981~)が少女役で注目され、人気スターへの一歩を踏み出した作品だし・・・。なお、最初公開された1994年版は111分で、その後リュック・ベッソン監督が22分の新たなシーンを加えた完全版が1996年に公開されています。
【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・上映館数
1(15)・・イントゥ・ザ・スカイ・・・・・・・・・・・・・・6/10 ・・・・・・36,253 ・・・・・・・・・52,422 ・・・・・・・・・467・・・・・・・・534
気球で未来を変えたふたり
2(1)・・エスケープ・フロム・プレトリア ・・・・5/06・・・・・・・・7,542 ・・・・・・・・213,731・・・・・・・・1,826・・・・・・・・177
3(再)・・君の名前で僕を呼んで・・・・・・・2018/3/22・・・・・・・・7,448 ・・・・・・・・212,931・・・・・・・・1,791・・・・・・・・・69
4(再)・・グランド・ブダペスト・ホテル・・2014/3/20・・・・・・・4,959 ・・・・・・・・828,477・・・・・・・・6,462・・・・・・・・・84
5(新)・・君は月夜に光り輝く(日本)・・・・・・・・5/20 ・・・・・・・・4,958・・・・・・・・・・8,723 ・・・・・・・・・・78・・・・・・・・167
1・5位の2作品が新登場です。
1位「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」については上述しました。
5位「君は月夜に光り輝く」は、私ヌルボは観てないのでコメントする資格はないですが、先週書いたようにいわゆる難病物には最初から拒否感がある上、その病気というのが現実にはない奇病となるとなんだなー、です。<NAVER映画>のコメントを見ると、映画誌「スクリーン」のチョン・ユミ氏も同じ月川翔監督の「君の膵臓をたべたい」と比較すると「設定はよく似ているが、今度は演出もキャスティングも光らない。前作の踏襲に止まって、キャスティングも前作のイメージの繰り返しに近い」と批判していますね。韓国題は「너는 달밤에 빛나고」です。
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