平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

楷書の限界~将棋の行き詰まり

2016-10-19 07:29:34 | Weblog
将棋のプロ棋士が、最強ソフトのPONANZA(ポナンザ)に歯が立たないという諦めムードが将棋界に蔓延しています。若手で一番ソフトに詳しいオタクの千田五段は、自分は800点差で弱いと断言しています。でも、将棋を知らない人に、ソフトの強さは理解できないと思います。それで、ソフトは人間の指し手とどのように違うのか、実戦を参考に書いてみたいと思います。

前に少しだけ書きましたが、僕はプロの将棋を見ていても満足できません。自分よりはるかに強いプロ棋士なのに、自分の読み筋が全く検討されないと常々嘆いていましたが、最近になってPONANZAの次の1手予想を見るようになり、PONANZAの読み筋としばしば一致するので(*^_^*)しているところです。PONANZAと自分はたまに似ているのです。

ニコ生の「第1期電王戦 二番勝負 第2局 二日目 山崎隆之叡王 vs PONANZA」をキャブチャして、具体的に書いてみます。僕がひと目で選んだ手は、解説者も聞き手も、別会場の検討室のプロ棋士たちの誰も指摘していません。コメントにもないです。

問題の場面は、劣勢の山崎叡王が、反撃で7一角と飛車取りと銀取りの両取りをかけたところ。解説者の深浦康市九段も聞き手の中村真梨花女流三段も、PONANZAの飛車が動く手しか検討しません。ところがPONANZAの選んだ手は、飛車取りを無視し5七歩成。


山崎叡王が7一角と打った場面


デンソーのロボットアームが不気味に動き


解説者も検討室も驚く5七歩成


金で「と金」を取ると角に取り返されて馬になるから取れない

実は、PONANZAのこの手は、やねうら王というソフトの情勢判断ではマイナス評価。1015点優位から959点優位まで下がっています。あまり良くない手というのが、やねうら王の判断。僕も同じです。リアルタイムで見ていたわけではありませんが、この手に対する山崎叡王側の次の1手として僕が選んだのは、6八の金を下げて、7九にいるPONANZAの角を取りに行くこと。成った負が邪魔して角は逃げられません。でも、山崎叡王の指した手は8二角成と飛車を喜んで取りに行くこと。


僕が選んだ手は6八の金下げ
おそらくPONANZAの読みも同じで先手の最善手


終局後の大盤解説では加藤桃子女王も参加していましたが、「そりゃ、飛車を取りに行きますよね」で一致。この後、山崎叡王は金を取られて角に成られて、粘りましたが詰まされました。


大勢決したポナンザのデンソーロボットがカコ(・∀・)イイ!!

僕のひと目で選んだ手は、金引きから角を取り、飛車には見向きもしないで、5三の銀を取っての角成りで馬を作ること。成った馬は自陣の守りにも使えます。PONANZAが角を守ろうとすれば、成った歩を王手と捨てて、角を4六に成るしかありません。これなら1歩入るので受けられます。PONANZAは金1枚では攻撃が切れる。良い手だと思うのですが、検討すらなされません orz

また、この電王戦出場権をかけた予選で、「第1期叡王戦 本戦 郷田真隆九段 vs 阿部光瑠六段」でも、8一に成った阿部光瑠六段の馬が使えていません。画像は無理やり詰まそうと2四に桂馬を打った場面ですが、僕なら4六の銀も取らずに5六金として、次に4五に馬を引いて攻守の要にします。目先の欲で4六の銀を取ると、今度は相手に角を打たれて飛車金両取りが受からない。7九にいる自分の玉を上に逃すルートも確保できます。


阿部光瑠六段の勝負手の2四桂打ちの場面

この対戦の結果は、4六に馬を作って攻守の要にした郷田九段の逆転勝ち。逆転勝ちとは言っても、僕には終始、郷田九段の優勢に見えましたけど。阿部光瑠六段が5六金としていれば、郷田九段の馬も絶好の位置に作れなかったのです。飛車も取られず逃げられたし。もっとも、これで勝てたとは言えませんが、検討くらいはして欲しいところ。


4六に馬を作って攻守の要にした郷田九段
ここで勝負あり



問題の場面 双方とも赤い矢印のように取り合った


でも、このように金と馬を使えば先手が良いと思う
取れる銀をあえて取らないのが味噌



このように攻守の要に馬を引けば後手玉を上下サンドイッチ出来る

PONANZAなどの将棋ソフトが強いのは、人間なら持つ、焦り、恐怖心、計算違い、から来るミスがないからで、ソフト自身には創造性はありません。あくまでもデータとプログラムで優位に持ち込むように動いているだけ。だから、人間が負けるのはミスしているからなのです。


郷田九段に角を打たれて赤線のように動かれてボロボロになるところ
実際は2八角成から4六金取り

プロ棋士なのになぜミスをするのかは、先に書いた、焦り、恐怖心、計算違い、によるのです。心理的に負けている。だから、傍観者の僕にも見える手が見えなくなる。それは解説などのプロ棋士も同じ。全員が指している棋士と同じ心理状態になり、思考と指向を同じくするから、視野が狭くなって良い手が見えなくなる。プロだから陥る領域です。

今期の叡王戦は羽生3冠も珍しく出場しています。本人も、最強ソフトとの対戦に興味があるようで、優勝して電王戦対決が実現すれば最高に盛り上がると思います。

で、ここから本題。実は、羽生善治3冠は字が下手なのです。楷書が苦手で、色紙へのサインも崩して草書風に流れています。これが良いのです。

将棋盤はタテ・ヨコ・ナナメの世界。だから、棋士の大半はタテ・ヨコ・ナナメの思考回路になり、自由と創造性のない将棋ばかりになるのです。創造力が欲しくて、右脳を働かせようとして、右脳が司る左手で指す棋士もいますが、そんなことで右脳は開発されません。左手が右手に比べて不自由な僕が右脳の働きを必要とする絵を描けるから関係茄子 (;^ω^)

この前紹介した藤田綾女流と中村桃子女流の絵。ペスト医師のような、あの怖ろしい雀を描いた藤田綾女流は、何と楷書は上手なのです。楷書が上手といえば、室田伊緒女流二段ですが、昨年に囲碁の7冠保持者と離婚して、不届き者のファンが喜んでいるそうな。女帝と呼ばれていますが、89年生まれでまだ若い (^_^;)

先週のNHK将棋で特集を組まれていた室田由紀女流二段。プロ棋士のフットサルクラブに入って汗を流していましたが、書体も以前より自由になって、強くなってきた理由が分かります。聞き手では大人気の山口恵梨子女流二段は、大事なところでのポカが納得できる構図。字が紙の上に位置して地に足がついていません。棋士のサイン画像は「女流棋士 色紙」ほかで探してください m(_ _)m

ちなみに僕は、藤田綾女流二段と香川愛生女流三段が聞き手で出てくると動画も飛ばして見ています。何か神経が逆なでされるようで苦手。聞き手は山口恵梨子と中村桃子の二択 (・∀・)

ということで、プロ棋士に必要なのは、自由闊達な精神です。そのためには楷書ではなくて、草書や仮名書の流れるような字を練習すれば良いと思います。軍隊じゃないんだから、もっと自由で生き生きした字を書かないと、将棋ソフトに勝つことは出来ないと思います。人間はもっと進歩できるのだから、諦める前にプロの常識を見直してみましょう。

     平御幸(Miyuki.Taira)
コメント (4)
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