松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

和ろうそく芯ものがたり その4

2007-09-01 19:24:43 | 和ろうそく芯ものがたり
たまたま朝倉市に和ろうそくの芯を
巻いている職人がいることを知り、
さっそく行って話を聞いてみることにしました。

Tさんです。
Tさんは78才。Tさんの一族が
芯巻き作業を始めたのは昭和初期だそうで、
それ以前は馬の鞍を作る職人をしていたそうです。

芯巻きは、重労働の農作業と違い、
家の中に座って出来る軽作業のため、
お年寄りの内職として、
近所には一時期20人程度が従事していたそうです。

このような芯巻き職人は、
今でも少ないながら各地にいるらしく
芯屋は、各地の芯巻き職人から
芯を買い取って、ろうそく職人に売っています。

昭和40年代頃まで、近所には芯に使う
イグサが植えられており、
茎の中の髄(燈芯)を引き出す作業も同時に行われていました。
寒い冬にイグサを冷たい水で洗い
一本ずつ燈芯を引き出すのは
辛いものだったと言います。
Tさんは年代物の古く小さな作業机を取り出し、
どうやって一本ずつ巻いていたかの説明をしてくれました。
(上記の写真)

残念ながらTさんは二年前に病をわずらい、目がかすむようになり、
芯巻きの作業を断念せざるを得なくなりました。

「悲しかったとですよ。
茎から燈芯を引き出す作業は辛くていやだったんだけど
芯巻きの方は、みんなと話をしながら
作業が出来るから楽しかった。
もう芯巻きはできないと思うと、涙が出ました。」

Tさんは最後に巻いた一束を手に取ると、
当時を思い出し、うっすらと涙を浮かべました。



私も悲しくなりました。
「それじゃ、他にはもう芯巻きをしておられる方は
 いらっしゃらないんですか?」

「いや、おる!おりますよ。二歳年下の義妹が!
今も現役で巻いとるとですよ。
すぐ近くに住んでるから、一緒に会いに行きましょう!」

こうして、私は現役の芯巻き職人Mさんと出会うことになりました。

↓押してくださると励みになります。

人気blogランキングへ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。