歴程日誌 ー創造的無と統合的経験ー

Process Diary
Creative Nothingness & Integrative Experience

福音歳時記 2月の読書と黙想ーロシア聖歌と聖詠の伝統

2025-02-14 | 福音歳時記

福音歳時記 2月の読書と黙想ーロシア聖歌と聖詠の伝統

   キリル文字にて記されし聖詠は三位言祝ぐヘルヴィムの歌

 2月14日は聖チリロ隠世修道者、聖メトディオ司教の祝日である。9世紀のギリシャに生まれたこの兄弟は、スラブ民族の土着の文化を尊重し、現地の言葉で典礼書を作成した。(そのときに使ったアルファベットが、のちにキリル文字と呼ばれるようになった)。
  ヨハネパウロ二世は、回勅「スラブ人の使徒」のなかで、この二人の兄弟を、キリスト教の「文化内開花」の精神の先駆者として賞賛し、ヨーロッパの諸民族の一致と自由、相互の文化的伝統を尊重すべきことを説いた。

 キリスト教の宗教音楽を語る場合、聖詠(詩編の朗詠)を重んじるロシア聖歌は、ローマ教会のグレゴリオ聖歌と並ぶ重要性を持っている。両者ともにアカペラで歌うのが本来の形であるが、器楽の伴奏を伴った宗教音楽として、西方にはビバルディ、バッハ、ヘンデル、モーツアルトといったの古典派の伝統があり、東方には、チャイコフスキー、ムソルグスキー、ラフマニノフ、スメタナ、ドヴォルザークらの国民楽派の伝統がある。それぞれが、各民族固有の文化の特色を持っている。

 ロシア聖歌の伝統を受け継ぐとともに西欧音楽の作法にも通じていたチャイコフスキーの「ヘルヴィムの歌」は、東西の宗教音楽融合の傑作である。ヘルヴィムとは西方教会で言う「ケルヴィム」(旧約聖書に登場する天使)のことで、ロシア語で、「我等奥密にしてヘルヴィムをかたどり、聖三の歌を生命を施す三者に歌いて今この世の慮りを悉く退くべし」と歌う。

TCHAIKOVSKY - Hymn of the Cherubim


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