元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

IT化は短期的には衰退する職業はあるが長期的には新職業が起きる⇒労働市場の弾力化の必要性

2022-07-16 10:39:05 | 社会保険労務士
 自動化が高い職業(情報管理)①電車運転士②経理事務員③検針員 // 自動化が低い職業(創造性・社会的交流)①精神科医②国際協力専門家③作業療法士

  最近では、ロボットに代表される技術革新により、労働者の仕事がなくなっていく、機械に取って代わられるのではないかとの指摘があります。結論からいうと、短期的には機械に取って代わられることはあろうとも、長期的には技術進歩は新しい仕事を生み出すものであり失業を増やすとはいえないのではないかと思われます

 この話は、イギリスのオックスフォード大学のカール・フレイル博士&マイケル・オズボーン准教授の研究により、今後10~20年間に技術進歩によりアメリカ国内の労働者の47%が機械に置き換わるリスクがあるという報告からです。これに習い、野村総合研究所による研究では、国内の601種類の職業について、日本の労働人口の約49%がいまある職業が機械に取って代わる可能性があると指摘しています。日本で自動化される可能性がもっとも高い職業を順に示せば、①電車運転士②経理事務員③検針員④一般事務員⑤包装作業員⑥路線バス運転士⑦積みおろし作業員⑧梱包工⑨レジ係⓾製本作業員 また自動化される可能性が最も低い職業としては、①精神科医②国際協力専門家③作業療法士④言語聴覚士⑤産業カウンセラー⑥外科医⑦はり師・きゅう師⑧盲・ろう・養護学校教員⑨メイクアップアーチスト⓾小児科 が挙げられています。自動化の可能性が高いものは、コンピュータが得意な情報管理・処理の分野であることが分かります。一方の自動化リスクが低いものは、創造性分野であったり複雑な社会的な交流を伴う作業を行う分野などであることが分かります。

 しかし、これはあくまでも予測されたもので、「試算された前提」によって研究結果は変わるものであり、短期的には、これらの研究結果を認めるとしても、長期的には、技術革新によって、全く「労働しないでいい」というものでもなく、むしろ新しい労働需要が生じるようです。原始時代、人類は食料を捕獲するためにヤリや斧などの道具を考えだし、新天地を求めて船で旅立ち、空へのあこがれから飛行機で発明し、今は宇宙へ飛び立とうとしてます。人類の夢なのか、経済学的には果てしない「欲望」の連続性なのかわかりませんが、そのことにより技術革新はとどまるところを知りません。人類の欲望は、新たな技術革新の必要性を迫り、そのことにより次の技術を可能としてきたのです。次の技術の到達点では、その新しい地点から新しい欲望を生み出し、その欲望により新たな技術の開発を必要とするのです。

 人類の欲望はとどまるところを知りません。私は甘いものが大好きですが、新しいスイーツは最初の一口は実にとろけるように甘いものですが、次からは、だんだんとそのおいしさは薄れていきます。しかし、さらに新しい製品のスイーツが出た場合は、また新しいおいしさが戻ってきます。このように新しいものに挑戦するときには、実に人類の欲望は限りがないように出来ています。新技術の開発は、常に欲望が隣り合わせのものであり、どこまでいってもその拡大する欲望からくる必要性が生み出すものであり、またそのことが新技術の開発を支えているのです。したがって、技術革新もまたとどまるところも知りません。一時期、経済が停滞してこれ以上技術革新はないので、経済発展はこれ以上望めないのではないかと言われた時期がありましたが、さにあらんや、今ではIT・ロボットの技術革新が訪れています。

 新しい技術革新は、確かに従来の仕事を駆逐するかもしれませんが、新たな仕事という新しい職業を生み出します。今、IT時代に現れているところでは、ゲーマーやユーチュバーが挙げられます。ひと昔前では、絶対に考えられなかった職業です。衰退していく職業はある程度分かるにしても、新しい職業はその時代にそれ相応に表れてくるものであって、今ほかにどんな職業があるかを言うことはできません。宮本弘暁氏等の研究(アメリカにおいての実証研究・「101のデータで読む日本の未来」p256掲載)では、長期的には、技術革新の尺度として「生産性の成長率」と雇用の尺度として「失業」との関係性を調べていますが、技術革新によって失業が増えるという傾向にはなく、逆に技術革新は失業を低下させる可能性が大きいとの結果も出ているようです。

 ただし、短期的には、新技術により衰退する仕事に就いていた労働者は、確かに辞めざるを得ない者も出てくるかもしれません。そこでの対応として、日本は外国に比べ労働市場は硬直的とされておりますので、余剰となった労働者を容易に新しく開発された労働市場に引き受けられるような弾力的な 労働市場の開発(労働教育の充実、誘因効果等)が求められます。

 参考 「イギリスのオックスフォード大学のカール・フレイル博士&マイケル・オズボーン准教授の研究」や「野村総合研究所による研究」の内容は、「101のデータで読む日本の未来」(宮本弘暁著 php新書)のデータ・趣旨によった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高齢社会では財政政策の有効... | トップ | SDGs/食品ロスは消費者として... »

コメントを投稿

社会保険労務士」カテゴリの最新記事