画像は櫨の心材を使った「櫨染」の色です。
大学の先生が化学的興味で試験的に染められたものを
見せていただきました。
染色の世界では「櫨色(はじいろ)」や
「櫨染(はじぞめ)」という言葉があるので、
それはハゼノキを使っているのか、
それともヤマハゼを使っているのか
はたまたヤマウルシを使っているのかを
染色の専門家Tさんにお聞きしてみました。
すると、そもそも今では櫨を素材としては
もう使っていないそうです。
染色として櫨を使うには、切り倒さなくてはならないわけで
櫨の素材自体が少なくなっている今の日本では
ほとんど不可能に近いということでした。
昔の文献もわからないことだらけです。
「延喜式」などの文献に残っている
黄櫨染(天皇陛下の色)については、材料のみで、
染色の方法などについては一切不明なのです。
以前のエントリでお伝えしていますが
古代は色で身分や地位を表していましたから、
染色職人は、今で言えば最新技術を誇る技術者たちです。
そんな人たちが自分たちの生み出した染色の最新技術を
文献に残すわけはないだろう、
やはり一子相伝のような扱いではないかとのことでした。
また、お米の研ぎ方や味噌汁の作り方を
書いている料理本が、ほとんどないように、
当たり前だと考えられている物事は
書き残す必要がありません。
ですから当たり前と思われている物事は
文献には残りにくいわけです。
櫨の染色については、どちらにもあてはまりました。
染色技術は、時代が移り変わるにつれて
素材が変わり、技術も変わり、特に文献に残ることなく
昔の記憶が失われていったわけです。
ところで櫨のことを「黄櫨」と呼ぶ場合があります。
これは今では櫨の別名とされていますが
もともとは南欧から中国にかけて分布する
ウルシ科の「ハグマノキ」で、
心材から黄色染料を採ることで
この名前があるという説がありました。
しかし黄色の染料は、同じウルシ科の
ヤマウルシ、ヤマハゼ、ハゼノキでも
同じように採れるそうですから、
これもまた一つの説と考えるべきでしょう。
なんだかますますアヤフヤになってきました。
とはいえ、一つだけ断言できるのは
昔から「櫨」とよばれるウルシ科の植物が
日本にあったことだけは確かだってことです。
「櫨色」「櫨染」「黄櫨染」という言葉が残っている、
それだけは櫨(の種類)が身近に存在したという証ですね。
さて、古代日本で櫨が活躍していたものが
染色の他に、もう一つあります。
それは「弓」です。
次回から「弓」の材料としての櫨について書く予定です。
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大学の先生が化学的興味で試験的に染められたものを
見せていただきました。
染色の世界では「櫨色(はじいろ)」や
「櫨染(はじぞめ)」という言葉があるので、
それはハゼノキを使っているのか、
それともヤマハゼを使っているのか
はたまたヤマウルシを使っているのかを
染色の専門家Tさんにお聞きしてみました。
すると、そもそも今では櫨を素材としては
もう使っていないそうです。
染色として櫨を使うには、切り倒さなくてはならないわけで
櫨の素材自体が少なくなっている今の日本では
ほとんど不可能に近いということでした。
昔の文献もわからないことだらけです。
「延喜式」などの文献に残っている
黄櫨染(天皇陛下の色)については、材料のみで、
染色の方法などについては一切不明なのです。
以前のエントリでお伝えしていますが
古代は色で身分や地位を表していましたから、
染色職人は、今で言えば最新技術を誇る技術者たちです。
そんな人たちが自分たちの生み出した染色の最新技術を
文献に残すわけはないだろう、
やはり一子相伝のような扱いではないかとのことでした。
また、お米の研ぎ方や味噌汁の作り方を
書いている料理本が、ほとんどないように、
当たり前だと考えられている物事は
書き残す必要がありません。
ですから当たり前と思われている物事は
文献には残りにくいわけです。
櫨の染色については、どちらにもあてはまりました。
染色技術は、時代が移り変わるにつれて
素材が変わり、技術も変わり、特に文献に残ることなく
昔の記憶が失われていったわけです。
ところで櫨のことを「黄櫨」と呼ぶ場合があります。
これは今では櫨の別名とされていますが
もともとは南欧から中国にかけて分布する
ウルシ科の「ハグマノキ」で、
心材から黄色染料を採ることで
この名前があるという説がありました。
しかし黄色の染料は、同じウルシ科の
ヤマウルシ、ヤマハゼ、ハゼノキでも
同じように採れるそうですから、
これもまた一つの説と考えるべきでしょう。
なんだかますますアヤフヤになってきました。
とはいえ、一つだけ断言できるのは
昔から「櫨」とよばれるウルシ科の植物が
日本にあったことだけは確かだってことです。
「櫨色」「櫨染」「黄櫨染」という言葉が残っている、
それだけは櫨(の種類)が身近に存在したという証ですね。
さて、古代日本で櫨が活躍していたものが
染色の他に、もう一つあります。
それは「弓」です。
次回から「弓」の材料としての櫨について書く予定です。
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検索していて、偶然このブログを知りました。
櫨からはじまり、古代の染めについて、よく調べられていますね!
古代の延喜式の色を染めるのは一子相伝に近い伝承で33代続いています。
京都在住の前田雨城先生が、33代目です。
私はその先生に師事していて、染めをやっております。
700年頃に完成した御所の染めの技法は、非常に高度です。しかも秘伝なので、体得出来たものだけに伝えられ、外に出る事はなかったようです。またそれはこの21世紀でも同じなのです!また訪問して、じっくり色を見せていただこうと思います!
私も櫨の木がほしいです~(やってみたいです、、、)
延喜式の染色をされている先生がいらっしゃるんですね。知りませんでした。やはり延喜式の染めの技法は門外不出だったんですね。櫨は貴重な素材ですから、ぜひ伝統技法を続けていってもらいたいです。これからもいろいろと教えて下さい