歴程日誌 ー創造的無と統合的経験ー

Process Diary
Creative Nothingness & Integrative Experience

裸足にて立つザビエルの辻説法 / 雪の比叡に望む大學

2020-01-08 |  宗教 Religion

  裸足にて立つザビエルの辻説法   
        雪の比叡に望む大學
 
 上智大学がザビエルの遺志にもとづいて建学されたという話をよく聞きますが、これは、彼の書簡や当時のイエズス会宣教師の記録に基づくものです。スペイン出身の司祭で日本に帰化された結城了悟師の「ザビエル」史伝には、時代を隔てて受け継がれた宣教師の精神と日本の文化を大切に思う気持ちに溢れています。この本の表紙のザビエル像は、結城了悟師が館長をつとめておられた日本26聖人記念館にあるものですが、いかにも東洋の使徒にふさわしいイメージだと思いました。
 都を目指したザビエルの目的のひとつは比叡山に行くことでした。このときの彼は貧しい托鉢僧の身なりで(アッシジのフランシスと同じく)裸足で雪道を歩くという苦行を自らに課していました。そのときの乞食同然のザビエルの姿は、布教許可を獲得するという彼の目的には全くかなわないものでしたが、それでも堺の商人たちとの出会いと彼らの助力が後の日本布教に大いに手助けとなりました。時の権力者に贈呈する高価で珍しい進物や、西欧の王侯の使節と見まがうばかりの豪奢な装いをする南蛮の宣教師のイメージとは程遠い、このときのザビエルの乞食姿のほうに、私は惹かれます。
 
 さて、私も古希を三年過ぎて、どれだけ新しいことができるかどうかわかりませんが、とりあえず本年の予定を次のように立ててみました。
 
① 今年は、西田幾多郎の講演・講義記録(岩波文庫に収録予定)の編輯・注解をして、年内の刊行を目指します。
② Handbook for Buddhist Christian Studies(Routledge)の出版が決まったので、日本の東西宗教交流学会のこれまでの対話の歴史を踏まえて寄稿する予定です。
③ 今年六月のキリスト教文化研究所「茶道とキリスト教」の企画。キリスト教の日本文化のなかでの開花という観点から「茶道の哲学」をテーマとして講演する予定。
④ 細川ガラシャを主人公としたバロック・オペラの監督・演出を引受けました。ウイーン初演(1698)に忠実な上演(来年3月)をめざします。この楽劇の蘇演は、聖典礼と詩編を統合したキリスト教の典礼音楽や楽劇、受難劇のあらたな創作のための一つの資料となるでしょう。
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