就業規則~<退職金>~について
ある機会があって、ある会社の就業規則を見せてもらいましたが、退職金を規定していた就業規則が次の年には、「退職金は、給料に上乗せして前払いする」との規定に変更されていました。従業員に聞くと、社長の意向で決まりましたとのことで、自分たちは納得していない様子。
ちゃんと退職金の積立に回す原資の額がそのまま給料の前払いになっているのであれば、それはそれでOKでしょうが、実際は原資も減らされているのであれば、完全な就業規則の不利益変更になりますし、ある人には前払い退職金が増になっていても、ある人には減少だってあり得ます。また、退職金の前払いという形でありますが、実質的には、毎月の給料の増であっても、いわゆる「退職金」はゼロということでしょう。前払いという支払い制度の変更であるといえ、退職金をあてにしていた労働者にとっては、納得に行かない者もいるはずです。税金控除の面でも、大きな控除も受けられません。
すみません、説明が後先になりましたが、「不利益変更」とは、契約締結時の労働条件が、その後の変更によって低下する場合をいいます。この不利益変更は、労働者との全員の合意が原則です。従業員の言い方からすると、どうもその合意が図られていないようです。労働契約法第9条では、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」とされています。
原則的には、不利益変更の場合は、労働者と合意しなければ、就業規則を変更することは出来ないのです。ただし、次回紹介するように「合理的なもの」であれば、合意がなくても認められることはありますが、実務的には、まずこの原則論に沿って、労働者との合意ができないか考えるべきでしょう。
まずは、使用者としては、将来を見据えて、現在の就業規則どおり退職金がちゃんと払えるか見てみることになるでしょう。例えば、60歳定年の会社があったとして、56歳が2人、58歳の従業員が1人、59歳が1人いたとします、勤務年数に応じて退職金額に違いがあるのが普通でしょうが、仮に単純にどの人も退職金が500万とすれば、1年後は500万の支払い、2年後は500万、4年後は1000万円の資金が必要となります。1年、2年後の合わせて1000万円まではなんとか支払えますが、4年後は退職金原資の積み立ても底をついてしまうことも考えられます。現在のご時世では、退職金の計画的な積立もままならないというのが実情のところも多いでしょう。
そこで、計画的に退職金を積みたてていっても、資金がショートしてしまうので、今回退職金を前払制度にしたいとのことで、労働組合なり、それがなければ、皆の前で、そこの事情を話し、納得してもらっってから、就業規則の改正は行うべきでしょう。そうでなければ、労働者にとって、唐突すぎます。そこのところが、なされたのか、なされていたにしても、話し合いが不十分であったので、先ほどの話で、従業員が納得していなかったのでしょう。
再度申し上げますが、実務的に考えると、基本的には、就業規則の不利益変更は、労働者の合意を得なければならず、労働者との話し合いが基本になるのであって、ましてや、こっそりと変えることは、就業規則に変更は許されないという話です。手続き的には、就業規則の変更は、労働組合か労働者の代表の意見書を付けなければならないことは、ご存じのとおりです。ただし、これは「意見」であって合意書ではないことは、これまたご存じのとおりですね。
※<突然ですけど、社労士試験受験の皆様へ(アドバイス)>この記事を書いていて思い出しました。毎年今頃、大変だったなあと。私、4回も受験しました。社労士試験では、この就業規則の変更の労働者の同意か意見かは、よく出るところです、40回でも出ていたはずです。皆様、過去問になっているのを、私が現実に受験していたというのがスゴイと思いません。私、直前まで覚えていましたけど、問題として出ると、こんがらかってしまって、間違ってしまいました。なので、今年受験される方は、まずは落ち着いてください。そして、同意か意見か「対比」できるくらいに、確実な知識として持っていないとだめでしょうね。と今頃いっても、必死で確認作業している今の時期、何のアドバイスにもならないかもしれませんが。よく受験校が1回で受かるというのをウリにしていますが、それにこしたことはありませんが、「還暦社労士」なると、覚えも勘も悪くなってきます。しかし、時間をかけてコツコツとやれば、必ず結果はついてきます。特に「なでしこジャパン」が優勝してから「あきらめない」が今の日本のムードになっています。まだまだ受験日まで時間はあります。今年こそはという気持ちで、最後まで「あきらめない」で頑張りましょう。(毎回いつも、私そんな気持ちで臨んでいました。)
ある機会があって、ある会社の就業規則を見せてもらいましたが、退職金を規定していた就業規則が次の年には、「退職金は、給料に上乗せして前払いする」との規定に変更されていました。従業員に聞くと、社長の意向で決まりましたとのことで、自分たちは納得していない様子。
ちゃんと退職金の積立に回す原資の額がそのまま給料の前払いになっているのであれば、それはそれでOKでしょうが、実際は原資も減らされているのであれば、完全な就業規則の不利益変更になりますし、ある人には前払い退職金が増になっていても、ある人には減少だってあり得ます。また、退職金の前払いという形でありますが、実質的には、毎月の給料の増であっても、いわゆる「退職金」はゼロということでしょう。前払いという支払い制度の変更であるといえ、退職金をあてにしていた労働者にとっては、納得に行かない者もいるはずです。税金控除の面でも、大きな控除も受けられません。
すみません、説明が後先になりましたが、「不利益変更」とは、契約締結時の労働条件が、その後の変更によって低下する場合をいいます。この不利益変更は、労働者との全員の合意が原則です。従業員の言い方からすると、どうもその合意が図られていないようです。労働契約法第9条では、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」とされています。
原則的には、不利益変更の場合は、労働者と合意しなければ、就業規則を変更することは出来ないのです。ただし、次回紹介するように「合理的なもの」であれば、合意がなくても認められることはありますが、実務的には、まずこの原則論に沿って、労働者との合意ができないか考えるべきでしょう。
まずは、使用者としては、将来を見据えて、現在の就業規則どおり退職金がちゃんと払えるか見てみることになるでしょう。例えば、60歳定年の会社があったとして、56歳が2人、58歳の従業員が1人、59歳が1人いたとします、勤務年数に応じて退職金額に違いがあるのが普通でしょうが、仮に単純にどの人も退職金が500万とすれば、1年後は500万の支払い、2年後は500万、4年後は1000万円の資金が必要となります。1年、2年後の合わせて1000万円まではなんとか支払えますが、4年後は退職金原資の積み立ても底をついてしまうことも考えられます。現在のご時世では、退職金の計画的な積立もままならないというのが実情のところも多いでしょう。
そこで、計画的に退職金を積みたてていっても、資金がショートしてしまうので、今回退職金を前払制度にしたいとのことで、労働組合なり、それがなければ、皆の前で、そこの事情を話し、納得してもらっってから、就業規則の改正は行うべきでしょう。そうでなければ、労働者にとって、唐突すぎます。そこのところが、なされたのか、なされていたにしても、話し合いが不十分であったので、先ほどの話で、従業員が納得していなかったのでしょう。
再度申し上げますが、実務的に考えると、基本的には、就業規則の不利益変更は、労働者の合意を得なければならず、労働者との話し合いが基本になるのであって、ましてや、こっそりと変えることは、就業規則に変更は許されないという話です。手続き的には、就業規則の変更は、労働組合か労働者の代表の意見書を付けなければならないことは、ご存じのとおりです。ただし、これは「意見」であって合意書ではないことは、これまたご存じのとおりですね。
※<突然ですけど、社労士試験受験の皆様へ(アドバイス)>この記事を書いていて思い出しました。毎年今頃、大変だったなあと。私、4回も受験しました。社労士試験では、この就業規則の変更の労働者の同意か意見かは、よく出るところです、40回でも出ていたはずです。皆様、過去問になっているのを、私が現実に受験していたというのがスゴイと思いません。私、直前まで覚えていましたけど、問題として出ると、こんがらかってしまって、間違ってしまいました。なので、今年受験される方は、まずは落ち着いてください。そして、同意か意見か「対比」できるくらいに、確実な知識として持っていないとだめでしょうね。と今頃いっても、必死で確認作業している今の時期、何のアドバイスにもならないかもしれませんが。よく受験校が1回で受かるというのをウリにしていますが、それにこしたことはありませんが、「還暦社労士」なると、覚えも勘も悪くなってきます。しかし、時間をかけてコツコツとやれば、必ず結果はついてきます。特に「なでしこジャパン」が優勝してから「あきらめない」が今の日本のムードになっています。まだまだ受験日まで時間はあります。今年こそはという気持ちで、最後まで「あきらめない」で頑張りましょう。(毎回いつも、私そんな気持ちで臨んでいました。)
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