元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

学生アルバイトにもノルマを課す、達成出来ないときは商品買い取りの要求ってどう考える!!

2017-04-15 16:33:08 | 社会保険労務士
 強制的に給料から商品代金を差し引くのは賃金の「全額払いの原則」違反、売れ残り商品で賃金の代わりもNG(通貨払いの原則違反)

  学生アルバイトをやろうとしている方で、最近、気をつけなければならないものとして、販売ノルマの問題があります。私たちが学生アルバイトをしていた頃は、うん十年前のことですが、そのころの学生アルバイトには、正職員と区別して、学生としての配慮(学業に専念するのが本来の務めであるという)をしてもらっていたような気がします。言いたいのは、最近ではアルバイトにもノルマを課すというのを聞くわけです。今は、コンビニ等のチェーン店が多くなり、ここの従業員はアルバイトやパートが多く、場合によっては正職員は店長のみということもあり得る状況です。そんなご時世ですから、学生アルバイトにも販売のノルマを課すのも当たり前のようになってきています。特に、クリスマスケーキなどの季節商品については、その時期に多くを売って稼ごうということから、どこの店でもやっきになって販売合戦を行うことになります。

 使用者が労働者に対して、販売戦略の一環として、ノルマを課すというのは違法でもなんでもありませんが、ノルマを達成しなかった者に対して、店側が自費での買い取りを要求するのは、問題です。ノルマ未達成の商品買い取りについては、本来は、アルバイトを行う際の契約には、そんな契約はしなかったはずですので、買い取りの強制はできないはずです。しかし、ノルマを達成できなかった学生アルバイトの中には、ノルマを達成できなかったのは自分のせいであるとの認識を持つ者もいて、買い取りを断ることができないものもいるかも知れません。そこは学生は学生の本分を忘れずに、そこまで責任を持つ必要はありません。一番いいのは、働き始める前にノルマの有無等を確認しておくことも一つの方法かもしれません。

 将に労働基準法違反そのものとなるのは、店側が買い取りを要求し、強制的に給料からその代金を差し引くことです。これは、賃金の「全額支払いの原則」に違反することになります。まさか次のようなことまではしないとは思いますが、売れ残りの商品でもって、賃金の代わりとすることがあったとしたら、これは、賃金は「通貨で」支払わなければならないとした「通貨払いの原則」にも違反することになります。(労働基準法24条1項)

 労基法24条1項 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

 ⇒学生アルバイト上の注意<その1>
 ⇒学生アルバイト上の注意<その2>



 
  参考 大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A 石田眞・浅倉むつ子・上西充子著 旬報社
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