16km離れた税務署まで自転車で往復する零細自営業者,それがワタシです

2000年06月16日 | 自転車ぐらし
 昨日,税務署に行って来た。もちろん好き好んで出掛けたわけではさらさらなく,先方から呼び出しを受けたので重い腰をあげてやおら参上した次第である。向こうには駐車場がないため車での来訪は御遠慮願いたいと事前に申し渡された。それで,自転車に乗って出掛けた(ママチャリではなくMTBで)。

 ところで,現在私が住んでいる場所は神奈川県秦野市であるが,この地域を所管する税務署は当市のお隣りの平塚市にある平塚税務署である。市外局番は両市とも0463と同じだが,選挙区は秦野市が17区,平塚市が15区と異なっている(コチラは河野洋平,アチラはセガレの河野太郎の地盤)。いずれにしても,家からは随分と遠い。もし公共交通機関を利用して出掛けるとなると,自宅からバスを乗り継いで恐らく1時間以上,交通費は往復で1,340円となる。あたら要らぬ労力が費やされるわけで,私以外にも不便をかこっている人々は当地にはさぞ多かろうと思う。出張所くらい市内に設置してはくれないのだろうか。税金をフンダラレル側としては,何とも不親切な行政サービスであることよ!との思いを抱かざるを得ない。

 ま,それはともかく,事前に自宅から税務署までの距離をカーナビで測ってみたところ,金目川沿いの県道平塚秦野線を経由して15.8kmと表示された。高低差は約140mである。自転車でなら往きは50分,帰りは1時間20分もみれば十分だろうと予測した。ただし,交通量の多い県道をずっと走ってゆくのは少々芸がないので,道路地図上で別ルートを探って裏道・細道・たんぼ道などを通るコースを設定してみた。幸いなことに,金目川の河口付近から中流域にかけての約12kmの区間には『金目川青少年サイクリングコース』なるものが設けられている(私自身は未だ通ったことはなかった)。そのうちの約8kmを利用することにすれば全体行程の半分がサイクリング・ロードとなり,それなりに気持ちのいい小旅行になりそうだなー,なんてことを考えた(転んでもタダでは起きぬ)。

 参考までに述べておくと,金目川は相州大山(標高1,252m)にその源を発し,秦野盆地末端部で葛葉川,水無川,室川の三川を合わせて東流し,さらに平塚市内で座禅川,鈴川,河内川を合わせて相模湾に注ぐ,流域面積184.17km2,流幹延長19.5kmの二級河川である。流域の土地利用状況は,上流域の山間部を除けば,中流から下流域にかけての一帯は広大な沖積低地及び一部の丘陵地に水田,畑地,果樹園等が広がり,また,流れに沿って住宅,商店,学校等の集落がモザイク状に分布し,さらに市街地周辺部には工場の集積する地域も見られる。全体としては「都市近郊のノンビリした田舎っぽい川」といってよい。水質状況は,BOD(生物化学的酸素要求量)について見ると,上流の秦野市落合橋地点で2.8mg/l,下流の大磯町花水橋地点で7.5mg/lとなっており,全体に有機汚濁がかなり進行している(測定値はいずれも平成9年)。なお,流域に上智短大,東海大,神奈川大などの著名大学が立地することも特筆される(でもないか?)。

 実際に走ってみると,この「金目川サイクリングコース」はかなりミスボラシイ,というかクタビレタ状態であった。アスファルト簡易舗装の路面は大分荒れており,所々に陥没を生じ,道の両側の植栽は伸び放題,また路傍にゴミの散逸も目に付くなど,保守管理がほとんど行われていないことが明らかである。加えて,このコースが作られて以降に周辺の宅地開発がさらに虫食い状に進行していったものと思われ,「自転車・自動車併用道路」などという,サイクリング・ロードとしてはまさに「邪道」の区間になっているところも少なからず存在する。このコースは県のスポーツレクリエーション施設として敷設されたようだが,とりあえず作ってしまえばハイ,ソレマデ。その後,私有地を買収したりしてまで継続的にキチント整備してゆくことなんて,とても予算的に無理な相談なのだろうな。特にこの緊縮財政の折り,「自転車専用道路」なんぞ予算獲得の大義名分には全くならないんだろうな。

 それでも,利用者はそこそこに多い。近所の人々の安全な移動経路としては確かに重宝されているのだろう。このサイクリング・ロードは金目川の右岸沿いにあるのだが,反対の左岸に沿った県道平塚秦野線を自転車で走ろうものなら,路肩の狭い片側1車線道路では大型トラックにやたらプレッシャーかけられるし,かといって歩道なども結構いい加減な作りで,場所によって広かったり狭かったり,のみならず全く歩道がない箇所すらある。緊張するし,疲れるし,愉快じゃない。要するに所詮「自転車」なんか現在の都市計画における道路交通体系の構成要素に含まれていない,というか,はなっから「ハブケ」にされているのだ。少なくともそれが厳然たる実状である。

 とかなんとかブツブツいいながらも,税務署への行き道・帰り道ともに,それなりに楽しいツーリングであった。季節は6月,梅雨の中休み,太陽がまぶしい暑い午後,川のあちこちにはアユ釣り人の姿もちらほら見られ,なかには,ヲイヲイ投網を打っている輩までいるぞ(何しろこの川には第五種共同漁業権が設定されていないもんだから)。また,河原にバーベキュー・セットを持ち出しているお気楽大学生とおぼしき小集団も見られ,さらに,あろうことか,小さな堰堤直下に形成された比較的大きな淵では,小学5~6年くらいの男の子3人が楽しそうに泳いでいた! 服を着たまま,ほとんど首まで水に浸かって,実に楽しげにワイワイ,バシャバシャと。いやぁ,元気元気。イナカの子はいいなぁ。

 なーんて風景を眺めながら川沿いの道を上流から下流へ,そして再び下流から上流へと自転車でノンビリと往復した。家に戻ったのは夕方6時近く,当初の見込みよりも大分タイム・オーバーしてしまい,往きは1時間5分,帰りは1時間45分かかった。サイクル・メーターで積算距離をチェックすると合計37.36kmと示されていた。
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