元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

職場に起因しないメンタル疾患、労働できないときは、無情にも契約解除は可能。

2013-06-09 04:53:08 | 社会保険労務士
 しかし、メンタル的疾患は、少なからず職場にその原因があることが多く・・・
 

 従業員がメンタル面での病気にかかった場合は、全く職場にその原因がない場合でも、会社は休業措置やその後の軽作業と職場復帰の方法を行っていくのが原則であると思っている人もいるが、そうでもない。メンタルヘルスが叫ばれ、厚生労働省が「労働者の心の健康保持増進のための指針」を出すなど積極的対策に乗り出したことから、そう思われているふしがある。その動きを否定する者でもないし、せっかく育てて企業に貢献しているような従業員をすぐに手放すことは企業にも損失であり、回復するまで企業が面倒をみるということは、日本の古来の温情的経営の上では、流れとしては当然のところであろう。しかし、大企業はともかく中小企業にとっては、そこまで余裕がないというのが実態であろう。

 原則にかえってみれば、労働契約も契約である以上、労働することが長期にわたってできない場合は、契約で約束した労働がなされていないことになり、契約の解除も已むをえないことになる。労働します、賃金を払いますという約束の上で、労働契約を結ぶのであるから、その約束が果たされない以上、使用者は契約解除できるというのが原則であるからである。

 ということは、従業員が重度のメンタル疾患に陥り、長期の休業を取らざるをえないときは、会社は無情にも従業員を解雇することは可能だといえる。

 ただし、ここで注意しなければならないのは、メンタル的疾患は、家庭、地域だけでなく、そこに主な原因がある場合でも、職場に原因が少なからず存在することがあります。職場、家庭、地域、生活が総合的に影響し合ってメンタル的疾患になることが多いからです。というよりも、大半は、職場の人間関係、仕事の質、量などの職場環境がストレスの大きな原因になっているからです。

 労働契約法では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮」をしなければなりません。「身体等の安全」には、メンタル面の含まれ、メンタル面の病気にかからないよう気を使って、仕事をさせなければなりません。そうでなければ、労働災害の問題になりますし、損害賠償の問題も発生してくることになります。

 以上に注意した上で、繰り返しますが仕事関連でメンタル疾患になったのでなけれなければ、、契約の原則に立ち返り、仕事がまったくできない以上は、使用者側が契約を解除しても全く問題はないことになります。ただし、仕事ができないというのは、これまた、どの程度までか問題になります。軽度の場合で契約解除することは、合理的な理由があるとは考えられず、認められないからです。
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