元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

複雑そうな「合算対象期間」の解きほぐし(その2)!!

2014-10-18 18:53:31 | 社会保険労務士
社労士受験の「合算対象期間」は「昭和36年以前グループ」をまとめて覚えましょう。

 
 老齢基礎年金を受けとる資格がある人は、25年の保険料納付期間などがなければなりません。保険料納付期間などとしたのは、他にも足していい期間があるからで、正確には次の期間の合計が25年以上なければならないとされます。
 
  1、厚生年金保険及び     2、国民年金保険料      3、国民保険料免除      4、
    共済組合の加入期間  +   納付済期間     +    期間、学生納付   +   合算対象期間 
    (20歳以上60歳                          特例期間、若年        (カラ期間)
     未満の期間)                            者納付猶予期間

 1の厚生年金・共済年金については、保険者・共済組合の方でまとめて支払っているので、加入手続きがあればそのままその期間は、納付済みとして考えられるからです。1.2.合わせて結局、「保険料納付済期間」であるわけです。

 これに、3の保険料免除期間、申請をして認められることが前提になりますが、国から認められたものとして、この免除された期間を足すことができます。

 さらに、4の合算対象期間があります。通称「カラ期間」といっています。25年の資格の期間の計算には加えることができますが、年金の計算の計算基礎とはならないため、そう呼んでいます。すなわち、1・2の保険料納付済期間と3の免除期間等が25年に満たないときに、25年を満たすために足してもいい期間であって、年金額には全く影響ない期間ですので、カラ期間とよんでいるのです。

 さて、その合算対象期間(カラ期間)ですが、社会保険労務士の受講生の間でも、非常に厄介なというか、いやな部分でもあります。そういう私もそうでした。しかし、年金の沿革から考えて、意味が分かってしまえば、なーんだと思えるところです。再度、勉強してみてそう思いました。<ここまで前回の再掲です>

 そこで、前回に続き、今回は、昭和36年以前グループの説明です。実は、ほかの合算対象期間は、基本的に、国民年金が創設された昭和36年以後の話になります。合算対象期間は、逆にいえば、国民年金が制度として設けられた昭和36年にあわせて、期間としては、同じ昭和36年以降としているのです。前回説明した、任意加入も、昭和36年以降の話です。
 

 昭和36年以前の話としては、厚生年金保険・船員保険や共済年金の話になります。国民年金の成立は、昭和36年になるからです。

 A 昭和36年以前の厚生年金・船員保険の被保険者期間(昭和36年4月以後に公的年金の加入期間がある人に限る)

 B 昭和36年4月まで引き続く昭和36年3月以前の共済組合の組合員の期間

 昭和36年の国民年金設立に合わせて、他の合算対象期間は昭和36年以降という前提条件が付いているわけですが、昭和36年より前に成立していた厚生年金保険・船員保険や共済年金に加入していた期間は、国民年金の期間として「認識」はできないため、保険料納付済期間・免除期間が25年に満たない場合のカラ期間として考慮しているのです。

 昭和36年以前の話をすると、日本の公的年金制度は、本格的には、雇用者保険としての始まりです。昭和14年の船員保険法、昭和16年に男子工場労働者を対象にした労働者年金保険法が制定、これが昭和19年に事務系職員と女性にも提供が拡大され、名称も国民年金保険法に改称されたというわけです。昭和36年で切ってしまうと、これら被用者年金の加入者の期間が国民年金としては全く顧みられなくなります。(そこは被用者年金の加入期間としては、それぞれの法律で考慮されるのですが、ここでいっているのは、国民年金としての期間としてはどうするのかということです。)そこで、合算対象期間として、把握することになります。

 さて、Aの厚生年金・船員保険とBの共済組合には、ちょっとした相違があります。読み比べてみると、Aは昭和36年以前の被保険者期間があればよく、ただしカッコ書きの昭和36年4月以降に加入期間がある事が前提になりますが、このカッコ書きは36年以降に加入期間がないと36年以前の分は足してあげないよというか、36年以降があって始めて加入期間があり、それ以前の分もそれに足していいよということです。

 しかし、Bの共済は、36年の3月・4月の期間が連続していないと期間として計算しないといっています。それは「引き続く」として表現されています。Aは不連続でもよく、Bは連続する期間としてとらえています。どちらも、36年4月以降の期間があることは一致するのですが、共済の方がより厳しくなっていますが、これは制度の違いとしか言えません。

 
 ところで、前回の任意加入期間の説明と違うところがあることにお気づきでしょうか。任意加入期間には、どれも「20歳以上60歳未満」という条件が付けられていました。これは、国民年金の1号被保険者に合せたという点はお話ししましたが、今回の被用者保険の昭和36年以前グループには、その条件は付けられていません。それは、20歳未満60歳以上の者も含めて、併せてその対象期間としてカウントできるということですが、被用者保険については、20歳未満60歳以上の者も被保険者ですから、当然のことかもしれません。


                               <次回へ続きます>
<複雑そうな「合算対象期間」の解きほぐし(その1)>



<参考> 年金アドバイザー受験対策シリーズ(経済法令研究会編)同研究会発行 
     なお、「被用者年金」は会社等に雇用されている者の年金という意味ですので、厚生年金だけではなく公務員等の共済年金も含んだ意味で使っています。

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