。。。そのイモムシは,家にあるレモンの木の葉に付いていたという。2匹いて,ともに3~4齢くらいのアゲハチョウの幼虫だ。8月4日,それまで安住していたレモンの木から,彼ら2匹はウチの妻によって強制的に引き離され,私のもとへと運び込まれた。そして,すぐさま仕事場玄関に改めて設置した飼育容器(元・カミキリムシ君たちの住まい)に収容されることとあいなった。いわゆる,腹ペコ・アオムシ君(@Eric Carle)で,実に旺盛な勢いで葉を食べる。妻イワク,そのままにしておいたらウチのレモンが全滅してしまうじゃん! それで,アゲハの幼虫はミカン科の木を食草としているということなので,他所からナツミカンとかキンカンとかの葉っぱを随時調達してきて,それをゴハンとして与えることにした。
とりあえず,アゲハ1号,アゲハ2号と命名した。実は私自身,アゲハチョウの幼虫というイキモノをじっくり観察するのは今回が初めてのことなのだが,これがなかなかにオモシロイ。とにかく,年がら年中ムッシャカムッシャカ葉っぱを食べ続ける。2匹が別々の葉に食らいつくことが多いが,ときには二人そろって仲良く同じ葉を食べ合っていることもある。食べることにひとまず飽きると,今度はあたりをモソモソあてもなく徘徊しはじめる。木の枝を上下し,そこから降りて床を這い回り,果ては容器の壁を登り,天井の縁の周りをグルリ回遊する。ときどきは垂直壁登攀に失敗して途中で落下することもあるが,それでもメゲズに盛んに動き回る。その活発さは成長の証なのかナ? ただ,これじゃあ飼育容器が小さすぎると思われたので,仕事場の奥の方に仕舞ってあったガラス水槽(60cm幅)を持ち出してきて新たな住まいとし,中には様々なデコレーションを施して良好な環境をととのえた。そうするとイッパシの「家庭昆虫園」に見えたりするから不思議だ。見ているだけでは物足らず,たまに水槽内に手を伸ばして指先で頭をナデナデしてやると,彼のほうはツノ(臭角)を出して精一杯の威嚇ポーズを取る。その表情がまた何とも可愛いい。メーワクなんだよ!と言われるのは百も承知なンだけれども,ちったぁ寂しい老人の方にもヤスラギを与えて下さいな,とか心中で言い訳したりして。もちろん夜間はフタをして逃げ出さないようにすることは怠らない。後日,夜にフタをし忘れたことが一度あったのだが,翌朝見ると1匹行方不明になっており,少々慌てた。あちこち探した挙句,数メートル離れた物品棚の縁に張り付いているのを見つけてホッとした。とにかく彼らは行動的だ。全身全霊で精一杯活動しつづけ,あれよあれよと思うまもなく,グングンズンズン大きくなってゆく。ちょっと生き急ぎ過ぎではないかい? ああ,生老病死のジンセイよ! le mal de vivre? la joie de vivre! とまれ,そのようにして,毎日々々暇にまかせて興味深く観察を続けながら彼らを飼育し,その成長を見守っていたのであります(飼育日記などは書かないけれど,写真や動画は結構撮りました)。それにしても,こんなリハビリも楽しいな~
その後,8月10日に2匹同時に終令幼虫から前蛹期に入り,翌日には完全な蛹となって木枝に定着した。そして8月20日の朝,まず1号が羽化し,それから同日の午後早い時間に2号の方も1号の後を追うようにして羽化した。2匹とも,ナミアゲハだった。羽が十分に開いて動き出すのを待って,家の三角庭(猫の額)のアジサイの木の葉に移して止まらせ,野外へと置いた。そして,前後して2匹とも元気よく飛び立っていった。都合2週間あまりの,楽しいお付き合いでした。 二人とも,達者でね~!
だが,話はそれだけでは終わらなかった。その翌日には,再度,別のアゲハの幼虫が4匹ばかり私のところにやって来たのである。それにしてもタイミング良く?入れ替わり立ち替わりに,まぁ,何という運命というか神のオボシメシだろうか! 新規参入者の内訳は若令幼虫が3匹,かなり大きな幼虫(4令?)が1匹であった。さらに,8月28日には再々度,新たに2匹が加わり,さらにさらに,9月に入って3日には3匹が追加投入された。しかもそのうち1個体は,まだ卵の状態での新規加入であった。混乱するので,それぞれ順にアルファベットのA~Iまでの識別記号を付け,そしてAちゃん,Cちゃんなどと親しく呼んで飼育していた。以後,何とも騒がしくも慌ただしい日々が暫らくのあいだ続きました。。。 彼ら彼女らが最後に羽化したのは10月12日のことだから,この夏から秋にかけての2ヶ月ほどの間に合計11匹のアゲハチョウを飼育したことになる。そのうち,残念ながら4匹は飼育の途中で斃死してしまったが,7匹は無事に羽化してそれぞれ我が家から旅立っていった。内訳はナミアゲハ3匹,クロアゲハ2匹,モンキアゲハ1匹,ナガサキアゲハ1匹である。Aちゃん~Iちゃんの経緯を箇条書きに記すと,以下のとおりだ。
◆Aちゃん(ナミアゲハ): 8/21若令幼虫,9/12蛹,9/23羽化
◇B(?): 8/21若令幼虫,8/24斃死
◆Cちゃん(クロアゲハ): 8/21若令幼虫,9/27蛹,10/12羽化
◆Dちゃん(ナガサキアゲハ): 8/21四令幼虫,8/31蛹,9/12羽化
◇E(?): 8/28若令幼虫,9/14前蛹,9/15事故死!
◆Fちゃん(モンキアゲハ): 8/28若齢幼虫,9/23蛹,10/10羽化
◇G(?): 9/3若令幼虫,9/5斃死
◇H(?): 9/3若令幼虫,9/7斃死
◆Iちゃん(クロアゲハ): 9/3卵,9/6孵化幼虫,9/27蛹,10/11羽化
大型種であるナガサキアゲハなど,その旅立ちの様子はなかなかに感動的というか感涙物で,緩やかに鷹揚に羽ばたきながら拙宅の三角庭からゆっくりと遠ざかって丹沢方面へと消え去りゆく姿は,まるで映画の「モスラ」みたいだった。また,最後に羽化したクロアゲハの2匹(IちゃんとCちゃん)は,ちょうど運悪く台風19号が来襲した時期に羽化してしまったものだから,まさか暴風雨のなか屋外に放つわけにもゆかず,取り急ぎ臨時に作成したケージのなかで一晩ないし二晩を室内にて過ごさせ,明けて台風一過の10月13日,晴れて2匹そろって放蝶したという次第でありました。二人とも元気でね~!
それにしても,こんな夏の過ごし方は初めてだった。次々起こる初体験。疲労困憊の充実感。まったくモウ,無駄に長く生きていると何が起こるか判ったものではない。 だがしかし,この「飼育」という名のリハビリ活動は,さらに形を変えてこれから先も続くのであります。その話は,いずれまた。。。
とりあえず,アゲハ1号,アゲハ2号と命名した。実は私自身,アゲハチョウの幼虫というイキモノをじっくり観察するのは今回が初めてのことなのだが,これがなかなかにオモシロイ。とにかく,年がら年中ムッシャカムッシャカ葉っぱを食べ続ける。2匹が別々の葉に食らいつくことが多いが,ときには二人そろって仲良く同じ葉を食べ合っていることもある。食べることにひとまず飽きると,今度はあたりをモソモソあてもなく徘徊しはじめる。木の枝を上下し,そこから降りて床を這い回り,果ては容器の壁を登り,天井の縁の周りをグルリ回遊する。ときどきは垂直壁登攀に失敗して途中で落下することもあるが,それでもメゲズに盛んに動き回る。その活発さは成長の証なのかナ? ただ,これじゃあ飼育容器が小さすぎると思われたので,仕事場の奥の方に仕舞ってあったガラス水槽(60cm幅)を持ち出してきて新たな住まいとし,中には様々なデコレーションを施して良好な環境をととのえた。そうするとイッパシの「家庭昆虫園」に見えたりするから不思議だ。見ているだけでは物足らず,たまに水槽内に手を伸ばして指先で頭をナデナデしてやると,彼のほうはツノ(臭角)を出して精一杯の威嚇ポーズを取る。その表情がまた何とも可愛いい。メーワクなんだよ!と言われるのは百も承知なンだけれども,ちったぁ寂しい老人の方にもヤスラギを与えて下さいな,とか心中で言い訳したりして。もちろん夜間はフタをして逃げ出さないようにすることは怠らない。後日,夜にフタをし忘れたことが一度あったのだが,翌朝見ると1匹行方不明になっており,少々慌てた。あちこち探した挙句,数メートル離れた物品棚の縁に張り付いているのを見つけてホッとした。とにかく彼らは行動的だ。全身全霊で精一杯活動しつづけ,あれよあれよと思うまもなく,グングンズンズン大きくなってゆく。ちょっと生き急ぎ過ぎではないかい? ああ,生老病死のジンセイよ! le mal de vivre? la joie de vivre! とまれ,そのようにして,毎日々々暇にまかせて興味深く観察を続けながら彼らを飼育し,その成長を見守っていたのであります(飼育日記などは書かないけれど,写真や動画は結構撮りました)。それにしても,こんなリハビリも楽しいな~
その後,8月10日に2匹同時に終令幼虫から前蛹期に入り,翌日には完全な蛹となって木枝に定着した。そして8月20日の朝,まず1号が羽化し,それから同日の午後早い時間に2号の方も1号の後を追うようにして羽化した。2匹とも,ナミアゲハだった。羽が十分に開いて動き出すのを待って,家の三角庭(猫の額)のアジサイの木の葉に移して止まらせ,野外へと置いた。そして,前後して2匹とも元気よく飛び立っていった。都合2週間あまりの,楽しいお付き合いでした。 二人とも,達者でね~!
だが,話はそれだけでは終わらなかった。その翌日には,再度,別のアゲハの幼虫が4匹ばかり私のところにやって来たのである。それにしてもタイミング良く?入れ替わり立ち替わりに,まぁ,何という運命というか神のオボシメシだろうか! 新規参入者の内訳は若令幼虫が3匹,かなり大きな幼虫(4令?)が1匹であった。さらに,8月28日には再々度,新たに2匹が加わり,さらにさらに,9月に入って3日には3匹が追加投入された。しかもそのうち1個体は,まだ卵の状態での新規加入であった。混乱するので,それぞれ順にアルファベットのA~Iまでの識別記号を付け,そしてAちゃん,Cちゃんなどと親しく呼んで飼育していた。以後,何とも騒がしくも慌ただしい日々が暫らくのあいだ続きました。。。 彼ら彼女らが最後に羽化したのは10月12日のことだから,この夏から秋にかけての2ヶ月ほどの間に合計11匹のアゲハチョウを飼育したことになる。そのうち,残念ながら4匹は飼育の途中で斃死してしまったが,7匹は無事に羽化してそれぞれ我が家から旅立っていった。内訳はナミアゲハ3匹,クロアゲハ2匹,モンキアゲハ1匹,ナガサキアゲハ1匹である。Aちゃん~Iちゃんの経緯を箇条書きに記すと,以下のとおりだ。
◆Aちゃん(ナミアゲハ): 8/21若令幼虫,9/12蛹,9/23羽化
◇B(?): 8/21若令幼虫,8/24斃死
◆Cちゃん(クロアゲハ): 8/21若令幼虫,9/27蛹,10/12羽化
◆Dちゃん(ナガサキアゲハ): 8/21四令幼虫,8/31蛹,9/12羽化
◇E(?): 8/28若令幼虫,9/14前蛹,9/15事故死!
◆Fちゃん(モンキアゲハ): 8/28若齢幼虫,9/23蛹,10/10羽化
◇G(?): 9/3若令幼虫,9/5斃死
◇H(?): 9/3若令幼虫,9/7斃死
◆Iちゃん(クロアゲハ): 9/3卵,9/6孵化幼虫,9/27蛹,10/11羽化
大型種であるナガサキアゲハなど,その旅立ちの様子はなかなかに感動的というか感涙物で,緩やかに鷹揚に羽ばたきながら拙宅の三角庭からゆっくりと遠ざかって丹沢方面へと消え去りゆく姿は,まるで映画の「モスラ」みたいだった。また,最後に羽化したクロアゲハの2匹(IちゃんとCちゃん)は,ちょうど運悪く台風19号が来襲した時期に羽化してしまったものだから,まさか暴風雨のなか屋外に放つわけにもゆかず,取り急ぎ臨時に作成したケージのなかで一晩ないし二晩を室内にて過ごさせ,明けて台風一過の10月13日,晴れて2匹そろって放蝶したという次第でありました。二人とも元気でね~!
それにしても,こんな夏の過ごし方は初めてだった。次々起こる初体験。疲労困憊の充実感。まったくモウ,無駄に長く生きていると何が起こるか判ったものではない。 だがしかし,この「飼育」という名のリハビリ活動は,さらに形を変えてこれから先も続くのであります。その話は,いずれまた。。。