愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

シェラに痛みの辛さだけは……

2011-11-03 23:36:19 | シェラの日々

☆ようやく診察にいってみると 

 シェラの喉と右足の付根にあるコブを診てもらいに動物病院へいった。ほぼひと月前の10月4日、シェラが突然倒れ、しばし意識を失ってしまったあとの診察で、喉のコブがずいぶん大きくなっているから落ち着いたら検査してみましょうといわれていたからである。
 あのあと、てんかん(かもしれない)の症状は出ていないのと、クルマが修理から戻ってきたのでようやく懸案だったコブの診察に出かけることができた。
 
 老犬は体中にコブができやすいそうである。ただでさえ脂肪の塊ができやすい体質のシェラはお腹にいくつもの脂肪の塊がある。それらはみなブヨブヨの柔らかい塊であるが、喉と右足の付根の大きなコブは硬く、しかも大きくなっているのがわかる。
 このふたつのコブの正体のいくつかの可能性と、それを見極めるいくつかの方法を教わった。そのうちから、エコーを使って血管を避けながら注射針で組織を取り、まずは検査に出すという方法を選択した。
 
 20分ほどかけて組織の採取は終わった。シェラを診察室に残し、ぼくたちは待合室で待っていたのだが、終わり近くなって部屋を隔てる壁の小さな窓越しに診察台のシェラと目が合ってしまった。
 シェラのいかにも心細げな、悲しい鳴き声が聞こえてきた。犬も歳を重ねると鳴き声で助けを求めることができるようになる。
 以前、やはりいまのシェラと同じくらいの年齢のわんこを抱える知人が、「ウチの犬も年取って人間に近づいてきた」といっていたのを思い出す。まさしく正鵠を射た言葉だったと今更ながらに納得できる。


☆願わくば、苦痛だけは許してほしい 

 エコーでのぞいた喉のコブは、「単なる脂肪の塊ではありませんね。明らかに腫瘍です」というのが医師の診たてだった。場所がら、腫瘍はリンパも含んでいるし、血管がたくさん通っているので楽観はできないそうである。
 「ただ、悪性の腫瘍とはかぎらないので、とりあえずは検査の結果を待ち、それからどうするかを検討しましょう」というのが今日の結論だった。

 そんな可能性も覚悟はしていたが、ぼくは思わずため息を漏らしていた。
 もし、悪性の腫瘍でなかったとしても、その腫瘍を小さくする薬が効いてくれるとはかぎらない。もし、効いてくれなかったら、成長する腫瘍にやがては喉を圧迫されて食べることさえ苦痛になる。
 あるいは、すでに呼吸器の圧迫がはじまっているのか、明らかに普段から息が荒い。暑い時期ならいざ知らず、こんなに涼しい気候になっているというのにである。
 
 1週間から10日後に明らかになる結果がどんなものであっても、シェラに痛みや苦しみだけは与えたくないと痛切に思う。
 むぎを喪ったばかりのいま、「神よ、いま少しシェラを召さずにいてください」と祈りたいところだが、いまは、「シェラに苦しみを与えずにお召しください」と切に祈りたい。
 痛みに苦しむシェラを見かねて安楽死の決断下さざるを得ないような局面になってほしくもない。残されたぼくたちに二倍の悲しみを課せられてもかまわない。もうかなり人間に近づいている老犬のシェラに痛苦だけは与えないでほしい。
 
 それだけが切なる願いである。


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