元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

就業規則のトラブル例<始業・終業時間を記しただけ>

2012-10-01 05:49:19 | 社会保険労務士
 始業時刻とは、仕事を始める時間でタイムカード時間ではありません。

 全国社会保険労務士連合会編の「中小企業における職場トラブルの防止」というパンフレットの中で、トラブルを起こす可能性がある就業規則の具体例として、「始業・終業及び休憩の時刻は、次のとおりとする。始業時刻 午前9時 終業規則 午後6時 休憩時間 正午から午後1時まで」というのがあります。

 これがなんでトラブルの原因になるのか。真面目な社員は、早めに来て9時から仕事をしますが、ぎりぎり来た社員はどうでしょう。管理者側としては、本来、労働契約においては、9時から全力で稼働して初めて、給料を支給するというのが原則のはずです。ぎりぎり、来た社員は、夏ですとうちわであおぐやらで仕事にならないはず、冬は冬で体があたたまってなく、これも全力稼働というわけにはいきません。

 というわけで、よくあるタイムカードによって管理している会社では、駆け込んでタイムカードを押してそれが間に合えば、いいという発想では、9時からすでに仕事をフル稼働している社員とは、管理する側としては、差を設けるべきではないかということになりそうです。
 また、だらだら残業で、用もないのに会社に残っており、それが残業手当としてつけられたら、泣くに泣けません。

 労基法32条の労働時間(1週間40時間、一日8時間の制限)とは、労働者が使用者の指揮の下に置かれている時間をいいます。始業、終業時刻とは、この指揮命令に基づく業務の開始、終了点であるはずです。そこから全力投球するとまでは、いいませんが、そこから仕事がスタートですので、席についているというだけでは、少なくとも「労働時間」とは認められません。

 では、どうすればいいのでしょうか。次のような就業規則を紹介します。リスク回避型就業規則・諸規定作成マニュアル(森・岩崎著)からです。
 3 前項の始業時刻とは、会社の指揮命令に基づく業務を開始すべき時刻のことをいい、前項の終業規則とは、会社の指揮命令に基づく業務を終了すべき時刻をいう。
 4 従業員は、始業時刻に業務を開始できるよう余裕をもって出勤しなければならない。また、就業規則までに業務が終了するよう職務に専念しなければならず、業務終了後は、速やかに退社しなければならない。


 また、「就業規則ここが問題です」(北村・桑原著)では、次のようにくだけた表現で、厳しい規定になっています。
 3 前項の始業及び就業の時刻は、業務の開始及び終業時刻のことであり、出社及び退社時間のことではない。始業時間に業務を開始することができない場合及び終業時刻前に業務を終える場合は、それぞれ遅刻及び早退とし、遅刻及び早退にあたる時間分の給与は支給しない


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