愛する犬と暮らす

この子たちに出逢えてよかった。

犬のいちばん美しい姿

2010-01-06 21:54:39 | 日記
  

☆もう身体がついていかないのか
 ムギのみならず、シェラもいま加療中である。
 
 29日からキャンプに出かけ、初日は何事もなく過ぎたものの、30日の朝、散歩に出かけたときに異変が起きた。
 クラブハウスへ向かう途中に芝生の多目的広場がある。毎年、ここで走っており、1年ぶりに来れたのがよほどうれしかったのだろう。「待ってました!」とばかり走り出した。ムギも続く……。

 走り出してすぐに「キャイン!」と悲しげな声を上げて立ち止まった。すでに左の後足は地面についていなかった。
 またしても足を痛めてしまった。気持ちばかりが先走るが、15歳の身体は容易にシェラの気持ちと同化してくれない。走ればすぐに足を痛めるほど年老いてしまった。
 クラブハウスへ行くのをあきらめ、テントサイトへ戻ることにした。
 
 途中、20段あまりの階段がある。はたして、3本の足で登れるだろうか。その先はゆるやかとはいえ坂道だし、トータルで150メートほど歩かなくてはならない。
 ぼくの心配をよそに、シェラは果敢に階段に挑む。線路の枕木の廃材で造られたけっこう急勾配の階段である。
 
 短足のムギは、階段を昇り降りするときお腹がつかえてしまうことがあるので、一気に、リズミカルに登っていく。下りも、同じだが、身体を斜めにして、万一、転がっても頭から落ちないように工夫して降りていく。わんこもなかなかに知恵を働かせて生きている。

 さて、3本足と化したシェラはというと……? むろん、いつものような軽快な登り方ではない。一段一段を慎重に登っている。適応力と身体能力の高さはさすがである。
 
 ただ、今年は、初日の出を拝むためにシェラたちを連れていくことができなかった。

☆もし、ボケがはじまったしまったら…
 シェラがはじめて足を痛めたのはちょうど8年前になる。このときは、「靱帯が切れた」と医者から脅かされ、シェラが走る姿はもう二度と見ることができないだろうとあきらめた。
 だが、どうやら誤診だったようである。シェラはまたたく間に復活した。あれほど自信たっぷりに見立てた獣医師は、その後、クリニックからいなくなった。
 
 その後も、たまに走っては足を痛めることがあったが、年々、こちらも慣れてしまい、あまり心配もしないし、騒がなくなった。たいてい時間を追って回復し、数日で完治するのを経験的に知ったからである。
 
 ただ、今回はいつもと様子が少し違った。まず、痛めた瞬間、「キャイン!」と声を上げたのははじめてだった。それと2日経っても3日経ってもさっぱり回復する様子がない。
 キャンプの最中は時間の大半をテントの寝室部の中で寝ていた。ご飯とオシッコやウンコで出てくる以外はおとなしくしている。食欲は落ちなかったが、おやつまではほしがらなかった。
 
 「寝てばかりいて、ここからボケがはじまったら……」と家人は心配したが、顔つきが曇ることはなく、以前どおりの精悍さがあった。
 「この表情が変わらないかぎりだいじょうぶだよ」
 老化が進むなんて、ぼくはまったく心配しなかった。
 
☆逃げようとする気力
 2日に東京へ戻ってきても、クリニックはまだお休みの最中。オープンは4日からである。
 幸いにして3日あたりから少し好転した。それまでは左足をまったく地面に着けなかったのに、少しは触れて歩くようになった。それでも段差のあるところで左足を使おうしてこけることがあった。
 
 ペットショップで補助用のハーネスを買ったが、まるで使い物にならない。三千なにがしかの金を捨てたようなものだ。衝動買いは慎まないと。
 
 4日の朝、さっそくクリニックへいった。待合室まではおとなしくしていたのに、診察室に入ろうとすると抵抗した。むりやり入れて先生に挨拶していると、背後でシェラが引き戸の扉を鼻先でこじ開けて待合室へ逃げようとする。
 足の症状を説明している最中も、また逃走をくわだてた。
 
 丁寧に触診をしてもらい、とりあえず、痛み止めや消炎剤で2週間ばかり様子を見ることにした。それでも好転しなければレントゲンを撮ってみるという。
 それほど深刻じゃないと言うことだ。
 
 その夜、いつのまにかベッドに飛び乗っていた。右足だけで乗ったのか、それとも両足を使ったのか、その瞬間を見ていないので定かではない。

 今朝、ぼくが出かけるときもベッドにいた。元気である。
 でも、もう走らせないようにしないと……。
 犬がいちばん美しく見えるのは走る姿である。それだけにちょっと寂しい。

【写真=(上)元旦の朝のシェラ。かすかに左足を上げている。(中)午前6時25分ごろ、山の稜線に初日の出が上がった。(下)テントの中で寝ているシェラとムギ。】


手術を覚悟して

2010-01-05 22:43:15 | 日記
  

☆ムギがまたしても……
 暮れから正月三が日にかけて、なんともめまぐるしい“事件”の連続だった。それらの主なものを記録しておこう。
 
 ムギの膀胱炎(ぼうこうえん)は薬で快癒し、アレルギーはその原因と思われる新しいおやつを控えたのでかゆみがなくなったらしい。お腹の皮膚の赤みも少しずつおさまりかけていた。
 ふと油断した矢先の昨年暮れ、また、夜中に家の中の同じ場所でオシッコをしてしまった。

 さっそくクリニックへ連れて行き、半日預けて検査すると、膀胱炎ではなかった。 
 手術を断り、様子をみることにした膀胱結石の複数の石が大きくなっていた。しかも、ギザギザの石があって、これが膀胱を刺激してオシッコをうながしてしまうのだろうというお医者さんの見立てだった。
 
 わが家は毎年、年末年始を伊豆の大仁で迎えるのが恒例になっている。しかもキャンプである。もちろん、テントを張っての……。
 ふだん家の中でヌクヌクとしているわんこだけに、やや苛酷なそんな遊びに連れていけるものかが心配だった。キャンプとはいわずに、「旅行にいけるでしょうか?」と訊ねると、答えは「無理をさせないようにしてお出かけください」。
 で、なんとか今年も出かけることができた。

☆使役犬らしさ
 キャンプ地でのムギは元気そのもの。毎度のことながら、頼みもしないのに見張りをしたり、ときどきテントを抜け出して、テントのまわりをパトロールをしたりと、生来の使役犬の面目躍如だった。
 
 キャンプへくると役立たずのわんこじゃないとわかるけど、不審者が近づいてきたときどうなるかは不明。
 以前、秩父の外れでテントのすぐ横をイノシシが通っていたことがあったが、わんこたちは知らん顔。本栖湖ではキツネが物乞いにやってきたが、このときも騒がなかった。
 野生動物に直接ハチ合わせになったら少しは反応するのだろうと期待しているが、きっと、ぼくの背後に隠れてしまうだろう。
 
 もっかのところ、ムギの膀胱結石は薬で様子を見ている。今週末の再検査次第で手術を覚悟しなければならない。お医者さんから、「これだけ(石が)大きくなると自然に排出は望めないでしょう」と宣告されているだけに、ぼくは覚悟を固めている。
 気になるのはシェラの反応である。

☆母犬としてのシェラ
 年末のレントゲンをはじめとする諸検査で、半日だけムギをクリニックへ預けた。シェラとは、夕方までムギなしで過ごした。
 横にムギがいないというだけで、シェラから生気が消えた。とにかく元気がないのだ。歩く姿からしてすっかり年老いてしまった。「おい、どうしたんだ?」と心配になるくらい……。
 
 シェラがいないからムギがおかしくなるのは理解できる。それほどムギはシェラに依存して生きている。以前は、散歩もできなかったくらいだ。ムギだけを連れて散歩に行こうとするとムギは倒れこんで抵抗し、一歩も歩こうとしなかった。

 だが、ムギがいなくなってシェラがショックを受けるというのは意外だった。
 数年前、ムギが1週間ばかり入院したことがあったが、当時のシェラは目に見えて元気を失うことはなかった。いまやそれだけ歳をとってしまったということなのか。
 歳を重ねて、(育ての)母犬としての情を深めているのかもしれない。
 
 ムギの手術がムギ自身のために避けられないとしても、願わくば短期間で退院して欲しいものだ。
 もちろん、シェラのためにも……。

【写真=(上)昼間、テントの入口で陽射しを浴びてくつろぐムギ。 (中)夜、テントの内側にお尻を残して外を見張る。 (下)外から見ると上半身だけ出して見張っているのがわかる。】