福音歳時記 12月27日は福音書記・聖ヨハネの日。
ゴルゴタにとどまりし使徒ただひとり 聖母のこころ共に分かちぬ
カトリック教会のミサ典礼では入祭唱で「最後の晩餐の席で 主の傍らにいたヨハネは 天の国の神秘を示され、いのちの ことばを全地に伝えた」と歌う。 福音書記者ヨハネは、最後の晩餐で主の傍らにいただけでなく、十字架のそばでイエスの死を看取った唯一の使徒であった。
「イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。イエスは母とそのそばにいる愛弟子とを見て、母に、「婦人よ、ご覧なさい、あなたの子です」と言われた。それから弟子に言われた。「見なさい、あなたの母です。」その時から、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った」(『ヨハネによる福音書』19:25-26)とあるが、他の使徒たちは、その場に登場していない。
教皇ベネディクト十六世は、2006年エフェソの巡礼所の「聖母マリアの家(メイレム・アナ・エヴィ)」で、聖母マリアのミサをささげた。ヨハネによる福音書19章25-27節が朗読された後で教皇は講話のなかで次のように述べている。
「わたしたちは聖ヨハネによる福音書のことばを聞きました。それはわたしたちに、あがないの時を観想するように招いています。そのとき、マリアは、犠牲をささげる御子と一つになって、ご自分が母であることを、すべての人、特にイエスの弟子たちにまで広げました。この出来事をあかしする名誉を与えられたのは、第四福音書の著者であるヨハネでした。ヨハネは、イエスの母と他の婦人たちとともにゴルゴタにとどまった、ただ一人の使徒です。ナザレでの「おことば通り、この身に成りますように」(フィアット)で始まった、マリアが母であることは、十字架のもとで完成しました。」
出典:https://www.cbcj.catholic.jp/2006/11/29/313
(ファン・デル・ウェイデンが1435年頃描いたと思われる祭壇画「十字架降下図」ープラド美術館所蔵ーでは、聖ヨハネ(赤色の衣装)は悲しむ聖母(青色の衣装)に手をさしのべている。聖母の他には、(左から右へ)異父妹のクロパの妻マリア、マリア・サロメ(緑色の衣装)、マグダラのマリア(右端)の4人の女性、そしてアリマタヤのヨセフ、ニコデモおよびその従者が描かれている。)