日本の宗教と思想-鎖国・開国・敗戦を越えて
開催期 2019年秋期
曜日・時間 指定木曜日 19:10~20:40
開催日 10/3から 11/21 (8回)講師 田中 裕
第一部「鎖国を越えて」は、「キリシタン時代」に日本文化を尊重し「適応主義」をとったイエズス会宣教師たちと日本人キリスト者達の共同作業の足跡を辿ります。キリスト教と茶道との深い結びつきを、日比屋了慶一家とザビエルとの出会からはじめ、禅的行道を茶の湯で表現した千利休の「佗茶」をキリスト教の霊性と統合した高山右近を通じてキリスト教に触れた利休の弟子達を論じます。また右近と同じく国外追放の難民となりながらも、単身でエルサレムに巡礼しローマで司祭の資格を得ながらも、鎖国の日本に戻り殉教したペトロ・岐部を論じます。
第二部「開国を越えて」は、西郷南州の西欧文明の批判とその座右の銘「敬天愛人」の思想的ルーツを辿り、中村敬宇の儒教的キリスト教の源流となった中江藤樹の思想を取り上げます。さらに文明開化と西洋帝国主義の模倣を批判した内村鑑三の無教会主義運動の意味をカトリックの立場から考察します。
第三部「敗戦を越えて」では、京都学派の思想、とくに西田幾多郎の宗教哲学、田辺元の「懺悔道と菩薩道」をキリスト教の観点から論じます。