出産時育児休業は男性の育休そのもの、従来の育休の2回取得も男性の育休の取りやすさにつながる
育児・介護休業法は、新しく改正がなされて、令和4年4月1日から随時施行がなされ、1年後の令和5年4月1日の施行まで続くことになっている。この改正であるが、一言で言えば、男性の育児休業の取得の促進がその内容である。育児介護休業法は、誤解されることを周知で申し上げれば、この法律こそ男女平等の法律である。女性に認められている権利は、男性にも同様に権利として認められている。ところが、男性の育児休業取得率7.48%(令和元年)に過ぎない。男女共に同じ権利だとすれば、極端に少ない数字であるといえよう。
ではなぜ政府は、男性の育児休業の取得の促進を打ち出したのか。これには、統計調査に基づき、この社会をどういう方法に進んだらいいのかを考えた結果であるともいえる。これには、3つの視点がある。まず女性の離職防止である。この前提には、社会全体の労働者の不足があるが、これが女性の場合は、結婚・妊娠・出産を機に会社を辞めていくという実態がある。統計的には結婚(女性正社員24.9% 女性非正規社員39.4%)はもちろん第1子の出産(女性正社員34.9% 女性非正規社員29.6%)の時期に離職しているのである。この女性の離職を防止するためには、夫の家事・育児の協力が欠かせないが、統計的にも、夫が家事・育児に協力している家庭ほど妻の離職率が低いという結果がでている。
→出産後の妻の離職状況 夫の家事・育児時間なし42.4% 夫の家事・育児時間4時間~6時間20.3% 夫の家事・育児時間6時間以上12.9% (仕事と生活の調和連携推進評価部会「仕事と生活の調和レポート2019」)
また、労働者不足の観点からは、すぐには改善するわけではないが、次の第2世代の労働力が不足していくのは、出生率の低下である。この改善のためには、離職防止と同様に、夫の家事・育児協力が欠かせない。統計的には次のとおり、夫の家事・育児の時間の関与が大きいほど、第2子の出生率が大きくなっている。
→子供がいる夫婦の「夫」の休日の家事・育児時間別の「第2子以降の出生」の状況 夫の家事・育児時間なし10% 家事・育児時間4時間~6時間79.7% 家事・育児時間6時間以上87.1% (仕事と生活の調和連携推進評価部会「仕事と生活の調和レポート2019」)
最後の観点は産後うつ対策である。産後うつ病は約10%の罹患率があり、産後3か月の間に発症することが多く、2週間以上持続するといわれています。この産後うつ病についても、夫などパートナーからのサポートの不足が、大きい要因になるとされています。(公益財団法人日本産婦人学会ホームページ) ここでは、経済的な観点よりも、精神を蝕む病気にならないためには、どうしたらいいのかという点から重要なことです。パートナーが産前からこれを支え産後も同様に精神的にも肉体的にも支えることが、産後うつを発症しないためには欠かせないことと思われます。その先に初めて言えることですが、うつ病事態が回復しにくい傾向にあることなどから考えて、経済に占める労働者の数は、その影響は大きく受けることになるといえます
以上の3つの観点からみても、労働者不足の解消のためには、夫が家事・育児に参加することが何よりも重要で、そのためには男性の育児休業の取得の促進が必要になってきます。
育児介護休業法の改正においては、この男性の育児休業取得の促進のために、内容の改正が主に2つある。出生時育児休業の新設である。子の出生後8週間以内に4週間まで取得が可能というものである。これは男性の「育児休業」にほかならない。というのも、女性にとっては、産後8週間は「産後休暇」が取れるからであって、出産時育児休業というのは、男性の育児休業といってもよい。(※注※) これは、分割して2回まで取得が可能であって(ただし初めにまとめて申し出は必要)、給付率は従来の育児休業と同じく68%である。
主な改正点の2番目。従来の育児休業が、今までは分割できないことがあったが、2回まで分割して取得できるようになった。女性の場合は育児休業は基本「長期」の休業が多く、分割しても取得に大きな影響はないが、男性の場合は、2回までできることになったのは、非常にありがたいと思われる。その意味において、男性のための育児休業の改正といえる。
今回の改正は、内容そのものの改正とともに育児休業制度の周知義務の影響が非常に大きいと思われる。規模の小さい会社にとっては、育児休業を取られると会社の経営が回らないためか、なるべく育児休業制度の周知を徹底してこなかったことがあると思われる。今後は、育児休業に関する研修や当制度の相談体制などの育児休業等環境整備に加え、労働者本人・配偶者の妊娠・出産の申出の際、育児休業制度等を個別に周知した上で、育児休業等の取得確認をしなければならなくなった。どの労働者にも育児休業制度が知れわたり個別に取得確認をすることになると、事業者にとっては、制度の周知を怠ってきた事業者ほど、ひじょうに苦しいものがあると思われるが、これもあるべき社会の大きな流れと考えられる。
出産時育児休業の新設 令和4年10月1日
育児休業の分割(2回)可能 令和4年10月1日
制度の周知と個別の周知・意向確認義務 令和4年4月1日
(※注※)従来は、産後8週間の間に、夫が育児休暇を取得した場合は、特例として再度取得できることになっていた。同じ育児休暇として、事実上2回取得できることになっていたのである。今回の改正は、この特例をなくすともに、産後8週間に男性のために「出生時育児休業休暇」として、新しく創設したものである。なお、産後8週間は、本文でも述べたように会社員の女性(妻)にとっては、労働基準法で労働を禁止されている期間(産後休暇)で、基本的には女性が自宅療養している期間である。
育児・介護休業法は、新しく改正がなされて、令和4年4月1日から随時施行がなされ、1年後の令和5年4月1日の施行まで続くことになっている。この改正であるが、一言で言えば、男性の育児休業の取得の促進がその内容である。育児介護休業法は、誤解されることを周知で申し上げれば、この法律こそ男女平等の法律である。女性に認められている権利は、男性にも同様に権利として認められている。ところが、男性の育児休業取得率7.48%(令和元年)に過ぎない。男女共に同じ権利だとすれば、極端に少ない数字であるといえよう。
ではなぜ政府は、男性の育児休業の取得の促進を打ち出したのか。これには、統計調査に基づき、この社会をどういう方法に進んだらいいのかを考えた結果であるともいえる。これには、3つの視点がある。まず女性の離職防止である。この前提には、社会全体の労働者の不足があるが、これが女性の場合は、結婚・妊娠・出産を機に会社を辞めていくという実態がある。統計的には結婚(女性正社員24.9% 女性非正規社員39.4%)はもちろん第1子の出産(女性正社員34.9% 女性非正規社員29.6%)の時期に離職しているのである。この女性の離職を防止するためには、夫の家事・育児の協力が欠かせないが、統計的にも、夫が家事・育児に協力している家庭ほど妻の離職率が低いという結果がでている。
→出産後の妻の離職状況 夫の家事・育児時間なし42.4% 夫の家事・育児時間4時間~6時間20.3% 夫の家事・育児時間6時間以上12.9% (仕事と生活の調和連携推進評価部会「仕事と生活の調和レポート2019」)
また、労働者不足の観点からは、すぐには改善するわけではないが、次の第2世代の労働力が不足していくのは、出生率の低下である。この改善のためには、離職防止と同様に、夫の家事・育児協力が欠かせない。統計的には次のとおり、夫の家事・育児の時間の関与が大きいほど、第2子の出生率が大きくなっている。
→子供がいる夫婦の「夫」の休日の家事・育児時間別の「第2子以降の出生」の状況 夫の家事・育児時間なし10% 家事・育児時間4時間~6時間79.7% 家事・育児時間6時間以上87.1% (仕事と生活の調和連携推進評価部会「仕事と生活の調和レポート2019」)
最後の観点は産後うつ対策である。産後うつ病は約10%の罹患率があり、産後3か月の間に発症することが多く、2週間以上持続するといわれています。この産後うつ病についても、夫などパートナーからのサポートの不足が、大きい要因になるとされています。(公益財団法人日本産婦人学会ホームページ) ここでは、経済的な観点よりも、精神を蝕む病気にならないためには、どうしたらいいのかという点から重要なことです。パートナーが産前からこれを支え産後も同様に精神的にも肉体的にも支えることが、産後うつを発症しないためには欠かせないことと思われます。その先に初めて言えることですが、うつ病事態が回復しにくい傾向にあることなどから考えて、経済に占める労働者の数は、その影響は大きく受けることになるといえます
以上の3つの観点からみても、労働者不足の解消のためには、夫が家事・育児に参加することが何よりも重要で、そのためには男性の育児休業の取得の促進が必要になってきます。
育児介護休業法の改正においては、この男性の育児休業取得の促進のために、内容の改正が主に2つある。出生時育児休業の新設である。子の出生後8週間以内に4週間まで取得が可能というものである。これは男性の「育児休業」にほかならない。というのも、女性にとっては、産後8週間は「産後休暇」が取れるからであって、出産時育児休業というのは、男性の育児休業といってもよい。(※注※) これは、分割して2回まで取得が可能であって(ただし初めにまとめて申し出は必要)、給付率は従来の育児休業と同じく68%である。
主な改正点の2番目。従来の育児休業が、今までは分割できないことがあったが、2回まで分割して取得できるようになった。女性の場合は育児休業は基本「長期」の休業が多く、分割しても取得に大きな影響はないが、男性の場合は、2回までできることになったのは、非常にありがたいと思われる。その意味において、男性のための育児休業の改正といえる。
今回の改正は、内容そのものの改正とともに育児休業制度の周知義務の影響が非常に大きいと思われる。規模の小さい会社にとっては、育児休業を取られると会社の経営が回らないためか、なるべく育児休業制度の周知を徹底してこなかったことがあると思われる。今後は、育児休業に関する研修や当制度の相談体制などの育児休業等環境整備に加え、労働者本人・配偶者の妊娠・出産の申出の際、育児休業制度等を個別に周知した上で、育児休業等の取得確認をしなければならなくなった。どの労働者にも育児休業制度が知れわたり個別に取得確認をすることになると、事業者にとっては、制度の周知を怠ってきた事業者ほど、ひじょうに苦しいものがあると思われるが、これもあるべき社会の大きな流れと考えられる。
出産時育児休業の新設 令和4年10月1日
育児休業の分割(2回)可能 令和4年10月1日
制度の周知と個別の周知・意向確認義務 令和4年4月1日
(※注※)従来は、産後8週間の間に、夫が育児休暇を取得した場合は、特例として再度取得できることになっていた。同じ育児休暇として、事実上2回取得できることになっていたのである。今回の改正は、この特例をなくすともに、産後8週間に男性のために「出生時育児休業休暇」として、新しく創設したものである。なお、産後8週間は、本文でも述べたように会社員の女性(妻)にとっては、労働基準法で労働を禁止されている期間(産後休暇)で、基本的には女性が自宅療養している期間である。