当地へ転居してからもうじき5年になろうとしている。同じ土地に5年間も住んだのは,まだ西も東もわからなかった子供の頃は別として,少なくとも成人してからは初めてのことだ。いや何,どこぞの風に吹かれてきたって訳ではさらさらないんだけれど。 ん? ということは,今年で5回目の“たばこ祭り”を迎えたことになるわけだ。
この町に移り住んで最初に驚いたのが,毎年9月下旬に行われる“たばこ祭り”というイベントの,実に盛大なその有様である。
最初の年(1994年)は,まだ幼いタカシをベビーカーに乗せてお祭り見物に出掛けたと記憶している。ろくな予備知識もなしに。そして初っ端から,水無川に沿った道路の片側に延々約500mも続く屋台店の列に,何よりもまずその数と量と熱気とに圧倒されてしまった(いったい何軒お店が出ているのだろう?)。頃は初秋,時は夕暮れ,そして川のように流れる人人人の群。右に水無川,左に屋台の列,その間をざわめく人波に呑み込まれるようにして親子3人で下流方面へとゆっくりゆっくり流れ下ってゆく。それは例えていうと,イスラム圏のスークの賑わいにまぎれ込んだような気持ちにさせるかのごとき,大変心地よい雰囲気であった。
恐らくどこかに,お祭り屋台の店舗配列,営業種類,売上状況等に関する経年的傾向を記録・分析しているヒマ人がいると思うのだが(昔,学芸大の松沢先生がそれに類したことをやっておりましたっけ),実際,それは社会学的ないし文化人類学的な検討対象としてかなりオモシロそうではある。
その屋台のなかでもタカシが毎年最も夢中になるのはいわゆる「当てクジ屋」であるが,そのクジ屋の主たる景品は,今年は断然ポケモン,去年もポケモン,おととしはミニ四駆,そしてその前は,はて?何だったろうか。子供たちのなけなしのお小遣いを非道にも無常にも次から次へとセシメル,親から見れば何ともアコギでエゲツナイ商売なのだけれど。
しかし,親がどんなに眉をしかめて嘆こうとも,それらは子供にとっては金銭換算など出来ぬほどすこぶる魅力的なお店であることは確かであろう。多分,子供はちゃんと理解しているのだ。世の中にはお金で買える幸せってものがあること,そしてそのお金には実は羽根が生えていて,自分のところには長く留まることなんか決してないということを。そのようなめくるめく経験を,タカシは2才~6才の毎年過ごしている。そしてアキラも,去年あたりからその催事に参入しはじめたわけで。それらは多分,鮮烈で印象的な小児体験として,先々まで彼らの記憶にとどめおかれるに違いない。
ちなみに,今年出店された全ての屋台店のなかで最も売れ筋商品は恐らく『じゃがバター』。これはもうダントツであったと思う。傍観者としてざっと試算すると,2日間で売り上げ80万は下るまいぞ。いや,まさに水商売ですな(他人事ではないが)。
この町に移り住んで最初に驚いたのが,毎年9月下旬に行われる“たばこ祭り”というイベントの,実に盛大なその有様である。
最初の年(1994年)は,まだ幼いタカシをベビーカーに乗せてお祭り見物に出掛けたと記憶している。ろくな予備知識もなしに。そして初っ端から,水無川に沿った道路の片側に延々約500mも続く屋台店の列に,何よりもまずその数と量と熱気とに圧倒されてしまった(いったい何軒お店が出ているのだろう?)。頃は初秋,時は夕暮れ,そして川のように流れる人人人の群。右に水無川,左に屋台の列,その間をざわめく人波に呑み込まれるようにして親子3人で下流方面へとゆっくりゆっくり流れ下ってゆく。それは例えていうと,イスラム圏のスークの賑わいにまぎれ込んだような気持ちにさせるかのごとき,大変心地よい雰囲気であった。
恐らくどこかに,お祭り屋台の店舗配列,営業種類,売上状況等に関する経年的傾向を記録・分析しているヒマ人がいると思うのだが(昔,学芸大の松沢先生がそれに類したことをやっておりましたっけ),実際,それは社会学的ないし文化人類学的な検討対象としてかなりオモシロそうではある。
その屋台のなかでもタカシが毎年最も夢中になるのはいわゆる「当てクジ屋」であるが,そのクジ屋の主たる景品は,今年は断然ポケモン,去年もポケモン,おととしはミニ四駆,そしてその前は,はて?何だったろうか。子供たちのなけなしのお小遣いを非道にも無常にも次から次へとセシメル,親から見れば何ともアコギでエゲツナイ商売なのだけれど。
しかし,親がどんなに眉をしかめて嘆こうとも,それらは子供にとっては金銭換算など出来ぬほどすこぶる魅力的なお店であることは確かであろう。多分,子供はちゃんと理解しているのだ。世の中にはお金で買える幸せってものがあること,そしてそのお金には実は羽根が生えていて,自分のところには長く留まることなんか決してないということを。そのようなめくるめく経験を,タカシは2才~6才の毎年過ごしている。そしてアキラも,去年あたりからその催事に参入しはじめたわけで。それらは多分,鮮烈で印象的な小児体験として,先々まで彼らの記憶にとどめおかれるに違いない。
ちなみに,今年出店された全ての屋台店のなかで最も売れ筋商品は恐らく『じゃがバター』。これはもうダントツであったと思う。傍観者としてざっと試算すると,2日間で売り上げ80万は下るまいぞ。いや,まさに水商売ですな(他人事ではないが)。